説明

防雪柵

【課題】 本発明は、風雪に対する耐久性能や施工性が良好で安価に製造できる防雪柵を提供することにある。
【解決手段】 支柱4と押出形材からなる防雪材1を備え、支柱4は、複数の防雪材1を上下に間隔をあけて取り付けるものであり、防雪材1は、前端から後端に渡り上向きに膨出する流線形の翼部1aと、翼部1aの前後中央付近から下向きに突出するホロー部7と、ホロー部7と隣接し且つ支柱4と固定する軸芯部5とを形成し、軸芯部5とホロー部7は、翼部1aの前端と後端を結ぶ直線Lよりも上位置に設けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地内への雪の吹き込みを防ぐ防雪柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防雪柵は、屋内あるいは敷地内に雪の吹き込みを防ぐものであり、具体的に、特開2005−232722号公報のものがある。ここで開示される防雪柵は、上向きに膨出した流線形をなす中空押出形材を防雪材とし、防雪材には、防雪材を支柱に取り付ける取付部材を有している。また、防雪材の前後両端部には、風を誘導するための押出形材の前縁部材及び後縁部材を取り付けてある。
【特許文献1】特開2005−232722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されるものでは、防雪材が、前部材、後部材、上パネル材、下パネル材など多数の部材から構成されており、また、風雪に対する耐久性能を向上するための様々な補強を施すものであることから、組立・施工性が悪く、製造コストが高くつくなどの問題点があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、風雪に対する耐久性能や施工性が良好で安価に製造できる防雪柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1記載の発明は、支柱と押出形材からなる防雪材を備え、支柱は、複数の防雪材を上下に間隔をあけて取り付けるものであり、防雪材は、前端から後端に渡り上向きに膨出する流線形の翼部と、翼部の前後中央付近から下向きに突出するホロー部と、ホロー部と隣接し且つ支柱と固定する軸芯部とを形成し、軸芯部とホロー部は、翼部の前端と後端を結ぶ直線よりも上位置に設けてあることを特徴とする。
【0005】
本発明のうち請求項2記載の発明では、防雪材は、前部材と後部材を連結してなり、前部材および後部材は、ホロー部を構成する壁の上下両端部を他方部材との連結部としており、上下両連結部のいずれか一方には、他方部材と回転嵌合する回転嵌合部を有すると共に、他方の連結部には、回転嵌合部を中心として前部材と後部材とが回転して当接する当接部を有しており、当接した両当接部同士が固定具で固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、翼部の略中央からホロー部が軸芯部に向けて下向きに突出するものであることで、ホロー部が翼部と軸芯部との間に配置されることから、耐久性能が高くなる。また、軸芯部とホロー部が翼部の前端と後端を結ぶ直線よりも上位置に設けてあることで、風雪が吹き込んだときの防雪材の受ける抵抗が小さくなり、防雪材に働く回転ねじれ方向の力が働きにくくなるため、
さらに耐久性が向上する。
【0007】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、押出形材からなる前部材と後部材を連結して防雪材を構成すると共に、前部材と後部材の上下いずれか一方の締結部が回転嵌合部となっていることにより、その回転嵌合部を中心に前部材と後部材を回転し、当接した他方の当接部同士を固定具で固定するだけで防雪材を形成できるので、組立・施工性が良好で、且つ材料コストを抑えた防雪柵が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面に基づいて本実施による防雪柵の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本実施による防雪柵の全体を示す正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、防雪材を拡大した側面図である。図2(a)〜(b)は、前部材と後部材により防雪材を形成するときの状態を示す側面図である。図3は、本実施による防雪柵の使用の状態を示す一部を拡大した側面図である。図4は、本実施による防雪柵の取付部材を中心に拡大して示す斜視図である。
【0009】
本実施による防雪柵は、図1(a)(b)を参照すれば、左右に間隔をあけて配置する複数本の支柱4と、支柱4の上下に間隔をあけて複数枚が段状に取り付けてある防雪材1とからなっている。支柱4は、2本のみ図示してあるが、固定具(図示省略)を用いて基礎に固定したものを左右に間隔をあけて複数本配置してあり、各支柱4の両側の見込み面には、防雪材1の軸芯部5および取付部材8の被取付部(図示省略)が設けてある。防雪材1は、図1(c)を参照すれば、連結して円弧状をなす前部材2と後部材3の二部材からなっており、連結したときに上向き且つ流線形に膨出した翼部1aと、その翼部1aの前後中央付近から下向きに突出する略矩形状をなす3つのホロー部7と、下向き略C字状をなす軸芯部5とを有している。ホロー部7は、翼部1aの下面の前後方向に間隔をあけた4箇所から軸芯部5に向けて集約するように下向きに突出する縦壁7aと、4つの縦壁7aの下端部をつなぐ底壁7bとから構成してあり、4つの縦壁7aのうち、前側寄りの3つの縦壁7aは、前部材2に設けてあり、残りは後部材3に設けてある。また、ホロー部7は、防雪材1に3つ設けてあるが、そのうちの最も後側にあるホロー部7は、前部材2と後部材3を連結したとき、前部材2の縦壁7aと底壁7b、後部材3の縦壁7aとから構成される。また、4つの縦壁7aのうち、最も前側と後側に配置してある2つの縦壁7aは、軸芯部5に向かって傾斜しており、これにより、小さく区画されたホロー部7が形成されて翼部1aの耐久性を確保している。また、防雪材1は、後側(吹き込み側)を上にする傾斜状態で取付部材8により支柱4に取り付けてあり、取付部材8は、図4のように、防雪材1に風が吹き付けることで軸芯部5を中心とする回転ねじれ方向の力が働くことから、支柱4に対して挟み込む状態で取付する略コ字型をなす軸受部材9と、軸受部材9および防雪材1の軸芯部5に取り付けてある軸部材10とを上下に挿通する固着棒材11と、その固着棒材11の抜け落ちを防止するピン12とから構成されている。これにより、風圧による回転ねじれ方向に働く力に抗して防雪材1が傾きを維持して支柱4に取付できる。
【0010】
次に、図2(a)〜(c)を参照して防雪材1の組み立て手順を説明する。
図2(a)に示すように、防雪材1を構成する前部材2の後部材3との連結側の上端部には、後部材3との回転嵌合部13を有しており、下端部には、片状をなす当接部14を有している。回転嵌合部13は、前部材2に上向きに彎曲した円弧状の溝13aを有しており、後部材3における前部材2と連結する側の上端部には、上向きに彎曲した円弧状の突起13bを有しており、図2(b)のように、後部材3の突起13bを前部材2の溝13aに挿入して回転自在に取り付けることができる。また、後部材3の前部材2との連結する側の下端部においても片状の当接部14を有しており、図2(c)のように、回転嵌合部13を中心に前部材2と後部材3を回転して互いの当接部14同士が当接し、その当接部14同士が上下に重なる箇所をリベット15で固定することで、本実施による防雪材1が完成する。
【0011】
以上のように形成した本実施による防雪柵は、図3を参照すれば、防雪柵の後側から雪が吹き込んだとき、雪が後部材3の後端に当たって下方に落下する。また、風は、防雪材1の翼部1aによって斜め下向きに偏向されて遠くまで吹き付けない構成となっている。さらに、ホロー部7と軸芯部5が翼部1aの前端と後端を結ぶ直線Lよりも上方に位置するので、防雪柵の後側から雪が吹き込んだときに、翼部1aを通り抜けた風がホロー部7と軸芯部5に当たることなく前側に流れていくので、防雪材1に働く回転ねじれ方向の力を働きにくくできる。
【0012】
本発明の防雪柵は、上記実施形態の他、ホロー部7や軸芯部5の形状は特に限定するものではない。また、ホロー部7の数や大きさについては、翼部1aの前端と後端を結ぶ直線Lよりも下方に位置しなければよく、また、押出形材の前部材2と後部材3を連結して防雪材1を形成できるものであれば、回転嵌合部13は、上下のどちらの連結部にあってもよいが、上記実施形態のように上側にあれば、前部材2と後部材3の当接部14同士が回転嵌合部13を中心に回転して自然に当接して位置決めがされるので、リベット15で固定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1(a)(b)(c)】(a)は、本実施による防雪柵の正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、本実施による防雪柵の一部を拡大し、防雪材を中心に示す側面図である。
【図2(a)(b)(c)】(a)〜(c)は、防雪材の組み立て手順を示す側面図である。
【図3】本実施による防雪柵の使用状態を示す一部を拡大した側面図である。
【図4】本実施による防雪材の取付部材を中心に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 防雪材
1a 翼部
2 前部材
3 後部材
4 支柱
5 軸芯部
7 ホロー部
8 取付部材
13 回転嵌合部
14 当接部
L 前部材の前端と後部材の後端を結ぶ直線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と押出形材からなる防雪材を備え、支柱は、複数の防雪材を上下に間隔をあけて取り付けるものであり、防雪材は、前端から後端に渡り上向きに膨出する流線形の翼部と、翼部の前後中央付近から下向きに突出するホロー部と、ホロー部と隣接し且つ支柱と固定する軸芯部とを形成し、軸芯部とホロー部は、翼部の前端と後端を結ぶ直線よりも上位置に設けてあることを特徴とする防雪柵。
【請求項2】
防雪材は、前部材と後部材を連結してなり、前部材および後部材は、ホロー部を構成する壁の上下両端部を他方部材との連結部としており、上下両連結部のいずれか一方には、他方部材と回転嵌合する回転嵌合部を有すると共に、他方の連結部には、回転嵌合部を中心として前部材と後部材とが回転して当接する当接部を有しており、当接した両当接部同士が固定具で固定してあることを特徴とする請求項1記載の防雪柵。

【図1(a)(b)(c)】
image rotate

【図2(a)(b)(c)】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−138550(P2010−138550A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313484(P2008−313484)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(307021715)三協マテリアル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】