説明

防音室

【課題】 特殊な構造を一切用いない簡便な構造でありながら、室内の音声が室外に漏れるのを確実に防止することができるとともに、室外で発生した音声が室内に入るのも確実に防止することができる防音室を提供する。
【解決手段】 防音室10は、床面、側壁面、及び天井面によって形成された内室51と、床面、側壁面、及び天井面によって形成され、内室51の外面を覆うように所定の間隔をあけて設けられた外室52とを備える。そして、防音室10においては、内室51の外面と外室52とによって形成される空間に、所定の音楽が流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の防音構造が施された防音室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械等の作動に応じて発生する騒音を外部へと漏らさないようにするために、各種防音構造が施された防音室が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
また、防音室の用途としては、機械等の騒音を外部へと漏らさないようにすることの他、近年の生活態様の複雑化にともない、例えばカラオケや楽器の練習場所等、様々な分野へと広がりをみせつつあり、かかる用途に適した防音室も提案されている(例えば、特許文献2等参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−35479号公報
【特許文献2】実開平7−26580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2等に記載された従来の防音室は、防音効果を実現するために、いずれも特殊な構造を要するものであり、手軽に構築することができるものは少なかった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、特殊な構造を一切用いない簡便な構造でありながら、室内の音声が室外に漏れるのを確実に防止することができるとともに、室外で発生した音声が室内に入るのも確実に防止することができる防音室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明にかかる防音室は、所定の防音構造が施された防音室であって、床面、側壁面、及び天井面によって形成された内室と、床面、側壁面、及び天井面によって形成され、上記内室の外面を覆うように所定の間隔をあけて設けられた外室とを備え、上記内室の外面と上記外室とによって形成される空間に、所定の音楽が流されていることを特徴としている。
【0008】
このような本発明にかかる防音室は、内室の外面をそのまま室外に露呈させるのではなく、外室による空間を設け、さらに、この空間に音楽を流すことにより、特殊な構造を一切用いない簡便な構造でありながら、内室の室内で発生した音声が室外に漏れるのを確実に防止することができるとともに、室外で発生した音声が内室の室内に入るのも確実に防止することができる。
【0009】
ここで、上記内室の室内空間と上記外室の室内空間は、略同体積となるように形成される。これにより、本発明にかかる防音室においては、外室に存在する空気量と内室に存在する空気量とが略等しくなることから、換気を効率よく行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明にかかる防音室は、上記内室における一の側壁面に設けられ、利用者が当該内室に出入りする際に開閉される内室扉と、上記内室扉が設けられた側壁面に沿った上記外室における一の側壁面に設けられ、上記利用者が当該外室に出入りする際に開閉される外室扉とを備え、これら内室扉及び外室扉は、ともに開放された際に出入り口が連通するように位置決めされて設けられる。すなわち、本発明にかかる防音室は、内室扉及び外室扉による二重扉構造とされることから、最も音の出入りが生じやすい扉近傍の影響を低減し、防音性能をより向上させることができる。
【0011】
なお、本発明にかかる防音室において、上記音楽は、集音された上記内室の室内音を打ち消すような周波数からなる音楽であるのが望ましい。これにより、本発明にかかる防音室においては、内室の室内で発生した音声が室外に漏れるのをより確実に防止することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる防音室は、上記内室の対向する2つの側壁面のそれぞれにおける下方に設置され、上記外室との空間に面して第1の逆止ダンパが取り付けられた吸気ファンと、上記内室の天井面に設けられた第2の逆止ダンパと、上記外室の天井面に設けられ、上記第2の逆止ダンパが取り付けられた排気ファンと、上記外室の対向する2つの側壁面のそれぞれにおける上方に設置され、且つ、側壁面の幅方向について上記吸気ファン及び上記第1の逆止ダンパの設置位置と略同位置に設置された外気取り入れ用ダンパと、上記外室の上記外室扉が設けられた側壁面と対向する側壁面に、上記外気取り入れ用ダンパが設置されている高さと略同じ高さに設置された外気取り入れ式の空調装置とを備えるのが望ましい。
【0013】
これにより、本発明にかかる防音室においては、内室及び外室の室内の空気を入れ替える際に、空調装置を作動させて外気を外室の室内に取り込むとともに、外気取り入れ用ダンパを作動させて外気を外室の室内に取り込むことができる。外室の室内に取り込まれた空気は、吸気ファンの作動に応じて、当該外室の下方に吹き下げられ、第1の逆止ダンパを介して内室の室内に取り込まれる。そして、内室の室内に取り込まれた空気は、排気ファンの作動に応じて、当該内室の上方に吹き上げられ、第2の逆止ダンパを介して室外に排出される。
【0014】
したがって、本発明にかかる防音室においては、吸気ファン及び排気ファンを作動させることにより、内室及び外室の室内の空気を迅速に入れ替えることができる。このとき、本発明にかかる防音室においては、内室の室内の空気を全て入れ替えることができるため、高い消臭効果を発揮することができる。また、本発明にかかる防音室においては、空調装置を介して外気を取り込み、外室の室内の空気を空調されたものとすることができるため、内室の室内温度や室内湿度の変化を少なくすることができる。さらに、本発明にかかる防音室においては、内室と外室との境界に複数の逆止ダンパを設けることにより、空気の流れを一定方向に制御することができ、効率よく換気を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、特殊な構造を一切用いない簡便な構造でありながら、内室の室内で発生した音声が室外に漏れるのを確実に防止することができるとともに、室外で発生した音声が内室の室内に入るのも確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
この実施の形態は、本発明にかかる防音室を適用したシステムであり、利用者がストレスを解消する環境を提供するストレス解消環境提供システムである。特に、このストレス解消環境提供システムは、今回の利用と過去の利用とを有機的に結び付けることにより、利用者が過去のストレスの原因となった事象を振り返ることができ、その情報をその後の生活にフィードバックさせるような利用をさせることができる斬新なビジネスモデルを提案するものである。
【0018】
ストレス解消環境提供システムは、図1に示すように、利用者が利用する1つ以上の防音室10と、これら防音室10の利用を管理する管理サーバ20とを備える。
【0019】
防音室10は、室内で発生した音声を室外に漏らさず且つ室外で発生した音声を室内に入れないような所定の防音構造が施された組み立て式又は建造式の構造物である。防音室10は、ストレスの解消を目的とする利用者が不満を含む任意の内容を発声する場所として提供され、例えば証明写真を撮像するブース等と同様の感覚で各所に設置される。利用者は、このような防音室10の室内に入室し、不満や愚痴等を大声で発声することにより、ストレスの解消を図る。
【0020】
このような防音室10の室内には、例えば図2に内部構造の平面図を示すように、利用者が利用する椅子や机等の家具11の他、管理サーバ20と通信を行うことが可能な端末装置30が設置されている。端末装置30は、図2及び図3に示すように、各種映像を表示する表示手段としてのディスプレイ31と、各種音声を出力する音声出力手段としてのスピーカ32と、各種情報を入力する入力操作手段としての入力操作デバイス33と、管理サーバ20に対して各種情報を送信する送信手段としての送信部34と、管理サーバ20から送信された各種情報を受信する受信手段としての受信部35と、これら各部を統括的に制御する制御部36とを有する。
【0021】
ディスプレイ31は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel;PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescent)ディスプレイ、又はCRT(Cathode Ray Tube)といった、各種表示デバイスであり、制御部36の制御のもとに、各種映像やその他の情報を表示する。例えば、ディスプレイ31は、利用者が不満や愚痴等を大声で発声するのを促進させるような環境映像を表示したり、端末装置30の操作方法等の任意の情報を表示したりする。
【0022】
スピーカ32は、当該防音室10の室内に複数設けられ、利用者が端末装置30を操作して設定した音楽や当該利用者が発声した音声等を出力する。
【0023】
入力操作デバイス33は、例えば、キーボード、マウス、キーパッド、赤外線リモートコントローラ、スティックキー、又はプッシュボタンといった、ユーザインターフェースとしての所定のデバイスである。また、入力操作デバイス33には、後述するIDカードに記録された情報を読み取ることによって入力するカードリーダ装置も含まれる。利用者は、この入力操作デバイス33を介して、利用開始のための認証操作をはじめとする各種操作を行うことができる。また、利用者は、この入力操作デバイス33を介して、発声した不満や愚痴等の発声内容の原因となった出来事等を任意に入力することができる。この入力操作デバイス33を介して入力された情報は、制御部36の制御のもとに、送信部34に供給される。
【0024】
送信部34及び受信部35は、例えば、アナログ回線、いわゆるイーサネット(登録商標)等から構成されるLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、若しくはFTTH(Fiber To The Home)等の各種ネットワーク回線、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11に準拠した無線LAN若しくはいわゆるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の各種無線通信方式、又はいわゆるFOMA(登録商標)等のW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式若しくはHDR(High Data Rate)等のCDMA−2000方式といった、各種方式に基づくネットワークに接続するためのインターフェースであり、制御部36の制御のもとに、管理サーバ20や利用者が任意に指定したパーソナルコンピュータ、携帯電話機や携帯情報端末機(Personal Digital Assistant;PDA)等の情報処理装置との間で通信を行う。
【0025】
制御部36は、例えばCPU(Central Processing Unit)等から構成され、図示しない記憶手段に記憶されている各種プログラムを実行し、各部を統括的に制御する。
【0026】
このような端末装置30は、初めて利用する利用者の場合には、当該利用者が入力操作デバイス33を介して会員登録するための操作を行うのに応じて、管理サーバ20に対して当該利用者に関する情報を登録させ、必要に応じて、当該利用者に固有のIDカード等を発行する。また、端末装置30は、既に会員として登録されている利用者の場合には、当該利用者が利用開始のための認証操作を行うのに応じて、当該利用者に関する情報を管理サーバ20に対して送信部34を介して送信し、正当な利用者であるものと判定された場合には、利用可能である旨をディスプレイ31等を介して報知する。このとき、端末装置30は、必要に応じて、制御部36の制御のもとに、特に図示しない防音室10の出入り口を形成する扉を施錠し、料金を徴収しない限り利用者を退室させないようにしてもよい。さらに、端末装置30は、入力操作デバイス33を介して、利用者が発声した不満や愚痴等の発声内容の原因となった出来事等を入力するのに応じて、その情報を管理サーバ20に対して送信部34を介して送信して蓄積させる。そして、端末装置30は、入力操作デバイス33を介した利用者の要求操作に応じて、管理サーバ20に蓄積された当該利用者の過去の履歴情報を、受信部35を介して受信し、当該利用者に閲覧可能な形態でディスプレイ31に表示する。このとき、端末装置30は、過去の履歴情報とともに、当該利用者の属性に応じた広告を内容とする広告情報をディスプレイ31に表示するのが望ましい。また、端末装置30は、広告情報をディスプレイ31に表示する場合には、入力操作デバイス33を介した利用者の操作に応じて、当該広告情報を当該利用者が指定したパーソナルコンピュータ、携帯電話機や携帯情報端末機等の情報処理装置に対して送信する。
【0027】
一方、管理サーバ20は、図4に示すように、端末装置30から送信された各種情報を受信する受信手段としての受信部21と、端末装置30に対して各種情報を送信する送信手段としての送信部22と、端末装置30から受信した各種情報を蓄積する蓄積手段としての情報蓄積部23と、これら各部を統括的に制御する制御手段としての制御部24とを有する。
【0028】
受信部21及び送信部22は、端末装置30における送信部34及び受信部35に対応して設けられるインターフェースであり、制御部24の制御のもとに、端末装置30との間で通信を行う。
【0029】
情報蓄積部23は、例えば、ハードディスクや、これらハードディスクを複数台用いていわゆるRAID(Redundant Arrays of Independent (Inexpensive) Disks)構成とした装置といった所定の記憶装置から構成される。情報蓄積部23は、制御部24の制御のもとに、防音室10の利用登録を行った会員としての利用者に関する情報や、端末装置30から送信された利用者の過去の履歴情報、さらには、広告情報といった、各種情報をデータベースとして蓄積する。具体的には、情報蓄積部23は、防音室10の利用登録を行った会員としての利用者に関する情報として、例えば図5に示すように、利用者に固有のID、当該利用者の氏名、当該利用者の住所(居住地域)、当該利用者の電話番号、当該利用者の年齢、当該利用者の性別、氏名の代わりに利用するニックネーム、当該利用者の電子メールアドレス、及び認証に用いるパスワード等の情報を、利用者毎に蓄積する。また、情報蓄積部23は、端末装置30から送信された利用者の過去の履歴情報として、例えば図6に示すように、当該情報を受信した日時、端末装置30における入力操作デバイス33を介して入力された不満や愚痴等の発声内容の原因となった出来事等の入力内容、及びそのときの発声内容等の情報を、利用者毎に蓄積する。さらに、情報蓄積部23は、例えば図7に示すように、広告情報に固有のID及び当該広告情報のデータの他、当該広告情報を端末装置30におけるディスプレイ31に表示させる条件としての利用者の属性情報を、広告情報毎に蓄積する。なお、この属性情報としては、例えば、利用者の性別や年齢、居住地域等が挙げられる。このような情報蓄積部23に蓄積された各種情報は、制御部24によって読み出される。
【0030】
制御部24は、例えばCPU等から構成され、図示しない記憶手段に記憶されている各種プログラムを実行し、各部を統括的に制御する。また、制御部24は、端末装置30における入力操作デバイス33を介した利用者の要求操作に応じて、当該利用者の過去の履歴情報を情報蓄積部23から読み出し、送信部22を介して端末装置30に対して送信させる。このとき、制御部24は、図5に示した情報に基づいて利用者の属性情報を判別し、その属性情報に応じた広告情報を情報蓄積部23から読み出し、送信部22を介して端末装置30に対して送信させる。
【0031】
このような管理サーバ20は、初めて利用する利用者の場合には、受信部21を介して端末装置30から送信された当該利用者に関する情報を受信すると、制御部24の制御のもとに、この情報を情報蓄積部23に蓄積することにより、当該利用者を会員として登録する。また、管理サーバ20は、既に会員として登録されている利用者の場合には、受信部21を介して端末装置30から送信された認証情報を受信すると、制御部24の制御のもとに認証処理を行い、その認証結果を端末装置30に対して送信部22を介して送信する。さらに、管理サーバ20は、受信部21を介して端末装置30から送信された不満や愚痴等の発声内容の原因となった出来事等の情報を受信すると、制御部24の制御のもとに、この情報を履歴として情報蓄積部23に蓄積する。そして、管理サーバ20は、端末装置30を介した利用者の要求操作に応じて、制御部24の制御のもとに、情報蓄積部23に蓄積された当該利用者の過去の履歴情報を当該情報蓄積部23から読み出し、端末装置30に対して送信部22を介して送信する。このとき、管理サーバ20は、当該利用者の属性に応じた広告情報を情報蓄積部23から読み出し、読み出した広告情報を過去の履歴情報とともに端末装置30に対して送信部22を介して送信する。
【0032】
このような端末装置30及び管理サーバ20を備えるストレス解消環境提供システムにおいては、具体的には図8(a)及び図8(b)に示すような一連の手順にしたがって、防音室10の室内に入室した利用者のストレス解消行動を支援する。
【0033】
まず、端末装置30は、図8(a)に示すように、ステップS1において、初めての利用者である場合には、ステップS2において、その利用者に入力操作デバイス33を介して当該利用者に関する情報を入力させる。このとき、端末装置30は、必要に応じて、情報の入力方法等を示す案内情報をディスプレイ31やスピーカ32を用いて出力する。そして、端末装置30は、利用者による入力操作が終了すると、会員として登録する旨の確認を利用者に行った上で、送信部34を介して、当該利用者に関する情報C1として管理サーバ20に対して送信する。
【0034】
これに応じて、管理サーバ20は、ステップS3において、受信部21を介して受信した利用者に関する情報C1を、制御部24の制御のもとに、情報蓄積部23に蓄積することにより、利用者の登録を行う。これにより、情報蓄積部23には、先に図5に示したような内容からなるデータベースが構築される。管理サーバ20は、かかる登録処理を完了すると、送信部22を介して、登録が完了した旨を示す完了信号C2を端末装置30に対して送信する。
【0035】
端末装置30は、受信部35を介して完了信号C2を受信すると、ステップS4において、利用者に固有のIDカードを発行する。ストレス解消環境提供システムにおいては、このようにして利用者の会員登録を行う。会員登録された利用者は、次回以降の防音室10の利用の際に、このIDカードを用いて認証操作を行うことになる。
【0036】
すなわち、端末装置30は、会員登録された利用者が防音室10を利用する場合には、ステップS5において、当該利用者に入力操作デバイス33を介して所定の認証情報を入力させる。具体的には、利用者は、発行されたIDカードに記録された利用者に固有の識別情報をカードリーダ装置としての入力操作デバイス33に読み取らせた上で、当該入力操作デバイス33を介して所定のパスワードを入力する。これに応じて、端末装置30は、送信部34を介して、入力された識別情報及びパスワードを認証情報C3として管理サーバ20に対して送信する。なお、端末装置30は、防音室10の室内で利用者が発声した発声内容を認識する音声認識手段を有してもよく、この場合、利用者は、パスワードの入力に代えて、図示しないマイクを介して所定の合い言葉を発声して入力すればよい。すなわち、端末装置30は、入力された識別情報と、音声認識手段によって認識した当該利用者が発声した所定の合い言葉を示す音声認識情報とを、認証情報C3として管理サーバ20に対して送信するようにしてもよい。
【0037】
管理サーバ20は、受信部21を介して認証情報C3を受信すると、ステップS6において、制御部24の制御のもとに、当該認証情報C3に基づいて、利用者が登録された正当者であるか否かを認証する。すなわち、管理サーバ20は、制御部24の制御のもとに、情報蓄積部23に蓄積されている先に図5に示したような内容からなるデータベースを参照して利用者に関する情報を読み出し、読み出した情報と受信した情報とを照合することにより、認証処理を行う。そして、管理サーバ20は、送信部22を介して、認証結果を示す情報C4を端末装置30に対して送信する。
【0038】
これに応じて、端末装置30は、ステップS7において、受信部35を介して受信した認証結果を示す情報C4が、会員登録された正当者でない旨を示すものであった場合には、制御部24の制御のもとに、ディスプレイ31やスピーカ32を用いて利用不可能である旨を報知することにより、利用者に防音室10からの退室を促し、一連の処理を終了する。一方、端末装置30は、受信部35を介して受信した認証結果を示す情報C4が、会員登録された正当者である旨を示すものであった場合には、ステップS8において、制御部24の制御のもとに、利用可能である旨や料金の支払いの催促等をディスプレイ31やスピーカ32を用いて報知し、利用可能状態へと移行する。
【0039】
利用者は、このようにして防音室10の利用が認められると、所定の利用時間が経過するまで自由に過ごすことが可能となる。具体的には、利用者は、ストレスの解消を図るために、不満や愚痴等を大声で発声することができる。
【0040】
ここで、ストレス解消環境提供システムにおいては、単に利用者が大声で発声するだけの環境を提供するのではなく、利用者が過去のストレスの原因となった事象を振り返ることを可能とするために、以下のようなサービスを提供する。
【0041】
すなわち、利用者は、図8(b)に示すように、ステップS9において、例えば勤務先で発生した上司とのトラブル等、発声した不満や愚痴等の発声内容の原因となった出来事等を、入力操作デバイス33を介して任意に入力することができる。端末装置30は、このような情報が入力されると、入力情報C5として、送信部34を介して管理サーバ20に対して送信する。このとき、端末装置30は、上述した音声認識手段を有している場合には、利用者が発声した不満や愚痴等を音声認識し、その発声内容を示す音声認識情報を、入力情報C5とともに管理サーバ20に対して送信するようにしてもよい。
【0042】
これに応じて、管理サーバ20は、ステップS10において、制御部24の制御のもとに、端末装置30から送信された入力情報C5等を履歴として情報蓄積部23に蓄積する。すなわち、管理サーバ20は、先に図6に示したような内容からなるデータベースを情報蓄積部23に構築する。また、管理サーバ20は、入力情報C5とともに発声内容を示す音声認識情報を受信した場合には、その音声認識情報を、当該発声内容の原因を含む情報と対応付けて履歴として情報蓄積部23に蓄積する。
【0043】
ストレス解消環境提供システムにおいては、このようにして利用者の防音室10の利用内容が履歴として蓄積される。そして、利用者は、蓄積された自己の履歴を任意に閲覧することが可能とされる。
【0044】
すなわち、利用者は、ステップS11において、入力操作デバイス33を介して、自己の過去の履歴を閲覧するための所定の閲覧要求操作を行う。これに応じて、端末装置30は、送信部34を介して、閲覧要求信号C6を管理サーバ20に対して送信する。
【0045】
そして、管理サーバ20は、ステップS12において、制御部24の制御のもとに、情報蓄積部23に蓄積されている先に図6に示したような内容からなるデータベースを参照して利用者の過去の履歴を読み出す。このとき、管理サーバ20は、ステップS13において、利用者の属性情報を判別するとともに、情報蓄積部23に蓄積されている先に図7に示したような内容からなるデータベースを参照し、その属性情報に応じた広告情報が蓄積されているか否かを判別する。ここで、管理サーバ20は、利用者の属性に応じた広告情報が蓄積されていないものと判別した場合には、送信部22を介して、ステップS12にて読み出した履歴情報C7を端末装置30に対して送信する。一方、管理サーバ20は、利用者の属性に応じた広告情報が蓄積されているものと判別した場合には、ステップS14において、制御部24の制御のもとに、その広告情報を情報蓄積部23から読み出す、そして、管理サーバ20は、送信部22を介して、ステップS12及びステップS14にて読み出した履歴情報及び広告情報C7を端末装置30に対して送信する。
【0046】
これにより、端末装置30は、ステップS15において、受信部35を介して受信した履歴情報及び/又は広告情報を、利用者に閲覧可能な形態でディスプレイ31に表示する。なお、利用者は、ディスプレイ31に表示された広告情報を指定した情報処理装置に対して転送することもできる。すなわち、端末装置30は、ステップS16において、利用者によって広告情報の転送が希望された場合には、ステップS17において、送信部34を介して、その広告情報を指定した情報処理装置に対して送信する。
【0047】
このように、ストレス解消環境提供システムにおいては、単に利用者が大声で発声するだけの環境を提供するのではなく、利用者が過去のストレスの原因となった事象を振り返ることを可能とするためのサービスも提供することができる。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施の形態として示すストレス解消環境提供システムにおいては、利用者が大声で発声する環境を提供することにより、手軽にストレスを解消するのを支援することができる。特に、このストレス解消環境提供システムにおいては、単に利用者が大声で発声するだけの環境を提供するのではなく、利用者が自己の履歴を閲覧することを可能とすることにより、今回の利用と過去の利用とを有機的に結び付け、当該利用者が過去のストレスの原因となった事象を振り返ることが可能となる。したがって、このストレス解消環境提供システムにおいては、利用者がストレスに対する自己の心境の変化等を顧みる機会を作り出すことができ、その情報をその後の生活にフィードバックさせるような利用をさせることができる。
【0049】
また、このストレス解消環境提供システムにおいては、利用者の属性に応じた広告情報を閲覧させることにより、「年代や性別等に応じた特定のマーケット重視で何かを宣伝したい」という要望を有する広告主にとっては、著しい宣伝効果を奏することが期待され、利用者にとっても、かかるアフェリエイト広告による利用料金の低廉化という利益を享受することが可能となる。
【0050】
このように、このストレス解消環境提供システムは、従来にはない斬新なビジネスモデルを提案するものである。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、防音室10の具体的構造については特に示していないが、本発明は、防音室10として新規な構造からなるものを提案することにより、利用者の便宜を図ることができる。
【0052】
すなわち、ストレス解消環境提供システムにおいては、上述したように、室内で発生した音声を室外に漏らさず且つ室外で発生した音声を室内に入れないような所定の防音構造が施された組み立て式又は建造式の構造物であれば、いかなるものであっても適用することができるが、本願出願人は、簡便な構造で高い防音効果を実現するために鋭意研究を重ねた結果、以下のような構造からなる防音室10を考案した。
【0053】
図9に、防音室10の内部構造の平面図を示し、図10に、図9中A−A断面図を示し、図11に、図9中B−B断面図を示す。
【0054】
すなわち、防音室10は、利用者が入室して発声する所定の防音構造が施された内室51と、当該内室51の外面を覆うように所定の間隔をあけて設けられた所定の防音構造が施された外室52とからなる二重構造とされる。
【0055】
内室51及び外室52は、それぞれ、床面、側壁面、及び天井面によって形成され、外室52に存在する空気量と内室51に存在する空気量とを略等しくして後述する換気を効率よく行うために、図9中斜線部で示すそれぞれの室内空間が、互いに略同体積となるように形成される。内室51における一の側壁面には、利用者が当該内室51に出入りする際に開閉される内室扉53が設けられ、この内室扉53が設けられた側壁面に沿った外室52における一の側壁面には、利用者が当該外室52に出入りする際に開閉される外室扉54が設けられている。これら内室扉53及び外室扉54は、ともに開放された際に出入り口が連通するように位置決めされて設けられている。すなわち、防音室10は、内室扉53及び外室扉54による二重扉構造とされる。
【0056】
このような防音室10においては、少なくとも内室51の側壁面及び天井面からなる外面と外室52とによって形成される空間に、所定の音楽が流される。すなわち、防音室10は、利用者が入室する内室51の外面をそのまま室外に露呈させるのではなく、外室52による空間を設け、さらに、この空間に音楽を流すことにより、内室51の室内で利用者が発声している音声が室外に漏れるのを確実に防止することができるとともに、室外で発生した音声が内室51の室内に入るのも確実に防止することができる。また、防音室10は、内室扉53及び外室扉54による二重扉構造とされることから、最も音の出入りが生じやすい扉近傍の影響を低減し、防音性能をより向上させることができる。なお、空間に流す音楽は、利用者が発声している音声が室外に漏れるのを防止することができるのであれば、例えばクラシック音楽等を所定の音量で流せばよい。また、防音室10においては、利用者が発声している音声が室外に漏れるのをより確実に防止するために、図示しないマイクを介して内室51の室内音を集音し、この室内音を打ち消すような周波数からなる音楽を、空間に流すようにしてもよい。
【0057】
また、防音室10は、防音性能の向上のみならず、利用者ができる限り快適に過ごすことができるように、換気や温度及び湿度等の観点からも工夫が施されている。
【0058】
すなわち、防音室10においては、内室51の対向する2つの側壁面に、外室52との空間に面して逆止ダンパ56a,56bが取り付けられた吸気ファン55a,55bが設けられている。これら吸気ファン55a,55b及び逆止ダンパ56a,56bは、それぞれ、図10及び図11に示すように、内室51の側壁面のそれぞれにおける下方に設置される。また、防音室10においては、内室51の天井面に逆止ダンパ57が設けられるとともに、外室52の天井面に排気ファン58が設けられ、この排気ファン58に逆止ダンパ57が取り付けられている。さらに、防音室10においては、外室52の対向する2つの側壁面に、外気を取り入れる外気取り入れ用ダンパ59a,59bが設けられている。これら外気取り入れ用ダンパ59a,59bは、それぞれ、図10に示すように、外室52の側壁面のそれぞれにおける上方に設置され、且つ、図9に示すように、側壁面の幅方向の設置位置が吸気ファン55a,55b及び逆止ダンパ56a,56bの設置位置と略同位置とされる。さらにまた、防音室10においては、外室52の外室扉54が設けられた側壁面と対向する側壁面に、外気取り入れ式の空調装置60が設けられている。この空調装置60は、外気取り入れ用ダンパ59a,59bが設置されている高さと略同じ高さに設置される。
【0059】
このような防音室10においては、内室51及び外室52の室内の空気を入れ替える際には、図11中矢印aで示すように、空調装置60を作動させて外気を外室52の室内に取り込むとともに、図10中矢印b,cで示すように、外気取り入れ用ダンパ59a,59bを作動させて外気を外室52の室内に取り込む。外室52の室内に取り込まれた空気は、図10中矢印d,eで示すように、吸気ファン55a,55bの作動に応じて、当該外室52の下方に吹き下げられ、同中矢印f,gで示すように、逆止ダンパ56a,56bを介して内室51の室内に取り込まれる。そして、内室51の室内に取り込まれた空気は、同図中矢印hで示すように、排気ファン58の作動に応じて、当該内室51の上方に吹き上げられ、逆止ダンパ57を介して室外に排出される。
【0060】
このように、防音室10においては、吸気ファン55a,55b及び排気ファン58を作動させることにより、内室51及び外室52の室内の空気を迅速に入れ替えることができる。このとき、防音室10においては、内室51の室内の空気を全て入れ替えることができるため、高い消臭効果を発揮することができる。また、防音室10においては、空調装置60を介して外気を取り込み、外室52の室内の空気を空調されたものとすることができるため、内室51の室内温度や室内湿度の変化を少なくすることができる。さらに、防音室10においては、内室51と外室52との境界に複数の逆止ダンパ56a,56b,57を設けることにより、空気の流れを一定方向に制御することができ、効率よく換気を行うことができる。
【0061】
本発明は、このような内室51と外室52とからなる二重構造の防音室10を採用することにより、特殊な構造を一切用いない簡便な構造でありながら、高い防音性能を実現することができるのは勿論のこと、換気や温度及び湿度等の制御も適切に行うことができ、利用者に対して快適なストレス解消の場を提供することができる。
【0062】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態として示すストレス解消環境提供システムの構成を説明する図である。
【図2】同ストレス解消環境提供システムにおける防音室の内部構造の平面図である。
【図3】同ストレス解消環境提供システムにおける端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】同ストレス解消環境提供システムにおける管理サーバの構成を説明するブロック図である。
【図5】同ストレス解消環境提供システムにおける管理サーバに構築されるデータベースの内容を説明する図であり、防音室の利用登録を行った会員としての利用者に関する情報の内容を示す図である。
【図6】同ストレス解消環境提供システムにおける管理サーバに構築されるデータベースの内容を説明する図であり、利用者の過去の履歴情報の内容を示す図である。
【図7】同ストレス解消環境提供システムにおける管理サーバに構築されるデータベースの内容を説明する図であり、広告情報の内容を示す図である。
【図8(a)】同ストレス解消環境提供システムにおいて、防音室内に入室した利用者がストレスを解消する際の一連の手順を説明するフローチャートであり、利用開始から利用可能となるまでの手順を説明する図である。
【図8(b)】同ストレス解消環境提供システムにおいて、防音室内に入室した利用者がストレスを解消する際の一連の手順を説明するフローチャートであり、利用者が過去のストレスの原因となった事象を振り返ることを可能とするためのサービスの手順を説明する図である。
【図9】同ストレス解消環境提供システムに用いて好適な二重構造からなる防音室の具体的構造を説明する図であり、当該防音室の内部構造の平面図である。
【図10】図9中A−A断面図である。
【図11】図9中B−B断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 防音室
20 管理サーバ
21 受信部
22 送信部
23 情報蓄積部
24 制御部
30 端末装置
31 ディスプレイ
32 スピーカ
33 入力操作デバイス
34 送信部
35 受信部
36 制御部
51 内室
52 外室
53 内室扉
54 外室扉
55a,55b 吸気ファン
56a,56b,57 逆止ダンパ
58 排気ファン
59a,59b 外気取り入れ用ダンパ
60 空調装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の防音構造が施された防音室であって、
床面、側壁面、及び天井面によって形成された内室と、
床面、側壁面、及び天井面によって形成され、上記内室の外面を覆うように所定の間隔をあけて設けられた外室とを備え、
上記内室の外面と上記外室とによって形成される空間に、所定の音楽が流されていること
を特徴とする防音室。
【請求項2】
上記内室の室内空間と上記外室の室内空間は、略同体積であること
を特徴とする請求項1記載の防音室。
【請求項3】
上記内室における一の側壁面に設けられ、利用者が当該内室に出入りする際に開閉される内室扉と、
上記内室扉が設けられた側壁面に沿った上記外室における一の側壁面に設けられ、上記利用者が当該外室に出入りする際に開閉される外室扉とを備え、
上記内室扉及び上記外室扉は、ともに開放された際に出入り口が連通するように位置決めされて設けられていること
を特徴とする請求項1記載の防音室。
【請求項4】
上記音楽は、集音された上記内室の室内音を打ち消すような周波数からなる音楽であること
を特徴とする請求項1記載の防音室。
【請求項5】
上記内室の対向する2つの側壁面のそれぞれにおける下方に設置され、上記外室との空間に面して第1の逆止ダンパが取り付けられた吸気ファンと、
上記内室の天井面に設けられた第2の逆止ダンパと、
上記外室の天井面に設けられ、上記第2の逆止ダンパが取り付けられた排気ファンと、
上記外室の対向する2つの側壁面のそれぞれにおける上方に設置され、且つ、側壁面の幅方向について上記吸気ファン及び上記第1の逆止ダンパの設置位置と略同位置に設置された外気取り入れ用ダンパと、
上記外室の上記外室扉が設けられた側壁面と対向する側壁面に、上記外気取り入れ用ダンパが設置されている高さと略同じ高さに設置された外気取り入れ式の空調装置とを備えること
を特徴とする請求項1記載の防音室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−23673(P2007−23673A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209667(P2005−209667)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(505148483)
【Fターム(参考)】