説明

除去効率測定方法

【課題】対象ガスを直接利用してガス除去エアフィルタの信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる除去効率測定方法を提供する。
【解決手段】除去効率測定方法は、対象ガスと同一の試験用ガス21と、ガス除去エアフィルタ11に除去されずに通過するトレーサーガス23と、空気に含まれる試験用ガス21及びトレーサーガス23の濃度を測定する光音響ガスモニタ15,16とを利用し、所定量の試験用ガス21とトレーサーガス23とをエアフィルタ11の入口側から同時供給するガス供給プロセスと、エアフィルタ11の入口に流入する空気中の試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度をガスモニタ15,16で測定するガス濃度第1測定プロセスと、エアフィルタ11を通りその出口から流出した空気に含まれる試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度を、ガスモニタ15,16を利用して測定するガス濃度第2測定プロセスとを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に含まれる各種複数のガス成分のうちの所定の対象ガスを除去するガス除去装置の除去効率を測定する除去効率測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設から放出される排気ガスに含まれる放射性ヨウ素をヨウ素吸着材によって除去するヨウ素フィルタの漏れを試験するリーク試験方法がある(特許文献1参照)。このリーク試験方法は、空気の組成を変化させる所定のガス成分を含ませた試験空気をヨウ素フィルタに流入させ、その試験空気がヨウ素フィルタの入口から出口に達したときの時間を検出することでヨウ素フィルタにおけるヨウ素の漏れの可能性を試験する。
【0003】
このリーク試験方法では、正常にヨウ素吸着材が設置されたヨウ素フィルタのガス成分の通過時間がガス成分の種類や濃度(流量)、ヨウ素吸着材の量(層厚)に依存することに着目し、空気の組成を変化させるガス成分を含ませた試験空気の正常なヨウ素フィルタにおける比較通過時間をあらかじめ事前の試験によって求めておく。ヨウ素フィルタにおける大気中のガス成分のリークがあると、そのガス成分がヨウ素吸着剤と吸着・脱着反応を起こさずにヨウ素フィルタ中を通過し、リークがない場合と比較して試験空気が早くヨウ素フィルタから出てしまう。ゆえに、リークがある場合のヨウ素フィルタにおける試験空気の通過時間はリークがない場合のヨウ素フィルタにおける試験空気の通過時間よりも早い。したがって、正常なヨウ素フィルタにおいてあらかじめ求めた試験空気の比較通過時間と試験対象のヨウ素フィルタにおける試験空気の通過時間とを比較することで、そのヨウ素フィルタにおけるリークの有無を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−148418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のリーク試験方法は、ヨウ素とは異なるガス成分を含む試験空気をヨウ素フィルタにおけるヨウ素のリーク有無の試験に利用し、その試験空気がヨウ素フィルタの入口から出口に達したときの時間を検出することでヨウ素フィルタにおけるヨウ素のリークの有無を推定する。ゆえに、ヨウ素そのものを利用してヨウ素フィルタにおけるヨウ素のリークを試験するものではないから、そのヨウ素フィルタにおいてヨウ素そのもののリークがあるかの確証を得ることが難しく、試験結果に高い信頼性や信憑性を求めることはできない。また、このリーク試験方法は、ヨウ素フィルタの入口側に空気導入装置を設置し、ヨウ素フィルタの出口側にガス測定装置を設置するとともに、それら装置とヨウ素フィルタとの間を密閉する密閉機構を取り付け、試験空気の漏れを防止しつつ、試験空気の流速や流量を一定に保持する必要があり、試験に手間と時間とを要するのみならず、試験空気の流速や流量を一定に保持することができない環境下で使用されている使用中のヨウ素フィルタでは試験を行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、対象ガスを直接利用してガス除去装置におけるその対象ガスの除去効率を測定することができ、信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる除去効率測定方法を提供することにある。本発明の他の目的は、使用中にあるガス除去装置の除去効率を測定することができる除去効率測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、空気中に含まれる各種複数のガス成分のうちの所定の対象ガスを除去するガス除去装置の除去効率を測定する除去効率測定方法である。
【0008】
前記前提における本発明の特徴としては、除去効率測定方法が、対象ガスと同一の試験用ガスと、ガス除去装置に除去されずにそれを通過するトレーサーガスと、空気中に含まれる試験用ガスおよびトレーサーガスの濃度を測定するガス濃度測定装置とを利用し、所定量の試験用ガスとトレーサーガスとをガス除去装置の入口側からガス除去装置に同時に供給するガス供給プロセスと、ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる試験用ガスとトレーサーガスとの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第1測定プロセスと、ガス除去装置を通ってその出口から流出した空気に含まれる試験用ガスとトレーサーガスとの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第2測定プロセスとを実行することにある。
【0009】
本発明の一例として除去効率測定方法は、試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、ガス除去装置から飛散してその出口から流出した空気に含まれる試験用ガスの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第3測定プロセスを含む。
【0010】
本発明の他の一例として除去効率測定方法は、試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる試験用ガスとトレーサーガスとの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第4測定プロセスを含む。
【0011】
本発明の他の一例として除去効率測定方法は、ガス除去装置の対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させてガス除去装置の入口側から供給する試験用ガスの空気に対する濃度の倍率を決定する濃度倍率決定プロセスを含む。
【0012】
本発明の他の一例として、ガス供給プロセスでは、ガス除去装置の入口側から供給する試験用ガスの濃度がガス濃度測定装置の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高く、試験用ガスとトレーサーガスとの供給時間が同一である。
【0013】
本発明の他の一例として、ガス供給プロセスにおける試験用ガスとトレーサーガスとのガス除去装置の入口側への供給時では、ガス除去装置の周囲の空気の風量または風速が不均一である。
【0014】
本発明の他の一例として、除去効率測定方法では、対象ガスを除去する使用中の状態にあるガス除去装置の除去効率を測定する。
【0015】
本発明の他の一例としては、ガス濃度測定装置が複数種類のガスの濃度を連続して同時に測定することが可能な光音響ガスモニタである。
【0016】
本発明の他の一例としては、ガス除去装置が空気中の前記対象ガスを吸着するガス除去エアフィルタである。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる除去効率測定方法によれば、所定量の試験用ガスとトレーサーガスとをガス除去装置の入口側から同時に供給し、ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる試験用ガスおよびトレーサーガスの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定するとともに、ガス除去装置を通ってその出口から流出した空気に含まれる試験用ガスおよびトレーサーガスの濃度を、ガス濃度測定装置を利用して測定するから、その測定中にトレーサーガスがガス除去装置の出入口側においてガス濃度測定装置に検出された場合、試験用ガスがガス除去装置に確実に流入したことが実証され、逆に、その測定中にトレーサーガスがガス除去装置の出入口側においてガス濃度測定装置に検出されない場合、試験用ガスもガス除去装置に流入していないことが実証される。ゆえに、ガス除去装置の出入口側においてトレーサーガスが検出されることでその測定中における試験用ガスのガス除去装置への流入を認定することができ、試験用ガスを使用してガス除去装置が設置された環境下の空気に含まれる対象ガスに対するガス除去装置の除去効率を確実に測定することができる。除去効率測定方法は、対象ガスと同一の試験用ガスを利用してガス除去装置における除去効率を測定するから、対象ガスに対するガス除去装置の除去効率を測定したものとみなすことができ、対象ガスに対するガス除去装置の除去効率を高い精度で測定することができるとともに、対象ガスに対するガス除去装置の信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。除去効率測定方法は、ガス除去装置の出口側においてトレーサーガスとともに所定濃度の試験用ガスがガス濃度測定装置に検出された場合、そのガス除去装置にリーク等の構造的な欠陥があることやガス除去装置の性能が低下したことを知ることができる。また、それによってそのガス除去装置の使用限界を知ることができるから、ガス除去装置を交換する時期を判断することができる。この除去効率測定方法は、それを実施することでガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0018】
試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、ガス除去装置から飛散してその出口から流出した空気に含まれる試験用ガスの濃度を、ガス濃度測定装置を利用して測定する除去効率測定方法は、試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、所定濃度の試験用ガスがガス濃度測定装置に検出された場合、そのガス除去装置にリーク等の構造的な欠陥以外の化学的な欠陥等の他の欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去装置の使用限界を知ることができるから、ガス除去装置を交換する時期を判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0019】
試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる試験用ガスとトレーサーガスとの濃度をガス濃度測定装置を利用して測定する除去効率測定方法は、試験用ガスとトレーサーガスとの供給を停止した後、ガス除去装置の入口側において所定濃度の試験用ガスやトレーサーガスが濃度測定装置に検出されない場合、それらガスの供給が確実に停止したことが実証される。この場合、ガス除去装置の出口側において所定濃度の試験用ガスがガス濃度測定装置に検出された場合、そのガス除去装置に物理的な欠陥以外の化学的な欠陥等の他の欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去装置の使用限界を知ることができるから、ガス除去装置を交換する時期を判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0020】
ガス除去装置の対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させて該ガス除去装置の入口側から供給する試験用ガスの空気に対する濃度の倍率を決定する除去効率測定方法は、ガス除去装置の使用環境を考慮しつつ、ガス除去装置の交換の指標となる限界効率に応じて試験用ガスの空気に対する濃度の倍率を自由に決定することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置の限界効率に応じた倍率の濃度の試験用ガスがガス濃度測定装置に検出された場合、そのガス除去装置の使用限界を知ることができ、ガス除去装置を交換する時期を判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置の限界効率を考慮しつつガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0021】
ガス除去装置の入口側から供給する試験用ガスの濃度がガス濃度測定装置の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高く、試験用ガスとトレーサーガスとの供給時間が同一である除去効率測定方法は、必要以上に高い濃度の試験用ガスを供給すると、試験用ガスによってガス除去装置の性能を低下させることになるが、トレーサーガスを利用して試験用ガスのガス除去装置への流入を実証することができるから、ガス濃度測定装置の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い濃度の試験用ガスを除去効率の測定に使用することができるとともに、試験用ガスの供給時間を短くすることができ、ガス除去装置の性能を低下させることなく、そのガス除去装置の除去効率を確実に測定することができる。除去効率測定方法は、ガス濃度測定装置の検出限界濃度にあわせて試験用ガスの濃度を自由に設定することができる。この除去効率測定方法は、試験用ガスとトレーサーガスとの供給時間が同一であるから、その測定中にトレーサーガスがガス濃度測定装置に検出された場合、試験用ガスがガス除去装置に流入したことが確実に実証され、逆に、その測定中にトレーサーガスがガス濃度測定装置に検出されない場合、試験用ガスもガス除去装置に流入していないことが確実に実証される。ゆえに、ガス除去装置の出口側においてトレーサーガスが検出されることでその測定中における試験用ガスのガス除去装置への流入を確証することができ、試験用ガスを使用してガス除去装置が設置された環境下の空気に含まれる対象ガスに対するガス除去装置の除去効率を確実に測定することができる。
【0022】
試験用ガスとトレーサーガスとのガス除去装置の入口側への供給時ではガス除去装置の周囲の空気の風量または風速が不均一である除去効率測定方法は、ガス除去装置の実際の使用環境では空気の風量または風速が不均一であり、そのような環境下でガス除去装置の除去効率を測定することで、ガス除去装置の実際の使用環境に応じた除去効率を測定することができ、ガス除去装置の現実的な使用限界を知ることができるとともに、ガス除去装置を交換する時期を具体的に判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置の実際の使用環境を考慮しつつガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0023】
対象ガスを除去する使用中の状態にあるガス除去装置の除去効率を測定する除去効率測定方法は、実際に設置された使用中のガス除去装置の除去効率を測定することで、その使用中のガス除去装置の欠陥の有無を知ることができ、それによってそのガス除去装置の使用限界を知ることができるとともに、ガス除去装置を交換する時期を具体的に判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去装置の実際の使用環境においてガス除去装置を適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、ガス除去装置を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0024】
ガス濃度測定装置が複数種類のガスの濃度を連続して同時に測定することが可能な光音響ガスモニタである除去効率測定方法は、複数種類のガスの濃度を連続かつ同時に測定する光音響ガスモニタを使用することで、試験用ガスとトレーサーガスとを所定時間連続してガス除去装置に流入させたとしても、それらガスの濃度が光音響ガスモニタによって測定されるから、ガス除去装置の除去効率を高い精度で測定することができ、対象ガスに対するガス除去装置の信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。
【0025】
ガス除去装置が空気中の対象ガスを除去するガス除去エアフィルタである除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタの出口側においてトレーサーガスが検出されることで、その測定中における試験用ガスのガス除去エアフィルタへの流入を確証することができ、試験用ガスを使用してガス除去エアフィルタが設置された環境下の空気に含まれる対象ガスに対するガス除去エアフィルタの除去効率を確実に測定することができる。除去効率測定方法は、対象ガスと同一の試験用ガスを利用してガス除去エアフィルタにおける除去効率を測定するから、対象ガスに対するエアフィルタの除去効率を測定したものとみなすことができ、対象ガスに対するエアフィルタの除去効率を高い精度で測定することができるとともに、対象ガスに対するエアフィルタの信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタの出口側においてトレーサーガスとともに所定濃度の試験用ガスがガス濃度測定装置に検出された場合、そのエアフィルタに欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去エアフィルタの使用限界を知ることができるから、エアフィルタを交換する時期を判断することができる。この除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタを適時に交換することができ、空気に対象ガスが含まれたとしても、エアフィルタを利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一例として示す除去効率測定システムの構成図。
【図2】一例として示すガス除去エアフィルタの斜視図。
【図3】ディスプレイに表示された初期画面の一例を示す図。
【図4】濃度倍率設定画面の一例を示す図。
【図5】条件設定画面の一例を示す図。
【図6】システムによって実行される除去効率測定方法のフローチャート。
【図7】図6から続くフローチャート。
【図8】濃度測定データ表示画面の一例を示す図。
【図9】ガス供給停止後サンプリングにおける条件設定画面の一例を示す図。
【図10】他の一例として示す図6から続くフローチャート。
【図11】図10から続くフローチャート。
【図12】濃度測定データ表示画面の他の一例を示す図。
【図13】他の一例として示す除去効率測定システムの構成図。
【図14】光音響ガスモニタによるガス測定を説明する図。
【図15】システムによって実行される除去効率測定方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一例として示す除去効率測定システムの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる除去効率測定方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示すガス除去エアフィルタ11の斜視図である。除去効率測定システム10Aは、所定の除去対象ガスが発生するおそれがある環境下に設置されたガス除去エアフィルタ11の対象ガスの除去効率を測定する除去効率測定方法を実行する。
【0028】
除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)と、ガス供給ユニット12と、第1サンプリングユニット13と、第2空気サンプリングユニット14と、光音響ガスモニタ15,16(ガス濃度測定装置)と、コントローラ17とから形成されている。本実施の形態ではガス除去装置としてガス除去エアフィルタ11を例示しているが、ガス除去装置をガス除去エアフィルタ11に限定するものではなく、他のすべてのガス除去装置を用いて本発明にかかる除去効率測定方法を実行することができる。また、ガス濃度測定装置として光音響ガスモニタ15,16を例示しているが、ガス濃度測定装置を光音響ガスモニタ15,16に限定するものではなく、他のすべてのガス濃度測定装置を用いて本発明にかかる除去効率測定方法を実行することができる。
【0029】
ガス除去エアフィルタ11は、主に原子力施設や半導体製造施設、液晶製造施設において使用される。ガス除去エアフィルタ11にはセパレータ型エアフィルタやミニプリーツ型エアフィルタ等があり、その除去対象ガスには酸性ガスや有機ガス、塩基性ガス等があり、二酸化炭素や酸素も含まれる。ガス除去エアフィルタ11は、ガラス繊維や炭素繊維、合成樹脂繊維、除去剤(化学薬品)を濾材とし、図2に示すように、フィルタ収納カートリッジ18(収納枠)に収納して使用される。ガス除去エアフィルタ11は、蛇腹に折り畳まれた四角柱状の立体構造を有する。なお、ガス除去エアフィルタ11には、立体構造を有するそれの他に、略扁平のそれも含まれ、さらに、円柱状や多角柱状のものも含まれる。
【0030】
ガス除去エアフィルタ11は、図1に示すように、ダクト19に着脱可能かつ気密に設置され、ダクト19を通る空気に含まれる除去対象ガスを除去し、清浄空気を施設内または施設外に放出する。ダクト19には、図示はしていないが、その上流側と下流側との少なくとも一方に給気ファンや排気ファンが取り付けられている。それらファンは、施設内の空気をダクト19内に強制的に流入させる。ガス除去エアフィルタ11は実際に使用中のそれであり、このシステム10A(除去効率測定方法)では除去対象ガスを除去する使用中の状態にある中古品のガス除去エアフィルタ11の除去効率が測定される。なお、このシステム10A(除去効率測定方法)では、使用中のガス除去エアフィルタ11に限らず、使用する以前の新品のガス除去エアフィルタ11の除去効率の測定に使用される場合もある。
【0031】
他のガス除去装置として、たとえば脱臭・有毒ガスを除去する活性炭フィルタを例示することができる。活性炭フィルタは、空調用フィルタや空気清浄用フィルタ、排気処理用フィルタ、車両用エアフィルタとして使用される。活性炭フィルタの除去対象ガスには、アンモニアやアセトアルデヒド、トルエン、スチレン、キシレン、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、プロピオン酸、ノルマル酸等がある。
【0032】
ガス供給ユニット12は、ダクト19の空気取り入れ口20(ガス除去エアフィルタ11の上流)からダクト19内に所定量のガスを所定時間供給する。ガス供給ユニット12は、ガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスと同一の試験用ガス21をダクト19に供給する試験ガス供給機構22と、ガス除去エアフィルタ11に除去されずにそれを通過するトレーサーガス23をダクト19に供給するトレーサーガス供給機構24とから形成されている。試験ガス供給機構22やトレーサーガス供給機構24は、ダクト19の空気取り入れ口20に着脱可能に設置される。
【0033】
試験ガス供給機構22は、圧縮された試験用ガス21を貯蔵した試験ガス用ボンベ25と、定風量装置26と、切替バルブ27と、吹出口28とから形成されている。ボンベ25や定風量装置26、切替バルブ27、吹出口28は通気管路29を介して接続されている。試験ガス供給機構22では、ガス除去エアフィルタ11に向かってボンベ25、定風量装置26、切替バルブ27、吹出口28の順に並んでいる。
【0034】
切替バルブ27は、その弁機構を開閉することで、試験用ガス21の通気管路29における流通をON/OFFするとともに、ダクト19への試験用ガス21の供給量を調節する。定流量装置26は、通気管路29を通る試験用ガス21を一定量に保持し、試験ガス用ボンベ25内の試験用ガス21の一定量を切替バルブ27に向かって流入させる。
【0035】
トレーサーガス供給機構24は、圧縮されたトレーサーガス23を貯蔵したトレーサーガス用ボンベ30と、定風量装置31と、切替バルブ32と、吹出口33とから形成されている。ボンベ30や定風量装置31、切替バルブ32、吹出口33は通気管路34を介して接続されている。トレーサーガス供給機構24では、ガス除去エアフィルタ11に向かってボンベ30、定風量装置31、切替バルブ32、吹出口33の順に並んでいる。
【0036】
切替バルブ32は、その弁機構を開閉することで、トレーサーガス23の通気管路34における流通をON/OFFするとともに、ダクト19へのトレーサーガス23の供給量を調節する。定流量装置31は、通気管路34を通るトレーサーガス23を一定量に保持し、トレーサーガス用ボンベ30内のトレーサーガス23の一定量を切替バルブ32に向かって流入させる。
【0037】
第1空気サンプリングユニット13は、ガス除去エアフィルタ11の上流側におけるダクト19(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19)に着脱可能に設置される。第1空気サンプリングユニット13は、ダクト19を通る空気を採集する採集口35と、採集した空気をダクト19に戻す放出口36と、吸引ポンプ37と、流量計付き調節バルブ38および切替バルブ39,40とから形成されている。採集口35や放出口36は、ダクト19内に設置されている。採集口35や放出口36、吸引ポンプ37、流量計付き調節弁38、切替バルブ39,40は通気管路41を介して接続されている。第1空気サンプリングユニット13では、ダクト19の空気取り入れ口20の側から採集口35、吸引ポンプ37、流量計付き調節弁38、切替バルブ39,40、放出口36の順に並んでいる。
【0038】
第2空気サンプリングユニット14は、ガス除去エアフィルタ11の下流側におけるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19)に着脱可能に設置される。第2空気サンプリングユニット14は、ダクト19を通る空気を収集する採集口43と、採集した空気をダクト19に戻す放出口44と、吸引ポンプ45と、流量計付き調節バルブ46および切替バルブ47,48とから形成されている。採集口43や放出口44は、ダクト19内に設置されている。採集口43や放出口44、吸引ポンプ45、流量計付き調節弁46、切替バルブ47,48は通気管路49を介して接続されている。第2空気サンプリングユニット14では、ガス除去エアフィルタ11の出口側から採集口43、吸引ポンプ45、流量計付き調節弁46、切替バルブ47,48、放出口44の順に並んでいる。
【0039】
吸引ポンプ37,45は、その出力が一定に保持され、ダクト19を流れる空気を採集口35,43から通気管路41,49に強制的に流入させる。流量計付き調節弁38,46は、通気管路41,49を通るサンプル空気を一定量に保持し、吸引ポンプ37,45が吸引したサンプル空気の一定量を各切替バルブ39,40,47,48に向かって流入させる。切替バルブ39,40,47,48は、その弁機構を開閉することで、サンプル空気の通気管路41,49における流通をON/OFFする。切替バルブ39,47は、光音響ガスモニタ15,16に流入させるサンプル空気のサンプリング量を調節する。
【0040】
それら光音響ガスモニタ15,16は、通気管路41,49に流れるサンプル空気に含まれる各種複数のガス(ガス成分)の濃度を複数同時に測定するとともに、それらガスの濃度を連続的に測定し、測定したガス濃度をコントローラ17に出力する。光音響ガスモニタ15,16は、その接続端子が通気管路41,49に接続されている。コントローラ17は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリと大容量ハードディスクとを有するコンピュータである。コントローラ17には、キーボード50やマウス51、ディスプレイ52、プリンタ(図示せず)等の入出力装置(図示せず)がインターフェイスを介して接続されている。コントローラ17には、試験ガス供給機構22の切替バルブ27とトレーサーガス供給機構24の切替バルブ32とがインターフェイス53を介して接続されている。コントローラ17には、第1および第2空気サンプリングユニット13,14の各切替バルブ39,40,47,48がインターフェイス53を介して接続され、それら光音響ガスモニタ15,16がインターフェイス53を介して接続されている。
【0041】
コントローラ17のメモリには、後記する各種手段をコントローラ17やそれら光音響ガスモニタ15,16に実行させるためのアプリケーションが格納されている。コントローラ17のハードディスクには、切替バルブ27の弁機構の開閉時間、切替バルブ27の弁機構の開度と切替バルブ27を通過する試験用ガス21の量との相関関係、試験用ガス21の供給量とが格納されている。コントローラ17は、切替バルブ27の弁機構を開け、弁機構の開度を調節し、定流量装置22から切替バルブ27に達した試験用ガス21の一定量(供給量)を吹出口28から所定時間ダクト19内に供給する。コントローラ17は、所定時間経過後に切替バルブ27の弁機構を閉じ、試験用ガス21のダクト19内への供給を停止する。
【0042】
コントローラ17のハードディスクには、切替バルブ32の弁機構の開閉時間、切替バルブ32の弁機構の開度と切替バルブ32を通過するトレーサーガス23の量との相関関係、トレーサーガス23の供給量とが格納されている。コントローラ17は、切替バルブ32の弁機構を開け、弁機構の開度を調節し、定流量装置31から切替バルブ32に達したトレーサーガ23スの一定量(供給量)を吹出口33から所定時間ダクト19内に供給する。コントローラ17は、所定時間経過後に切替バルブ32の弁機構を閉じ、トレーサーガス23のダクト19内への供給を停止する。なお、コントローラ17は、試験用ガス21とトレーサーガス23とを同一時間同期してダクト19内に供給する。
【0043】
コントローラ17のハードディスクには、サンプリング時間、切替バルブ39,47の弁機構の開度と切替バルブ39,47を通過するサンプル空気のサンプリング量との相関関係、サンプル空気のサンプリング量とが格納される。コントローラ17は、切替バルブ40,48の弁機構を閉じるとともに、切替バルブ39,47の弁機構の開度を調節し、流量計付き調節弁38,46から切替バルブ39,47に達したサンプル空気の一定量をそれら光音響ガスモニタ15,16に流入させる。コントローラ17は、一定量のサンプル空気が所定時間光音響ガスモニタ15,16に流入すると、切替バルブ39,47の弁機構を閉じるとともに、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気のそれら光音響ガスモニタ15,16への流入を停止しつつ、採集したサンプル空気を放出口44からダクト19内に放出する。
【0044】
コントローラ17の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリからアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。コントローラ17の中央処理部は、ガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させてガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス21のダクト19内の空気に対する濃度の倍率を決定する濃度倍率決定手段(濃度倍率決定プロセス)を実行し、決定した濃度倍率をハードディスクに格納する濃度倍率格納手段(濃度倍率格納プロセス)を実行する。なお、コントローラ17の中央処理部は、濃度倍率決定手段(濃度倍率決定プロセス)を実行することなく、あらかじめ入力された濃度倍率をハードディスクに格納する濃度倍率格納手段(濃度倍率格納プロセス)を実行し、入力された濃度の試験用ガス21をガス除去エアフィルタ11に供給する場合もある。
【0045】
コントローラ17の中央処理部は、選択された除去対象ガスをハードディスクに格納する除去対象ガス格納手段(除去対象ガス格納プロセス)を実行し、選択されたトレーサーガス23をハードディスクに格納するトレーサーガス格納手段(トレーサーガス格納プロセス)を実行するとともに、それらガスの供給時間をハードディスクに格納する供給時間格納手段(供給時間格納プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、トレーサーガス濃度倍率をハードディスクに格納するトレーサーガス濃度倍率格納手段(トレーサーガス濃度倍率格納プロセス)を実行し、サンプリング時間をハードディスクに格納するサンプリング時間格納手段(サンプリング時間格納プロセス)を実行するとともに、サンプリング量をハードディスクに格納するサンプリング量格納手段(サンプリング量格納プロセス)を実行する。
【0046】
コントローラ17の中央処理部は、ダクト19の空気取り入れ口20(ガス除去エアフィルタ11の入口側)からガス除去エアフィルタ11に向かって所定量の試験用ガス21とトレーサーガス23とを同時に供給するガス供給手段(ガス供給プロセス)を実行する。ガス供給手段(ガス供給プロセス)では、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス21の濃度が光音響ガスモニタ15の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い場合、または、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス21の濃度が光音響ガスモニタ15の検出限界濃度よりも高い場合がある。
【0047】
ガス供給手段では、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給時間が同一である。ガス供給手段における試験用ガス21とトレーサーガス23とのガス除去エアフィルタ11への供給時では、ダクト19の空気取り入れ口20から取り入れられた空気の風量や風速が一定ではなく、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量または風速が不均一である。
【0048】
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段(ガス供給プロセス)の実行前に、ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間のダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11の入口側を流れる空気)の一部を第1空気サンプリングユニット13にサンプリングさせるバックグラウンド第1サンプリング手段(バックグラウンド第1サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、バックグラウンド第1サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を、光音響ガスモニタ15を利用して測定するバックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定した除去対象ガスやトレーサーガスの濃度をハードディスクに格納するバックグラウンドガス濃度第1格納手段(バックグラウンドガス濃度第1格納プロセス)を実行する。
【0049】
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段(ガス供給プロセス)の実行前に、ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間のダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11の出口側を流れる空気)の一部を第2空気サンプリングユニット14にサンプリングさせるバックグラウンド第2サンプリング手段(バックグラウンド第2サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、バックグラウンド第2サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を、光音響ガスモニタ16を利用して測定するバックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、バックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)によって測定した除去対象ガスやトレーサーガスの濃度をハードディスクに格納するバックグラウンドガス濃度第2格納手段(バックグラウンドガス濃度第2格納プロセス)を実行する。
【0050】
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段(ガス供給プロセス)の実行中に、ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間のダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11の入口側を流れる空気)の一部を第1空気サンプリングユニット13にサンプリングさせる第1サンプリング手段(第1サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、第1サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)によって測定した試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第1格納手段(ガス濃度第1格納プロセス)を実行する。
【0051】
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段(ガス供給プロセス)の実行中に、ガス除去エアフィルタ11を通ってダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出した空気)の一部を第2空気サンプリングユニット14にサンプリングさせる第2サンプリング手段(第2サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、第2サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度を、光音響ガスモニタ16を利用して測定するガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、ガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定した試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第2格納手段(ガス濃度第2格納プロセス)を実行する。
【0052】
コントローラ17の中央処理部は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後(ガス供給手段を停止した後)、ガス除去エアフィルタ11を通ってダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出した空気)の一部を第2空気サンプリングユニット14にサンプリングさせる第3サンプリング手段(第3サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、第3サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度を光音響ガスモニタ16を利用して測定するガス濃度第3測定手段(ガス濃度第3測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、ガス濃度第3測定手段(ガス濃度第3測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第3格納手段(ガス濃度第3格納プロセス)を実行する。
【0053】
コントローラ17の中央処理部は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後(ガス供給手段を停止した後)、ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間のダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11の入口側を流れる空気)の一部を第1空気サンプリングユニット13にサンプリングさせる第4サンプリング手段(第4サンプリングプロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、第4サンプリング手段によってサンプル空気をサンプリングした後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するガス濃度第4測定手段(ガス濃度第4測定プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、ガス濃度第4測定手段(ガス濃度第4測定プロセス)によって測定した試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第4格納手段(ガス濃度第4格納プロセス)を実行する。コントローラ17の中央処理部は、各種の濃度測定データを出力する(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)を実行する。
【0054】
図3は、ディスプレイ52に表示された初期画面の一例を示す図であり、図4は、濃度倍率設定画面の一例を示す図である。図5は、ガス供給中サンプリングにおける条件設定画面の一例を示す図であり、図6は、このシステム10Aによって実行される除去効率測定方法のフローチャートである。図7は、図6から続くフローチャートであり、図8は、濃度測定データ表示画面の一例を示す図である。図3〜図5、図8では、各入力エリアや表示エリアに表示されるデータの図示を省略している。
【0055】
システム10Aを起動すると、ガス供給ユニット12、第1空気サンプリングユニット13、第2空気サンプリングユニット14、光音響ガスモニタ15,16、コントローラ17が稼動する。さらに、ダクト19に設置された給気ファンや排気ファンを別途起動させる。給気ファンや排気ファンを起動させると、図1に矢印L1で示すように、施設内の空気がダクト19の空気取り入れ口20からダクト19内に進入し、その空気がガス除去エアフィルタ11を通ってダクト19の空気排出口42から排出される。ダクト19に進入した空気に除去対象ガスが含まれている場合、その除去対象ガスがガス除去エアフィルタ11によって除去される。
【0056】
システム10Aを起動すると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。初期画面には、濃度倍率設定ボタンA1、条件設定ボタンA2、バックグラウンドサンプリングボタンA3、ガス供給中サンプリングボタンA4、ガス供給停止後サンプリングボタンA5、ログアウトボタンA6、濃度測定データ表示ボタンA7が表示される。ログアウトボタンA6をクリックすると、システム10Aを閉じる。濃度倍率設定ボタンA1をクリックすると、コントローラ17は、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ52に表示する。濃度倍率設定画面には、測定対象フィルタ名入力エリアB1、限界効率入力エリアB2、除去対象ガス濃度倍率入力エリアB3、実行ボタンB4、キャンセルボタンB5、クリアボタンB6が表示される。
【0057】
キーボード50やマウス51等の入力装置を利用して測定対象フィルタ名入力エリアB1に測定対象フィルタを特定する名称(仮称を含む)を入力(測定対象フィルタ名入力エリアB1のプルダウンリストから測定対象フィルタの名称を選択)する。限界効率入力エリアB2にガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率を入力(限界効率入力エリアB2のプルダウンリストから限界効率を選択)する。または、限界効率を入力せずに、除去対象ガス濃度倍率入力エリアB3に除去対象ガスの濃度倍率を入力(除去対象ガス濃度倍率入力エB3のプルダウンリストから濃度倍率を選択)する。キャンセルボタンB5をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンB6をクリックすると、入力エリアB1〜B3に入力された名称や限界効率、濃度倍率の各データが消去され、入力エリアB1〜B3に各データを再入力する。
【0058】
フィルタ名を入力するとともに限界効率を入力した後、実行ボタンB4をクリックすると、コントローラ17は、限界効率入力エリアB1に入力された限界効率に基づいて、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス21のダクト19内の空気に対する濃度倍率を決定し(濃度倍率決定手段、濃度倍率決定プロセス)(S−10)、図示はしていないが、濃度倍率確認画面をディスプレイ52に表示する。また、フィルタ名を入力するとともに濃度倍率を入力した後、実行ボタンB4をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、濃度倍率確認画面をディスプレイ52に表示する。
【0059】
コントローラ17は、たとえば、ガス除去エアフィルタ11の限界効率が90%の場合、試験用ガス21のダクト19内の空気に対する濃度の倍率を10倍(ダクト19内の空気を1とした場合、試験用ガス21は10)に決定する。また、ガス除去エアフィルタ11の限界効率が99%の場合、試験用ガス21のダクト19内の空気に対する濃度の倍率を100倍(ダクト19内の空気を1とした場合、試験用ガス21は100)に決定する。
【0060】
濃度倍率確認画面には、濃度倍率表示エリア、濃度倍率確認ボタン、濃度倍率変更ボタンが表示される。濃度倍率表示エリアには、除去対象ガス(試験用ガス21)の決定した濃度倍率が表示される。濃度倍率に変更があれば、濃度倍率変更ボタンをクリックする。濃度倍率変更ボタンをクリックすると、図4の濃度倍率入力画面に戻り、名称や限界効率、濃度倍率の各データを再入力する。濃度倍率に変更がなければ、濃度倍率確認ボタンをクリックする。濃度倍率確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、測定対象フィルタ名入力エリアB1に入力された測定対象フィルタを特定するフィルタ識別子を生成し、濃度倍率(測定対象フィルタ名、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度倍率格納手段、濃度倍率格納プロセス)。コントローラ17は、濃度倍率を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0061】
初期画面において条件設定ボタンA2をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給中サンプリングにおける条件設定とガス供給停止後サンプリングにおける条件設定のいずれかを選択する選択画面をディスプレイ52に表示する。選択画面には、ガス供給中サンプリング条件設定ボタン、ガス供給停止後サンプリング条件設定ボタンが表示される。ガス供給中サンプリング条件設定ボタンをクリックすると、コントローラ19は、図5の条件設定画面をディスプレイ52に表示する。条件設定画面には、除去対象ガス入力エリアC1、トレーサーガス入力エリアC2、供給時間入力エリアC3、トレーサーガス濃度倍率入力画面C4、サンプリング時間入力エリアC5、サンプリング量入力エリアC6、実行ボタンC7、キャンセルボタンC8、クリアボタンC9が表示される。
【0062】
除去対象ガス入力エリアC1に除去対象ガスを入力(除去対象ガス入力エリアC1のプルダウンリストから除去対象ガスを選択)し、トレーサーガス入力エリアC2にトレーサーガス23を入力(トレーサーガス入力エリアC2のプルダウンリストからトレーサーガス23を選択)するとともに、供給時間入力エリアC3にそれらガスの供給時間を入力(供給時間入力エリアC3のプルダウンリストから供給時間を選択)する。
【0063】
さらに、トレーサーガス濃度倍率入力エリアC4にトレーサーガス23の濃度倍率を入力(トレーサーガス濃度倍率入力エリアC4のプルダウンリストからトレーサーガス濃度倍率を選択)し、サンプリング時間入力エリアC5にサンプリング時間を入力(サンプリング時間入力エリアC5のプルダウンリストからサンプリング時間を選択)するとともに、サンプリング量入力エリアC6にサンプリング量を入力(サンプリング量入力エリアC6のプルダウンリストからサンプリング量を選択)する。キャンセルボタンC8をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンC9をクリックすると、入力エリアC1〜C6に入力されたデータが消去され、入力エリアC1〜C6に各データを再入力する。
【0064】
それら入力エリアC1〜C6に各データを入力した後、実行ボタンC7をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、条件設定確認画面をディスプレイ52に表示する。条件設定確認画面では、各入力エリアにデータが表示されるとともに、条件確認ボタン、条件変更ボタンが表示される。除去対象ガスやトレーサーガス、供給時間、トレーサーガス濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量に変更があれば、条件変更ボタンをクリックする。条件変更ボタンをクリックすると、図5の条件設定画面に戻り、それら入力エリアC1〜C6に各データを再入力する。除去対象ガスやトレーサーガス、供給時間、トレーサーガス濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量に変更がなければ、条件確認ボタンをクリックする。
【0065】
条件確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、入力(選択)された除去対象ガス(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(除去対象ガス格納手段、除去対象ガス格納プロセス)、入力(選択)されたトレーサーガス(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(トレーサーガス格納手段、トレーサーガス格納プロセス)、供給時間(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(供給時間格納手段、供給時間格納プロセス)。
【0066】
さらに、コントローラ17は、入力(選択)されたトレーサーガス濃度倍率(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(トレーサーガス農簿倍率格納手段、トレーサーガス農簿倍率格納プロセス)、サンプリング時間(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(サンプリング時間格納手段、サンプリング時間格納プロセス)、サンプリング量(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(サンプリング量格納手段、サンプリング量格納プロセス)(S−11)。
【0067】
コントローラ17は、除去対象ガスやトレーサーガス、供給時間、トレーサーガス濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。濃度倍率設定やガス供給中における条件設定が完了した後、図3の初期画面において、バックグラウンドサンプリングボタンA3をクリックする。バックグラウンドサンプリングボタンA3をクリックすると、コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングする(バックグラウンド第1サンプリング手段、バックグラウンド第1サンプリングプロセス)。さらに、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングする(バックグラウンド第2サンプリング手段、バックグラウンド第2サンプリングプロセス)(S−12)。
【0068】
コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンドサンプリング中メッセージをディスプレイ52に表示する。なお、ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入している。コントローラ17は、切替バルブ40,48の弁機構を閉め、切替バルブ39,47の弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。
【0069】
ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通って光音響ガスモニタ15に流入する。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通って光音響ガスモニタ16に流入する。
【0070】
コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13がサンプリングしたサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度測定を光音響ガスモニタ15に指示する。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17の指示によって流入したサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を測定する(バックグラウンドガス濃度第1測定手段、バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)(S−13)。なお、サンプル空気は、光音響ガスモニタ15から通気管路41を通って放出口36からダクト19内に放出される。
【0071】
コントローラ17は、第2空気サンプリングユニット14がサンプリングしたサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度測定を光音響ガスモニタ16に指示する。光音響ガスモニタ16は、コントローラ17の指示によって流入したサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を測定する(バックグラウンドガス濃度第2測定手段、バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)(S−13)。なお、サンプル空気は、光音響ガスモニタ16から通気管路49を通って放出口44からダクト19内に放出される。
【0072】
コントローラ17は、バックグラウンドのサンプリング時間が経過したかを判断する(S−14)。サンプリング時間が経過していない場合、コントローラ17は、引き続きサンプル空気をそれら光音響ガスモニタ15,16に流入させ、サンプル空気に含まれる除去対象ガスの濃度を光音響ガスモニタ15,16に測定させる。
【0073】
サンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入してから所定時間が経過し、サンプリング時間が経過した場合、コントローラ17は、切替バルブ39,47の弁機構を閉じ、サンプル空気の光音響ガスモニタ15,16への流入を停止し、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する(S−15)。
【0074】
サンプル空気のサンプリングを停止した後(バックグラウンド第1および第2サンプリング手段を完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンドサンプリング完了メッセージ、バックグラウンドガス濃度測定終了ボタンをディスプレイ52に表示する。バックグラウンドガス濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、バックグラウンドサンプリングが終了したと判断し、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。
【0075】
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気の除去対象ガスバックグラウンド濃度とトレーサーガスバックグラウンド濃度とをコントローラ17に出力する(S−16)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力されたバックグラウンド濃度測定第1データ(除去対象ガスバックグラウンド濃度、トレーサーガスバックグラウンド濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ15を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(バックグラウンドガス濃度第1格納手段、バックグラウンドガス濃度第1格納プロセス)(S−17)。
【0076】
光音響ガスモニタ16は、サンプル空気の除去対象ガスバックグラウンド濃度とトレーサーガスバックグラウンド濃度とをコントローラ17に出力する(S−16)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ16から出力されたバックグラウンド濃度測定第2データ(除去対象ガスバックグラウンド濃度、トレーサーガスバックグラウンド濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ16を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(バックグラウンドガス濃度第2格納手段、バックグラウンドガス濃度第2格納プロセス)(S−17)。コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンド完了メッセージとバックグラウンド完了確認ボタンとをディスプレイ52に表示する。バックグラウンド完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0077】
バックグラウンドガス濃度測定やバックグラウンドガス濃度格納が完了した後、図3の初期画面のガス供給中サンプリングボタンA4をクリックする。ガス供給中サンプリングボタンA4をクリックすると、コントローラ17は、指定した除去対象ガスと同一の試験用ガス21およびトレーサーガス23をダクト19内に供給する(ガス供給手段、ガス供給プロセス)(S−18)。コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングするとともに(第1サンプリング手段、第1サンプリングプロセス)、第2空気サンプリングユニット16を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングする(第2サンプリング手段、第2サンプリングプロセス)(S−19)。
【0078】
コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給中メッセージおよび空気サンプリング中メッセージをディスプレイ52に表示する。なお、ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入しており、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量や風速が均一ではない。コントローラ17は、切替バルブ27,32の弁機構を開けるとともに、弁機構の開度を調節し、ダクト19を流れる空気に対して試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度があらかじめ設定された濃度倍率になるように、所定量の試験用ガス21やトレーサーガス23を通気管路29,34に流入させ、所定量の試験用ガス21やトレーサーガス23をガス供給機構22,24の吹出口28,33からダクト19内に流入させる。
【0079】
コントローラ17は、あらかじめ設定された供給時間の間、それらガス21,23をダクト19に供給し、供給時間が経過すると、切替バルブ27,32の弁機構を閉じ、それらガス21,23の供給を停止する。コントローラ17は、それらガス21,23の供給と供給停止とを同期して行い、それらガス21,23を同一時間ダクト19に供給する。
【0080】
コントローラ17は、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給を開始してから所定時間経過後に切替バルブ40,48の弁機構を閉め、切替バルブ39,47の弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通って光音響ガスモニタ15に流入する。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通って光音響ガスモニタ16に流入する。
【0081】
コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ15に指示する。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第1測定手段、ガス濃度第1測定プロセス)(S−20)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ15から通気管路41を通って放出口36からダクト19内に放出される。
【0082】
なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。さらに、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)によって測定したトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0083】
コントローラ17は、第2空気サンプリングユニット14がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ16に指示する。光音響ガスモニタ16は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第2測定手段、ガス濃度第2測定プロセス)(S−20)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ16から通気管路49を通って放出口44からダクト19内に放出される。
【0084】
なお、光音響ガスモニタ16は、バックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。さらに、光音響ガスモニタ16は、バックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定したトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0085】
コントローラ17は、サンプリング時間が経過したかを判断する(S−21)。サンプリング時間が経過していない場合、コントローラ17は、引き続きサンプル空気をそれら光音響ガスモニタ15,16に流入させ、サンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ15,16に測定させる。
【0086】
サンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入してから所定時間が経過し、サンプリング時間が経過した場合、コントローラ17は、切替バルブ39,47の弁機構を閉じ、サンプル空気の光音響ガスモニタ15,16への流入を停止し、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する(S−22)。さらに、コントローラ17は、切替バルブ27,32の弁機構を閉じ、試験用ガス21やトレーサーガス23のダクト19内への供給を停止する。
【0087】
サンプル空気のサンプリングを停止した後(第1および第2サンプリング手段を完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給中サンプリング完了メッセージ、ガス供給停止メッセージ、ガス濃度測定終了ボタン、ガス濃度測定継続ボタンをディスプレイ52に表示する。ガス濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリングが終了したと判断し(S−23)、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。
【0088】
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−24)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された濃度測定第1データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ15を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段、ガス濃度第1格納プロセス)(S−25)。
【0089】
光音響ガスモニタ16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−24)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ16から出力された濃度測定第2データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ16を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第2格納手段、ガス濃度第2格納プロセス)(S−25)。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給中ガス濃度測定完了メッセージとガス供給中ガス濃度測定完了確認ボタンとをディスプレイ52に表示する。ガス供給中ガス濃度測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0090】
同じガス除去エアフィルタ11においてサンプル空気の試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度測定を2回以上行う場合、ガス濃度測定継続ボタンをクリックする。ガス濃度測定継続ボタンをクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリングが終了していないと判断するとともに(S−23)、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。それら光音響ガスモニタ15,16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度とをコントローラ17に出力する(S−26)。
【0091】
コントローラ17は、それら光音響ガスモニタ15,16から出力された濃度測定第1データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)や濃度測定第2データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段、ガス濃度第1格納プロセス、ガス濃度第2格納手段、ガス濃度第2格納プロセス)(S−27)。コントローラ17は、濃度測定第1データや濃度測定第2データを格納すると、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ52に表示し、ステップ10(S−10)からの手順を繰り返す。その場合、濃度倍率や条件設定を従前と同一としつつ、バックグラウンドサンプリングを省略した状態でステップ18(S−18)以降の手順を実施することができる。
【0092】
試験用ガス21やトレーサーガス23の測定が完了した後、図3の初期画面において濃度測定データ表示ボタンA7をクリックすると、コントローラ17は、図8の濃度測定データ表示画面をディスプレイ52に表示する(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−28)。濃度測定データは、プリンタを介して出力することができる(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−28)。
【0093】
濃度測定データ表示画面には、測定対象フィルタ名表示エリアD1、サンプリング日時表示エリアD2、除去対象ガス表示エリアD3、除去対象ガス濃度倍率表示エリアD4、トレーサーガス表示エリアD5、トレーサーガス濃度倍率表示エリアD6、供給時間表示エリアD7、サンプリング時間表示エリアD8、サンプリング量表示エリアD9、フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアD10、フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアD11、フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアD12、フィルタ出口側トレーサーガス実測濃度表示エリアD13、印刷ボタンD14、閉じるボタンD15が表示される。
【0094】
測定対象フィルタ名表示エリアD1には、図4の濃度倍率設定画面で指定した測定対象フィルタ名が表示され、サンプリング日時表示エリアD2には、その測定対象フィルタのサンプル空気のサンプリング日時が表示されるとともに、除去対象ガス表示エリアD3には、図5の条件設定画面において指定した除去対象ガスが表示される。除去対象ガス濃度倍率表示エリアD4には、除去対象ガスの濃度倍率が表示され、トレーサーガス表示エリアD5には、図5の条件設定画面において指定したトレーサーガス23が表示されるとともに、トレーサーガス濃度倍率表示エリアD6には、トレーサーガス23の濃度倍率が表示される。供給時間表示エリアD7には、それらガス21,23の供給時間が表示され、サンプリング時間表示エリアD8には、サンプリング時間が表示されるとともに、サンプリング量表示エリアD9には、サンプリング量が表示される。
【0095】
フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアD10には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11入口側の試験用ガス21(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアD11には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11入口側のトレーサーガス23(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれるトレーサーガス23)の実測濃度が表示される。
【0096】
フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアD12には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11出口側の試験用ガス(第2サンプリングユニット14にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。フィルタ出口側トレーサーガス実測濃度表示エリアD13には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11出口側のトレーサーガス23(第2サンプリングユニット14にサンプリングされたサンプル空気に含まれるトレーサーガス23)の実測濃度が表示される。
【0097】
図6,7のフローチャートで説明した除去効率測定方法は、所定量の試験用ガス21とトレーサーガス23とをダクト19に同時に供給し、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)の入口に流入する空気に含まれる試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ15(ガス濃度測定装置)を利用して測定するとともに、ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出したサンプル空気に含まれる試験用ガス21およびトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ16を利用して測定するから、その測定中にトレーサーガス23がエアフィルタ11の出入口側においてそれら光音響ガスモニタ15,16に検出された場合、試験用ガス21がガス除去エアフィルタ11に確実に流入したことが実証され、逆に、その測定中にトレーサーガス23がエアフィルタ11の出入口側においてそれら光音響ガスモニタ15,16に検出されない場合、試験用ガス21もガス除去エアフィルタ11に流入していないことが実証される。ゆえに、ガス除去エアフィルタ11の出入口側においてトレーサーガス23が検出されることで、その測定中における試験用ガス21のガス除去エアフィルタ11への流入を認定することができ、試験用ガス21を使用してガス除去エアフィルタ11が設置された環境下の空気に含まれる対象ガスに対するガス除去エアフィルタ11の除去効率を確実に測定することができる。
【0098】
除去効率測定方法は、除去対象ガスと同一の試験用ガス21を利用してガス除去エアフィルタ11における除去効率を測定するから、対象ガスに対するガス除去エアフィルタ11の除去効率を測定したものとみなすことができ、対象ガスに対するガス除去エアフィルタ11の除去効率を高い精度で測定することができるとともに、対象ガスに対するガス除去エアフィルタ11の信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。
【0099】
除去効率測定方法は、実際に設置された使用中のガス除去エアフィルタ11の出口側においてトレーサーガス23とともに所定濃度の試験用ガス21が光音響ガスモニタ16に検出された場合、その使用中のガス除去エアフィルタ11にリーク等の構造的な欠陥があることやガス除去エアフィルタ11の性能が低下したことを知ることができる。また、それによってそのガス除去エアフィルタ11の使用限界を知ることができるから、ガス除去エアフィルタ11を交換する時期を具体的に判断することができる。除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の実際の使用環境においてガス除去エアフィルタ11を適時に交換することができ、空気に除去対象ガスが含まれたとしても、ガス除去エアフィルタ11を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0100】
除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させてガス除去エアフィルタ11の入口側から供給する試験用ガス21の空気に対する濃度の倍率を決定するから、ガス除去エアフィルタ11の使用環境を考慮しつつ、ガス除去エアフィルタ11の交換の指標となる限界効率に応じて試験用ガス21の空気に対する濃度の倍率を自由に決定することができる。除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の限界効率に応じた倍率の濃度の試験用ガス21が光音響ガスモニタ16に検出された場合、そのガス除去エアフィルタ11の使用限界を知ることができ、ガス除去エアフィルタ11を交換する時期を正確に判断することができる。
【0101】
除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の入口側から供給する試験用ガス21の濃度が光音響ガスモニタ15の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い場合、必要以上に高い濃度の試験用ガス21を使用するとガス除去エアフィルタ11の性能を低下させることになるが、レーサーガス23を利用して試験用ガス21のガス除去エアフィルタ11への流入を実証することで、光音響ガスモニタ15の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い濃度の試験用ガス21を除去効率の測定に使用することができるとともに、試験用ガス21の供給時間を短くすることができ、ガス除去エアフィルタ11の性能を低下させることなく、そのガス除去エアフィルタ11の除去効率を確実に測定することができる。除去効率測定方法は、光音響ガスモニタ15の検出限界濃度にあわせて試験用ガス21の濃度を自由に設定することができる。
【0102】
図9は、ガス供給停止後サンプリングにおける条件設定画面の一例を示す図であり、図10は、他の一例として示す図6から続く除去効率測定方法のフローチャートである。図11は、図10から続くフローチャートであり、図12は、濃度測定データ表示画面の他の一例を示す図である。図9,図12では、各入力エリアや各表示エリアに表示されるデータの図示を省略している。なお、以下の説明では、バックグラウンドサンプリングを示す図6を援用する。システム10Aを起動し、図3の初期画面において濃度倍率設定ボタンA1をクリックすると、コントローラ17は、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ52に表示する。図4の濃度倍率設定画面の各入力エリアB1〜B3に名称や限界効率、濃度倍率の各データを入力する。
【0103】
フィルタ名を入力するとともに限界効率を入力した後、実行ボタンB4をクリックすると、コントローラ17は、限界効率入力エリアB2に入力された限界効率に基づいて、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス21のダクト19内の空気に対する濃度の倍率を決定する(濃度倍率決定手段、濃度倍率決定プロセス)(S−10)。また、フィルタ名を入力するとともに濃度倍率を入力した後、実行ボタンB4をクリックする。コントローラ17は、測定対象フィルタ名入力エリアB1に入力された測定対象フィルタを特定するフィルタ識別子を生成し、濃度倍率(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度倍率格納手段、濃度倍率格納プロセス)。コントローラ17は、濃度倍率を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0104】
初期画面において条件設定ボタンA2をクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリング条件設定ボタンとガス供給停止後サンプリング条件設定ボタンとが表示された選択画面をディスプレイ52に表示する(図示せず)。ガス供給中サンプリング条件設定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図5のガス供給中サンプリング条件設定画面をディスプレイ52に表示する。図5の条件設定画面の各入力エリアC1〜C6に除去対象ガス、トレーサーガス、供給時間、トレーサーガスの濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量を入力する。
【0105】
コントローラ17は、入力(選択)された除去対象ガス(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(除去対象ガス格納手段、除去対象ガス格納プロセス)、入力(選択)されたトレーサーガス(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(トレーサーガス格納手段、トレーサーガス格納プロセス)、供給時間(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(供給時間格納手段、供給時間格納プロセス)。
【0106】
さらに、コントローラ17は、入力(選択)されたトレーサーガス濃度倍率(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(トレーサーガス農簿倍率格納手段、トレーサーガス農簿倍率格納プロセス)、サンプリング時間(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(サンプリング時間格納手段、サンプリング時間格納プロセス)、サンプリング量(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(サンプリング量格納手段、サンプリング量格納プロセス)(S−11)。
【0107】
コントローラ17は、除去対象ガスやトレーサーガス、供給時間、トレーサーガス濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。濃度倍率設定やガス供給中における条件設定が完了した後、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)やバックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)、バックグラウンドガス濃度第1格納手段(バックグラウンドガス濃度第1格納プロセス)、バックグラウンドガス濃度第2格納手段(バックグラウンドガス濃度第2格納プロセス)を実行する。なお、バックグラウンドガス濃度測定やバックグラウンドガス濃度格納における各手順は、図6のフローチャートのステップ12(S−12)〜ステップ17(S−17)のとおりであるから、上述した図6の説明を援用することで、その詳細な説明は省略する。
【0108】
バックグラウンドガス濃度測定やバックグラウンドガス濃度格納が完了した後、図3の初期画面のガス供給中サンプリングボタンA4をクリックする。ガス供給中サンプリングボタンA4をクリックすると、コントローラ17は、指定した除去対象ガスと同一の試験用ガス21およびトレーサーガス23をダクト19内に供給する(ガス供給手段、ガス供給プロセス)(S−30)。コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングするとともに(第1サンプリング手段、第1サンプリングプロセス)、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19)からサンプル空気をサンプリングする(第2サンプリング手段、第2サンプリングプロセス)(S−31)。
【0109】
コントローラ17は、ガス供給中メッセージおよび空気サンプリング中メッセージをディスプレイ52に表示する(図示せず)。なお、ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入しており、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量や風速が均一ではない。コントローラ17は、ダクト19を流れる空気に対して試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度があらかじめ設定された濃度倍率になるように、所定量の試験用ガス21やトレーサーガス23を通気管路29,34に流入させ、試験用ガス21やトレーサーガス23をガス供給機構22,24の吹出口28,33からダクト19内に流入させる。
【0110】
コントローラ17は、あらかじめ設定された供給時間の間、それらガス21,23をダクト19に供給し、供給時間が経過すると、それらガス21,23の供給を停止する。コントローラ17は、それらガス21,23の供給と供給停止とを同期して行い、それらガス21,23を同一時間ダクト19に供給する。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が通気管路41を通って光音響ガスモニタ15に流入する。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が通気管路49を通って光音響ガスモニタ16に流入する。
【0111】
コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ15に指示する。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第1測定手段、ガス濃度第1測定プロセス)(S−32)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ15から通気管路41を通って放出口36からダクト19内に放出される。
【0112】
なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。さらに、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)によって測定したトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0113】
コントローラ17は、第2空気サンプリングユニット14がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ16に指示する。光音響ガスモニタ16は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第2測定手段、ガス濃度第2測定プロセス)(S−32)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ16から通気管路49を通って放出口44からダクト19内に放出される。
【0114】
なお、光音響ガスモニタ16は、バックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。さらに、光音響ガスモニタ16は、バックグラウンドガス濃度第2測定手段(バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定したトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0115】
コントローラ17は、サンプリング時間が経過したかを判断する(S−33)。サンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入してから所定時間が経過し、サンプリング時間が経過した場合、コントローラ17は、サンプリングを停止し(S−34)、試験用ガス21やトレーサーガス23のダクト19内への供給を停止する。
【0116】
サンプル空気のサンプリングを停止した後(第1および第2サンプリング手段を完了した後)、コントローラ17は、ガス供給中サンプリング完了メッセージ、ガス供給停止メッセージ、ガス濃度測定終了ボタン、ガス濃度測定継続ボタンをディスプレイ52に表示する(図示せず)。ガス濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリングが終了したと判断し(S−35)、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。
【0117】
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−36)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された濃度測定第1データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ15を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段、ガス濃度第1格納プロセス)(S−37)。
【0118】
光音響ガスモニタ16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−36)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ16から出力された濃度測定第2データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ16を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第2格納手段、ガス濃度第2格納プロセス)(S−37)。コントローラ17は、ガス供給中ガス濃度測定完了メッセージとガス供給中ガス濃度測定完了確認ボタンとをディスプレイ52に表示する(図示せず)。ガス供給中ガス濃度測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0119】
同じガス除去エアフィルタ11においてサンプル空気の試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度測定を2回以上行う場合、ガス濃度測定継続ボタンをクリックする。ガス濃度測定継続ボタンをクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリングが終了していないと判断するとともに(S−35)、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。それら光音響ガスモニタ15,16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度とをコントローラ17に出力する(S−38)。
【0120】
コントローラ17は、それら光音響ガスモニタ15,16から出力された濃度測定第1データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)や濃度測定第2データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段、ガス濃度第1格納プロセス、ガス濃度第2格納手段、ガス濃度第2格納プロセス)(S−39)。コントローラ17は、濃度測定第1データや濃度測定第2データを格納すると、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ52に表示し、ステップ10(S−10)からの手順を繰り返す。その場合、濃度倍率や条件設定を従前と同一としつつ、バックグラウンドサンプリングを省略した状態でステップ18(S−18)以降の手順を実施することができる。
【0121】
ガス供給中サンプリングが完了した後、ガス供給停止後サンプリングを行うには、図3の初期画面において条件設定ボタンA2をクリックする。条件設定ボタンA2をクリックすると、コントローラ17は、ガス供給中サンプリング条件設定ボタンとガス供給停止後サンプリング条件設定ボタンとが表示された選択画面をディスプレイ52に表示する(図示せず)。ガス供給停止後サンプリング条件設定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図9のガス供給停止後条件設定画面をディスプレイ52に表示する。図9の条件設定画面には、測定対象フィルタ名入力エリアD1、サンプリング時間入力エリアD2、サンプリング量入力エリアD3、実行ボタンD4、キャンセルボタンD5、クリアボタンD6が表示される。
【0122】
測定対象フィルタ名入力エリアD1に測定対象フィルタの名称を入力(測定対象フィルタ名入力エリアD1のプルダウンリストから測定対象フィルタ名を選択)し、サンプリング時間入力エリアD2にサンプリング時間を入力(サンプリング時間入力エリアD2のプルダウンリストからサンプリング時間を選択)するとともに、サンプリング量入力エリアD3にサンプリング量を入力(サンプリング量入力エリアD3のプルダウンリストからサンプリング量を選択)する。キャンセルボタンD5をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンD6をクリックすると、入力エリアD1〜D3に入力されたデータが消去され、入力エリアD1〜D3に各データを再入力する。
【0123】
それら入力エリアD1〜D3に各データを入力した後、実行ボタンD4をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、条件設定確認画面をディスプレイ52に表示する。条件設定確認画面では、各入力エリアにデータが表示されるとともに、条件確認ボタン、条件変更ボタンが表示される。測定対象フィルタ名やサンプリング時間、サンプリング量に変更があれば、条件変更ボタンをクリックする。条件変更ボタンをクリックすると、図9の条件設定画面に戻り、それら入力エリアD1〜D3に各データを再入力する。測定対象フィルタ名やサンプリング時間、サンプリング量に変更がなければ、条件確認ボタンをクリックする。
【0124】
条件確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、入力(選択)された測定対象フィルタ名(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し、サンプリング時間(格納日時を含む)フィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(サンプリング時間格納手段、サンプリング時間格納プロセス)、サンプリング量(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(サンプリング量格納手段、サンプリング量格納プロセス)(S−40)。
【0125】
コントローラ17は、測定対象フィルタ名やサンプリング時間、サンプリング量を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。ガス供給停止後サンプリングにおける条件設定が完了した後、図3の初期画面において、ガス供給停止後サンプリングボタンA5をクリックする。ガス供給停止後サンプリングボタンA5をクリックすると、コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングするとともに(第4サンプリング手段、第4サンプリングプロセス)、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングする(第3サンプリング手段、第3サンプリングプロセス)(S−41)。
【0126】
コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給停止中メッセージおよび空気サンプリング中メッセージをディスプレイ52に表示する。なお、ガス供給停止後サンプリング手段の実行中では、試験用ガス21やトレーサーガス23のダクト19内への供給が停止している。また、ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入しており、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量や風速が均一ではない。
【0127】
コントローラ17は、切替バルブ40,48の弁機構を閉め、切替バルブ39,47の弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がそれら光音響ガスモニタ15,16に流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気(ダクト19の空気取り入れ口20とガス除去エアフィルタ11の入口との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通って光音響ガスモニタ15に流入する。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排出口42との間に延びるダクト19を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通って光音響ガスモニタ16に流入する。
【0128】
コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度測定を光音響ガスモニタ15に指示する。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第4測定手段、ガス濃度第4測定プロセス)(S−42)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ15から通気管路41を通って放出口36からダクト19内に放出される。
【0129】
なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第4測定手段(ガス濃度第4測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。さらに、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第4測定手段(ガス濃度第4測定プロセス)によって測定したトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0130】
コントローラ17は、第2空気サンプリングユニット14がサンプリングしたサンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度測定を光音響ガスモニタ16に指示する。光音響ガスモニタ16は、コントローラの指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度を測定する(ガス濃度第3測定手段、ガス濃度第3測定プロセス)(S−42)。サンプル空気は、光音響ガスモニタ16から通気管路49を通って放出口44からダクト19内に放出される。なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度第1測定手段(バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス)によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第3測定手段(ガス濃度第3測定プロセス)によって測定した試験用ガス21の濃度を補正する。
【0131】
コントローラ17は、サンプリング時間が経過したかを判断する(S−43)。サンプリング時間が経過していない場合、コントローラ17は、引き続きサンプル空気を光音響ガスモニタ15,16に流入させ、サンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を光音響ガスモニタ15に測定させ、サンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度を光音響ガスモニタ16に測定させる。
【0132】
サンプル空気が光音響ガスモニタ15,16に流入してから所定時間が経過し、サンプリング時間が経過した場合、コントローラ17は、切替バルブ39,47の弁機構を閉じ、サンプル空気の光音響ガスモニタ15,16への流入を停止し、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する(S−44)。
【0133】
サンプル空気のサンプリングを停止した後(第3および第4サンプリング手段を完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、サンプリング完了メッセージ、ガス濃度測定終了ボタン、ガス濃度測定継続ボタンをディスプレイ52に表示する。ガス濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、サンプリングが終了したと判断し(S−45)、光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。
【0134】
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−46)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された濃度測定第3データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ15を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第4格納手段、ガス濃度第4格納プロセス)(S−47)。
【0135】
光音響ガスモニタ16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)をコントローラ17に出力する(S−46)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ16から出力された濃度測定第4データ(試験用ガス実測濃度、サンプリング日時、光音響ガスモニタ16を特定するモニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第3格納手段、ガス濃度第3格納プロセス)(S−47)。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給停止後ガス濃度測定完了メッセージとガス供給停止後ガス濃度測定完了確認ボタンとをディスプレイ52に表示する。ガス供給停止後ガス濃度測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0136】
同じガス除去エアフィルタ11においてサンプル空気の試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度測定を2回以上行う場合、ガス濃度測定継続ボタンをクリックする。ガス濃度測定継続ボタンをクリックすると、コントローラ17は、ガス供給停止後サンプリングが終了していないと判断するとともに(S−45)、それら光音響ガスモニタ15,16に濃度測定データの送信を指示する。それら光音響ガスモニタ15,16は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度とトレーサーガス実測濃度とをコントローラ17に出力する(S−48)。
【0137】
コントローラ17は、それら光音響ガスモニタ15,16から出力された濃度測定第3データ(試験用ガス実測濃度、トレーサーガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)や濃度測定第4データ(試験用ガス実測濃度、サンプリング日時、モニタ識別子)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第3格納手段、ガス濃度第3格納プロセス、ガス濃度第4格納手段、ガス濃度第4格納プロセス)(S−49)。コントローラ17は、濃度測定第3データや濃度測定第4データを格納すると、図9の条件設定画面をディスプレイ52に表示し、ステップ40(S−40)からの手順を繰り返す。
【0138】
ガス供給停止後の試験用ガス濃度測定やトレーサーガス濃度測定が完了した後、図3の初期画面において濃度測定データ表示ボタンA7をクリックすると、コントローラ17は、図12の濃度測定データ表示画面をディスプレイ52に表示する(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−50)。濃度測定データは、プリンタを介して出力することができる(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−50)。
【0139】
濃度測定データ表示画面には、ガス供給中サンプリングのガス濃度測定データとして、測定対象フィルタ名表示エリアE1、サンプリング日時表示エリアE2、除去対象ガス表示エリアE3、除去対象ガス濃度倍率表示エリアE4、トレーサーガス表示エリアE5、トレーサーガス濃度倍率表示エリアE6、供給時間表示エリアE7、サンプリング時間表示エリアE8、サンプリング量表示エリアE9、フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアE10、フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE11、フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアE12、フィルタ出口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE13が表示される。ガス供給停止後サンプリングの濃度測定データとして、測定対象フィルタ名表示エリアE14、サンプリング日時表示エリアE15、サンプリング時間表示エリアE16、サンプリング量表示エリアE17、フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアE18、フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE19、フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアE20が表示される。さらに、印刷ボタンE21、閉じるボタンE22が表示される。
【0140】
測定対象フィルタ名表示エリアE1には、図4の濃度倍率設定画面で指定した測定対象フィルタ名が表示され、サンプリング日時表示エリアE2には、その測定対象フィルタのサンプル空気のサンプリング日時が表示されるとともに、除去対象ガス表示エリアE3には、図5の条件設定画面において指定した除去対象ガスが表示される。除去対象ガス濃度倍率表示エリアE4には、除去対象ガスの濃度倍率が表示され、トレーサーガス表示エリアE5には、図5の条件設定画面において指定したトレーサーガス23が表示されるとともに、トレーサーガス濃度倍率表示エリアE6には、トレーサーガス23の濃度倍率が表示される。供給時間表示エリアE7には、それらガス21,23の供給時間が表示され、サンプリング時間表示エリアE8には、サンプリング時間が表示されるとともに、サンプリング量表示エリアE9には、サンプリング量が表示される。
【0141】
フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアE10には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11入口側の試験用ガス21(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE11には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11入口側のトレーサーガス23(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれるトレーサーガス23)の実測濃度が表示される。
【0142】
フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアE12には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11出口側の試験用ガス(第2サンプリングユニット14にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。フィルタ出口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE13には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給中におけるフィルタ11出口側のトレーサーガス23(第2サンプリングユニット14にサンプリングされたサンプル空気に含まれるトレーサーガス23)の実測濃度が表示される。
【0143】
測定対象フィルタ名表示エリアE14には、図4の濃度倍率設定画面や図9の条件設定画面で指定した測定対象フィルタ名が表示され、サンプリング日時表示エリアE15には、その測定対象フィルタのサンプル空気のサンプリング日時が表示される。サンプリング時間表示エリアE16には、サンプリング時間が表示され、サンプリング量表示エリアE17には、サンプリング量が表示される。
【0144】
フィルタ入口側試験用ガス実測濃度表示エリアE18には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給停止後におけるフィルタ11入口側の試験用ガス21(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。フィルタ入口側トレーサーガス実測濃度表示エリアE19には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給停止後におけるフィルタ11入口側のトレーサーガス23(第1サンプリングユニット13にサンプリングされたサンプル空気に含まれるトレーサーガス23)の実測濃度が表示される。フィルタ出口側試験用ガス実測濃度表示エリアE20には、試験用ガス21やトレーサーガス23の供給停止後におけるフィルタ11出口側の試験用ガス21(第2サンプリングユニット14にサンプリングされたサンプル空気に含まれる試験用ガス21)の実測濃度が表示される。
【0145】
図10,11のフローチャート(図6のフローチャートを含む)で説明した除去効率測定方法は、図6,7のフローチャートで説明した除去効率測定方法が有する効果に加え、以下の効果を有する。図10,11のフローチャートで説明した除去効率測定方法は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11の入口に流入する空気に含まれる試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度を光音響ガスモニタ15,16を利用して測定するから、ガス除去エアフィルタ11の入口側において所定濃度の試験用ガス21やトレーサーガス23が光音響ガスモニタ15に検出されない場合、それらガス21,23の供給が確実に停止したことが実証される。また、除去効率測定方法は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11から飛散してその出口から流出したサンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度を光音響ガスモニタ16を利用して測定するから、所定濃度の試験用ガス21が光音響ガスモニタ16に検出された場合、実際に設置された使用中のガス除去エアフィルタ11にリーク等の構造的な欠陥以外の化学的な欠陥等の他の欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去エアフィルタ11の使用限界を知ることができるから、ガス除去エアフィルタ11を交換する時期を具体的に判断することができる。除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の実際の使用環境においてガス除去エアフィルタ11を適時に交換することができ、空気に除去対象ガスが含まれたとしても、ガス除去エアフィルタ11を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【0146】
図13は、他の一例として示す除去効率測定システム10Bの構成図である。このシステム10Bが図1のそれと異なるところはサンプル空気をテドラーバック55,56(サンプル空気採集具)によってサンプリングする点にあり、その他の構成は図1のシステム10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、このシステム10Bのその他の構成の説明は省略する。除去効率測定システム10Bは、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)と、ガス供給ユニット12と、第1サンプリングユニット13と、第2空気サンプリングユニット14と、光音響ガスモニタ54(ガス濃度測定装置)と、コントローラ17とから形成され、光音響ガスモニタ54を1台のみ使用する。
【0147】
第1空気サンプリングユニット13の通気管路41の接続端子(図示せず)には、3個のテドラーバック55A〜55Cが接続されている。管路41に設置された切替バルブ39A〜39Cは、インターフェイス53を介してコントローラ17に接続されている。第2空気サンプリングユニット14の通気管路49の接続端子(図示せず)には、3個のテドラーバック56A〜56Cが接続されている。管路49に設置された切替バルブ47A〜47Cは、インターフェイス53を介してコントローラ17に接続されている。
【0148】
それらテドラーバック55,56は、合成樹脂フィルムから作られ、サンプル空気を気密に貯蔵する。サンプル空気を貯蔵した後、テドラーバック55,56は通気管路41,49から取り外される。なお、テドラーバック55,56の個数に特に限定はなく、3個未満のテドラーバック55,56を使用することもでき、4個以上のテドラーバック55,56を使用することもできる。光音響ガスモニタ54は、テドラーバック55,56に収納されたサンプル空気に含まれる各種複数のガス(ガス成分)の濃度を複数同時に測定するとともに、それらガスの濃度を連続的に測定し、測定したガス濃度をコントローラ17に出力する。
【0149】
図14は、光音響ガスモニタによるガス測定を説明する図であり、図15は、このシステム10Bによって実行される除去効率測定方法のフローチャートである。ステップ50(S−50)の濃度倍率決定手段(濃度倍率決定プロセス)や濃度倍率格納手段(濃度倍率格納プロセス)における手順は、上述した図6のステップ10(S−10)とおりであるから、それらの説明は省略する。ステップ51(S−51)の除去対象ガス格納手段(除去対象ガス格納プロセス)やレーサーガス格納手段(トレーサーガス格納プロセス)、供給時間格納手段(供給時間格納プロセス)、トレーサーガス農簿倍率格納手段(トレーサーガス農簿倍率格納プロセス)、サンプリング時間格納手段(サンプリング時間格納プロセス)、サンプリング量格納手段(サンプリング量格納プロセス)における手順は、上述した図6のステップ11(S−11)とおりであるから、それらの説明は省略する。
【0150】
コントローラ17は、除去対象ガスやトレーサーガス、供給時間、トレーサーガス濃度倍率、サンプリング時間、サンプリング量を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。濃度倍率設定やガス供給中における条件設定が完了した後、図3の初期画面において、バックグラウンドサンプリングボタンA3をクリックする。バックグラウンドサンプリングボタンA3をクリックすると、コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングする(バックグラウンド第1サンプリング手段、バックグラウンド第1サンプリングプロセス)。さらに、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングする(バックグラウンド第2サンプリング手段、バックグラウンド第2サンプリングプロセス)(S−52)。
【0151】
コントローラ17は、切替バルブ39B,39C,40,47B,47C,48の弁機構を閉め、切替バルブ39A,47Aの弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がテドラーバック55A,56Aに流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通ってテドラーバック55Aに収容される。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通ってテドラーバック56Aに収容される。
【0152】
コントローラ17は、所定量のサンプル空気がテドラーバック55A,56Aに収容されると、切替バルブ39A,47Aの弁機構を閉じ、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する。
【0153】
サンプル空気のサンプリングが停止した後、通気管路41,49の接続端子からテドラーバック55A,56Aを取り外し、図14に示すように、それらテドラーバック55A,56Aを光音響ガスモニタ54の接続端子に順番に接続する。コントローラ17は、テドラーバック55A,56Aに収容されたサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度測定を光音響ガスモニタ54に指示する。光音響ガスモニタ54は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を測定する(バックグラウンドガス濃度第1測定手段、バックグラウンドガス濃度第1測定プロセス、バックグラウンドガス濃度第2測定手段、バックグラウンドガス濃度第2測定プロセス)(S−53)。
【0154】
光音響ガスモニタ54は、サンプル空気の除去対象ガスバックグラウンド濃度とトレーサーガスバックグラウンド濃度とをコントローラ17に出力する(S−54)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ54から出力された除去対象ガスバックグラウンド濃度やトレーサーガスバックグラウンド濃度(サンプリング日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(バックグラウンドガス濃度第1格納手段、バックグラウンドガス濃度第1格納プロセス、バックグラウンドガス濃度第2格納手段、バックグラウンドガス濃度第2格納プロセス)(S−55)。コントローラ17は、それらバックグラウンド濃度を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0155】
次に、図3の初期画面のガス供給中サンプリングボタンA4をクリックする。ガス供給中サンプリングボタンA4をクリックすると、コントローラ17は、指定した除去対象ガスと同一の試験用ガス21およびトレーサーガス23をダクト19内に供給する(ガス供給手段、ガス供給プロセス)(S−56)。コントローラ17は、ダクト19を流れる空気に対して試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度があらかじめ設定された濃度倍率になるように、所定量の試験用ガス21やトレーサーガス23を通気管路29,34に流入させ、試験用ガス21やトレーサーガス23をガス供給機構22,24の吹出口28,33からダクト19内に流入させる。
【0156】
コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングするとともに(第1サンプリング手段、第1サンプリングプロセス)、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングする(第2サンプリング手段、第2サンプリングプロセス)(S−57)。
【0157】
コントローラ17は、切替バルブ39A,39C,40,47A,47C,48の弁機構を閉め、切替バルブ39B,47Bの弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がテドラーバック55B,56Bに流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通ってテドラーバック55Bに収容される。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通ってテドラーバック56Bに収容される。
【0158】
コントローラ17は、所定量のサンプル空気がテドラーバック55B,56Bに収容されると、切替バルブ39B,47Bの弁機構を閉じ、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する。さらに、コントローラ17は、切替バルブ27,32の弁機構を閉じ、試験用ガス21やトレーサーガス23のダクト19内への供給を停止する。
【0159】
サンプル空気のサンプリングが停止した後、通気管路41,49の接続端子からテドラーバック55B,56Bを取り外し、それらテドラーバック55B,56Bを光音響ガスモニタ54の接続端子に順番に接続する(図14参照)。コントローラ17は、テドラーバック55B,56Bに収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ54に指示する。光音響ガスモニタ54は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第1測定手段、ガス濃度第1測定プロセス、ガス濃度第2測定手段、ガス濃度第2測定プロセス)(S−58)。なお、光音響ガスモニタ54は、バックグラウンドガス濃度測定手段(バックグラウンドガス濃度測定プロセス)によって測定した除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段(ガス濃度第1測定プロセス)やガス濃度第2測定手段(ガス濃度第2測定プロセス)によって測定した試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0160】
光音響ガスモニタ54は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−59)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ54から出力された試験用ガス実測濃度やトレーサーガス実測濃度(サンプリング日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段、ガス濃度第1格納プロセス、ガス濃度第2格納手段、ガス濃度第2格納プロセス)(S−60)。コントローラ17は、試験用ガス実測濃度とトレーサーガス実測濃度とを格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0161】
ガス供給中サンプリングが完了した後、ガス供給停止後サンプリングを行うには、図3の初期画面において条件設定ボタンA2をクリックする。ステップ61(S−61)のサンプリング時間格納手段(サンプリング時間格納プロセス)やサンプリング量格納手段(サンプリング量格納プロセス)における手順は、上述した図9や図11のステップ40(S−40)とおりであるから、それらの説明は省略する。
【0162】
次に、図3の初期画面のガス供給停止後サンプリングボタンA5をクリックする。ガス供給停止後サンプリングボタンA5をクリックすると、コントローラ17は、第1空気サンプリングユニット13を利用し、ガス除去エアフィルタ11の上流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングするとともに(第4サンプリング手段、第4サンプリングプロセス)、第2空気サンプリングユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気をサンプリングする(第3サンプリング手段、第3サンプリングプロセス)(S−62)。
【0163】
コントローラ17は、切替バルブ39A,39B,40,47A,47B,48の弁機構を閉め、切替バルブ39C,47Cの弁機構を開け、所要量(サンプリング量)のサンプル空気がテドラーバック55C,56Cに流入するように弁機構の開度を調節しつつ、吸引ポンプ37,45を稼動させる。ガス除去エアフィルタ11の入口側の空気は、その一部(サンプル空気)が採集口35からポンプ37に進入し、通気管路41を通ってテドラーバック55Cに収容される。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気は、その一部(サンプル空気)が採集口43からポンプ45に進入し、通気管路49を通ってテドラーバック56Cに収容される。
【0164】
コントローラ17は、所定量のサンプル空気がテドラーバック55C,56Cに収容されると、切替バルブ39C,47Cの弁機構を閉じ、切替バルブ40,48の弁機構を開け、サンプル空気を放出口36,44からダクト19内に放出する。次に、切替バルブ40,48の弁機構を閉じ、ポンプ37,45を停止してサンプル空気のサンプリングを停止する。
【0165】
サンプル空気のサンプリングが停止した後、通気管路41,49の接続端子からテドラーバック55C,56Cを取り外し、それらテドラーバック55C,56Cを光音響ガスモニタ54の接続端子に順番に接続する(図14参照)。コントローラ17は、テドラーバック55C,56Cに収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度測定を光音響ガスモニタ54に指示する。光音響ガスモニタ54は、コントローラ17の指示によってサンプル空気に含まれる試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を測定する(ガス濃度第3測定手段、ガス濃度第3測定プロセス、ガス濃度第4測定手段、ガス濃度第4測定プロセス)(S−63)。なお、光音響ガスモニタ54は、バックグラウンドガス濃度測定手段(バックグラウンドガス濃度測定プロセス)によって測定した除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第3測定手段(ガス濃度第3測定プロセス)やガス濃度第4測定手段(ガス濃度第4測定プロセス)によって測定した試験用ガス21やトレーサーガス23の濃度を補正する。
【0166】
光音響ガスモニタ54は、サンプル空気の試験用ガス実測濃度(補正した試験用ガス実測濃度)とトレーサーガス実測濃度(補正したトレーサーガス実測濃度)とをコントローラ17に出力する(S−64)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ54から出力された試験用ガス実測濃度やトレーサーガス実測濃度(サンプリング日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第3格納手段、ガス濃度第3格納プロセス、ガス濃度第4格納手段、ガス濃度第4格納プロセス)(S−65)。コントローラ17は、試験用ガス実測濃度とトレーサーガス実測濃度とを格納すると、図3の初期画面をディスプレイ52に表示する。
【0167】
ガス供給停止後の試験用ガス濃度測定やトレーサーガス濃度測定が完了した後、図3の初期画面において濃度測定データ表示ボタンA7をクリックすると、コントローラ17は、図12の濃度測定データ表示画面をディスプレイ52に表示する(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−66)。濃度測定データは、プリンタを介して出力することができる(濃度測定データ出力手段、濃度測定データ出力プロセス)(S−66)。
【0168】
図15のフローチャートで説明した除去効率測定方法は、図6,7のフローチャートで説明した除去効率測定方法が有する効果に加え、以下の効果を有する。図15のフローチャートで説明した除去効率測定方法は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11の入口に流入する空気に含まれる試験用ガス21とトレーサーガス23との濃度を光音響ガスモニタ15,16を利用して測定するから、ガス除去エアフィルタ11の入口側において所定濃度の試験用ガス21やトレーサーガス23が光音響ガスモニタ15に検出されない場合、それらガス21,23の供給が確実に停止したことが実証される。また、除去効率測定方法は、試験用ガス21とトレーサーガス23との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11から飛散してその出口から流出したサンプル空気に含まれる試験用ガス21の濃度を光音響ガスモニタ16を利用して測定するから、所定濃度の試験用ガス21が光音響ガスモニタ16に検出された場合、実際に設置された使用中のガス除去エアフィルタ11にリーク等の構造的な欠陥以外の化学的な欠陥等の他の欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去エアフィルタ11の使用限界を知ることができるから、ガス除去エアフィルタ11を交換する時期を具体的に判断することができる。除去効率測定方法は、ガス除去エアフィルタ11の実際の使用環境においてガス除去エアフィルタ11を適時に交換することができ、空気に除去対象ガスが含まれたとしても、ガス除去エアフィルタ11を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
【符号の説明】
【0169】
10A 除去効率測定システム
10B 除去効率測定システム
11 ガス除去エアフィルタ(ガス除去装置)
12 ガス供給ユニット
13 第1サンプリングユニット
14 第2サンプリングユニット
15 光音響ガスモニタ(ガス検出装置)
16 光音響ガスモニタ(ガス検出装置)
17 コントローラ
21 試験用ガス
22 試験用ガス供給機構
23 トレーサーガス
24 トレーサーガス供給機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に含まれる各種複数のガス成分のうちの所定の対象ガスを除去するガス除去装置の除去効率を測定する除去効率測定方法において、
前記除去効率測定方法が、前記対象ガスと同一の試験用ガスと、前記ガス除去装置に除去されずにそれを通過するトレーサーガスと、空気中に含まれる前記試験用ガスおよび前記トレーサーガスの濃度を測定するガス濃度測定装置とを利用し、所定量の前記試験用ガスと前記トレーサーガスとを前記ガス除去装置の入口側から該ガス除去装置に同時に供給するガス供給プロセスと、前記ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの濃度を、前記ガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第1測定プロセスと、前記ガス除去装置を通ってその出口から流出した空気に含まれる前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの濃度を、前記ガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第2測定プロセスとを実行することを特徴とする除去効率測定方法。
【請求項2】
前記除去効率測定方法が、前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの供給を停止した後、前記ガス除去装置から飛散してその出口から流出した空気に含まれる前記試験用ガスの濃度を、前記ガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第3測定プロセスを含む請求項1に記載の除去効率測定方法。
【請求項3】
前記除去効率測定方法が、前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの供給を停止した後、前記ガス除去装置の入口に流入する空気に含まれる前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの濃度を、前記ガス濃度測定装置を利用して測定するガス濃度第4測定プロセスを含む請求項2に記載の除去効率測定方法。
【請求項4】
前記除去効率測定方法が、前記ガス除去装置の対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させて該ガス除去装置の入口側から供給する前記試験用ガスの空気に対する濃度の倍率を決定する濃度倍率決定プロセスを含む請求項1ないし請求項3いずれかに記載の除去効率測定方法。
【請求項5】
前記ガス供給プロセスでは、前記ガス除去装置の入口側から供給する前記試験用ガスの濃度が前記ガス濃度測定装置の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高く、前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの供給時間が同一である請求項1ないし請求項4いずれかに記載の除去効率測定方法。
【請求項6】
前記ガス供給プロセスにおける前記試験用ガスと前記トレーサーガスとの前記ガス除去装置の入口側への供給時では、前記ガス除去装置の周囲の空気の風量または風速が不均一である請求項1ないし請求項5いずれかに記載の除去効率測定方法。
【請求項7】
前記除去効率測定方法では、前記対象ガスを除去する使用中の状態にある前記ガス除去装置の除去効率を測定する請求項1ないし請求項6いずれかに記載の除去効率測定方法。
【請求項8】
前記ガス濃度測定装置が、複数種類のガスの濃度を連続して同時に測定することが可能な光音響ガスモニタである請求項1ないし請求項7いずれかに記載の除去効率測定方法。
【請求項9】
前記ガス除去装置が、空気中の前記対象ガスを吸着するガス除去エアフィルタである請求項1ないし請求項8いずれかに記載の除去効率測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−226944(P2011−226944A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97647(P2010−97647)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000153100)株式会社日本環境調査研究所 (30)
【Fターム(参考)】