説明

除湿剤

【課題】水分の吸着性に優れていると共に、吸着水分の放出を低温で行うことが可能な除湿剤を提供する。
【解決手段】FAU型ゼオライトのアルミニウム硫酸塩処理物であって、SiO/Al(モル比)が2.5乃至5.5、結晶度が40%以上及びカチオン交換容量が80乃至180meq/100gの範囲にある変性ゼオライトからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ゼオライトからなる除湿剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体などの製造装置が収容された各種の工場内や一般家庭では空気中の水分を一定量に保つために除湿剤が使用されている。このような除湿剤としてはシリカゲルや各種のゼオライトが知られている。
【0003】
特にゼオライトは、シリカゲルに比して吸湿性に優れており、工業的な用途に広く使用されている。例えば、特許文献1には複数種のゼオライト粒子が分散されている除湿層を備えた除湿ロータが開示されている。
また、特許文献2にはゼオライトを酸処理して非晶質化した変性アルミノケイ酸を乾燥剤として用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−167838号
【特許文献2】特開平6−277440号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、ゼオライトをそのまま除湿剤として用いた場合、吸湿後のゼオライトから水分を放出せしめ、再び水分の吸着に再利用するためには、約500℃程度の高温に加熱することが必要であり、このため一般家庭などでの使用が大きく制限されていた。即ち、再生のための加熱時に火災等を引き起こし易いからである。
【0006】
一方、特許文献2で提案されている変性アルミノケイ酸はゼオライトに比して吸着水分を容易に放出することができるという利点を有しているが、吸湿性能が大きく低下してしまうという問題があり、このため、除湿剤としての使用が実質上困難である。また、この変性アルミノケイ酸は非晶質化されているため、水分の吸着及び脱着(吸着水分の放出)を繰り返して行うにしたがって吸着性能が低下していくという問題もある。
【0007】
従って、本発明の目的は、水分の吸着性に優れていると共に、吸着水分の放出を低温で行うことが可能な除湿剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、水分の吸着及び脱着を繰り返し行った場合においても、優れた吸湿性能を維持し得る除湿剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ゼオライトの吸湿性能について多くの実験を行った結果、ゼオライトをアルミニウム硫酸塩により処理することによって得られた変性ゼオライトは、優れた吸湿性能を保持しているばかりか、吸着水分の放出を従来に比して著しい低温での加熱により行うことができるという新規な知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明によれば、FAU型ゼオライトのアルミニウム硫酸塩処理物であって、SiO/Al(モル比)が2.5乃至5.5、結晶度が40%以上及びカチオン交換容量が80乃至180meq/100gの範囲にある変性ゼオライトからなることを特徴とする除湿剤が提供される。
【0010】
本発明の除湿剤においては、
(1)前記変性ゼオライトは、窒素吸着法により測定して、細孔直径650nm未満の細孔容積が0.02乃至0.30cm/gの範囲にあり且つ比表面積が100m/g以上であること、
(2)前記変性ゼオライトが、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が0.5乃至3.5μmの範囲にあること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の除湿剤は、従来公知のゼオライトと同程度の吸湿性能を有しているばかりか、吸着水分の放出性にも優れている。例えば、後述する実施例に示されているように200℃程度の低温での加熱により吸着水分を放出することができる。従って、この除湿剤は容易に再生して再利用することができ、特に、一般家庭での使用には最適である。
【0012】
本発明の除湿剤がゼオライトと同程度の吸湿性能を維持しつつ、優れた吸着水分放出性を有している理由については正確に解明されていないが、本発明者等は、この除湿剤がゼオライトをアルミニウム硫酸塩により処理することによって、細孔構造に変化がもたらされているためではないかと推定している。
即ち、ゼオライトを硫酸等の酸で処理した場合にはナトリウム等の交換性イオンが取り除かれると同時に、結晶中のアルミニウムも取り除かれる。このため、ゼオライト結晶の崩壊による非晶質化が進行すると同時に、Alの除去によってゼオライト中のミクロ細孔径が次第に拡大してメソ細孔となり、その後さらに処理が進むと最終的にはこの細孔は消失してしまう。従って、硫酸処理のある狭い特定条件範囲においては吸湿性能や吸着水分放出性が増大することがあったとしても最終的には吸湿性能は大きく低下する。
これに対して、アルミニウム硫酸塩で処理した場合には、ゼオライト中の交換性イオンが取り除かれる点については酸処理の場合と同じであるが、結晶中のAlの抽出の進行(非晶質化)が極めて遅いばかりか、Alの抽出除去と同時に粒子表面にアルミニウム硫酸塩中のAl成分が沈着する。従って、アルミニウム硫酸塩で処理された変性ゼオライトでは処理前のゼオライトに比してSiO/Al(モル比)が若干増大し、しかも、ゼオライト中のミクロ細孔がある程度拡大した状態に保持され、この結果として、優れた吸湿性能と共に吸着水分放出性の向上がもたらされるのではないかと考えられる。
【0013】
また、本発明の除湿剤としては、ゼオライトの結晶度が40%以上、好ましくは40乃至90%に維持されているため、その細孔構造が極めて安定であり、吸湿性の耐久性も良好であり、水分の吸着及び脱着を繰り返し行った場合においても、その優れた吸湿性能が損なわれることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の変成ゼオライト(実施例1)と、標準物質(触媒学会のJRC-Z-Y4.8)のX線回折像。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(変性ゼオライトの製造)
本発明の除湿剤は、FAU型ゼオライトをアルミニウム硫酸塩で処理することによって得られる変性ゼオライトからなる。
このFAU型ゼオライトには、Y型ゼオライト及びX型ゼオライトがあり、これらゼオライトの一般的な組成及び物性は次のとおりである。
【0016】
<Y型ゼオライト>
SiO/Al(モル比):3.0乃至5.5
NaO:10.0乃至16.0wt%
強熱減量(1050℃):12.0乃至19.0wt%
カチオン交換容量:290乃至480meq/100g
細孔容積(細孔直径650nm未満):0.25乃至0.45cm/g
【0017】
<X型ゼオライト>
SiO/Al(モル比):2.0乃至3.0
NaO:15.0乃至18.0wt%
強熱減量(1050℃):15.0乃至20.0wt%
カチオン交換容量:480乃至645meq/100g
細孔容積(細孔直径650nm以下):0.25乃至0.40cm/g
【0018】
本発明においては、上記のFAU型ゼオライトの中でも、吸湿性能および結晶耐久性に優れた変性ゼオライトが得られるという観点から、特にY型ゼオライトが好適である。
【0019】
上記のFAU型ゼオライトの処理に用いるアルミニウム硫酸塩としては、下記式で示されるものが挙げられる。
Al・nSO
ここで、
n<3は塩基性硫酸アルミニウム、
n=3は正塩(所謂硫酸アルミニウム)、
n>3の場合は硫酸アルミニウムと硫酸の混合物
これらは、いずれも使用することができるだけでなく、それぞれを混合して用いても良い。特に、反応性等の観点から正塩(硫酸アルミニウム(硫酸バンド))が好適である。尚、後述の実施例での硫酸アルミニウムは正塩を用いている。
【0020】
また、アルミニウム硫酸塩を用いての処理は、水性媒体中でFAU型ゼオライト粒子とアルミニウム硫酸塩とを混合することにより行われる。例えば、FAU型ゼオライトの水性懸濁液にアルミニウム硫酸塩水溶液を滴下混合してもよいし、この逆に、FAU型ゼオライトの水性懸濁液をアルミニウム硫酸塩水溶液に滴下混合してもよいし、或いはFAU型ゼオライト粒子とアルミニウム硫酸塩とを同時に水中に添加してもよい。
【0021】
用いるアルミニウム硫酸塩の量は、FAU型ゼオライト(以下、単にゼオライトと呼ぶことがある)の交換容量が80乃至180meq/100gに低下するような量であればよく、該ゼオライト中に含まれる交換性カチオンの量に応じて適当量の硫酸根が含まれるような量で使用すればよい。具体的には、SO/NaO(モル比)が、0.1乃至2.0、特に0.2乃至1.5程度となる量でアルミニウム硫酸塩を使用するのがよい。必要以上の量でアルミニウム硫酸塩を用いると、非晶質化が過度に進行してしまい、この結果、細孔構造が必要以上に変化してしまい、吸湿性や吸着水の放出性が低下したり、吸湿性の耐久性が低下したりする恐れがある。一方、アルミニウム硫酸塩の量が少ないと、細孔構造が十分に変化せず、吸着水分の放出性を高めることができなくなってしまう。
【0022】
上述したアルミニウム硫酸塩による処理は、一般に5乃至40℃の範囲で行うのがよい。この処理を加熱下で行うとゼオライトの非晶質化が過度に進行してしまう恐れがあるからである。また、処理時間は、一般に、0.5乃至3.0時間程度である。
【0023】
上記の処理終了後は、ろ過及び水洗を行い、未反応のアルミニウム硫酸塩及び生成した交換性カチオンの硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)を除去し、更に、乾燥及び粒度調整を行うことにより、本発明の除湿剤として使用される変性ゼオライトを得ることができる。
【0024】
<除湿剤>
上記の処理によって得られた除湿剤として使用される変性ゼオライトでは、SiO/Al(モル比)が2.5乃至5.5、好ましくは3.0乃至5.5の範囲にある。即ち、アルミニウム硫酸塩による処理によって結晶中のAl分が取り除かれると同時に、ゼオライト粒子の表面にアルミニウム硫酸塩中のAl分が沈着し、この結果、この変性ゼオライトのSiO/Al(モル比)は処理前のゼオライトに比してやや小さい値になる。
【0025】
また、この変性ゼオライトの結晶度は、40%以上、好ましくは40乃至90%である。即ち、前述したアルミニウム硫酸塩による処理によって、ゼオライトの非晶質化が進行するが、本発明では一定の結晶度が保持されるようにこの非晶質化が抑制されているのであり、これにより、細孔構造が適度に変化し、この結果、ゼオライトの吸湿性能を低下せずに、吸着水分の放出性が向上し、更には、吸湿性の耐久性も維持することができるわけである。例えば、結晶度が上記範囲よりも小さい場合には、細孔構造が過度に変化してしまうためと思われるが、吸着性能が低下するばかりか、吸着水分の放出性も低下してしまい、更には、吸湿性の耐久性も損なわれてしまう。
【0026】
尚、本発明において結晶度とは、X線回折において、標準物質(触媒学会のJRC-Z-Y4.8)の特定の5つの面指数のピーク強度の和を100%とし、このピーク強度の和に対する変性ゼオライトのピーク強度の和の相対比である(詳細は、後述の実施例を参照)。
【0027】
更に、この変性ゼオライトのカチオン交換容量は、アルミニウム硫酸塩処理によって交換性カチオンが取り除かれるため、処理前のゼオライトに比して低い値となり、具体的には、80乃至180meq/100gの範囲にある。
【0028】
このように、アルミニウム硫酸塩によって変性されたゼオライトは各種の物性や組成の変化により細孔容積や比表面積も処理前のゼオライトから変化している。例えば、窒素吸着法により測定して、細孔径650nm以下の細孔容積が0.02乃至0.30cm/g、好ましくは0.10乃至0.30cm/gの範囲にある。また比表面積は、100m/g以上、特に350乃至800m/gである。
【0029】
かくして、上記の変性ゼオライトは、処理前のゼオライトと同程度の優れた吸湿性を有しているばかりか、吸湿性の耐久性にも優れ、例えば、後述する条件下で水分の吸着及び脱着を5回繰り返した場合においても、その吸湿能力は硫酸で処理した変成ゼオライトに較べて高い(後述の表3を参照)。また、処理前のゼオライトに較べ、初期放湿能力にも優れている(後述の表4を参照)。
【0030】
尚、本発明の除湿剤として用いる前記変性ゼオライトは、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が0.5乃至3.5μmの範囲となるように粒度調整されていることが成形する場合の作業性や成形性などの点で好ましい。
【0031】
本発明の除湿剤は、粒状物の使用に供することもできるし、樹脂バインダと混合し、所定の形状に成形して使用に供することもできる。
本発明の除湿剤は、特に、吸着水分の放出性に優れ、低温領域での加熱により吸着水分を放出せしめて再生することができるため、特に、一般家庭の空調用として好適使用することができる。例えば、特許文献1の除湿ロータなどに設けられている除湿層中に配合して使用することが可能である。
尚、この除湿剤は、水分の吸着及び脱着の何れもが容易に行われるため、空気を利用した蓄熱システム(例えばヒートポンプ)に用いる吸着剤などの用途にも使用することができる。
【実施例】
【0032】
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
尚、実施例における各種試験は下記の方法で行った。
【0033】
(1)化学組成
強熱減量(Ig-Loss)は、試料を1050℃で一時間焼成後放冷し減量から定量した。また、他の元素分析については、(株)リガク製 Rigaku RIX 2100を用い、ターゲットはRh、分析線はKαで、その他は以下の条件で測定を行った。
なお、試料は110℃で3時間乾燥した物を基準とする。
【0034】
【表1】

得られた分析データより、Ig-Loss、SiO、Al、NaO、SOの合計が100重量%になるように補正し、化学組成値を算出した。
【0035】
(2)結晶度
相対湿度90%に調湿済みのデシケーター中に乾燥試料を入れ、室温下で48時間以上静置し、水分を飽和量吸着させる。取出した試料を、X線回折測定する。同一条件で測定した標準物質(触媒学会のJRC-Z-Y4.8)のXRDにおいて、ICDD39−1380で(331)、(440)、(533)、(642)、(555)と示される5つの面指数のピーク強度の和を100%とした時の、測定試料の同一面指数ピーク強度の和の相対比を結晶度とする。
尚、X線回折測定はリガク社製のultima4を用いて、Cu−Kαにて下記の条件で測定を行った。
ターゲット:Cu
フィルター:湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器:SC
電圧:40kV
電流:40mA
ステップサイズ:0.02°
計数時間:0.6sec/step
スリット:DS2/3° RS0.3mm SS2/3°
【0036】
(3)カチオン交換容量(CEC)
500mLのビーカーに試薬特級CaCl2にて調整した300mg-CaO/L溶液500mLを投入する。次いで試料を有姿のまま約0.5g(0.500±0.01mg)を秤量してこのビーカーに加え、マグネチックスターラーで7分間撹拌接触させる。7分後、直ちにメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液をホールピペットを用い正確に10mL採取する。そこにイオン交換水を加えて約100mLとした後、アンモニア(NH3-NH4CL)緩衝液を2〜3mLを加え、ユニバーサルB.Tを指示薬としてM/100EDTA標準液で滴定し(c2)、次式により無水ゼオライト分100g当たりのカチオン交換能を算出する。
又、300mL-CaO/L溶液についても、ろ液と同様に10mL採取して滴定(c1)を行い補正する。
カチオン交換能(meq/100g)=(c1-c2)F×100/(a×b/100)
ここで、
a:試料量(g)
b: 無水ゼオライト分(100―強熱減量)
c1:交換前の硬水のM/100EDTAの滴定量(mL)
c2:交換後の硬水のM/100EDTAの滴定量(mL)
F:M/100EDTAの力価
【0037】
(4)細孔容積(V)及び比表面積(S)
Micromeritics社製Tri Star 3000を用いて測定を行った。細孔容積は、P/Po=0.975未満の窒素吸着量から求めた。比表面積は比圧が0.01から0.1の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で解析した。
【0038】
(5)中位径(D50
Malvern社製mastersizer を使用し、fraunhofer法で中位径(D50)を測定した。
【0039】
(6)吸湿能力
吸湿性能を吸湿能力で評価した。
温度が25±2℃に調整された室内に置いて任意の湿度に調整されたデシケーターを用意する。湿度調整は硫酸−水混合液または飽和塩溶液を用いた。試料は全て500℃×2hrで前焼成を施し、五酸化二リンを乾燥剤としたデシケーター中で放冷後、約0.5gを秤量瓶を用いて秤量(A)する。任意の湿度に調整されたデシケーターに試料入り秤量瓶を投入し試験を開始させる。経時で重量変化を測定し、恒量に達したのを確認してから秤量(B)する。次式を用いて任意の湿度における試料の平衡吸湿容量を算出し、吸着等温線を得た。
平衡吸湿容量(wt%)=(A-B)×100/A
【0040】
(7)結晶耐久性
吸湿性の耐久性を結晶耐久性で評価した。
測定試料について水分散、ろ過、200℃乾燥を1サイクルとして、5サイクル後の試料について前述の結晶度の測定手法に従ってX線回折測定を行い、ピーク強度の和を求める。0サイクル(初期試料)のピーク強度の和を分母とし、5サイクル後の試料のピーク強度の和を分子とし、百分率(%)として結晶耐久性を表す。測定結果を表4に示す。
【0041】
(8)初期放湿能力
吸湿能力測定時に使用した試料(RH90%飽和吸湿品)を使用し、飽和吸湿試料重量(2.00g)を正確に秤量し、AMD社製自動水分計を使用して160℃での乾燥時重量(A)を記録する。160℃到達1分後の試料重量(B)を測定した。次式より初期放湿能力を求め、市販品の初期能力を100とした時に、各試料の初期放湿能力との割合(%)を求め、結果を表5に示す。
初期放湿能力(wt%)=(A−B)×100/飽和吸湿試料重量
【0042】
(市販品1)
原料となるFAU型ゼオライトとして、市販品のY型ゼオライトを用いた(これを市販品1とする)。このゼオライトの主な化学組成を下記に示し、また、他の物性については表2に示す。更に、初期放湿能力については表5に示した。
SiO2/Al2O3(モル比):4.0
Na2O:12.9wt%
強熱減量(1050℃):15.3wt%
【0043】
(実施例1)
市販品1を110℃乾燥物基準で50g秤量し、20wt%濃度となるようにイオン交換水を用いてスラリー1を調整する。ゼオライト中に存在するNa2O量に対しモル比でSO3/Na2O=0.4となるように硫酸アルミニウムを用意し、イオン交換水でSO3濃度が4wt%となるように希釈して溶液A1を調整する。溶液A1の全量投入時間が一時間になるように定量ポンプを用いて撹拌下のスラリー1に注加する。注加終了後、定法に従ってろ過水洗を行い、得られたケーキは110℃恒温乾燥機を用いて乾燥させる。乾燥物は小型粉砕機を用いて粉砕し試料を得た。各種測定を行い、結果を表2〜5に示す。
【0044】
(実施例2)
硫酸アルミニウムの量を、ゼオライト中に存在するNa2O量に対しモル比でSO3/Na2O=0.84となるように変更して溶液A2を調整した以外は、実施例1と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2〜5に示す。
【0045】
(実施例3)
硫酸アルミニウムの量を、ゼオライト中に存在するNa2O量に対しモル比でSO3/Na2O=1.34となるように変更して溶液A3を調整した以外は、実施例1と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2及び3に示す。
【0046】
(実施例4)
実施例2において、硫酸アルミニウムに替えて、硫酸及び硫酸アルミニウムを併用してSO3/Na2O=0.84、SO3濃度4wt%となる溶液A4を調整する。この時、全体のSO3量に占める硫酸由来のSO3量を50%となるように調整した。これ以外は、実施例2と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2及び3に示す。
【0047】
(比較例1)
実施例1の溶液A1の調整において、硫酸アルミニウムを硫酸に変更して溶液B1を調整した。それ以外は、実施例1と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2及び3に示す。
【0048】
(比較例2)
実施例2の溶液A2の調整において、硫酸アルミニウムを硫酸に変更して溶液B2を調整した。それ以外は、実施例2と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2〜4に示す。
【0049】
(比較例3)
実施例3の溶液A3の調整において、硫酸アルミニウムを硫酸に変更して溶液B3を調整した。それ以外は、実施例3と同様にして行い、試料を得た。各種測定を行い、結果を表2及び3に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAU型ゼオライトのアルミニウム硫酸塩処理物であって、SiO/Al(モル比)が2.5乃至5.5、結晶度が40%以上及びカチオン交換容量が80乃至180meq/100gの範囲にある変性ゼオライトからなることを特徴とする除湿剤。
【請求項2】
前記変性ゼオライトは、窒素吸着法により測定して、細孔直径650nm未満の細孔容積が0.02乃至0.30cm/gの範囲にあり且つ比表面積が100m/g以上である請求項1記載の除湿剤。
【請求項3】
前記変性ゼオライトが、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が0.5乃至3.5μmの範囲にある請求項1また2に記載の除湿剤。

【図1】
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【公開番号】特開2012−71278(P2012−71278A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219681(P2010−219681)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】