説明

除湿器

【課題】廃棄物を可及的に減少させることができるとともに、吸湿初期の目視による吸湿効果が容易に確認でき、かつ、構造が簡単な除湿器を提供する。
【解決手段】潮解性除湿剤24と、該潮解性除湿剤24を封入する包装体23と該包装体23を収容する容器本体22とからなる除湿器21において、包装体23の少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなるとともに、包装体23が少なくとも1個以上の角部29を有する立体形状で、かつ、包装体23の少なくとも1個の角部29が容器本体22の底部30に向けて収納されていることで除湿器21を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿気を取る除湿器に関するものであり、特に、食品庫、衣装タンス、家具、室内等で利用される除湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の潮解性除湿剤を用いて押入やタンス等の収納空間の湿気を取り湿度を低下させる簡易タイプの除湿器が市販され、広く普及している。図9及び図10に示す除湿器はその代表的なもので、これらの除湿器は特許文献1でも知ることができる。
【0003】
図9に示す従来の除湿器1は、半透明の合成樹脂からなる蓋体2と容器本体3から構成され、蓋体2には複数の通気孔4,4…が設けられている。容器本体3は、上下中間部に複数の小孔を有する仕切部材5が収納配置され、該仕切部材5により容器本体3内を上方の潮解性除湿剤収容部6と下方の潮解性除湿剤の潮解液貯留部7に隔成されている。
【0004】
前記潮解性除湿剤収容部6には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の顆粒状の潮解性除湿剤8が収納され、潮解性除湿剤収容部6の上部は透湿防水性シート9が熱溶着されて閉塞されている。そして、透湿防水性シート9上には、アルミシート等の非透湿性シート10が剥離可能に熱溶着等で密封されている。
【0005】
そして、除湿器1は、使用に際して、非透湿性シート10を取り除いた後、押入、タンス等の目的箇所に設置することで、該押入やタンス等の空間中の湿気が透湿防水性シート9を透過して収容された潮解性除湿剤8により吸収される。また、容器本体3が潮解液で一杯になるか、潮解性除湿剤8が無くなるのを目安に、蓋体2及び容器本体3がそのまま廃棄される。
【0006】
図10に示す従来の除湿器11は、半透明の合成樹脂からなる蓋体12と容器本体13から構成され、蓋体12には複数の通気孔14,14…が設けられている。容器本体13には、該容器本体13に収容される潮解性除湿剤15を収納する上面通気の内容器16が収容配置されている。
【0007】
前記内容器16は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の顆粒状の潮解性除湿剤15を収納する多孔状内袋17と潮解液を収納する水溜め外袋18との二重袋である。また、内容器16の上部は透湿防水性シート19が熱溶着されて閉塞されている。なお、透湿防水性シート19上には、アルミシート等の非透湿性シート20が剥離可能に熱溶着等で密封されている。
【0008】
そして、除湿器11は、使用に際して、非透湿性シート20を取り除いた後、押入、タンス等の目的箇所に設置することで、該押入やタンス等の空間中の湿気が透湿防水性シート19を透過して収容された潮解性除湿剤15により吸収される。また、水溜め外袋18が潮解液で一杯になるか、潮解性除湿剤15が無くなるのを目安に、蓋体12と容器本体13を残して詰替用の内容器16がそのまま廃棄される。
【特許文献1】特開平2001−149734号公報(図10、図11参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、図9に示すタイプの除湿器では使用後、容器毎全てが廃棄され、図10に示すタイプの除湿器では詰替用容器等が廃棄されるので、いずれのタイプも廃棄される部材が多く、ゴミ問題として大きな課題が生じる。しかも、該容器の使用材料はプラスチックであり、また多くの構成部品点数から構成されているので、その廃棄処理が社会問題となっている今日、益々そのプラスチック使用の低減化や構成部材点数の低減化が要求されることが予想される。
【0010】
また、従来の除湿器は、吸湿初期において、潮解性除湿剤が水分を吸湿するとしても、潮解性除湿剤の内部に結晶水として保持したままで除湿剤潮解液としては下方に垂れない。このため、結晶水として保持できなくなるまで、容器や水溜め外袋の内部下方部に潮解液は溜まらないので、吸湿初期には目視による吸湿効果の確認ができないという問題が生じていた。このことは、特に、冬時期の低温時において顕著であった。
【0011】
さらに、従来の除湿器は、構造が煩雑であり、作業にも手間がかかり、コスト的にも不利になる問題が生じていた。
【0012】
そこで、廃棄物を可及的に減少させることができるとともに、吸湿初期の目視による吸湿効果が容易に確認でき、かつ、構造が簡単な除湿器を提供するために解決すべき技術課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、潮解性除湿剤と、該潮解性除湿剤を封入する包装体と、該包装体を収容する容器とからなる除湿器において、前記包装体の少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなるとともに、前記包装体が少なくとも1個以上の角部を有する立体形状で、かつ、該包装体の少なくとも1個の角部が前記容器の底部に向けて収納されている除湿器を提供する。
【0015】
この構成によれば、除湿剤潮解液が溜まった包装体だけをゴミとして廃棄することができる。また、除湿剤潮解液は、立体形状をした包装体内で容器の底部を向いている角部に向かって集まる。
【0016】
請求項2記載の発明は、上記少なくとも1個以上の角部を有する立体形状の包装体は、三角錐、四角錐、立方体、直方体の中から選ばれた立体形状の包装体である除湿器を提供する。
【0017】
この構成によれば、三角錐、四角錐、立方体、直方体の中から選ばれた立体形状の角部を容器の底部に向けて、包装体を配置できる。
【0018】
請求項3記載の発明は、上記潮解性除湿剤を封入する包装体は、3つの辺の周縁をシールした周縁部と、1つの辺だけが開口された開口部とを有する少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなる2枚重ねの包装体であって、前記開口部の両端部分を内側へ互いに引いて前記開口部の周縁部を重ね合わせるとともに、前記周縁部に対して直交状態で重ね合わせてシールした包装体である除湿器を提供する。
【0019】
この構成によれば、単純な作業で、立体形(三角錐)状の包装体を得ることができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、上記潮解性除湿剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウムの中から選ばれた1種または2種以上の潮解性除湿剤である除湿器を提供する。
【0021】
この構成によれば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウムの中から選ばれた1種または2種以上の潮解性除湿剤を使用した除湿器が得られる。
【0022】
請求項5記載の発明は、上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部に、ミシン目または半切り込みによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成した除湿器を提供する。
【0023】
この構成によれば、ミシン目または半切り込み部分で包装体を切り裂くと、包装体に穴が空いて除湿剤潮解液が排出され、該包装体は小さなゴミになる。
【0024】
請求項6記載の発明は、上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部を波形カットによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成した除湿器を提供する。
【0025】
この構成によれば、波形カット部分で包装体を切り裂くと、包装体に穴が空いて除湿剤潮解液が排出され、該包装体は小さなゴミになる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明は、除湿剤潮解液が溜まった包装体だけをゴミとして廃棄することができるので、従来のように容器ごと全部、または詰替用容器をゴミとして廃棄する必要がない。したがって、廃棄物を可及的に減少させることができる。また、除湿剤潮解液は容器の底部を向いている包装体の角部に向かって集まるので、該除湿剤潮解液が目視でき、吸湿初期における吸湿効果を容易に確認することができる。さらに、透湿防水性フィルムと潮解性除湿剤との距離が使用開始から使用終了まで常に近接しているので、吸湿速度を速くすることができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、1個以上の角部を有する立体形をした包装体形状をしているので、少ない包装量で多くの除湿剤潮解液を保持できる。例えば、塩化カルシウム等の潮解性除湿剤は使用終了時には約2倍量の除湿剤潮解液になる。そのため、包装体内にある程度の空間を確保する必要があり、従来の平面状形式の包装体においては、前記空間を作るために大きな包材を必要としていたが、本発明のように立体形状の包装体とした場合には立体的になるため、請求項1記載の発明の効果に加えて、少ない包装量で多くの除湿剤潮解液を保持できることになる。
【0028】
請求項3記載の発明は、単純な作業で、立体形(三角錐)状の包装体を得ることができるため、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、複雑な製造ラインを用いることなく、容易に製造することができる。
【0029】
請求項4記載の発明は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウムの中から選ばれた1種または2種以上の潮解性除湿剤を使用することにより、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、吸湿能力及び価格等の点において優れた除湿器が得られる。
【0030】
請求項5記載の発明は、上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部に、ミシン目または半切り込みによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成しているので、該取出口切除線の部分で包装体を容易に切り裂くことができ、請求項1,2,3または4記載の発明の効果に加えて、包装体内に溜まった除湿剤潮解液を容易に排出することができる。
【0031】
請求項6記載の発明は、上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部を波形カットによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成しているので、該取出口切除線の部分で包装体を容易に切り裂くことができ、請求項1,2,3または4記載の発明の効果に加えて、包装体内に溜まった除湿剤潮解液を容易に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。説明に用いる図面においては、同一または同種の部分に同じ番号を付して説明を省略することがある。
【0033】
廃棄物を可及的に減少させることができるとともに、吸湿初期の目視による吸湿効果が容易に確認でき、かつ、構造が簡単な除湿器を提供するという目的を達成するために、潮解性除湿剤と、該潮解性除湿剤を封入する包装体と、該包装体を収容する容器とからなる除湿器において、前記包装体の少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなるとともに、前記包装体が少なくとも1個以上の角部を有する立体形状で、かつ、該包装体の少なくとも1個の角部が前記容器の底部に向けて収納されている除湿器としたことにより実現した。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の除湿器について、好適な実施例をあげて説明する。図1は本発明に係る除湿器の断面側面図で、図2は本発明の除湿器の平面図である。
【0035】
図1及び図2において、除湿器21は、容器本体22と、該容器本体22内に収容された包装体23と、該包装体23に収容された潮解性除湿剤24から構成されている。
【0036】
前記容器本体22は、円筒状で上面が開口されてなり、内部が透視可能な透明または半透明の合成樹脂材で形成されている。該容器本体22は、後述する立体形(三角錐)に形成されている包装体23の少なくとも1個の角部29を該容器本体22の底部30に向けて垂下させ、かつ、該包装体23の残りの部分を該容器本体22の上面開口部分に取り付け、容器本体22内に包装体23を収納保持できる構造になっている。
【0037】
なお、容器本体22の形状は、円筒状に限らず、角筒、三角筒、深皿状、浅皿状等、種々の形態をとることも可能で、容器本体22の肉厚は、その容器形状が保持できる程度の薄い厚さにして形成すればよい。また、容器本体22に従来の除湿器の構造と同じように、複数の通気孔を有する蓋体を上面開口部分に被せてもよい。
【0038】
前記容器本体22の成形方法は、射出成形法、中空成形法、真空成形法等の手段を任意に選択でき、特に限定されるものではない。しかし、容器本体22の肉厚を薄くしたり、透明性をよくしたりする場合は真空成形法が最適である。また、例えば、熱可塑性のプラスチックシートをプラグに挟み、シートの両面または片面から加熱軟化させたものを、多くの小孔のある凸型または凹型の金型の上に載せ、型の反対側から小孔を通して空気を抜き、シートを金型に密着せしめた後、冷却して取り出す真空成形法や、該真空成形法と中空成形との中間的なもので、加熱軟化させたシートを真空成形する代わりに圧縮空気で吹き込み成形する圧空成形法等を用いてもよい。
【0039】
また、図3の斜視図に示す前記包装体23は、三角錐をした立体形に形成されている形状の包装体であり、湿気を外部から内部に透過させる透湿防水性フィルムと、内部を肉眼で透視することができ、かつ、液体を通さない非透湿性フィルムとから形成されている。前記包装体23は少なくとも1つ以上の角部を有する立体形状であれば良く、三角錐、四角錐、立方体、直方体等の立体形状の包装体が好ましい。
【0040】
なお、前記透湿防水性フィルムとしては、微多孔性熱可塑性樹脂シートが好ましい。この微多孔性熱可塑性樹脂シートは、無機充填剤を含有した熱可塑性樹脂シートを成形後に延伸することにより製造され、微細孔が多数形成されたものである。この微多孔性熱可塑性樹脂シートの成形に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、あるいはポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等があげられる。この微多孔性熱可塑性樹脂シートからなる透湿防水性フィルムには、積水化学(株)製の商品名「セルポア」、徳山曹達(株)製の商品名「NFシート」、ダイニック(株)製の商品名「NISシート」、三菱化成(株)製の透湿性フィルムであるKT−50、LE−85、PAUF、エクセポールE、三井東圧(株)製の通気性フィルムである商品名「ミューフィルムMP」、日東電工(株)製の多孔質フィルム等がある。
【0041】
前記非透湿性フィルムは、透明、かつ、非透水性フィルムで構成されている。この非透水性フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等の樹脂フィルムの単体または複合(ラミネート)フィルムが好適である。
【0042】
次に、前記包装体23の製造手順の一例を図4〜図7を用いて説明する。まず図4に示すように、四角形のシートに各々裁断された透湿防水性フィルム25と非透湿性フィルム26を2枚用意する。この2枚のフィルム25,26を図5に示すように2枚重ね合わせ、かつ、3つの辺の周縁部27,27,27を熱溶着してコ字状に貼り合わせて1つの辺だけが開口された袋を形成する。なお、図6は図5の矢印A方向(開口部32側)より見た側面図である。
【0043】
次いで、図6において開口部32を矢印B,B方向に広げ、該開口部32から袋内に粒状の潮解性除湿剤24を入れる。その後、図7に示すように、開口部32の両端部分を内側(矢印C,C方向)へ互いに引いて該開口部32の周縁部分を重ね合わせると、前記コ字状シール部分(3つの周縁部27,27,27)に対して直交状態で重ね合わされる。また、この重ね合わされた開口部32側の周縁部27を熱溶着して封止すると、図3に示す潮解性除湿剤24を封入させた立体形をした包装体23が作成される。
【0044】
なお、本実施例では、図3に示すように、立体形をした包装体23の稜線となる周縁部27の中間部分に、ミシン目または半切り込みによって形成される取出口切除線28を設け、必要により該取出口切除線28の部分で包装体23の一部を切り裂くことができる構造になっている。そして、該取出口切除線28の部分で包装体23の一部を切り裂くと、該包装体23内に溜まった除湿剤潮解液を排出させて破棄することができる。
【0045】
前記潮解性除湿剤24は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム等潮解性の物質であり、特に塩化カルシウムや塩化マグネシウムが吸湿能力及び価格等の点から好ましく、また1種または2種以上混合させて使用してもよい。本実施例においては、潮解性除湿剤24は、滴下造粒方式や空冷造粒方式等により粒状に製剤されている。
【0046】
また、包装体23には、潮解性除湿剤24の他、脱臭剤や防カビ剤、防虫剤等を入れておいてもよい。その場合は、吸湿作用と同時に脱臭作用や防カビ効果、防虫効果を奏することができる。脱臭剤としては、シリカゲル、生石灰、活性アルミナ、硫酸マグネシウム、ゼオライト、活性炭、硫酸カルシウム、五酸化リン、過塩素酸マグネシウム、硫酸、木炭、マドソール等を用いうる。また、防カビ剤としては、三愛石油(株)製の商品名「BCA」,「BCAゲル」、バイエルジャパン(株)製の商品名「OPP」,「ペリベントールCMK」、大和化学工業(株)製の商品名「アモルデンTS−100」等を用いうる。防虫剤には、エムペントリン、パラジクロルベンゼン、ショウノウ、ナフタリン等がある。
【0047】
このように構成された包装体23は、容器本体22に収納した状態、または詰替用として包装体23単体で提供するもので、いずれの場合においても使用する前は、透湿防水性フィルム25の表面に非透湿性シートを貼り付けて覆っておき、使用に際して該非透湿性シートを取り除いて容器本体22にセットされる。なお、使用前、透湿防水性フィルム25の表面に非透湿性シートを貼り付けておく代わりに、非透湿性シートで作られた袋内に包装体23を封入しておき、使用に際して袋から取り出して容器本体22にセットするようにしてもよい。
【0048】
そして、包装体23の容器本体22へのセットは、前述したように本実施例の場合では、例えば三角錐の立体形をした包装体23の少なくとも1個の角部29を容器本体22の底部30に向けて垂下させ、残りの部分を容器本体22の上面開口部分に取り付けて収納させる。この場合、透湿防水性フィルム25が上面開口部分に表出し、非透湿性フィルム26が下側に垂れ下がるようにするとよい。
【0049】
また、容器本体22に包装体23をセットした後は、除湿器21を押入、タンス等の目的箇所に設置することで、空間中の湿気が透湿防水性フィルム25を透過して収容された潮解性除湿剤24により吸収され、これが除湿剤潮解液となって包装体23内に角部29側の先端側から徐々に溜まる。また、包装体23内が除湿剤潮解液で一杯になるか、または潮解性除湿剤24が無くなるのを目安に、詰替用の包装体23が取り出されて新しい包装体23と交換される。取り出された使用済みの包装体23は、取出口切除線28の部分で包装体23の一部を切り裂くと、該包装体23内に溜まった除湿剤潮解液を外部に排出し、該包装体23を小さなゴミの状態にして廃棄することができる。
【0050】
したがって、この実施例による除湿器21の構成によれば、容器本体22から除湿剤潮解液が溜まった包装体23だけを取り出し、ゴミとして廃棄処理することができるので、廃棄物を減らすことができる。また、除湿剤潮解液は容器本体22の底部30を向いている立体形状をした包装体23の角部29に向かって集まるので、吸湿初期の吸湿効果を目視で容易に確認することができる。
【0051】
さらに、透湿防水性フィルムと潮解性除湿剤との距離が使用開始から使用終了まで常に近接しているので、吸湿速度を速くすることができる。
【0052】
また、本実施例の構造では、図3に示すように、稜線となる包装体23の周縁部27の中間部分に、半切り込みによって形成される取出口切除線28を設けて包装体23の一部を切り裂くことができるように形成されているので、該取出口切除線28の部分で包装体23の一部を切り裂くと、該包装体23内に溜まった除湿剤潮解液を包装体23の外へ容易に排出することができる。
【0053】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0054】
例えば、上記実施例では、図3において、包装体23の周縁部27の中間部分に、半切り込みによって形成される取出口切除線28を設けているが、図8に示すように、稜線部(周縁部27)を波形にカットして除湿剤潮解液の取出口切除線31を形成し、該取出口切除線31の部分で包装体23を切り裂いて包装体23内に溜まった除湿剤潮解液を排出するようにしてもよい。なお、図8において図3と同一符号を付している部材は図3に示す包装体と同じ部材を示している。
【0055】
また、潮解性除湿剤24の効力期間を目視で判るように色調変化するインジケータを付与してもよい。潮解性除湿剤24の有効成分の吸湿状態を示すインジケータとして、色調変化する金属塩をシート表面に装着することができる。または、有効成分の吸湿状態を示すインジケータとして、色調変化する金属塩を有効成分中に配合することができる。該インジケータとしては、例えば、水分によって変色する塩化コバルト無水物、あるいは硫酸銅無水物等を使用することもできる。また、水と接触して発色または変色を起こす、pH指示薬、酸化還元指示薬、ジアゾカップリング性物質、あるいは乾燥時に不透視性を有し湿潤時に透視性を有する着色シート等も用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る除湿器の断面側面図。
【図2】本発明に係る除湿器の平面図。
【図3】本発明の除湿器における包装体の全体斜視図。
【図4】同上包装体の製造過程を説明する図で、透湿防水性フィルムと非透湿性フィルムを貼り合わせる前の状態を示す斜視図。
【図5】同上包装体の製造過程を説明する図で、透湿防水性フィルムと非透湿性フィルムにおける3つの各外周縁部を互いに貼り合わせた状態で示す斜視図。
【図6】図5に示す袋体を開口部側から見た側面図。
【図7】上包装体の製造過程を説明する図で、透湿防水性フィルムと非透湿性フィルムの残り外周縁部を貼り合わせて立体形状を形成した状態を示す側面図。
【図8】本発明を実施する包装体の稜線部に波形カットで取出口切除線を形成してなる包装体の全体斜視図。
【図9】従来の一例である除湿器の断面正面図。
【図10】従来の他例である除湿器の断面正面図。
【符号の説明】
【0057】
21 除湿器
22 容器本体
23 包装体
24 潮解性除湿剤
25 透湿防水性フィルム
26 非透湿性フィルム
27 周縁部(稜線部)
28 取出口切除線
29 角部
30 底部
31 取出口切除線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮解性除湿剤と、該潮解性除湿剤を封入する包装体と、該包装体を収容する容器とからなる除湿器において、
前記包装体の少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなるとともに、前記包装体が少なくとも1個以上の角部を有する立体形状で、かつ、該包装体の少なくとも1個の角部が前記容器の底部に向けて収納されていることを特徴とする除湿器。
【請求項2】
上記少なくとも1個以上の角部を有する立体形状の包装体は、三角錐、四角錐、立方体、直方体の中から選ばれた立体形状の包装体であることを特徴とする請求項1記載の除湿器。
【請求項3】
上記潮解性除湿剤を封入する包装体は、3つの辺の周縁をシールした周縁部と、1つの辺だけが開口された開口部とを有する少なくとも一部が透湿防水性フィルムからなる2枚重ねの包装体であって、前記開口部の両端部分を内側へ互いに引いて前記開口部の周縁部を重ね合わせるとともに、前記周縁部に対して直交状態で重ね合わせてシールした包装体であることを特徴とする請求項1または2記載の除湿器。
【請求項4】
上記潮解性除湿剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウムの中から選ばれた1種または2種以上の潮解性除湿剤であることを特徴とする請求項1,2または3記載の除湿器。
【請求項5】
上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部に、ミシン目または半切り込みによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成したことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の除湿器。
【請求項6】
上記包装体は、所定の角部を中心として少なくとも一部の稜線部を波形カットによって除湿剤潮解液の取出口切除線を形成したことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の除湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−78207(P2009−78207A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248014(P2007−248014)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000153719)株式会社白元 (14)
【Fターム(参考)】