説明

除湿機

【課題】無駄な電力消費を簡単にぼうしする。
【解決手段】枠体内に圧縮機と凝縮器と蒸発器等からなる冷凍回路と送風ファンとを備え、前記蒸発器で発生したドレン水を貯めるドレンタンクを備えた除湿機に於いて、運転停止や運転モードを設定するスイッチ類と運転ランプ等の表示装置を備えた操作部を設け、この操作部等からの信号で前記圧縮機と送風ファン等の運転制御を行う制御部備え、前記運転モード選択スイッチにて節約モードが選択された場合には、運転開始より第1の所定時間前記圧縮機と送風ファンを継続運転したのち、第2の所定時間停止し、第3の所定時間運転し、第2の所定時間停止と第3の所定時間運転を繰り返すので、湿度センサや湿度制御のための回路構成を設けなくとも、無駄な電力消費を防ぐと共に、室内をほぼ快適な湿度にすることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般家庭で使用される小型の除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅内の湿度が影響して繁殖するダニの問題や発生するカビの問題などに対する関心が高く、室内の湿度調整するためや、洗濯物の乾燥の目的等で一般家庭でも除湿機が使用されている。
従来の除湿機の構造について説明すれば、合成樹脂製の吸入グリルと枠体と吹出しグリルで外郭を構成した除湿機本体の内部には圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブ、蒸発器、送風モータで駆動する送風ファンからなる冷凍手段と、蒸発器により生成された除湿水が水受け皿のドレン口より滴下して貯まるドレンタンクとが配設されている。
そして、高級タイプの除湿機の制御装置は、湿度センサを備え、この湿度センサによって検出した部屋の湿度が所定の値を下回ると圧縮機の運転を停止し、送風ファンによる送風のみを行い、部屋の湿度が所定の値を越えると圧縮機の運転を再開し除湿する構成としていた。(例えば、特許文献1参照)
また、低価格の除湿機は、湿度センサを備えず、部屋の湿度にかかわらず圧縮機と送風ファンを連続運転するものであった。
【特許文献1】特許第3066558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この従来のものは、前者は部屋の湿度を所定湿度に保つには適していたが、湿度センサや湿度制御のための回路構成等のコストが必要であるために、製品価格が高価である問題があった。
また後者は圧縮機と送風モータが常に連続運転するので、部屋の湿度が十分低い状態になっても圧縮機と送風モータは運転を続けるので、無駄な電力を消費してしまう欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為に、枠体内に圧縮機と凝縮器と蒸発器等からなる冷凍回路と送風ファンとを備え、前記蒸発器で発生したドレン水を貯めるドレンタンクを備えた除湿機に於いて、運転停止や運転モードを設定するスイッチ類と運転ランプ等の表示装置を備えた操作部を設け、この操作部等からの信号で前記圧縮機と送風ファン等の運転制御を行う制御部備え、前記運転モード選択スイッチにて節約モードが選択された場合には、運転開始より第1の所定時間前記圧縮機と送風ファンを継続運転したのち、第2の所定時間停止し、第3の所定時間運転し、第2の所定時間停止と第3の所定時間運転を繰り返すようにしたものである。
【0005】
また、前記操作部の運転モード選択スイッチに対応して運転モード表示ランプを設け、前記圧縮機と送風ファンが連続運転を行う連続除湿運転と前記節約モード運転を、前記運転モード表示ランプの点灯と点滅によって区別して表示するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、枠体内に圧縮機と凝縮器と蒸発器等からなる冷凍回路と送風ファンとを備え、前記蒸発器で発生したドレン水を貯めるドレンタンクを備えた除湿機に於いて、運転停止や運転モードを設定するスイッチ類と運転ランプ等の表示装置を備えた操作部を設け、この操作部等からの信号で前記圧縮機と送風ファン等の運転制御を行う制御部備え、前記運転モード選択スイッチにて節約モードが選択された場合には、運転開始より第1の所定時間前記圧縮機と送風ファンを継続運転したのち、第2の所定時間停止し、第3の所定時間運転し、第2の所定時間停止と第3の所定時間運転を繰り返すので、湿度センサや湿度制御のための回路構成を設けなくとも、無駄な電力消費を防ぐと共に、室内をほぼ快適な湿度にすることができるものである。
【0007】
また、前記操作部の運転モード選択スイッチに対応して運転モード表示ランプを設け、前記圧縮機と送風ファンが連続運転を行う連続除湿運転と前記節約モード運転を、前記運転モード表示ランプの点灯と点滅によって区別して表示するので、新たに専用のランプを設ける必要がなく製造コストが上昇することを防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
1は除湿機の枠体で平面縦長で後部から前部に向かうに従ってその幅寸法が徐々に広くなる形状の底板2上の外周形状に沿って上方に形成され左右が略対称の左側板3と右側板4とを設け、左右の側板3・4の上面中央から後方の枠体嵌合部5には取手部6を形成し、この取手部6の前方には操作部7取付用の開口を備え、この操作部7の取付で前方向に向かって徐々に前下がりの傾斜面を形成し、前記底板2と左右の側板3・4と操作部7によって本体の外郭を構成している。
【0010】
前記操作部7はボタン形状の切込み8や表示ランプ用の穴9が設けられ、操作部7の上面全体を柔軟性を有する樹脂フイルム10を接着剤にて貼り付けて覆っている。
また前記操作部7の外周の上部から左右側部には、前記左右側板3・4との間の隙間より侵入した水滴を案内する溝11を設けている。この水滴案内溝11内に前記側板3・4の開口縁より垂下するリブ12を形成し、確実に隙間より侵入した水滴を案内溝11に導くものであり、案内溝11に導かれた水滴は左右の溝端部13から下方の水受け皿14やドレンタンク15へ流れてゆくものである。
【0011】
16は前記底板2の前後方向の略中央に垂直に取付けられ、前後方向に隔てる仕切板で、この仕切板16の後方には機械室17を、前方にはタンク室18を設け、前記機械室17の左右対称線上に圧縮機19が、タンク室18には前方に引き出して着脱自在の前記ドレンタンク15を備えている。
【0012】
20は前記左側板3に上部に形成された吸込口で、横長のスリットを多数備えた開口が設けられ、左側板3の側面は左斜め後方に向いているので、正面からは吸込口20が隠れてほとんど見えないものである。
21は前記右側板4の上面に設けた吹出口で、開いた時に風向板を兼ねる開閉自在の蓋22によって乾燥空気の吹出方向を右斜め上方向から水平方向に自由にかえることができるものである。
【0013】
前記吸込口20の内側には樹脂製の網や不織布からなり、吸入空気に混入するホコリを取り除くフィルタ(図示せず)をそなえている。このフィルタの内側にはフィンチューブ式の熱交換器からなる蒸発器23と、蒸発器23の更に下流には、同じくフィンチューブ式の熱交換器からなる凝縮器24を設け、この凝縮器24の下流には送風ファン25及びこのファン25を駆動するファンモータ26が設けられ、前記吸込口20と吹出口21の間に形成した送風経路27の送風を行うものである。
【0014】
前記凝縮器24とファンモータ26の間には、樹脂材料で一体成型された熱交固定部材28を設け、この熱交固定部材28は前記モータ26を取付けると共に送風ファン25の吸入口29を備えたファンガイド部30と、前記蒸発器23と凝縮器24のフィンの上面や銅管を固定する上部固定部31と、蒸発器23で発生した結露水を受ける前記水受け皿14を一体に成形し、前記ファンガイド部30と上部固定部31の間と、ファンガイド部30と水受け皿14の間に、折曲可能な肉薄部32を形成し、この肉薄部32を中心にして約90度の角度で折り曲げて、蒸発器23と凝縮器24を挟み込み固定するものである。
【0015】
33はモータ取付部で、前記吸入口29より立設される足の間を吸込空気が通過するものである。
34は前記上部固定部31の左右に突出する上固定片で、前記蒸発器23、凝縮器24の銅管等の上部を押さえるものである。
35は前記水受け皿14の左右に突出する下固定片で、前記蒸発器23、凝縮器24の銅管等の下部を押さえるものである。
【0016】
前記ファンガイド部30の下部にはネジ穴用凸部36を、折曲状態でこの凸部36に対向する水受け皿14にはネジ穴37を備え、ファンガイド部30と水受け皿14の折曲状態をネジ38にて保持する固定手段を備えるものである。
又前記上部固定部31の下部には爪部39を、折曲状態でこの爪部39が係止する、溝又は突起40をファンガイド部30の上部に設ける係止手段を備えるものである。
【0017】
前記圧縮機19は凝縮器24とキャピラリーチューブ等の減圧装置(図示せず)と蒸発器23を冷媒配管で連通して、圧縮機19の運転により凝縮器24は高温になり、蒸発器23は低温になるものである。
【0018】
前記ドレンタンク15は枠体1の左右両側面間の寸法を後部より前方に向かうに従って幅広に形成し、前面下部に大きな容積で設ける。また、前記ドレンタンク15は下部前面で前面穴41に着脱自在に設けられ、ドレンタンク15装着時に前記水受け皿14の排水口42から排水される結露水を溜めるものであり、タンク前面下部にはタンク15を前面に引き出すための取手用凹部43を備えている。
【0019】
前記操作部7には運転スイッチ44、タイマースイッチ45、運転モード選択スイッチ46等のボタンスイッチ類と運転ランプ47等の各種ランプや発光ダイオードによる表示部48を備え、前記枠体1の左右両側面間の寸法を後部より前方に向かうに従って幅広に形成し、ドレンタンク15上方の広い上面に設けたので、とても見やすく操作がしやすいものである。
【0020】
前記タイマースイッチ45の上部には3個連なってタイマランプ49を備え、タイマースイッチ45の1回の押圧で下側のランプが点灯し2時間のタイマ運転を表示し、タイマースイッチ45の2回目の押圧で中間のランプが点灯し4時間のタイマ運転を表示し、タイマースイッチ45の3回の押圧で上側のランプが点灯し8時間のタイマ運転を表示し、タイマースイッチ45の4回の押圧で3個のランプ全てが消灯しタイマ運転がキャンセルされる。
【0021】
前記運転モード選択スイッチ47の上部には3個連なって運転モード表示ランプ50を備え、前記運転スイッチ44の押圧で前回運転条件と同じの運転モードでの運転が行われ、これに対応する運転モード表示ランプ50が点灯又は点滅を行うものであり、下側の送風ランプ51の点灯は圧縮機19が停止し、送風ファン25のみが運転を行う送風モードを示し、中間の除湿ランプ52の点灯は圧縮機19と送風ファン25の連続運転を示し、前記除湿ランプ52の点滅は圧縮機19と送風ファン25が断続運転を行う節約モードを示し、上側の衣類乾燥ランプ53の点灯は圧縮機19が連続運転し、且つ送風ファン25が強風量で運転するものであり、運転モード選択スイッチ46の押圧によって順次切り替わるものである。
【0022】
54は制御部で入力側に前記運転スイッチ44、タイマースイッチ45、運転モード選択スイッチ46が接続され、出力側に圧縮機19、ファンモータ26、運転ランプ47、タイマランプ49、送風ランプ51、除湿ランプ52、衣類乾燥ランプ53が接続されている。また制御部54内にはタイマ55と記憶部56を備え、予め設定されている第1〜3の所定時間を前記記憶部56にて記憶し、タイマ55にて計時された時間に圧縮機19やファンモータ26の運転を行うものである。
【0023】
前記節約モードを説明すれば、図6に示す様に節約モードで運転を開始すると、第1の所定時間(この実施例では1時間)圧縮機19と送風ファン25が連続運転を行うことで室内(約8畳の大きさで除湿前の湿度が80%)の湿度を約60%まで下げる事ができ、その後第2の所定時間(この実施例では10分間)圧縮機19と送風ファン25の運転を停止し、その後第3の所定時間(この実施例では10分間)圧縮機19と送風ファン25の運転を継続し、第2の所定時間の運転停止と第3の所定時間の運転継続を繰り返して、室内の湿度をほぼ快適な湿度に保つと共に、運転電力の節約を行うことができるものである。第1〜3の所定時間は予め実験値によって定められているものであるため、部屋の大きさや気象条件によって最終的な室内の湿度は多少異なるが、除湿機運転時の多くの条件に当てはめた経験上、ほぼ快適な室内の湿度環境を得る事ができるものである。
【0024】
この実施例では除湿能力が約260cc/hの小型の除湿機で説明したが、もっと除湿能力の大きな除湿機で実施する場合には、第1〜3の所定時間を実験値よって任意に入れ換えればあらゆる能力の除湿機に簡単に対応できるものである。
【0025】
このように、湿度センサや湿度制御のための回路構成を特別に設けなくとも、極めて簡単に無駄な電力消費を防ぐと共に、室内をほぼ快適な湿度にすることができるものである。
また、新たに節電モードを表示する専用のランプを設ける必要がなく製造コストが上昇することを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明一実施例の斜視図。
【図2】同分解状態の斜視図。
【図3】同正面中央の拡大断面図。
【図4】同操作部の斜視図。
【図5】同制御回路のブロック図。
【図6】同節電モードの説明図。
【符号の説明】
【0027】
19 圧縮機
25 送風ファン
26 ファンモータ
45 運転モード選択スイッチ
50 運転モード表示ランプ
54 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内に圧縮機と凝縮器と蒸発器等からなる冷凍回路と送風ファンとを備え、前記蒸発器で発生したドレン水を貯めるドレンタンクを備えた除湿機に於いて、運転停止や運転モードを設定するスイッチ類と運転ランプ等の表示装置を備えた操作部を設け、この操作部等からの信号で前記圧縮機と送風ファン等の運転制御を行う制御部備え、前記運転モード選択スイッチにて節約モードが選択された場合には、運転開始より第1の所定時間前記圧縮機と送風ファンを継続運転したのち、第2の所定時間停止し、第3の所定時間運転し、第2の所定時間停止と第3の所定時間運転を繰り返す事を特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記操作部の運転モード選択スイッチに対応して運転モード表示ランプを設け、前記圧縮機と送風ファンが連続運転を行う連続除湿運転と前記節約モード運転を、前記運転モード表示ランプの点灯と点滅によって区別して表示する事を特徴とする請求項1記載の除湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−247617(P2006−247617A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71510(P2005−71510)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】