説明

除湿装置

【課題】 除湿と、脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去ができる。静電霧化のための水として除湿により生成した水を有効利用して使用でき、静電霧化のために水の補給する手間が必要でない。
【解決手段】 吸込部1から吸込んだ空気を除湿手段2で除湿して乾燥空気として吐出部3から吐出すると共に除湿により生成した水を溜める水溜め部4を有する除湿装置5に、帯電微粒子水を生成するための静電霧化装置6を備える。静電霧化装置6にに霧化のための水を上記水溜め部4から供給するための水供給手段8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化現象を利用して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置を有する除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸込部から吸込んだ空気を除湿手段により除湿して乾燥空気として吐出部から吐出するようにした除湿装置が特許文献1等により知られている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されたような除湿装置においては、単に湿った空気を吸い込んで除湿して乾燥空気として送り出すようにしたものでしかなく、乾燥空気の脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去、あるいは、乾燥空気が放出される空間における脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去はできなかった。
【特許文献1】特開平8−189664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、湿った空気を除湿して乾燥空気として放出することができ、また、乾燥空気が放出される空間における脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去ができ、また、静電霧化のための水として除湿により生成した水を有効利用して使用でき、静電霧化のために水の補給する手間が必要でない除湿装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る除湿装置は、吸込部1から吸込んだ空気を除湿手段2で除湿して乾燥空気として吐出部3から吐出すると共に除湿により生成した水を溜める水溜め部4を有する除湿装置5に、静電霧化により帯電微粒子水を生成するための静電霧化装置6を備え、該静電霧化装置6に霧化のための水を上記水溜め部4から供給するための水供給手段8を設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成とすることで、除湿対象空間の空気を吸込部1から吸い込んで除湿手段3により除湿して乾燥空気として吐出部3から吐出するのであるが、この場合、除湿手段3による除湿により生成される水が水溜め部4に溜まり、この水溜め部4に溜まった水が水供給手段8により静電霧化装置6に供給され、高電圧を印加することで供給された水が静電霧化されて帯電微粒子水を生成し、除湿対象空間に帯電微粒子水を放出することができる。これにより、除湿対象空間の除湿と、除湿対象空間の殺菌、脱臭を行うことができる。特に、帯電微粒子水はナノメータサイズと小さく、対象空間の壁面や対象空間内に存在する物の表面から内部に浸透して殺菌、脱臭ができるので、防カビ効果が優れている。また、静電霧化のために水を供給する必要があるが、除湿の際に生成して水溜め部4に溜まった水を静電霧化のための水として利用できるので水の補給の手間がかからない。
【0007】
また、水溜め部4の水位により静電霧化装置6の運転を制御することが好ましい。
【0008】
このような構成とすることで、水が供給されなかったり、あるいは所定量供給されなかったりした場合、静電霧化装置6に通電しても静電霧化ができないかあるいは安定して静電霧化ができないので、このような場合には通電をしないように制御することで、無駄なエネルギーを消費することがない。
【0009】
また、水溜め部4内の水位が一定以上となった状態で除湿手段2の運転を停止し且つ静電霧化装置6の運転を継続するように制御することが好ましい。
【0010】
このような構成とすることで、水溜め部4内の水位が一定以上となった状態で除湿手段2の運転を停止することで、水溜め部4から水が溢れ出る現象を防止でき、しかも、この場合に、静電霧化装置6の運転を継続することで、帯電微粒子水の生成、放出を継続しながら水溜め部4に溜まった水を使用して水位を低下させて除湿手段2を運転できる状態に戻すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のように構成したので、除湿と同時に帯電微粒子水により除湿対象空間における脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去ができ、また、静電霧化のための水として除湿により生成した水を有効利用して使用でき、静電霧化のために水の補給する手間が必要でないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0013】
除湿装置5には除湿流路10が設けてあり、該除湿流路10は一端部が吸込部1となり且つ他端部が吐出部3となっている。
【0014】
除湿装置5には除湿流路10の途中に除湿手段2と送風手段11とが設けてある。
【0015】
図1の実施形態では除湿流路10の途中に除湿室18を設けると共に該除湿室18に蒸発器19と凝縮器20を備えることで除湿手段2を構成してある。
【0016】
除湿室18の底部には排水部21が設けてあり、底部は排水部21側程低くなるような傾斜面となっている。
【0017】
除湿装置5内の下部には水溜め部4が設けてあり、上記除湿室18の底部に設けた排水部21から流下した水を溜めるようになっている。
【0018】
除湿流路10の除湿室18よりも下流側に送風手段11であるファンを収納する送風手段収納室22が設けてあり、除湿室18と送風手段収納室22とは除湿室18の下流側の下端部に設けた連通口23で連通していて、除湿室18で除湿された乾燥空気が連通口23を経て送風手段収納室22に流入するようになっている。
【0019】
上記除湿装置5は送風手段11を運転することで、除湿対象空間の空気が吸込部1から吸い込まれ除湿手段2により除湿され、乾燥空気となって吐出部3から除湿対象空間に返送されることで、除湿対象空間の除湿をする。
【0020】
添付図面に示す実施形態では吸込部1から吸込まれた湿った空気は、蒸発器19で熱交換されて加温され、凝縮器20で冷やされて空気中の水分が結露水となって除去されることで乾燥空気となる。除湿により発生した凝縮水は排水部21から水溜め部4に流れて溜められる。
【0021】
上記のような構成の除湿装置5には更に帯電微粒子水を生成するための静電霧化装置6が設けてある。
【0022】
図に示す実施形態において、静電霧化装置6は、水供給手段8を構成するノズル7と、ノズル7の先端部に対向する対向電極25と、水供給手段8によりノズル7の先端部に供給された水と対向電極25との間に高電圧を印加するための高電圧印加手段15とを備えている。
【0023】
添付図面に示す実施形態ではノズル7は横向き筒体よりなりその一端部が水溜め部4の側壁の下部(側壁の下部で且つ水溜め部4の底部よりも少し上方位置)に連通接続してあり、水溜め部4内の水がノズル7の内部が通って先端部に供給されるもので、このため、本実施形態ではノズル7が水供給手段8を構成している。
【0024】
ノズル7は絶縁性を有する筒部30で囲まれており、筒部30の先端部には絶縁材料からなる筒状をしたカバー31が連設してあり、カバー31の先端開口部の後端部にリング状をした対向電極25が設けてあり、ノズル7の軸心の延長線上にリング状の対向電極25のリングの中心が位置するようにノズル7の先端部と対向電極25とが対向している。カバー31は除湿装置5の外面に露出している。
【0025】
水溜め部4内に溜まった水は水供給手段8であるノズル7によりノズル7の先端部に供給される。このようにノズル7の先端部に水が供給された状態で上記水溜め部4内の水とと対向電極25との間に高電圧を印加すると、ノズル7の先端部の水と対向電極25との間にかけられた高電圧によりノズル7の先端部に供給された水と対向電極25との間にクーロン力が働いて、水の液面が局所的に錐状に盛り上がり(テーラーコーン)が形成される。このようにテーラーコーンが形成されると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンを成長させる。このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返してマイナスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成させ、生成された帯電微粒子水はカバー31の先端開口から除湿対象空間に放出される。
【0026】
除湿対象空間内に放出された帯電微粒子水はナノメータサイズと非常に小さく、また、活性種を有しているため、除湿対象空間内を浮遊して除湿対象空間内の隅々まで飛翔し、除湿対象空間内の臭いの成分やアレルゲン物質、ウイルスや菌を効果的に分解、不活性化あるいは抑制あるいは除菌する。特に、帯電微粒子水はナノメータサイズの水粒子であるため、水の浸透により、除湿対象空間の壁面や除湿対象空間内に配置された物の内部に浸透して壁面や物の内部に蓄積している臭い成分やアレルゲン物質等の分解、不活性化、あるいはウイルスや菌の抑制あるいは除菌ができる。
【0027】
ところで、静電霧化して帯電微粒子水を生成するにはノズル7の先端部に水を供給する必要があるが、本発明においては、上記のように水溜め部4の水を水供給手段8によりノズル7に供給するので、除湿手段2で除湿することで生成した水を有効利用して静電霧化装置6の放電電極7に供給することができて、水の補充を手作業で行う必要がない。
【0028】
水溜め部4には水位検知センサA、B、Cが設けてある。ここで、水位検知センサAは最低水位を検出するためのもので、水位検知センサCは最高水位を検出するためのものである。また、高電圧印加手段15に接続した電極16が上記水溜め部4内に配置してあり、該電極16は水位センサAと同じ高さ位置に設けてあり、水位が水位センサAと同じ水位以上となると自動的に高電圧印加手段15により水溜め部4内の水に高電圧が印加され、ノズル7の先端部の水が静電霧化されて帯電微粒子水が生成されるようになっており、水位が水位センサAと同じ水位以下となると水への高電圧の印加が停止され、静電霧化が停止されるようになっている。
【0029】
そして、水溜め部4内の水位を上記水位検知センサA、B、Cで検出し、水位に基づいて制御部により除湿手段2、静電霧化装置6の図3のフロー図のようにして制御を行うようになっている。なお、図3のフロー図において、高圧:静電霧化装置6、除湿:蒸発器19、凝縮器20、送風手段11を示す。
【0030】
すなわち、図3のフロー図に示すように、水位検知センサにより水位を検知し、水位検知センサAで水位を検知しない場合(つまり、水位が水位検知センサAで検知する水位Aよりも下の場合は)、高圧オフ、除湿オンとなるような制御を行う。
【0031】
また、水位検知センサAで水位を検知し且つ水位検知センサBで水位の検知をしない場合(つまり、水位がAより上で且つBより下の場合は)、高圧オン、除湿オンとなるような制御を行う。
【0032】
また、水位検知センサBで水位を検知し且つ水位検知センサCで水位の検知をしない場合(つまり、水位がBより上で且つCより下の場合は)、高圧オン、除湿オフとなるような制御を行う。
【0033】
また、水位検知センサCで水位を検知した場合(つまり、水位がCより上の場合は)、高圧オフ、除湿オフとなるような制御を行う。この時、排水が必要なことを音声や点灯等によりお知らせ表示するように制御する。
【0034】
このように除湿手段2で除湿することで生成した水を溜める水溜め部4の水位に応じて除湿手段2、静電霧化装置6の制御を自動的に行うことで、水溜め部4から水が溢れたりするのを防止し、また、水溜め部4内の水が少ないかあるいは水が無いときに不必要に静電霧化装置6を運転して無駄なエネルギーを使用することを防止すると共に安全性を高め、水位に応じた効果的な運転ができることになる。
【0035】
なお、上記実施形態では高電圧印加手段15に接続した電極16を水溜め部4内に配置して水に高電圧を印加する例を示したが、ノズル7が電極(つまり放電電極)であってもよく、この場合はノズル7に高電圧印加手段15から高電圧を印加するようにしてもよい。
【0036】
なお、添付図面に示す実施形態では放電電極と対向電極との間に高電圧を印加して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置6の例を示したが、対向電極を設けない場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実地形態の全体断面図である。
【図2】同上の要部拡大断面図である。
【図3】同上の制御フローを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0038】
1 吸込部
2 除湿手段
3 吐出部
4 水溜め部
5 除湿装置
6 静電霧化装置
8 水供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込部から吸込んだ空気を除湿手段で除湿して乾燥空気として吐出部から吐出すると共に除湿により生成した水を溜める水溜め部を有する除湿装置に、静電霧化により帯電微粒子水を生成するための静電霧化装置を備え、該静電霧化装置に霧化のための水を上記水溜め部から供給するための水供給手段を設けて成ることを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
水溜め部の水位により静電霧化装置の運転を制御することを特徴とする請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
水溜め部内の水位が一定以上となった状態で除湿手段の運転を停止し且つ静電霧化装置の運転を継続するように制御することを特徴とする請求項2記載の除湿装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−238019(P2008−238019A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80671(P2007−80671)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】