説明

陰イオン燃料電池、ハイブリッド燃料電池、及びこれらの製造方法

陰イオン燃料電池、これの製造方法、CO2ポンプ、ハイブリッド燃料電池、及び、陰イオン燃料電池を製造するための方法が、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権の主張
本出願は、引例によってここに全体が組み込まれている2006年5月3日に出願された通番第60/797,321を有する「NEAR ROOM TEMPERATURE CARBONATE FUEL CELL」(近室温炭酸塩燃料電池)と題する同時係属米国仮出願に対して優先権を主張する。
【0002】
連邦政府援助研究開発に関する報告
米国政府は、米国政府のエネルギー省によって授与された助成金第1906Z70の条件によって与えられるような妥当な条件で特許権者が他者に使用許諾することを要求するための、本発明における一括払いライセンスと、限定された状況における権利とを持ち得る。
【0003】
本発明は、一般的には燃料電池に関し、より特定的には、陰イオン(アニオン)燃料電池と陰イオン燃料電池を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0004】
移動通信のための携帯型電子装置、マイクロセンサー、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)及びマイクロ流体装置を含む携帯型電子装置は、エネルギー貯蔵の進歩による利益を得ている。より高いエネルギー密度とより低いコストとを有する電力源の利用可能性は、より広い範囲の用途と機能性とを可能にする。1つの可能な、より高いエネルギー密度源は、燃料電池である。
【0005】
小さな電力要件を有する電子装置のために、燃料電池を含む微細加工電力源が研究調査されつつある。考えるべき問題は、サイズと重量とを削減すること、より少ない相互接続により信号の完全性を改善すること、処理効率を高めること、及びコストを引き下げることを含む。
【0006】
装置のためのマイクロ燃料電池における幾つかの関心の燃料は、水素、メタノール、及び他の炭化水素(例えばエチレングリコール又は蟻酸)を含む。水素燃料電池と直接メタノール燃料電池(DMFC)とは、比較的低い温度(例えば室温から120℃)で動作する。これらは、陽極から陰極に陽イオン(プロトン)を搬送するために固体陽イオン交換膜(PEM)を使用する。水素は、加圧ガスとして、又は、金属水素化物の形で貯蔵され得る。これは、高い膜伝導率のために加湿を必要とする。
【0007】
メタノール水混合物(methanol−water mixture)は、液体又は蒸気の形で陽極において酸化され得る。メタノールは、液体として貯蔵でき、安価であり、高い比エネルギーを有するため、魅力的な燃料である。他の燃料電池システムと比較して,液体供給DMFCは、比較的単純であって、また燃料改質、複雑な加湿、又は熱管理システムを必要としないため、容易に小型化できるであろう。更にメタノールは、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池と比較して、高いエネルギー密度を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
陽イオン交換膜は、水素又はメタノールのいずれかで動作する低温燃料電池において使用され得る。従来の燃料電池における固体膜は通常、Nafion(登録商標)といったスルフォン酸部分(moieties)で終端する側鎖を有するペルフルオロポリマーである。PEM燃料電池における膜は一般に、伝導率を高く保持するために水を含む。メタノール・クロスオーバー(methanol crossover)は、混成電位と酸素還元反応の毒化との原因となり、性能低下を招く。したがって工業界には、上記の不適切事項と欠陥との少なくとも一部を克服する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡単に説明すると、本開示の実施形態は特に、陰イオン燃料電池、それの製造方法、CO2ポンプ、ハイブリッド燃料電池、及び陰イオン燃料電池を製造するための方法を含む。中でも1つの例示的陰イオン燃料電池は、炭酸塩伝導性電解質(carbonate conducting electrolyte)を含む材料で作られた陰イオン膜と、陰イオン膜の第1の面に配置された第1の触媒層と、陰イオン膜の陰極面に配置された第2の触媒層と、を含む。
【0010】
1つの例示的CO2ポンプは、特に、炭酸塩伝導性電解質を含む材料で作られた陰イオン膜と、この陰イオン膜の第1の面に配置された第1の触媒層と、この陰イオン膜の第2の面に配置された第2の触媒層と、この陰イオン膜の第1の面に配置された第1の触媒層と接触する第1の電流コレクタと、この陰イオン膜の第1の面に配置された第2の触媒層と接触する第2の電流コレクタと、を含む。
【0011】
1つの例示的ハイブリッド燃料電池は、特に、炭酸塩伝導性電解質を含む材料で作られた陰イオン膜と、陽イオン交換膜(PEM)と、を含んでおり、この陰イオン膜はPEMと電気的に通信(electrical communication)している。
【0012】
燃料電池を製造するための1つの例示的方法は、特に、成形型上に剥離層を配置し、この剥離層上に第1の多孔質触媒層を配置し、この第1の多孔質触媒層上に陰イオン膜材料の層を配置し、この陰イオン膜材料の層の上に第2の多孔質触媒層を配置し、この第2の多孔質触媒層の上に陰イオン膜材料の第2の層を配置する、ことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
他の構造、システム、方法、特徴、及び利点は、下記の図面と詳細説明を吟味するとき、当業者に明らかであるか、明らかになるであろう。このような更なる構造、システム、方法、特徴、及び利点のすべては、本説明に含まれ、本開示の範囲内にあり、また付属の請求項によって保護されることが意図されている。
【0014】
一般に、陰イオン燃料電池とその製造法とが開示される。更に、陰イオン膜を組み込んだハイブリッド燃料電池とその製造方法とが開示される。陰イオン燃料電池は、炭酸塩伝導性電解質(例えば炭酸塩(carbonate salts)、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩など)で作られた陰イオン膜を含む。陰イオン燃料電池の利点は、室温で、又は、室温近くで動作する能力と、陰イオン燃料電池の少なくとも陰極側において非貴金属を利用する能力と、燃料電池の一方の面から燃料電池の他方の面への燃料の電気浸透抗力の低下又は上昇と、を含む。他の燃料電池とは対照的に、陰イオン燃料電池の実施形態は、次の反応:CH3OH+3CO32-→2H2O+4CO2+6e-によって明示されるように、メタノールの酸化のための化学反応は、反応物質として水を含まないので、水のための余分な貯蔵空間を必要としない。
【0015】
陰イオン膜は、比較的薄く、より厚いポリマー膜に匹敵する面抵抗率を有する。膜が薄いほど、イオン(例えばCO32-及び/又はHCO3-)が膜を貫通することは容易になり、それによって生成され得る電流の量を増加させる。更に、陰イオン膜は、公知のマイクロエレクトロニック製造技法を使用して製造され得る。したがって、陰イオン膜は、燃料電池が使用されようとしているマイクロエレクトロニック構造体上に製造され得る。
【0016】
一実施形態では、陰イオン燃料電池は、電子装置内に直接一体化され得る。例えば陰イオン燃料電池は、半導体チップ上に陰イオン燃料電池を配置し、電子パッケージ、チップ基板又はプリント基板に陰イオン燃料電池を統合し、チップに結合される別の部品として陰イオン燃料電池をチップに挿入する、又は、取り付けることによって一体化され得る。
【0017】
一般に陰イオン燃料電池は、マイクロエレクトロニクス(例えばマイクロプロセッサチップ、通信チップ及び光電子チップ)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、マイクロ流体工学、センサー、分析装置(例えばマイクロクロマトグラフィ)、通信/測位装置(例えばビーコン及びGPSシステム)、記録装置などといった技術分野で使用され得るが、これらに限定されない。
【0018】
陰イオン燃料電池は、陰イオン膜に燃料を能動的及び/又は受動的に供給し得る。例えば、陰イオン膜に燃料を供給するためにポンプ又は他の供給機構が使用され得る。もう1つの例では、燃料は、陰イオン膜に隣接して貯蔵され得る。後の実施形態では、燃料電池は、陰イオン膜に隣接するチャネル内で自然対流が、燃料を動かすように密封され、流動しない。また、これら2つの実施形態の組合せも同様に使用され得る。更に、燃料電池の使用中に生成される化学的副生成物は、開放燃料電池システムの実施形態では開放排出口を通して、あるいは閉鎖燃料電池システムの実施形態では透過膜を通して放出され得る。化学的副生成物はまた、引き続き燃料電池反応に使用されるために、燃料電池内で再利用され得る。
【0019】
図1は、代表的な陰イオン燃料電池100の断面図を示す。陰イオン燃料電池100は、陰イオン膜120とこの陰イオン膜120の各面に配置された触媒層140、150とを含む。図1に示されるように、燃料(例えばH2、メタノール、蟻酸、エチレングリコール、エタノール及びこれらの組合せ)は、陰イオン膜120の一方の面に(例えば陽極(−)面160に)に接触しており、CO2とO2を含むガス(例えば空気)は、陰イオン膜の反対の面に(例えば膜の陰極(+)面170に)接触している。更に、触媒層140と陽極電流コレクタ(図示せず)との間には、導電性経路が存在する。同様に触媒層150と陰極電流コレクタ(図示せず)との間には、導電性経路が存在する。
【0020】
陰イオン膜120は、炭酸塩伝導性電解質といった材料を含み得るが、これに限定されない。陰イオン膜120は、固体、液体、ゲル、ゾルゲル又はこれらの組合せといった材料で作られ得るが、これらに限定されない。液体、ゲル又はゾルゲルの膜材料の使用は、固体と気体との間の界面エネルギー障壁を引き下げることによって反応速度を促進し得る。透過性障壁は、イオンの移動を可能にしながら液体、ゲル又はゾルゲルの膜材料を適所に保持するために使用され得る。障壁材料は、ポリマー、イオン伝導性固体、多孔質ガラス、多孔質結晶材料及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0021】
炭酸塩伝導性電解質は、炭酸塩、第四アンモニウム塩、アルカリ炭酸塩、ポリマー系炭酸塩(polymer-based carbonates)、ホスホニウム塩、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。炭酸塩は、炭酸ビスマス、炭酸銅、炭酸鉄、炭酸鉛、炭酸ニッケル、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。第四アンモニウム塩は、テトラブチル炭酸アンモニウム、トリブチルメチル炭酸アンモニウム、トリエチルメチル炭酸アンモニウム、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。アルカリ炭酸塩は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。ポリマー系炭酸塩は、炭酸ポリプロピレン、第四アンモニウム官能化スチレン、ホスホニウム官能化ポリマー、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。更に、膜層120は、燃料に溶解しない化合物(例えばポリジメチルシロキサン、フッ化炭化水素、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組合せ)といった材料を含み得る。
【0022】
陰イオン膜120は、約500マイクロメートル(μm)未満、約0.01〜10μm、約0.1〜5μm、約0.1〜2μm、約0.5〜1.5μm、及び約1μmの厚さを有する。膜層120の長さは、約0.001mから100mであることが可能であり、また幅は同じであり得る。長さと幅が用途に依存しており、それに応じて調整され得ることが留意されるべきである。膜の幾何学形状は、正方形、矩形、円筒形、多角形、これらの組合せなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
陰イオン膜120は、約0.1〜3000Ωcm2、約0.1〜100Ωcm2、約0.1〜10Ωcm2、約1〜100Ωcm2、及び約1〜100Ωcm2の面抵抗率を有する。面抵抗率は、燃料に露出された膜の面積を横切る抵抗率(例えば、抵抗×面積又は抵抗率×厚さ)と定義される。
【0024】
陰イオン膜120は、スピンコーティング(回転塗装)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スクリーン印刷、ドクターブレーディング(doctor blading)、吹付け塗装(スプレイコーティング)、ローラー塗装(ローラーコーティング)、メニスカスコーティング及びこれらの組合せといった、しかしこれらに限定されない方法を使用して形成され得る。
【0025】
触媒層140、150は、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、白金、白金/ルテニウム、パラジウム、各々の合金、及びこれらの組合せといった触媒を含み得るが、これらに限定されない。触媒層140及び150は、同じ触媒又は異なる触媒を含み得る。貴金属触媒(例えば白金)は、膜層120の陽極面160(すなわち触媒層140)で使用され得る。一般に陰イオン燃料電池は、膜層120の陰極面170(すなわち触媒層150)において非貴金属触媒(例えばニッケル)を使用し得る。非貴金属触媒はまた、膜層120の陽極面160(すなわち触媒層140)でも使用され得る。
【0026】
触媒層140及び150は、典型的には、炭酸塩イオンが層を貫通することを可能にする多孔質触媒層である。ある幾つかの実施形態では特に、触媒は、炭素、金属、ポリマー、多孔質ガラス、及びこれらの組合せから作られるが、これらに限定されないメッシュ上に配置される。触媒層140及び150は、1μm未満、約0.01〜100μm、約0.1〜5μm、及び約0.3〜1μmの厚さを持ち得る。
【0027】
触媒層140及び150は、触媒と膜材料とが交互に重なった層を含むことが可能であって、これがより厚い触媒層140及び150(例えば2つ以上の層)を構築する。例えば2つの層は、燃料の酸化速度を改善し得る。これは、陽極触媒負荷を増加させて、陰極層を多孔質に保持することができるので有利である。大きな表面積は、燃料の酸化の高い速度を可能にし得る。より高い速度は、より高い電流及び電力に対応する。
【0028】
陰イオン膜は、更に、ポストドーピングによって処理され得る。ドーパントは、イオン伝導率を増加させるために膜内に拡散させられ、又は打ち込まれ得る。ドーパントは、ホウ素及び燐を含み得るが、これらに限定されない。各ドーパントは、液体源又は固体源から陰イオン膜内に個別に拡散されてもよい、あるいは、高電圧イオン加速器を使用してイオン打込まれてもよい。
【0029】
燃料電池は、広い温度範囲に亘って動作する。従来の溶融陰イオン燃料電池といった高温電池は、650℃以上の範囲の温度で動作できる。対照的に陰イオン燃料電池は、約−100〜+200℃、約−50〜+80℃、約0〜+80℃、約+10〜+80℃、約+20〜+50℃、約+20〜+40℃、約+20〜+30℃の温度範囲で動作する。例えばこの燃料電池は、メタノールの液体範囲、−98℃〜65℃に亘って、またメタノール・水混合物の液体範囲、−98℃〜100℃に亘って動作し得る。
【0030】
図2は、代表的な陰イオン燃料電池の断面図を示す。陰イオン燃料電池200は、陰イオン膜220と、この陰イオン膜220の陽極(−)及び陰極(+)面上にそれぞれ配置された触媒層240及び250とを含む。一実施形態では特に、陰イオン燃料電池200の陰イオン膜220の陰極面に二酸化炭素(CO2)を含むガス(例えば空気)が供給される。空気中の酸素とCO2とは、次の反応:2CO2+O2+4e-→2CO32-によって示されるように、炭酸塩イオン(CO32-及び/又はHCO3-)を形成するために還元される。空気供給において与えられる二酸化炭素の濃度を増加させることは、陰イオン燃料電池の反応速度と燃料効率とを高め得る。この反応によって形成される炭酸塩イオン(CO32-及び/又はHCO3-)は、矢印280によって示されるように、陰極から陽極へ膜220を横切って移動する。
【0031】
燃料は、陰イオン膜220の陽極面に供給される。燃料は、H2、メタノール、蟻酸、エチルグリコール、エタノール、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。一実施形態では特に、純粋のメタノールが、その高いエネルギー密度と低い分子量とのために利用される。他の実施形態では、メタノールは、15℃における純メタノールの濃度である約24.8M未満まで濃度を減らすために、水と混合され得る。陽イオン交換膜燃料電池では、酸化される各メタノール分子のために少なくとも1個の水分子が必要である。15℃における50モル%メタノール溶液の濃度は、17.6Mである。高いエネルギー密度に加えて、純メタノールは、水を保持し、供給し、及び/又は混合するための更なる構成要素を持たないことによって、燃料供給システムを単純化するという利点を有する。
【0032】
一実施形態の陽極において炭酸塩イオンは、次の方程式:CH3OH+3CO32-→2H2O+4CO2+6e-によって示されるように、燃料として供給されたメタノールを酸化して水とCO2とを形成する。陽極で生成された二酸化炭素の一部分は、矢印290によって示されるように、陰イオン膜220を横切って陰極に移動し得る。CO2は、イオン化された炭酸塩を還元するために、陰極における濃度を増加する。燃料電池200の陽極(−)において生成された電子は、陽極電流コレクタ260によって収集され、電気回路210を経由して陰イオン燃料電池200の陰極(+)に陰極電流コレクタ270を介して流れる。
【0033】
本実施形態では、陽極電流コレクタ260は、第1の多孔質触媒層240を通して電子を収集及び/又は放射する。他の実施形態では陽極電流コレクタ260は、第1の多孔質触媒層240を通して電子を収集及び/又は放射する。陽極電流コレクタ260は、白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、炭素、各々の合金、及びこれらの組合せといった材料で作られ得るが、これらに限定されない。
【0034】
本実施形態では、陰極電流コレクタ270は、電子を放射する。他の実施形態では陰極電流コレクタ270は、電子を放射及び/又は収集する。陰極電流コレクタ270は、白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、炭素、各々の合金、及びこれらの組合せといった、しかしこれらに限定されない材料で作られ得る。
【0035】
種々の陽極電流コレクタ260と陰極電流コレクタ270とは、所望の構成に依存して電子的に直列又は並列に接続され得る(例えば配線は陽極から陰極に(直列に)又は陽極から陽極に(並列に)接続され得る)。一実施形態では、陰イオン燃料電池は、出力電圧を高めるために燃料電池スタックを形成するように電子的に直列に接続され得る。もう1つの実施形態では、定格電圧で出力電流を増加させるために接続は並列に行われ得る。
【0036】
燃料を、イオンに対して伝導性にすることは、陽極表面積を増加させ、増加した電流密度を与えることができる。燃料の伝導率は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第四炭酸アンモニウム、及び、これらの組合せといった化合物を加えることによって高められ得るが、これらに限定されない。触媒層240の表面に、より多くの金属を加えることなく、より大きな電流が得られる。触媒層240の表面から過剰な金属を除去することは、イオン収集のために、より大きな表面積が利用されることを可能にする。更に、非貴金属触媒の使用が推奨され、それによってシステムのコストが削減され得る。
【0037】
図3は、炭酸塩膜を利用するCO2ポンプ300の断面図を示す。CO2ポンプ300は、陰イオン燃料電池200で使用された陰イオン膜220に類似の陰イオン膜層320を含む。CO2ポンプ300は、また、陰イオン燃料電池200で利用されたものに類似した触媒層(340及び350)と電流コレクタ(360及び370)とを含む。一実施形態では、特に、電源310がCO2ポンプ300に接続される。電源310は、CO2ポンプ300の動作のための駆動力を与える。CO2ポンプ300は、環境的クリーンルーム(無塵室)、宇宙旅行、及び、潜水艦といった二酸化炭素生成(carbon dioxide producing)組織体あるいはシステムを包含、又は、支持する人工大気環境を確立するシステムにおいて使用され得る。
【0038】
二酸化炭素(CO2)を含む空気は、CO2ポンプ300の陰極(+)面に供給される。空気中の酸素とCO2とは、次の反応:2CO2+O2+4e-→2CO32-によって示されるように、炭酸塩イオン(CO32-)を形成するように還元される。この反応によって形成された炭酸塩イオンは、矢印380によって示されるようにCO2ポンプ300の陰極から陽極へ陰イオン膜320を横切って移動する。
【0039】
炭酸塩イオンが陽極に到達すると、この反応は、次の反応:CO32-→CO2122+2e-によって示されるように、逆になる。CO2は、濃縮した副生成物ストリーム(流れ)として排出される。
【0040】
図4は、陰イオン燃料電池と陽イオン交換膜(PEM)燃料電池との両者を組み込んだハイブリッド燃料電池を示す。陰イオン燃料電池200は、陰イオン膜220と、この陰イオン膜220の陽極(−)面及び陰極(+)面にそれぞれ配置された触媒層240、250とを含む。一実施形態では、特に、陰イオン燃料電池の陰イオン膜220の陰極面には、二酸化炭素(CO2)を含む空気が供給される。この空気中の酸素とCO2とは、次の反応:2CO2+O2+4e-→2CO32-によって示されるように、イオン化炭酸塩(CO32-)を形成するように還元される。この反応によって形成された炭酸塩イオンは、矢印280によって示されるように陰極から陽極へ陰イオン膜220を横切って移動する。
【0041】
一実施形態では、燃料は、燃料電池200の陽極面に供給される。燃料は、H2、メタノール、蟻酸、エチレングリコール、エタノール、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。非限定的実施形態の陽極において炭酸塩イオンは、CH3OH+3CO32-→2H2O+4CO2+6e-によって示されるように、燃料として供給されたメタノールを酸化して、水とCO2とを形成する。陽極で生成された二酸化炭素は、矢印290によって示されるように陰イオン膜220を横切って陰極に移動し得る。再利用されたCO2は、炭酸塩イオンへの還元のために陰極における濃度を増加させる。この反応によって生成された水は、燃料と混ざり合ってPEM燃料電池400に向かって移動する。
【0042】
PEM燃料電池400は、膜層420と、この膜420の各面上に配置された触媒層440及び450とを含む。図4に示されているように、燃料は、PEM燃料電池400の一方の面と(例えば膜の陽極(−)面に)接触しているが、PEM燃料電池400の反対側には(例えば膜の陰極(+)面には)空気が接触している。
【0043】
膜層420は、有機伝導性材料及び無機伝導性材料といった材料を含み得るが、これらに限定されない。例えばこの膜は、二酸化ケイ素、ドープド二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープド窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ドープド酸窒化ケイ素、金属酸化物(例えば酸化チタン、酸化タングステン)、金属窒化物(例えば窒化チタン)、ドープド金属酸化物、金属酸窒化物(例えば酸窒化チタン)、ドープド金属酸窒化物、及びこれらの組合せといった材料を含み得るが、これらに限定されない。一般に膜は、膜内のドーパントの約0.1〜20%及び膜内のドーパントの約0.1〜5%でドープされ得る。
【0044】
ドープド二酸化ケイ素は、燐ドープド二酸化ケイ素、ホウ素ドープド二酸化ケイ素、アルミニウムドープド二酸化ケイ素、砒素ドープド二酸化ケイ素、及び、これらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。一般にドーピングは、M−OH(Mは金属)といった原子スケールの欠陥を生じさせて、陽イオンが格子を貫通して搬送され得るように格子を歪ませる。ドーピングの量は、膜内のドーパントの重量で0.1%から20%、膜内のドーパントの重量で0.5%から10%、及び膜内のドーパントの重量で2%から5%であり得る。
【0045】
膜層420は、約10マイクロメートル(μm)未満、約0.01〜10μm、約0.1〜5μm、約0.1〜2μm、約0.5〜1.5μm、及び約1μmの厚さを有する。膜層420の長さは、約0.001mから100mであることが可能であり、また幅は、約1μmから1000μmであり得る。長さと幅は、用途に依存しており、それに応じて調整され得ることは留意されるべきである。
【0046】
膜層420は、約0.1〜3000Ωcm2、約0.1〜100Ωcm2、約0.1〜10Ωcm2、約1〜100Ωcm2、及び約1〜10Ωcm2の面抵抗率を有する。面抵抗率は、燃料に露出された膜の面積を横切る抵抗率(例えば、抵抗×面積又は抵抗率×厚さ)と定義される。
【0047】
膜層420は、スピンコーティング、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スクリーン印刷、ドクターブレーディング(doctor blading)、スプレイコーティング、ローラーコーティング、メニスカスコーティング、及びこれらの組合せといった方法を使用して形成され得るが、これらに限定されない。
【0048】
触媒層440、450は、白金、白金/ルテニウム、ニッケル、パラジウム、各々の合金、及びこれらの組合せといった触媒を含み得るが、これらに限定されない。一般に一実施形態で燃料が水素であるとき、白金触媒が使用され、もう1つの実施形態で燃料がメタノールであるとき、白金/ルテニウム触媒が使用される。触媒層440及び450は、同じ触媒又は異なる触媒を含み得る。触媒層440及び450は、典型的には、陽イオンが多孔質触媒層を貫通することを可能にする多孔質触媒層である。更に、触媒層と陽極電流コレクタとの間には導電性経路が存在する。
【0049】
触媒層440及び450は、約1mm未満、約0.01〜100μm、約0.1〜5μm、及び約0.3〜1μmの厚さを持ち得る。
【0050】
触媒層440450は、触媒と膜材料とが交互に重なった層を含むことが可能であって、これがより厚い触媒層440及び450(例えば2層以上の層)を構築する。例えば2つの層は、燃料の酸化速度を改善する。これは、陽極触媒負荷を増加させて、陰極層を多孔質に保持することができるため、有利である。大きな表面積は、燃料の酸化の高い速度を可能にする。より高い速度は、より高い電流及び電力に対応する。
【0051】
この膜は、更に、ポストドーピングによって処理され得る。ドーパントは、イオン伝導率を増加させるために膜内に拡散させられ得るか、あるいは打ち込まれ得る。ドーパントは、ホウ素及び燐を含み得るが、これらに限定されない。各ドーパントは、液体源から、又は、固体源から、膜内に個別に拡散させてもよい、あるいは、高電圧イオン加速器を使用してイオン打込まれてもよい。膜の伝導率は、膜内への酸性化合物(例えば、(酢酸及びトリフルオロ酢酸の形の)カルボン酸及び燐酸、硫酸といった無機酸)の拡散によって高められ得る。
【0052】
一実施形態では、特に、PEM燃料電池400の陽極面には水と混合されたメタノールの燃料とが供給される。非限定的実施形態の陽極では、燃料として供給されたメタノールと陰イオン燃料電池膜200において生成された水とが、CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-によって示されるように反応する。陽極で生成された水素イオン(H+)は、矢印490によって示されるように膜400を横切って陰極に移動し得る。搬送された陽イオン(H+)は、322+6H++6e-→3H2Oによって示されるように空気中の酸素と反応して水を形成する。PEM400の陽極において生成された二酸化炭素は、矢印290によって示されるように陰イオン燃料電池200の陰極に移動することによって再利用され得る。
【0053】
陰イオン燃料電池と陽イオン燃料電池とのハイブリッド組合せは、陰イオン燃料電池の効率が陽極における水の生成によって低下するにつれて、陽イオン燃料電池の効率が加えられた水によって上昇するということにおいて、少なくとも1つの利点を与える。図5は、メタノール燃料濃度に関する陰イオン膜及びPEMの出力を示す。陰イオン燃料電池は、1リットル当たり約25モル(M)(純メタノール)、約1〜25M、約1〜10M、約10〜25M、及び約17〜25Mまでのメタノール濃度で動作する。PEMは、約14M未満、約1〜14M、及び/又は約1〜10Mの範囲のメタノール濃度で動作する。
【0054】
高いメタノール濃度はまた、より低い温度での動作を可能にする。19Mメタノールの凝固点は、約−156°Fである。
【0055】
図5に示されるように陰イオン燃料電池によって生成される電力(カーブ510)は、メタノールの濃度が増加するにつれて増加する。対照的に、陽イオン燃料電池によって生成される電力(カーブ520)は、反応を与える水の必要性のために、低いメタノール濃度で高く、純度が高くなるにつれて減少する。陰イオン燃料電池と陽イオン燃料電池との組み合わせは、個別の膜によって与えられ得る(カーブ510、520)より広い範囲の燃料濃度に亘って、より均一の電力生成を可能にする(カーブ530)。
【0056】
一般的に陰イオン燃料電池の構造を説明してきたが、下記は、陰イオン燃料電池を製造するための例示的実施形態を説明する。図6A〜6Cは、陰イオン燃料電池を製造する代表的方法を示す断面図である。明瞭さのために製造プロセスのある幾つかの部分が、図6A〜6Cに含まれていないことが、留意されるべきである。同様に、下記の製造プロセスは、陰イオン燃料電池を製造するために必要とされるすべてのステップを含む網羅的なリストであるようには意図されていない。更に、この製造プロセスは、プロセスステップが図6A〜6Cに示されている順序とは異なる順序でも実行可能である、あるいは、幾つかのステップが同時に実行され得るので、柔軟性がある。
【0057】
図6Aは、陰イオン燃料電池膜の陰イオン膜620を示す。一実施形態では、特に、陰イオン膜620は、用途にしたがって適当にサイズ決めされた商業的に入手可能な陰イオン交換膜(Cl-又はOH-フォーム(form))であり得る。この陰イオン膜620は、0.5M Na2CO3と0.5M NaHCO3の溶液、又は他の炭酸塩溶液といった、しかしこれらに限定されない、化学溶液に浸漬することによって用意される。この溶液は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む必要があるだけである。膜の全体的損傷を防止するために電流透過が必要である。極めて低濃度又は高濃度の溶液は使用可能ではあるが、膜の平衡と安定性のために時間を要するであろう。膜層620は、約1時間間未満、約1日間、約3日間、約1週間、約2週間、あるいは約1月間の期間中、浸漬され得る。
【0058】
更に、図6Aは、膜層620の各面上に配置された第1、第2の多孔質触媒層640、650それぞれを有する陰イオン膜を示す。触媒層640及び650は、ニッケル、白金、白金/ルテニウム、パラジウム、各々の合金、及びこれらの組合せといった触媒を含み得るが、これらに限定されない。多孔質触媒層640及び650は、スパッタリング、蒸着、スプレイ、塗装、化学気相成長法、及びこれらの組合せによって形成され得る。ある幾つかの実施形態では特に、触媒は、炭素、ポリマー、金属、及びこれらの組合せから、しかしこれらに限定されずに作られたメッシュ上に配置される。
【0059】
図6Aは、更に、触媒層640及び650それぞれに隣接して配置された電流コレクタ660及び670を示す。電流コレクタは、白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、炭素、各々の合金、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0060】
ある幾つかの実施形態では電流コレクタ660及び670は、また、触媒層640、650のためのメッシュとして機能し得る。図6Bは、電流コレクタ660及び670上に配置された触媒層640及び650を示す。例えば一実施形態では、触媒層と電流コレクタとの両者を与えるために、白金めっきカーボン紙が利用され得る。
【0061】
図6Cに示されるように、陰イオン膜620と触媒層640及び650と電流コレクタ660及び670とは、矢印690によって示されるように、加熱加圧成形(ホットプレス)によって単一ユニットに形成され得る。陰イオン燃料電池膜を形成する方法は、浸漬被覆(ディップコーティング)、加熱加圧成形、回転塗布(スピンコーティング)、及び、これらの組合せを含む。ポリマー膜は、その場で重合され得る。ポリマーの重合又は熱可塑性ポリマーの橋架け結合は、化学イニシエーション(chemical initiation)、電磁放射、又はイオン衝撃を含む多くの手段によって達成され得る。ホットプレスは、約0〜+500℃、約+50〜+400℃、約+100〜+300℃、約+200〜+300℃、及び約+250〜+300℃の温度範囲内で実行され得る。圧力は、約+500〜+3000psi、約+1000〜+2000psi、約+1200〜+1500psi、及び約+1200〜+1250psiの範囲内で印加され得る。ホットプレスは、約12時間未満、約1時間未満、約30分未満、約5〜30分及び約5〜10分の範囲で行われ得る。
【0062】
陰イオン膜を製造する1つの非限定的方法では、特に、用意された膜の各面上に図6Bに示されたような触媒層と電流コレクタとを備える白金めっきカーボン紙が置かれる。これらの層は、完全な陰イオン熱電池膜を形成するために、300℃、1200psiで5分間、ホットプレスされる。
【0063】
図7A〜7Eは、陰イオン膜を製造する代表的な方法を示す図である。明瞭のために、製造プロセスの幾つかの部分が、図7A〜7Eに含まれていないことが留意されるべきである。同様に、下記の製造プロセスは、陰イオン燃料電池を製造するために必要とされるすべてのステップを含む網羅的なリストであるようには、意図されていない。更に、この製造プロセスは、プロセスステップが図7A〜7Eに示されている順序とは異なる順序でも実行可能である、あるいは、幾つかのステップが同時に実行され得るので、柔軟性がある。
【0064】
図7Aは、陰イオン燃料電池のための成形型として使用されるガラスファイバ710を示す。本実施形態では、ガラスファイバは、円筒形の幾何学形状を作り出すために使用される。他の成形型(molding form)と方法とを利用することが燃料電池形状の変化を作り出し得る、ことは理解されるべきである。燃料電池を形成するための準備においてガラスファイバ710の上には、剥離層730が配置される。剥離層は、次のもの、すなわち:ポリプロポリエンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリシクロヘキセンカーボネート、及びポリノルボルネンカーボネート、及びこれらの組合せの1つから選択され得るが、これらに限定されな。剥離層730は、浸漬塗布、スプレイ、及び気相成長法を含む方法を使用して塗布され得るが、これらに限定されない。
【0065】
燃料電池の陽極は、図7Bに示されるようにガラスファイバ710と剥離層730との上に配置される。陽極の配置は、電流コレクタの配置、触媒層の配置及び/又はこれらの組合せを含み得る。配置方法は、ディップコーティング、スプレイ、気相成長法、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。一実施形態において図7Bは、陽極層740の配置を示す。
【0066】
それから燃料電池の膜は、図7Cに示されるように燃料電池の陽極上に配置される。膜の配置は、1つ以上の膜層の配置を含み得る。配置方法は、ディップコーティング、ドクターブレーディング、スピンコーティング、スプレイ、気相成長法、及び、これらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。図7Cは、膜層740の配置を示す。
【0067】
燃料電池の陰極は、図7Dに示されるように膜の上に配置される。陽極の配置は、触媒層の配置、電流コレクタの配置、及び/又はこれらの組合せを含み得る。配置方法は、ホットプレス、ディップコーティング、ドクターブレーディング、スピンコーティング、スプレイ、及びこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。一実施形態において図7Dは、陰極層750の配置を示す。
【0068】
それから燃料電池は、ガラスファイバ710又は他の成形型から取り外される。膜層720と触媒層740及び750とを含む燃料電池の断面は、図7Eに示されている。他の実施形態は、電流コレクタ(図7Eには図示せず)を含み得る。設計、製造及び用途に依存して陽極と陰極の位置が交換され得ることは理解されるべきである。
【0069】
(実施例)
燃料電池の幾つかの実施形態を一般的に説明してきたが、実施例1は、燃料電池の幾つかの実施形態とそれらの使用法とを説明する。下記は、本開示の如何なる実施形態の範囲を限定するようには意図されておらず、むしろある幾つかの実験条件と結果とを与えるように意図されている本開示の一実施形態の非限定例示的例である。したがって当業者は、多くの実験条件が修正され得るが、これらの修正が本開示の実施形態の範囲内にあることが意図されていることが理解されるであろう。
【0070】
燃料電池は、他のエネルギー変換・貯蔵装置に対して幾つかの潜在的利点を有する。固体酸化物燃料電池といった高温電池は、高い電力及びエネルギー変換効率を有する。陽イオン交換膜(PEM)燃料電池といった低温燃料電池(例えば近室温)は、より便利に使用され得るが、電力及び変換効率は動力学的限界のために、より低い。メタノール又は蟻酸といった液体燃料を使用するPEM電池は、もし濃縮液体燃料が使用され得るならば、バッテリと比較して高いエネルギー密度を持ち得る。低濃度のメタノール又は蟻酸は、しばしば、エネルギー密度を犠牲にして電力密度を増加させるために使用され得る。
【0071】
PEM電池は、燃料(例えば水素、メタノール、蟻酸)と酸素とを水に変換して陽極から陰極へ陽イオンを搬送するために、ポリマー膜を使用する。メタノールと水との酸化のための半反応は、CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-によって示され得る。
【0072】
酸性条件下では過酸化水素の生成により、白金といった高価な貴金属触媒が必要とされる可能性がある。アルカリ燃料電池は、酸素還元のためのより手頃な機構とより高い動作温度とのために、非貴金属触媒(例えばニッケル)を使用し得る。しかしながら、水酸化物電解質を有するアルカリ電池は、炭酸塩の形成及び沈殿のために空気に耐えられない可能性がある。溶融炭酸塩電池は、二酸化炭素に耐性があり空気中で動作可能であるが、その動作温度と液体電解質とが技術的に取り扱い難い。
【0073】
高いエネルギー密度と便利さとが尊重されている小さな燃料電池は、一般に、断熱性の欠如と低コストとの必要性とのために、ほとんど又はまったく補助的ハードウエア(ポンプ又は水再利用装置といった)なしで、大気温度で動作する。低電力無線センサー用といった低電力燃料電池の1つの利点は、最小で可能な形状因子において、高度に濃縮された燃料を貯蔵して使用する能力である。
【0074】
この実施形態では、室温炭酸塩(RTC)燃料電池システムの実現可能性が、吟味された。RTC電池は、特に空気陰極において非貴金属触媒(例えばニッケル)を使用する可能性と同じく一酸化炭素耐性を示す。炭酸塩サイクルのもう1つの利点は、陽極においてメタノールが燃料として使用されるとき(PEM電池におけるように)メタノールを酸化するために水が必要でないことである。即ち、陽極は、水を消費せず、また、水が燃料から除去されることを可能とし、燃料のエネルギー密度を著しく増加させるであろう。燃料としてメタノールを使用する室温炭酸塩伝導性燃料電池のための提案された半反応は、CH3OH+3CO32-→2H2O+4CO2+6e-によって示され得る。陰イオン燃料電池は、その濃度と燃料効率とを高めるために、2CO2+O2+4e-→2CO32-によって示されるように陽極において生成された二酸化炭素を陰極に再利用する。
【0075】
この実施形態では、陰イオン交換膜に基づく炭酸塩伝導性電解質が使用された。膜のpH感度は、これを重炭酸塩/炭酸塩フォーム(form)に変換することによって取り組まれた。膜の抵抗率が測定され、メタノールの化学的安定性が評価された。水素、1Mメタノール及び純メタノールが考慮されてきた。水素で動作するとき陽極排気において二酸化炭素が観察された。
【0076】
(実施例)
水酸化カルシウム(>99.5%、Fisher Scientific)とメタノール(99.9%、Fisher Scientific)ろが受け取られたままで、あるいは脱イオン化(DI)水で希釈されて使用された。1ブチル3メチルイミドアゾリウム・テトラフルオロ硼(ホウ)酸塩(BMIBF4、>97%、Fluka)が受け取られたままで使用された。二酸化炭素、水素、酸素、及び窒素ガスは、Air Productsから得られた。炭酸塩陰イオン交換膜は、重炭酸ナトリウム(>99.9%、Fisher Scientific)と炭酸ナトリウム(>99.5%、EMD Chemicals)との水溶液に、塩化物含有AFN陰イオン交換膜(AFN、Somerset, New Jersey)を浸漬することによって用意された。1M炭酸ナトリウムに浸漬すると、膜は薄茶色からほぼ黒色にまで暗くなり、高いpHのために炭酸塩交換膜としては使用できないことが分かった。この水溶液も透明から黄色に変化した。膜に対する損傷を防止しようとする試みにおいて、溶液のpHを下げるために重炭酸ナトリウムが加えられた(緑色透明膜という結果が生じた)。
【0077】
燃料電池は、2通りの仕方で構成された。水素試験に使用された電池は、一方の面が白金(20wt%Pt/Vulcan XC−72[1mg/cm2Pt],ElectroChem,Inc.)で被覆された、2つの炭素電極の間に、炭酸塩陰イオン交換膜を挟みこみ、互いにホットプレスすることによって形成される。メタノール試験で使用された電池は、電極と膜とにゴムのガスケット(打ち抜かれた既知の面積の孔を有する)を取り付けるために、エポキシを使用して構成されている。電気化学的測定のためにEG&G Princeton Applied Researchのモデル263Aポテンショスタットが使用された。
【0078】
(結果と論議)
水素は、陰イオン燃料電池の動作を試験するために、より手頃な電気化学的燃料を与え、最初に陽極区画で使用された。ほぼ2対1の比率の二酸化炭素と酸素とが、陰極への供給物として使用された。図8A、8Bは、それぞれ、4つの温度で動作した例示的電池に関する分極カーブと電力カーブとを示す。最大電力及び電流は、温度が26℃から44℃に上昇するにつれて、0.54mW/cm2及び5.4mA/cm2から0.68mW/cm2及び6.2mA/cm2に増加した。しかしながら温度が55℃に上昇したとき、性能は最大電流4.8mA/cm2となって著しく低下し、26℃で測定されたものよりも下に低下した。74.4Ω抵抗器を通して放電されたとき6.5時間より長い間、安定な0.3V(+/−2mV)が測定され、この後に試験は終了した。
【0079】
55℃における性能低下は、ポリマー膜の乾燥による可能性がある。加湿の効果は、2つの膜を同じ0.5M重炭酸ナトリウム/0.5M炭酸ナトリウム(0.5B/0.5C)溶液に浸漬することによって試験された。それから一方の膜は、他方の膜が18時間、室温において真空下で乾燥されている間に、溶液から取り出されて使用された。0.5B/0.5C溶液中で各膜の抵抗率が測定された。乾燥された膜の「面抵抗率」は101.4Ωcm2であることが分かったが、これは乾燥されなかった膜に関して測定された36.2Ωcm2よりほぼ3倍も高かった。膜は、水分に曝されると膨張して伝導率の上昇という結果を生じ得る。続いて、乾燥された膜は、48時間、0.5B/0.5C溶液に再浸漬された。浸漬の後、面抵抗率は5Ωcm2より下に下がった。この抵抗率の低下は、加湿時の膜の膨張による可能性がある。また、乾燥すると膜は収縮して炭素電極上のPtから離れ、電極と膜との間の不十分な界面接触という結果を招き、システムの性能を低下させる。
【0080】
膜内の水分を保持する試みにおいて、新しい燃料電池が構成されて特徴付けられた。BMIBF4疎水性イオン液(IL)は、最初に陽極の表面に、それから、陰極の表面に塗布された。最初の試験と表面へのILの付加の後との分極カーブと電力カーブとを、図9A、9Bに示めす。電池の一方の面へのILの塗布は、電流をほぼ30%増加させた。しかしながら、電池の両電極にILを塗布されて3日後に再試験すると(図9A、9B)、性能は最初のレベルに戻っていた。疎水性ILは、膜の表面からの水の損失を遅らせて、膜の表面へのCO2、H2及びO2の拡散を押し進める可能性がある。またILは、ガスをトラップして、電極と電解質との間の加湿を改善しながら、反応のために表面にガスを保持し得る。
【0081】
炭酸塩イオン搬送の検証は、陰極における二酸化炭素の消費と、膜における炭酸塩イオンの搬送と、陽極における二酸化炭素の生成と、を含む。炭酸塩搬送と、二酸化炭素消費及び生成と、を検証するために、2つの試験が実行された。注入口と排出口との各々は、大気中のCO2が干渉するのを防止するために適当にシール(密閉)及び/又は清浄化された。第1の試験では、燃料として水素が使用され、陽極排出物は、液体窒素で冷却されたガストラップを通過し、それから空気が電池内に逆拡散するのを防止するためにオイルバブラーを通して泡立てられた。電池は、約10時間の間、50Ω負荷(電位0.190V±10mV)の下で動作させられ、また運転中にトラップの底部には、厚い白色の固形物が堆積した。運転の完了後にガストラップの注入口と排出口の栓(コック)は閉じられた。それから一方の面にチューブが接続され、他方の面は、水酸化カルシウム溶液に浸漬された。もし沈殿物がCH3OH+3CO32-→2H2O+4CO2+6e-にしたがって陽極において生成された二酸化炭素であれば、炭酸カルシウムが沈殿するであろう。栓が開かれたとき、溶液は、CaOHとCO2との反応により直ちに乳白色に変わった。白色固形物は、暖まるにつれて、ガストラップ内の圧力を高めながら蒸発した。CaOH溶液は、ガストラップ内に直接注入されると白色になった。これらの試験は、炭酸塩/重炭酸塩が伝導性イオンである場合にだけ発生し得る陽極におけるCO2の生成と一致し、電池の動作中の陽極排出物に多量の二酸化炭素が存在していたことを示している。
【0082】
第2の試験では、CO2が陰極で消費されるかどうかを見るために、陰極への二酸化炭素供給の流れを中断することの影響が吟味された。図10は、CO2の流れが停止した直後に、負荷抵抗器にかかる電池電圧の実質的な低下が存在したことを示す。それから電圧は、次の4時間に亘ってゆっくりと減衰し続けた。しかしながらシステムは、試験の終了までに0Vに到達せず、CO2の引き続いての存在又は導入を示した。最も可能性のあるCO2源は、膜を貫通する陽極から陰極へのCO2の透過である。CO2は、陽極で生成されるので、膜を横切って陽極へ逆横断できる。0.5B/0.5C処理された膜を貫通するCO2の透過係数は、5及び6時間後に測定されたトリクル充電(細流充電)を明らかにできる35.4バリヤーであることが分かった。陽極から陰極への膜を貫通する中性CO2の透過は、電池動作には望ましいが、試験目的のために陰極区画からCO2を除去することを困難にする。更に陰極区画からすべての空気を完全に除去して密封することは困難である。
【0083】
水素は、炭酸塩伝導機構を試験する効率的な方法を与えるが、液体燃料は、大気圧動作と燃料貯蔵とのために興味深い。種々の条件下で陰イオン燃料電池の燃料として、メタノールが試験された。図11は、陰極供給物として乾燥空気と二酸化炭素とを使用した動作2時間後の1Mメタノール燃料に関する分極カーブを示す。電流・電圧カーブから最大電力及び電流はそれぞれ、約2μW/cm2及び約16.2μA/cm2であった。動作1時間後、15キロΩ負荷で動作しているとき燃料電池の電力は、約2.5μW/cm2に増加した。24時間後、開放回路電圧(OCV)は、750mVに増加していた。数時間の間、陰極チャンバを窒素で清浄化したことは、電池電圧の定常的低下という結果をもたらした。酸素流が再確立された場合、O2とCO2とが還元のために陰極で利用可能であるので、電池電圧は急速に上昇した。CO2流をオン/オフ反復したことは、電池の性能に影響を及ぼした。例えばOCV付近(電流<1nA/cm2)で動作しているとき電圧は、CO2流がオンにされた場合、40mVより高い分だけ(763mVから804mVまで)上昇した。流れを止めることは、CO2も膜を貫通する透過によって陽極面から供給されるので、電圧の完全な喪失ではなく電池電圧の徐々の低下を引き起こすであろう。
【0084】
陰イオン燃料電池に関する1つの試験は、純メタノールで動作する能力である。陽イオン交換膜は、CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-によって示されるようにCO2への酸化のために陽極において水とメタノールとを必要とする。電池が純メタノールで動作しているとき測定が行われた。負荷の下での動作5時間後に取られた分極カーブは、図12に示されている。負荷の下での電流は、1Mメタノールによるよりも高かったが、OCVはより低く、約440mVであった。最大電流、約74μA/cm2と電力、約8.8μW/cm2とは、1Mメタノールシステムに関して測定された値の4倍より大きい。より大きな電流は、純メタノールにおける1Mから24.7Mへの増加したメタノール濃度によるものである。750mVから440mVへのOCVの低下は、陽極から陰極へのクロスオーバー(横断)による可能性がある。
【0085】
0.5B/0.5C処理された膜を通る純メタノールの有効拡散係数は、膜を通る搬送速度を測定することによって評価された。メタノールの貯蔵部は、上部囲いとして膜でガラス容器内に密封された。時間に伴う重量変化に基づいて、有効拡散係数は2.26E-7cm2/sであると分かった。この搬送の値は、メタノールが膜を貫通して陰極加湿し、より低い電池電圧という結果をもたらすために十分である。1Mメタノールの場合、メタノールの濃度は、単に4%純メタノールであり、膜を通るメタノール拡散とOCVとへのその効果を、実質的に引き下げる。
【0086】
(結論)
室温陰イオン燃料電池は、炭酸塩を搬送するために、陰イオン交換膜を修正することによって構成されてきた。これらの電池は、陰極ガスとして乾燥O2とCO2とを使用し、水素、1Mメタノール及び純メタノールによって動作する。陽極では、CO2が生成され、動作のために陰極ではO2とCO2とが利用され、炭酸塩が、伝導性イオンであることが示された。
【0087】
比率、濃度、量、寸法、及び他の数値データがここでは、ある範囲形式で表され得ることは留意されるべきである。このような範囲形式が、便宜と簡潔さのために使用されており、したがって範囲の限界として明記された数値だけでなく、各数値と副範囲とが明示されているかのようにこの範囲内に包含されるすべての個別的数値又は副範囲を含むように柔軟な仕方で、このような範囲形式が解釈されるべきであることは理解されるべきである。説明のために「約0.1%から約5%」の範囲は、約0.1%から約5%の明記された範囲ばかりでなく、指示された範囲内に個別範囲(例えば1%、2%、3%、及び4%)及び副範囲(例えば0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、及び4.4%)も含むと解釈されるべきである。
【0088】
本開示の前述の実施形態が単に実現形態の可能な例であり、本開示の原理の明確な理解のために説明されていることは、強調されるべきである。本開示の前述の実施形態に対して多くの変更と修正とが本開示の精神と原理から実質的に逸脱せずに行われてもよい。このようなすべての修正と変更とは、ここでは本開示の範囲内に含まれ、前記の請求項によって保護されるように意図されている。
【0089】
本開示の多くの態様は、下記の図面の参照によって更によく理解され得る。これらの図面における構成要素は必ずしも原寸に比例しておらず、その代わりに本開示の原理を明確に説明することに重点が置かれている。更に、これらの図面において同様の参照数字は、幾つかの図を通して、対応する部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、代表的な陰イオン燃料電池の断面図である。
【図2】図2は、代表的な陰イオン燃料電池の断面図である。
【図3】図3は、炭酸塩膜を利用するCO2ポンプの断面図である。
【図4】図4は、陰イオン燃料電池と陽イオン交換膜(PEM)燃料電池との両者を組み込んだハイブリッド燃料電池を示す図である。
【図5】図5は、メタノール燃料濃度に関する陰イオン燃料電池膜とPEMとの出力を示す図である。
【図6A】図6Aは、陰イオン燃料電池を製造する代表的方法を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、陰イオン燃料電池を製造する代表的方法を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、陰イオン燃料電池を製造する代表的方法を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、陰イオン燃料電池膜を製造する代表的方法を示す図である。
【図7B】図7Bは、陰イオン燃料電池膜を製造する代表的方法を示す図である。
【図7C】図7Cは、陰イオン燃料電池膜を製造する代表的方法を示す図である。
【図7D】図7Dは、陰イオン燃料電池膜を製造する代表的方法を示す図である。
【図7E】図7Eは、陰イオン燃料電池膜を製造する代表的方法を示す図である。
【図8A】図8Aは、水素で動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとである。
【図8B】図8Bは、水素で動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとである。
【図9A】図9Aは、イオン液によって改良されたときの、水素で動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとである。
【図9B】図9Bは、イオン液によって改良されたときの、水素で動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとである。
【図10】図10は、CO2流を止めた後の、水素で動作する陰イオン燃料電池の電圧カーブである。
【図11】図11は、1Mメタノールで動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとを示す図である。
【図12】図12は、純メタノールで動作する陰イオン燃料電池における分極カーブと電力カーブとを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩伝導性電解質を含む材料で作られた陰イオン膜と、
前記陰イオン膜の第1の面上に配置された第1の触媒層と、
前記陰イオン膜の第2の面上に配置された第2の触媒層と、
を備える燃料電池。
【請求項2】
前記燃料電池は、約−100℃から+200℃の温度で動作する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
純メタノールが、前記陰イオン膜の前記第1の面に配置される燃料であり、
CO2とO2とが、前記陰イオン膜の前記第2の面に配置される、
請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記陰イオン膜の前記材料は、少なくとも:炭酸塩、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルカリ炭酸塩、ポリマー系炭酸塩、及び、これらの組合せ、のうちの1つから選択される、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記第1の触媒は、少なくとも:白金、白金/ルテニウム、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、テルル、チタン、各々の合金、及び、これらの組合せ、のうちの1つから選択される、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記第2の触媒は、少なくとも:白金、白金/ルテニウム、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、テルル、チタン、各々の合金、及び、これらの組合せ、のうちの1つから選択される、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記第1の触媒は白金であり、前記第2の触媒はニッケルである、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記陰イオン膜の前記第1の面上に配置された第1の電流コレクタと、
前記陰イオン膜の前記第2の面上に配置された第2の電流コレクタと、
を更に備える、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記第1の電流コレクタは、少なくとも:白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、炭素、各々の合金、及び、これらの組合せ、のうちの1つから作られる、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記第2の電流コレクタは、少なくとも:白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、炭素、各々の合金、及び、これらの組合せ、のうちの1つから作られる、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記陰イオン膜の前記第1の面上に配置され、15℃において約17Mメタノールより高い濃度を有する、濃縮メタノール燃料と、
を更に備える、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項12】
炭酸塩伝導性電解質を含む材料で作られた陰イオン膜と、
前記陰イオン膜の第1の面上に配置された第1の触媒層と、
前記陰イオン膜の第2の面上に配置された第2の触媒層と、
前記陰イオン膜の前記第1の面上に配置され、前記第1の触媒層と接触する、第1の電流コレクタと、
前記陰イオン膜の前記第2の面上に配置され、前記第2の触媒層と接触する、第2の電流コレクタと、
を備えるCO2ポンプ。
【請求項13】
前記第1、第2の電流コレクタの各々に電気的に接続された、電源と、
を更に備える、請求項12に記載のCO2ポンプ。
【請求項14】
炭酸塩伝導性電解質を含む材料で作られた陰イオン膜と、
陽イオン交換膜(PEM)と、
を備える、ハイブリッド燃料電池であって、
前記陰イオン膜は、前記PEMと電気的に通信している、
ハイブリッド燃料電池。
【請求項15】
前記PEMは、有機伝導性材料、無機伝導性材料、及び、これらの組合せ、から選択された材料を備える、請求項14に記載のハイブリッド燃料電池。
【請求項16】
前記陰イオン膜材料は、少なくとも:炭酸塩、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルカリ炭酸塩、ポリマー系炭酸塩、及び、これらの組合せ、のうちの1つから選択される、請求項14に記載のハイブリッド燃料電池。
【請求項17】
前記陰イオン膜材料と前記PEMは少なくとも:直列、並列、及び、これらの組み合わせ、のうちの1つで電気的に接続される、請求項14に記載のハイブリッド燃料電池。
【請求項18】
成形型上に、剥離層を配置し、
前記剥離層上に、第1の多孔質触媒層を配置し、
前記第1の多孔質触媒層上に、陰イオン膜材料の層を配置し、
陰イオン膜材料の前記層上に、第2の多孔質触媒層を配置し、
前記第2の多孔質触媒層上に、陰イオン膜材料の第2の層を配置する、
ことを備える、燃料電池を製造するための方法。
【請求項19】
前記第1の多孔質触媒層の膜材料は、約0.1μmから500μmの厚さである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記陰イオン膜材料は、炭酸塩伝導性電解質を含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−535790(P2009−535790A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509927(P2009−509927)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/066871
【国際公開番号】WO2008/054858
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】