陳列用包装容器
【課題】取り扱いの安全性、バージン性、リサイクル性に優れた陳列用包装容器を提供する。
【解決手段】陳列用包装容器1は、商品を収容するための凹部4を備えてなる前板部2と、この前板部2の裏面に取り付けられて上記凹部4の開口部を塞ぐ裏板部3とからなり、前板部2と裏板部3はその取付け面どうしが糸6で接合されるものとする。糸6での接合は、例えば、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを突き合わせて糸6で縫合するものとしてよい。
【解決手段】陳列用包装容器1は、商品を収容するための凹部4を備えてなる前板部2と、この前板部2の裏面に取り付けられて上記凹部4の開口部を塞ぐ裏板部3とからなり、前板部2と裏板部3はその取付け面どうしが糸6で接合されるものとする。糸6での接合は、例えば、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを突き合わせて糸6で縫合するものとしてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容し陳列するのに用いられる陳列用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の陳列用包装容器としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。同文献の陳列用包装容器は、前板部(3)とこの前板部(3)の裏面に取り付けられる裏板部(2)とを有し、前板部(3)と裏板部(2)はその取付け面どうしを突き合わせてホッチキス芯(5)で接合する構造になっている。前板部(3)には、商品を収容する凹部として、膨出成形部(4)が設けられている。尚、前記カッコ内の符号は同文献で用いられている符号である。以下も同様である。
【0003】
上記のような構造からなる陳列用包装容器において、膨出成形部(4)内に収容されている商品を取り出すときは、まず、ホッチキス芯(5)を取り外す。そうすると、そのホッチキス芯(5)で接合されていた前板部(3)と裏板部(2)の取付け面が分離し、前板部(3)から裏板部(2)を取り外すことが可能となり、陳列用包装容器が開封された状態となって、膨出成形部(4)内から商品を取り出すことができる。
【0004】
しかし、上記のような従来の陳列用包装容器にあっては、前板部と裏板部の取付け面どうしをホッチキス芯で接合しているため、以下の(ア)乃至(ウ)等の問題点を有している。
【0005】
(ア)取り扱いの安全性を欠く。これは、陳列用包装容器内から商品を取り出す時に、ホッチキス芯を取り外す必要があり、このホッチキス芯の取り外し時に、ホッチキス芯の尖った端部で、けがをするおそれがあるためである。
【0006】
(イ)未だ誰の手によっても陳列用包装容器が開封されていないこと、いわゆるバージン性を欠く。これは、ホッチキス芯はその両端が折り曲げられて抜け止め固定されるだけだから、一旦取り外したホッチキス芯を誰にも気づかれないように元通りに取り付け直すことが比較的容易だからである。
【0007】
(ウ)リサイクル性を欠く。これは、前板部がリサイクル対象の樹脂から構成される場合において、ホッチキス芯として金属のものが用いられていると、前板部のリサイクル時に、当該前板部から金属のホッチキス芯を除去する作業が必要となるとともに、それだけリサイクルコストが高くなるからである。
【0008】
【特許文献1】実開昭63−94162号公報(例えば、第5頁第7行〜第12行の記載、第1図、第2図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは取り扱いの安全性、バージン性、リサイクル性に優れた陳列用包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、商品を収容するための凹部を備えてなる前板部と、この前板部の裏面に取り付けられて上記凹部の開口を塞ぐ裏板部とからなる陳列用包装容器において、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを糸で接合してなることを特徴とする。
【0011】
上記本発明において、上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で縫合するようにしてよい。
【0012】
上記本発明において、上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で結束するようにしてもよい。
【0013】
上記本発明において、上記前板部はPET等の合成樹脂から構成され、上記糸は上記前板部の構成素材と同一の合成繊維からなるものとしてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、上記構成の採用により、以下の(A)乃至(C)の作用効果を奏する。
【0015】
(A)前板部と裏板部の取付け面どうしが糸で接合されるので、ホッチキス芯のような尖った端部はなく、かかる端部でけがをするおそれもない点で、取り扱いの安全性に優れる。
【0016】
(B)バージン性に優れる。すなわち、糸はしなやかで曲がり易い。このため、本発明のように前板部と裏板部の取付け面どうしを糸で接合する構造の場合には、一旦取り外した糸を後で誰にも気づかれないように元通りに付け直すことは、容易なことでないからである。特に、糸による接合が縫合の場合には、縫合の縫い目が多数あり、多数の縫い目どおりに糸を通し直さなければ、当該糸は元通りにならないから、一旦取り外した糸の付け直し作業はきわめて困難であり、より一層バージン性に優れるものである。
【0017】
(C)前板部がPET等の合成樹脂から構成され、糸がその前板部の構成素材と同一の合成繊維からなる構成の場合は、前板部と糸が同一の構成素材だから、前板部のリサイクルにあたり、当該前板部から糸を除去する作業は不要であり、リサイクルコストの低減を図れるとともに、前板部と一緒に糸もリサイクルでき、リサイクル性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態である陳列用包装容器の斜視図、図2は図1に示した陳列用包装容器の説明図であって、同図(a)は図1中のA−A線断面図、同図(b)は図1中のB−B線断面図である。図3は図1に示した陳列用包装容器への商品の収納方法の説明図である。
【0020】
図1に示す陳列用包装容器1は、前板部2と裏板部3により構成される。前板部2には凹部4が設けられており(図2(b)参照)、この凹部4は、前板部2の裏面から表面に向かって張り出すように形成されている。従って、前板部2の裏面側には凹部4の入口が開口している。一方、裏板部3は前板部2の裏面に取り付けられる。このように取り付けられた状態で、裏板部3は、前板部2の凹部4の入口、すなわち当該凹部の開口部4aを塞ぐように構成されている。
【0021】
前板部2裏面への裏板部3の取付け構造として、図1の陳列用包装容器1では、図3のように、前板部2の3辺、具体的には上辺2aおよび両側辺2b、2cに、該3辺を前板部3の裏面側へ折り返してなる、折り返し片5a、5b、5cを設けるとともに、前板部2の下端部2d側から上記折り返し片5a、5b、5cの内側に裏板部3をスライド挿入して取り付ける構造を採用している。このようにして裏板部3が取り付けられると、裏板部3により凹部4の開口部4aが塞がれる。
【0022】
図1と図2に示したように、前板部2の裏面に裏板部3を取り付けた状態で、前板部2と裏板部3はその取付け面どうしが糸6で接合される。この糸6での接合方式として、図1の陳列用包装容器では、糸6で前板部2と裏板部3の取付け面どうしを縫合する方式を採用している。
【0023】
本実施形態の場合、糸6による縫合の位置は、図1のように、前板部2の上辺2aより少し内側に入った位置としているが、この位置に限定されることはない。例えば、前板部2の側辺2bまたは2cより少し内側に入った位置において、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で縫合してもよい。
【0024】
糸6による上記縫合は市販のハンドミシンを用いて行なうことができる。図2(a)には前板部2と裏板部3の取付け面どうしをハンドミシンで縫合した状態を示した。
【0025】
前板部2はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な合成樹脂で形成され、裏板部3は厚紙で形成される。また、前板部2と裏板部3の縫合に用いる糸6は、前板部2の構成素材と同一の合成繊維からなる糸とする。例えば、前板部2がPET樹脂で形成される場合は、PET繊維の糸が用いられる。
【0026】
次に、上記の如く構成された陳列用包装容器1の使用例について図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
図1に示す陳列用包装容器1にあっては、糸6による前板部2と裏板部3の縫合前にあらかじめ、陳列用包装容器1の凹部4内に商品(図示省略)を収容する。凹部4内への商品の収容は、図3に示すように前板部2から裏板部3を取り外した状態で行なうことができる。
【0028】
凹部4内への商品の収容が完了した後は、次に、図1および図2のように、前板部2の裏面に裏板部3を取り付ける。裏板部3の取付け作業は、図3のように、前板部2の下端部2dから前板部2の折り返し片5b、5cの内側に、裏板部3をスライド挿入するものとする。
【0029】
そして、上記のようにして裏板部3の取付けが完了すると、次に、前板部2と裏板部3の接合を行なう。この接合の作業は、図1および図2のように、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で縫合するものとする。この状態で、陳列用包装容器1は店頭に配置される。
【0030】
ところで、陳列用包装容器1の凹部4内から商品を取り出すときは、陳列用包装容器1を開封する。この開封は、まず縫合の糸6を除去する。かかる糸6を除去すると、前板部2と裏板部3の接合が解除され、前板部2から裏板部3を取り外すことが可能となる。裏板部3の取り外し作業は、前板部2の下端部2dから裏板部3をスライドさせて抜き取るものとする。このようにして裏板部3を抜き取ると、それまで裏板部3で塞がれていた陳列用包装容器1の凹部4の開口部4aが開となり、凹部4内から商品を取り出すことが可能となる。
【0031】
上記実施形態においては、前板部2と裏板部3を接合する構造として、糸6で縫合する構造例について説明したが、この糸6による接合構造としては、例えば、図4および図5に示すように、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で結束する方式を採用してもよい。縫合も結束も糸6を用いる点では共通するが、縫合は縫うという概念であり、この一方、結束は結ぶという概念であって、縫合と結束ではその概念が異なるものと観念される。
【0032】
上記実施形態においては、前板部2と裏板部3が別部品として分離する例について説明したが、図1や図2に示した本発明の要部である糸6による前板部2と裏板部3の接合構造は、図5と図6に示したように、前板部2と裏板部3がそれぞれの下端部2d、3dで連結されて開閉する形式の陳列用包装容器1にも適用することができる。
【0033】
以上説明した本実施形態の陳列用包装容器1によると、前板部2と裏板部3の取付け面どうしが糸6で接合される構造を採用したので、その接合形態の従来例のようにホッチキス芯のような尖った端部はなく、かかる端部でけがをするおそれもない点で、取り扱いの安全性に優れる。
【0034】
また、本実施形態の陳列用包装容器1は、バージン性に優れる。すなわち、糸6はしなやかで曲がり易い。このため、本実施形態のように前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で接合する構造の場合、一旦取り外した糸6を後で誰にも気づかれないように元通りに付け直すことは、容易なことでないからである。特に、本実施形態の陳列用包装容器1のように、糸6による接合が縫合の場合には、縫合の縫い目が多数あり、多数の縫い目どおりに糸を通し直さなければ、当該糸は元通りにならないから、一旦取り外した糸の付け直し作業はきわめて困難であり、よって、本実施形態の陳列用包装容器1は、より一層バージン性に優れるものである。
【0035】
さらに、本実施形態の陳列用包装容器1によると、前板部2がPET等の合成樹脂から構成され、糸6がその前板部2の構成素材と同一の合成繊維からなり、前板部2と糸6が同一の構成素材だから、開封後、前板部2のリサイクルにあたり、当該前板部2から糸6を除去する作業は不要であり、リサイクルコストの低減を図れるとともに、前板部2と一緒に糸6もリサイクルでき、リサイクル性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態である陳列用包装容器の斜視図。
【図2】図2は図1の陳列用包装容器の説明図であって、(a)は図1中のA−A線断面図、(b)は図1中のB−B線断面図である。
【図3】図1に示した陳列用包装容器への商品の収納方法の説明図。
【図4】本発明の他の実施形態である陳列用包装容器の説明図であって、(a)は陳列用包装容器の斜視図、(b)は(a)中のC−C線断面図。
【図5】本発明を適用し得る他の陳列用包装容器の説明図。
【図6】図5の陳列用包装容器に本発明を適用した場合の説明図であって、(a)は当該包装容器の側面図、(b)は(a)中のD−D線断面図。
【符号の説明】
【0037】
1 陳列用包装容器
2 前板部
2a 前板部の上辺
2b、2c 前板部の側辺
2d 前板部の下端部
3 裏板部
3d 裏板部の下端部
4 凹部
5a、5b、5c 折り返し片
6 糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容し陳列するのに用いられる陳列用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の陳列用包装容器としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。同文献の陳列用包装容器は、前板部(3)とこの前板部(3)の裏面に取り付けられる裏板部(2)とを有し、前板部(3)と裏板部(2)はその取付け面どうしを突き合わせてホッチキス芯(5)で接合する構造になっている。前板部(3)には、商品を収容する凹部として、膨出成形部(4)が設けられている。尚、前記カッコ内の符号は同文献で用いられている符号である。以下も同様である。
【0003】
上記のような構造からなる陳列用包装容器において、膨出成形部(4)内に収容されている商品を取り出すときは、まず、ホッチキス芯(5)を取り外す。そうすると、そのホッチキス芯(5)で接合されていた前板部(3)と裏板部(2)の取付け面が分離し、前板部(3)から裏板部(2)を取り外すことが可能となり、陳列用包装容器が開封された状態となって、膨出成形部(4)内から商品を取り出すことができる。
【0004】
しかし、上記のような従来の陳列用包装容器にあっては、前板部と裏板部の取付け面どうしをホッチキス芯で接合しているため、以下の(ア)乃至(ウ)等の問題点を有している。
【0005】
(ア)取り扱いの安全性を欠く。これは、陳列用包装容器内から商品を取り出す時に、ホッチキス芯を取り外す必要があり、このホッチキス芯の取り外し時に、ホッチキス芯の尖った端部で、けがをするおそれがあるためである。
【0006】
(イ)未だ誰の手によっても陳列用包装容器が開封されていないこと、いわゆるバージン性を欠く。これは、ホッチキス芯はその両端が折り曲げられて抜け止め固定されるだけだから、一旦取り外したホッチキス芯を誰にも気づかれないように元通りに取り付け直すことが比較的容易だからである。
【0007】
(ウ)リサイクル性を欠く。これは、前板部がリサイクル対象の樹脂から構成される場合において、ホッチキス芯として金属のものが用いられていると、前板部のリサイクル時に、当該前板部から金属のホッチキス芯を除去する作業が必要となるとともに、それだけリサイクルコストが高くなるからである。
【0008】
【特許文献1】実開昭63−94162号公報(例えば、第5頁第7行〜第12行の記載、第1図、第2図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは取り扱いの安全性、バージン性、リサイクル性に優れた陳列用包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、商品を収容するための凹部を備えてなる前板部と、この前板部の裏面に取り付けられて上記凹部の開口を塞ぐ裏板部とからなる陳列用包装容器において、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを糸で接合してなることを特徴とする。
【0011】
上記本発明において、上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で縫合するようにしてよい。
【0012】
上記本発明において、上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で結束するようにしてもよい。
【0013】
上記本発明において、上記前板部はPET等の合成樹脂から構成され、上記糸は上記前板部の構成素材と同一の合成繊維からなるものとしてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、上記構成の採用により、以下の(A)乃至(C)の作用効果を奏する。
【0015】
(A)前板部と裏板部の取付け面どうしが糸で接合されるので、ホッチキス芯のような尖った端部はなく、かかる端部でけがをするおそれもない点で、取り扱いの安全性に優れる。
【0016】
(B)バージン性に優れる。すなわち、糸はしなやかで曲がり易い。このため、本発明のように前板部と裏板部の取付け面どうしを糸で接合する構造の場合には、一旦取り外した糸を後で誰にも気づかれないように元通りに付け直すことは、容易なことでないからである。特に、糸による接合が縫合の場合には、縫合の縫い目が多数あり、多数の縫い目どおりに糸を通し直さなければ、当該糸は元通りにならないから、一旦取り外した糸の付け直し作業はきわめて困難であり、より一層バージン性に優れるものである。
【0017】
(C)前板部がPET等の合成樹脂から構成され、糸がその前板部の構成素材と同一の合成繊維からなる構成の場合は、前板部と糸が同一の構成素材だから、前板部のリサイクルにあたり、当該前板部から糸を除去する作業は不要であり、リサイクルコストの低減を図れるとともに、前板部と一緒に糸もリサイクルでき、リサイクル性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態である陳列用包装容器の斜視図、図2は図1に示した陳列用包装容器の説明図であって、同図(a)は図1中のA−A線断面図、同図(b)は図1中のB−B線断面図である。図3は図1に示した陳列用包装容器への商品の収納方法の説明図である。
【0020】
図1に示す陳列用包装容器1は、前板部2と裏板部3により構成される。前板部2には凹部4が設けられており(図2(b)参照)、この凹部4は、前板部2の裏面から表面に向かって張り出すように形成されている。従って、前板部2の裏面側には凹部4の入口が開口している。一方、裏板部3は前板部2の裏面に取り付けられる。このように取り付けられた状態で、裏板部3は、前板部2の凹部4の入口、すなわち当該凹部の開口部4aを塞ぐように構成されている。
【0021】
前板部2裏面への裏板部3の取付け構造として、図1の陳列用包装容器1では、図3のように、前板部2の3辺、具体的には上辺2aおよび両側辺2b、2cに、該3辺を前板部3の裏面側へ折り返してなる、折り返し片5a、5b、5cを設けるとともに、前板部2の下端部2d側から上記折り返し片5a、5b、5cの内側に裏板部3をスライド挿入して取り付ける構造を採用している。このようにして裏板部3が取り付けられると、裏板部3により凹部4の開口部4aが塞がれる。
【0022】
図1と図2に示したように、前板部2の裏面に裏板部3を取り付けた状態で、前板部2と裏板部3はその取付け面どうしが糸6で接合される。この糸6での接合方式として、図1の陳列用包装容器では、糸6で前板部2と裏板部3の取付け面どうしを縫合する方式を採用している。
【0023】
本実施形態の場合、糸6による縫合の位置は、図1のように、前板部2の上辺2aより少し内側に入った位置としているが、この位置に限定されることはない。例えば、前板部2の側辺2bまたは2cより少し内側に入った位置において、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で縫合してもよい。
【0024】
糸6による上記縫合は市販のハンドミシンを用いて行なうことができる。図2(a)には前板部2と裏板部3の取付け面どうしをハンドミシンで縫合した状態を示した。
【0025】
前板部2はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な合成樹脂で形成され、裏板部3は厚紙で形成される。また、前板部2と裏板部3の縫合に用いる糸6は、前板部2の構成素材と同一の合成繊維からなる糸とする。例えば、前板部2がPET樹脂で形成される場合は、PET繊維の糸が用いられる。
【0026】
次に、上記の如く構成された陳列用包装容器1の使用例について図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
図1に示す陳列用包装容器1にあっては、糸6による前板部2と裏板部3の縫合前にあらかじめ、陳列用包装容器1の凹部4内に商品(図示省略)を収容する。凹部4内への商品の収容は、図3に示すように前板部2から裏板部3を取り外した状態で行なうことができる。
【0028】
凹部4内への商品の収容が完了した後は、次に、図1および図2のように、前板部2の裏面に裏板部3を取り付ける。裏板部3の取付け作業は、図3のように、前板部2の下端部2dから前板部2の折り返し片5b、5cの内側に、裏板部3をスライド挿入するものとする。
【0029】
そして、上記のようにして裏板部3の取付けが完了すると、次に、前板部2と裏板部3の接合を行なう。この接合の作業は、図1および図2のように、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で縫合するものとする。この状態で、陳列用包装容器1は店頭に配置される。
【0030】
ところで、陳列用包装容器1の凹部4内から商品を取り出すときは、陳列用包装容器1を開封する。この開封は、まず縫合の糸6を除去する。かかる糸6を除去すると、前板部2と裏板部3の接合が解除され、前板部2から裏板部3を取り外すことが可能となる。裏板部3の取り外し作業は、前板部2の下端部2dから裏板部3をスライドさせて抜き取るものとする。このようにして裏板部3を抜き取ると、それまで裏板部3で塞がれていた陳列用包装容器1の凹部4の開口部4aが開となり、凹部4内から商品を取り出すことが可能となる。
【0031】
上記実施形態においては、前板部2と裏板部3を接合する構造として、糸6で縫合する構造例について説明したが、この糸6による接合構造としては、例えば、図4および図5に示すように、前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で結束する方式を採用してもよい。縫合も結束も糸6を用いる点では共通するが、縫合は縫うという概念であり、この一方、結束は結ぶという概念であって、縫合と結束ではその概念が異なるものと観念される。
【0032】
上記実施形態においては、前板部2と裏板部3が別部品として分離する例について説明したが、図1や図2に示した本発明の要部である糸6による前板部2と裏板部3の接合構造は、図5と図6に示したように、前板部2と裏板部3がそれぞれの下端部2d、3dで連結されて開閉する形式の陳列用包装容器1にも適用することができる。
【0033】
以上説明した本実施形態の陳列用包装容器1によると、前板部2と裏板部3の取付け面どうしが糸6で接合される構造を採用したので、その接合形態の従来例のようにホッチキス芯のような尖った端部はなく、かかる端部でけがをするおそれもない点で、取り扱いの安全性に優れる。
【0034】
また、本実施形態の陳列用包装容器1は、バージン性に優れる。すなわち、糸6はしなやかで曲がり易い。このため、本実施形態のように前板部2と裏板部3の取付け面どうしを糸6で接合する構造の場合、一旦取り外した糸6を後で誰にも気づかれないように元通りに付け直すことは、容易なことでないからである。特に、本実施形態の陳列用包装容器1のように、糸6による接合が縫合の場合には、縫合の縫い目が多数あり、多数の縫い目どおりに糸を通し直さなければ、当該糸は元通りにならないから、一旦取り外した糸の付け直し作業はきわめて困難であり、よって、本実施形態の陳列用包装容器1は、より一層バージン性に優れるものである。
【0035】
さらに、本実施形態の陳列用包装容器1によると、前板部2がPET等の合成樹脂から構成され、糸6がその前板部2の構成素材と同一の合成繊維からなり、前板部2と糸6が同一の構成素材だから、開封後、前板部2のリサイクルにあたり、当該前板部2から糸6を除去する作業は不要であり、リサイクルコストの低減を図れるとともに、前板部2と一緒に糸6もリサイクルでき、リサイクル性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態である陳列用包装容器の斜視図。
【図2】図2は図1の陳列用包装容器の説明図であって、(a)は図1中のA−A線断面図、(b)は図1中のB−B線断面図である。
【図3】図1に示した陳列用包装容器への商品の収納方法の説明図。
【図4】本発明の他の実施形態である陳列用包装容器の説明図であって、(a)は陳列用包装容器の斜視図、(b)は(a)中のC−C線断面図。
【図5】本発明を適用し得る他の陳列用包装容器の説明図。
【図6】図5の陳列用包装容器に本発明を適用した場合の説明図であって、(a)は当該包装容器の側面図、(b)は(a)中のD−D線断面図。
【符号の説明】
【0037】
1 陳列用包装容器
2 前板部
2a 前板部の上辺
2b、2c 前板部の側辺
2d 前板部の下端部
3 裏板部
3d 裏板部の下端部
4 凹部
5a、5b、5c 折り返し片
6 糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収容するための凹部を備えてなる前板部と、この前板部の裏面に取り付けられて上記凹部の開口を塞ぐ裏板部とからなる陳列用包装容器において、
上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを糸で接合してなる
ことを特徴とする陳列用包装容器。
【請求項2】
上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で縫合する
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【請求項3】
上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で結束する
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【請求項4】
上記前板部はPET等の合成樹脂から構成され、
上記糸は上記前板部の構成素材と同一の合成繊維からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【請求項1】
商品を収容するための凹部を備えてなる前板部と、この前板部の裏面に取り付けられて上記凹部の開口を塞ぐ裏板部とからなる陳列用包装容器において、
上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを糸で接合してなる
ことを特徴とする陳列用包装容器。
【請求項2】
上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で縫合する
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【請求項3】
上記糸での接合は、上記前板部と上記裏板部の取付け面どうしを突き合わせて上記糸で結束する
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【請求項4】
上記前板部はPET等の合成樹脂から構成され、
上記糸は上記前板部の構成素材と同一の合成繊維からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列用包装容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−111306(P2006−111306A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300341(P2004−300341)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(502129863)東京パック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(502129863)東京パック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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