説明

陳列限界個数算出システム及び陳列限界個数算出プログラム

【課題】陳列棚の陳列空間に陳列可能な商品の最大の個数を簡易に求める。
【解決手段】サーバ117には、商品コードに対応付けて各商品103のサイズ情報を記憶する商品マスタと、陳列棚109の陳列空間125を特定する空間コードに対応付けて各陳列空間125のサイズ情報を記憶する陳列棚マスタとが格納されている。サーバ117は、PDA端末112から送信される商品コード及び空間コードの入力を判定した場合、商品103のサイズ情報と陳列空間125のサイズ情報とから陳列空間125に陳列可能な商品103の最大の個数の情報をPDA端末112に送信出力する。PDA端末112では、陳列空間125に陳列可能な商品103の最大の個数の情報が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗に設置された陳列棚の陳列空間に陳列可能な商品の最大の個数を算出するための陳列限界個数算出システム、及び、この算出処理をコンピュータに実現させる陳列限界個数算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店舗に設置される陳列棚について、その陳列棚に陳列されている商品の個数を集計するシステムが知られている。例えば、特許文献1に記載の電子棚札システムでは、タグリーダを用いて、個々の商品に取り付けられる商品ICタグから識別情報を読み取ることで、商品の個数の集計を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−206745公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を用いることで、陳列棚に陳列されている商品の個数を集計することが可能になり、さらには、顧客が陳列棚から商品を取り出すことにより商品の個数が一定数以下まで減少した場合に報知端末に報知動作を行わせるシステムを構築することが可能になる。このシステムによれば、店員は、報知端末の報知動作を見て、商品を陳列棚まで持ち寄って陳列する作業を行うことになる。
【0005】
ここで、店員は、陳列棚まで商品をいくつ持ち寄るべきかが問題となる。というのも、陳列棚に設けられた陳列空間に出来る限り多くの商品を補充することで、陳列棚で商品の不足が生じる頻度が減少し、店員が商品の補充作業を行う回数を減らすことができるからである。とはいえ、店員があまりに多くの商品を陳列棚に持ち寄ると、陳列空間に陳列しきれなかった商品を再び倉庫等に戻すことになる。そこで、陳列空間に商品を最大でいくつ陳列できるかが重要となる。しかしながら、店員は、実際に陳列棚の陳列空間に商品を陳列してみないと、陳列棚に陳列可能な商品の最大の個数を把握することが出来ず、ひいては報知端末が報知動作を行った際に陳列棚に商品をいくつ持ち寄るべきかがわからない。特許文献1には、この点まで考慮された記載が無い。
【0006】
本発明は、陳列棚の陳列空間に陳列可能な商品の最大の個数を簡易に求めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の陳列限界個数算出システムは、情報を入力するための入力部と、情報を表示する表示部と、情報処理を実行する情報処理部と、陳列空間を特定する空間コードに対応付けて当該陳列空間のサイズ情報を記憶する空間サイズ記憶部と、商品を特定する商品コードに対応付けて当該商品のサイズ情報を記憶する商品サイズ記憶部と、を備え、前記情報処理部は、前記入力部から入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間幅長を、前記入力部から入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品幅長で除して前記陳列空間の幅方向に陳列可能な商品の幅方向個数を算出する処理と、前記入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間奥行長を、前記入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品奥行長で除して前記陳列空間の奥行方向に陳列可能な商品の奥行方向個数を算出する処理と、前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを乗じて陳列限界個数を算出する個数算出処理と、前記陳列限界個数を前記表示部に表示する処理と、を実行する。
【0008】
本発明の陳列限界個数算出プログラムは、情報を入力するための入力部と、情報を表示する表示部と、陳列空間を特定する空間コードに対応付けて当該陳列空間のサイズ情報を記憶する空間サイズ記憶部と、商品を特定する商品コードに対応付けて当該商品のサイズ情報を記憶する商品サイズ記憶部とを含んで構成される陳列限界個数算出システムを構成するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、前記入力部から入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間幅長を、前記入力部から入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品幅長で除して前記陳列空間の幅方向に陳列可能な商品の幅方向個数を算出する機能と、前記入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間奥行長を、前記入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品奥行長で除して前記陳列空間の奥行方向に陳列可能な商品の奥行方向個数を算出する機能と、前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを乗じて陳列限界個数を算出する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空間コードと商品コードとを入力する操作のみで簡易に陳列棚の陳列空間に陳列可能な商品の最大の数量(陳列限界個数)が算出され、店員はその陳列限界個数分の商品を陳列するように商品を陳列棚に持ち寄って商品の補充作業を行えばよく、陳列作業の効率化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態について、図1ないし図8に基づいて説明する。
【0011】
図1は、陳列限界個数算出システム101の全体を示す模式図である。陳列限界個数算出システム101は、スーパーマーケット102に導入される。スーパーマーケット102は、顧客104が買物を行う売場空間105と、店員106のみ入ることができるバックヤード107とに区画分けされている。売場空間105には、四個の陳列棚109が設置される。これらの陳列棚109には、個々を一意に特定する棚特定記号が割り当てられている。陳列棚109には、各種の商品103が陳列される。すべての商品103には、バーコード(図示せず)が付されている。このバーコードは、各商品103を特定する商品コードがコードシンボル化されて表現されたものである。
【0012】
このようなスーパーマーケット102において、顧客104は、予め用意された買物籠110を手にとって売場空間105を歩き、購入しようとする商品103を買物籠110に投入して会計のためにレジエリア111に赴く。店員106は、売場空間105において顧客104に対する案内や商品陳列作業を行ったり、バックヤード107において在庫確認作業を行ったりしている。店員106は、売場空間105のレジエリア111に設置されたPOS端末113を操作し顧客104との商品103の会計取引作業も行う。POS端末113はバーコードを読み取り商品コードにデコードするバーコードスキャナ(図示せず)を備え、入力された商品コードに基づいて会計金額を算出したり、サーバ117(後述)に売上情報を送信したりする。POS端末113はいずれも、スーパーマーケット102に配設されたLAN116に接続されている。LAN116には、バックヤード107に設置されるサーバ117が接続されている。LAN116には、無線アクセスポイント119も接続されている。無線アクセスポイント119は、一例として、売場空間105の天井(図示せず)に備え付けられる。無線アクセスポイント119は、店員106が業務中に携帯する報知端末としてのPDA端末112との無線通信を行う。ここで、サーバ117と無線アクセスポイント119とは、無線信号を送信出力する信号出力部を構成する。
【0013】
図2は、陳列棚109を模式的に示す斜視図である。陳列棚109は、天板120と側板121と下方部材122と背板123とによって内部に略直方体形状の内部空間124が形成されている。内部空間124はさらに天板120や側板121のそれぞれに平行に設けられた仕切部材127によって仕切られている。その結果、陳列棚109には、二段二列の陳列空間125が形成される。ここで、図2中、上側に位置する二つの陳列空間125に対し棚段番号「0001」が、下側に位置する残り二つの陳列空間125に対し棚段番号「0002」が、それぞれ割り当てられている。また、図2中、左側に位置する二つの陳列空間125に対し棚列番号「0001」が、右側に位置する残り二つの陳列空間125に対し棚列番号「0002」が、それぞれ割り当てられている。
【0014】
図3は、商品103を模式的に示す斜視図である。商品103には、商品名表示126が付されている。この商品名表示126は、商品103が陳列棚109の陳列空間125に陳列される際に正面方向に向けられる面を示すものである。ここで、商品名表示126が付されている側から見た商品103の横方向の長さを商品幅長w、高さ方向の長さを商品高さh、奥行方向の長さを商品奥行長dと呼ぶ。
【0015】
図4は、陳列限界個数算出システム101の電気的構成を示すブロック図である。サーバ117は、CPU131とROM132とRAM133とにより構成される情報処理部134を備える。情報処理部134は、バスライン135を介して、ハードディスク136とキーボード137とディスプレイ138とネットワークインタフェイス139とのそれぞれに接続している。ネットワークインタフェイス139は、サーバ117と、LAN116に接続する他の機器とのデータ通信を実現する。
【0016】
ハードディスク136には、各種の情報処理をCPU131に実現させるプログラム140、及び、データベース142が格納されている。プログラム140には、図6及び図8に示す処理をCPU131に実現させる陳列限界個数算出プログラム141も含まれている。この他にも、プログラム140には、OSやドライバプログラムが含まれている。CPU131は、サーバ117の起動時にプログラム140の全部又は一部をRAM133にコピーしプログラム140の記述内容に従った処理を実行する。
【0017】
図5は、データベース142の構造を示す模式図である。データベース142には、商品マスタ143と陳列棚マスタ144と陳列限界個数テーブル145とが格納されている。
【0018】
商品マスタ143(図5(a))には、商品コード143aに、商品名143b及び商品単価143cが対応付けて記憶されており、POS端末113(図1参照)で行われる会計処理に用いられる。この商品マスタ143には、商品コード143aに、この商品コード143aで特定される商品103のサイズ情報143dと、この商品103の陳列方法を示す陳列方法情報143eとを対応付けて記憶されている。サイズ情報143dには、各商品103の商品幅長wと商品奥行長dと商品高さhとが含まれている(図3も参照)。陳列方法情報143eには、陳列方向情報としての陳列方向フラグ143iと、転置陳列情報としての転置フラグ143jと、積み重ね情報としての積み重ねフラグ143kとが含まれている。そして、商品マスタ143は、商品サイズ記憶部、陳列方向情報記憶部、転置陳列情報記憶部及び積み重ね情報記憶部としての役割を果たしている。
【0019】
陳列方向フラグ143iは、商品コード143aで特定される商品103の陳列方向が定められているか否かを定義するものである。陳列方向フラグ143iが「0」であることは、商品名表示126を正面方向に向けてのみ商品103を陳列すべきことを示す。また、陳列方向フラグ143iが「1」であることは、商品103は商品名表示126を正面方向以外の方向に向けて陳列しても構わないものであることを示す。
【0020】
転置フラグ143jは、商品コード143aで特定される商品103を倒した状態で陳列可能か否かを定義するものである。転置フラグ143jが「0」であることは、商品103の側面が陳列空間125の底面に接するよう横倒しにして商品103を陳列すべきでないことを示す。また、転置フラグ143jが「1」であることは、商品103を横倒しにして陳列しても構わないことを示す。
【0021】
積み重ねフラグ143kは、商品コード143aで特定される商品103を積み重ねて陳列可能か否かを定義するものである。積み重ねフラグ143kが「0」であることは、商品103の上面に別の商品103を載置するよう積み重ねて商品103を陳列すべきでないことを示す。また、積み重ねフラグ143kが「1」であることは、商品103を積み重ねて陳列しても構わないことを示す。
【0022】
陳列棚マスタ144(図5(b))には、各陳列空間125を特定する空間コード144aに、その陳列空間125のサイズ情報144bが対応付けて記憶されている。空間コード144aには、棚特定記号144cと棚段番号144dと棚列番号144eとが含まれている。サイズ情報144bには、空間コード144aで特定される陳列空間125の寸法を示す空間幅長x、空間奥行長y及び空間高さzが含まれている(図2も参照)。
【0023】
陳列限界個数テーブル145(図5(c))には、商品コード145aに、空間コード145b及び陳列限界個数145cが対応付けて記憶されている。空間コード145bは、前述したものと同様に、棚特定記号145baと棚段番号145bbと棚列番号145bcとを含んで構成されている。陳列限界個数145cは、空間コード145bで特定される陳列空間125に陳列可能な商品103の最大の個数を示すものである。この陳列限界個数145cは、基本的には陳列限界個数算出処理(図6)によって陳列限界個数テーブル145に記憶される。そして、陳列限界個数145cは、陳列限界個数確定処理(図8)によって店員106の所望の値に更新することもできる。
【0024】
サーバ117のハードディスク136に格納されているプログラム140には、データベース142及び商品マスタ143のそれぞれの内容を編集するアプリケーションプログラム(図示せず)が含まれている。そして、店員106は、サーバ117に備わるキーボード137及びディスプレイ138を介してこのアプリケーションプログラムを起動し、これらのデータの内容を必要に応じて書き換えることができる。
【0025】
図6は、陳列限界個数算出処理の流れを示すフローチャートである。このように構成される陳列限界個数算出システム101において、サーバ117のCPU131は、機器の起動中、陳列限界個数算出プログラム141を実行し、商品コード及び空間コードの両方の入力を待機している(ステップS101)。商品コード及び空間コードの入力は、一例として、サーバ117に備わる表示部としてのディスプレイ138に入力用画面(図示せず)を表示し、この入力用画面の表示に従って店員106が入力部としてのキーボード137から入力することにより実現される。別の一例として、商品コード及び空間コードの入力は、PDA端末112を用いることにより実現される。
【0026】
図7は、PDA端末112の入力用画面112aに表示される入力画面の一例を示す模式図である。PDA端末112は、液晶ディスプレイ112bと、これに積層配置されるタッチパネル112cと、キーボード112dとを備える。キーボード112dには、テンキー112eとカーソルキー112fとエンターキー112gとが含まれている。PDA端末112は、無線アクセスポイント119を介してサーバ117と無線通信を行う機能を有しているものである。そこで、サーバ117では、PDA端末112とのデータ通信を実行するためのプログラムが実行されている必要がある。
【0027】
液晶ディスプレイ112bには、PDA端末112に備わる制御回路(図示せず)の制御によって、商品コード及び空間コードを入力するための入力用画面112aが表示されている。入力用画面112aには、商品コードを入力するための商品コード入力用フォーム112h、棚特定記号を入力するための棚特定記号入力用フォーム112i、棚段番号を入力するための棚段番号入力用フォーム112k、及び、棚列番号を入力するための棚列番号入力用フォーム112lが含まれている。各入力用フォーム112h〜112lの右端領域には、プルダウン形式で選択項目を表示するためのプルダウンボタン112qが設けられている。さらに、液晶ディスプレイ112bには、陳列限界個数を表示するための陳列限界個数表示枠112mと、PDA端末112による操作の終了を宣言するための終了ボタン112nと、サーバ117に向けた商品コード及び空間コードの送信出力操作を行うための送信ボタン112oと、陳列限界個数表示枠112mに表示された陳列限界個数の確定を宣言するための確定ボタン112pとが含まれている。このようなPDA端末112を用いて、店員106は、タッチパネル112cやキーボード112dから入力操作を行って入力用フォーム112h〜112lに商品コード及び空間コード(棚特定記号、棚段番号、棚列番号)を表示させ、送信ボタン112oを指定する操作を行うことで、サーバ117に対し商品コード及び空間コードの入力を行うことができる。このように、タッチパネル112c及びキーボード112dは入力部としての役割を果たし、液晶ディスプレイ112bは表示部としての機能を果たす。
【0028】
図6に基づく説明に戻る。サーバ117のCPU131は、商品コード及び空間コードの両方の入力を判定した場合(ステップS101のY)、商品マスタ143及び陳列棚マスタ144にアクセスして、入力された商品コードに対応する商品103のサイズ情報143d及び陳列方法情報143eと、入力された空間コード(棚特定記号、棚段番号、棚列番号)に対応する陳列空間125のサイズ情報144bとを取得しRAM133に記憶する(ステップS102)。
【0029】
続く処理として、CPU131は、ステップS102で取得したデータを基に、陳列空間125に商品103を陳列した場合の方向別の陳列個数を算出する(ステップS103)。より詳細には、CPU131は、ステップS103において、空間幅長xを商品幅長wで除してその整数部分を幅方向個数Xとして算出する。また、CPU131は、ステップS103において、空間奥行長yを商品奥行長dで除してその整数部分を奥行方向個数Yとして算出する。また、CPU131は、ステップS103において、空間高さzを商品高さhで除してその整数部分を高さ方向個数Zとして算出する。
【0030】
続く処理として、CPU131は、ステップS102で取得した陳列方法情報143eのうち積み重ねフラグ143kが「1」であるか否かを判定する(ステップS104)。すなわち、ステップS104では、商品103が積み重ねて陳列可能なものであるかどうかを判定している。この判定処理で、積み重ねフラグ143kが「1」であって商品103が積み重ねて陳列可能なものであると判定した場合(ステップS104のY)、CPU131は、ステップS103で算出した幅方向個数Xと奥行方向個数Yと高さ方向個数Zとを乗じて陳列限界個数を算出する(ステップS105)。これに対し、積み重ねフラグ143kが「1」ではなく商品103が積み重ねて陳列不可能なものであると判定した場合(ステップS104のN)、CPU131は、ステップS103で算出した幅方向個数Xと奥行方向個数Yとを乗じて陳列限界個数を算出する(ステップS106)。
【0031】
ステップS105もしくはステップS106に続く処理として、CPU131は、陳列方法情報143eに基づいて想定される全ての陳列方法について陳列限界個数を算出したか否かを判定する(ステップS107)。すなわち、CPU131は、陳列方法情報143eに含まれる陳列方向フラグ143iが「1」である場合には商品幅長wの値と商品奥行長dの値とを入れ替える処理(ステップS108)、及び、陳列方法情報143eに含まれる転置フラグ143jが「1」である場合には商品高さhの値と商品幅長wの値とを入れ替える処理(ステップS109)を適宜行って処理を再びステップS103に戻し、再び幅方向個数Xと奥行方向個数Yと高さ方向個数Zとを算出して陳列限界個数を算出する処理を繰り返す。ステップS103〜ステップS107〜ステップS108及びステップS109を行うことにより、陳列方向フラグ143i及び転置フラグ143jの値に応じて[幅方向個数Xを除する値,奥行方向個数Yを除する値,高さ方向個数Zを除する値]の組合せが表1のように決定される。
【0032】
【表1】

【0033】
CPU131は、ステップS107において、表1に示す全ての組み合わせについて陳列限界個数を算出したと判定した場合(ステップS107のY)、これまでに算出した陳列限界個数のうち最大のものを採用し(ステップS110)、その採用した陳列限界個数を表示部に表示し(ステップS111)、一連の処理を終了する。本実施の形態では、CPU131はステップS111の処理として、信号出力部である無線アクセスポイント119を制御して、PDA端末112に対し採用した陳列限界個数の情報を無線送信出力させる処理を実行する。ここで、別の形態として、陳列限界個数の情報とともに、陳列限界個数が最大となるような商品103の陳列方向に関する情報(上記[幅方向個数Xを除する値,奥行方向個数Yを除する値,高さ方向個数Zを除する値]の組合せ)も無線送信出力させるようにしてもよい。また、別の形態として、CPU131はステップS111として、サーバ117のディスプレイ138に表示する処理を行うようにしても良い。
【0034】
図8は、陳列限界個数確定処理の流れを示すフローチャートである。PDA端末112の制御回路(図示せず)は、機器の起動中、液晶ディスプレイ112bに入力用画面112aを表示して、以下に示すステップS301〜ステップS308の処理をループする。
【0035】
すなわち、PDA端末112の制御回路は、送信ボタン112oが指定されることを待機している(ステップS301)。送信ボタン112oが指定されたと判定した場合(ステップS301のY)、PDA端末112の制御回路は、前述したように、商品コード及び空間コードをサーバ117に向けて送信出力する(ステップS302)。
【0036】
続いて、PDA端末112の制御回路は、サーバ117で行われる陳列限界個数算定処理(図6参照)によって無線送信出力された陳列限界個数を受信したことを判定した場合にのみ(ステップS303のY)、入力用画面112aの陳列限界個数表示枠112mに受信した陳列限界個数を表示する。ここで、サーバ117の制御回路は、陳列限界個数とともに商品103の陳列方向を受信した場合には、陳列限界個数と共にこの陳列方向についての表示も行う。
【0037】
続いて、PDA端末112の制御回路は、タッチパネル112cやキーボード112dからの入力操作によって陳列限界個数表示枠112mに表示された陳列限界個数に対する修正操作を判定した場合(ステップS305のY)、陳列限界個数表示枠112m内の陳列限界個数の値を修正操作に基づく値に修正変更する。これは、陳列限界個数算定処理(図6)で算出される陳列限界個数は、商品マスタ143に格納された商品103のサイズ情報143d、及び、陳列棚マスタ144に格納された陳列空間125のサイズ情報144bに基づく上では最大の値であり、実際には、商品103や陳列棚109のサイズが若干異なっていたり陳列空間125が予期しない広がりや狭まりがあったりして陳列空間125に算出された陳列限界個数とは異なる個数の商品103が陳列できる場合があるためである。そこで、ステップS305〜ステップS306の処理によって、店員106が陳列作業を行って実際に陳列できた商品103の個数を反映できるようになっている。
【0038】
続いて、PDA端末112の制御回路は、タッチパネル112cやキーボード112dからの入力操作によって確定ボタン112pが指定されたと判定した場合にのみ(ステップS307)、陳列限界個数表示枠112m内に入力された陳列限界個数を、商品コード及び空間コードとともにサーバ117に無線送信出力する(ステップS308)。サーバ117のCPU131は、機器の起動中、ハードディスク136に格納されたプログラム140の記述に従って、PDA端末112から送信される確定された陳列限界個数等の情報の受信を待機しており(ステップS201)、受信した場合(ステップS201のY)、陳列限界個数テーブル145に、受信した商品コード、空間コード及び確定された陳列限界個数の情報を対応付けて更新記憶する。
【0039】
以上に述べたような本実施の形態の陳列限界個数算出システム101が導入されたスーパーマーケット102では、以下のように簡易に陳列棚の陳列空間に陳列可能な商品の最大の個数(陳列限界個数)が算出され、陳列作業の効率化が図られる。
【0040】
まず、店員106は、サーバ117に備わるキーボード137やディスプレイ138を介して各商品103のサイズ情報(商品幅長、商品奥行長、商品高さ)や各陳列棚109の陳列空間125のサイズ情報(空間幅長、空間奥行長、空間高さ)を入力し、商品マスタ143や陳列棚マスタ144に記憶する。このとき、店員106は、各商品103について、正面以外の方向に向けて陳列可能であるか否か、横倒しにして陳列可能であるか否か、積み重ねて陳列可能であるか否かについても入力を行う。これらの情報は、陳列方法情報143e(陳列方向フラグ143i、転置フラグ143j、積み重ねフラグ143k)と言う形で商品マスタ143に反映される。商品103のサイズ情報や陳列方法情報は、例えば、店員106が商品103の外形を直接測定した結果を用いたり、商品103のメーカーが提示する値を用いたりすることができる。また、陳列空間125のサイズ情報には、店員106が陳列空間125の寸法を直接測定した結果を用いたり、陳列棚109のメーカーが提示する値を用いたりすることができる。
【0041】
そして、店員は、PDA端末112を用い、このPDA端末112のタッチパネル112cやキーボード112dから商品コード及び空間コード(棚特定記号、棚段番号、棚列番号)を入力しサーバ117に送信出力をする操作を行う。この操作により、PDA端末112の液晶ディスプレイ112bの陳列限界個数表示枠112mには、商品コードで特定される商品103のサイズと空間コードで特定される陳列空間125のサイズとに基づいてサーバ117で算出された陳列限界個数の値が表示される。そこで、店員106がPDA端末112の液晶ディスプレイ112bに表示された確定ボタン112pを指定することで、陳列限界個数テーブル145には、商品コード及び空間コードに対応付けて陳列限界個数が記憶されることになる。
【0042】
ここで、特許文献1に記載された技術をはじめとする陳列棚109に陳列されている商品103の個数を集計するシステムがスーパーマーケット102に導入されている場合、店員106は商品103の補充作業として、陳列棚109に商品103をいくつ持ち寄るべきかが問題となる。この場合にも、本実施の形態の陳列限界個数算出システム101によれば、陳列棚109の陳列空間125に陳列可能な商品103の最大の個数(陳列限界個数)がサーバ117で把握されており、この陳列限界個数から前記のシステムで把握された陳列棚109での商品103の残数を差し引いた個数分の商品103を持ち寄ることで、店員106は陳列棚109に過不足なく商品103を陳列することができる。このときに商品103の形状や陳列棚109の陳列空間125の形状によって、算出された陳列限界個数と、陳列棚109に陳列可能な商品103の実際の最大の個数とに差異があることを店員106が認識した場合、店員106は、PDA端末112を操作して、陳列限界個数表示枠112mに表示された陳列限界個数の値を修正しサーバ117に送信する操作を行えばよい。このようにすることで、陳列棚109において再び商品103の補充作業が発生した場合には、確実に陳列棚109に満杯に商品103を陳列でき、店員106の補充作業の頻度を減らし、補充作業に関して余った商品103を倉庫に戻すという余計な作業を減少することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】陳列限界個数算出システムの全体を示す模式図である。
【図2】陳列棚を模式的に示す斜視図である。
【図3】商品を模式的に示す斜視図である。
【図4】陳列限界個数算出システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】データベースの構造を示す模式図である。
【図6】陳列限界個数算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】PDA端末の入力用画面に表示される入力画面の一例を示す模式図である。
【図8】陳列限界個数確定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
101…陳列限界個数算出システム、112b…液晶ディスプレイ(出力部)、112c…タッチパネル(入力部)、112d…キーボード(入力部)、117…サーバ(コンピュータ)、125…陳列空間、134…情報処理部、137…キーボード(入力部)、138…ディスプレイ(出力部)、141…陳列限界個数算出プログラム、143…商品マスタ(商品サイズ記憶部、陳列方向情報記憶部、転置陳列情報記憶部、積み重ね情報記憶部)、144…陳列棚マスタ(空間サイズ記憶部)、145…陳列限界個数テーブル(記憶部)、w…商品幅長、d…商品奥行長、h…商品高さ、x…空間幅長、y…空間奥行長、z…空間高さ、X…幅方向個数、Y…奥行方向個数、Z…高さ方向個数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を入力するための入力部と、
情報を表示する表示部と、
情報処理を実行する情報処理部と、
陳列空間を特定する空間コードに対応付けて当該陳列空間のサイズ情報を記憶する空間サイズ記憶部と、
商品を特定する商品コードに対応付けて当該商品のサイズ情報を記憶する商品サイズ記憶部と、
を備え、前記情報処理部は、
前記入力部から入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間幅長を、前記入力部から入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品幅長で除して前記陳列空間の幅方向に陳列可能な商品の幅方向個数を算出する処理と、
前記入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間奥行長を、前記入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品奥行長で除して前記陳列空間の奥行方向に陳列可能な商品の奥行方向個数を算出する処理と、
前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを乗じて陳列限界個数を算出する個数算出処理と、
前記陳列限界個数を前記表示部に表示する処理と、
を実行する、陳列限界個数算出システム。
【請求項2】
商品コードに対応付けてその商品コードで特定される商品の陳列方向が定められているか否かを定義する陳列方向情報を記憶する陳列方向情報記憶部を備え、
前記情報処理部は、前記陳列方向情報記憶部を参照して前記入力された商品コードに対応する陳列方向情報を取得し、その陳列方向情報が商品の陳列方向が定められていないことを示すものであると判定した場合、前記商品幅長と前記商品奥行長とを入れ替えて前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを算出する、
請求項1記載の陳列限界個数算出システム。
【請求項3】
商品コードに対応付けてその商品コードで特定される商品を倒した状態で陳列可能か否かを定義する転置陳列情報を記憶する転置陳列情報記憶部を備え、
前記情報処理部は、前記転置陳列情報記憶部を参照して前記入力された商品コードに対応する転置陳列情報を取得し、その転置陳列情報が商品を倒した状態で陳列可能であることを示すものであると判定した場合、前記商品幅長と前記商品サイズ記憶部から取得される前記入力された商品コードで特定される商品の商品高さとを入れ替えて前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを算出する、
請求項1又は2記載の陳列限界個数算出システム。
【請求項4】
商品コードに対応付けてその商品コードで特定される商品を積み重ねて陳列可能か否かを定義する積み重ね情報を記憶する積み重ね情報記憶部を備え、
前記情報処理部は、前記入力された空間コードで特定される陳列空間の空間高さを前記商品サイズ記憶部から取得される前記入力された商品コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される商品の商品高さで除して前記陳列空間の高さ方向に陳列可能な商品の高さ方向個数を算出する処理を実行し、
前記情報処理部が実行する前記個数算出処理は、前記積み重ね情報記憶部を参照して前記入力された商品コードに対応する積み重ね情報を取得し、その積み重ね情報が商品を積み重ねて陳列可能であることを示すものと判定した場合、前記幅方向個数と前記奥行方向個数と前記高さ方向個数とを乗じて陳列限界個数を算出する、
請求項1ないし3のいずれか一に記載の陳列限界個数算出システム。
【請求項5】
前記情報処理部は、
算出した前記陳列限界個数を記憶部に記憶する処理と、
前記記憶部に記憶された陳列限界個数を前記入力部から入力された陳列限界個数に更新する処理と、
を実行する、請求項1ないし4のいずれか一に記載の陳列限界個数算出システム。
【請求項6】
情報を入力するための入力部と、情報を表示する表示部と、陳列空間を特定する空間コードに対応付けて当該陳列空間のサイズ情報を記憶する空間サイズ記憶部と、商品を特定する商品コードに対応付けて当該商品のサイズ情報を記憶する商品サイズ記憶部とを含んで構成される陳列限界個数算出システムを構成するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
前記入力部から入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間幅長を、前記入力部から入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品幅長で除して前記陳列空間の幅方向に陳列可能な商品の幅方向個数を算出する機能と、
前記入力された空間コードで特定され前記空間サイズ記憶部から取得される陳列空間の空間奥行長を、前記入力された商品コードで特定され前記商品サイズ記憶部から取得される商品の商品奥行長で除して前記陳列空間の奥行方向に陳列可能な商品の奥行方向個数を算出する機能と、
前記幅方向個数と前記奥行方向個数とを乗じて陳列限界個数を算出する機能と、
を実現させる陳列限界個数算出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−146445(P2010−146445A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325165(P2008−325165)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】