説明

階段吹き抜け及び給気シャフトを有する高層ビル

本発明は、階段吹き抜け(38)と、給気シャフト(74)と、該給気シャフトを前記階段吹き抜けに接続する給気口(76)と、前記階段吹き抜けを煙のない状態で維持するための圧力システムとを有する高層ビルに関する。前記階段吹き抜けは、少なくとも1つの隔壁(58)によって複数の部分的な空間に垂直に分けられ、各隔壁は、前記階段吹き抜けの1つの部分的な空間から隣接の部分的な空間への通行を可能にする扉を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段吹き抜けと、給気シャフトと、該給気シャフトを前記階段吹き抜けに接続する給気口(inlet openings)と、前記階段吹き抜けを煙のない状態で維持するための圧力システムとを有する高層ビルに関し、前記階段吹き抜けは少なくとも1個のパーティションによって少なくとも2つの部分的な空間に垂直に分けられ、各パーティションは、前記階段吹き抜けの1つの部分的な空間から隣接の部分的な空間への通行を可能にする扉を含む。
【背景技術】
【0002】
約197ft、すなわち約60mまで、つまり約16−21階(第15−20フロア)の高層ビルでは、前記階段吹き抜けは、例えば、給気が前記階段吹き抜けの最も低いエリアで送気され、同時に、前記給気口を前記階段吹き抜けに通じる前記給気シャフトを介して送気される場合には、比較的均一な過大圧力によって煙のない状態で確実に維持される場合がある。この技術は、本発明が利用する従来技術である。
【0003】
しかし、ビルが高層となるとき、前記階段吹き抜けの高さ全体を超えて、比較的均一な圧力カラムを確立することは実質的により困難になる。この理由は前記階段吹き抜けの幾何学的配置にある。階段及び手すりの屈曲だけでなく、前記階段吹き抜けの大部分も、気流抵抗を形成する。これは平均0.04lb/ft2、つまり2Pa(パスカル)の1階あたりの圧力損失をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
欧州規格EN 12101、第6部、第09/2005号によれば、ビルの無
煙避難経路については以下のとおり規定される。
扉開放力が最大100N(つまり22.5lbf)であること、
階数に応じる閉止扉を有する前記階段吹き抜けの過大圧力が、50Pa ± 10%(つまり1.04lb/ft2)であること、及び、
消防署による消防活動の場合に、前記階段吹き抜けと共用ユニット(utilization unit)との間の開放出入口扉の平均通気速度が2m/s以上(6.56ft/s以上)であること。
【0005】
したがって、許容可能な圧力範囲は、0.94ないし1.15lb/ft2、すなわち45ないし55Paであるため、16−21階のうちたった5階分だけが、上記の例で正確に加圧される。上記の階数全ては、0.94lb/ft2、すなわち45Paよりも低い圧力となる。
【0006】
従来技術によれば、この問題は、既に言及された前記給気口を提供することによって10階建てについて対処される場合があり、例えば、前記給気口は3階毎に提供される。前記給気口を通して、空気は、階段吹き抜けにしばしば隣接する前記給気シャフトから前記階段吹き抜けに入る。したがって、安定的な均一の圧力が、前記ビルの高さ全体を超えて得られる場合がある。
【0007】
しかし、これは、特定の高さまでのビルにのみ適用される。ますます高くなっている、例えば393ft、すなわち120mを超える高層ビルについての試みを考慮すると、煙突効果のような物理学的効果は無視できない。特に、(例えば、夏及び冬の)内部温度と外部温度との温度の違いによって生じる前記煙突効果は、扉を開ける力に悪影響を及ぼし、非常時だけでなく、前記ビルの通常の運用においても既に悪影響を及ぼす。
【0008】
以下の表は43階建ての高層ビルについてのサンプル計算を示し、前記表は、前記階段吹き抜けと、前記共用ユニットとの間の圧力が、夏期及び冬期の通常の運用でどれほど調整されるかを示す。概して、1.04lb/ft2、すなわち50Paよりもより高い圧力の場合に、不可能ではないにしても、通常の体重及び力の人にとって扉を開けることは困難である。最大22.5lbf、すなわち100Nに制限される、EN 12101−6に応じる上述の扉開放力は超過される。
【0009】
以下の表記は指定する階数について用いられ、第0フロアは1階(地上階)である。第1フロアは前記地上階の上の最初の階である。第nフロアは、第0フロアの上の第n番目のフロアである。このシステムは、第1フロアを地上階とする米国で用いられる表記と異なる。
【0010】
【表1】

【課題を解決するための手段】
【0011】
1Paは約0.021lb/ft2であり、1mは約3.28ftである。本発明がここに提供される。また、本発明の目的は、例えば、高さ全体が393ft、すなわち120mである比較的高い高層ビルについて、約197ft、すなわち60mを超えるいずれの場合でも、そして、例えば、6.56ft/s以上、すなわち2m/s以上の規格に応じる流速が、前記火災によって影響される階の前記階段吹き抜けと前記共用ユニットとの間で確保され、前記煙突効果が通常の運用も前記ビルの火災の場合も考慮されてはならないとき、火災の場合に均一な圧力を維持し、前記扉開放力を規格値に制限することである。
【0012】
本目的は、階段吹き抜けと、給気シャフトと、該給気シャフトを前記階段吹き抜けに接続する給気口と、前記階段吹き抜けを煙のない状態で維持するための圧力システムとを有する高層ビルによって達成され、前記階段吹き抜けは少なくとも1個のパーティションによって複数の部分的な空間に垂直に分けられ、各パーティションは、前記階段吹き抜けの1つの部分的な空間から隣接の部分的な空間への人の適切な通行を可能にする扉を含む。前記階段吹き抜けは、エレベーターシャフトの様なシャフトを形成する。
【0013】
本発明によれば、前記階段吹き抜けは部分的な空間に垂直方向に分けられる。このように、区画は形成されている。個別の部分的な空間は、パーティションによってお互いからそれぞれに区切られる。分割は必ずしも厳格ではないが、漏えい率が非常に低い。漏えい率が低いとは、前記給気に関して低いことを意味し、前記漏えい率は特に5%未満であり、1%の給気、つまり、0.33ft/s、すなわち0.1m/s未満であることが好ましい。1秒あたり35ft3、すなわち1m3未満が、漏えいによって失われると想定される。
【0014】
従来技術では、前記給気シャフトは連続的である。前記給気シャフトは、前記階段吹き抜けのようなシャフトを形成するが、断面はかなり小さく、少なくとも20分の1である。前記給気口は存在する。従来技術を超える実質的な変更が前記階段吹き抜けに施される。また、前記給気シャフトへの空気の導入と、該給気シャフトから前記階段吹き抜けへの空気の導入とのための制御のタイプが変更される。
【0015】
前記階段吹き抜けは、階段の外側、例えば個別の階段と平行に、及び、例えば踊り場又は曲がり角で分けられることが好ましい。前記共用ユニットに移行するための出入口扉が配置される場所でも行われる場合がある。しかし、それは階段の半分でずれる。
【0016】
シャフト様の階段吹き抜けの空間は、それぞれ、11ないし31階毎に、特に16ないし21階毎に1つのパーティションによって分けられる。言い換えれば、30mないし70mの間の区画が形成される。前記パーティションは、圧力のパーティションと、気流のパーティションとの両方である。例えば、高層ビルが49階建ての場合には、2つのパーティションによって3つの部分的な空間又は圧力エリアに便宜上分けられる。低圧力エリアは、1階(地上階)から17階まで広がり、中間の圧力ゾーンは18−33階を占め、上部の圧力ゾーンは33−49階を含む。
【0017】
個別の部分的な空間、又は、圧力エリアに前記階段吹き抜けを分けることは、以下の利点がある。
1.火災の煙を検出するうえで、火災警報システムが過大圧力装置を起動する。後者は、供給される気流を制御する制御装置を有し、制御は、前記火災が見つけられた部分的な空間のみが、空気及び過大圧力を供給されるかかるやり方で行われる。したがって、それぞれの圧力セグメントで必要とされる気流のみが前記給気シャフトを介して供給されなければならないため、給気のための送風機数は実質的に同一である。十分な数の送風機が、問題の部分的な空間で確保されるべき確実な圧力を作り上げるために準備される。従来技術と同様に、手段は複数ある。
2.火災の場合に、煙が前記階段吹き抜けに進入することを防止するために、該階段吹き抜けと共用ユニットとの間に規格によって規定される所定の過大圧力が常にある。
3.さらに、前記階段吹き抜けは前記火災エリアを除いてそれらの部分的な空間の救助経路として利用可能であり、それらの部分的な空間には過大圧力が全くない。火災レベルの上に位置する階数で避難が必要な場合には、人々は階段の加圧されたエリアを通行することができ、この目的のために、パーティションの扉は、その都度開かれなければならない。
【0018】
前記パーティションは、ある程度厳密に前記階段吹き抜けを分ける軽量布設壁であることが好ましい。その目的は、前記階段吹き抜けの空間を分けるか、あるいは区切ることである。前記パーティションは前記火災区画の「階段吹き抜け」に配置されるため、火災を調節する必要性が、建材、扉又は調節デバイスに関して全く生じない。パーティションのために用いられる材料は、可燃性材料ではなく、又は、十分な耐火性能(fire rating)を有することが好ましい。
【0019】
パーティションの扉は、避難方向、すなわち上から下への経路に取り付けられる。自動扉閉止ユニットが、前記扉に取り付けられることが好ましい。したがって、前記扉の正常な閉止されることが確保される。また、前記パーティションの扉は、閉まる向きに適当なバイアスを有する回動扉として設計される。
【0020】
特に補助動力なしで、前記火災によって影響される部分的な空間と、上下階の隣接の部分的な空間との間に、圧力の均等化を迅速に担保する、パーティション壁に気圧フラップが設けられることが好ましい。気圧フラップは機械的調節ユニットとして設計される場合がある。例えば、重い又はバネ仕掛けの構造タイプに依存して、それらは、必要とされる所定の圧力に適合される場合がある。気圧フラップ2個は1個のパーティション壁に挿入されることが好ましく、前記気圧フラップ2個は両方向に空気を流すことができる。前記気圧フラップは、前記扉の隣及び上に配置されることが好ましい。また、前記気圧フラップ2個は扉に形成される場合があり、前記扉、例えば、回動扉によって形成される場合がある。
【0021】
サイズ及び圧力の違いに関して前記気圧フラップを設計することは防火構想に依存する。前記圧力の違いに特に関係のあるのは、前記階段吹き抜けと、共用ユニットとの間に必要とされる圧力の違いである。前記気圧フラップは従来技術に従って設計される場合がある。
【0022】
例えば、火災が高層ビルの25階で起こる場合に、火災は検出され、空気が、例えば17階及び33階までに制限される前記階段吹き抜けの対応する部分的な空間に給気シャフトから供給される。給気シャフトと、階段吹き抜けとの間の接続部にそれぞれ配置される、対応する弁が本目的のために特に開かれることが好ましい。問題の部分的な空間に配置されるそれらの弁のみが開かれる。例えば、前記階段吹き抜けの観察される部分的な空間と、共用ユニットとの間に1.04lb/ft2、すなわち50Paの圧力の違いを達成するために、又は、前記火災によって影響される階に6.56ft/s以上、すなわち2m/s以上の気流を作り出すために、約670x10ft3/時間、すなわち20,000m/hの空気量が必要とされる。例えば、計画外の漏えいに関して十分な安全域を取るために、約1x10ft3/時間、すなわち30,000m/時間が、実際に前記階段吹き抜けの観察される部分的な空間に供給される。
【0023】
前記圧力は、前記扉を閉止するために最大1.04lb/ft2、すなわち50Paを超過する場合に、前記気圧フラップは、圧力軽減フラップとして作動し、2つの方向でそのように作動する。前記部分的な空間の上部のパーティションにおける上向きの前記気圧フラップ開口部が、その上に配置される加圧されていない部分的な空間に上部への流出をもたらす。前記部分的な空間の下部のパーティションにおける上向きの前記気圧フラップ開口部が、その下に配置される加圧されていない部分的な空間に上部への流出をもたらす。したがって、前記部分的な空間の最大の圧力の違いが、その高さ全てを超えて維持されることが常に確保される。
【0024】
前記パーティションの利点は、火災の場合に明白なだけでなく、通常の開放条件でも以前から明白である。この場合に、静的な気圧が前記階段吹き抜けに提供される。概して、前記階段吹き抜けへの追加の給気は全くない。
【0025】
煙突効果は、前々から明確な、又は、知られていない漏えいのある、連続的な階段吹き抜けを有する非常に高いビルで生じる。前記煙突効果は、内部と外部との温度の違いによってもたらされる。上記の表を参照するとおり、発生する圧力差はかなり大きい場合があり、そのため、扉に作用する力は、該扉が誰にでもいつでも開放可能となることを妨げる。前記パーティションは前記煙突効果を妨害するので、臨界閾値が達せられない。経験的に、有効な煙突効果は区画の高さの上、つまり、垂直方向に197ft、すなわち60メーターの上で全く生じない。したがって、前記煙突効果は本発明によっても中和される。これは前記火災の状態に依存しない。前記煙突効果は正常の状態で妨害される。
【0026】
火災の場合に、空気は送風機によって給気シャフトに既知のやり方で送気される。これはいずれの場所でも行うことができる。また、1階(地上階)で行うことができ、最上階で行うことができるが、例えば、中間の場所、例えばサービス階で行うことができない。
【0027】
前記気圧は、高さが増大すると低下し、これは気圧式によって算出される場合がある。したがって、前記ビルの最上階の前記空気は、1階(地上階)と比較してより薄い。同一の回転速度で、送風機は、薄い空気で少ない空気量を送達するであろう。気圧効果は、コンピューターによって是正される。前記火災によって影響される階の高さが知られるため、前記送風機は、体積の減少を補うために気圧式に従って適切な回転速度で操作される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】垂直シャフトを有する階段吹き抜けの断面図。
【図2】パーティションが配置される階の高層ビルの平面図。
【図3】高層ビルの階段吹き抜けの全体の断面図。
【0029】
図1は、図2のI−Iに従う切断線で高層ビルの階段吹き抜けの一部分を通る断面図を示す。図2は、図1のII−IIの切断線に対応する階であって、パーティションが配置される階の高層ビルの平面図の一部分を図1の縮尺の約2倍で示す。図3は、個別の詳細なしで、上端及び下端を有することを除いては、図1のような断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の別の利点及び特徴は、別の請求の範囲と、限定されないと理解されるであろうし、図面に関して以下に説明されるであろう、以下の本発明の代表的な実施態様とから明らかとなる。
【0031】
高層ビルのうち、図1は垂直シャフトを有する階段吹き抜け38を示す。前記階段吹き抜けは、15−34階を超えて延びる(20階と30階との間に省略線を有する)。前記階段吹き抜けの前記シャフトは、壁40、42、44及び46によって画くされる。前記階段吹き抜けは、階段48を含む。前記階段48は、例示として、階の中間の踊り場50を有するU字階段としてそれぞれ形成される、個別の階の階段からなる。各階の階段は、前記階の中間の踊り場50に導く下階の登り階段54が接触する踊り場52を含む。上階の登り階段56は、その場所を次階の階段の踊り場の上の次の踊り場に延ばす。通常開いている吹き抜けは、2つの登り階段54、56の間に配置される。しかし、示される実施態様では、吹き抜けは、16階と17階との間と、32階と33階との間とのエリアで閉止される。
【0032】
これは、パーティション58によってそれぞれの場合で行われる。本パーティション58はパーティション壁60を含む。その形状に関して、細長い長方形と、この長方形の長辺に取り付けられる三角形とからなる。前記パーティション壁60は、垂直方向に合わせられる。前記長方形に取り付けられていない前記三角形の辺は、下階の登り階段54と、問題の上階の登り階段56との吹き抜けに達する。記載される長方形は、上下に配置される、階の前記階の中間の踊り場50に取り付ける。概して、ある程度厳密に分割が達成される。2つのかかるパーティション58は、17階と18階とのパーティション、32階と33階との別のパーティションとして図1で示される。
【0033】
扉62はパーティション壁60に作られる。便宜上、(図示されない)頭上の扉閉止器が扉に配置される。さらに、2個の気圧フラップ64及び66がパーティション壁60に作られる。それらは、異なる方向で働く。前記圧力フラップ64は底から上向きに開き、前記圧力フラップ66は反対方向に動く。2個は同一の構造であることが好ましい。それらは従来技術に従って形成され、特定の圧力値、例えば、1.04lb/ft2、すなわち50Paで自動的に開くことになっている。両方の通過向きを1個の圧力フラップで実現することが可能である。
【0034】
前記踊り場52から、気閘室70が既知のやり方で階段吹き抜け扉68を通して到達され、問題の階は出入り口扉72を通してそこから到達される。示される代表的な実施態様では、前記階段吹き抜け扉68と、前記パーティション58の扉62とは階段の半分でずれる。これは必須ではなく、別の配置も可能である。
【0035】
既知のやり方で、高層ビルは給気シャフト74を有する。前記階段吹き抜け38と同様に、それは、問題のビルの高さ全て、少なくとも問題の区画を超えて延びる。例えば、3ないし8階毎の特定の間隔で、前記給気シャフト74は、給気口すなわち通気管76を介して、特に、サービス階の前記階段吹き抜け38と接続される。制御可能な弁78は、通気管76全てに配置される。正常に、それは閉止される。1つ1つの弁78は制御装置80に接続される。
【0036】
前記給気シャフト74は既知のやり方で空気を供給する。これは、異なる場所に配置される場合がある多くの送風機を通してしばしば行われる。例として、必要な場合に、導管84を介して前記給気シャフト74に空気を供給する送風機82が図1に図示される。前記送風機82は前記制御装置80によって制御される。
【0037】
さらに、火災警報システム86が提供され、該火災警報システム86は火災を検出し、前記制御装置80に火災警報を発令し、本目的のために、前記火災警報システム86は後者に電気的に接続される。前記火災警報システム86は各階に提供される複数の火災検出器88を含み、いくつかのみが例として示される。それらはお互いに接続され、例えば、母線を通して前記火災警報システム86に接続される。これらの火災検出器88の1つが起動する場合に、前記火災警報システム86は、火災が生じている場所と、影響される階との情報を提供される。それらは前記制御装置80に転送される。これは、部分的な空間が影響されると直ちに決定し、任意に高さの要素を考慮して、必要とされる区域に送風機を動かし、影響される部分的な空間に導くそれらの弁78、又は、任意にそれらの一部分のみを開く。したがって、規定の過大圧力が部分的な空間に達する。
【0038】
空気は、前記通気管76と、給気シャフトとに通じる給気装置を専ら介して、階段吹き抜け38に到達する。前記階段吹き抜け38の別の空気供給源は全くない。
【0039】
最下部の部分的な空間と、最上部の部分的な空間との配置は、図3を参照して説明されるであろう。1階(地上階)、2階及び3階は、下部の部分的な空間について示され、91階ないし94階は最上部の部分的な空間について示される。図1から明らかであり、前記給気シャフト、前記通気管、弁及び前記給気シャフト74への前記給気装置の配置を意味するものの詳細は、図面を簡略化するために図3に示されない。しかし、それらは提供される。
【0040】
パーティション58は、この場合、部屋93に、通常用いられる場合がある最上階の上に配置される。既知のやり方で、このパーティション58は、図1で説明されるように、そこに提供された扉62を有するパーティション壁を含む。例えば、別の出入り口を通る以外に、前記階段吹き抜けを介することなしに階94の上の空間に到達することができる場合に、かかる扉は除外される場合がある。また、底から上向きに開く気圧フラップ64がパーティション壁60に作られる。特に、逆方向の圧力フラップは提供されない。これは、空気が上から、つまり階94の上から流入できないが、空気は最上部のパーティションを通して上に抜けることのみできることを意味する。
【0041】
部屋101が最上部のパーティション58の上に配置される。それは、ほぼ階の高さである。屋根102はこの部屋の上に配置される。換気フラップ103は、前記屋根102に配置される。それは従来技術に相当する。上方向の流出のみが、それを通してできる。
【0042】
出入り口扉110が1階(地上階)に提供され、出口エリア111はそれを通じて到達される場合がある。後者は内部進入口扉112によって家屋の側面の方に閉止される。人は、前記階段吹き抜け38に到達するために扉110、112の両方を通行しなければならない。出入り口エリア114は前記進入口扉112の後ろに配置される。そこから、前記階段吹き抜け38の下部の部屋131は扉62を通じて到達される。前記扉は、前記出入り口エリア114を前記下部の部屋131から分けるパーティション58に配置される。上部から下部に向かってのみ流出できる圧力フラップ66は、問題のパーティション壁60に配置される。2階と3階との間か、3階と4階との間かにちょうど記載されたパーティション壁を配置することもできる。
【0043】
特許請求の範囲及び/又は明細書の構成要件、特に、個別の構成要件及び下位の構成要件を組み合わせる権利が留保される。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3、4、15、16、17、18、19、31、32、33、34、91、92、93、94 階
38 階段吹き抜け
40、42、44、46 壁
48 階段
50、52 踊り場
54 下階の登り階段
56 上階の登り階段
58 パーティション
60 パーティション壁
62、110、112 扉
64、66 気圧フラップ
68 階段吹き抜け扉
70 気閘室
72、110 出入り口扉
74 給気シャフト
76 給気口(通気管)
78 弁
80 制御装置
82 送風機
84 導管
86 火災警報システム
88 火災検出器
93、101 部屋
102 屋根
103 換気フラップ
111 出口エリア
112 内部進入口扉
114 出入り口エリア
131 下部の部屋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段吹き抜け(38)と、給気シャフト(74)と、該給気シャフト(74)を前記階段吹き抜け(38)に接続する給気口(76)と、前記階段吹き抜け(38)を煙のない状態で維持するための圧力システムとを含み、前記階段吹き抜け(38)は少なくとも1個のパーティション(58)によって複数の部分的な空間に垂直に分けられ、各パーティション(58)は、前記階段吹き抜け(38)の1つの部分的な空間から隣接の部分的な空間への通行を可能にする扉を含むことを特徴とする、高層ビル。
【請求項2】
前記部分的な空間は、11階ないし31階、好ましくは16階ないし21階を超えて延びることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項3】
前記パーティション(58)は少なくとも1個の圧力フラップ(64)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項4】
前記圧力フラップの1個が気圧フラップ(64)であることを特徴とする、請求項3に記載の高層ビル。
【請求項5】
前記パーティション(58)は、異なる流れの方向に配置される圧力フラップ(64、66)2個を含むことを特徴とする、請求項2に記載の高層ビル。
【請求項6】
前記扉が避難方向に開く、特に、開き扉又は回動扉であることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項7】
パーティション(58)の前記扉(62)は開いた状態で通常であり、火災警報の場合に、前記扉は流れる状態に動かされることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項8】
前記パーティション(58)は、正常に、ただし不完全に設定され、前記パーティション(58)は、火災の場合に機械的に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項9】
火災警報システム(86)を有する高層ビルであって、該火災警報システム(86)は制御装置(80)を含み、該制御装置(80)は、前記火災警報システム(86)に接続され、前記制御装置(80)は、配置される火元と同じ高さの階段吹き抜け(38)の部分的な空間のみに空気が供給されるように給気口(76)を通して気流を制御することを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項10】
前記給気シャフト(74)が少なくとも1つの給気口(76)を介して個別の部分的な空間それぞれに接続され、配置される弁(78)が前記給気口(76)を介して気流を制御し、前記制御装置(80)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項11】
前記火災警報システム(86)は、複数の火災検出器(88)を含み、火災が発生する階が捕捉できるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。
【請求項12】
高層ビルが制御装置(80)を含み、前記階段吹き抜け(38)の部分的な空間に属する階(15−34)についての情報がそこに蓄積されることを特徴とする、請求項1に記載の高層ビル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−504994(P2012−504994A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530491(P2011−530491)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063129
【国際公開番号】WO2010/040814
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511088254)スイス ラルテック ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】