説明

階段装置

【課題】露出構造に適し、十分な強度が得られ、少ない種類の階段用部品で組立も容易に行える階段装置を提供する。
【解決手段】直線状に配設される階段装置であって、踏み桟部2の左右両側に側部桁3,3を一体に形成した同一形状または略同一形状の複数の組立ユニット1を具備し、組立ユニット1の左右の側部桁3,3に、上段側に隣接して連結される組立ユニット1に対する上段連結部6と、下段側に隣接して連結される組立ユニット1に対する下段連結部5とをそれぞれ設け、上段連結部6と下段連結部5とをボルト・ナットB1により連結してユニット群10を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一形状の複数の組立ユニットを使用して組立てられ、屋内を広く見せることができる露出構造に適した階段装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一の階段用部品を使用して組立てられる階段装置には、たとえば特許文献1や特許文献2がある。
特許文献1には、直角三角形の取付補強用側板に、水平板を上辺部に一体に設けるとともに起立板を垂直辺部に一体に設けた3連一体の階段用組立具を具備し、取付補強用側板を側壁板の内面にそれぞれを取り付けて左右の取付補強用側板の水平板の間に踏板を横架したものが開示されている。
【0003】
また特許文献2には、受梁に、互いに連結された前部取付部材と後部取付部材を固定し、左右の前部取付部材と後部取付部材間に、連結された3つの階段片を掛渡して固定したものが開示されている。
【特許文献1】特開平6−294192号公報(図1)
【特許文献2】特開平10−88759号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の建築物では、室内を広く見せるために、階段の構造フレームを露出させる露出構造の階段が多く採用されている。
しかし、上記引用文献1では側壁板により階段全体の重量が支持され、また引用文献2では、受梁により階段全体の重量が支持されている。このように階段全体の重量を支持する側壁板や受梁のように高強度な支持部材が必要であり、これら支持部材を含めて階段装置が大型化される。また複数種類の階段用部品が必要で組立作業も複雑になる傾向にあり、それぞれ露出構造の階段には不向きである。
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、露出構造に適し、十分な強度が得られ、少ない種類の階段用部品で組立も容易に行える階段装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、直線部に配設される階段装置であって、踏み桟部の左右両側に側部桁を一体に形成した同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットを具備し、前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットに対する下段連結部とを設け、前記組立ユニットの上段連結部と下段連結部とを連結してユニット群を形成したものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、アール部に配設される階段装置であって、踏み桟部の左右両側に側部桁を一体に形成した同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットとを具備し、前記踏み桟部が平面視でアール部の湾曲軸を中心とする所定角の扇形台状に形成されるとともに、前記左右の側桁部が平面視で前記湾曲軸を中心とする円弧状にそれぞれ形成され、前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットへの下段連結部とを設け、前記組立ユニットの上段連結部と下段連結部とを連結してユニット群を形成したものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、折り返し部に配設される階段装置であって、踏み桟部の左右両側に側部桁を一体形成した同一形状および対称形状の複数の組立ユニットを具備し、前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットに対する下段連結部とをそれぞれ設け、前記踏み桟部の左右の辺部が、折り返し部の内側より外側が長い平面視台形状に形成されるとともに、左右の側桁部のうち、折り返し部の内側の奥行き幅が小さく、折り返し部の外側の奥行き幅が大きく形成されたものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、左右の側桁部は、踏み桟部の左右両端部から下方に折り曲げられて正面視が門方に形成され、各組立ユニットの上端連結部が前記側部桁の後面上部に形成されるとともに、下段連結部が前記側部桁の前面下部にそれぞれ形成され、下段側の組立ユニットから上段側の組立ユニットに後面側に順次重ねて連結しユニット群を形成するものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、左右の側桁部は、踏み桟部の左右両端部から下方に折り曲げられて正面視が門方に形成され、各組立ユニットの上端連結部が前記側部桁の上面で後面側に形成されるとともに、下段連結部が前記側部桁の下面で前面側に形成され、各組立ユニットは、下段側から上段側にかけて段積み状に連結してユニット群を形成するものである。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1,2,4または5のいずれかに記載の発明において、ユニット群の左右の側桁部に対応して、傾斜方向に沿う傾斜材をそれぞれ配置し、左右の各側桁部に、前記傾斜材と連結固定される連結支持部をそれぞれ設けたものである。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、仮設工事の終了後に、各踏み桟部上に、仕上げ用踏み板をそれぞれ設置するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットを上段連結部および下段連結部を介して互いに連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な十分な強度を有する直線部に沿うユニット群を組立てることができる。これにより、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間に階段装置を組み立てることができ、露出構造に適した直線状に配設される階段装置を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットを上段連結部および下段連結部を介して互いに連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有するアール部に沿うユニット群を組立てることができる。これにより、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間にアール部の階段装置を組み立てることができ、露出構造に適した階段装置を提供することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、同一形状または対称形状の複数の組立ユニットを上段連結部および下段連結部を介して互いに連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有する折り返し部に沿うユニット群を組立てることができる。これにより、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間で折り返し部の階段装置を組み立てることができ、露出構造に適した階段装置を提供することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、門形状の組立ユニットを使用し、各組立ユニットの後面側に順次重ねるように連結してユニット群を形成するので、連結作業時にボルト・ナットなどの連結具の落下を少なく、各組立ユニットの位置決めも容易で、組立時間を短縮することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、門形状の組立ユニットを使用し、各組立ユニットを下段側から上段側にかけて段積み状に連結してユニット群を形成するので、より安定感のある階段装置を提供することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、側桁部を支持する傾斜材を設けたので、ユニット群の上下方向のたわみと左右の振れを最小にすることができ、高強度な階段装置を形成することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、仮設工事中は、組立ユニットによりユニット群を組み立てて取り付け、そのままの状態で階段装置として使用する。仮設工事が終了すると、仕上げ用踏み板を踏み残部にそれぞれ取り付けて覆うことにより、外観に優れた階段装置を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態1〜6を図面に基づいて説明する。
この階段装置は、複数の組立ユニットを前後の傾斜方向に連結固定してユニット群を形成し、これを階段装置としたもので、前記組立ユニットは、たとえば鋼板やアルミニウム合金板、強化樹脂板、金属と樹脂の複合板、木製板材などから折り曲げ、溶接、鋳造、組立などの加工により製造されるが、ここではたとえば鋼板の場合を説明する。
【0021】
[実施の形態1]
屋内または屋外の直線部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、複数の同一形状の組立ユニット1と略同一形状の組立ユニット1’を使用し、下段側の組立ユニット1の後面に上段側の組立ユニット1を配置して、順次前後に重ねるように連結固定しユニット群10を組み立てるものである。図1〜図3を参照して説明する。
【0022】
組立ユニット1は、図1に示すように、横長矩形状の踏み桟部2と、この踏み桟部2の左右両側で下方に直角に折り曲げて一体形成された左右の側桁部3,3とで正面視が門形に形成されている。
【0023】
前記踏み桟部2は、板状の踏み桟本体2aと、踏み桟本体2aの前辺部および後辺部に沿ってそれぞれ下方に直角に折り曲げられた補強前板2bおよび補強後板2cを有している。また側桁部3は、矩形板状の側桁本体3aと、側桁本体3aの前辺部および後辺部からそれぞれ内側に直角に折り曲げられた前辺板3bおよび後辺板3cを有している。また踏み桟部2の踏み板本体2aと左右の側桁部3,3の側桁本体3a,3aとにわたって凹状の補強凹部4,4がたとえば45度の傾斜状に形成されている。
【0024】
そして前記側桁部3の前辺板3bの下部が、連結用のボルト穴5aを有する下段連結部5に構成され、また側桁部3の後辺板3cの上部が、連結用のボルト穴6aを有する上段連結部6に構成される。
【0025】
また階段装置を設置する下階の床部DFと、上階の床部UFの取付部材13との間に傾斜方向に沿って左右一対の傾斜材11,11が、左右の側桁部3,3に対応して設置され、前記傾斜材11,11はアングル形断面でその垂直面に複数の支持用のボルト穴11aがそれぞれ所定位置に形成されている。また側桁部3の側桁本体3aで後部下方のコーナー部分に、支持ボルト穴7aを有する支持連結部7が設けられている。これらに傾斜材11,11によりユニット群10の上下方向のたわみと左右方向の振れを低減させることができる。
【0026】
図3において、12は組立ユニット10を中間部で傾斜材11を介してそれぞれ支持するための階段用支柱材である。ここで、略同一形状の組立ユニット1’とは最下段の高さの低いものをいい、高さ以外は同一構造である。なお、図示していないが、公知の構造の階段手すりが適宜取り付けられる。
【0027】
上記階段装置を組み立てる場合、下階の床部DFと上階の床部UFの取付部材13との間に左右一対の傾斜材11,11を設置する。そして複数の組立ユニット1を前後に配置し、下段連結部5のボルト穴5aと上段連結部6のボルト穴6aに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、下段側および上段側に隣接する複数の組立ユニット1を順次前後に重ねるように連結しユニット群10を形成しつつ、適宜、傾斜材11のボルト穴11aと支持連結部7の支持ボルト穴7aとを連結具であるボルト・ナットB2を挿通して締結し、傾斜材11と左右の側桁部3とを支持連結部7を介して連結する。
【0028】
この階段装置は、ユニット群10のままの状態で仮設工事に使用され、仮設工事が終わると、図2,図3に示すように、踏み桟本体2a上に踏み桟本体2aより左右幅の広い仕上げ用の踏み板15を取付ビスB3を介して取り付け外観仕上げする。さらに必要に応じて蹴り込み板(図示せず)を取り付ける。
【0029】
上記実施の形態1によれば、同一形状の複数の組立ユニット1および略同一形状の組立ユニット1’を上段連結部6および下段連結部5を介して前後に重なるように連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有する直線状のユニット群10を組立てることができ、組立ユニット1と傾斜材11などからなる少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間で組み立てることができて、露出構造に適した直線状の階段装置を提供することができる。
【0030】
また、各組立ユニット1の左右の側桁部3と傾斜材11とを支持連結部7を介して連結固定することにより、人が上り下りする時に生じる上下方向および左右方向の荷重によるユニット群10の上下方向のたわみと左右方向の振れを低減することができる。
【0031】
さらに、ユニット群10を組み立てた状態で仮設工事に使用することができ、仮設工事が終わって、仕上げ用の踏み板15や蹴り込み板(図示せず)を取り付けることで、外観の仕上げを施すことができ、使い勝手が優れている。
【0032】
なお、ユニット群10が上下方向のたわみと左右方向の振れに対する十分な強度や剛性を有する場合には、傾斜材11を省略してもよい。
[実施の形態2]
屋内または屋外の直線部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、複数の複数の同一形状の組立ユニット21と略同一形状の組立ユニット21’を使用し、下段側からその上面に順次段積みするように上段側に組立ユニット21を配置し、順次連結固定してユニット群30を組み立てるもので、図4〜図6を参照して説明し、実施の形態1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
組立ユニット21は側桁部3の高さが高く形成され、左右の側桁部3,3に、側桁本体3aの下辺部から内側に直角に折り曲げられて底辺板3bがそれぞれ形成されている。
そして前記底辺板3bの前部が連結用のボルト穴22aを有する下段連結部22に構成され、また側桁部3の上辺部に連結された踏み桟本体2a後部が、連結用のボルト穴23aを有する上段連結部23に構成されている。
【0034】
なお、ここで略同一形状の組立ユニット21’とは、図6に示す最上段で奥行きが短いものをいい、奥行き以外は同一構造である。
上記階段装置を組み立てる場合、下階の床部DFと上階の床部UFの取付部材13との間に左右一対の傾斜材11,11を設置する。そして複数の組立ユニット1を前後に配置し、複数の組立ユニット21を下段から後方の上段側に傾斜して段積み状に配置し、上段連結部22のボルト穴22aと上段連結部23のボルト穴23aとに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、複数の組立ユニット21を段積み状に連結して傾斜方向に沿うユニット群30を形成しつつ、適宜、傾斜材11のボルト穴11aと支持連結部7の支持ボルト穴7aとを連結具であるボルト・ナットB2を挿通して締結し、傾斜材11と左右の側桁部3,3とを支持連結部7を介して連結する。
【0035】
この階段装置は、ユニット群30のこのままの状態で仮設工事に使用され、仮設工事が終わると、仕上げ用の踏み板15や蹴り込み板16をそれぞれ取り付けて外観仕上げされる。
【0036】
上記実施の形態2によれば、実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
[実施の形態1,2の変形例1,2]
上記実施の形態1,2では、組立ユニット1,21を正面視で門形に形成したが、変形例1では、図7(a)(b)に示すように、斜辺部が階段の傾斜角に沿う平行四辺形の左右の側桁部41,41と、これら側桁部41,41の上下方向の中央部に一体に連結された踏み桟部42とを有し、正面視でH字形に形成された組立ユニット43を使用する。そして、左右の側桁部41の上辺部から内側に折り曲げられた上辺板41aの上面全面を、ボルト穴を有する上段連結部44に構成し、各側桁部41の下辺部から内側に折り曲げられた下辺板41bの下面全面を、ボルト穴を有する下段連結部45に構成している。
【0037】
そして連結具であるボルト・ナットB1により上段連結部44と下段連結部45とを段積み状に連結固定してユニット群46を形成する。47,47は左右の側桁部41,41の奥側の斜辺部に沿ってそれぞれ取り付けられた傾斜材で、左右の側桁部41,41の斜辺部が支持連結部48,48に構成され、連結具であるボルト・ナットB2により傾斜材47,47と側桁部41,41とが支持連結部48,48を介して連結される。もちろん、前記ユニット群46だけで十分な強度が得られる場合には傾斜材47,47を無くすことができる。また外観仕上げ時には、踏み桟部42上に仕上げ用踏み板(図示せず)や蹴り込み板が取り付けられる。
【0038】
なお、図7(c)に示すように、左右の側桁部41の前辺板を上段連結部44に構成するとともに後辺板を下段連結部45に構成して、前後に重ねるように連結固定しユニット群46を組み立ててもよい。
【0039】
また変形例2として、また図8(a)(b)に示すように、斜辺部が階段の傾斜角に沿う平行四辺形の左右の側桁部51,51の下辺部に、踏み桟部52を連結して一体形成した正面視で溝形の組立ユニット53を使用したものである。各側桁部51の上辺部から内側に折り曲げられた上辺板51aの上面全面が、ボルト穴を有する上段連結部54に構成され、各側桁部51の下辺部となる踏み桟本体52aの両端部が、ボルト穴を有する下段連結部55に構成される。そして、連結具であるボルト・ナットB1により上段連結部54と下段連結部55とを段積み状に連結固定してユニット群56を形成する。57,57は左右の側桁部51,51の奥側の斜辺部に沿ってそれぞれ取り付けられた傾斜材で、側桁部51の斜辺部が支持連結部58に構成され、連結具であるボルト・ナットB2により傾斜材57と側桁部51とが支持連結部58を介して連結される。もちろん、前記ユニット群56だけで十分な強度が得られる場合には傾斜材57,57を無くすことができる。また外観仕上げ時には、踏み桟部52上に仕上げ用踏み板(図示せず)が取り付けられる。
【0040】
上記変形例1,2によれば、実施の形態1,2と同様の作用効果を奏することができる。
[実施の形態3]
屋内または屋外のアール部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、複数の同一形状の組立ユニット61を、下段の組立ユニット61の背面に上段側の組立ユニット61を配置して順次前後に重ねるように連結固定し、ユニット群60を組み立てるものである。図9,図10を参照して説明する。
【0041】
前記アール部の階段装置は、平面視で湾曲軸Oを中心とする半径R1の内周線と半径R2の外周線の間に形成されている。前記組立ユニット61は、湾曲軸Oから所定の分割角θで広がる扇形台の板状の踏み桟部62と、この踏み桟部2の左右両側から一体に垂下された内外の側桁部63A,63Bとで正面視が門形状に形成されている。
【0042】
前記踏み桟部62は、扇形台状の踏み桟本体62aと、踏み桟本体62aの前辺部および後辺部に沿って下方に直角に折り曲げられた補強前板62bおよび補強後板62cとを有している。
【0043】
また内側桁部63Aと外側桁部63Bは、内半径R1と外半径R2とに沿う平面視円弧状で、内側桁部63Aおよび外側桁部63Bは、それぞれ円弧状断面の側桁本体63aと、側桁本体63aの前辺部および後辺部からそれぞれ内側に直角に折り曲げられた前辺板63bおよび後辺板63cとを有している。
【0044】
そして、前記側桁部63の前辺板63bの下部が、連結用のボルト穴65aを有する下段連結部65に構成され、また側桁部63の後辺板63cの上部が、連結用のボルト穴66aを有する上段連結部66に構成されている。なお、直線部の階段装置と同様に、アール部に沿って配設される螺旋状の傾斜材を設けて連結支持することもできる。これにより、荷重によるユニット群60の上下方向のたわみと左右方向の振れを低減させることができる。
【0045】
上記階段装置を組み立てる場合、複数の組立ユニット61を前後に配置し、下段連結部65のボルト穴65aと上段連結部66のボルト穴66aに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、下段側の組立ユニット61から上段側の組立ユニット61に順次連結することにより、アール部の傾斜方向に沿うユニット群60を組み立てて、ユニット群60の上下方向のたわみと左右方向の振れを低減させることもできる。
【0046】
図示しないが、組立ユニット60を支持する階段用支柱材や公知の構造の階段手すりが適宜取り付けられる。またこの階段装置は、ユニット群60のこのままの状態で仮設工事に使用され、仮設工事が終わると、仕上げ用の踏み板(図示せず)や蹴り込み板をそれぞれ取り付けて外観仕上げされる。
【0047】
上記実施の形態3によれば、同一形状の複数の組立ユニット61を上段連結部66および下段連結部65を介して互いに連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有するアール部に沿う円弧状のユニット群60を組立てることができ、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間で組み立てることができて、露出構造に適した直線状の階段装置を提供することができる。
【0048】
なお、ユニット群60を組み立てた状態で、仮設工事に使用することができ、仮設工事が終わって、仕上げ用の踏み板(図示せず)や蹴り込み板を取り付けることで、外観の仕上げを施すことができ、使い勝手がよい。
【0049】
[実施の形態4]
屋内または屋外のアール部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、複数の同一形状の組立ユニット71を下段からその上面に順次重ねて段積み状に連結固定しユニット群70を組み立てるものである。図11,図12を参照して説明し、実施の形態3と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
組立ユニット71は、内外の側桁部63A,63Bに、側桁本体63aの下辺部を直角に内側に折り曲げた底辺板63dが設けられている。
そして、前記側桁部63の底辺板63dの前部が、ボルト穴75aを有する下段連結部75に構成され、また側桁部63の近傍の踏み板本体63aの両端部で後部が、連結用のボルト穴76aを有する上段連結部76に構成されている。
【0051】
上記階段装置を組み立てる場合、複数の組立ユニット71を前後に配置し、下段連結部75のボルト穴75aと上段連結部76のボルト穴76aに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、下段側および上段側に隣接する複数の組立ユニット71を順次段積み状に連結固定することにより、アール部の傾斜方向に沿うユニット群70を組み立てることができる。
【0052】
上記実施の形態4によれば、実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。
なお、実施の形態3,4に記載のアール部に設置される階段装置において、組立ユニットの踏み桟部と側桁部を、図7に示すH字形や図8に示す溝形に形成することもできる。
【0053】
[実施の形態5]
屋内または屋外で180°の折れ曲がり部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、同一形状の組立ユニット81A,81Bを、正常姿勢と前後を逆にした逆姿勢のものとを交互に配置して、その後面に順次重ねるように順次連結固定し、ユニット群80を組み立てるものである。図13〜図15を参照して説明する。
【0054】
前記組立ユニット81A,81Bは、直角台形状の踏み桟部82と、この踏み桟部82の左右両側(後述する上辺部、下辺部)で下方に直角に折り曲げて形成された内外の側桁部83A,83Bとで正面視が門形に形成されている。そして正常姿勢で最下段で正常姿勢の組立ユニット81A、中下段で逆姿勢の組立ユニット81B、中上段で正常姿勢の組立ユニット81A、最上段で逆姿勢の組立ユニット81Bの合計4個のユニット群80で折れ曲がり部に沿って配設される。
【0055】
前記踏み桟部82は、互いに平行な上辺部および下辺部と、垂辺部および45度の傾斜角を有する斜辺部からなる直角台形で板状の踏み桟本体82aと、踏み桟本体82の上辺部および下辺部から下方に垂直に折り曲げられた補強前板82bと補強後板82cとを有している。
【0056】
内外の側桁部83A,83Bは、板状の側桁本体83aと、側桁本体83aの前後辺部からそれぞれ内側に直角に折り曲げられた前辺板83bおよび斜辺部に沿って45度で折り曲げられた後辺板83cをそれぞれ有している。
【0057】
そして内外の側桁部83A,83Bの前辺板83bの下部が、連結用のボルト穴85aを有する下段連結部85に構成され、また側桁部83A,83Bの後辺板83cの上部が、連結用のボルト穴86aを有する上段連結部86に構成されている。
【0058】
図15に示すように、たとえば実施の形態1に示した直線状のユニット群10とユニット群10との間に設置され、最下段の組立ユニット81Aと最上段の組立ユニット81Bとが組立ユニット1にそれぞれが接続される。
【0059】
上記階段装置を組み立てる場合、最下段から中下段、中上段、最上段の各組立ユニット81A,81Bを順次配置し、上段連結部85のボルト穴85aと上段連結部86のボルト穴86aに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、下段側から上段側に順次前後に重ねるように連結固定することにより、折れ曲がり部に沿うユニット群80が形成される。
【0060】
この階段装置は、ユニット群80のこのままの状態で仮設工事に使用され、仮設工事が終わると、仕上げ用の踏み板87や蹴り込み板をそれぞれ取り付けて外観仕上げされる。
上記実施の形態1によれば、対称形状の複数の組立ユニット1を上段連結部86および下段連結部85を介して交互に連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有する折れ曲がり部のユニット群80を組立てることができ、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間で組み立てることができて、露出構造に適した折れ曲がり部の階段装置を提供することができる。
【0061】
さらに、ユニット群80を組み立てた状態で、仮設工事に使用することができ、仮設工事が終わって、仕上げ用の踏み板87や蹴り込み板を取り付けることで、外観の仕上げを施すことができ、使い勝手が優れている。
【0062】
上記実施の形態5によれば、同一形状の複数の組立ユニット1を上段連結部6および下段連結部5を介して前後に重ねるように互いに連結することにより、階段にかかる荷重を十分に支持可能な強度を有する折れ曲がり部に沿うユニット群80を組立てることができ、少ない種類の階段用部品で容易にかつ短時間で組み立てることができて、露出構造に適した直線状の階段装置を提供することができる。
【0063】
[実施の形態6]
屋内または屋外で180°の折れ曲がり部に配設される露出構造の階段装置に係るもので、組立ユニット91A,91Bを順次段積み状に重ねるようにしてユニット群90を組み立てるものである。図16〜図18を参照して説明し、実施の形態5と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
内外の側桁部83A,83Bは、板状の側桁本体83aと、側桁本体83aの底辺部から内側に直角に折り曲げられた底辺板83d,83dをそれぞれ有している。
そして側桁部83A,83Bの底辺板83d,83dの前部寄りが、連結用のボルト穴95aを有する下段連結部95に構成され、また側桁部83A,83B近傍の踏み桟本体82aの後部が、連結用のボルト穴96aを有する上段連結部96に構成されている。
【0065】
上記階段装置を組み立てる場合、最下段から中下段、中上段、最上段の組立ユニット91A,91Bを順次段積状に配置し、上段連結部95のボルト穴95aと上段連結部96のボルト穴96aに連結具であるボルト・ナットB1を挿通して締結し、下段側から上段側に組立ユニット91A,91B,91A,91Bを順次段状に積み重ねて連結固定することにより、折れ曲がり部に沿うユニット群90が形成される。
【0066】
この階段装置は、ユニット群90のこのままの状態で仮設工事に使用され、仮設工事が終わると、仕上げ用の踏み板87や蹴り込み板をそれぞれ取り付けて外観仕上げされる。
上記実施の形態6によれば、実施の形態5と同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
なお、実施の形態5,6の折り返し部に設置される階段装置において、組立ユニットの踏み桟部と側桁部を、図7に示すH字形や図8に示す溝形に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】直線部に設置される本発明の階段装置の実施の形態1を示す要部の分解斜視図である。
【図2】同階段装置の要部を示し、一部を切欠いた部分側面図である。
【図3】同階段装置の全体側面図である。
【図4】直線部に設置される本発明の階段装置の実施の形態2を示す要部の分解斜視図である。
【図5】同階段装置の要部を示し、一部を切欠いた部分側面図である。
【図6】同階段装置の全体側面図である。
【図7】直線部に設置される本発明の階段装置の変形例1を示す外観図で、(a)は一部を分解した斜視図、(b)は部分側面図、(c)は他の変形例を示す一部を分解した概略斜視図である。
【図8】直線部に設置される本発明の階段装置の変形例2を示す外観図で、(a)は一部を分解した斜視図、(b)は部分側面図である。
【図9】アール部に設置される本発明の階段装置の実施の形態3を示す組立ユニットの斜視図である。
【図10】同階段装置の全体平面図である。
【図11】アール部に設置される本発明の階段装置の実施の形態4を示す組立ユニットの斜視図である。
【図12】同階段装置の全体平面図である。
【図13】折り返し部に設置される本発明の階段装置の実施の形態5を示すユニット群の斜視図である。
【図14】同ユニット群の分解斜視図である。
【図15】折り返し部と直線部の階段装置を示す全体側面図である。
【図16】折り返し部に設置される本発明の階段装置の実施の形態6を示すユニット群の斜視図である。
【図17】同ユニット群の分解斜視図である。
【図18】折り返し部と直線部の階段装置を示す全体側面図である。
【符号の説明】
【0069】
O 湾曲軸
1 組立ユニット
2 踏み桟部
3 側桁部
4 補強凹部
5 下段連結部
6 上段連結部
7 連結支持部
10 ユニット群
11 傾斜材
15 仕上用の踏み板
21 組立ユニット
22 下段連結部
23 上下段連結部
30 ユニット群
41 側部桁
42 踏み桟部
43 組立ユニット
44 上段連結部
45 下段連結部
46 ユニット群
47 傾斜材
51 側部桁
52 踏み桟部
53 組立ユニット
54 上段連結部
55 下段連結部
56 ユニット群
60 ユニット群
61 組立ユニット
62 踏み桟部
63A,63B 側桁部
64 補強凹部
65 下段連結部
66 上段連結部
66a ボルト穴
70 ユニット群
71 組立ユニット
75 下段連結部
76 上下段連結部
80 ユニット群
81A,81B 組立ユニット
82 踏み桟部
83A,83B 側桁部
85 下段連結部
86 上下段連結部
90 ユニット群
91A,91B 組立ユニット
95 下段連結部
96 上下段連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部に配設される階段装置であって、
踏み桟部の左右両側に側部桁を一体に形成した同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットを具備し、
前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットに対する下段連結部とを設け、
前記組立ユニットの上段連結部と下段連結部とを連結してユニット群を形成した
階段装置。
【請求項2】
アール部に配設される階段装置であって、
踏み桟部の左右両側に側部桁を一体に形成した同一形状または略同一形状の複数の組立ユニットとを具備し、
前記踏み桟部が平面視でアール部の湾曲軸を中心とする所定角の扇形台状に形成されるとともに、前記左右の側桁部が平面視で前記湾曲軸を中心とする円弧状にそれぞれ形成され、
前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットへの下段連結部とを設け、
前記組立ユニットの上段連結部と下段連結部とを連結してユニット群を形成した
階段装置。
【請求項3】
折り返し部に配設される階段装置であって、
踏み桟部の左右両側に側部桁を一体形成した同一形状および対称形状の複数の組立ユニットを具備し、
前記組立ユニットの左右の側部桁に、上段側に隣接して連結される組立ユニットに対する上段連結部と、下段側に隣接して連結される組立ユニットに対する下段連結部とをそれぞれ設け、
前記踏み桟部の左右の辺部が、折り返し部の内側より外側が長い平面視台形状に形成されるとともに、左右の側桁部のうち、折り返し部の内側の奥行き幅が小さく、折り返し部の外側の奥行き幅が大きく形成された
階段装置。
【請求項4】
左右の側桁部は、踏み桟部の左右両端部から下方に折り曲げられて正面視が門方に形成され、
各組立ユニットの上端連結部が前記側部桁の後面上部に形成されるとともに、下段連結部が前記側部桁の前面下部にそれぞれ形成され、
下段側の組立ユニットから上段側の組立ユニットに後面側に順次重ねて連結しユニット群を形成する
請求項1乃至3のいずれかに記載の階段装置。
【請求項5】
左右の側桁部は、踏み桟部の左右両端部から下方に折り曲げられて正面視が門方に形成され、
各組立ユニットの上端連結部が前記側部桁の上面で後面側に形成されるとともに、下段連結部が前記側部桁の下面で前面側に形成され、
下段側の組立ユニットから上段側の組立ユニットに段積み状に重ねて連結しユニット群を形成する
請求項1乃至3のいずれかに記載の階段装置。
【請求項6】
ユニット群の左右の側桁部に対応して、傾斜方向に沿う傾斜材をそれぞれ配置し、
左右の各側桁部に、前記傾斜材と連結固定される連結支持部をそれぞれ設けた
請求項1,2,4または5のいずれかに記載の階段装置。
【請求項7】
仮設工事の終了後に、各踏み桟部上に、仕上げ用踏み板をそれぞれ設置する
請求項1乃至6のいずれかに記載の階段装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−126912(P2007−126912A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321658(P2005−321658)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000107985)セイコー産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】