説明

障害対処ファイル管理システム、障害対処ファイル管理方法および障害対処ファイル作成方法

【課題】障害の発生から解消に至るまでの時間を短縮する。
【解決手段】基板処理装置2で障害が発生し、ファイル作成/更新部18により障害対処ファイルが作成されると、その作成された障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバ4にアップロードされる。これにより、障害対処ファイルサーバ4には、常に最新の障害対処ファイルが保存され、その障害対処ファイルサーバ4に保存されている最新の障害対処ファイルを、障害対処ファイルサーバ4に接続されているすべての基板処理装置2で共有することができる。そして、障害対処ファイルサーバ4から障害対処ファイルを各基板処理装置2にダウンロードすることにより、基板処理装置2で障害が発生した場合に、基板処理装置2のユーザが障害の対処方法を即座に知得することができ、ユーザがその対処方法に従って障害を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置で発生した障害の対処方法が記載された障害対処ファイルを管理するシステムおよび方法ならびに障害対処ファイルを作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造などに用いられる基板処理装置では、モータの熱暴走による動作停止などの障害が発生すると、その障害発生をユーザ(オペレータ)に報知するためのアラームが出力される。ユーザは障害を解消する方法(対処方法)を知らないので、アラームが出力されると、ユーザから基板処理装置のベンダに連絡が入り、ベンダから基板処理装置の構成に精通した担当者がユーザ先に派遣される。そして、その担当者が基板処理装置に発生している障害を解消する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、基板処理装置で発生した障害は、基板処理装置の構成に精通した担当者のみによって解消される。そのため、障害の発生から解消に至るまでに時間がかかるという問題がある。
本発明の目的は、障害の発生から解消に至るまでの時間を短縮することができる、障害対処ファイル管理システムおよび障害対処ファイル管理方法、ならびに障害対処ファイル管理システムおよび障害対処ファイル管理方法で管理される障害対処ファイルを作成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するための請求項1記載の障害対処ファイル管理システムは、複数の基板処理装置と、各基板処理装置と通信可能に接続された障害対処ファイルサーバとを含む。各基板処理装置は、当該基板処理装置で発生する各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを作成または更新するファイル作成/更新手段と、前記ファイル作成/更新手段により作成または更新された障害対処ファイルを前記障害対処ファイルサーバにアップロードするアップロード処理手段とを備えている。
【0006】
基板処理装置で障害が発生し、ファイル作成/更新手段により障害対処ファイルが作成されると、その作成された障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバにアップロードされる。これにより、障害対処ファイルサーバには、常に最新の障害対処ファイルが保存され、その障害対処ファイルサーバに保存されている最新の障害対処ファイルを、障害対処ファイルサーバに接続されているすべての基板処理装置で共有することができる。そして、障害対処ファイルサーバから障害対処ファイルを各基板処理装置にダウンロードすることにより、基板処理装置で障害が発生した場合に、基板処理装置のユーザ(オペレータ)が障害の対処方法を即座に知得することができる。よって、基板処理装置のベンダの担当者でなくても、ユーザがその対処方法に従って障害を解消することができる。その結果、障害の発生から解消に至るまでの時間を短縮することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、各基板処理装置は、障害対処ファイルサーバから障害対処ファイルをダウンロードするダウンロード処理手段と、ダウンロード処理手段によりダウンロードされる障害対処ファイルを記憶するファイル記憶手段とをさらに備えていてもよい。
たとえば、障害対処ファイルサーバからすべての障害対処ファイルをダウンロードし、そのダウンロードした障害対処ファイルをファイル記憶手段に記憶させておくことができる。こうしておけば、障害の発生時に、基板処理装置から障害対処ファイルサーバにアクセスしなくても、ユーザが障害の対象方法を知得することができる。その結果、障害の発生からその対処方法をユーザが知得するまでの時間を短縮することができ、障害の発生から解消に至るまでの時間をさらに短縮することができる。
【0008】
なお、障害の発生時に、その障害に対応する障害対処ファイルのみが障害対処ファイルサーバからダウンロードされ、その障害対処ファイルがファイル記憶手段に記憶されるようにしてもよい。
また、請求項3に記載のように、各基板処理装置は、障害の対処方法を入力するために操作される操作部をさらに備え、ファイル作成/更新手段は、操作部の操作により障害の対処方法が入力されると、ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルの中から当該障害のIDが記載された障害対処ファイルを検索し、障害対処ファイルが見つかった場合には、当該障害対処ファイルに操作部の操作により入力された対処方法を追加して、当該障害対処ファイルを更新し、障害対処ファイルが見つからなかった場合には、当該障害のIDと操作部の操作により入力された対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを新規に作成し、その更新または作成した障害対処ファイルを前記ファイル記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0009】
この場合、同一のIDに異なる対処方法が関連づけられた複数の障害対処ファイルが作成されることがなく、障害対処ファイルサーバおよび基板処理装置のファイル記憶手段に必要な記憶容量を低減することができる。
請求項4に記載の障害対処ファイル管理方法は、複数の基板処理装置と通信可能に接続された障害対処ファイルサーバを用いて、前記基板処理装置で発生する障害の対処方法を記載した障害対象ファイルを管理する方法であって、前記基板処理装置において、前記基板処理装置で発生する各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけられた障害対処ファイルを作成または更新するファイル作成/更新ステップと、前記ファイル作成/更新ステップで作成または更新された障害対処ファイルを前記障害対処ファイルサーバにアップロードするアップロードステップとを含む。
【0010】
この障害対処ファイル管理方法により、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項5に記載の障害対処ファイル作成方法は、障害の対処方法を入力するために操作される操作部と、各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを記憶するファイル記憶手段とを備える基板処理装置において、前記ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルを更新または障害対処ファイルを新たに作成する方法であって、前記操作部の操作により障害の対処方法が入力されたことに応答して、前記ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルの中から当該障害のIDが記載された障害対処ファイルを検索する検索ステップと、前記検索ステップで障害対処ファイルが見つかった場合には、当該障害対処ファイルに前記操作部の操作により入力された対処方法を追加して、当該障害対処ファイルを更新し、前記検索ステップで障害対処ファイルが見つからなかった場合には、当該障害のIDと前記操作部の操作により入力された前記操作部の操作により入力された対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを新規に作成するファイル作成/更新ステップとを含む。
【0011】
この障害対処ファイル作成方法によれば、同一のIDに異なる対処方法が関連づけられた複数の障害対処ファイルが作成されることがなく、ファイル記憶手段に必要な記憶容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る障害対処ファイル管理システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、障害対処ファイルの内容の一例を示す図である。
【図3】図3は、基板処理装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、対処方法表示処理のフローチャートである。
【図5】図5は、障害対処ファイル作成/更新処理のフローチャートである。
【図6】図6は、障害対処ファイルの更新例を示す図である。
【図7】図7は、障害対処ファイルがアップロードされたときに障害対処ファイルサーバで実行される処理のフローチャートである。
【図8】図8は、ダウンロード処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る障害対処ファイル管理システムの構成を示す図である。
障害対処ファイル管理システム1は、たとえば、複数の基板処理装置2を備える工場内で構築され、各基板処理装置2とネットワーク3を介して通信可能に接続された障害対処ファイルサーバ4を備えている。
【0014】
基板処理装置2は、とくに限定されず、基板を1枚ずつ処理する枚葉式を採用したものであってもよいし、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式を採用したものであってもよい。基板に対する処理としては、基板を洗浄する洗浄処理、基板の表面上の薄膜を除去するためのエッチング処理、基板を加熱/冷却する熱処理、基板の表面上に膜を形成するための膜形成処理などが例示される。また、処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板が含まれる。
【0015】
障害対処ファイルサーバ4には、複数の障害対処ファイルが保存されている。
図2は、障害対処ファイルの内容の一例を示す図である。
基板処理装置2で発生する各障害には、固有のアラームIDが付与されている。障害対処ファイルは、基板処理装置2で発生する各障害ごとに作成され、障害のアラームID、内容および対処方法が相互に関連づけて記載されたファイルである。図2に示す障害対処ファイルの一例では、アラームID「12001」に対して、そのアラームID「12001」が付与されている障害の内容「レシピ実行中にモータがサーボ異常になったことにより遮断板回転軸が停止した」と、その障害の対処方法「ロボット電源がONになっているか確認する」とが関連づけて記載されている。
【0016】
図3は、基板処理装置の要部の構成を示すブロック図である。
基板処理装置2は、コンピュータ11と、ユーザなどが操作可能な位置に配置される操作パネル12とを備えている。
コンピュータ11は、CPUおよびメモリなどをハードウェア構成として備えている。メモリの記憶領域の一部は、障害対処ファイルサーバ4からダウンロードされる障害対処ファイルを記憶しておくためのファイル記憶領域13として使用される。
【0017】
操作パネル12には、ディスプレイ14や、ディスプレイ14に表示される画面上でボタンを押下したり数値などを入力したりするための入力デバイス(図示せず)が設けられている。
また、基板処理装置2は、コンピュータ11がプログラムを実行することにより実現される機能処理部を備えている。この機能処理部には、ダウンロード処理部15、データベース(DB)更新部16、ファイル検索部17、ファイル作成/更新部18およびアップロード処理部19が含まれる。
【0018】
ダウンロード処理部15は、障害対処ファイルサーバ4に保存されているすべての障害対処ファイルを定期的にダウンロードする。障害対処ファイルのダウンロードの時期は、固定であってもよいし、基板処理装置2のユーザが操作パネル12の操作により可変設定することができてもよい。
データベース更新部16は、ダウンロード処理部15によりダウンロードされた障害対処ファイルをデータベース化し、障害対処ファイルデータベース(DB)として、ファイル記憶領域13に上書きで保存する。また、後述するファイル作成/更新部18により新規な障害対処ファイルが作成または既存の障害対処ファイルが更新されると、その作成/更新された障害対処ファイルをファイル記憶領域13に保存する。
【0019】
ファイル検索部17は、基板処理装置2に障害が発生したときに、ファイル記憶領域13に記憶されている障害対処ファイル(障害対処ファイルデータベース)の中から、その障害のアラームIDが記載された障害対処ファイルを検索する。そして、障害対処ファイルが見つかった場合には、その障害対処ファイルをファイル作成/更新部18に入力するとともに、当該障害対処ファイルに記載されている対処方法をディスプレイ14に表示させる。一方、障害対処ファイルが見つからなかった場合には、その旨をファイル作成/更新部18に入力する。
【0020】
ファイル作成/更新部18は、基板処理装置2に発生した障害が解消された後、当該障害に対応する障害対処ファイルを新規に作成または更新する。そして、その作成または更新した障害対処ファイルをデータベース更新部16に入力する。ファイル作成/更新部18により実行される具体的な処理の内容については、後述する。
アップロード処理部19は、ファイル作成/更新部18により障害対処ファイルが作成または更新されると、その障害対処ファイルをファイル記憶領域13から障害対処ファイルサーバ4にアップデートする。
【0021】
図4は、対処方法表示処理のフローチャートである。
基板処理装置2に障害が発生すると、アラームが出力(たとえば、警報ランプが点灯)されるとともに、ファイル検索部17により、図4に示す対処方法表示処理が実行される。
対処方法表示処理では、まず、基板処理装置2に発生した障害のアラームIDが取得される。そして、ファイル記憶領域13に記憶されている障害対処ファイルの中から、そのアラームIDが記載された障害対処ファイルが検索される(ステップS1)。
【0022】
障害対処ファイルが見つかった場合には(ステップS2のYES)、その障害対処ファイルに記載されている対処方法がディスプレイ14に表示され(ステップS3)、対処方法表示処理が終了する。この場合、基板処理装置2のユーザ(オペレータ)は、障害の対処方法を即座に知得することができるので、基板処理装置のベンダの担当者に連絡せずに、その対処方法に従って障害を解消することができる。
【0023】
一方、障害対処ファイルが見つからなかった場合には(ステップS2のNO)、ディスプレイ14に対処方法が表示されることなく、対処方法表示処理が終了する。この場合、基板処理装置2のユーザは、障害の対処方法を知得することができないので、基板処理装置のベンダの担当者に連絡する。また、ディスプレイ14に対処方法が表示された場合であっても、その対処方法によってユーザが障害を解消することができなかった場合には、ユーザは、基板処理装置のベンダの担当者に連絡する。ユーザから連絡を受けた担当者は、ユーザ先に出向いて、基板処理装置2に発生している障害を解消する。そして、操作パネル12を操作して、障害の対処方法をコンピュータ11に入力する。
【0024】
図5は、障害対処ファイル作成/更新処理のフローチャートである。
操作パネル12から障害の対処方法が入力されると、データベース更新部16、ファイル検索部17、ファイル作成/更新部18およびアップロード処理部19により、図5に示す障害対処ファイル作成/更新処理が実行される。
障害対処ファイル作成/更新処理では、対処方法表示処理におけるファイル検索部17による障害対処ファイルの検索結果が利用される。
【0025】
すなわち、ファイル記憶領域13に記憶されている障害対処ファイルの中から、基板処理装置2に発生した障害のアラームIDが記載された障害対処ファイルが見つかった場合には(ステップS11のYES)、ファイル検索部17により、その障害対処ファイルがファイル作成/更新部18に入力される。そして、ファイル作成/更新部18により、障害対処ファイルに、操作パネル12から入力された障害の対処方法が追加して記載される。これにより、障害対処ファイルの内容が新たな対処方法が追加された内容に更新される(ステップS12)。
【0026】
たとえば、図6に示すように、アラームID「12001」、障害内容「レシピ実行中にモータがサーボ異常になったことにより遮断板回転軸が停止した」および対処方法「ロボット電源がONになっているか確認する」が記載された障害対処ファイルがファイル作成/更新部18に入力され、操作パネル12から新たな対処方法として、「モータ温度が正常であるか確認する」が入力された場合、ファイル作成/更新部18により、障害対処ファイルの内容が新たな対処方法「モータ温度が正常であるか確認する」を追加した内容に更新される。
【0027】
ファイル記憶領域13に記憶されている障害対処ファイルの中から、基板処理装置2に発生した障害のアラームIDが記載された障害対処ファイルが見つからなかった場合には(ステップS11のNO)、ファイル作成/更新部18により、障害対処ファイルが新規に作成される(ステップS13)。すなわち、ファイル検索部17により先に取得されているアラームIDに対して、そのアラームIDで特定される障害の内容と、操作パネル12から入力された障害の対処方法とを関連づけて記載した障害対処ファイルが作成される。
【0028】
ファイル作成/更新部18により作成または更新された障害対処ファイルは、データベース更新部16に入力され、データベース更新部16により、ファイル記憶領域13に保存(障害対処ファイルが更新された場合は、更新後の障害対処ファイルの内容で上書き保存)される。これにより、ファイル記憶領域13に保存されている障害対処ファイルデータベースが更新される(ステップS14)。
【0029】
障害ファイルデータベースが更新されると、アップロード処理部19により、ファイル記憶領域13に新規または上書き保存された障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバ4にアップロードされる(ステップS15)。
図7は、障害対処ファイルがアップロードされたときに障害対処ファイルサーバで実行される処理のフローチャートである。
【0030】
障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバにアップロードされると(ステップS21のYES)、障害対処ファイルサーバでは、既存の障害対処ファイルの中から、そのアップロードされた障害対処ファイルに記載されているアラームIDと同じアラームIDが記載された障害対処ファイルが検索される。
障害対処ファイルが見つかった場合には、その障害対処ファイルに記載されている対処方法とアップロードされた障害対処ファイルに記載されている対処方法とが比較される。そして、アップロードされた障害対処ファイルから新規な対処方法が抽出され、その新規な対処方法が障害対処ファイルサーバに保存されている障害対処ファイルに追加して記載される。これにより、障害対処ファイルサーバに保存されている障害対処ファイルの更新が達成される(ステップS22)。
【0031】
一方、障害対処ファイルが見つからなかった場合には、アップロードされた障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバにそのまま保存される(ステップS22)。
図8は、ダウンロード処理のフローチャートである。
障害対処ファイルのダウンロードの時期(たとえば、毎日午前12時)になると、ダウンロード処理部15により、障害対処ファイルサーバ4に保存されているすべての障害対処ファイルがダウンロードされる。
【0032】
そして、ダウンロードが完了すると(ステップS31のYES)、データベース更新部16により、障害対処ファイルサーバ4からダウンロードされた障害対処ファイルがデータベース化され、障害対処ファイルデータベースとして、ファイル記憶領域13に上書きで保存される(ステップS32)。
以上のように、基板処理装置2で障害が発生し、ファイル作成/更新部18により障害対処ファイルが作成されると、その作成された障害対処ファイルが障害対処ファイルサーバ4にアップロードされる。これにより、障害対処ファイルサーバ4には、常に最新の障害対処ファイルが保存され、その障害対処ファイルサーバ4に保存されている最新の障害対処ファイルを、障害対処ファイルサーバ4に接続されているすべての基板処理装置2で共有することができる。そして、障害対処ファイルサーバ4から障害対処ファイルを各基板処理装置2にダウンロードすることにより、基板処理装置2で障害が発生した場合に、基板処理装置2のユーザが障害の対処方法を即座に知得することができる。よって、基板処理装置2のベンダの担当者でなくても、ユーザがその対処方法に従って障害を解消することができる。その結果、障害の発生から解消に至るまでの時間を短縮することができる。
【0033】
また、障害対処ファイルサーバ4からすべての障害対処ファイルが定期的にダウンロードされ、そのダウンロードされた障害対処ファイルがファイル記憶領域13に記憶されている。そのため、障害の発生時に、基板処理装置2から障害対処ファイルサーバ4にアクセスしなくても、ディスプレイ14に障害の対処方法が表示され、ユーザがその対象方法を知得することができる。その結果、障害の発生からその対処方法をユーザが知得するまでの時間を短縮することができ、障害の発生から解消に至るまでの時間をさらに短縮することができる。さらに、複数の基板処理装置2に同時に障害が発生した場合に、ネットワーク3に負荷をかけることなく、障害の対処方法をディスプレイ14に表示させることができる。
【0034】
また、各基板処理装置2は、障害の対処方法を入力するために操作される操作パネル12を備えている。この操作パネル12の操作により障害の対処方法が入力されると、ファイル記憶領域13に記憶されている障害対処ファイルの中から当該障害のIDが記載された障害対処ファイルが検索される。そして、障害対処ファイルが見つかった場合には、当該障害対処ファイルに操作パネル12の操作により入力された対処方法を追加して、当該障害対処ファイルが更新される。一方、障害対処ファイルが見つからなかった場合には、当該障害のIDと操作パネル12の操作により入力された対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルが新規に作成される。そして、その更新または作成された障害対処ファイルがファイル記憶領域13に保存される。これにより、同一のIDに異なる対処方法が関連づけられた複数の障害対処ファイルが作成されることがなく、障害対処ファイルサーバ4およびファイル記憶領域13に必要な記憶容量を低減することができる。
【0035】
なお、障害対処ファイルのアップロードおよびダウンロード時に、ネットワーク3または障害対処ファイルサーバ4に障害が発生している場合には、その障害が解消された後に、アップロードおよびダウンロードが再実行される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0036】
前述の実施形態では、障害対処ファイルサーバ4から基板処理装置2に障害対処ファイルが定期的にダウンロードされるとしたが、障害対処ファイルのダウンロードは不定期に行われてもよい。たとえば、操作パネル12が操作されて、操作パネル12からコンピュータ11にダウンロードの実行が指示されたときに、障害対処ファイルサーバ4からの障害対処ファイルのダウンロードが実行されてもよい。
【0037】
また、基板処理装置2が障害対処ファイルを保持せずに、障害の発生時に、その障害に対応する障害対処ファイルのみが障害対処ファイルサーバ4からダウンロードされ、その障害対処ファイルがファイル記憶領域13に保持されるようにしてもよい。この場合、ファイル記憶領域13に必要な記憶容量を大幅に低減させることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 障害対処ファイル管理システム
2 基板処理装置
4 障害対処ファイルサーバ
11 コンピュータ
12 操作パネル(操作部)
13 ファイル記憶領域(ファイル記憶手段)
15 ダウンロード処理部(ダウンロード処理手段)
16 データベース更新部(ファイル作成/更新手段)
17 ファイル検索部(ファイル作成/更新手段)
18 ファイル作成/更新部(ファイル作成/更新手段)
19 アップロード処理部(アップロード処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板処理装置と、各基板処理装置と通信可能に接続された障害対処ファイルサーバとを含む障害対処ファイル管理システムであって、
各基板処理装置は、
当該基板処理装置で発生する各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを作成または更新するファイル作成/更新手段と、
前記ファイル作成/更新手段により作成または更新された障害対処ファイルを前記障害対処ファイルサーバにアップロードするアップロード処理手段とを備えている、障害対処ファイル管理システム。
【請求項2】
各基板処理装置は、
前記障害対処ファイルサーバから障害対処ファイルをダウンロードするダウンロード処理手段と、
前記ダウンロード処理手段によりダウンロードされる障害対処ファイルを記憶するファイル記憶手段とをさらに備えている、請求項1に記載の障害対処ファイル管理システム。
【請求項3】
各基板処理装置は、障害の対処方法を入力するために操作される操作部をさらに備え、
前記ファイル作成/更新手段は、前記操作部の操作により障害の対処方法が入力されると、前記ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルの中から当該障害のIDが記載された障害対処ファイルを検索し、障害対処ファイルが見つかった場合には、当該障害対処ファイルに前記操作部の操作により入力された対処方法を追加して、当該障害対処ファイルを更新し、障害対処ファイルが見つからなかった場合には、当該障害のIDと前記操作部の操作により入力された対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを新規に作成し、その更新または作成した障害対処ファイルを前記ファイル記憶手段に記憶させる、請求項1に記載の障害対処ファイル管理システム。
【請求項4】
複数の基板処理装置と通信可能に接続された障害対処ファイルサーバを用いて、前記基板処理装置で発生する障害の対処方法を記載した障害対象ファイルを管理する方法であって、
前記基板処理装置において、前記基板処理装置で発生する各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけられた障害対処ファイルを作成または更新するファイル作成/更新ステップと、
前記ファイル作成/更新ステップで作成または更新された障害対処ファイルを前記障害対処ファイルサーバにアップロードするアップロードステップとを含む、障害対処ファイル管理方法。
【請求項5】
障害の対処方法を入力するために操作される操作部と、各障害に固有のIDと当該障害の対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを記憶するファイル記憶手段とを備える基板処理装置において、前記ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルを更新または障害対処ファイルを新たに作成する方法であって、
前記操作部の操作により障害の対処方法が入力されたことに応答して、前記ファイル記憶手段に記憶されている障害対処ファイルの中から当該障害のIDが記載された障害対処ファイルを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで障害対処ファイルが見つかった場合には、当該障害対処ファイルに前記操作部の操作により入力された対処方法を追加して、当該障害対処ファイルを更新し、前記検索ステップで障害対処ファイルが見つからなかった場合には、当該障害のIDと前記操作部の操作により入力された前記操作部の操作により入力された対処方法とが関連づけて記載された障害対処ファイルを新規に作成するファイル作成/更新ステップとを含む、障害対処ファイル作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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