説明

障害物探索システム

【課題】車両の乗員が自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるように支援することを可能にするとともに、不必要な障害物の検知を低減することを可能にする。
【解決手段】自車両の乗員から方向入力操作を受け付ける操作部と、方向入力操作による操作部の変位を検出する変位センサとを備え、変位センサで検出した変位に応じて、障害物検知センサ1の検知有効エリアを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員に車両周辺の障害物を探索し、その探索結果の情報を提示する障害物探索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバが、例えば駐車時などに自車両や自車両周辺の状況を把握する際には、ミラーや目視による確認が一般的に行われている。しかしながら、ミラーや目視では確認できない死角や視覚特有の誤認知があることから、自車両の大きさや位置、自車両周辺の状況を正確に把握するには限界がある。よって、ミラーや目視による確認だけでは、自車両を障害物に接触させてしまったり、逆に障害物との間を必要以上に大きく空けてしまうことで効率的な運転ができなかったりするなどの問題が生じる。
【0003】
そこで、この問題を解決する手段として、予め設定された検知範囲内でセンサによって障害物が検知された場合に、自動的にドライバへ障害物の存在や位置を知らせる技術が従来から提案されてきている。例えば、特許文献1には、超音波センサにおいて、車両の前方から側方にかけて楕円形状の検知範囲を形成し、この検知範囲に存在する障害物を検知して障害物の存在を報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−234295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の運転においては、ドライバが障害物に注意を払うべき領域は運転状況やドライバの心境によって変化するため、特許文献1に開示の技術のように障害物を検知するセンサの検知範囲が予め固定されていては、必要に応じた障害物の検知が行えず、不都合となる場合もある。
【0006】
詳しくは、特許文献1に開示の技術は、ドライバの死角に相当する領域を予め検知範囲とし、ドライバが気付いていない障害物の存在をドライバに知らせる場合などといった受動的な目的には適している。しかし、特許文献1に開示の技術は、ドライバが既に気付いている障害物について自車両との距離を把握したい場合などといった能動的な目的には適していない。
【0007】
従って、特許文献1に開示の技術では、ドライバが自車両周辺の障害物の存在を能動的に検索し、その結果をもとに自車両と障害物との距離感を学習するといった利用ができず、ドライバが自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるように支援することができないという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1に開示の技術では、障害物を検知するセンサの検知範囲が予め固定されているので、ドライバが既に気付いていて検知の必要のない障害物まで検知して障害物の存在を報知してしまい、ドライバが煩わしい思いをすることがあるという問題点もあった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車両の乗員が自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるように支援することを可能にするとともに、不必要な障害物の検知を低減することを可能にする障害物探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の障害物探索システムによれば、車両の乗員から受け付けた方向入力操作による操作部の変位を検出し、検出した変位に応じて障害物検出装置の測定範囲を移動させるので、乗員の意図する方向に障害物検出装置の測定範囲を移動させ、障害物を検出することができる。よって、乗員が自車両周辺の障害物の存在を能動的に検索し、その結果をもとに乗員が自車両と障害物との距離感を学習することが可能になり、乗員が自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるように支援することが可能になる。
【0011】
また、上述したように、乗員の意図する方向に障害物検出装置の測定範囲を移動させ、障害物を検知することができるので、乗員が既に気付いていて検知の必要のない障害物の存在する領域を外すように障害物検出装置の測定範囲を移動させ、不必要な障害物の検知を低減することも可能になる。
【0012】
また、請求項2のように、障害物検出装置は、障害物の位置として車両に対する障害物の方向および距離を特定するものであって、提示装置は、障害物の方向および距離に応じた提示を行う態様としてもよい。これによれば、提示装置で提示される障害物の方向と距離とをもとに乗員が自車両と障害物との距離感を学習することができるので、乗員が自車両と障害物との距離感をより詳しく把握することが可能になる。
【0013】
また、請求項3の構成によれば、障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を、車両の乗員の触覚を介して提示するので、乗員がミラーや目視で障害物を確認しながら、自車両に対するその障害物の位置の情報の提示を受けることができる。また、乗員がミラーや目視で障害物を確認しながら自車両と障害物との距離感を学習することができるので、車両を安全に運行させつつ自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるようにすることが可能になる。
【0014】
また、請求項3のように、障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を車両の乗員の触覚を介して提示する場合には、請求項4のように、提示装置および操作部は、乗員が手で操作する車両の装備品に設けられているとともに、乗員がその装備品を操作しながら触ることができるように設けられている態様とすることが好ましい。
【0015】
これによれば、乗員が手で操作する車両の装備品を操作しながらでも、障害物検出装置の測定範囲を移動させるとともに障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報の提示を受けることができ、利便性が向上する。
【0016】
また、請求項4のように、提示装置および操作部が、乗員が手で操作する車両の装備品に設けられているとともに、乗員がその装備品を操作しながら触れられるように設けられている場合には、請求項5のように、提示装置は、乗員が方向入力操作を行う操作部に障害物の方向および距離に応じた操作反力を発生させることによって障害物の方向および距離に応じた提示を行うことが好ましい。
【0017】
これによれば、提示装置が、方向入力操作を行う操作部に操作反力を発生させることによって障害物の方向および距離に応じた提示を行うので、操作部で方向入力操作を行って障害物検出装置の測定範囲を移動させながら、操作部に発生する操作反力を頼りに、検出した障害物の方向および距離を知ることが可能になる。よって、乗員は、操作部で方向入力操作を行って障害物検出装置の測定範囲を移動させる工程と検出した障害物の方向および距離の提示を受ける工程との一連の工程の繰り返しによって、自車両と障害物との位置関係を把握し、その障害物との距離感をもとに自車両の大きさを正確に把握することが容易にできるようになる。
【0018】
また、請求項5のように、提示装置が、乗員が方向入力操作を行う操作部に障害物の方向および距離に応じた操作反力を発生させることによって障害物の方向および距離に応じた提示を行う場合、例えば、請求項6および7の態様がある。
【0019】
例えば、請求項6のように、提示装置が、車両に対する障害物の距離が近くなるほど、操作反力を発生させる周期を短くすることによって障害物の距離に応じた提示を行う態様としてもよい。車両に対する障害物の距離が近くなるほど操作反力を発生させる周期を短くすると、より差し迫ったような感覚を乗員に生じさせることができるので、車両に対する障害物の距離をより具体的に表現することが可能になる。
【0020】
また、請求項7のように、提示装置が、車両に対する障害物の距離が近くなるほど、操作反力を大きくすることによって障害物の距離に応じた提示を行う態様としてもよい。車両に対する障害物の距離が近くなるほど操作反力を大きくすると、より差し迫ったような感覚を乗員に生じさせることができるので、車両に対する障害物の距離をより具体的に表現することが可能になる。
【0021】
また、請求項8のように、提示装置および操作部が、ステアリングホイール、ステアリングスイッチ、センターコンソール部の操作デバイス、およびシフトノブのうちの少なくともいずれかに設けられている態様としてもよい。
【0022】
また、請求項9のように、提示装置が、物理的変位を起こすアクチュエータを利用することで車両の乗員に機械的刺激を与え、この機械的刺激によって、障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を提示する態様としてもよい。
【0023】
また、請求項10の構成によれば、車両関連情報取得部で取得した車両の運転情報や車両の周囲の環境情報といった車両関連情報をもとに、変位検出部で検出した変位に応じて測定範囲移動部に測定範囲を移動させる場合の移動量の補正を行うので、車両の運転情報や車両の周囲の環境情報に応じて測定範囲の移動量を調整することができる。例えば、車速が速くなるほど移動量を大きくする補正をしたり、夜や雨天等の周辺の見通しが悪い環境になるほど移動量を大きくする補正をしたりするなど、状況に応じて測定範囲の移動量を調整することが可能になる。
【0024】
また、請求項11のように、障害物検出装置は、1つまたは複数の障害物検知センサを用いることで測定範囲内に存在する障害物を検知する態様としてもよい。
【0025】
また、請求項12のように、操作部は、車両の前後方向に対応する軸と車両の左右方向に対応する軸とのお互い直交する2軸で定められる平面上の全方向または所定の方向に、所定の範囲だけ変位することができ、変位検出部は、操作部の変位の方向および変位量を、変位センサを用いて検知することで、方向入力操作による操作部の変位を検出する態様としてもよい。
【0026】
また、請求項12のようにする場合、請求項13のように、操作部が、車両の前後方向に対応する軸に沿ったスライド方向をもつスライドテーブルと車両の左右方向に対応する軸に沿ったスライド方向をもつスライドテーブルとを組み合わせて用いることによって、平面上の全方向に所定の範囲だけ変位することができる態様とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】障害物探索システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】HMIデバイス4の操作部41の構成の概略を説明するための模式図である。
【図3】HMIデバイス4の概略的な構成の一例を示す図である。
【図4】HMIデバイス4の設置場所の一例を示す模式図である。
【図5】HMIデバイス4の設置場所の一例を示す模式図である。
【図6】HMIデバイス4の設置場所の一例を示す模式図である。
【図7】HMIデバイス4の設置場所の一例を示す模式図である。
【図8】HMIデバイス4の設置場所の一例を示す模式図である。
【図9】(a)〜(c)は、障害物探索システム100の作動例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された障害物探索システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す障害物探索システム100は、車両に搭載されるものであり、障害物検知センサ1、障害物位置演算装置2、提示制御装置3、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)デバイス4、およびセンサ範囲制御装置5を含んでいる。なお、障害物探索システム100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0029】
障害物検知センサ1は、車両に搭載され、設定された測定範囲(以下、検知有効エリア)内における自車両周辺の障害物の検知を行う装置である。障害物検知センサ1としては、探査波を送信し、障害物で反射されるその探査波の反射波を受信する超音波ソナーやミリ波レーダやレーザレーダや赤外線センサなどの周知の測距センサを用いることができる。また、障害物検知センサ1としては、自車両の周辺を撮像するCCDカメラ等の撮像装置を用いる構成としてもよいし、上記測距センサと上記撮像装置とを組み合わせて用いる構成としてもよい。また、障害物検知センサ1は、1つだけ設ける構成としてもよいし、検知対象とする範囲に合わせて複数設ける構成としてもよい。なお、本実施形態では、障害物検知センサ1として測距センサのみを用いるものとして以降の説明を続ける。
【0030】
ここで、検知有効エリアについての説明を行う。測距センサにおいては、探査波を送信してからその探査波の反射波を待つ時間(以下、待ち時間)の設定を変更することによって、測定範囲(つまり、検知有効エリア)を変更することができる。例えば、待ち時間を短くすると、より近くの障害物からの反射波しか検知しなくなるので、検知有効エリアが狭くなることになる。一方、待ち時間を長くすると、より遠くの障害物からの反射波を検知するようになるので、検知有効エリアが広くなることになる。よって、障害物検知センサ1が請求項の測定範囲移動部に相当する。
【0031】
なお、本実施形態では、例えば自車両の前方向、後ろ方向、左方向、右方向、右斜め前方向、右斜め後ろ方向、左斜め前方向、および左斜め後ろ方向といった自車両の周囲の全方向について障害物検知センサ1を設け、上述の各方向に探査波を送信可能となっているものとして以降の説明を続ける。
【0032】
障害物位置演算装置2は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコン)を主体として構成され、障害物検知センサ1から入力されたセンサ信号(つまり、障害物検知センサ1の検知結果)に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、自車両に対する障害物の方向や距離といった位置を特定する。よって、障害物検知センサ1および障害物位置演算装置2が請求項の障害物検出装置に相当する。
【0033】
詳しくは、障害物位置演算装置2は、探査波の送波のタイミングとその探査波の反射波の受信のタイミングとのずれをもとに障害物までの距離を算出したり、複数の超音波ソナーの各センサ信号から算出される距離のデータから、三角測量によって自車両に対する障害物の方向を算出したりする。また、障害物位置演算装置2は、他の周知の方法を用いて自車両に対する障害物の方向や距離を算出する構成としてもよい。
【0034】
なお、障害物検知センサ1として撮像装置を用いる構成とした場合には、障害物位置演算装置2は、撮像した画像をもとに周知の画像認識処理等によって自車両に対する障害物の方向を検知する構成とすればよい。また、撮像した画像をもとに自車両と障害物との間の距離を推定や算出したりすることが可能である場合には、撮像した画像をもとに自車両と障害物との間の距離を検知する構成とすればよい。
【0035】
提示制御装置3は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなるマイコンを主体として構成され、障害物位置演算装置2から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することでHMIデバイス4の後述する触覚提示装置43の制御を実行する。
【0036】
HMIデバイス4は、操作部41、変位センサ42、および触覚提示装置43を備えており、ドライバや同乗者などの自車両の乗員が手で操作する自車両の装備品に、乗員が当該装備品を操作しながら触れられるように設けられている。なお、HMIデバイス4が請求項の操作装置に相当する。なお、HMIデバイス4の設置場所については後に詳述する。
【0037】
ここで、HMIデバイス4の構成の概略について図2を用いて説明を行う。なお、図2は、HMIデバイス4の操作部41の構成の概略を説明するための模式図である。図2で示すように、操作部41を構成する部品として、固定部品Aと可動部品Bとが存在する。固定部品Aは上述した自車両の装備品に固定されるものである。本実施形態では、固定部品Aは例えば自車両のステアリングホイールであるものとして以降の説明を続ける。また、可動部品Bは、固定部品Aに対して変位させることができるようになっている。
【0038】
詳しくは、可動部品Bは、自車両の前後方向に対応する軸(以下、前後軸)と自車両の左右方向に対応する軸(以下、左右軸)とのお互い直交する2軸で定められる平面上の全方向に所定の範囲だけ変位することができるようになっている。なお、本実施形態では、前後軸はステアリングホイールが正位置にある場合のホイール面上の上下方向の軸(以下、Y軸)であるものとし、左右軸はステアリングホイールが正位置にある場合のホイール面上の左右方向の軸(以下、X軸)であるものとする。また、ここで言うところの所定の範囲とは、任意に設定可能な範囲である。
【0039】
さらに、本実施形態では、固定部品Aと可動部品Bとの間に、X軸方向に沿ったスライド方向をもつリニアスライダとY軸方向に沿ったスライド方向をもつリニアスライダとを組み合わせて設けることによって、上記ホイール面上の全方向に変位することができるようになっている。なお、本実施形態では、例えば超音波リニアモータによってテーブルをガイドに沿ってスライドさせる小型のリニアスライダを用いるものとする。
【0040】
ここで、図3を用いてこの構成について説明を行う。なお、図3は、HMIデバイス4の概略的な構成の一例を示す図である。また、図3では、便宜上、固定部品Aおよび可動部品Bについては、一部のみを示している。図3に示すように、本実施形態では、固定部品Aと可動部品Bとの間に、X軸方向に沿ったスライド方向をもつ周知のリニアスライダDとY軸方向に沿ったスライド方向をもつ周知のリニアスライダEとが設けられている。
【0041】
具体的には、2つのリニアスライダDが固定部品Aの表面に取り付けられており、その2つのリニアスライダDの上層に、2つのリニアスライダEが取り付けられた中間部品Cが積層されており、2つのリニアスライダDと2つのリニアスライダEとが、中間部品Cを間に挟んで積層されている。なお、2つのリニアスライダDと2つのリニアスライダEとは、図3に示すように格子状に組み合わされることとなる。また、2つのリニアスライダEの上層に可動部品Bが積層されている。なお、リニアスライダDのテーブルが中間部品Cに固定されており、リニアスライダEのテーブルが可動部品Bに固定されているものとする。
【0042】
以上の構成により、可動部品BはリニアスライダDのスライド方向(つまり、X軸方向)とリニアスライダEのスライド方向(つまり、Y軸方向)との両方を合成した方向に固定部品Aに対してスライドさせることが可能となっている。よって、以上の構成により、乗員の操作によって加えられる外力に応じて、可動部品Bが固定部品Aに対してホイール面上の全方向に変位可能となっている。
【0043】
さらに、HMIデバイス4は、前述したように変位センサ42を備えている。この変位センサ42は、可動部品Bの変位量を検知する変位センサであって、検知した変位量の情報をセンサ範囲制御装置5に送る。なお、変位センサ42が請求項の変位検出部に相当する。本実施形態では、例えば2つのリニアスライダDのうちの一方、および2つのリニアスライダEのうちの一方について、それぞれ変位センサ42を設けており、X軸方向とY軸方向とのそれぞれについてのリニアスライダの変位量(つまり、スライド量)を検知するものとする。
【0044】
また、HMIデバイス4は、それぞれ検知する変位の方向が違う上述の複数の変位センサ42の検知結果(つまり、X軸方向とY軸方向とのそれぞれについてのリニアスライダの変位量)をもとに、可動部品Bの変位方向を検知する。なお、X軸方向についてのリニアスライダの変位量とY軸方についてのリニアスライダの変位量との両方をもとに、可動部品Bの変位方向を求めることができる。よって、HMIデバイス4は、ホイール面上の全方向について、可動部品Bの変位方向および変位量を検知可能となっている。
【0045】
なお、変位センサ42は、対象物の移動量(つまり、変位量)を検知する周知の変位センサであって、光、磁界、音波などを利用した非接触式の変位センサを用いる構成としてもよいし、接触式の変位センサを用いる構成としてもよい。また、変位センサ42は、可動部品Bの絶対変位量を検知する構成であってもよいし、固定部品Aに対する可動部品Bの相対変位量を検知する構成であってもよい。さらに、変位センサ42は、可動部品Bの変位量を検知可能な位置であれば、固定部品Aに設けられていてもよいし、可動部品Bに設けられていてもよいし、可動部品Bと固定部品Aとの間に設けられていてもよい。
【0046】
また、前述の実施形態では、変位センサ42をリニアスライダD、Eのそれぞれに設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1つの変位センサ42で可動部品Bの変位量と変位方向との両方を検知することができる場合には、必ずしも変位方向の検知のために複数の変位センサ42を用いる必要はない。
【0047】
さらに、HMIデバイス4は、前述したように触覚提示装置43を備えている。触覚提示装置43は、提示制御装置3の指示に従い、物理的変位を起こすアクチュエータを駆動するものである。そして、このアクチュエータにより生じる機械的刺激を自車両の乗員に与え、この機械的刺激によって、障害物位置演算装置2で特定した障害物の位置の情報を提示するものである。なお、提示制御装置3および触覚提示装置43が請求項の提示装置に相当する。本実施形態では、アクチュエータとしても機能するリニアスライダDやリニアスライダEをスライドさせることによって、可動部品Bをホイール面上の所定の方向に所定量ずらし、可動部品Bの操作に対する抵抗力を発生させ、障害物位置演算装置2で特定した障害物の位置の情報を提示する。
【0048】
なお、可動部品Bは前述したように、リニアスライダDのスライド方向とリニアスライダEのスライド方向との両方を合成した方向に固定部品Aに対してスライドさせることが可能となっているため、固定部品Aに対してホイール面上の全方向にずらすことが可能となっている。
【0049】
ここで、提示制御装置3の指示に従ったHMIデバイス4での障害物の位置の情報の提示の処理の詳細について説明を行う。まず、提示制御装置3では、障害物位置演算装置2で特定した障害物の位置の情報を取得する。そして、提示制御装置3では、障害物位置演算装置2で特定した障害物の方向や距離に応じて、リニアスライダDおよびリニアスライダEをスライドさせる量(変位量)を決定する。
【0050】
例えば、提示制御装置3は、障害物の距離が近いほど変位量を大きくし、可動部品Bの操作に対する抵抗力を大きくさせて、より差し迫ったような感覚を乗員に生じさせるようにする。また、前述したようにリニアスライダDのスライド方向(つまり、X軸方向)が自車両の左右方向に対応し、リニアスライダEのスライド方向(つまり、Y軸方向)が自車両の前後方向に対応しているので、提示制御装置3は、リニアスライダDのスライド量とリニアスライダEのスライド量との割合を変化させることで、障害物の方向に応じた方向から上記抵抗力が加わるようにする。
【0051】
一例としては、障害物の方向が自車両の真後ろであった場合には、リニアスライダDのスライド量は0と決定し、リニアスライダEのY軸方向上側に向けてのスライド量のみを決定することにより、可動部品Bにおいてホイール面上の下方向から抵抗力が加わるようにする。また、障害物の方向が自車両の右斜め45度後方であった場合には、リニアスライダDのX軸方向左側に向けてスライド量とリニアスライダEのY軸方向上側に向けてのスライド量との割合を同じ値に決定することにより、可動部品Bにおいてホイール面上の右斜め45度下方向から抵抗力が加わるようにする。
【0052】
なお、前述の実施形態では、リニアスライダD、Eのスライド量(つまり、可動部品Bの操作に対する抵抗力の大きさ)によって、障害物位置演算装置2で特定した障害物の距離を表現する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、リニアスライダD、Eを往復してスライドさせる往復運動の周期の長さ(つまり、可動部品Bの操作に対する抵抗力の発生頻度)によって、障害物位置演算装置2で特定した障害物の距離を表現する構成としてもよい。この場合には、障害物の距離が近いほど往復運動の周期を短くし、可動部品Bの操作に対する抵抗力の発生頻度を高くさせて、より差し迫ったような感覚を乗員に生じさせるようにすればよい。
【0053】
また、前述の実施形態では、触覚提示装置43としてリニアスライダを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、他のスライドテーブルを用いる構成としてもよい。さらに、触覚提示装置43として、モータやソレノイド等のアクチュエータを利用し、可動部品Bにおいて抵抗力以外の振動等の操作反力を生じさせる構成としてもよい。
【0054】
例えば、触覚提示装置43は、モータやソレノイドによって生じる振動を利用して障害物の位置の情報を提示する場合には、周知のモータ振動子やソレノイド振動子といった振動子を、可動部品Bの複数の変位方向について設ける構成とすればよい。そして、表現したい方向に応じた振動子によって可動部品Bを振動させ、この振動を可動部品Bに触れている乗員の手に伝達することにより、この振動子の存在する方向を振動源として感じさせ、障害物の方向の情報を乗員に提示する構成とすればよい。
【0055】
なお、お互いが間隔をもって配置されている2つの振動子の各々の振動の大きさの割合を変化させることにより、この2つの振動子に挟まれた方向であって上記割合に応じた方向を振動源として乗員に感じさせ、振動子が存在する方向以外も表現可能とする構成としてもよい。
【0056】
また、障害物の距離の情報を乗員に提示する場合には、障害物の距離が近いほど振動子の振動を大きくすることによって距離を表現する構成としてもよいし、障害物の距離が近いほど振動子の振動振の周期を短くすることによって距離を表現する構成としてもよい。
【0057】
なお、前述の実施形態では、可動部品Bをホイール面上の全方向に変位することができるようになっている構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、可動部品Bを変位できる方向がホイール面上の所定の方向に限定されている構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定の方向とは、ホイール面上の全方向のうちの一部の方向であって任意に設定可能な方向であり、一方向であってもよいし、複数方向であってもよい。また、可動部品Bを変位できる方向がホイール面上の所定の方向に限定されている構成とした場合には、触覚提示装置43による障害物の方向の情報の提示については、その所定の方向に限定されることになる。
【0058】
また、HMIデバイス4は、ステアリングホイールの所謂10時10分の位置といったような一般的な握り位置を中心とした領域にのみ設ける構成としてもよいし、他の領域に設ける構成としてもよい。
【0059】
さらに、HMIデバイス4において、可動部品Bの機能を持つ部品は必ずしも1つである必要はない。例えば、図4に示すように、HMIデバイス4が設けられる自車両の装備品がステアリングホイール(ハンドル)である場合には、左右1つずつの可動部品B(図4の可動部品B1、B2参照)がホイール部に配置され、左手と右手とのそれぞれで操作することが可能となっている構成としてもよい。なお、場合によって可動部品Bが3つ以上となる構成としても構わない。また、可動部品Bを複数用いる構成とした場合には、各可動部品Bの変位をそれぞれ検出するのに必要な数の変位センサを用いる構成とすればよいし、各可動部品Bについて操作反力を生じさせるのに必要な数の触覚提示装置43を用いる構成とすればよい。
【0060】
なお、本実施形態では、HMIデバイス4が設けられる自車両の装備品としてステアリングホイールを一例として挙げたが、必ずしもこれに限らない。HMIデバイス4は、乗員が手で操作する自車両の装備品に設けられる構成であればよく、例えばステアリングホイールの前面に設けられたステアリングスイッチ(図5参照)、ステアリングホイールの後面に設けられたステアリングスイッチ(図6参照)、センターコンソール部の操作デバイス(図7参照)、シフトノブ(図8参照)等に設けられる構成としてもよい。
【0061】
図1に戻って、センサ範囲制御装置5は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなるマイコンを主体として構成され、HMIデバイス4の変位センサ42から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで障害物検知センサ1の検知有効エリアを移動させる制御を実行する。
【0062】
詳しくは、センサ範囲制御装置5は、変位センサ42で検知した可動部品Bの変位方向および変位量に従って検知有効エリアを移動させる。よって、センサ範囲制御装置5が請求項の測定範囲制御装置に相当する。前述したように、リニアスライダDのスライド方向(つまり、X軸方向)が自車両の左右方向に対応し、リニアスライダEのスライド方向(つまり、Y軸方向)が自車両の前後方向に対応しているので、可動部品Bの上下方向の変位に従って自車両の前後方向への検知有効エリアの移動が行われ、可動部品Bの左右方向の変位に従って自車両の左右方向への検知有効エリアの移動が行われる。
【0063】
一例としては、可動部品Bの変位方向が真下であった場合には、自車両の後ろ方向についての障害物検知センサ1の検知有効エリアを変位センサ42で検知した可動部品Bの変位量に応じた範囲だけ広げるとともに、自車両の前方向についての障害物検知センサ1の検知有効エリアを変位センサ42で検知した可動部品Bの変位量に応じた範囲だけ狭めるように、各障害物検知センサ1の待ち時間の設定を変更することによって検知有効エリアを移動させる。
【0064】
また、可動部品Bの変位方向が右斜め45度下方であった場合には、自車両の右方向、右斜め後ろ方向、および後ろ方向についての障害物検知センサ1の検知有効エリアを変位センサ42で検知した可動部品Bの変位量に応じた範囲だけ広げるとともに、自車両の左方向、左斜め前方向、および前方向についての障害物検知センサ1の検知有効エリアを変位センサ42で検知した可動部品Bの変位量に応じた範囲だけ狭めるように、各障害物検知センサ1の待ち時間の設定を変更することによって検知有効エリアを移動させる。
【0065】
なお、可動部品Bの変位量に応じて検知有効エリアを移動させる量は、可動部品Bの変位量が大きくなるほど大きくする構成とすればよく、その値については任意に設定可能なものとする。
【0066】
また、変位センサ42で検知した可動部品Bの変位方向および変位量に従って検知有効エリアを移動させる場合に、自車両の走行状況や自車両の周囲の環境の情報といった車両関連情報に応じて検知有効エリアを移動させる量を補正する構成としてもよい。この場合、センサ範囲制御装置5は、自車両の走行状況の情報については、例えば図示しない車速センサで検知された車速の情報等を取得する構成とすればよい。また、自車両の周囲の環境の情報については、図示しない車載ナビゲーション装置がVICS(登録商標)センタから取得した天候や周辺の道路状況の情報等を取得したり、図示しない計時手段をもとに判別した昼夜の情報等を取得したりする構成とすればよい。よって、センサ範囲制御装置5が請求項の車両関連情報取得部に相当する。また、自車両の走行状況の情報が請求項の運転情報に相当し、自車両の周囲の環境の情報が請求項の環境情報に相当する。
【0067】
そして、センサ範囲制御装置5は、例えば、車速が速くなるほど検知有効エリアを移動させる量(以下、移動量)を大きくする補正をしたり、夜や雨天や見通しの悪い道路状況等の周辺の見通しが悪い環境になるほど移動量を大きくする補正をしたりするなど、状況に応じて移動量を調整する構成とすればよい。
【0068】
なお、前述の実施形態では、測距センサとしての各障害物検知センサ1の待ち時間の設定を変更することによって検知有効エリアを移動させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、各障害物検知センサ1で検知する障害物について、自車両からの距離が所定の閾値以下のものに限って特定を行う処理を障害物位置演算装置2が行う構成である場合には、各障害物検知センサ1についての上記所定の閾値の値の設定を障害物位置演算装置2が変更することによって検知有効エリアを移動させる構成としてもよい。
【0069】
また、障害物検知センサ1として撮像装置を用いる場合であって、撮像装置で撮像した画像の一部の領域を切り出した範囲内において障害物を特定する処理を障害物位置演算装置2が行う構成である場合には、各障害物検知センサ1についての上記切り出しを行う領域を障害物位置演算装置2がずらすことによって検知有効エリアを移動させる構成としてもよい。なお、これらの場合には、障害物位置演算装置2が請求項の測定範囲移動部に相当することになる。
【0070】
さらに、障害物検知センサ1として撮像装置を用いる場合であって、モータ等の駆動手段でこの撮像装置の撮像方向や焦点距離を変更可能な構成である場合には、各障害物検知センサ1についての撮像方向や焦点距離を変更することによって検知有効エリアを移動させる構成としてもよい。
【0071】
続いて、図9(a)〜図9(c)を用いて、障害物探索システム100の作動例を示す。なお、図9(a)〜図9(c)は、障害物探索システム100の作動例を説明するための模式図である。なお、ここでは、HMIデバイス4を操作する乗員は自車両のドライバであるものとして説明を行う。また、HMIデバイス4は、図3で示したようにリニアスライダを利用するものとして説明を行う。
【0072】
まず、ドライバが例えば自車両の左斜め前方向に存在する障害物の位置(つまり、方向および距離)を特定したい場合には、図9(a)に示すようにHMIデバイス4の可動部品Bを、特定したい方向および距離の分だけずらす。なお、図9(a)中の破線部分はずらす前の可動部品Bの位置を表しており、黒塗りの矢印は可動部品Bをずらす方向を表している。
【0073】
ドライバが可動部品Bをホイール面上の左上方向にずらすと、その可動部品Bの変位(つまり、変位方向および変位量)は変位センサ42によって検知される。そして、その変位方向および変位量に従って、センサ範囲制御装置5が障害物検知センサ1の検知有効エリアを図9(b)に示すように自車両に対して左斜め前に移動させる。なお、図9(b)中のFで示す破線部分は移動前の検知有効エリアの範囲を表しており、Gで示す実線部分は移動後の検知有効エリアの範囲を表しており、Hが自車両を表している。また、黒塗りの矢印は検知有効エリアが移動する方向を表しており、白抜きの矢印は障害物が移動後の検知有効エリアの範囲にかかってくる方向を表している。
【0074】
移動後の検知有効エリアの範囲にかかった自車両の左斜め前方向の障害物は、障害物検知センサ1および障害物位置演算装置2によって、方向および距離が特定される。続いて、特定されたこの方向および距離に従って、提示制御装置3の指示により触覚提示装置43が、図9(c)に示すようにホイール面上の左上方向から距離に応じた抵抗力が加わるように可動部品Bをスライドさせる。なお、図9(c)中の破線部分はスライドする前の可動部品Bの位置を表しており、白抜きの矢印は抵抗力が加わる方向を表している。
【0075】
このように、障害物探索システム100では、ドライバが方向入力操作を行う操作部41の可動部品Bに、障害物の方向および距離に応じた操作反力を発生させる。そして、ドライバは、この操作反力による機械的刺激を受けることによって、触覚を介して障害物の具体的な位置の提示を受ける。
【0076】
以上の構成によれば、自車両の乗員から受け付けた方向入力操作による可動部品Bの変位を検出し、検出した変位に応じて検知有効エリアを移動させるので、乗員の意図する方向に検知有効エリアを移動させ、障害物を検出することができる。よって、乗員が自車両周辺の障害物の存在を能動的に検索し、その結果をもとに乗員が自車両と障害物との距離感を把握することが可能になる。
【0077】
また、以上の構成によれば、触覚提示装置43から自車両の乗員の触覚を介して障害物の方向や距離の情報を提示するので、乗員がミラーや目視で障害物を確認しながらでも、自車両に対するその障害物の方向や距離の情報の提示を受けて自車両と障害物との距離感をより詳しく把握することができる。つまり、乗員がミラーや目視で障害物を確認しながら自車両と障害物との距離感をより詳しく把握することができる
さらに、以上の構成によれば、触覚提示装置43が、方向入力操作を行う操作部41に操作反力を発生させることによって障害物の方向や距離に応じた提示を行うので、操作部41で方向入力操作を行って検知有効エリアを移動させながら、操作部41に発生する操作反力を頼りに、検出した障害物の方向および距離を知ることが可能になる。よって、乗員は、操作部41で方向入力操作を行って検知有効エリアを移動させる工程と検出した障害物の方向および距離の提示を受ける工程との一連の工程の繰り返しによって、障害物との距離感をもとに自車両の大きさを正確に把握することが容易にできるようになる。そして、これらの結果、乗員が自車両と障害物との位置関係を正確に把握できるようにすることを支援することができる。
【0078】
また、以上の構成によれば、乗員の意図する方向に検知有効エリアを移動させ、障害物を検知することができるので、乗員が既に気付いていて検知の必要のない障害物の存在する領域を外すように検知有効エリアを移動させ、不必要な障害物の検知を低減することも可能になる。
【0079】
さらに、以上の構成によれば、操作部41および触覚提示装置43の両方が、乗員が手で操作する自車両の装備品に設けられているとともに、乗員がその装備品を操作しながら触ることができるように設けられているので、乗員がその装備品を操作しながらでも、検知有効エリアを移動させるとともに障害物位置演算装置2で特定した障害物の位置の情報の提示を受けることができ、利便性が向上する。
【0080】
なお、前述の実施形態では、障害物位置演算装置2とセンサ範囲制御装置5とを別体として設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、障害物位置演算装置2とセンサ範囲制御装置5とを一つのECUとして設けるなど、一つの部材として設ける構成としてもよい。
【0081】
また、前述の実施形態では、操作部41と触覚提示装置43とが一体となった構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作部41と触覚提示装置43とが別々の場所に設けられる構成としてもよい。
【0082】
さらに、前述の実施形態では、触覚提示装置43から自車両の乗員の触覚を介して障害物の方向や距離の情報を提示する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、音声出力装置から出力される音声や表示装置に表示される画像等によって障害物の方向や距離の情報を提示する構成としてもよい。
【0083】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 障害物検知センサ(障害物検出装置、測定範囲移動部)、2 障害物位置演算装置(障害物検出装置、測定範囲移動部)、3 提示制御装置(提示装置)、4 HMIデバイス(操作装置)、5 センサ範囲制御装置(測定範囲制御装置、車両関連情報取得部)、41 操作部、42 変位センサ(変位検出部)、43 触覚提示装置(提示装置)、100 障害物探索システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるとともに、
設定された測定範囲内に存在する障害物の位置を特定する障害物検出装置と、
前記障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を提示する提示装置と、を含む障害物探索システムであって、
前記障害物検出装置は、前記測定範囲を移動させる測定範囲移動部を備え、
前記車両の乗員から方向入力操作を受け付ける操作部と、前記方向入力操作による前記操作部の変位を検出する変位検出部とを備える操作装置と、
前記変位検出部で検出した変位に応じて、前記障害物検出装置の前記測定範囲移動部に前記測定範囲を移動させる測定範囲制御装置と、を含むことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記障害物検出装置は、前記障害物の位置として前記車両に対する前記障害物の方向および距離を特定するものであって、
前記提示装置は、前記障害物の方向および距離に応じた提示を行うことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記提示装置は、前記障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を、前記車両の乗員の触覚を介して提示することを特徴とする障害物探索システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記提示装置および前記操作部は、前記乗員が手で操作する前記車両の装備品に設けられているとともに、前記乗員が前記装備品を操作しながら触ることができるように設けられていることを特徴とする障害物探索システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記障害物検出装置は、前記障害物の位置として前記車両に対する前記障害物の方向および距離を特定するものであって、
前記提示装置は、前記乗員が方向入力操作を行う前記操作部に前記障害物の方向および距離に応じた操作反力を発生させることによって前記障害物の方向および距離に応じた提示を行うことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記提示装置は、前記車両に対する前記障害物の距離が近くなるほど、前記操作反力を発生させる周期を短くすることによって前記障害物の距離に応じた提示を行うことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項7】
請求項5において、
前記提示装置は、前記車両に対する前記障害物の距離が近くなるほど、前記操作反力を大きくすることによって前記障害物の距離に応じた提示を行うことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項において、
前記提示装置および前記操作部は、前記乗員が手で操作する前記車両の装備品としてのステアリングホイール、ステアリングスイッチ、センターコンソール部の操作デバイス、およびシフトノブのうちの少なくともいずれかに設けられていることを特徴とする障害物探索システム。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれか1項において、
前記提示装置は、物理的変位を起こすアクチュエータを利用することで前記車両の乗員に機械的刺激を与え、この機械的刺激によって、前記障害物検出装置で特定した障害物の位置の情報を提示することを特徴とする障害物探索システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記測定範囲制御装置は、
前記車両の運転情報および前記車両の周囲の環境情報のうちの少なくともいずれかの情報である車両関連情報を取得する車両関連情報取得部を備え、
前記車両関連情報取得部で取得した車両関連情報をもとに、前記変位検出部で検出した変位に応じて前記測定範囲移動部に前記測定範囲を移動させる場合の移動量の補正を行うことを特徴とする障害物探索システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項において、
前記障害物検出装置は、1つまたは複数の障害物検知センサを用いることで前記測定範囲内に存在する障害物を検知することを特徴とする障害物探索システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項において、
前記操作部は、前記車両の前後方向に対応する軸と前記車両の左右方向に対応する軸とのお互い直交する2軸で定められる平面上の全方向または所定の方向に、所定の範囲だけ変位することができ、
前記変位検出部は、前記操作部の変位の方向および変位量を、変位センサを用いて検知することで、前記方向入力操作による前記操作部の変位を検出することを特徴とする障害物探索システム。
【請求項13】
請求項12において、
前記操作部は、前記車両の前後方向に対応する軸に沿ったスライド方向をもつスライドテーブルと前記車両の左右方向に対応する軸に沿ったスライド方向をもつスライドテーブルとを組み合わせて用いることによって、前記平面上の全方向に所定の範囲だけ変位することができるものであることを特徴とする障害物探索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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