説明

障害物認識装置

【課題】自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識する障害物認識装置を提供する。
【解決手段】本発明の障害物認識装置は、レーダを介して障害物のレーダ情報を取得するレーダ情報取得手段と、レーダ情報に基づいて障害物を第1障害物と第2障害物とに分類する障害物分類手段と、障害物が第1障害物に分類された場合、レーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物が第2障害物に分類された場合、レーダ情報に基づいて障害物を認識する障害物認識手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両周辺に存在する障害物を認識する障害物認識装置に関し、より特定的には、レーダ情報と画像情報とに基づいて自車両周辺に存在する障害物を認識する障害物認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両と障害物との衝突の危険を察知し、当該衝突を回避するために、自車両周辺の障害物を認識する障害物認識装置が開発されている。そして、このような障害物認識装置では、ミリ波レーダ等によって取得される障害物のレーダ情報と、車載カメラ等によって取得される障害物の画像情報とに基づいて、当該障害物を認識する処理(所謂、フュージョン処理)を行うことが知られている。
【0003】
このようなフュージョン処理によれば、一般的に、ミリ波レーダ等によって取得される障害物のレーダ情報、または車載カメラ等によって取得される障害物の画像情報のみを用いて障害物を認識する処理に比べて、より正確に、障害物の位置および大きさ等の詳細情報を認識することができると考えられている。
【0004】
さらに、特許文献1に記載されている車外監視装置では、レーザレーダによって障害物のレーダ情報を取得し、カメラによって障害物の画像情報を取得している。そして、当該車外監視装置では、自車両の前方方向に対する障害物との距離に応じてレーダ情報と画像情報とを選択して用いることによって、複雑な演算(フュージョン処理)をすることなく、自車両の前方方向に対する障害物を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−121547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の障害物認識装置では、上記レーダ情報によって示される障害物の位置情報と、上記画像情報によって示される障害物の横幅情報とをフュージョン処理する場合、当該位置情報と横幅情報とを誤って対応付けてしまうことがある(誤フュージョン)。すなわち、自車両周辺に存在する障害物の位置および大きさ等の詳細情報を誤って認識してしまう場合がある。
【0007】
例えば、従来の障害物認識装置で自車両が走行する道路に沿って遠方まで設置されたガードレールを認識する場合を想定する。図9は、車載カメラ等によって撮像された自車両周辺画像を示す図である。図9に示すように、従来の障害物認識装置では、自車両の左路側におけるガードレール(ポール)のレーダ情報PXを取得する一方で、当該ガードレールは奥行きがあるため、1つの障害物として画像情報RAを取得する場合がある。すなわち、奥行きのあるガードレールは、実際より大きな横幅WGを有する障害物として認識されてしまう場合がある。このような誤った障害物の横幅情報に基づいて上述のようなフュージョン処理が行われると、ガードレールが自車両の走行車線内にはみ出して存在するものとして、障害物の存在領域が誤って算出されるおそれがある。
【0008】
そして、上記のように従来の障害物認識装置によって障害物が自車両の走行車線内にはみ出して存在すると誤認識された場合、実際には当該誤認識された障害物と自車両とは衝突する危険性がないにも拘わらず、自車両に搭載されたプリクラッシュセーフティシステム(PCS)が作動してしまうことになる。
【0009】
換言すれば、従来の障害物認識装置では、自車両周辺における障害物の位置および大きさ等の詳細情報を、より正確に認識するためにフュージョン処理によって高い処理負荷を費やしているものの、ある場面に応じては、フュージョン処理による誤認識が発生してしまうおそれがある。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識する障害物認識装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の障害物認識装置は、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報と、カメラによって撮像された画像情報とに基づいて、当該障害物を認識する障害物認識装置であって、レーダを介して障害物のレーダ情報を取得するレーダ情報取得手段と、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、障害物を第1障害物と第2障害物とに分類する障害物分類手段と、障害物分類手段によって、障害物が第1障害物に分類された場合、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物分類手段によって、障害物が第2障害物に分類された場合、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識する障害物認識手段とを備える。
かかる構成により、障害物認識手段は、障害物分類手段によって、障害物が第1障害物に分類された場合、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物分類手段によって、障害物が第2障害物に分類された場合、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0012】
また、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する障害物存在領域判定手段を備えてもよい。この場合、好ましい障害物分類手段は、障害物存在領域判定手段によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合、当該障害物を第1障害物に分類し、障害物存在領域判定手段によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合、当該障害物を第2障害物に分類する。
かかる構成により、障害物認識手段は、障害物存在領域判定手段によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合(すなわち、障害物が第1障害物に分類された場合)、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物存在領域判定手段によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合(すなわち、障害物が第2障害物に分類された場合)、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0013】
また、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物か否かを判定する前方道路形状物判定手段を備えてもよい。この場合、好ましい障害物分類手段は、前方道路形状物判定手段によって障害物が前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合、当該障害物を第2障害物に分類し、前方道路形状物判定手段によって障害物が前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合、当該障害物を第1障害物に分類する。
かかる構成により、障害物認識手段は、前方道路形状物判定手段によって障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合(すなわち、障害物が第2障害物に分類された場合)、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識し、前方道路形状物判定手段によって障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合(すなわち、障害物が第1障害物に分類された場合)、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0014】
好ましい障害物存在領域判定手段は、自車両が走行する予想軌跡を推定する予想軌跡推定手段を含み、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と、予想軌跡推定手段によって推定された予想軌跡とに基づいて、障害物が当該予想軌跡から所定の範囲であるか否かを判定することを特徴とする。
かかる構成により、予想軌跡推定手段は、自車両が走行する予想軌跡を推定し、障害物存在領域判定手段は、レーダ情報と予想軌跡とに基づいて障害物が当該予想軌跡から所定の範囲であるか否かを判定するため、当該障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かをより正確に判定することができる。
【0015】
好ましい前方道路形状物判定手段は、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、静止物の情報を抽出する静止物情報抽出手段と、静止物情報抽出手段によって抽出された静止物の情報に基づいて、自車両の進行方向前方の道路形状を推定する前方道路形状推定手段とを含み、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と、前方道路形状推定手段によって推定された前方道路形状とに基づいて、障害物が当該前方道路形状を構成する構造物か否かを判定することを特徴とする。
かかる構成により、静止物情報抽出手段は、静止物の情報を抽出し、前方道路形状推定手段は、静止物に基づいて前方道路形状を推定し、前方道路形状物判定手段は、レーダ情報と推定された前方道路形状とに基づいて障害物が当該前方道路形状を構成する構造物であるか否かをより正確に判定することができる。
【0016】
また、好ましい障害物存在領域判定手段は、自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または自車両の操作状態を示す操作状態情報を取得する自車両情報取得手段を、さらに含み、予想軌跡推定手段は、自車両情報取得手段によって取得された走行状態情報および/または操作状態情報に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定することを特徴とする。
かかる構成により、予想軌跡推定手段は、自車両情報取得手段によって取得された走行状態情報および/または操作状態情報に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定するため、自車両状況等のシチュエーションに応じて、より正確に予想軌跡を推定することができる。
【0017】
また、好ましい障害物存在領域判定手段は、自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/またはレーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定する走行道路形状推定手段を、さらに含み、予想軌跡推定手段は、走行道路形状推定手段によって推定された走行道路形状に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定することを特徴とする。
かかる構成により、予想軌跡推定手段は、走行道路形状推定手段によって推定された走行道路形状に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定するため、走行道路状況等のシチュエーションに応じて、より正確に予想軌跡を推定することができる。
【0018】
さらに、好ましい障害物認識手段は、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離および/または横位置を認識し、画像情報に基づいて障害物の横位置および/または横幅を認識することを特徴とする。
かかる構成により、障害物認識手段は、レーダ情報および画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。
【0019】
典型的には、自車両の進行方向は、直線道路を走行する自車の進行方向であることを特徴とする。
かかる構成により、直線道路において、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。
【0020】
また、典型的には、自車両の進行方向は、カーブ路を走行する、または走行する予定である自車の進行方向であることを特徴とする。
かかる構成により、カーブ路において、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の障害物認識方法は、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報と、カメラによって撮像された画像情報とに基づいて、当該障害物を認識する障害物認識装置が実行する障害物認識方法であって、レーダを介して障害物のレーダ情報を取得するレーダ情報取得ステップと、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、障害物を第1障害物と第2障害物とに分類する障害物分類ステップと、障害物分類ステップで、障害物が第1障害物に分類された場合、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物分類ステップで、障害物が第2障害物に分類された場合、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識する障害物認識ステップとを含む。
かかる構成により、障害物認識ステップでは、障害物分類ステップで、障害物が第1障害物に分類された場合、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物分類ステップで、障害物が第2障害物に分類された場合、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0022】
また、本発明の障害物認識方法は、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する障害物存在領域判定ステップを備えてもよい。この場合、好ましい障害物分類ステップでは、障害物存在領域判定ステップで障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合、当該障害物を第1障害物に分類し、障害物存在領域判定ステップで障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合、当該障害物を第2障害物に分類する。
かかる構成により、障害物認識ステップでは、障害物存在領域判定ステップで障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合(すなわち、障害物が第1障害物に分類された場合)、レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識し、障害物存在領域判定ステップで障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合(すなわち、障害物が第2障害物に分類された場合)、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0023】
また、本発明の障害物認識方法は、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物か否かを判定する前方道路形状物判定ステップを備えてもよい。この場合、好ましい障害物分類ステップは、前方道路形状物判定ステップで障害物が前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合、当該障害物を第2障害物に分類し、前方道路形状物判定ステップで障害物が前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合、当該障害物を第1障害物に分類する。
かかる構成により、障害物認識ステップでは、前方道路形状物判定ステップで障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合(すなわち、障害物が第2障害物に分類された場合)、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識し、前方道路形状物判定ステップで障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合(すなわち、障害物が第1障害物に分類された場合)、レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識するため、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができ、さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、上述した本発明の障害物認識装置の各構成が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与える障害物認識方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
上述のように、本発明の障害物認識装置によれば、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラによって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る障害物認識装置100の概略構成を示す機能ブロック図
【図2】本発明の一実施形態に係る障害物認識装置100が実行する障害物認識方法200の処理の流れを示すフローチャート
【図3】自車両が直線道路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図
【図4】障害物存在領域判定ステップS230の詳細な処理の流れを示すフローチャート
【図5】横位置X1および横位置X2と、自車両の進行方向範囲との関係を示す図
【図6】横位置X2で示される障害物が、自車両の前を走行する先行車両、または停止中の車両である状況を示す図
【図7】自車両がカーブ路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図
【図8】横位置X1および横位置X2と、自車両の進行方向範囲との関係を示す図
【図9】車載カメラ等によって撮像された自車両周辺画像を示す図
【図10】本発明の一実施形態に係る障害物認識装置101の概略構成を示す機能ブロック図
【図11】本発明の一実施形態に係る障害物認識装置101が実行する障害物認識方法201の処理の流れを示すフローチャート
【図12】自車両が直線道路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第一の実施形態]
以下、本発明の第一の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る障害物認識装置100の概略構成を示す機能ブロック図である。図1において、障害物認識装置100は、レーダ情報取得手段110と、障害物存在領域判定手段120と、障害物認識手段130と、車載カメラ140とを備える。なお、障害物存在領域判定手段120は、自車両情報取得手段121と、走行道路形状推定手段122と、予想軌跡推定手段123とを含む。
【0028】
レーダ情報取得手段110は、レーダを介して自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報を取得する。具体的には、レーダ情報取得手段110は、例えば、自車両に搭載されるレーザレーダおよびミリ波レーダであって、自車両周辺に存在する障害物からの反射波に基づいて、当該障害物のレーダ情報を取得する。
【0029】
障害物存在領域判定手段120は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて、当該障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する。進行方向範囲について、詳細な説明は後述する。
【0030】
より詳細には、障害物存在領域判定手段120における自車両情報取得手段121は、自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または自車両の操作状態を示す操作状態情報を取得する。具体的には、自車両情報取得手段121は、例えば、車速センサ、操舵角センサ、およびヨーレートセンサであって、自車両の走行速度、操舵角、およびヨーレート等を取得する。
【0031】
障害物存在領域判定手段120における走行道路形状推定手段122は、自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/またはレーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定する。具体的には、走行道路形状推定手段122は、例えば、自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、およびGPS(Global Positioning System)によって自車両の現在位置情報に基づいて、当該自車両が走行する走行道路形状を推定する。また、走行道路形状推定手段122は、例えば、自車両に搭載されるレーザレーダおよびミリ波レーダであって、自車両周辺に存在する障害物からの反射波に基づいて、当該障害物のレーダ情報を取得する。そして、走行道路形状推定手段122は、当該障害物を路側物と認識することによって、当該自車両が走行する走行道路形状を推定する。なお、道路形状推定手段122は、上述した地図情報およびレーダ情報の両方に基づいて、当該自車両が走行する走行道路形状を推定しても構わない。
【0032】
障害物存在領域判定手段120における予想軌跡推定手段123は、自車両が走行する予想軌跡を推定する。具体的には、予想軌跡推定手段123は、自車両情報取得手段121によって取得された走行状態情報および/または操作状態情報に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定する。また、予想軌跡推定手段123は、走行道路形状推定手段122によって推定された走行道路形状に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定する。なお、予想軌跡推定手段123は、上述した走行状態情報および/または操作状態情報、および走行道路形状の両方に基づいて、当該自車両が走行する予想軌跡を推定しても構わない。
【0033】
そして、障害物存在領域判定手段120は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と、予想軌跡推定手段123によって推定された予想軌跡とに基づいて、当該障害物が当該予想軌跡から所定の範囲であるか否かを判定する。
【0034】
車載カメラ140は、自車両の車室内に搭載され、自車両周辺を撮影するカメラである。具体的には、車載カメラ140は、例えば、自車両の車室内から進行方向の画像を撮影して、当該撮影された画像情報を取得する。
【0035】
障害物認識手段130は、障害物存在領域判定手段120によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて障害物を認識する。また、障害物認識手段130は、障害物存在領域判定手段120によって障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて障害物を認識する。具体的には、障害物認識手段130は、例えば、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離を認識する。そして、障害物認識手段130は、画像情報に基づいて障害物の横位置および/または横幅を認識する。
【0036】
なお、上述した各機能ブロックは、例えば、障害物認識ECU(Electronic Control Unit)である制御手段(図示せず)によって制御されている。
【0037】
このように、障害物認識装置100は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と車載カメラによって撮像された画像情報とを、自車両周辺に存在する障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かに応じて用いることによって、当該障害物を認識する。
【0038】
次に、本発明の第一の実施形態に係る障害物認識装置100が実行する障害物認識方法について、処理の流れを詳しく説明する。図2は、本発明の第一の実施形態に係る障害物認識装置100が実行する障害物認識方法200の処理の流れを示すフローチャートである。図2において、障害物認識方法200は、レーダ情報取得ステップS210と、障害物横位置情報算出ステップS220と、障害物存在領域判定ステップS230と、画像処理範囲設定ステップS240と、第1の障害物認識ステップS250と、第2の障害物認識ステップS260とを含む。
【0039】
レーダ情報取得ステップS210において、レーダ情報取得手段110は、レーダを介して自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報を取得する。
【0040】
図3は、自車両が直線道路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図である。図3において、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物(実際には、先行車両)、および自車両の左路側の障害物(実際には、ガードレール)からの反射波に基づいて、当該障害物のレーダ情報を取得する。ここで、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物のレーダ情報は、反射位置P1からの反射波に基づいて取得し、自車両の左路側の障害物のレーダ情報は、反射位置P2からの反射波に基づいて取得している。なお、レーダ情報には、自車両と障害物との距離、相対速度、および自車両から見た障害物の方向、位置等が含まれている。
【0041】
障害物横位置情報算出ステップS220において、障害物存在領域判定手段120は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報から、自車両から見た反射位置の横位置を算出する。ここでは、反射位置P1および反射位置P2における自車両から見た横位置を、それぞれ横位置X1および横位置X2とする。
【0042】
障害物存在領域判定ステップS230において、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置に基づいて、障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する。
【0043】
図4は、障害物存在領域判定ステップS230の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。図4において、障害物存在領域判定ステップS230は、自車両情報取得ステップS231と、走行道路形状推定ステップS232と、予想軌跡推定ステップS233と、横位置存在範囲判定ステップS234と、進行方向範囲内判定ステップS235と、進行方向範囲外判定ステップS236とを含む。
【0044】
自車両情報取得ステップS231において、自車両情報取得手段121は、自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または自車両の操作状態を示す操作状態情報を取得する。具体的には、自車両情報取得手段121は、自車両の走行速度、操舵角、およびヨーレート等の自車両の走行状態情報、および/または自車両の操作状態情報を取得する。なお、ここでは、操舵角およびヨーレートが概ね0であって、自車両は直線走行しているものと判定できるものとする。
【0045】
走行道路形状推定ステップS232において、走行道路形状推定手段122は、自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/またはレーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定する。ここでは、ナビゲーション装置に格納されている地図情報およびGPSによって自車両の現在位置情報に基づいて、自車両が走行する走行道路形状を直線道路であると推定するものとする。また、例えば、道路端にガードレール(ポール)が設置されている場合であって、レーダ情報取得ステップS210で複数のガードレールからの反射波に基づいて、自車両が走行する走行道路形状を直線道路であると推定しても構わない。
【0046】
予想軌跡推定ステップS233において、予想軌跡推定手段123は、自車両が走行する予想軌跡を推定する。具体的には、予想軌跡推定手段123は、自車両情報取得ステップS231で取得された自車両の走行状態情報、および/または自車両の操作状態情報に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定する。例えば、操舵角およびヨーレートが概ね0であって、自車両は直線走行しているものと判定し、さらに、自車速が一定速度を保持していれば、自車両は、このまま直線走行を継続すると推定できる。
【0047】
さらに、予想軌跡推定手段123は、走行道路形状推定ステップS232で自車両が走行する走行道路形状を推定した結果に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定しても構わない。また、自車両情報取得ステップS231および走行道路形状推定ステップS232の両ステップを実行しなくても、いずれか一方のステップを実行して、予想軌跡推定手段123は、自車両が走行する予想軌跡を推定しても構わない。
【0048】
横位置存在範囲判定ステップS234において、障害物存在領域判定手段120は、予想軌跡推定ステップS233で推定された予想軌跡に基づいて、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置が、自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する。
【0049】
図5は、横位置X1および横位置X2と、自車両の進行方向範囲との関係を示す図である。自車両は、直線道路を当該道路に沿って直線走行するものとし、予想軌跡推定ステップS233で自車両が走行する予想軌跡500が推定されている。図5において、予想軌跡500を中心にして左に所定距離Wとなる位置に左端境界線510を設定し、予想軌跡500を中心にして右に所定距離Wとなる位置に右端境界線520を設定する。そして、予想軌跡500を中心として、左端境界線510と右端境界線520との範囲内を進行方向範囲530とする。なお、所定距離Wは、自車両の車幅、および自車両が走行する道路幅等を考慮して当該道路を走行していると想定される車両(例えば、大型トラック、および普通自動車など)の車幅に基づいて、設定される。具体的には、進行方向範囲530は、自車両が走行する走行車線幅程度となるように、所定距離Wが設定されても構わない。
【0050】
具体的には、下記の(数1)に示すように、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置Xm(m=1、2、・・・)と、所定距離Wとを比較することによって、横位置Xmが自車両の予想軌跡から所定範囲内か否かを判定する。
|Xm| ≦ W ・・・(数1)
【0051】
ここでは、図5に示すように、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X1について、(数1)を用いると、|X1|≦Wを満たし、進行方向範囲内判定ステップS235の処理に進む(横位置存在範囲判定ステップS234のYes)。一方、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X2について、(数1)を用いると、|X2|≦Wを満たさず、進行方向範囲内判定ステップS236の処理に進む(横位置存在範囲判定ステップS234のNo)。
【0052】
進行方向範囲内判定ステップS235において、障害物存在領域判定手段120は、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X1は、自車両の進行方向範囲530内であると判定する。一方、進行方向範囲外判定ステップS236において、障害物存在領域判定手段120は、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X2は、自車両の進行方向範囲530外であると判定する。
【0053】
このように、障害物存在領域判定ステップS230において、障害物存在領域判定手段120は、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置Xmが、自車両の進行方向範囲か否かを判定している。
【0054】
障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置Xmが、自車両の進行方向範囲であると判定された場合、画像処理範囲設定ステップS240において、障害物認識手段130は、車載カメラ140によって撮像された画像から、当該横位置Xmで示される障害物の画像情報を取得するための画像処理領域を設定する。具体的には、図5に示すように、横位置X1は、自車両の進行方向範囲530内であるため、障害物認識手段130は、当該横位置X1を中心とした画像処理領域540を設定する。ここで、画像処理領域540は、自車両が走行する道路幅等を考慮して当該道路を走行していると想定される車両(例えば、大型トラック、および普通自動車など)の車幅に基づいて、設定される。例えば、画像処理領域540は、自車両が走行する走行車線幅程度、または自車両が走行する道路の車線数および対向車線を考慮した道路幅程度となるように設定されても構わない。
【0055】
第1の障害物認識ステップS250において、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報と、車載カメラ140によって撮像された画像とに基づいて、画像処理範囲設定ステップS240で設定された横位置X1を中心とした画像処理領域540における障害物を認識する。具体的には、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離を認識し、車載カメラ140によって撮像された画像情報に基づいて障害物の横位置および/または横幅を認識する。換言すれば、障害物認識手段130は、横位置X1で示される障害物について、レーダ情報と画像情報とに基づいて、所謂フュージョン処理をすることによって、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を、より正確に認識する。
【0056】
一方、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置Xmが、自車両の進行方向範囲でないと判定された場合、第2の障害物認識ステップS260において、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報のみによって、当該障害物を認識する。具体的には、図5に示すように、横位置X2は、自車両の進行方向範囲530外であるため、障害物認識手段130は、横位置X2で示される障害物について、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離、および相対速度等から当該障害物を認識する。
【0057】
このように、横位置X2で示される障害物は、車載カメラ140によって撮像された画像情報を用いずに、レーダ情報のみに基づいて認識されているため、図9を用いて説明したように、道路側における奥行きのあるガードレールが、自車両が走行する道路にはみ出していると誤認識しない。
【0058】
なお、本実施形態では、横位置X2で示される障害物は、主にガードレールであることを想定して説明しているが、仮に、横位置X2で示される障害物が、自車両の前を走行する先行車両、または停止中の車両である場合について説明する。図6は、横位置X2で示される障害物が、自車両の前を走行する先行車両、または停止中の車両である状況を示す図である。図6において、自車両は、当該自車両の左前方に存在する先行車両からの反射波に基づいて、当該先行車両のレーダ情報を取得する。この場合、レーダ情報取得手段110は、自車両の左前方に存在する先行車両のレーダ情報を反射位置P2からの反射波に基づいて取得するが、当該反射位置P2は、当該先行車両から見て自車両側(先行車両の内側)となる傾向がある。ここでは、当該先行車両の右後方部の端点が反射位置P2となる傾向がある。したがって、自車両は、横位置X2で示される先行車両について、画像情報を用いて認識しなくても、結果として、自車両の進行方向範囲530外に存在する当該横位置X2を回避すれば、自車両と先行車両との衝突は回避できる。
【0059】
以上のように、本発明の第一の実施形態に係る障害物認識装置100および障害物認識方法200によれば、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラ140によって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0060】
なお、第一の実施形態では、自車両周辺に存在する移動物および静止物を障害物として、障害物認識装置100および障害物認識方法200を適用したが、静止物のみを対象として適用しても構わない。換言すれば、移動物(例えば、主に車両等)に対しては、自車両の進行方向範囲内外に拘わらず、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報と、車載カメラ140によって撮像された画像とに基づいて、所謂フュージョン処理によって障害物を認識する。そして、静止物に対しては、当該静止物の横位置が自車両の進行方向範囲内である場合、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報と、車載カメラ140によって撮像された画像とに基づいて、所謂フュージョン処理によって障害物を認識し、当該静止物の横位置が自車両の進行方向範囲外である場合、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報のみに基づいて、障害物を認識する。
【0061】
また、第一の実施形態では、自車両が直線道路走行中である場合について説明したが、本発明の第一の実施形態に係る障害物認識装置100および障害物認識方法200は、自車両がカーブ路走行中である場合においても適用できる。自車両がカーブ路走行時における基本的な処理の流れは、図2および図4に示した処理の流れと同一であるため、各ステップにおける詳細な説明は省略する。
【0062】
図7は、自車両がカーブ路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図である。図7において、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物(実際には、先行車両)、および自車両の左路側の障害物(実際には、ガードレール)からの反射波に基づいて、当該障害物のレーダ情報を取得する(レーダ情報取得ステップS210)。ここで、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物のレーダ情報は、反射位置P1からの反射波に基づいて取得し、自車両の左路側の障害物のレーダ情報は、反射位置P2からの反射波に基づいて取得している。
【0063】
ここでは、自車両情報取得ステップS231で取得された自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または自車両の操作状態を示す操作状態情報に基づいて、自車両はカーブ路を走行しているものと判定できる。
【0064】
走行道路形状推定ステップS232において、走行道路形状推定手段122は、自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/またはレーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定する。ここでは、ナビゲーション装置に格納されている地図情報およびGPSによって自車両の現在位置情報に基づいて、自車両が走行する走行道路形状をカーブ路であると推定するものとする。また、例えば、カーブ路に沿って、道路端にガードレール(ポール)が設置されている場合であって、レーダ情報取得ステップS210で複数のガードレールからの反射波に基づいて、自車両が走行する走行道路形状をカーブ路であると推定しても構わない。
【0065】
予想軌跡推定ステップS233において、予想軌跡推定手段123は、自車両情報取得ステップS231で取得された自車両の走行状態情報、および/または自車両の操作状態情報に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定する。ここでは、例えば、操舵角、ヨーレート、自車速、および減速度等に基づいて、自車両はカーブ路を走行する予想軌跡が推定される。さらに、予想軌跡推定手段123は、走行道路形状推定ステップS232で自車両が走行する走行道路形状を推定した結果に基づいて、自車両が走行する予想軌跡を推定しても構わない。
【0066】
横位置存在範囲判定ステップS234において、障害物存在領域判定手段120は、予想軌跡推定ステップS233で推定された予想軌跡に基づいて、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置が、自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する。
【0067】
図8は、横位置X1および横位置X2と、自車両の進行方向範囲との関係を示す図である。自車両は、カーブ路を走行しているものとし、予想軌跡推定ステップS233で自車両が走行する予想軌跡800が推定されている。図8において、予想軌跡800を中心にして左に所定距離Wとなる位置に左端境界線810を設定し、予想軌跡800を中心にして右に所定距離Wとなる位置に右端境界線820を設定する。そして、予想軌跡800を中心として、左端境界線810と右端境界線820との範囲内を進行方向範囲830とする。
【0068】
ここでは、図8に示すように、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X1について、(数1)を用いると、|X1|≦Wを満たし、進行方向範囲内判定ステップS235の処理に進む(横位置存在範囲判定ステップS234のYes)。一方、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X2について、(数1)を用いると、|X2|≦Wを満たさず、進行方向範囲内判定ステップS236の処理に進む(横位置存在範囲判定ステップS234のNo)。
【0069】
進行方向範囲内判定ステップS235において、障害物存在領域判定手段120は、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X1は、自車両の進行方向範囲830内であると判定する。一方、進行方向範囲外判定ステップS236において、障害物存在領域判定手段120は、障害物横位置情報算出ステップS220で算出された横位置X2は、自車両の進行方向範囲830外であると判定する。
【0070】
図8に示すように、横位置X1は、自車両の進行方向範囲830内であるため、障害物認識手段130は、当該横位置X1を中心とした画像処理領域840を設定する。そして、第1の障害物認識ステップS250において、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報と、車載カメラ140によって撮像された画像とに基づいて、画像処理範囲設定ステップS240で設定された横位置X1を中心とした画像処理領域840における障害物を認識する。
【0071】
一方、横位置X2は、自車両の進行方向範囲830外であるため、障害物認識手段130は、横位置X2で示される障害物について、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離、および相対速度等から当該障害物を認識する。
【0072】
なお、ここでは、自車両がカーブ路を走行中である場合を説明したが、自車両が走行する走行道路形状はその他の道路形状であっても構わない。例えば、自車両がS字カーブ路を走行中の場合、および自車両がカーブ路へ進入する前の直線道路走行中である場合等であっても、走行道路形状推定ステップS232において、走行道路形状推定手段122は、車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/またはレーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定し、予想軌跡推定ステップS233において、予想軌跡推定手段123は、自車両が走行する予想軌跡を推定すれば、上述した効果と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0073】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図1を用いて説明した障害物認識装置100の構成と同一のものについては同一の参照符号を付し、その具体的な説明を省略する。
【0074】
図10は、本発明の第二の実施形態に係る障害物認識装置101の概略構成を示す機能ブロック図である。図10において、障害物認識装置101は、レーダ情報取得手段110と、前方道路形状物判定手段150と、障害物認識手段130と、車載カメラ140とを備える。なお、前方道路形状物判定手段150は、自車両情報取得手段151と、静止物情報抽出手段152と、前方道路形状推定手段153とを含む。
【0075】
一般に、走行する自車両の前方には、例えば先行他車両などの移動構造物や、ガードレール等の路側静止構造物(前方道路形状を構成する構造物)が存在する。前方道路形状物判定手段150は、レーダ情報取得手段110によって取得された障害物を示すレーダ情報に基づいて、当該障害物が自車両の前方道路形状を構成する構造物であるか否かを判定する。
【0076】
より詳細には、前方道路形状物判定手段150における自車両情報取得手段151は、自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または自車両の操作状態を示す操作状態情報を取得する。具体的には、自車両情報取得手段151は、例えば、車速センサ、操舵角センサ、およびヨーレートセンサであって、自車両の走行速度、操舵角、およびヨーレート等を取得する。
【0077】
前方道路形状物判定手段150における静止物情報抽出手段152は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて、静止している障害物(静止物)の情報を抽出する。具体的には、静止物情報抽出手段152は、まず、自車両情報取得手段151が取得した自車両の走行速度Vhと、レーダ情報取得手段110が取得した障害物の相対速度Vrとに基づいて、当該障害物が静止物であるか否かを判定し、静止物と判定した障害物の情報(検出点等)を抽出する。例えば、静止物情報抽出手段152は、自車両の走行速度Vhと障害物の相対速度Vrとの差分の絶対値|Vh−Vr|が所定の値よりも小さいときに、この障害物が静止物であると判定し、当該障害物の検出点等の情報を抽出する。
【0078】
前方道路形状物判定手段150における前方道路形状推定手段153は、自車両の前方の道路形状を推定する。具体的には、前方道路形状推定手段153は、静止物情報抽出手段152によって抽出された静止物の検出点に基づいて、自車両の前方道路形状を推定する。より詳細には、まず、前方道路形状推定手段153は、静止物情報抽出手段152により抽出された複数の静止物の検出点のうち、所定の条件を満たす検出点(例えば、隣接する検出点同士の距離が所定の値以下である検出点)を互いに接続することによって線分を算出する。なお、この際、算出された線分に近接する検出点も当該線分の一部とみなしてもよい。この結果、所定の範囲内にある検出点が1つの線分として算出される。そして、前方道路形状推定手段153は、上記のように算出された複数の線分を、自車両の進行方向等の情報に基づいて、グループに分類し、グループごとに、グループ内の線分に基づいて近似線を算出する。具体的には、前方道路形状推定手段153は、自車両の走行方向等の情報に基づいて、自車両の左前方から走行方向へ延びる線分を左路側のガードレールを示す線分のグループであると判定し、これらの線分に基づいて左路側のガードレールを示す近似線を算出する。同様に、前方道路形状推定手段153は、自車両の右前方から進行方向へ延びる線分を右路側のガードレールを示す線分のグループであると判定し、これらの線分に基づいて右路側のガードレールを示す近似線を算出する。一般的に、ガードレールのような路側静止構造物(静止物)は、自車両が走行する道路に沿って配置され、当該道路と相似した形状を成している。したがって、前方道路形状推定手段153は、上記のようにして検出したガードレール等の路側静止構造物を表す近似線に基づいて前方道路形状を推定することができる。なお、このような前方道路形状を推定する方法は一例に過ぎず、その他公知の技術を用いてもよい。
【0079】
そして、前方道路形状物判定手段150は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と、前方道路形状推定手段153によって推定された前方道路形状とに基づいて、当該障害物が前方道路形状を構成する構造物(例えば、ガードレール)であるか否かを判定する。具体的には、前方道路形状物判定手段150は、レーダ情報取得手段110によって取得された障害物の検出点を示す情報が、前方道路形状の推定に用いられた検出点であるか否かを判定する。なお、上記障害物の検出点が、推定された前方道路形状から所定の範囲内にあれば、前方道路形状を構成する構造物であると判定してもよい。
【0080】
障害物認識手段130は、前方道路形状物判定手段150によって障害物が自車両の前方の道路形状を構成する構造物であると判定された場合、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて当該障害物を認識する。また、障害物認識手段130は、前方道路形状物判定手段150によって障害物が自車両の前方の道路形状物を構成する構造物ではないと判定された場合、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と画像情報とに基づいて当該障害物を認識する。具体的には、障害物認識手段130は、例えば、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離を認識する。そして、障害物認識手段130は、画像情報に基づいて障害物の横位置および/または横幅を認識する。
【0081】
なお、上述した各機能ブロックは、例えば、障害物認識ECU(Electronic Control Unit)である制御手段(図示せず)によって制御されている。
【0082】
このように、障害物認識装置101は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と車載カメラによって撮像された画像情報とを、自車両周辺に存在する障害物が自車両の前方の道路形状を構成する構造物であるか否かに応じて用いることによって、当該障害物を認識する。
【0083】
次に、本発明の第二の実施形態に係る障害物認識装置101が実行する障害物認識方法について、処理の流れを詳しく説明する。なお、以下の説明において、図2を用いて説明した障害物認識方法200と同一のステップについては同一のステップ番号を付し、その具体的な説明を省略する。
【0084】
図11は、本発明の第二の実施形態に係る障害物認識装置101が実行する障害物認識方法201の処理の流れを示すフローチャートである。図11において、障害物認識方法201は、レーダ情報取得ステップS210と、画像情報取得ステップS310と、静止物情報抽出ステップS320と、前方道路形状推定ステップS330と、前方道路形状物判定ステップS340と、第1の障害物認識ステップS250と、第2の障害物認識ステップS260とを含む。
【0085】
図12は、自車両が直線道路走行時において、先行車両および左路側のガードレール(ポール)が存在する状況を示す図である。図12において、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物(実際には、先行車両)、および自車両の左路側の障害物(実際には、ガードレール)からの反射波に基づいて、当該障害物のレーダ情報を取得する。ここで、レーダ情報取得手段110は、自車両の前方に存在する障害物のレーダ情報を、反射位置MP1からの反射波に基づいて取得し、自車両の左路側の障害物のレーダ情報を、反射位置SP1〜SP3からの反射波に基づいて取得している。なお、レーダ情報には、自車両と障害物との距離、相対速度、および自車両から見た障害物の方向、位置等が含まれている。
【0086】
レーダ情報取得ステップS210において、レーダ情報取得手段110は、レーダを介して自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報を取得する。例えば、図12に示すように、レーダ情報取得手段110は、ガードレールの反射位置(検出点)SP1〜SP3、及び先行車両の反射位置(検出点)MP1を検出する。
【0087】
画像情報取得ステップS310において、車載カメラ140は、自車両の車室内から進行方向の画像を撮影して、自車両の前方周辺に存在する障害物の画像情報を取得する。
【0088】
静止物情報抽出ステップS320において、静止物情報抽出手段152は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報から、静止物の情報を抽出する。例えば、図12に示すように、静止物情報抽出手段152は、自車両情報取得手段151が取得した自車両の走行速度Vhと、レーダ情報取得手段110が取得した検出点SP1〜SP3及びMP1における障害物のそれぞれの相対速度Vrとに基づいて、当該障害物が静止物であるか否かを判定する。図12に示す例の場合、静止物情報抽出手段152は、検出点SP1〜SP3の障害物を静止物と判定し、この静止物の情報を抽出する。
【0089】
前方道路形状推定ステップS330において、前方道路形状推定手段153は、静止物情報抽出手段152が抽出した静止物の情報に基づいて前方道路形状を推定する。より具体的には、図12に示すように、静止物として検出された検出点SP1〜SP3を順次接続することによって、左路側のガードレールを示す近似線を算出し、この近似線から左前方の道路形状を推定する。
【0090】
前方道路形状物判定ステップS340において、前方道路形状物判定手段150は、レーダ情報取得手段110によって取得されたレーダ情報と、前方道路形状推定手段153によって推定された前方道路形状とに基づいて、障害物が前方道路形状を構成する構造物であるか否かを判定する。具体的には、前方道路形状物判定手段150は、図12に示すように、レーダによって検出された検出点SP1〜SP3の障害物を、前方道路形状を構成する構造物であると判定し、検出点MP1の障害物を、前方道路形状を構成する構造物ではないと判定する。障害物が、前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合、処理は第2の障害物認識ステップS260に進み、障害物が、前方道路形状物を構成する構造物ではないと判定された場合、処理は第1の障害物認識ステップS250に進む。なお、この実施形態では、道路形状の推定に用いられた障害物(すなわち、検出点SP1〜SP3の障害物)を、前方道路形状を構成する構成物としたが、推定した道路形状の前後及び/又は左右の所定の範囲内にある障害物も、前方道路形状を構成する構造物としてもよい。
【0091】
障害物が前方道路形状物を構成する構造物ではない場合(ステップS340:No)、第1の障害物認識ステップS250において、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報と、画像情報取得ステップS310で取得された画像情報とに基づいて、障害物を認識する。具体的には、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離を認識し、画像情報取得ステップS310で取得された画像情報に基づいて障害物の横位置および/または横幅を認識する。換言すれば、障害物認識手段130は、レーダで検出された障害物が前方道路形状を構成する構造物ではない場合に限って、レーダ情報と画像情報とに基づいて、所謂フュージョン処理をすることによって、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を、より正確に認識する。
【0092】
一方、障害物が前方道路形状物を構成する構造物である場合(ステップS340:Yes)、第2の障害物認識ステップS260において、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報のみによって、当該障害物を認識する。具体的には、障害物認識手段130は、レーダ情報取得ステップS210で取得されたレーダ情報に基づいて自車両と障害物との距離、および相対速度等から当該障害物を認識する。
【0093】
このように、前方道路形状を構成する障害物は、車載カメラ140によって撮像された画像情報を用いずに、レーダ情報のみに基づいて認識されているため、図9を用いて説明したように、道路側における奥行きのあるガードレール(前方道路形状を構成する構造物)が、自車両が走行する道路にはみ出していると誤認識しない。
【0094】
以上のように、本発明の第二の実施形態に係る障害物認識装置101および障害物認識方法201によれば、自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報、および車載カメラ140によって撮像された画像情報を最適に用いながら、当該障害物の位置および大きさ等の詳細情報を正確に認識することができる。さらに、自車両周辺に存在する障害物すべてに対してフュージョン処理を行わないため、当該障害物を認識する処理負荷を軽減させることができる。
【0095】
なお、第二の実施形態では、自車両が直線道路を走行中である場合について説明したが、本発明の一実施形態に係る障害物認識装置101および障害物認識方法201は、自車両がカーブ路を走行中である場合においても適用できる。自車両がカーブ路走行時における基本的な処理の流れは、図11に示した処理の流れと同一であり、カーブ路走行時においては、前方道路形状推定ステップS330において、前方道路形状推定手段153は、静止物として検出された検出点を、自車両の走行方向(カーブ方向)に基づいて、グルーピングし、同一グループにある隣接する検出点を順次接続することによって、左路側のガードレールを示す近似線を算出し、この近似線から左前方の道路形状を推定する。
【0096】
また、第二の実施形態では、左路側のガードレールが前方道路形状を構成する構造物として推定される例を示したが、右路側のガードレールが前方道路形状を構成する構造物として推定される場合も同様である。
【0097】
また、第二の実施形態では、静止物が、前方道路形状を構成する構造物ではなく、前方に存在する停止車両等の場合については言及しなかった。しかし、この場合には、前方道路形状推定手段153は、停止車両を示す検出点を接続した線分を1つのグループに分類し、その線分の方向等から、このグループの線分に基づいて算出した近似線を、停止車両を示す近似線と推定する。したがって、前方道路形状推定手段153は、停止車両(静止物)を、前方道路形状を構成する構造物と判定することはない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、自車両周辺に存在する障害物を認識する障害物認識装置等に適用可能であって、さらに、PCSによる障害物との衝突判断等に有用である。
【符号の説明】
【0099】
100、101 障害物認識装置
110 レーダ情報取得手段
120 障害物存在領域判定手段
121、151 自車両情報取得手段
122 走行道路形状推定手段
123 予想軌跡推定手段
130 障害物認識手段
140 車載カメラ
150 前方道路形状物判定手段
152 静止物情報抽出手段
153 前方道路形状推定手段
500、800 予想軌跡
510、810 左端境界線
520、820 右端境界線
530、830 進行方向範囲
540、840 画像処理領域
X1、X2 横位置
P1、P2 反射位置
W 所定距離
PX レーダ情報
RA 画像情報
WG 横幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報と、カメラによって撮像された画像情報とに基づいて、当該障害物を認識する障害物認識装置であって、
レーダを介して前記障害物のレーダ情報を取得するレーダ情報取得手段と、
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、前記障害物を第1障害物と第2障害物とに分類する障害物分類手段と、
前記障害物分類手段によって、前記障害物が前記第1障害物に分類された場合、前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と前記画像情報とに基づいて前記障害物を認識し、前記障害物分類手段によって前記障害物が前記第2障害物に分類された場合、前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて前記障害物を認識する障害物認識手段とを備える、障害物認識装置。
【請求項2】
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する障害物存在領域判定手段を備え、
前記障害物分類手段は、前記障害物存在領域判定手段によって前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合、当該障害物を前記第1障害物に分類し、前記障害物存在領域判定手段によって前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合、当該障害物を前記第2障害物に分類する、請求項1に記載の障害物認識装置。
【請求項3】
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、前記障害物が自車両の進行方向の前方にある前方道路形状を構成する構造物か否かを判定する前方道路形状物判定手段を備え、
前記障害物分類手段は、前記前方道路形状物判定手段によって前記障害物が前記前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合、当該障害物を前記第2障害物に分類し、前記前方道路形状物判定手段によって前記障害物が前記前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合、当該障害物を前記第1障害物に分類する、請求項1に記載の障害物認識装置。
【請求項4】
前記障害物存在領域判定手段は、
前記自車両が走行する予想軌跡を推定する予想軌跡推定手段を含み、
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と、前記予想軌跡推定手段によって推定された予想軌跡とに基づいて、前記障害物が当該予想軌跡から所定の範囲であるか否かを判定することを特徴とする、請求項2に記載の障害物認識装置。
【請求項5】
前記前方道路形状物判定手段は、
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて、静止物の情報を抽出する静止物情報抽出手段と、
前記静止物情報抽出手段によって抽出された静止物の情報に基づいて、自車両の進行方向前方の道路形状を推定する前方道路形状推定手段とを含み、
前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報と、前記前方道路形状推定手段によって推定された前記前方道路形状とに基づいて、前記障害物が当該前方道路形状を構成する構造物か否かを判定することを特徴とする、請求項3に記載の障害物認識装置。
【請求項6】
前記障害物存在領域判定手段は、前記自車両の走行状態を示す走行状態情報、および/または前記自車両の操作状態を示す操作状態情報を取得する自車両情報取得手段を、さらに含み、
前記予想軌跡推定手段は、前記自車両情報取得手段によって取得された走行状態情報および/または操作状態情報に基づいて、前記自車両が走行する予想軌跡を推定することを特徴とする、請求項4に記載の障害物認識装置。
【請求項7】
前記障害物存在領域判定手段は、前記自車両に搭載されるナビゲーション装置に格納されている地図情報、および/または前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報によって当該自車両が走行する走行道路形状を推定する走行道路形状推定手段を、さらに含み、
前記予想軌跡推定手段は、前記走行道路形状推定手段によって推定された走行道路形状に基づいて、前記自車両が走行する予想軌跡を推定することを特徴とする、請求項4または6に記載の障害物認識装置。
【請求項8】
前記障害物認識手段は、前記レーダ情報取得手段によって取得されたレーダ情報に基づいて前記自車両と前記障害物との距離および/または横位置を認識し、前記画像情報に基づいて前記障害物の横位置および/または横幅を認識することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の障害物認識装置。
【請求項9】
前記自車両の進行方向は、直線道路を走行する自車の進行方向であることを特徴とする、請求項2から8のいずれかに記載の障害物認識装置。
【請求項10】
前記自車両の進行方向は、カーブ路を走行する、または走行する予定である自車の進行方向であることを特徴とする、請求項2から8のいずれかに記載の障害物認識装置。
【請求項11】
自車両周辺に存在する障害物のレーダ情報と、カメラによって撮像された画像情報とに基づいて、当該障害物を認識する障害物認識装置が実行する障害物認識方法であって、
レーダを介して前記障害物のレーダ情報を取得するレーダ情報取得ステップと、
前記レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、前記障害物を第1障害物と第2障害物とに分類する障害物分類ステップと、
前記障害物分類ステップで、前記障害物が前記第1障害物に分類された場合、前記レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報と前記画像情報とに基づいて前記障害物を認識し、前記障害物分類ステップで前記障害物が前記第2障害物に分類された場合、前記レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて前記障害物を認識する障害物認識ステップとを含む、障害物認識方法。
【請求項12】
前記レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在するか否かを判定する障害物存在領域判定ステップを含み、
前記障害物分類ステップでは、前記障害物存在領域判定ステップで前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在すると判定された場合、当該障害物を前記第1障害物に分類し、前記障害物存在領域判定ステップで前記障害物が自車両の進行方向範囲に存在しないと判定された場合、当該障害物を前記第2障害物に分類する、請求項11に記載の障害物認識方法。
【請求項13】
前記レーダ情報取得ステップで取得されたレーダ情報に基づいて、静止物の情報を抽出する静止物情報抽出ステップと、
前記静止物情報抽出ステップで抽出された静止物の情報に基づいて、自車両の進行方向前方の道路形状を推定する前方道路形状推定ステップと、
前記静止物と判定された前記障害物が、前記前方道路形状を構成する構造物か否かを判定する前方道路形状物判定ステップとを含み、
前記障害物分類ステップでは、前記前方道路形状物判定ステップで前記障害物が前記前方道路形状を構成する構造物であると判定された場合、当該障害物を前記第2障害物に分類し、前記前方道路形状物判定ステップで前記障害物が前記前方道路形状を構成する構造物ではないと判定された場合、当該障害物を前記第1障害物に分類する、請求項11に記載の障害物認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−89114(P2012−89114A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200412(P2011−200412)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】