説明

障害解析支援装置、リクエスト処理装置及び障害解析支援方法

【課題】リクエスト処理装置の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができるようにする。
【解決手段】リクエスト処理部100は、複数の論理ブロック#1〜#nを含み、入力したリクエストを処理する。また、リクエスト処理部100は、リクエスト通過情報150を出力する。通過経路検出手段300は、リクエスト処理部100からのリクエスト通過情報150、及び格納対象登録手段200からの格納対象情報250に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路を検出し、通過経路検出情報350を出力する。格納データ生成手段440は、通過経路検出情報350に基づいて格納データを生成し、格納手段410に格納させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の論理ブロックを含むリクエスト処理装置の障害の解析を支援する障害解析支援装置及び障害解析支援方法に関する。また、本発明は、障害解析支援方法を用いたリクエスト処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リクエスト処理装置(例えば、複数の論理ブロックを含む論理LSI)でリクエストのタイムアウト等の障害が発生した場合に、発生した障害の解析を行うことがある。この場合、例えば、トレーサを用いてリクエスト処理装置内の特定の箇所を通過したことを示すリクエスト情報(解析用ログ情報)を格納し、格納したリクエスト情報に基づいて障害を解析することが行われている。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、並列計算機において、プロセッサユニット間のパケットの転送を記録したパケットキューレコードを作成し、通信パケットIDの同一パケットを探索してパケットの通過経路を探索するシステムが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−40224号公報(段落0050−0070、図8−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレーサを用いてリクエスト情報を格納する場合、トレース対象の箇所を通過していない(到達していない)リクエストについてはリクエスト情報として格納することができない。そのため、リクエストがリクエスト処理装置内のトレース対象の箇所を通過していない場合には、トレーサを用いても障害解析を行えないことがある。また、トレーサを用いてもリクエストの通過経路を特定することはできず、特にリクエスト処理装置内でのリクエストのストールやロストを容易に解析できないことがある。従って、トレーサを用いた障害解析を行っても、解析範囲を容易に絞り込むことができず、障害解析に多大な工数がかかってしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載されたシステムをリクエスト処理装置の障害解析を行う場合に適用すれば、障害解析をある程度容易に行えるようにすることができる。しかし、通過経路の探索結果をタイムチャートグラフとして作成するので、通過経路の探索にかかる処理負担及びデータ量が大きい。また、特許文献1に記載されたシステムでは、送信元から受信先への経路が予め一意に定まっている場合を前提としているため、各論理ブロックの処理結果によってリクエストが通過する次の論理ブロックが決まるリクエスト処理装置の障害解析を行う場合には適さない。
【0007】
そこで、本発明は、リクエスト処理装置の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができる障害解析支援装置、リクエスト処理装置及び障害解析支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による障害解析支援装置は、複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援装置であって、リクエスト処理装置に含まれる各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報(例えば、リクエスト通過情報150)に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を検出する通過経路検出手段(例えば、通過経路検出手段300によって実現される)と、通過経路検出手段による検出結果(例えば、通過経路検出情報350)に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報(例えば、格納データ)を格納する通過経路情報格納手段(例えば、解析データ格納手段400によって実現される)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、障害解析支援装置において、通過経路情報格納手段は、通過経路検出手段による検出結果に基づいて通過経路情報を生成する通過経路情報生成手段(例えば、格納データ生成手段440によって実現される)と、通過経路情報生成手段が生成した通過経路情報を格納する格納手段(例えば、格納手段410によって実現される)とを含むものであってもよい。
【0010】
また、障害解析支援装置は、リクエスト処理装置内の経路のうち格納対象の経路を示す格納対象情報(例えば、格納対象登録手段200が格納する登録情報)を登録する格納対象登録手段(例えば、格納対象登録手段200によって実現される)を備え、通過経路検出手段は、格納対象登録手段が登録する格納対象情報に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路のうち、格納対象の経路を検出するものであってもよい。
【0011】
また、障害解析支援装置は、格納する通過経路情報をクリアする対象となるリクエスト処理装置内の位置を示すクリア対象情報(例えば、クリア信号)を格納するクリア対象格納手段(例えば、クリア信号格納手段430によって実現される)を備え、通過経路情報格納手段は、クリア対象格納手段が格納するクリア対象情報に示されるリクエスト処理装置内の位置をリクエストが通過したと判断すると、格納する通過経路情報をクリアするものであってもよい。
【0012】
また、障害解析支援装置は、タイマ(例えば、タイマ450)を備え、通過経路情報格納手段は、タイマからの時刻信号に基づいて、所定の時刻情報を含む通過経路情報を格納するものであってもよい。
【0013】
本発明によるリクエスト処理装置は、複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置であって、各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報を生成するリクエスト通過情報生成手段と、リクエスト通過情報生成手段が生成したリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を検出する通過経路検出手段と、通過経路検出手段による検出結果に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納する通過経路情報格納手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明による障害解析支援方法は、複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援方法であって、リクエスト処理装置に含まれる各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を検出するステップと、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路の検出結果に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を検出する。そして、その検出結果に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納する。そのため、リクエスト処理装置内でリクエストのストールやロスト等の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができる。また、解析範囲を容易に絞り込むことができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができる。従って、リクエスト処理装置の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができる。
【0016】
また、本発明において、タイマからの時刻信号に基づいて所定の時刻情報を含む通過経路情報を格納するように構成すれば、各リクエストをリクエスト処理装置が入力した順番や、リクエスト毎の処理時間を容易に認識することができ、障害解析時の補助情報として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による障害解析支援方法を用いたリクエスト処理装置の構成の一例を示すブロック図である。また、図2は、図1に示すリクエスト処理装置のより詳細な構成の一例を示すブロックである。図1及び図2に示すように、リクエスト処理装置は、リクエスト処理部100、格納対象登録手段200、通過経路検出手段300及び解析データ格納手段400を含む。
【0018】
本実施の形態において、リクエスト処理装置は、具体的には、複数の論理ブロックを含む論理LSIによって実現される。また、本実施の形態において、障害解析支援装置は、リクエスト処理装置に含まれる格納対象登録手段200、通過経路検出手段300及び解析データ格納手段400によって実現される。
【0019】
なお、障害解析支援装置は、リクエスト処理装置とは別の装置として実現されてもよい。例えば、障害解析支援装置は、論理LSIの設計を支援するための設計支援装置であってもよい。この場合、障害解析支援装置は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末によって実現される。
【0020】
リクエスト処理部100は、図1及び図2に示すように、リクエストを処理するための複数の論理ブロック#1〜#nを含み、入力したリクエストを処理する機能を備える。また、リクエスト処理部100は、各論理ブロック#1〜#nをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報150を生成し、通過経路検出手段300に出力(送信)する機能を備える。この場合、リクエスト処理部100は、経路を通過する信号の信号名と、経路を通過したリクエストが有効であるか否かを示すリクエスト有効識別情報と、リクエストを識別するためのリクエストIDとを含むリクエスト通過情報150を生成する。
【0021】
なお、本実施の形態では、リクエスト通過情報150に含まれるリクエスト有効識別情報において、リクエストが有効であるとは、ある時刻においてリクエストが既に通過していることを意味する。また、リクエストが無効であるとは、ある時刻においてリクエストがまだ通過していないことを意味する。
【0022】
格納対象登録手段200は、リクエスト処理部100内容の経路のうち格納対象の経路を示す登録情報を格納する。本実施の形態では、格納対象登録手段200は、各論理ブロック#1〜#nを通過した信号の有効/無効を示す登録情報を格納する。なお、格納対象登録手段200が格納する登録情報において、論理ブロックを通過した信号が有効であるとは、その論理ブロックを通過した信号がデータ格納対象であることを意味する。また、信号が無効であるとは、その論理ブロックを通過した信号がデータ格納対象でないことを意味する。また、格納対象登録手段200が格納する登録情報は、例えば、リクエスト処理装置をリセット(初期化)する際に初期設定される。
【0023】
また、格納対象登録手段200は、格納対象を示す格納対象情報250を通過経路検出手段300に出力(送信)する機能を備える。この場合、格納対象登録手段200は、信号が有効であるか否か(格納対象であるか否か)を示す格納信号有効識別情報と、信号名とを含む格納対象情報250を出力する。
【0024】
通過経路検出手段300は、リクエスト処理部100からリクエスト通過情報150を入力(受信)し、格納対象登録手段200から格納対象情報250を入力(受信)する機能を備える。また、通過経路検出手段300は、入力したリクエスト通過情報150及び格納対象情報250に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路を検出する機能を備える。この場合、通過経路検出手段300は、格納対象情報250に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路のうち、格納対象の経路を検出する。
【0025】
また、通過経路検出手段300は、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路の検出結果を示す通過経路検出情報350を生成する機能を備える。また、通過経路検出手段300は、生成した通過経路検出情報350を解析データ格納手段400に出力(送信)する機能を備える。
【0026】
本実施の形態では、通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150を格納対象情報250を用いてマスク処理を行い、格納対象となる有効な信号名とリクエストIDとを抽出する。そして、通過経路検出手段300は、抽出した信号名及びリクエストIDと、有効識別情報(データ格納対象であるか否かを示す情報)とを含む通過経路検出情報350を生成する。
【0027】
解析データ格納手段400は、図2に示すように、格納手段410、スタート信号格納手段420、クリア信号格納手段430及び格納データ生成手段440を含む。解析データ格納手段400は、通過経路検出手段300による検出結果に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路を示す格納データを格納する機能を備える。
【0028】
スタート信号格納手段420は、格納手段410への新たなデータ格納の対象となるリクエストを受信したことを検出するためのスタート信号を格納する。なお、スタート信号は、例えば、リクエスト処理装置をリセット(初期化)する際に初期設定される。
【0029】
クリア信号格納手段430は、格納手段410に格納する格納データをクリアする対象となるリクエスト処理部100内の位置を示すクリア信号を格納する。本実施の形態では、クリア信号格納手段430は、格納手段410が格納しているデータのうち、クリアの対象となるデータに対応するリクエスト(クリアリクエスト)を受信したことを検出するためのクリア信号を格納する。なお、クリア信号は、例えば、リクエスト処理装置をリセット(初期化)する際に初期設定される。
【0030】
格納データ生成手段440は、通過経路検出手段300による検出結果に基づいて、所定の格納データを生成する機能を備える。本実施の形態では、格納データ生成手段440は、通過経路検出手段300から入力(受信)した通過経路検出情報350と、スタート信号格納手段420が格納するスタート信号と、クリア信号格納手段430が格納するクリア信号とに基づいて、所定の格納データを生成する。また、格納データ生成手段440は、生成した格納データを格納手段410に格納させる機能を備える。
【0031】
格納手段410は、格納データ生成手段440が生成した格納データを格納する。本実施の形態では、格納手段410は、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路をリクエスト単位に含む格納データを格納する。
【0032】
次に、動作について説明する。図3は、障害解析支援装置がリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援処理の一例を示す流れ図である。また、図4は、障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合の各解析データの格納状況を示す説明図である。また、図5は、障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合のタイムチャートである。なお、図5は、クロック毎の各信号状態の変化を示したものに相当する。また、図6及び図7は、障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合の格納手段410の格納状態の例を示す説明図である。
【0033】
本実施の形態では、図4に示すように、リクエスト処理部100は、所定のデータ形式のINPUT信号101をリクエストとして入力(受信)する。また、リクエスト処理部100の各論理ブロック#1〜#n間において、INPUT信号101と同様のデータ形式の信号が入出力される。また、リクエスト処理部100は、INPUT信号101と同様のデータ形式のOUTPUT信号102を出力する。
【0034】
また、図4に示すように、リクエスト処理部100は、INPUT信号101であるSigAや、OUTPUT信号102であるSigH、リクエスト処理部100内部を通過する信号であるSigB〜SigGが各部を通過したことを示すリクエスト通過情報150を出力する。
【0035】
また、格納対象登録手段200には、SigA〜SigHの各信号に対して、データ格納の対象とするか否か(有効とするか否か)を示す有効情報が設定されている。本実施の形態では、図4に示すように、格納対象登録手段200は、SigA,B,D,E,G,Hをデータ格納の対象とし、SigC,Fをデータ格納の対象としない旨の登録情報を格納し、通過経路検出手段300に出力する。
【0036】
スタート信号格納手段420は、リクエスト処理部100のINPUT信号101であるSigAを、スタート信号として格納する。また、クリア信号格納手段430は、リクエスト処理部100のOUTPUT信号102であるSigHをクリア信号として格納する。
【0037】
格納手段410は、図4に示すように、ワード(行)単位で、リクエストIDに対応付けて、リクエストの経路の通過状況を示す経路通過情報を格納する。本実施の形態では、格納手段410は、行番号10から行番号15まで6リクエスト分の格納データを格納する。
【0038】
まず、図5に示す時刻01における動作を説明する。リクエスト処理部100は、新たにリクエスト(INPUT信号101)を入力すると、各論理ブロック#1〜#nを用いてリクエスト処理を実行し、リクエスト通過情報150を出力する。例えば、リクエスト処理部100は、時刻01において、リクエストID#00(RQID=00 )のリクエストを入力(受信)すると、SigAが有効でリクエストIDがRQID=00 であり、SigA以外の信号が無効である旨のリクエスト通過情報150を出力する。
【0039】
通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150を入力(受信)すると(ステップS11)、受信したリクエスト通過情報150と、格納対象登録手段200からの格納対象情報250とに基づいて、リクエスト処理部100内の各信号が有効であるか否かを判断する(ステップS12)。例えば、時刻01において、通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150に含まれるSigAだけを有効と判断する。
【0040】
また、通過経路検出手段300は、各信号の有効/無効の判断結果に基づいて、通過経路検出情報350を生成し、解析データ格納手段400に出力(送信)する(ステップS13)。例えば、時刻01において、通過経路検出手段300は、SigAが有効でリクエストIDがRQID=00 である旨の通過経路検出情報350を出力する。
【0041】
次いで、解析データ格納手段400は、通過経路検出手段300から入力(受信)した通過経路検出情報350に含まれるSigAが、スタート信号格納手段420が格納しているSigAと合致することを検出する。解析データ格納手段400の格納データ生成手段440は、新規のリクエストでありリクエストIDがRQID=00 であるSigAがリクエスト処理部100内を通過した旨の格納データを生成する。そして、格納データ生成手段440は、生成した格納データを格納手段410に格納させる(ステップS14)。
【0042】
ステップS14において、格納データ生成手段440は、新規のリクエストであるので、図6(a)に示すように、格納手段410の空いている行番号10の格納領域に、リクエストID「RQID=00 」及びSigA=1(通過)を含む格納データを格納させる。
【0043】
次に、図5に示す時刻02における動作を説明する。時刻02では有効なリクエストがないので、リクエスト処理部100は、全ての信号(SigA〜SigH)が無効である旨のリクエスト通過情報150を出力する。そのため、通過経路検出手段300は、ステップS11〜ステップS13の処理を実行し、全ての信号が無効である旨の通過経路検出情報350を出力する。そして、ステップS14において、解析データ格納手段400は、新たな格納データを格納手段410に格納する処理を行わないことになる。
【0044】
次に、図5に示す時刻03における動作を説明する。リクエスト処理部100は、時刻03のタイミングで、リクエストID「RQID=01 」のリクエストのINPUT信号101としての入力と、リクエストID「RQID=00 」のリクエストの論理ブロック#1からの出力とを検出し、SigA及びSigBが有効となる。そして、リクエスト処理部100は、SigAが有効でリクエストIDがRQID=01 であり、SigBが有効でリクエストIDがRQID=00 であり、SigA及びSigB以外の信号が無効である旨のリクエスト通過情報150を出力する。
【0045】
通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150を入力(受信)すると(ステップS11)、受信したリクエスト通過情報150と、格納対象登録手段200からの格納対象情報250とに基づいて、リクエスト処理部100内の各信号が有効であるか否かを判断する(ステップS12)。時刻03において、格納対象情報250に基づいてSigAとSigBとが有効であると判断できるので、通過経路検出手段300は、SigAが有効でリクエストIDがRQID=01 であり、SigBが有効でリクエストIDがRQID=00 である旨の通過経路検出情報350を生成し出力する(ステップS13)。
【0046】
次いで、解析データ格納手段400は、通過経路検出手段300から入力(受信)した通過経路検出情報350に含まれるSigAが、スタート信号格納手段420が格納しているSigAと合致することを検出する。格納データ生成手段440は、新規のリクエストでありリクエストIDがRQID=01 であるSigAがリクエスト処理部100内を通過した旨、及びリクエストIDがRQID=00 であるSigBがリクエスト処理部100内を通過した旨の格納データを生成する。そして、格納データ生成手段440は、生成した格納データを格納手段410に格納させる(ステップS14)。
【0047】
ステップS14において、格納データ生成手段440は、リクエストID「RQID=01 」のリクエストが新規のリクエストであるので、図6(b)に示すように、格納手段410の空いている行番号11の格納領域に、リクエストID「RQID=01 」及びSigA=1(通過)を含む格納データを格納させる。また、格納データ生成手段440は、図6(b)に示すように、行番号10の格納領域に、リクエストID「RQID=00 」及びSigB=1(通過)を含む格納データを格納させる。
【0048】
図5に示す時刻04から時刻07まで、以上の処理が繰り返し実行され、格納手段410に各信号のリクエスト処理部100内の通過状況(ログ情報)が随時記録される。
【0049】
次に、図5に示す時刻08における動作を説明する。時刻08において、リクエスト処理部100は、リクエストID「RQID=00 」のリクエストをOUTPUT信号102として出力する。この場合、リクエストID「RQID=00 」のリクエストがSigHで有効となるので、リクエスト処理部100は、SigHが有効でリクエストIDがRQID=00 である旨を含むリクエスト通過情報150を出力する。
【0050】
通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150を入力(受信)すると(ステップS11)、リクエスト通過情報150に含まれるSigHが有効であると判断し(ステップS12)、SigHが有効でリクエストIDがRQID=00 である旨の通過経路検出情報350を生成して出力する(ステップS13)。
【0051】
次いで、解析データ格納手段400は、通過経路検出手段300から入力(受信)した通過経路検出情報350に含まれるSigHが、クリア信号格納手段430が格納しているSigHと合致することを検出する。格納データ生成手段440は、リクエストID「RQID=00 」のリクエストがクリアリクエストであると判断し、格納データ0(クリア用の格納データ。例えば、全て値0を含むデータ)を生成する。そして、格納データ生成手段440は、生成した格納データ0を格納手段410に格納させ(ステップS14)、リクエストID「RQID=00 」のリクエストに対応する格納領域をクリアする。
【0052】
ステップS14において、格納データ生成手段440は、図6(g)に示すように、リクエストID「RQID=00 」のリクエストに対応する行番号10の格納領域に0を格納し、格納領域をクリアする。クリアされ空きとなった行番号10の格納領域は、次の新たなリクエストに対する格納データの格納領域として用いられることになる。
【0053】
以上の処理が繰り返し実行されることによって、リクエスト処理部100が新たに入力したリクエストに対する通過経路の情報(ログ情報)の記録が随時開始され、リクエスト処理部100が出力したリクエストの通過経路の情報が随時クリアされる。
【0054】
次に、図5に示す時刻12においてリクエスト処理部100で障害が発生(例えば、リクエストがストール)したものとする。この場合、解析データ格納手段400の格納手段410は、図7(k)に示す格納データを格納した状態が保持されており、設計者は、図7(k)に示す格納データを用いて障害解析を行うことになる。
【0055】
図7(k)に示す例では、リクエストID「RQID=03 」及び「RQID=04 」のリクエストが、OUTPUT信号102に近い論理ブロック#7に入力されたあとにSigH側に出力されていないことが分かる。従って、設計者は、リクエストID「RQID=03 」及び「RQID=04 」のリクエストが論理ブロック#7でストールしていることを容易に認識することができる。このように、設計者は、リクエスト処理部100の全体を解析しなくても、解析データ格納手段400の格納データを用いて、特定の範囲(図7(k)に示す例では論理ブロック#7)の論理を集中的に解析することによって、効率的に障害解析を行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、リクエスト処理部100は、各論理ブロック#1〜#nをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報150を出力する。また、通過経路検出手段300は、リクエスト通過情報150及び格納対象情報250に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路を検出し、通過経路検出情報350を出力する。そして、解析データ格納手段400は、通過経路検出情報350に基づいて、リクエストが通過したリクエスト処理部100内の経路を示す格納データを生成し、格納手段410に格納する。
【0057】
上記のように構成することによって、リクエスト処理装置内でリクエストのストールやロスト等の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができる。また、解析範囲を容易に絞り込むことができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができる。従って、リクエスト処理装置の障害が発生したときに、障害原因の論理ブロックを容易に特定することができ、障害解析を簡易に効率的に行うことができる。
【0058】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図8は、障害解析支援方法を用いたリクエスト処理装置の他の構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、図8に示すように、解析データ格納手段400が図2で示した構成要素に加えてタイマ450を含む点で、第1の実施の形態と異なる。
【0059】
なお、タイマ450以外の解析データ格納手段400の各構成要素の基本的な機能は、第1の実施の形態で示したそれらの機能と同様である。また、リクエスト処理部100、格納対象登録手段200及び通過経路検出手段300の機能は、第1の実施の形態で示したそれらの機能と同様である。
【0060】
タイマ450は、所定の時刻信号を出力する機能を備え、格納手段410への新規リクエストに対応するデータの格納に同期してスタートされ、格納手段410が格納するデータのクリアに同期してクリアされる。本実施の形態では、格納データ生成手段440は、タイマ450からの時刻信号に基づいて、所定の時刻情報を含む格納データをリクエスト毎に格納手段410に格納させる。例えば、格納データ生成手段440は、新規リクエストの入力時刻や出力時刻、各論理ブロックの通過時刻を含む格納データを格納手段410に格納させる。
【0061】
上記のように構成することによって、設計者は、解析データ格納手段400が格納する格納データを解析することによって、各リクエストをリクエスト処理部100が入力(受信)した順番や、リクエスト毎の処理時間を容易に認識することができ、障害解析時の補助情報として用いることができる。また、例えば、図7(k)に示す例で用いれば、リクエストID「RQID=03 」及び「RQID=04 」の2つのリクエストがストールしている状態であるので、より古いリクエストから解析することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、複数の論理ブロックを含む論理LSI等のリクエスト処理装置の障害解析を支援する用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による障害解析支援方法を用いたリクエスト処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】リクエスト処理装置のより詳細な構成の一例を示すブロックである。
【図3】障害解析支援装置がリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援処理の一例を示す流れ図である。
【図4】障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合の各解析データの格納状況を示す説明図である。
【図5】障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合のタイムチャートである。
【図6】障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合の格納手段の格納状態の例を示す説明図である。
【図7】障害解析支援装置が障害解析支援処理を実行する場合の格納手段の格納状態の例を示す説明図である。
【図8】障害解析支援方法を用いたリクエスト処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
100 リクエスト処理部
200 格納対象登録手段
300 通過経路検出手段
400 解析データ格納手段
410 格納手段
420 スタート信号格納手段
430 クリア信号格納手段
440 格納データ生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援装置であって、
前記リクエスト処理装置に含まれる各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を検出する通過経路検出手段と、
前記通過経路検出手段による検出結果に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納する通過経路情報格納手段とを
備えたことを特徴とする障害解析支援装置。
【請求項2】
通過経路情報格納手段は、
通過経路検出手段による検出結果に基づいて通過経路情報を生成する通過経路情報生成手段と、
前記通過経路情報生成手段が生成した通過経路情報を格納する格納手段とを含む
請求項1記載の障害解析支援装置。
【請求項3】
リクエスト処理装置内の経路のうち格納対象の経路を示す格納対象情報を登録する格納対象登録手段を備え、
通過経路検出手段は、前記格納対象登録手段が登録する格納対象情報に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路のうち、前記格納対象の経路を検出する
請求項1又は請求項2記載の障害解析支援装置。
【請求項4】
格納する通過経路情報をクリアする対象となるリクエスト処理装置内の位置を示すクリア対象情報を格納するクリア対象格納手段を備え、
通過経路情報格納手段は、前記クリア対象格納手段が格納するクリア対象情報に示される前記リクエスト処理装置内の位置をリクエストが通過したと判断すると、格納する前記通過経路情報をクリアする
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の障害解析支援装置。
【請求項5】
タイマを備え、
通過経路情報格納手段は、前記タイマからの時刻信号に基づいて、所定の時刻情報を含む通過経路情報を格納する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の障害解析支援装置。
【請求項6】
複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置であって、
各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報を生成するリクエスト通過情報生成手段と、
前記リクエスト通過情報生成手段が生成したリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を検出する通過経路検出手段と、
前記通過経路検出手段による検出結果に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納する通過経路情報格納手段とを
備えたことを特徴とするリクエスト処理装置。
【請求項7】
複数の論理ブロックを含みリクエストを処理するリクエスト処理装置の障害解析を支援する障害解析支援方法であって、
前記リクエスト処理装置に含まれる各論理ブロックをリクエストが通過したか否かを示すリクエスト通過情報に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を検出するステップと、
リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路の検出結果に基づいて、リクエストが通過した前記リクエスト処理装置内の経路を示す通過経路情報を格納するステップとを含む
ことを特徴とする障害解析支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−280262(P2007−280262A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108666(P2006−108666)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】