障害診断装置および障害診断プログラム
【課題】
十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高い障害診断装置および障害診断プログラムを提供する。
【解決手段】
送受信部101を介して受信した障害情報に基づいて、生産情報抽出制御部104で当該障害の内容が発生したマシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。また、生産情報抽出制御部104では、障害情報の障害が発生した障害発生マシンの生産日の標準偏差を演算部109で演算させ、その結果に応じた正常マシンの生産情報をも抽出する。障害要因検出部106では、これらの生産情報を比較することにより障害の要因を特定する。
十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高い障害診断装置および障害診断プログラムを提供する。
【解決手段】
送受信部101を介して受信した障害情報に基づいて、生産情報抽出制御部104で当該障害の内容が発生したマシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。また、生産情報抽出制御部104では、障害情報の障害が発生した障害発生マシンの生産日の標準偏差を演算部109で演算させ、その結果に応じた正常マシンの生産情報をも抽出する。障害要因検出部106では、これらの生産情報を比較することにより障害の要因を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害診断装置および障害診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の高度化、複雑化に伴い、画像形成装置等の製品に搭載される機能やこれらの機能を実現する処理ユニットが増加しており、これらの処理ユニットが相互に連携して当該製品にかかる処理を行っている。もちろん、処理ユニット単体で処理が完結するものもある。
【0003】
いずれにせよ、複雑化した製品で障害(トラブル)が発生した場合、その障害がどの処理ユニットで発生したものであるかを判断し、当該処理ユニットを交換、修理若しくは本体からの切り離しを行うことが難しいという現実がある。
【0004】
また、他社製品として、いわゆるOEM製品として、出荷した場合等である場合には、自社で発売した製品に比べて障害発生時の障害発生要因を判断することが難しい。これは、自社製品での障害解析に用いるデータを入手できるとは限られず、多くの場合、簡易的な情報のみしかできないことによるものである。
【0005】
例えば、発生した不具合の内容を特定し、その不具合の内容に対して予め対策内容を登録したデータベースから当該不具合に対して規定した対策内容を検索し、その不具合に対する対策状況表として情報を送信する技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−366689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高い障害診断装置および障害診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段と、前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段と、前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段と、障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段と、前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段とを具備する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の抽出手段によって抽出した1または複数の各電子機器の属性情報に基づいて当該電子機器の生産日に関する標準偏差を算出する算出手段を具備し、前記第2の抽出手段は、前記算出手段により算出した標準偏差に基づいて前記電子機器の属性情報を前記記憶手段から抽出する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2の抽出手段は、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値よりも大きい場合に一定期間ごとの生産日における前記電子機器の属性情報を抽出し、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値以下の場合に最大生産台数の生産日近辺の前記電子機器の属性情報を抽出する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記解析手段は、前記第1の抽出手段で抽出した各属性情報と該各属性情報に対応する前記第2の抽出手段で抽出した各属性情報との偏り度合いを計測する偏り度合い計測手段を具備し、前記偏り度合い計測手段によって計測された偏り度合いを元に前記相互関係を解析する。
【0011】
また、請求項5の発明は、コンピュータを、電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段、前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段、前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段、障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段、前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1および5によれば、十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高くなるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項2および3によれば、障害が発生した電子機器の障害発生状況に応じた障害の原因究明を行うことができるようになるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項4によれば、障害が発生した電子機器の属性情報と同種類の電子機器の属性情報との偏り度合いによって相互関係を解析し、相互関係を有する属性情報により障害の原因究明を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係わる障害診断装置および障害診断プログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して構成した障害診断装置の機能構成を示すブロック図の一例である。
【0017】
図1において、障害診断装置は、メンテナンス対象の電子機器等のマシンに発生した障害の内容を診断する装置であって、当該マシンおよびこのマシンの管理者等が操作する管理サーバと電気通信回線を介して接続されている。
【0018】
メンテナンス対象のマシンに障害が発生すると、障害が発生したマシン(以下、「障害発生マシン」という)から当該障害の内容を示す障害情報を受信するか、若しくは障害発生マシンで発生した障害の内容を管理者が作成した障害情報を受信する。
【0019】
以下に示す実施例では、管理サーバと本発明の障害診断装置とが電気通信回線によって接続された構成における処理を示すが、これに限定されることなく、障害発生マシンと本障害診断装置とが接続された構成とすることも可能である。
【0020】
この障害診断装置は、送受信部101、情報解析部102、障害分類処理部103、生産情報抽出制御部104、生産情報記憶部105、障害要因検出部106、登録部107、表示制御部108、演算部109を具備して構成され、通信インターフェースである送受信部101を介して管理サーバから障害情報を受信する。
【0021】
管理サーバから受信する障害情報は、少なくとも、障害が発生した障害発生マシンを識別する装置識別情報(以下、「装置ID」という)と、発生した障害の内容を示す情報が含まれる。これ以外にも、例えば、障害の発生日時、障害が発生した障害発生マシンの稼動状態、稼働させている環境情報等に関する情報を含む障害情報を受信する構成とすることも可能である。
【0022】
上記の障害情報に含まれる「発生した障害の内容を示す情報」は、例えばエラー番号や障害の説明文字列等により構成される。
【0023】
これらの情報を含む障害情報を送受信部101で受信すると、送受信部101は、この障害情報を情報解析部102へと送出する。情報解析部102では、障害情報を解析処理し、受信した障害情報に少なくとも障害発生マシンの装置IDおよび発生した障害の内容を示す情報が含まれているかの解析を行う。
【0024】
これらの情報が障害情報に含まれている場合には、その障害情報を障害分類処理部103へ送出する。
【0025】
なお、情報解析部102による解析によって、送受信部101でマシンの生産時における属性である生産情報(下記参照)を受信した場合に、情報解析部102は、生産情報を登録部107へと送出する。このとき、登録部107はその生産情報を生産情報記憶部105にその生産情報を記憶する。
【0026】
そして、情報解析部102から障害情報を受信した障害分類処理部103では、その障害情報に含まれる発生した障害の内容を示す情報をもとに、その障害が発生した障害発生マシンを同一または類似する障害が発生した装置のグループに分類する。
【0027】
このときの分類方法として、例えば、障害情報に含まれる障害の内容を示す情報がエラー番号によって示されている場合に、類似群エラー番号リストを用いて、同一又は類似する障害に基づいて分類する。また、この情報が説明文字列によって示されている場合には、所定のキーワード検索により同一又は類似する障害に基づいて分類する。例えば、「トナーカートリッジの接続が確認できない。」という文字列によって示されている場合は、所定のキーワードとして「トナー」、「カートリッジ」、「接続」という文字列を検索し、これらのキーワードを含む障害に基づいて分類する。
【0028】
このようにして、障害の内容ごとに装置を分類した状態を示す図を図2に示す。
【0029】
図2は、発生した障害の内容を[障害内容]項目201に示し、この[障害内容]項目201に示す障害が発生した装置の装置IDを[装置ID]項目202に示す。
【0030】
この図2に示す例では、障害内容「A」が発生した装置の装置IDとして、「1115471」、「2160241」、・・・「2222545」を示しており、障害内容「C」が発生した装置の装置IDとして、「0002174」、「0016698」等を示しており、また、障害内容「X」が発生した装置の装置IDとして、「3874998」を示している。
【0031】
この障害内容「A」、「C」、「X」は、上記に示す障害情報に含まれるエラー番号や説明文字列等である。
【0032】
このようにして障害内容が分類されると、分類した図2に示すような障害分類情報を生産情報抽出部104へと送出する。
【0033】
生産情報抽出制御部104では、障害分類情報で示される障害が発生した装置IDにより示される装置の生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。このとき抽出された生産情報は、障害が発生した障害発生マシンの生産情報であることから「障害発生マシン生産情報」とも称し、この障害生産情報の一例を図4に示す。
【0034】
また、この生産情報抽出制御部104では、障害が発生した障害発生マシンと同種類のマシンのうち、正常に動作しているマシン(以下、「正常マシン」という)の生産情報の抽出制御を行う。
【0035】
この抽出制御に関し、生産情報抽出制御部104は、障害発生マシンの生産日に関する標準偏差の値の演算要求を演算部109に対して行う。この演算部109では、生産情報抽出制御部104からの演算要求を受けて、生産情報記憶部105で記憶する生産情報を元に障害発生マシンの生産日に関する標準偏差の値を演算(算出)する。
【0036】
演算部109は、演算した標準偏差の情報を生産情報抽出制御部104へと応答し、生産情報抽出制御部104は、この標準偏差が予め指定した閾値以下であるか否かを判断する。
【0037】
演算した標準偏差が閾値以下である場合、障害発生マシンの生産状態のばらつきが小さい状態であることから、生産情報抽出制御部104は、最も多く障害発生マシンが生産された生産日の前後数日(例えば、3日間)に生産した正常マシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。
【0038】
標準偏差が予め指定した閾値以下であるときの障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を図8に示す。
【0039】
それに対して、演算した標準偏差の値が閾値よりも大きい場合、障害発生マシンと同種類のマシンの生産状態のばらつきが大きいため、生産情報抽出制御部104は、一定期間毎(一定間隔)の正常マシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する(例えば、一定期間が5日間の場合は、生産日が3月1日,3月6日,3月11日……の生産情報を抽出する)。
【0040】
このようにして抽出された生産情報は、正常に動作するマシン(正常マシン)の生産情報であることから、以下では「正常マシン生産情報」とも称し、図3にこの正常マシン生産情報の一例を示す。
【0041】
生産されたマシンの台数の時間ごとの散らばり具合を表している標準偏差値が予め指定した閾値よりも大きいときの障害発生マシンの生産状態の一例を図7に示す。
【0042】
図8は、標準偏差の値が閾値以下のマシンの生産状態の一例を示す図であって、横軸を時間軸とし、縦軸を生産されたマシンの台数を示している。
【0043】
図8では、標準偏差の値が閾値以下の場合であることから、最も多くを生産した日、図8に示す例では「3月10日」の前後3日間に生産したマシンの生産情報を抽出する。
【0044】
また、図7は、標準偏差の値が閾値よりも大きいときにおけるマシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図であって、横軸を時間軸とし、縦軸を生産されたマシンの台数を示している。
【0045】
この図7では、生産されたマシンの台数の時間ごとの散らばり具合を表している標準偏差値が閾値よりも大きい場合であることから、一定期間ごと、図7に示す例では5日間ごとのマシンの生産情報を抽出する。
【0046】
このようにして、生産情報抽出制御部104が障害発生マシン生産情報および正常マシン生産情報を抽出すると、これらの生産情報を障害要因検出部106へと送出する。
【0047】
障害要因検出部106では、受信したこれらの生産情報を元に、正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報との違いに基づく「偏り度合い」を算出する。
【0048】
図3に示す正常マシン生産情報および図4に示す障害発生マシン生産情報はそれぞれ、[装置ID]項目301、[生産日]項目302、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304、[設定値1]項目305、[設定値2]項目306、[作業者]項目307によって構成される。
【0049】
[装置ID]項目301は、マシンを識別する装置IDを示し、[生産日]項目302は、装置IDにより識別されるマシンを生産した日付を示す。また、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304は、その装置IDにより識別されるマシンを構成する部品の品番の一例を示す。
【0050】
さらに、[設定値1]項目305、[設定値2]項目306は、マシンを構成する部品を検査する際に用いた各種の設定情報若しくはその結果を示す情報であって[作業者]項目307は、装置IDにより識別されるマシンの生産を行った作業者およびグループ等を示す情報である。
【0051】
例えば、図3に示す正常マシン生産情報の一例として、[装置ID]項目301が「1211587」であるマシンは、[生産日]項目302に示す「2008年3月12日」に生産され、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304に示される「AAA−10」、「BBB−21」等の部品によって構成されることを示す。
【0052】
また、このマシンの検査時に用いた情報を示す[設定値1]項目305が「103」であって、[設定値2]項目306が「23」であることを示す。
【0053】
さらに、このマシンの生産は、[作業者]項目307の「ユーザ3」によって行われたことを示す。
【0054】
次に、図4に示す障害発生マシン生産情報の一例として、[装置ID]項目301が「1115471」であるマシンは、[生産日]項目302に示す「2008年3月10日」に生産され、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304に示される「AAA−10」、「BBB−15」等の部品によって構成されることを示す。また、このマシンの検査時に用いた情報である[設定値1]項目305が「105」であって、[設定値2]項目306が「26」であることを示す。
【0055】
さらに、この装置の製造は、[作業者]項目307の「ユーザ1」によって行われたことを示す。
【0056】
このような正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報を元に、障害要因検出部106で行われる偏り度合いの算出について説明する。
【0057】
まず、図3に示す正常マシン生産情報の各ロット情報に基づいて生産したマシンの台数や、各設定値を適用して生産したマシンの台数、さらには各ユーザが担当して生産したマシンの台数の変化状態をグラフ化する。
【0058】
次に、この図3に示す正常マシン生産情報を元にグラフ化したマシンの台数の変化状態に対して、図4に示す障害発生マシン生産情報を元にこれらのマシンの台数の変化状態を図3のグラフに重ね合わせる。
【0059】
このようにして作成したグラフを図9、図10に示している。
【0060】
図9は、ロット情報(部品の品番)に基づくマシンの台数を示すグラフを示している。
【0061】
例えば、部品Aを使用するマシンであって、品番が「AAA−10」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に3501台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に1850台含まれていることを示す。
【0062】
品番が「AAA−20」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に2005台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に256台含まれていることを示す。また、品番が「AAA−30」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に120台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に70台含まれていることを示す。さらに、品番が「AAA−40」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に120台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に70台含まれていることを示す。
【0063】
この図9のグラフに示す部品Aの品番の正常マシン生産情報と、障害発生マシン生産情報はその傾向が類似していると判断できる。
【0064】
次に、図10は、ユーザに基づくマシンの台数を示すグラフを示している。
【0065】
例えば、ユーザ1が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が80台であって障害発生マシンの台数が5台であることを示し、ユーザ2が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が250台であって障害発生マシンの台数が6台であることを示し、ユーザ3が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が121台であって障害発生マシンの台数が30台であることを示す。
【0066】
さらに、ユーザ4が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が105台であって障害発生マシンの台数が15台であることを示し、ユーザ5が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が6台であって障害発生マシンの台数が50台であることを示す。
【0067】
この図10のグラフに示すユーザの正常マシン生産情報と、障害発生マシン生産情報は大きく傾向が異なっており、特にユーザ4およびユーザ5が生産に関与したマシンについては傾向が異なっている。
【0068】
この図10における偏り度合いを図11に示している。
【0069】
図11は、図10に示すグラフの偏り度合いを示しており、この図11に示す例では、偏り度合いを、障害が発生したマシンの台数から正常マシンの台数を引いた値で示している。もちろん、障害が発生したマシンの台数と正常マシンの台数との割合により偏り度合いを示すような構成とすることも可能である。
【0070】
この図11は、各ユーザに対する偏り度合いを示している。
【0071】
偏り度合いは、正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報における各ユーザの障害発生状態の傾向が異なっている場合に算出し、算出した偏り度合いに基づいて大きく偏り度合いが発生しているユーザを特定する。
【0072】
図11に示す例では、ユーザ4、ユーザ5の偏り度合いそれぞれ「90」、「34」であって、プラスの値で偏っていることを示している。これは、正常マシンの台数よりも障害発生マシンの台数の方が多いことを示している。
【0073】
この図10および図11に示す図より、図1の障害要因検出部106では、障害発生マシンの原因としてユーザ4若しくはユーザ5であると特定する。
【0074】
障害要因検出部106で障害原因を特定すると、その内容および送受信部101で受信した障害情報を表示制御部108に表示するほか、登録部107にその情報を送出する。登録部107では、その障害原因の情報を保存部110へと保存する。
【0075】
このときの保存部110では、障害情報に対してその原因であると特定した情報を保存する。
【0076】
図5は、本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
障害発生マシンを管理する管理者の管理サーバから障害情報を受信すると(501)、処理が開始され、受信した障害情報で示される障害を同一または類似する障害の内容へと分類する(502)。
【0078】
この分類方法として、上記に示すように、障害内容がエラー番号で示される場合には類似群エラー番号を参照に分類し、また、障害内容が説明文字列である場合にはキーワード検索を行ってキーワードを元に分類する。
【0079】
続いて、障害情報に示される障害が発生した情報処理装置の装置IDに基づく障害発生マシン生産情報を抽出する(503)。
【0080】
さらに、抽出した障害発生マシン生産情報の障害発生マシンと同種類のマシンであって、障害が発生していない正常なマシンの生産情報を抽出する(504)。この正常マシン生産情報の抽出方法の詳細な流れを図6に示す。
【0081】
図6は、図5に示す正常マシン生産情報を抽出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0082】
まず、障害が発生した障害発生マシンが生産された生産日の標準偏差を算出する(601)。
【0083】
次に、算出した標準偏差が予め指定した閾値以下であるか否かを判断し(602)、閾値以下である標準偏差である場合(602でYES)には、当該障害発生マシンを最も多く生産した日の前後3日間の正常マシンの生産情報を抽出する(603)。
【0084】
それに対して、算出した標準偏差が予め指定した閾値より大きい場合(602でNO)には、その障害発生マシンと同種類の正常マシンの生産情報のうち、一定間隔ごとの生産情報を抽出する(604)。なお、図6に示す例では、5日間の一定間隔で正常マシン生産情報を取得している。
【0085】
このようにして正常マシンの生産情報を抽出すると、先に取得した障害発生マシン生産情報と比較して、障害要因の検出に用いるデータを生成する(上記例では、グラフ化して偏り度合いを生成する)(505)。
【0086】
このデータから障害の原因を特定し(506)、このデータを保存する(507)。
【0087】
なお、本発明は、通信機能を備えた障害診断システムで上述の動作を実行させ、あるいは上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行する障害診断システムを構成することも可能である。障害診断システムを構成するコンピュータは、システムバスを介してCPU(Central Processor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続されている。CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0088】
また、プログラムを供給するための媒体は、通信媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【0089】
本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して構成した障害診断装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】障害の内容ごとに装置を分類した状態を示す図。
【図3】正常マシンの生産情報を示す図。
【図4】障害発生マシンの生産情報を示す図。
【図5】本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図6】正常マシン生産情報を抽出する処理の流れを示すフローチャート。
【図7】標準偏差の値が閾値よりも大きいときにおける障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図。
【図8】標準偏差の値が閾値以下であるときにおける障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図。
【図9】ロット情報(部品の品番)に基づくマシンの台数を示すグラフ。
【図10】ユーザに基づくマシンの台数を示すグラフ。
【図11】図10における偏り度合いを示す図。
【符号の説明】
【0091】
101 送受信部
102 情報解析部
103 障害分類処理部
104 生産情報抽出部
105 生産情報記憶部
106 障害要因検出部
107 登録部
108 表示制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害診断装置および障害診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の高度化、複雑化に伴い、画像形成装置等の製品に搭載される機能やこれらの機能を実現する処理ユニットが増加しており、これらの処理ユニットが相互に連携して当該製品にかかる処理を行っている。もちろん、処理ユニット単体で処理が完結するものもある。
【0003】
いずれにせよ、複雑化した製品で障害(トラブル)が発生した場合、その障害がどの処理ユニットで発生したものであるかを判断し、当該処理ユニットを交換、修理若しくは本体からの切り離しを行うことが難しいという現実がある。
【0004】
また、他社製品として、いわゆるOEM製品として、出荷した場合等である場合には、自社で発売した製品に比べて障害発生時の障害発生要因を判断することが難しい。これは、自社製品での障害解析に用いるデータを入手できるとは限られず、多くの場合、簡易的な情報のみしかできないことによるものである。
【0005】
例えば、発生した不具合の内容を特定し、その不具合の内容に対して予め対策内容を登録したデータベースから当該不具合に対して規定した対策内容を検索し、その不具合に対する対策状況表として情報を送信する技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−366689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高い障害診断装置および障害診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段と、前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段と、前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段と、障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段と、前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段とを具備する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の抽出手段によって抽出した1または複数の各電子機器の属性情報に基づいて当該電子機器の生産日に関する標準偏差を算出する算出手段を具備し、前記第2の抽出手段は、前記算出手段により算出した標準偏差に基づいて前記電子機器の属性情報を前記記憶手段から抽出する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2の抽出手段は、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値よりも大きい場合に一定期間ごとの生産日における前記電子機器の属性情報を抽出し、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値以下の場合に最大生産台数の生産日近辺の前記電子機器の属性情報を抽出する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記解析手段は、前記第1の抽出手段で抽出した各属性情報と該各属性情報に対応する前記第2の抽出手段で抽出した各属性情報との偏り度合いを計測する偏り度合い計測手段を具備し、前記偏り度合い計測手段によって計測された偏り度合いを元に前記相互関係を解析する。
【0011】
また、請求項5の発明は、コンピュータを、電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段、前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段、前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段、障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段、前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1および5によれば、十分な障害情報を得ることができない環境にある製品の障害についても、本構成を有しない場合と比較して、原因究明を行える可能性が高くなるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項2および3によれば、障害が発生した電子機器の障害発生状況に応じた障害の原因究明を行うことができるようになるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項4によれば、障害が発生した電子機器の属性情報と同種類の電子機器の属性情報との偏り度合いによって相互関係を解析し、相互関係を有する属性情報により障害の原因究明を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係わる障害診断装置および障害診断プログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して構成した障害診断装置の機能構成を示すブロック図の一例である。
【0017】
図1において、障害診断装置は、メンテナンス対象の電子機器等のマシンに発生した障害の内容を診断する装置であって、当該マシンおよびこのマシンの管理者等が操作する管理サーバと電気通信回線を介して接続されている。
【0018】
メンテナンス対象のマシンに障害が発生すると、障害が発生したマシン(以下、「障害発生マシン」という)から当該障害の内容を示す障害情報を受信するか、若しくは障害発生マシンで発生した障害の内容を管理者が作成した障害情報を受信する。
【0019】
以下に示す実施例では、管理サーバと本発明の障害診断装置とが電気通信回線によって接続された構成における処理を示すが、これに限定されることなく、障害発生マシンと本障害診断装置とが接続された構成とすることも可能である。
【0020】
この障害診断装置は、送受信部101、情報解析部102、障害分類処理部103、生産情報抽出制御部104、生産情報記憶部105、障害要因検出部106、登録部107、表示制御部108、演算部109を具備して構成され、通信インターフェースである送受信部101を介して管理サーバから障害情報を受信する。
【0021】
管理サーバから受信する障害情報は、少なくとも、障害が発生した障害発生マシンを識別する装置識別情報(以下、「装置ID」という)と、発生した障害の内容を示す情報が含まれる。これ以外にも、例えば、障害の発生日時、障害が発生した障害発生マシンの稼動状態、稼働させている環境情報等に関する情報を含む障害情報を受信する構成とすることも可能である。
【0022】
上記の障害情報に含まれる「発生した障害の内容を示す情報」は、例えばエラー番号や障害の説明文字列等により構成される。
【0023】
これらの情報を含む障害情報を送受信部101で受信すると、送受信部101は、この障害情報を情報解析部102へと送出する。情報解析部102では、障害情報を解析処理し、受信した障害情報に少なくとも障害発生マシンの装置IDおよび発生した障害の内容を示す情報が含まれているかの解析を行う。
【0024】
これらの情報が障害情報に含まれている場合には、その障害情報を障害分類処理部103へ送出する。
【0025】
なお、情報解析部102による解析によって、送受信部101でマシンの生産時における属性である生産情報(下記参照)を受信した場合に、情報解析部102は、生産情報を登録部107へと送出する。このとき、登録部107はその生産情報を生産情報記憶部105にその生産情報を記憶する。
【0026】
そして、情報解析部102から障害情報を受信した障害分類処理部103では、その障害情報に含まれる発生した障害の内容を示す情報をもとに、その障害が発生した障害発生マシンを同一または類似する障害が発生した装置のグループに分類する。
【0027】
このときの分類方法として、例えば、障害情報に含まれる障害の内容を示す情報がエラー番号によって示されている場合に、類似群エラー番号リストを用いて、同一又は類似する障害に基づいて分類する。また、この情報が説明文字列によって示されている場合には、所定のキーワード検索により同一又は類似する障害に基づいて分類する。例えば、「トナーカートリッジの接続が確認できない。」という文字列によって示されている場合は、所定のキーワードとして「トナー」、「カートリッジ」、「接続」という文字列を検索し、これらのキーワードを含む障害に基づいて分類する。
【0028】
このようにして、障害の内容ごとに装置を分類した状態を示す図を図2に示す。
【0029】
図2は、発生した障害の内容を[障害内容]項目201に示し、この[障害内容]項目201に示す障害が発生した装置の装置IDを[装置ID]項目202に示す。
【0030】
この図2に示す例では、障害内容「A」が発生した装置の装置IDとして、「1115471」、「2160241」、・・・「2222545」を示しており、障害内容「C」が発生した装置の装置IDとして、「0002174」、「0016698」等を示しており、また、障害内容「X」が発生した装置の装置IDとして、「3874998」を示している。
【0031】
この障害内容「A」、「C」、「X」は、上記に示す障害情報に含まれるエラー番号や説明文字列等である。
【0032】
このようにして障害内容が分類されると、分類した図2に示すような障害分類情報を生産情報抽出部104へと送出する。
【0033】
生産情報抽出制御部104では、障害分類情報で示される障害が発生した装置IDにより示される装置の生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。このとき抽出された生産情報は、障害が発生した障害発生マシンの生産情報であることから「障害発生マシン生産情報」とも称し、この障害生産情報の一例を図4に示す。
【0034】
また、この生産情報抽出制御部104では、障害が発生した障害発生マシンと同種類のマシンのうち、正常に動作しているマシン(以下、「正常マシン」という)の生産情報の抽出制御を行う。
【0035】
この抽出制御に関し、生産情報抽出制御部104は、障害発生マシンの生産日に関する標準偏差の値の演算要求を演算部109に対して行う。この演算部109では、生産情報抽出制御部104からの演算要求を受けて、生産情報記憶部105で記憶する生産情報を元に障害発生マシンの生産日に関する標準偏差の値を演算(算出)する。
【0036】
演算部109は、演算した標準偏差の情報を生産情報抽出制御部104へと応答し、生産情報抽出制御部104は、この標準偏差が予め指定した閾値以下であるか否かを判断する。
【0037】
演算した標準偏差が閾値以下である場合、障害発生マシンの生産状態のばらつきが小さい状態であることから、生産情報抽出制御部104は、最も多く障害発生マシンが生産された生産日の前後数日(例えば、3日間)に生産した正常マシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する。
【0038】
標準偏差が予め指定した閾値以下であるときの障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を図8に示す。
【0039】
それに対して、演算した標準偏差の値が閾値よりも大きい場合、障害発生マシンと同種類のマシンの生産状態のばらつきが大きいため、生産情報抽出制御部104は、一定期間毎(一定間隔)の正常マシンの生産情報を生産情報記憶部105から抽出する(例えば、一定期間が5日間の場合は、生産日が3月1日,3月6日,3月11日……の生産情報を抽出する)。
【0040】
このようにして抽出された生産情報は、正常に動作するマシン(正常マシン)の生産情報であることから、以下では「正常マシン生産情報」とも称し、図3にこの正常マシン生産情報の一例を示す。
【0041】
生産されたマシンの台数の時間ごとの散らばり具合を表している標準偏差値が予め指定した閾値よりも大きいときの障害発生マシンの生産状態の一例を図7に示す。
【0042】
図8は、標準偏差の値が閾値以下のマシンの生産状態の一例を示す図であって、横軸を時間軸とし、縦軸を生産されたマシンの台数を示している。
【0043】
図8では、標準偏差の値が閾値以下の場合であることから、最も多くを生産した日、図8に示す例では「3月10日」の前後3日間に生産したマシンの生産情報を抽出する。
【0044】
また、図7は、標準偏差の値が閾値よりも大きいときにおけるマシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図であって、横軸を時間軸とし、縦軸を生産されたマシンの台数を示している。
【0045】
この図7では、生産されたマシンの台数の時間ごとの散らばり具合を表している標準偏差値が閾値よりも大きい場合であることから、一定期間ごと、図7に示す例では5日間ごとのマシンの生産情報を抽出する。
【0046】
このようにして、生産情報抽出制御部104が障害発生マシン生産情報および正常マシン生産情報を抽出すると、これらの生産情報を障害要因検出部106へと送出する。
【0047】
障害要因検出部106では、受信したこれらの生産情報を元に、正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報との違いに基づく「偏り度合い」を算出する。
【0048】
図3に示す正常マシン生産情報および図4に示す障害発生マシン生産情報はそれぞれ、[装置ID]項目301、[生産日]項目302、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304、[設定値1]項目305、[設定値2]項目306、[作業者]項目307によって構成される。
【0049】
[装置ID]項目301は、マシンを識別する装置IDを示し、[生産日]項目302は、装置IDにより識別されるマシンを生産した日付を示す。また、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304は、その装置IDにより識別されるマシンを構成する部品の品番の一例を示す。
【0050】
さらに、[設定値1]項目305、[設定値2]項目306は、マシンを構成する部品を検査する際に用いた各種の設定情報若しくはその結果を示す情報であって[作業者]項目307は、装置IDにより識別されるマシンの生産を行った作業者およびグループ等を示す情報である。
【0051】
例えば、図3に示す正常マシン生産情報の一例として、[装置ID]項目301が「1211587」であるマシンは、[生産日]項目302に示す「2008年3月12日」に生産され、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304に示される「AAA−10」、「BBB−21」等の部品によって構成されることを示す。
【0052】
また、このマシンの検査時に用いた情報を示す[設定値1]項目305が「103」であって、[設定値2]項目306が「23」であることを示す。
【0053】
さらに、このマシンの生産は、[作業者]項目307の「ユーザ3」によって行われたことを示す。
【0054】
次に、図4に示す障害発生マシン生産情報の一例として、[装置ID]項目301が「1115471」であるマシンは、[生産日]項目302に示す「2008年3月10日」に生産され、[ロット情報1(部品Aの品番)]項目303、[ロット情報2(部品Bの品番)]項目304に示される「AAA−10」、「BBB−15」等の部品によって構成されることを示す。また、このマシンの検査時に用いた情報である[設定値1]項目305が「105」であって、[設定値2]項目306が「26」であることを示す。
【0055】
さらに、この装置の製造は、[作業者]項目307の「ユーザ1」によって行われたことを示す。
【0056】
このような正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報を元に、障害要因検出部106で行われる偏り度合いの算出について説明する。
【0057】
まず、図3に示す正常マシン生産情報の各ロット情報に基づいて生産したマシンの台数や、各設定値を適用して生産したマシンの台数、さらには各ユーザが担当して生産したマシンの台数の変化状態をグラフ化する。
【0058】
次に、この図3に示す正常マシン生産情報を元にグラフ化したマシンの台数の変化状態に対して、図4に示す障害発生マシン生産情報を元にこれらのマシンの台数の変化状態を図3のグラフに重ね合わせる。
【0059】
このようにして作成したグラフを図9、図10に示している。
【0060】
図9は、ロット情報(部品の品番)に基づくマシンの台数を示すグラフを示している。
【0061】
例えば、部品Aを使用するマシンであって、品番が「AAA−10」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に3501台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に1850台含まれていることを示す。
【0062】
品番が「AAA−20」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に2005台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に256台含まれていることを示す。また、品番が「AAA−30」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に120台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に70台含まれていることを示す。さらに、品番が「AAA−40」である部品Aを使用するマシンには、抽出した正常マシン生産情報に120台含まれていることを示し、また抽出した障害発生マシン生産情報に70台含まれていることを示す。
【0063】
この図9のグラフに示す部品Aの品番の正常マシン生産情報と、障害発生マシン生産情報はその傾向が類似していると判断できる。
【0064】
次に、図10は、ユーザに基づくマシンの台数を示すグラフを示している。
【0065】
例えば、ユーザ1が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が80台であって障害発生マシンの台数が5台であることを示し、ユーザ2が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が250台であって障害発生マシンの台数が6台であることを示し、ユーザ3が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が121台であって障害発生マシンの台数が30台であることを示す。
【0066】
さらに、ユーザ4が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が105台であって障害発生マシンの台数が15台であることを示し、ユーザ5が生産に関与したマシンのうち正常マシンの台数が6台であって障害発生マシンの台数が50台であることを示す。
【0067】
この図10のグラフに示すユーザの正常マシン生産情報と、障害発生マシン生産情報は大きく傾向が異なっており、特にユーザ4およびユーザ5が生産に関与したマシンについては傾向が異なっている。
【0068】
この図10における偏り度合いを図11に示している。
【0069】
図11は、図10に示すグラフの偏り度合いを示しており、この図11に示す例では、偏り度合いを、障害が発生したマシンの台数から正常マシンの台数を引いた値で示している。もちろん、障害が発生したマシンの台数と正常マシンの台数との割合により偏り度合いを示すような構成とすることも可能である。
【0070】
この図11は、各ユーザに対する偏り度合いを示している。
【0071】
偏り度合いは、正常マシン生産情報と障害発生マシン生産情報における各ユーザの障害発生状態の傾向が異なっている場合に算出し、算出した偏り度合いに基づいて大きく偏り度合いが発生しているユーザを特定する。
【0072】
図11に示す例では、ユーザ4、ユーザ5の偏り度合いそれぞれ「90」、「34」であって、プラスの値で偏っていることを示している。これは、正常マシンの台数よりも障害発生マシンの台数の方が多いことを示している。
【0073】
この図10および図11に示す図より、図1の障害要因検出部106では、障害発生マシンの原因としてユーザ4若しくはユーザ5であると特定する。
【0074】
障害要因検出部106で障害原因を特定すると、その内容および送受信部101で受信した障害情報を表示制御部108に表示するほか、登録部107にその情報を送出する。登録部107では、その障害原因の情報を保存部110へと保存する。
【0075】
このときの保存部110では、障害情報に対してその原因であると特定した情報を保存する。
【0076】
図5は、本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
障害発生マシンを管理する管理者の管理サーバから障害情報を受信すると(501)、処理が開始され、受信した障害情報で示される障害を同一または類似する障害の内容へと分類する(502)。
【0078】
この分類方法として、上記に示すように、障害内容がエラー番号で示される場合には類似群エラー番号を参照に分類し、また、障害内容が説明文字列である場合にはキーワード検索を行ってキーワードを元に分類する。
【0079】
続いて、障害情報に示される障害が発生した情報処理装置の装置IDに基づく障害発生マシン生産情報を抽出する(503)。
【0080】
さらに、抽出した障害発生マシン生産情報の障害発生マシンと同種類のマシンであって、障害が発生していない正常なマシンの生産情報を抽出する(504)。この正常マシン生産情報の抽出方法の詳細な流れを図6に示す。
【0081】
図6は、図5に示す正常マシン生産情報を抽出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0082】
まず、障害が発生した障害発生マシンが生産された生産日の標準偏差を算出する(601)。
【0083】
次に、算出した標準偏差が予め指定した閾値以下であるか否かを判断し(602)、閾値以下である標準偏差である場合(602でYES)には、当該障害発生マシンを最も多く生産した日の前後3日間の正常マシンの生産情報を抽出する(603)。
【0084】
それに対して、算出した標準偏差が予め指定した閾値より大きい場合(602でNO)には、その障害発生マシンと同種類の正常マシンの生産情報のうち、一定間隔ごとの生産情報を抽出する(604)。なお、図6に示す例では、5日間の一定間隔で正常マシン生産情報を取得している。
【0085】
このようにして正常マシンの生産情報を抽出すると、先に取得した障害発生マシン生産情報と比較して、障害要因の検出に用いるデータを生成する(上記例では、グラフ化して偏り度合いを生成する)(505)。
【0086】
このデータから障害の原因を特定し(506)、このデータを保存する(507)。
【0087】
なお、本発明は、通信機能を備えた障害診断システムで上述の動作を実行させ、あるいは上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行する障害診断システムを構成することも可能である。障害診断システムを構成するコンピュータは、システムバスを介してCPU(Central Processor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続されている。CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0088】
また、プログラムを供給するための媒体は、通信媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【0089】
本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して構成した障害診断装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】障害の内容ごとに装置を分類した状態を示す図。
【図3】正常マシンの生産情報を示す図。
【図4】障害発生マシンの生産情報を示す図。
【図5】本発明の実施の形態における障害診断装置および障害診断プログラムを適用して行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図6】正常マシン生産情報を抽出する処理の流れを示すフローチャート。
【図7】標準偏差の値が閾値よりも大きいときにおける障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図。
【図8】標準偏差の値が閾値以下であるときにおける障害発生マシンの生産状態の偏り度合いの一例を示す図。
【図9】ロット情報(部品の品番)に基づくマシンの台数を示すグラフ。
【図10】ユーザに基づくマシンの台数を示すグラフ。
【図11】図10における偏り度合いを示す図。
【符号の説明】
【0091】
101 送受信部
102 情報解析部
103 障害分類処理部
104 生産情報抽出部
105 生産情報記憶部
106 障害要因検出部
107 登録部
108 表示制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段と、
前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段と、
前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段と、
障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段と、
前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段と
を具備する障害診断装置。
【請求項2】
前記第1の抽出手段によって抽出した1または複数の各電子機器の属性情報に基づいて当該電子機器の生産日に関する標準偏差を算出する算出手段
を具備し、
前記第2の抽出手段は、
前記算出手段により算出した標準偏差に基づいて前記電子機器の属性情報を前記記憶手段から抽出する請求項1記載の障害診断装置。
【請求項3】
前記第2の抽出手段は、
前記算出手段により算出した標準偏差が閾値よりも大きい場合に一定期間ごとの生産日における前記電子機器の属性情報を抽出し、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値以下の場合に最大生産台数の生産日近辺の前記電子機器の属性情報を抽出する請求項2記載の障害診断装置。
【請求項4】
前記解析手段は、
前記第1の抽出手段で抽出した各属性情報と該各属性情報に対応する前記第2の抽出手段で抽出した各属性情報との偏り度合いを計測する偏り度合い計測手段
を具備し、
前記偏り度合い計測手段によって計測された偏り度合いを元に前記相互関係を解析する請求項1乃至3のいずれかに記載の障害診断装置。
【請求項5】
コンピュータを、
電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段、
前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段、
前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段、
障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段、
前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段
として機能させる障害診断プログラム。
【請求項1】
電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段と、
前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段と、
前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段と、
障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段と、
前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段と
を具備する障害診断装置。
【請求項2】
前記第1の抽出手段によって抽出した1または複数の各電子機器の属性情報に基づいて当該電子機器の生産日に関する標準偏差を算出する算出手段
を具備し、
前記第2の抽出手段は、
前記算出手段により算出した標準偏差に基づいて前記電子機器の属性情報を前記記憶手段から抽出する請求項1記載の障害診断装置。
【請求項3】
前記第2の抽出手段は、
前記算出手段により算出した標準偏差が閾値よりも大きい場合に一定期間ごとの生産日における前記電子機器の属性情報を抽出し、前記算出手段により算出した標準偏差が閾値以下の場合に最大生産台数の生産日近辺の前記電子機器の属性情報を抽出する請求項2記載の障害診断装置。
【請求項4】
前記解析手段は、
前記第1の抽出手段で抽出した各属性情報と該各属性情報に対応する前記第2の抽出手段で抽出した各属性情報との偏り度合いを計測する偏り度合い計測手段
を具備し、
前記偏り度合い計測手段によって計測された偏り度合いを元に前記相互関係を解析する請求項1乃至3のいずれかに記載の障害診断装置。
【請求項5】
コンピュータを、
電子機器の製造過程における属性情報を記憶する記憶手段、
前記電子機器で発生した障害の障害情報を元に当該電子機器を、該障害情報による障害と同一または類似した障害が発生した他の電子機器の一群に分類する分類手段、
前記記憶手段で記憶する前記分類手段によって分類した一群に属する1または複数の電子機器の前記属性情報を抽出する第1の抽出手段、
障害が発生した電子機器と同種類の1または複数の電子機器における前記属性情報を前記記憶手段から抽出する第2の抽出手段、
前記第1の抽出手段で抽出した属性情報と前記第2の抽出手段で抽出した属性情報との相互関係を解析する解析手段
として機能させる障害診断プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−182231(P2010−182231A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27223(P2009−27223)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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