説明

隧道壁面のケーブル支持装置

【課題】 ケーブルの当初の支持状態を確実に保つことのできる隧道壁面のケーブル支持装置を提供する。
【解決手段】 隧道の内壁面に取付けた支持基枠1の前面板1aに支持受3を着脱自在に取付けて突設し、該支持受3にケーブルcを受止させたケーブル支持装置において、前記前面板1aと前記支持受3の上面板9aのそれぞれに受止孔5,11を設ける。そして、前記前面板1a側の受止孔5に一端の係止片8を、前記上面板9a側の受止孔11に他の一端の係止片10をそれぞれ係離自在に係止した弾性挟持枠4の弯曲挟持片12に前記ケーブルcの一部を係合し、該ケーブルcを該弯曲挟持片12と前記上面板9aをそれぞれ圧接させて挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルを隧道の壁面に沿わせて配線する際に用いる、隧道壁面のケーブル支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隧道の壁面に所定間隔を存して支持基枠を取付け、該支持基枠の前面板に支持受を着脱自在に取付け、該支持枠にケーブル受支させるようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)が、この従来例は、上面が平坦な、支持受の上面に単に載せてケーブルを支持させようとするため、車両の通過によって生じる振動の繰返しによって支持受からケーブルが容易に脱落する虞れがあり、このため、前支持受の上面に凹入部を設け、該凹入部にケーブルを係合して支持枠の基部から先端方向への移動を規制し、脱落に対処したものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−634号公報
【特許文献2】特開2004−140985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記凹入部を備えた構造のものは、支持受の基部から自由端である先端方向への移動を防ぐという意味では脱落に対処したものであるが、ケーブルに作用する軸線方向の力に対応できず、ケーブルは軸線方向に移動し、支障を来たすことがある。
【0005】
本発明は、このような従来例の欠点に着目し、ケーブルの当初の支持状態を確実に保つことのできる装置を提供するために創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
隧道の内壁面に取付けた支持基枠の前面板に支持受を着脱自在に取付けて突設し、該支持受にケーブルを受止させたケーブル支持装置において、前記前面板と前記支持受の上面板のそれぞれに受止孔を設け、前記前面板側の受止孔に一端の係止片を、前記上面板の受止孔に他の一端の係止片をそれぞれ係離自在に係止した弾性挟持枠の弯曲挟持片に前記ケーブルの一部を係合し、該ケーブルを該弯曲挟持片と前記上面板をそれぞれ圧接させて挟持した構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持受上にケーブルを載置した状態で弾性挟持枠を、ケーブルを
介して支持基枠と支持受に渡すようにして組付けられるから、ケーブルの支持作業に人手を必要としないことは勿論、ケーブルは支持受と挟持枠とで挟圧されて支持受上に支持されるものであるから、支持受上をケーブルが移動することなく、当初の支持状態を確実に維持できる隧道壁面のケーブル支持装置を提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係る隧道壁面のケーブル支持装置の一実施例を示し、図1は側面図、図2は図1の一部拡大断面図、図3は弾性挟持枠の斜視図、図4は弾性挟持枠と他の部材との組合せ関係を示す斜視図である。
【0009】
図中、1は上下両端の設けた止着部片1b,1bにおいてボルトbで隧道壁面wに、横方向に所要間隔を存して固定した支持基枠で、実施例は、金属板を屈曲形成したこの支持基枠1の縦長の前面板1aに適宜数の取付け部2を上下方向に並べて設け、所望の取付け部2において支持受3と弾性挟持枠4を組付け、ケーブルcを所要間隔を置いて支持するようにしたものである。
【0010】
前記取付け部2は、両端を背面側方向に折曲げて補強部片1a´,1a´を相対設した前面板1aに設けた第一乃至第三の各受止孔5,6,7で構成し、前面板1aの左右方向の中央に第一受止孔5を配してこれに前記弾性挟持枠4の一側に設けた係止片8を係止させるようにし、該第一受止孔5の直下に設けた第二受止孔6には前記支持受3に設けた係止部片9´を係止させるようにし、また、該第二受止孔6の下側の両側に並設した一対の、前記第三受止孔7,7には前記支持受3に設けた掛止部片9´´,9´´を掛止させるようにしたものである。
【0011】
支持受3は、金属板を屈曲して成り、前後方向に長い長方形状の上面板9aの両側に側板9b,9bを相対設して構成した主体枠9の前記上面板9a(支持受3の上面板でもある)の先端側に、前記弾性挟持枠4の他側に設けた他の係止片10を係止する受止孔11を設け、上面板9aの後端すなわち基端には、ほぼT字状の前記係止部片9´を突設し、この係止部片9´の基端縁と基端縁を同面上に位置させた前記掛止部片9´´を、前記側板9bの後端すなわち基端に突設して構成し、掛止部片9´´を先部と掛止部とで成る鉤状体としたものである。
【0012】
支持受3は、係止部片9´を支持基枠1の取付け部2の第二受止孔6に、掛止部片9´´を第三受止孔7にそれぞれ挿道させ、各部片9´,9´´を各孔6,7に沿って降下させ、各孔6,7の下縁上に載せることにより係止部片9´は第二受止孔6に係止され、係止部片9´´は第三受止孔7に掛止して支持基枠1に取付けられ、その前面板1aに突設される。
【0013】
前記弾性挟持枠4は、上部片4aと該上部片4aの先端を折り曲げて連設した前部片4bとで成るL形枠体で成り、前記上部片4aの中間部を上方に膨出させて設けた弯曲部12aの両端に、上部片4aを切り起こすようにした円弧状の舌状片12bを延設するようにして設けた弯曲狭持片12を備え、上部片4aの自由端すなわち弾性挟持枠4の一端には前記係止片8を、前部片4bすなわち弾性挟持枠4の他端には前記係止片10を設けて構成したものである。
【0014】
そして、隧道壁面wに固着した前記支持基枠1に片持ち梁状にして支持させた前記支持受3の上面板9a上に載せたケーブルcに弯曲狭持片12の弯曲部12aを係合させるようにして弾性挟持枠4の一方の係止片8を、支持基枠1の前面板1aに設けた前記第一受止孔5に強制部に挿通させてその縁部において前面板1aに係止させる一方、弾性挟持枠4の前部片4bに突出させた他の後止片10を弾性変形させて前記受止孔11に強制部に挿通させてその縁部において、支持受3の上面板9aに係止させ、ケーブルcを弯曲挟持片12と支持受3の上面板9aとで狭持し、実施例装置を得るのである。
【0015】
尚、弯曲挟持片12の円弧(弯曲)形と逆方向の円弧(弯曲)形として相対する係合部13を支持受3の上面板9aに設けてケーブルcを係合させてあるが、該係合部13は支持受3にケーブルcを載せる際の目印となるもので、本発明の実施する上に必ずしも必要としない。
【0016】
弯曲挟持片12の自由端部12´をケーブルcから離開する方向に折り曲げてあるのは、弯曲挟持片12の自由端がケーブルcにその弾性によって喰い込むのを防ぐためであり、ケーブルcを挟持枠4の挟持片12と支持受3の上面板9aとで挟持枠4側の弾性を利用して長期間挟持させるのであれば、支持片12の自由端は実施例のような自由端部12´の形状にしてケーブルcに圧接させない方が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】側面図。
【図2】図1の一部拡大断面図。
【図3】弾性挟持枠の斜視図。
【図4】弾性挟持枠と他の部材との組合せ関係を示す斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1 支持基枠
1a 前面板
3 支持受
4 弾性挟持枠
5 第一受止孔
9a 上面板
11 受止孔
12 弯曲挟持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隧道の内壁面に取付けた支持基枠の前面板に支持受を着脱自在に取付けて突設し、該支持受にケーブルを受止させたケーブル支持装置において、前記前面板と前記支持受の上面板のそれぞれに受止孔を設け、前記前面板側の受止孔に一端の係止片を、前記上面板側の受止孔に他の一端の係止片をそれぞれ係離自在に係止した弾性挟持枠の弯曲挟持片に前記ケーブルの一部を係合し、該ケーブルを該弯曲挟持片と前記上面板をそれぞれ圧接させて挟持した、隧道壁面のケーブル支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−136474(P2010−136474A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307409(P2008−307409)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】