説明

集光型太陽光発電ユニット、および集光型太陽光発電装置

【課題】太陽電池素子の受光面側の空間に大気の対流を発生させて、太陽電池(太陽電池素子)の放熱性を向上させ光電変換効率を向上させた信頼性の高い集光型太陽光発電ユニット、および集光型太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】集光型太陽光発電ユニット1は、集光レンズ10で集光した太陽光Lsaを透過させる透過穴23を有する集光フレーム20と、透過穴23を透過した太陽光Lsaを受光する太陽電池30と、太陽電池30を実装した実装フレーム40とを備える。集光フレーム20は、集光レンズ10を支持する側板部21と、対向する一対の側板部21の間に配置され透過穴23を有する底板部22とを備える。実装フレーム40は、レシーバ基板32を実装する実装板部41と、実装板部41の両側に配置されて実装板部41を底板部22に連結する連結部42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光レンズで集光した太陽光を透過させる透過穴を有する集光フレームと、透過穴を透過した太陽光を受光する太陽電池と、太陽電池を実装した実装フレームとを備える集光型太陽光発電ユニット、および、このような集光型太陽光発電ユニットを追尾駆動される構成としてある集光型太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置としては、太陽電池素子を隙間無く敷き詰めて構成した太陽光発電モジュールを屋根の上などに設置した非集光固定型の平板式構造が一般的である。
【0003】
これに対し、太陽光発電装置を構成する部材(部品)の中で価格が高い太陽電池素子の使用量を減らす技術が提案されている。
【0004】
つまり、光学レンズや反射鏡などを用いて太陽光を集光し、小面積の太陽電池素子に照射することで、太陽電池素子の面積あたりの発電電力を大きくし、太陽電池素子のコスト(つまり、太陽光発電装置のコスト)を削減することが提案されている。
【0005】
素子特性として集光倍率を上げるほど太陽電池素子の光電変換効率は向上する。しかし、太陽電池素子の位置を固定したままでは太陽光が斜光となって入射することが多くなり、太陽光を有効に利用することができない。したがって、太陽を追尾して太陽光を常に正面で受光するように構成した高集光倍率の追尾集光型太陽光発電装置が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
【0006】
また、集光型太陽光発電装置では集光された太陽光が太陽電池素子に入射され、光電変換により電力を得るが、全ての入射エネルギーが電力に変換されるわけではなく、一部の入射エネルギーは熱エネルギーとして太陽電池素子に蓄熱される。太陽電池特性として評価する場合、太陽電池素子の放熱性能を上げるほど太陽電池素子の光電変換効率は向上することから、太陽電池素子の放熱を十分に行う必要がある。
【0007】
特許文献1〜特許文献4に開示された従来の集光型太陽光発電装置では、太陽電池が集光型太陽光発電ユニットの内部に構造的に密閉されている。したがって、太陽電池(太陽電池素子)の周辺では、空気の流れがほとんど無く、集光された太陽光の熱エネルギーが集光型太陽光発電ユニットの内部に蓄熱されることとなり、太陽電池素子の温度が上昇し、十分な太陽電池特性を得ることができなかった。
【特許文献1】特開2002−289896号公報
【特許文献2】特開2002−289897号公報
【特許文献3】特開2002−289898号公報
【特許文献4】特開2006−344698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、集光レンズで集光した太陽光を透過させる透過穴を有する集光フレームと、透過穴を透過した太陽光を受光する太陽電池と、太陽電池を実装した実装フレームとを備える集光型太陽光発電ユニットであって、集光フレームは、集光レンズを支持する側板部と、側板部の間に配置され透過穴を有する底板部とを備え、実装フレームは、レシーバ基板を実装する実装板部と、実装板部の両側に配置されて実装板部を底板部に連結する連結部とを備える構成とすることにより、底板部と太陽電池素子との間に外部との対流が可能な広い空間を設け、太陽電池素子の受光面側の空間に大気の対流を発生させて、太陽電池(太陽電池素子)の放熱性を向上させ光電変換効率を向上させた信頼性の高い集光型太陽光発電ユニットを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットを追尾駆動する形態の集光型太陽光発電装置とすることにより、放熱性を向上させて光電変換効率および発電電力を向上させた信頼性および耐候性の高い集光型太陽光発電装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る集光型太陽光発電ユニットは、太陽光を集光する集光レンズと、該集光レンズで集光した太陽光を透過させる透過穴を有する集光フレームと、前記透過穴を透過した太陽光を受光する太陽電池と、該太陽電池を実装した実装フレームとを備える集光型太陽光発電ユニットであって、前記集光フレームは、前記集光レンズを支持する側板部と、該側板部の間に配置され前記透過穴を有する底板部とを備え、前記太陽電池は、前記透過穴に位置決めされ光電変換を行なう太陽電池素子と、該太陽電池素子を載置したレシーバ基板とを備え、前記実装フレームは、前記レシーバ基板を実装する実装板部と、該実装板部の両側に配置されて前記実装板部を前記底板部に連結する連結部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この構成により、集光された太陽光を透過させる透過穴を有する底板部と太陽電池素子との間に外部との対流が可能な広い空間を設けることが可能となり、太陽電池素子の受光面側の空間に大気の対流を発生させることが可能となるので、太陽電池(太陽電池素子)の放熱性を向上させて光電変換効率を向上させた信頼性の高い集光型太陽光発電ユニットとすることができる。
【0012】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記集光フレームおよび前記実装フレームは、延長されて長尺状としてあり、前記集光レンズは、前記集光フレームの長さ方向に複数配置され、前記太陽電池素子は、前記実装フレームの長さ方向に複数配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、対流が発生する範囲を拡大してさらに効果的な対流を発生させることが可能となるので、さらに放熱性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記実装フレームは、一つの前記集光フレームに対して複数配置してあることを特徴とする。
【0015】
この構成により、実装フレームに対する太陽電池素子の配置を高精度に設定し、また温度の上昇に伴う透過穴に対する太陽電池素子の位置ズレを抑制することが可能となるので、光電変換効率が良く、信頼性の高い大電力の集光型太陽光発電ユニットとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記実装フレームは、換気口を有する端面保護板を両側の端面に備えることを特徴とする。
【0017】
この構成により、外部環境から太陽電池素子を保護すると共に実装フレーム内に外気を取り入れて対流を大きくすることが可能となるので、実装フレーム(太陽電池)の放熱効果を向上させて、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニットとすることができる。
【0018】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記実装フレームは、放熱部を備えることを特徴とする。
【0019】
この構成により、太陽電池の放熱特性をさらに向上させることが可能となり、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニットとすることができる。
【0020】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記実装板部、前記連結部、前記放熱部は、一体成形してあることを特徴とする。
【0021】
この構成により、実装フレームを容易かつ高精度に形成することが可能となり、また、放熱効率を向上させることが可能となることから、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニットを安価に製造することができる。
【0022】
また、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットでは、前記実装フレームは、押し出し成形によって形成されていることを特徴とする。
【0023】
この構成により、実装フレームを容易かつ高精度に安定して製造することが可能となり、集光型太陽光発電ユニットを生産性良く製造することができる。
【0024】
また、本発明に係る集光型太陽光発電装置は、集光型太陽光発電ユニットを備える集光型太陽光発電装置であって、前記集光型太陽光発電ユニットは、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットであり、追尾駆動される構成としてあることを特徴とする。
【0025】
この構成により、放熱性を向上させて光電変換効率および発電電力を向上させた信頼性および耐候性の高い集光型太陽光発電装置とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る集光型太陽光発電ユニットによれば、太陽光を集光する集光レンズと、集光レンズで集光した太陽光を透過させる透過穴を有する集光フレームと、透過穴を透過した太陽光を受光する太陽電池と、太陽電池を実装した実装フレームとを備える集光型太陽光発電ユニットであって、集光フレームは、集光レンズを支持する側板部と、側板部の間に配置され透過穴を有する底板部とを備え、太陽電池は、透過穴に位置決めされ光電変換を行なう太陽電池素子と、太陽電池素子を載置したレシーバ基板とを備え、実装フレームは、レシーバ基板を実装する実装板部と、実装板部の両側に配置されて実装板部を底板部に連結する連結部とを備えることから、底板部と太陽電池素子との間に外部との対流が可能な広い空間を設けることが可能となり、太陽電池素子の受光面側の空間に大気の対流を発生させることが可能となるので、太陽電池(太陽電池素子)の放熱性を向上させて光電変換効率を向上させた信頼性の高い集光型太陽光発電ユニットを提供することが可能となるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明に係る集光型太陽光発電装置によれば、集光型太陽光発電ユニットを備える集光型太陽光発電装置であって、集光型太陽光発電ユニットは、本発明に係る集光型太陽光発電ユニットであり、追尾駆動される構成としてあることから、放熱性を向上させて光電変換効率および発電電力を向上させた信頼性および耐候性の高い集光型太陽光発電装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
<実施の形態1>
図1Aおよび図1Bに基づいて、本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニットについて説明する。
【0030】
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る集光型太陽光発電ユニットの概略断面構成を端面状態で示す端面図である。なお、断面でのハッチングは図の見易さを考慮して省略してある。
【0031】
図1Bは、図1Aの矢符B方向から見た状態を示す側面図である。
【0032】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1は、入射した太陽光Lsを集光する集光レンズ10と、集光レンズ10で集光した太陽光Lsaを透過させる透過穴23を有する集光フレーム20と、透過穴23を透過した太陽光Lsaを受光する太陽電池30と、太陽電池30を実装した実装フレーム40とを備える。
【0033】
集光レンズ10は、実施の形態5で説明する追尾機構(不図示)の作用により、常に太陽に正対する構成としてある。したがって、直達光である太陽光Lsは、集光レンズ10の受光面に対して垂直方向で入射する。これにより、集光レンズ10は太陽光Lsを屈折させて集光した太陽光Lsaを太陽電池30(太陽電池素子31)に入射させることができる。
【0034】
集光フレーム20は、集光レンズ10の両端に配置され集光レンズ10を支持する側板部21と、対向する一対の側板部21の間に配置され透過穴23を有する底板部22とを備える。また、太陽電池30は、透過穴23に位置決めされ光電変換を行なう太陽電池素子31と、太陽電池素子31を載置したレシーバ基板32とを備える。実装フレーム40は、レシーバ基板32を実装する実装板部41と、実装板部41の両側に配置されて実装板部41を底板部22に連結する連結部42とを備える。
【0035】
したがって、連結部42を配置することによって、集光された太陽光Lsaを透過(通過)させる透過穴23を有する底板部22と太陽電池素子31との間に十分な空間を設けることことが可能となり、太陽電池素子31の受光面側の空間に大気の対流を発生させることが可能となるので、陽電池30(太陽電池素子31)の放熱性を向上させて光電変換効率を向上させた信頼性の高い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。
【0036】
つまり、太陽電池30は、集光された太陽光Lsaを太陽電池素子31で光電変換し、太陽電池素子31で発生した電力をレシーバ基板32に形成した配線(不図示)を介して取り出す構成としてある。また、太陽電池30は、実装フレーム40(実装板部41)に実装部材33を介して実装板部41に実装され、実装フレーム40は、集光フレーム20に取り付けられている。
【0037】
連結部42は板状の部材で構成されることを例示しているが、より放熱性を向上させるように側部にフィンなどの放熱手段を更に加えた形状にしても構わない。また、連結部42は、蛇行した形状であっても良く、特に板状に限るものではない。
【0038】
透過穴23の中心、太陽電池素子31の受光面の中心は、集光レンズ10(集光レンズ10の中心点)が構成する光軸Laxに一致するように配置されている。また、太陽電池素子31は、集光レンズ10の焦点位置(焦点群位置)に対応させて配置してあり受光面で効率的に受光できるようにしてある。なお、集光レンズ10は、例えば30cm角程度の大きさとしてある。また、透過穴23は、太陽電池素子31の大きさ、集光された太陽光Lsaの範囲に対応させて、例えば1cm〜5cm角程度としてある。
【0039】
太陽電池30は、レシーバ基板32に実装された太陽電池素子31を被覆する被覆部35を備える。被覆部35は、集光された太陽光Lsaを透過させる透光性樹脂で形成され、周囲環境(砂塵や水分など)から太陽電池素子31を保護する。
【0040】
太陽電池素子31は、例えばSi、GaAs、CuInGaSe、CdTeなどの無機材料で構成してある。また、太陽電池素子31の外形サイズは、使用する太陽電池材料の削減、加工の安さ、工程の容易性、簡略化などの観点から、数mm程度から20mm程度までとすることが望ましい。
【0041】
ただし、集光倍率(集光レンズ10の受光面積を太陽電池素子31の受光面積で割った値)が高くなればなるほど、太陽電池素子31が持つ熱流束(単位面積当たりに通過する熱量)が大きくなり放熱性が低下することから、集光倍率に応じた放熱対策を施すことが必要となる。
【0042】
したがって、レシーバ基板32は、放熱性を考慮して、例えばアルミニウム板、銅板などの熱伝導率の非常に高い導電性ベース基台(不図示)に適宜の絶縁層(不図示)を介して所望の配線パターン(不図示)を形成して構成することが望ましい。あるいは、例えばAlN、Al23などの熱伝導率が高い絶縁性セラミック材料のベース基台(不図示)に所望の配線パターン(不図示)を形成して構成することが望ましい。
【0043】
集光フレーム20を構成する側板部21、底板部22は、例えば鋼板で形成され、相互に垂直に交差するように配置される。また、透過穴23は、底板部22を例えばパンチングすることによって高精度に形成される。なお、底板部22は、不要な太陽光Lsがレシーバ基板32を照射してレシーバ基板32を損傷しないようにする遮光板として機能する。
【0044】
実装フレーム40は、実装板部41と連結部42が垂直方向で交差するように配置してある。また、実装板部41と底板部22の距離は、集光レンズ10、透過穴23、および太陽電池素子31の相互の位置関係を考慮して、例えば2cm〜10cmとなるように実装板部41の高さHを調整する。つまり、実装フレーム40の断面形状は、深さが例えば2cm〜10cmで、透過穴23の側を開口形状とした溝状(U字状)としてあり、両端は開放されて外部との対流を生じる構成としてある。
【0045】
この構成により、太陽光Lsaによって熱源となる太陽電池30(太陽電池素子31)と遮光板24の間に外部との対流が可能な広い空間を構成することができ、この空間での大気対流を発生させやすくすることが可能となることから、集光フレーム20に対する太陽電池30の放熱性を向上させることができる。
【0046】
なお、実装板部41および連結部42は、垂直で相互に交差するように配置してあることから、最小限の材料で広い空間を太陽電池30(太陽電池素子31)と遮光板24の間に構成することが可能となり、また、高精度に配置することが可能となり、容易に製造することが可能となる。また、連結部42相互間の幅Wは、レシーバ基板32と同程度とすることが可能であり、実装フレーム40の形状を小型化することが可能となる。
【0047】
つまり、実装板部41および連結部42を垂直で相互に交差するように組み合わせることによって、実装フレーム40を小型化した状態で広い空間を確保し、放熱性を向上させることが可能となる。
【0048】
また、太陽電池30(実装フレーム40)は、集光フレーム20の底面(平板状の底板部22)から大きく外部(外気)へ突出した形状となることから、外部側の実装フレーム40は、外気の自然風に触れ易くなる。したがって、実装フレーム40の外気側での対流による放熱効果が高まり、ひいては太陽電池30の放熱効果を向上させることができる。
【0049】
レシーバ基板32は、裏側に配置された実装部材33を介して実装板部41に密着させて実装されていることが望ましい。この構成により、レシーバ基板32と実装板部41との間の熱抵抗を抑制して、太陽電池30の放熱性を向上させることが可能となるので、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。
【0050】
実装部材33は、熱伝導性の良い部材で構成することが望ましい。つまり、実装部材33は、例えば、粘着性熱伝導シート、熱伝導性接着剤、アルミニウムロウ付け、あるいは、溶接などを適用することが望ましい。この構成により、太陽電池30と実装フレーム40の間に大気の隙間を作らないようにすることが可能となり、太陽電池30と実装フレーム40の間の熱抵抗を小さくすることができる。
【0051】
したがって、太陽電池30で発生する熱エネルギーを実装フレーム40へ効率良く伝達することができるので、太陽電池30の放熱効果を向上させることが可能となる。なお、実装フレーム40(実装板部41、連結部42)には、熱伝導率が高く熱伝導性の良い銅、アルミニウムなどを適用して、放熱性を向上させることが望ましい。
【0052】
実装フレーム40は、放熱部43を備えることが望ましい。この構成により、太陽電池30の放熱特性をさらに向上させることが可能となり、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。
【0053】
放熱部43は、例えばフィン形状とすることが望ましい。この構成により、実装フレーム40の表面積に放熱部43の表面積を付加することができ、実装フレーム40が外気に接する面積を多くすることが可能となることから、実装フレーム40の放熱効果を向上させることができる。つまり、太陽電池30から伝熱された熱エネルギーを実装フレーム40によって放熱することが可能となり、太陽電池30の放熱特性を向上させることができる。
【0054】
なお、図1Aおよび図1Bでは、放熱部43は、実装板部41の背面に形成され外気側にのみ配置されているが、実装フレーム40の内側に放熱部を設けることも可能である。
【0055】
<実施の形態2>
図2Aおよび図2Bに基づいて、本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニットについて説明する。
【0056】
図2Aは、本発明の実施の形態2に係る集光型太陽光発電ユニットの長尺状側面を示す側面図である。
【0057】
図2Bは、図2Aに示した集光型太陽光発電ユニットの要部を分解して示す分解斜視図である。
【0058】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1の基本的な構成は、実施の形態1に示した集光型太陽光発電ユニット1と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、細部については、実施の形態1で示したとおりであり、適宜図示を省略している。
【0059】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1では、集光フレーム20および実装フレーム40は、延長されて長尺状としてある。したがって、集光レンズ10は、集光フレーム20の長さ方向に複数配置され、太陽電池素子31は、実装フレーム40の長さ方向に複数配置されている。この構成により、対流が発生する範囲を拡大してさらに効果的な対流を発生させることが可能となるので、さらに放熱性を向上させることが可能となる。
【0060】
実装フレーム40には、例えば太陽電池30が5個1列に配置されており、太陽電池30に対応する位置に5枚の集光レンズ10が配置されている。5枚の集光レンズ10は、1組の集光レンズ群10cを構成している。また、底板部22には、透過穴23が太陽電池30に対応させて5個形成してある。
【0061】
また、レシーバ基板32は、太陽電池素子31毎に配置してある。したがって、レシーバ基板32に対する太陽電池素子31の載置を容易かつ高精度で行ない、実装板部41に対するレシーバ基板32の実装を容易かつ高精度に行なうことが可能となるので、安価で信頼性の高い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。また、レシーバ基板32を実装フレーム40に対応する長尺状とする必要がないことから、レシーバ基板32の温度による膨張変形の影響を無視することが可能となる。
【0062】
実装フレーム40は、換気口44wを有する端面保護板44を両側の端面40tに備える。この構成により、外部環境から太陽電池素子31を保護すると共に実装フレーム40内に外気を取り入れて対流を大きくすることが可能となるので、実装フレーム40(太陽電池30)の放熱効果を向上させて、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。なお、実施の形態1では、換気口44wを有する端面保護板44を示さなかったが、換気口44wを有する端面保護板44は、実施の形態1に適用することが可能である。
【0063】
換気口44wは、例えば切り曲げ加工などのプレス加工法を用いて端面保護板44に対してルーバー式に形成することが可能である。端面保護板44によって端面40tを塞ぎ、砂塵、雨滴などが実装フレーム40と底板部22の間の空間に侵入することを防止する一方、換気口44wから大気を実装フレーム40の内部に取り込むことによって、実装フレーム40と底板部22(集光フレーム20)の間の空間での対流を大きくすることが可能となる。
【0064】
また、連結部42は、連結部42の頂部に形成され底板部22と対面(対向)するように配置された結合端部42bを備える。結合端部42bに形成された連結穴42hは、底板部22に形成された連結穴22hに対して位置合わせしてあり、連結穴22hおよび連結穴42hを貫通する締結部材45によって底板部22と結合端部42bとは相互に締結される構成としてある。したがって、集光された太陽光Lsaが正確に太陽電池素子31へ照射されるように位置合わせを行なうことができる。なお、締結部材45としては、ビス、リベットなどを適用することが可能である。
【0065】
つまり、連結部42は、結合端部42bおよび締結部材45を介して底板部22に連結されている。この構成により、実装フレーム40と集光フレーム20とを容易かつ高精度に連結することが可能となるので、生産性良く安価に集光型太陽光発電ユニット1を製造することができる。
【0066】
<実施の形態3>
図3に基づいて、本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニットについて説明する。
【0067】
図3は、本発明の実施の形態3に係る集光型太陽光発電ユニットの長尺状側面を示す側面図である。
【0068】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1の基本的な構成は、実施の形態1、実施の形態2に示した集光型太陽光発電ユニット1と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、細部については、実施の形態1、実施の形態2で示したとおりであり、適宜図示を省略している。
【0069】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1では、実施の形態2の場合と同様に複数の太陽電池30を配置された実装フレーム40は、実施の形態2の集光フレーム20に比較してさらに延長された一つの集光フレーム20cに対して複数配置してある。
【0070】
したがって、実装フレーム40の大きさを最適化して実装フレーム40に対する太陽電池素子31の配置を高精度に設定し、また、温度の上昇に伴う透過穴23に対する太陽電池素子31の位置ズレを抑制することが可能となるので、光電変換効率が良く、信頼性の高い集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。また、さらに大型化した集光フレーム20cを備えることから、集光型太陽光発電ユニット1を大型化して、大電力を出力させることができる。
【0071】
つまり、一つの集光フレーム20cに対して複数の実装フレーム40を組み合わせることから、大きさが最適化された実装フレーム40を適宜の個数で集光フレーム20cに配置することが可能となる。したがって、相互の位置合わせを高精度に施すことが可能となることから、温度特性が良く、信頼性の高い大電力の集光型太陽光発電ユニット1とすることができる。
【0072】
<実施の形態4>
図4に基づいて、本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニットに適用する実装フレームについて説明する。
【0073】
図4は、本発明の実施の形態4に係る集光型太陽光発電ユニットの実装フレームの端面状態を示す端面図である。
【0074】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電ユニット1に適用する実装フレーム40の基本的な構成は、実施の形態1〜実施の形態3に示した実装フレーム40と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、細部については、実施の形態1〜実施の形態3で示したとおりであり、適宜図示を省略している。
【0075】
本実施の形態に係る実装フレーム40は、実装板部41、連結部42、放熱部43を備え、実装板部41、連結部42、放熱部43は、一体成形してある。したがって、実装フレーム40を容易かつ高精度に形成することが可能となり、また、放熱効率を向上させることが可能となることから、光電変換効率が高く、信頼性の良い集光型太陽光発電ユニット1を安価に製造することができる。つまり、放熱部43を実装フレーム40(実装板部41)に例えばリベットやビス止めなどで機械的に取り付けた場合に比較すると、実装板部41と放熱部43の間に生じる接触熱抵抗を除去した状態となり、放熱性を大幅に向上させることができる。
【0076】
また、実装フレーム40は、押し出し成形によって形成することが望ましい。つまり、押し出し成形によって一体成形することで、実装フレーム40を容易かつ高精度に安定して製造することが可能となり、集光型太陽光発電ユニット1を生産性良く製造することができる。つまり、実装板部41、連結部42、放熱部43を押し出し成形によって形成することによって、優れた放熱性を有する実装フレーム40を容易かつ高精度に製造することが可能となる。
【0077】
実装フレーム40(実装板部41、連結部42、および放熱部43)は、放熱性、軽量化、生産性、コストなどを考慮して、例えばアルミニウムの押出し加工で作製することが望ましい。この構成により、レシーバ基板32から実装フレーム40(実装板部41)に伝導した熱エネルギーを効率良く実装フレーム40の端部まで伝えることができ、実装フレーム40の放熱効果を向上させることが可能となる。
【0078】
さらに、アルミニウムについてはアルマイト処理、その他の材質でも黒色塗装などの適当な表面処理を行なうことが望ましい。つまり、実装フレーム40に対する表面処理を施すことによって、表面処理を施した箇所の放射による放熱効果を向上させ、実装フレーム40の放熱効果をさらに向上させることができる。
【0079】
<実施の形態5>
図5に基づいて、本実施の形態に係る集光型太陽光発電装置3について説明する。
【0080】
図5は、本発明の実施の形態5に係る集光型太陽光発電装置の設置稼動状態を示す斜視図である。
【0081】
本実施の形態に係る集光型太陽光発電装置3は、集光型太陽光発電ユニット1を複数配置して構成した集光型太陽光発電モジュール2を備え、集光型太陽光発電モジュール2(集光型太陽光発電ユニット1)を追尾駆動する構成としてある。
【0082】
つまり、集光型太陽光発電ユニット1は、長尺状の集光フレーム20c(実施の形態3参照)に例えば30cm角程度の集光レンズ10を5枚配置した集光レンズ群10cを2組配置してある。したがって、集光レンズ群10cは、30cm×150cm程度の受光面を構成し、集光型太陽光発電ユニット1は、30cm×300程度の受光面を構成する。
【0083】
集光型太陽光発電モジュール2は、集光型太陽光発電ユニット1を水平方向に7個並置してある。したがって、集光型太陽光発電モジュール2は、270cm×300cm程度の受光面を構成することとなる。また、集光型太陽光発電モジュール2は、集光型太陽光発電ユニット1を適宜の個数の組み合わせで直列または並列に接続され、必要な電力を出力するように構成されている。
【0084】
なお、本実施の形態では、長尺状の延長された集光フレーム20cを採用した集光型太陽光発電ユニット1を水平方向に複数並置した場合を図示するが、実施の形態1、実施の形態2に係る集光型太陽光発電ユニット1(集光フレーム20)を適用して集光型太陽光発電モジュール2を構成することも可能である。
【0085】
つまり、集光型太陽光発電装置3は、実施の形態3で示した集光型太陽光発電ユニット1に限らず、他の実施の形態で示した集光型太陽光発電ユニット1を配置して構成した集光型太陽光発電モジュール2(受光面パネル)を備える。すなわち、集光型太陽光発電装置3は、実施の形態1ないし実施の形態4に係る集光型太陽光発電ユニット1を備えることが可能である。なお、集光型太陽光発電ユニット1を複数配置して集光型太陽光発電モジュール2とした場合を例示したが、集光型太陽光発電ユニット1は、単数であっても良い。
【0086】
したがって、放熱性を向上させて光電変換効率および発電電力を向上させた信頼性および耐候性の高い集光型太陽光発電装置3を実現することができる。
【0087】
なお、集光型太陽光発電モジュール2(集光型太陽光発電ユニット1)は、支柱50によって支持され、支柱50のフランジ面(天面)に配置された追尾機構(不図示)によって追尾駆動され、常に太陽方向へ正対する構成としてある。
【0088】
追尾機構は、太陽方位角に応じて集光型太陽光発電モジュール2を旋回方向Rothで旋回制御する旋回駆動部と、太陽高度に応じて集光型太陽光発電モジュール2を傾倒方向Rotvで傾倒制御する傾倒駆動部とを備える。つまり、追尾機構は、旋回駆動部および傾倒駆動部を太陽軌道に対応させて自動的に制御し、集光型太陽光発電モジュール2の受光面(集光レンズ10の受光面)を太陽光Lsに対して常に垂直方向へ向ける構成としてある。
【0089】
なお、太陽が天頂以外に位置する場合、集光型太陽光発電モジュール2(集光型太陽光発電ユニット1)は、水平に対して傾斜されることとなる。つまり、集光フレーム20cの長さ方向は、垂直方向で傾いて配置されることから、実装フレーム40(および集光フレーム20)に対して煙突効果が働く。したがって、垂直方向で下方の換気口44wから外気を吸引し、上方の換気口44wから実装フレーム40と底板部22の間の大気を排出することが可能となることから、実装フレーム40の空間に大きな対流を発生させて太陽電池30の放熱効果を確実に向上させることができる。
【0090】
追尾駆動システム(追尾機構)の動力系としては、モーターと減速機を用いてギヤを所定の回転数回転させて所定の方向に駆動させる方法、油圧ポンプと油圧シリンダーを用いて所定の長さにシリンダーを調節することにより所定の方向に駆動させるといった方法があり、どちらの方法を用いても良い。
【0091】
追尾駆動システムの動作を制御する方法としては、追尾駆動システムの内部に搭載された時計によって予め太陽の軌道を計算し、太陽の向きに集光型太陽光発電ユニット1(集光型太陽光発電モジュール2)を向かせるように制御する方法、追尾駆動システムにホトダイオードなどからなる太陽センサーを取り付けて太陽方向を随時モニターして制御する方法などが知られており、いずれの方法を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る集光型太陽光発電ユニットの概略断面構成を端面状態で示す端面図である。
【図1B】図1Aの矢符B方向から見た状態を示す側面図である。
【図2A】本発明の実施の形態2に係る集光型太陽光発電ユニットの長尺状側面を示す側面図である。
【図2B】図2Aに示した集光型太陽光発電ユニットの要部を分解して示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る集光型太陽光発電ユニットの長尺状側面を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る集光型太陽光発電ユニットの実装フレームの端面状態を示す端面図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る集光型太陽光発電装置の設置稼動状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0093】
1 集光型太陽光発電ユニット
2 集光型太陽光発電モジュール
3 集光型太陽光発電装置
10 集光レンズ
10c 集光レンズ群
20、20c 集光フレーム
21 側板部
22 底板部
22h 連結穴
23 透過穴
30 太陽電池
31 太陽電池素子
32 レシーバ基板
33 実装部材
35 被覆部
40 実装フレーム
40t 端面
41 実装板部
42 連結部
42b 結合端部
42h 連結穴
43 放熱部
44 端面保護板
44w 換気口
45 締結部材
50 支柱
Lax 光軸
Ls、Lsa 太陽光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を集光する集光レンズと、該集光レンズで集光した太陽光を透過させる透過穴を有する集光フレームと、前記透過穴を透過した太陽光を受光する太陽電池と、該太陽電池を実装した実装フレームとを備える集光型太陽光発電ユニットであって、
前記集光フレームは、前記集光レンズを支持する側板部と、該側板部の間に配置され前記透過穴を有する底板部とを備え、
前記太陽電池は、前記透過穴に位置決めされ光電変換を行なう太陽電池素子と、該太陽電池素子を載置したレシーバ基板とを備え、
前記実装フレームは、前記レシーバ基板を実装する実装板部と、該実装板部の両側に配置されて前記実装板部を前記底板部に連結する連結部とを備えること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記集光フレームおよび前記実装フレームは、延長されて長尺状としてあり、前記集光レンズは、前記集光フレームの長さ方向に複数配置され、前記太陽電池素子は、前記実装フレームの長さ方向に複数配置されていること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記実装フレームは、一つの前記集光フレームに対して複数配置してあること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記実装フレームは、換気口を有する端面保護板を両側の端面に備えること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記実装フレームは、放熱部を備えること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記実装板部、前記連結部、前記放熱部は、一体成形してあること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の集光型太陽光発電ユニットであって、
前記実装フレームは、押し出し成形によって形成されていること
を特徴とする集光型太陽光発電ユニット。
【請求項8】
集光型太陽光発電ユニットを備える集光型太陽光発電装置であって、
前記集光型太陽光発電ユニットは、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の集光型太陽光発電ユニットであり、追尾駆動される構成としてあることを特徴とする集光型太陽光発電装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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