集光機構のための方法、システムおよび装置
一つの態様は、一般に共鳴構造体(100)に関する。共鳴構造体(100)は、基板(105)、および基板(105)上に堆積されたナノボウタイアンテナ(110)を含む。また、共鳴構造体(100)は、基板(105)上に堆積され、ナノボウタイアンテナ(110)を取り囲む筐体(140)も含み、筐体(140)は、ナノボウタイアンテナ(110)における増強レベルを上げるように構成される。他の態様において、共鳴構造体は、基板、および中心穴(315)を有するブルズアイ構造体(300)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる2007年9月18日に出願された米国特許出願第60/973,429号による35 U. S. C. §119(e)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
本発明は、一般に集光機構または光増強機構に関し、特に、周辺共鳴空洞(peripheral resonant cavity)における表面プラズモンに基づいて高エネルギ場を形成するための集光機構のための方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
蛍光標識ヌクレオチドを使用する非段階的な単一分子シーケンシング(光解離性ブロッカを自励しまたは利用する)では、方法論に影響を与えて、標識ヌクレオチドからのバックグラウンドを減少させ、それにより、組み入れられるヌクレオチドと結合する標識を適切に観察できるようにする必要がある。既に記載されている幾つかの方法論は、ゼロモード導波路、光解離性リンカーのクエンチングと組み合わされるプラズモン共鳴、酵素とヌクレオチドとの間のFRET対、TIRFと組み合わされる排除層、および類似の他の技術を含む。
【0004】
従来の方法論は欠点および不都合を有する。例えば、典型的な方法論は、典型的に、小領域内を除いて励起光を遮断することを伴う。この励起光は、典型的に、大きい高価なレーザを必要とする。更に、この方法論は、かなりの量のバックグラウンドノイズを生成する場合があり、それによりシグナルの質が低下する。
【発明の概要】
【0005】
概要
一態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積されるナノボウタイアンテナを含む。また、共鳴構造体は、基板上に堆積されてナノボウタイアンテナを取り囲む筐体も含み、筐体は、ボウタイ構造の周囲の領域でバックグラウンドレベルを最小限に抑える。
【0006】
他の態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積されるブルズアイ構造体を含む。ブルズアイ構造体は、貫通穴ではない中心開口を更に含む。
【0007】
更なる他の態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積される金属層を含む。また、共鳴構造体は、金属層上に堆積される金属ダイポールも含み、該金属ダイポールの隙間内に増強領域が形成される。前述し且つ以下で更に詳しく説明する共鳴構造体の開示された態様において、これらの共鳴/プラズモン構造はプラズモン集束構造であってもよい。
【0008】
更に他の態様は、一般に、共鳴構造体を形成するための方法に関する。方法は、基板上にフォトレジストの層を堆積させ、フォトレジストをパターニングして、少なくとも1つの共鳴構造体を形成する段階を含む。また、方法は、フォトレジストを露光して、露光されたフォトレジストを固化するとともに、フォトレジストを洗浄する段階も含む。更に、方法は、金属の層を堆積させ、フォトレジストおよび対応する金属を除去する段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
態様の以下の詳細な説明を参照し、添付図面と関連させて考慮すると更に良く理解されるようになるため、態様の様々な特徴は更に十分に理解できる。
【図1】一態様に係る例示的な閉鎖型ナノボウタイアンテナを示している。
【図2】図1に示される閉鎖型ナノダイポールにおける増強レベルのグラフを示している。
【図3A】他の態様に係る例示的な階段状ブルズアイ構造体の平面図を示している。
【図3B】図3Aに示される階段状ブルズアイ構造体のプロファイル図を示している。
【図4A】更なる他の態様に係る共鳴構造体の他の態様の平面図を描いている。
【図4B】図4Aに示される共鳴構造体のプロファイル図を示している。
【図4C】図4Aに示される共鳴構造体における反射および光角度を描いている。
【図4D】図4Aに示される共鳴構造体における増強および光源角度を示している。
【図4E】更なる他の態様に係るネガボウタイアンテナ構造を示している。
【図5】更なる他の態様に係るナノボウタイアンテナの格子を描いている。
【図6】更なる他の態様に係る共鳴構造体を形成するためのプロセスフローを示している。
【図7】関数sin(θ)cos(1.5×θ)におけるビートパターンを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
以下の用語は、以下で詳述する様々な態様を説明するために使用される。
【0011】
プラズモン共鳴は、光周波数での自由電子の集団振動すなわちプラズモンとして規定され得る。
【0012】
表面プラズモンは、表面に限定され且つ光と強く相互作用してポラリトンをもたらすプラズモンである。表面プラズモンは、プラスの誘電定数を有する材料とマイナスの誘電定数を有する材料(通常は、金属またはドープされた誘電体)との界面で生じる。
【0013】
共鳴構造体とは、光エネルギを集中させて高い局所電場の小さい領域を形成するための構造の形状と共にプラズモン共鳴を使用する、ナノアンテナまたはナノ粒子などの構造体のことであり得る。
【0014】
蛍光増強比率(FER)とは、共鳴構造要素と関連する励起領域から集められた蛍光光子の、共鳴構造要素を有さず且つ他の全ての変数が一定に保たれる同等サイズの領域から集められた光子に対する比率のことであり得る。
【0015】
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」または「核酸」という用語は、置き換え可能に使用できるとともに、ヌクレオチド間リン酸ジエステル結合による連結、もしくはヌクレオチド間類似体によって結合される2'-デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)を含むヌクレオチドモノマーの一本鎖または二本鎖ポリマー、ならびに例えばH+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などの関連する対イオンを含む。ポリヌクレオチドは、専らデオキシリボヌクレオチドから構成され得、専らリボヌクレオチドから構成され得、またはこれらのキメラ混合物から構成され得る。ポリヌクレオチドは、核酸塩基および糖類似体から構成され得る。ポリヌクレオチドは、典型的に、それらが当技術分野においてオリゴヌクレオチドとして頻繁に言及される場合には数モノマー単位、例えば5〜40から、数千モノマーヌクレオチド単位までのサイズ範囲にある。他に示されていなければ、ポリヌクレオチド配列が表されるときは常に、ヌクレオチドが左から右へ5'から3'の順であり、また、他に言及されていなければ、「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、および「T」がチミジンを示すことは理解される。標識ヌクレオチドは、5'末端、3'末端、核酸塩基、ヌクレオチド間結合、糖、アミノ、硫化物、ヒドロキシル、またはカルボキシルに改変部を含むことができる。これについては、参照により本明細書に組み入れられる例えばLeeらの米国特許第6,316,610 B2号を参照されたい。同様に、適切であると考えられる指示部位で他の改変をなすことができる。
【0016】
態様の詳細な説明
簡単にするため、および例示目的で、主に本発明の例示的な態様を参照することにより、本発明の原理を説明する。しかしながら、当業者であれば容易に認識できるように、生体分子検出などの全てのタイプの検出システム、ハイブリダイゼーション、DNA塩基配列決定法、FCS、単一分子、分子複合体、またはバルク動力学的研究などに同じ原理を等しく適用することができ且つこれらで同じ原理を実施することができ、任意のそのような変形は本発明の思想および範囲から逸脱しない。検出方法は、蛍光、FRET、散乱、量子ドット、アップコンバーティング蛍リン光体などの検出を含むことができる。更に、以下の詳細な説明では、特定の態様を示す添付図面を参照する。これらの態様に対しては、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、電気的、機械的、論理的および構造的変更をなすことができる。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって規定される。
【0017】
幾つかの態様は、一般に、表面プラズモンの使用によって高エネルギ場を形成するためのシステム、装置、および方法に関する。特に、1つの態様では、プラズモンエネルギを局所スポットへ集中させるように閉鎖型ナノアンテナまたはダイポールを構成することができる。例えば、エネルギを構造の中心または隙間に集中させることができ、それにより、プラズモン強度を局所領域で高めることができる閉鎖型ボウタイナノアンテナを製造することができる。閉鎖型ボウタイナノアンテナを受信器として使用することもできる。そのようなものとして、閉鎖型ボウタイナノアンテナを使用して分子をクエンチし、放射を集めることができる。これらの金属構造の全ては、蛍光色素分子が十分に近い場合には、蛍光をクエンチする。望ましくないクエンチングを防止するため、薄い(約10nm)誘電体層を使用して蛍光色素分子を金属から離間させることができる。そのような層は、ガラス、プラスチックまたはPEGなどの化学コーティングから形成することができる。厚さは、蛍光色素分子が完全にはクエンチングされないが、集中プラズモンのボリュームの外側に離間されるまで離れていないように、蛍光色素分子を離間させるのに十分でなければならない。
【0018】
図1は閉鎖型ボウタイナノアンテナ100を示している。図1に示されるように、閉鎖型ボウタイナノアンテナ100は電磁的に透過性の基板105を備えることができ、該基板上にアンテナ構造110が支持される。アンテナ構造110は、導電アーム115および120をそれぞれ含むボウタイアンテナ(またはダイポール)を備える。末端125および130では、導電アーム115および120が横方向寸法dを有する隙間135の分だけ離間される。実質的に、導電アーム115および120はダイポール状アンテナを形成する。金属筐体140がアンテナ構造110を取り囲むことができる。金属筐体140の金属としては、貨幣金属、アルミニウム、またはその合金などの金属を使用できる。金属筐体140は、入射光源と非結合標識ヌクレオチドとの間の相互作用を妨げる役目を果たすことができる。金属筐体140は、共鳴作用の増強を高めることができる。更に、二次的な増強ボリュームを引き起こし得る金属筐体140に対するカップリング量は最小である。
【0019】
図2は、ダイポールアンテナの上部のXY平面における増強レベル、Exのグラフを示している。図示のように、ダイポールの上部では隙間の全体にわたって増強レベルが55〜60であり、一方、ダイポールの右側の増強レベルは隙間を横切って周囲の金属まで約10〜15である。この場合、5〜10nm以内の増強レベルは、金属筐体による蛍光クエンチングに起因して有用ではない。
【0020】
ダイポールの側に対するカップリングは無いように見える。金属筐体の一端からの距離がλ/2よりも大きいと、ダイポールの両側に、隙間を通じたバルク溶液の何らかの照射が存在する場合がある。しかしながら、それぞれの側で隙間が約20nmであるため、通過できる励起光の量は、放射光の量と同様に非常に少ない。励起照射および放射照射をコンボリューション(convolving)すると、少量の光がもたらされる。
【0021】
増強レベルは、ダイポール、すなわち導電アーム115、120の長さ、およびダイポール間の隙間135の幅にかなり依存しているように思われる。また、増強は、構造の厚さ、およびダイポール構造の幅、ならびにボウタイ構造の角度にも依存している。ダイポールの最適な長さは、吸収される光の波長に依存するが、最適な長さの実際の値は広いように思われる。
【0022】
増強レベルは、導電アーム115、120間の隙間135のサイズが減少するにつれて増大するように思われる。しかしながら、最大の有用な増強にとって最適な隙間135における幅は約20〜30nmであると思われる。金属/蛍光色素分子相互作用に起因して、両側では、少なくとも5〜10nmが効果的にクエンチされる。隙間135の縁部におけるこのボリュームは、高い増強を有する空間を隙間の中心に残しつつ、蛍光色素分子がこのボリュームを占めないようにするために、石英ガラスなどの誘電体で満たすことができる。
【0023】
閉鎖型ボウタイアンテナの他の変形は、対数周期アンテナ、スパイラルアンテナおよびスロットアンテナなどの他のタイプのアンテナ構造を含むことができる。ボウタイアンテナの更に詳しい説明は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,696,372号で見出すことができる。
【0024】
図3Aは、他の態様に係る階段状ブルズアイアンテナ300を示している。図3Aに示されるように、階段状ブルズアイアンテナ300は、プラズモンエネルギを局所スポットへ集中させるように構成される円形ナノアンテナであってもよい。階段状ブルズアイアンテナ300を基板上にわたって位置させることができる。階段状ブルズアイアンテナ300は中心穴315を含むことができる。励起光が頭上光源からバルク溶液を通じて階段状ブルズアイアンテナ300へ向けられると、階段状ブルズアイアンテナ300は、プラズモンを階段状ブルズアイアンテナ300の中心穴315へ向けることができる。このとき、フォーカスされたプラズモンが中心開口で垂直に共鳴し、それにより、非常に高い増強レベルが形成される。
【0025】
図3Bは、更に他の態様に係る階段状ブルズアイアンテナ300の側面図を示している。階段状ブルズアイアンテナ300は、基板上にAl、Ag、Au、Cu、Ptなどの金属および/またはこれらの金属の合金を伴って構成することができる。接着層を伴う態様の場合、接着層は、クロム、ニッケル、アルミニウム、チタン、ICOおよび他の透明酸化物、または他の類似の金属酸化物を伴って構成することができる。あるいは、メルカプトシランを接着層として使用することができる。シランはシリカまたは金属酸化物表面に結合し、一方、チオール(メルカプト)は使用される任意の貨幣金属に結合する。階段状ブルズアイアンテナ300は、介在空間310を伴う一連の同心円金属帯305から形成することができる。金属帯305の幅は約50〜100nmの高さでλ/2であってもよく、介在空間310は約λ/2の幅を有することができる。この場合、各空間および金属の対同士の間の間隔はλである。ここで、λは励起波長の波長である。ブルズアイアンテナ300の中心穴315は、約15〜50nmの直径および約25nmの深さを有することができ、金属を貫通せずに、約25nmの金属を残しており、すなわち部分的にエッチングされた開口である。
【0026】
原型的な共鳴構造体としてのブルズアイアンテナ300は、ゼロモード導波路との類似点を有するが、ゼロモード導波路の定義(貫通穴がない)または光が貫通しないときの動作の物理的過程に適合していない。むしろ、ブルズアイアンテナ構造300は、段付き開口内でフォーカスされた表面プラズモン共鳴を形成する。励起光由来の金属電子の運動量は、電子がコーナーを回るのを防止する。ブルズアイ構造体は、ベース金属の厚さに僅かに依存し得るが、共鳴が生じる中心開口の深さに影響され得る。
【0027】
ブルズアイアンテナ300の他の態様は、石英ガラス基板上に銀を伴って構成される介在空間が浅い材料の円形帯をなすことができる。この態様における増強レベルは、140〜220のオーダーと、より高くすることができ、部分開口の直径にわたってこの増強レベルを維持する。
【0028】
この態様においては、励起光源が上方からバルク溶液を通じて方向付けられる。しかしながら、適切な厚さおよび溝間隔を使用すると、光を下部から上部の表面プラズモンへとカップリングすることができる。更に、下部のプラズモンを、部分開口の下部の適切に薄い(金属の表面厚さ未満の)金属層を介して、この部分開口中へ、したがって、金属の上部へとカップリングできるであろう。
【0029】
ブルズアイ構造体300は、他の様々な技術を使用して製造することもできる。例えば、二段階堆積技術を使用できる。より具体的には、金属の第1の層を基板上にわたって堆積させることができる。その後、金属の円形帯の第2の層を金属の第1の層上に堆積させることができる。この技術の変形は、金属の第2の層を堆積させた後に、集束イオンビームを用いて溝をエッチングすることであってもよい。他の例は、基板上にわたって金属の層を堆積させた後に、ブルズアイ構造体の溝をエッチングすることであってもよい。そのようなエッチングは、集束イオンビームエッチング、または他の更に標準的な半導体プロセスを使用して行なうことができる。
【0030】
図4Aおよび図4Bは、更に他の態様に係る他の共鳴構造体400を集合的に示している。図4Aに示されるように、共鳴構造体400は、金属の薄い平面410(5〜15nm厚)上に位置する金属ナノボウタイアンテナ405(約25〜50nm厚)を備えることができ、この場合、平面は石英ガラス基板415に隣接する。励起光420が基板415の下側から共鳴構造体400を照らすことができる。金属ボウタイアンテナのダイポール間の隙間の上部に共鳴増強を見出すことができるが、端部間の増強は僅かな大きさであり、これは、金属の平面410がプラズモンをショートしないことを考えると、驚くべき結果だといえる。また、励起光は、入射光が、TIRFにおいて必要とされるよりも急な角度であるSPCEの臨界角における予期されるカップリングに対して垂直となり得るものの、上部でボウタイアンテナにカップリングされる。最後に、増強は、励起光レベルを減衰させることが予期される介在金属層を伴うことなく、石英ガラス基板上に直接に配置されるダイポール、すなわちボウタイアンテナにおいて観察されるよりも幾分大きい。
【0031】
共鳴構造体400は、良好な増強性能特性を有しており、光の大部分がバルク溶液中へ侵入するのを妨害することができる。あるいは、妨害は、図4Cに示されるように光の角度がSPCE臨界角へ向けて増大する(典型的には、SPCE角から、10〜15nmからの急な変化が存在する)につれて増大し得る。図4Cは、反射および光角度のプロット430を描いている。プロットライン435は、従来の顕微鏡の対物レンズを用いて達成できる角度である45度で透過がほぼゼロになることを示している。
【0032】
また、金属の平面410(基板415側からの収集を使用する)は、バルク溶液中の任意の望ましくない蛍光を効率的に遮断する。更に、放射エネルギを収集するためならびに励起のために共鳴構造体400を使用できる場合には、共鳴構造体由来のエネルギが明確な偏光を有するであろうことから、偏光フィルタを使用して、バルク溶液由来の望ましくない蛍光を遮断することができる。
【0033】
共鳴構造体400の他の態様では、金属筐体、例えば図1の金属筐体140を図1および図4A〜Bとの組み合わせとしての共鳴構造体と共に構成することができる。
【0034】
図4Dは、共鳴構造体400における増強および光源角度(source angle)のグラフを描いている。この構造にとって最適な角度は30〜35度であると思われ、その場合、通常の入射によって得られるレベルからの非常に著しい増強レベルの向上を伴う。ボウタイの形状および長さを適切に最適化することなく、900を超える増強レベルを得ることができる。
【0035】
幾つかの態様では、より効率的な共鳴器を有することに起因して高レベルの増強を形成するために、共鳴空洞の代わりに、ボウタイアンテナ100、または参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国仮特許出願第60/826,079号に記載される他の共鳴構造体を、ブルズアイ構造体300または他の集束構造体の中心に配置することもできる。この態様においては、部分的にエッチングされる開口315を伴うことなく、ブルズアイ構造体300を構成することができる。
【0036】
ボウタイアンテナ構造は、ポジ(positive)またはネガ(negative)のいずれかとなり得る。すなわち、ボウタイアンテナ構造は、ある位置で金属から形成することができ、または金属の平面にエッチングすることができる。後者が実施される場合には、金属の既存の平面上にわたってリフトオフ技術を使用することができる。これは、ボウタイ開口、または金属平面を完全には貫通して延びない閉鎖型ボウタイ構造をもたらし得る。図4Eは、ネガボウタイアンテナ構造450、またはボウタイ開口を描いている。
【0037】
図4Eに示されるように、ネガボウタイアンテナ構造450は、いかなる金属も有さないエア領域460を画定する金属領域455を備えることができる。エア領域460は、ボウタイアンテナの形状をなすように構成することができ、これは、金属の層のエッチングによって、またはリフトオフプロセスを使用することによって実施することができる。ネガボウタイアンテナ構造450は、長さa、狭い側の幅b、隙間幅g、および開口の角度であるシータθを有することができる。共鳴は、2つの金属側面が最も近接する隙間(gap)、すなわちgにわたって生じ得る。
【0038】
図4Eに描かれるボウタイ開口は間隔または隙間を有する。幾つかの態様において、ボウタイ開口は、C形状、H形状、円形状、正方形状または他の多角形などの特定の他の形状となるように形成することもできる。
【0039】
共鳴構造体の他の態様は、Qドットまたはアップコンバーティング蛍リン光体を増強領域に対して直接にアタッチメントさせてスペクトルシフトを与えることであってもよい。他の態様は、ブルズアイ構造体またはダイポールから離れる領域で金属厚さを増大させて、バルク溶液中への励起光の透過を更に減らすことであってもよい。更なる他の態様は、異なる長さを有し、したがって異なる角度で使用できる異なる共鳴周波数を有し、適合する波長の光源由来の適合する偏光角を有する、複数のダイポールであってもよい。ダイポールの異なる長さは、異なる励起波長でカップリングするため、または異なる放射波長をカップリングアウト(couple out)するために使用できる。
【0040】
他の態様は、ダイポール対の異なる側で、異なる長さ、したがって共鳴周波数を使用できる。更に他の態様は、ダイポールの共鳴周波数が比較的幅広いことに起因して、ある単一のダイポールの周波数に比較的近い異なる励起周波数を使用することができる。この形態の増強レベルは最適ではない。しかしながら、それはあまりにひどく低下するわけではない。
【0041】
一般に、前述した構造においては、以下の4つのパラメータを考慮しなければならない:(1)プラズモンを所望の場所(具体的には、石英ガラス基板における励起から水溶液と金属との間の界面まで)にカップリングすること;(2)プラズモンをフォーカシングすること;(3)zおよび/またはxy軸のいすれかにおいて共鳴し得る、プラズモンのための共鳴構造体を形成すること;ならびに(4)望ましくない領域由来の励起光またはカップリングされたプラズモンを防止すること。
【0042】
更なる他の態様は一般に光活性化プロセスに関する。特に、表面プラズモンは、光でも電磁波でもなく、電子振動であるため、表面プラズモンを使用して、光開裂リンカーまたは光活性アタッチメントなどの光子によって引き起こされる多くの光活性プロセスを活性化させることができる。表面プラズモンを使用して光活性化プロセスを活性化させることができる方法の一例は、参照により本明細書に組み入れられる2007年1月25日に公開されたHydeの米国特許出願第2007/0017791号に記載されている。光開裂リンカーのための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2000年5月2日に発行されたRothschildらの米国特許第6,057,096号に記載されている。光活性化可能な分子のための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる1999年12月7日に発行されたFisherらの米国特許第5,998,597号に記載されている。光活性化プロセスのための分子およびアタッチメント方法のための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2005年11月22日に発行されたDuffyらの米国特許第6,967,074号に記載されている。
【0043】
前述した共鳴ナノ構造においては、光学干渉の方法を使用して平行なラインを形成することができる。複数の露光を使用して、干渉線(interference line)を回転させ、互いに対して角度をなす複数の干渉線を形成できる。したがって、この技術を使用して、穴の配列またはラインの格子を形成することができる。この光学干渉方法の他の使用法を用いて、ボウタイダイポールを形成することができる。
【0044】
図5は、ボウタイダイポール500の格子の部分図を示している。図5に示されるように、ボウタイダイポール500の格子は、70nmおよび100nm間隔を伴う一組の45度三角形を含む。図5は70nmおよび100nm間隔を伴う45度三角形を描いているが、本態様の範囲および思想から逸脱することなく、他の角度および間隔を使用することができるとともに、異なる幅、間隔、および角度を有するラインを使用することもできる。異なるタイプの三角形は、励起光の偏光角に対して異なるプラズモン周波数を有することができる。このとき、プラズモンポラリトンは、三角形の頂点で電場増強ボリュームを形成できる。チャンネルのうちの1つが他のチャンネルよりも幅広い場合には、鈍的な頂点を形成できる。
【0045】
図6は、図5に示されるボウタイダイポールを形成するための流れ工程600を示している。図6に示されるように、ステップ605では、石英ガラス(SiO2)などの適切に透明な基板上にフォトレジストの層を堆積させることができる。ステップ610では、干渉パターンを使用して、ダイポールのパターンをフォトレジスト上にパターニングすることができる。露光の結果として、露光されたポジフォトレジストは架橋されており、すなわち固体化されている。その後、ステップ615では、フォトレジストが現像されて洗浄され、それにより、三角形(三角形の中心が空の状態)の配列のラインを形成するラインが残存する。ステップ620では、基板が金属化されて、開放三角形が満たされ、フォトレジスト輪郭の上部がコーティングされる。その後、ステップ625では、標準的なリフトオフプロセスを使用して、フォトレジストが該フォトレジストの上部の金属と共に除去される。
【0046】
流れ工程600の他の態様は、ネガフォトレジストを使用することを考える。この場合、基板は、フォトレジストでコーティングする前に金属化される。その結果、現像されたフォトレジストは、架橋フォトレジストの三角形間に開放隙間を有する。その後、塩素エッチングなどのエッチングプロセスを使用して、隙間下の金属が除去される。
【0047】
また、幾つかの態様は、三角形のサイズに対してより狭いラインを形成することも考える。より具体的には、図7に示されるように、所与のピッチに関して関数cos(θ)sin(1.5θ)を用いて、例えばビートパターンを使用することにより、細い/狭いラインを形成することができる。したがって、cos(θ)およびsin(1.5×θ)との組み合わせを使用して、より複雑な干渉パターンを形成することができる。更に他の態様は、位相シフトマスクを使用して、光の通常の回折限界を下回る分解能においてパターンを形成することを考える。
【0048】
プロセスフロー600の他の変形は、より高い柔軟性を与えるナノインプリンティング技術を使用できる。より具体的には、フォトリソグラフィプロセスを使用するのではなく、ナノプリンティングを使用して、エッチングレジストをパターニングできる。結果として、簡単な三角形だけが形成されることが求められない。プロセスフロー600の他の変形は、電子ビームリソグラフィ、集束イオンビーム、ナノスフェアリソグラフィなどの技術を使用することを含むことができる。
【0049】
前述したプラズモン構造を形成する他の方法としては、特に、石英ガラスなどの基板上にわたって接着層を堆積させる。接着層は、クロム、ニッケル、または金属酸化物であってもよい。その後、プラズモン金属層を接着層上に堆積させることができる。プラズモン金属は、Al、Pt、Zn、Au、Ag、Cuなどの貨幣金属であってもよい。その後、第3の層をプラズモン金属層上に堆積させる。第3の層は、金属または誘電体、例えばSaO2、シリカ、アモルファスシリコン、窒化ケイ素、または他の類似誘電体などの様々な材料を用いて構成できる。
【0050】
その後、第3の層をエッチングマッチとして使用できる。より具体的には、第3の層上でフォトレジストまたは電子ビームレジストをパターニングする。その後、パターンが第3の層へ転写される。続いて、パターンを第2および第1の層へと転写することができる。ガラスへのエッチングを防止するために、第1の層をエッチング停止層として使用することができる。あるいは、第1および第2の層を一緒にエッチングすることができる。第1の層がエッチング停止層として使用される場合には、それを構造の一部として保持することができ、またはそれをその後のエッチングプロセスでエッチングすることができる。
【0051】
前述した製造プロセスの変形は、薄い誘電体層をスタンドオフ層として堆積させることを含むことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるReelらの2007年5月16日に出願された米国特許出願第11/749,411号に記載されている。共鳴構造体を取り囲む誘電体の開口の横方向寸法は、λ/2よりも大きくまたは小さくてもよい。誘電体は光閉じ込めを行なうことができ、これについては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2006年3月23日に公開された米国特許公開第2006006264号に記載されている。誘電体層がスタンドオフ層であってもよいが、製造プロセスにおいて誘電体層がエッチングマスクとして機能することもできる。
【0052】
共鳴構造体の異なる領域において異なるプラズモン共鳴を可能にするために、異なる金属および異なる金属合金を使用することができる。金は、530nmよりも大きい波長のため有益であり得、アルミニウムまたは銀は、全ての可視光線と共に使用するのに好ましい。金属を選択する際に考慮すべき事項は、プラズモンポラリトンが吸収されて熱へ変換される前に共鳴できる回数を制限する表面減衰長(surface decay length)である。
【0053】
しかしながら、金属だけが共鳴および/または集束構造の構成要素である必要はない。これらの共鳴および/または集束構造の態様を、部分的に誘電体材料を使用して形成することができる。
【0054】
光エネルギは、従来の顕微鏡技術を使用してこれらの構造へカップリングさせることができ、または導波路を使用して、特に米国仮出願第60/826,079号に記載されるフォトニック結晶導波路を使用してカップリングさせることができる。
【0055】
更なる増強は、プラズモン構造を組み合わせることによって達成できる。例えば、ビード、ナノシェル、ナノライス、ナノクレセント、または他の類似の構造は、ボウタイ、ブルズアイまたは他の類似の構造と相互作用するように局在化させることができる。そのような局在化は、光作動性アタッチメントを利用できる。構造化されたパターンまたは増強領域は、ナノ粒子の構造的アタッチメントのためのパターンを与えることができるとともに、励起および収集の両方に関して更なる増強を与えることができる。
【0056】
前述した共鳴および/または集束構造は、様々な検出システムで使用できる。例えば、これらのプラズモン構造は、抗体レセプターまたはリガンド、ハイブリダイゼーションなどを使用するタンパク質検出などの生体分子検出のために使用できる。
【0057】
これらの共鳴および/または集束構造は、光開裂リンカーおよび光活性アタッチメントのために使用することもできる。そのような化合物およびそれらの使用に関する従来の記載は、光、電磁放射線または電磁波を、光開裂リンカーにおける結合を破壊するため、または光活性化可能なアタッチメント部位を活性化するためのエネルギ源と称する。プラズモンポラリトンも同様に光開裂リンカーおよび光活性アタッチメントのためそのようなエネルギ源となることができるが、プラズモンポラリトンは、光、電磁放射線、または電磁波ではない。代わりに、プラズモンポラリトンは一群の振動電子である。さらに、表面プラズモンポラリトン構造は、拡散および反応に対して熱的効果を与えるために非常に局部的な加熱を行なうこともできる。
【0058】
前述した共鳴および/または集束構造においては、増強が最も高い特定の領域に分子を配置することが望まれ得る。しかしながら、このアタッチメントが無作為に行なわれる場合には、結果として高いバックグラウンドノイズが生じ得る。
【0059】
高いバックグラウンドノイズに対抗するための1つの方法は光活性化であり得る。この場合、活性化は、増強が最も高い領域に優先的にアタッチメントするように構造体由来の増強を使用して達成される。増強が更に低い(または無い)領域でアタッチメントが存在するが、これらの場所で蛍光色素分子により生成されるシグナルは比例的に低く、また、増強が低いまたは無い領域に対して高い増強を有する領域では、比例的に更に高い増強が存在する。したがって、所望の場所における増強が、意図しない場所よりも所望の場所の方で十分に高い場合には、意図しない場所での蛍光色素分子からのシグナルをバックグラウンドとしてソフトウェアを使用してフィルタリングし除去することができる。例えば、ボウタイ構造において、中心隙間が100の増強レベルを有し、より大きい端部は10の増強レベルを有するとする。そのような構造は、等しい数のアタッチメントを中心隙間およびより大きい端部において有するであろうが、しかし、中心で10倍大きい増強が存在するため、中心隙間の分子からのシグナルは、端部にアタッチメントされた分子に比べ10倍高いであろう。
【0060】
構造の好ましくない領域でのアタッチメントを減らすため、異なる金属の薄い層を使用して、構造の一部に対するアタッチメントを防止してもよい。例えば、金構造または銀構造の表面上でクロム層が使用されてもよい。チオールアタッチメント化学反応が使用される場合、チオールは、クロム層にアタッチメントせず、銀または金のみにアタッチメントする。したがって、構造の上部、および、トレンチボウタイ構造が使用される場合には構造間の平面では、任意の蛍光色素分子がアタッチメントすることが防止され得る。層が5nm以下オーダーと十分に薄い場合、層は、構造のプラズモン特性に対して著しい影響を及ぼさない。そのような層は、作用において、エッチングレジストとしての更なる目的を果たす。クロム接着層を使用することもできる。この場合には、フォトレジストが最初に露光されて現像され、それにより、上部クロム層をエッチングすることができる。その後、クロムは、異なるエッチング化学反応を使用してエッチングレジストとして使用されてもよい。下部クロム層も石英ガラス中へのオーバーエッチングを防止するように作用する。
【0061】
好ましくない領域でのアタッチメントを防止するための他の技術では、構造に対するアタッチメントを防止するためにフォトレジスト層が使用されてもよい。構造が形成された後、薄いフォトレジスト層が構造上にわたって加えられてもよい。その後、構造に対して光が加えられてもよく、増強が最も高い領域でフォトレジストが優先的に露光される。フォトレジストが光の露光に対して非線形様式で反応するため、典型的に、露光と非露光との間で2:1のファクタが必要とされ、したがって、所望の領域と意図しない領域との間の増強の3:1のファクタにより、露光(および非露光)が適切に起こるのを保証する十分な許容性が可能になる。その後、フォトレジストが現像され、それにより、増強の高い領域に穴が形成される。その後、アタッチメントまたは光アタッチメントが行なわれてもよい。フォトレジストの厚さは、構造の多くのタイプにおいて重要となる可能性が高い。これは、増強領域が構造の上側へと長く延びておらず、おそらく5〜10nmほどしか延びていないからである。一部の構造は、構造よりも上側にかなり延びる増強領域を有する。この1つの例が段付き開口であり、この段付き開口は、該開口の上側に延びる略平行な増強領域を形成する。
【0062】
更なる他の技術は、結合部分を増強部位に位置決めするために金膜における差異を使用することができる。この方法では、アルカンチオール(おそらく、色素標識分子の表面に対する非特異的結合を防止するためにPEG末端チオール)を用いて金表面が最初に改質される。最初の官能化の後、表面は、(ビオチンのような)末端結合部分を有するチオールに短時間(<30秒)だけ曝露される。そのように短時間だけ曝露することにより、これらの分子だけが金膜の欠陥部位中に入り込むはずである(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるCyganらのJACS 1999, 120, 2721-2732;LewisらのJACS 2004, 126, 12214-12215)。金膜は、ボウタイ構造の先端に、より多くの欠陥部位を有するはずであり、そのため、結合部分を有するチオールがそこに優先的に結合する。
【0063】
更に他の技術は、二光子光物理的工程を使用する。構造が高強度パルスで照射される場合、構造は、λ/2でポラリトン(および光子)を形成することができる。これは、増強が高い領域でのみ起こる。その後、増強が高い領域でのみ光アタッチメントが起こり、光化学反応が潜在的にUV励起を利用できる。例えば、これは、増強が最も大きい領域でビオチン、ベンゾフェノンまたは他の類似の化合物などの優先的にアタッチメントされた結合部分に対して使用され得る。二光子技術を使用した後、同じ領域において解析目的で更に低い増強の通常の増強を後に使用することができる。同様に、低い波長で反応するフォトレジストを前述したように露光することができる。
【0064】
更なる他の技術は、露光に起因して重合するフォトレジストを使用し、それにより、高い増強を有するボリュームへのアクセスが妨げられる。この場合、露光されて現像されたフォトレジストによって覆われる領域を除く全ての領域で、既にアタッチメントされたリンカーを除去することができる。あるいは、この露光表面は、リンカーが結合しないように、フォトレジストを除去できるように、および増強が高い領域でリンカーを優先的にアタッチメントさせることができるように、化学的に処理しまたはコーティングすることができる。
【0065】
本発明の例示的な態様を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、真の思想および範囲から逸脱することなく、前述した態様に対して様々な変更をなすことができる。本明細書において使用される用語および説明は、単なる例示として示されており、限定しようとするものではない。特に、方法を例として説明してきたが、方法の段階は、説明した順序と異なる順序でまたは同時に行なわれてもよい。当業者であれば分かるように、これらの変形および他の変形は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物に規定される思想および範囲内で可能である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる2007年9月18日に出願された米国特許出願第60/973,429号による35 U. S. C. §119(e)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
本発明は、一般に集光機構または光増強機構に関し、特に、周辺共鳴空洞(peripheral resonant cavity)における表面プラズモンに基づいて高エネルギ場を形成するための集光機構のための方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
蛍光標識ヌクレオチドを使用する非段階的な単一分子シーケンシング(光解離性ブロッカを自励しまたは利用する)では、方法論に影響を与えて、標識ヌクレオチドからのバックグラウンドを減少させ、それにより、組み入れられるヌクレオチドと結合する標識を適切に観察できるようにする必要がある。既に記載されている幾つかの方法論は、ゼロモード導波路、光解離性リンカーのクエンチングと組み合わされるプラズモン共鳴、酵素とヌクレオチドとの間のFRET対、TIRFと組み合わされる排除層、および類似の他の技術を含む。
【0004】
従来の方法論は欠点および不都合を有する。例えば、典型的な方法論は、典型的に、小領域内を除いて励起光を遮断することを伴う。この励起光は、典型的に、大きい高価なレーザを必要とする。更に、この方法論は、かなりの量のバックグラウンドノイズを生成する場合があり、それによりシグナルの質が低下する。
【発明の概要】
【0005】
概要
一態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積されるナノボウタイアンテナを含む。また、共鳴構造体は、基板上に堆積されてナノボウタイアンテナを取り囲む筐体も含み、筐体は、ボウタイ構造の周囲の領域でバックグラウンドレベルを最小限に抑える。
【0006】
他の態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積されるブルズアイ構造体を含む。ブルズアイ構造体は、貫通穴ではない中心開口を更に含む。
【0007】
更なる他の態様は一般に共鳴構造体に関する。共鳴構造体は、基板、および基板上に堆積される金属層を含む。また、共鳴構造体は、金属層上に堆積される金属ダイポールも含み、該金属ダイポールの隙間内に増強領域が形成される。前述し且つ以下で更に詳しく説明する共鳴構造体の開示された態様において、これらの共鳴/プラズモン構造はプラズモン集束構造であってもよい。
【0008】
更に他の態様は、一般に、共鳴構造体を形成するための方法に関する。方法は、基板上にフォトレジストの層を堆積させ、フォトレジストをパターニングして、少なくとも1つの共鳴構造体を形成する段階を含む。また、方法は、フォトレジストを露光して、露光されたフォトレジストを固化するとともに、フォトレジストを洗浄する段階も含む。更に、方法は、金属の層を堆積させ、フォトレジストおよび対応する金属を除去する段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
態様の以下の詳細な説明を参照し、添付図面と関連させて考慮すると更に良く理解されるようになるため、態様の様々な特徴は更に十分に理解できる。
【図1】一態様に係る例示的な閉鎖型ナノボウタイアンテナを示している。
【図2】図1に示される閉鎖型ナノダイポールにおける増強レベルのグラフを示している。
【図3A】他の態様に係る例示的な階段状ブルズアイ構造体の平面図を示している。
【図3B】図3Aに示される階段状ブルズアイ構造体のプロファイル図を示している。
【図4A】更なる他の態様に係る共鳴構造体の他の態様の平面図を描いている。
【図4B】図4Aに示される共鳴構造体のプロファイル図を示している。
【図4C】図4Aに示される共鳴構造体における反射および光角度を描いている。
【図4D】図4Aに示される共鳴構造体における増強および光源角度を示している。
【図4E】更なる他の態様に係るネガボウタイアンテナ構造を示している。
【図5】更なる他の態様に係るナノボウタイアンテナの格子を描いている。
【図6】更なる他の態様に係る共鳴構造体を形成するためのプロセスフローを示している。
【図7】関数sin(θ)cos(1.5×θ)におけるビートパターンを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
以下の用語は、以下で詳述する様々な態様を説明するために使用される。
【0011】
プラズモン共鳴は、光周波数での自由電子の集団振動すなわちプラズモンとして規定され得る。
【0012】
表面プラズモンは、表面に限定され且つ光と強く相互作用してポラリトンをもたらすプラズモンである。表面プラズモンは、プラスの誘電定数を有する材料とマイナスの誘電定数を有する材料(通常は、金属またはドープされた誘電体)との界面で生じる。
【0013】
共鳴構造体とは、光エネルギを集中させて高い局所電場の小さい領域を形成するための構造の形状と共にプラズモン共鳴を使用する、ナノアンテナまたはナノ粒子などの構造体のことであり得る。
【0014】
蛍光増強比率(FER)とは、共鳴構造要素と関連する励起領域から集められた蛍光光子の、共鳴構造要素を有さず且つ他の全ての変数が一定に保たれる同等サイズの領域から集められた光子に対する比率のことであり得る。
【0015】
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」または「核酸」という用語は、置き換え可能に使用できるとともに、ヌクレオチド間リン酸ジエステル結合による連結、もしくはヌクレオチド間類似体によって結合される2'-デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)を含むヌクレオチドモノマーの一本鎖または二本鎖ポリマー、ならびに例えばH+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などの関連する対イオンを含む。ポリヌクレオチドは、専らデオキシリボヌクレオチドから構成され得、専らリボヌクレオチドから構成され得、またはこれらのキメラ混合物から構成され得る。ポリヌクレオチドは、核酸塩基および糖類似体から構成され得る。ポリヌクレオチドは、典型的に、それらが当技術分野においてオリゴヌクレオチドとして頻繁に言及される場合には数モノマー単位、例えば5〜40から、数千モノマーヌクレオチド単位までのサイズ範囲にある。他に示されていなければ、ポリヌクレオチド配列が表されるときは常に、ヌクレオチドが左から右へ5'から3'の順であり、また、他に言及されていなければ、「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、および「T」がチミジンを示すことは理解される。標識ヌクレオチドは、5'末端、3'末端、核酸塩基、ヌクレオチド間結合、糖、アミノ、硫化物、ヒドロキシル、またはカルボキシルに改変部を含むことができる。これについては、参照により本明細書に組み入れられる例えばLeeらの米国特許第6,316,610 B2号を参照されたい。同様に、適切であると考えられる指示部位で他の改変をなすことができる。
【0016】
態様の詳細な説明
簡単にするため、および例示目的で、主に本発明の例示的な態様を参照することにより、本発明の原理を説明する。しかしながら、当業者であれば容易に認識できるように、生体分子検出などの全てのタイプの検出システム、ハイブリダイゼーション、DNA塩基配列決定法、FCS、単一分子、分子複合体、またはバルク動力学的研究などに同じ原理を等しく適用することができ且つこれらで同じ原理を実施することができ、任意のそのような変形は本発明の思想および範囲から逸脱しない。検出方法は、蛍光、FRET、散乱、量子ドット、アップコンバーティング蛍リン光体などの検出を含むことができる。更に、以下の詳細な説明では、特定の態様を示す添付図面を参照する。これらの態様に対しては、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、電気的、機械的、論理的および構造的変更をなすことができる。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって規定される。
【0017】
幾つかの態様は、一般に、表面プラズモンの使用によって高エネルギ場を形成するためのシステム、装置、および方法に関する。特に、1つの態様では、プラズモンエネルギを局所スポットへ集中させるように閉鎖型ナノアンテナまたはダイポールを構成することができる。例えば、エネルギを構造の中心または隙間に集中させることができ、それにより、プラズモン強度を局所領域で高めることができる閉鎖型ボウタイナノアンテナを製造することができる。閉鎖型ボウタイナノアンテナを受信器として使用することもできる。そのようなものとして、閉鎖型ボウタイナノアンテナを使用して分子をクエンチし、放射を集めることができる。これらの金属構造の全ては、蛍光色素分子が十分に近い場合には、蛍光をクエンチする。望ましくないクエンチングを防止するため、薄い(約10nm)誘電体層を使用して蛍光色素分子を金属から離間させることができる。そのような層は、ガラス、プラスチックまたはPEGなどの化学コーティングから形成することができる。厚さは、蛍光色素分子が完全にはクエンチングされないが、集中プラズモンのボリュームの外側に離間されるまで離れていないように、蛍光色素分子を離間させるのに十分でなければならない。
【0018】
図1は閉鎖型ボウタイナノアンテナ100を示している。図1に示されるように、閉鎖型ボウタイナノアンテナ100は電磁的に透過性の基板105を備えることができ、該基板上にアンテナ構造110が支持される。アンテナ構造110は、導電アーム115および120をそれぞれ含むボウタイアンテナ(またはダイポール)を備える。末端125および130では、導電アーム115および120が横方向寸法dを有する隙間135の分だけ離間される。実質的に、導電アーム115および120はダイポール状アンテナを形成する。金属筐体140がアンテナ構造110を取り囲むことができる。金属筐体140の金属としては、貨幣金属、アルミニウム、またはその合金などの金属を使用できる。金属筐体140は、入射光源と非結合標識ヌクレオチドとの間の相互作用を妨げる役目を果たすことができる。金属筐体140は、共鳴作用の増強を高めることができる。更に、二次的な増強ボリュームを引き起こし得る金属筐体140に対するカップリング量は最小である。
【0019】
図2は、ダイポールアンテナの上部のXY平面における増強レベル、Exのグラフを示している。図示のように、ダイポールの上部では隙間の全体にわたって増強レベルが55〜60であり、一方、ダイポールの右側の増強レベルは隙間を横切って周囲の金属まで約10〜15である。この場合、5〜10nm以内の増強レベルは、金属筐体による蛍光クエンチングに起因して有用ではない。
【0020】
ダイポールの側に対するカップリングは無いように見える。金属筐体の一端からの距離がλ/2よりも大きいと、ダイポールの両側に、隙間を通じたバルク溶液の何らかの照射が存在する場合がある。しかしながら、それぞれの側で隙間が約20nmであるため、通過できる励起光の量は、放射光の量と同様に非常に少ない。励起照射および放射照射をコンボリューション(convolving)すると、少量の光がもたらされる。
【0021】
増強レベルは、ダイポール、すなわち導電アーム115、120の長さ、およびダイポール間の隙間135の幅にかなり依存しているように思われる。また、増強は、構造の厚さ、およびダイポール構造の幅、ならびにボウタイ構造の角度にも依存している。ダイポールの最適な長さは、吸収される光の波長に依存するが、最適な長さの実際の値は広いように思われる。
【0022】
増強レベルは、導電アーム115、120間の隙間135のサイズが減少するにつれて増大するように思われる。しかしながら、最大の有用な増強にとって最適な隙間135における幅は約20〜30nmであると思われる。金属/蛍光色素分子相互作用に起因して、両側では、少なくとも5〜10nmが効果的にクエンチされる。隙間135の縁部におけるこのボリュームは、高い増強を有する空間を隙間の中心に残しつつ、蛍光色素分子がこのボリュームを占めないようにするために、石英ガラスなどの誘電体で満たすことができる。
【0023】
閉鎖型ボウタイアンテナの他の変形は、対数周期アンテナ、スパイラルアンテナおよびスロットアンテナなどの他のタイプのアンテナ構造を含むことができる。ボウタイアンテナの更に詳しい説明は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,696,372号で見出すことができる。
【0024】
図3Aは、他の態様に係る階段状ブルズアイアンテナ300を示している。図3Aに示されるように、階段状ブルズアイアンテナ300は、プラズモンエネルギを局所スポットへ集中させるように構成される円形ナノアンテナであってもよい。階段状ブルズアイアンテナ300を基板上にわたって位置させることができる。階段状ブルズアイアンテナ300は中心穴315を含むことができる。励起光が頭上光源からバルク溶液を通じて階段状ブルズアイアンテナ300へ向けられると、階段状ブルズアイアンテナ300は、プラズモンを階段状ブルズアイアンテナ300の中心穴315へ向けることができる。このとき、フォーカスされたプラズモンが中心開口で垂直に共鳴し、それにより、非常に高い増強レベルが形成される。
【0025】
図3Bは、更に他の態様に係る階段状ブルズアイアンテナ300の側面図を示している。階段状ブルズアイアンテナ300は、基板上にAl、Ag、Au、Cu、Ptなどの金属および/またはこれらの金属の合金を伴って構成することができる。接着層を伴う態様の場合、接着層は、クロム、ニッケル、アルミニウム、チタン、ICOおよび他の透明酸化物、または他の類似の金属酸化物を伴って構成することができる。あるいは、メルカプトシランを接着層として使用することができる。シランはシリカまたは金属酸化物表面に結合し、一方、チオール(メルカプト)は使用される任意の貨幣金属に結合する。階段状ブルズアイアンテナ300は、介在空間310を伴う一連の同心円金属帯305から形成することができる。金属帯305の幅は約50〜100nmの高さでλ/2であってもよく、介在空間310は約λ/2の幅を有することができる。この場合、各空間および金属の対同士の間の間隔はλである。ここで、λは励起波長の波長である。ブルズアイアンテナ300の中心穴315は、約15〜50nmの直径および約25nmの深さを有することができ、金属を貫通せずに、約25nmの金属を残しており、すなわち部分的にエッチングされた開口である。
【0026】
原型的な共鳴構造体としてのブルズアイアンテナ300は、ゼロモード導波路との類似点を有するが、ゼロモード導波路の定義(貫通穴がない)または光が貫通しないときの動作の物理的過程に適合していない。むしろ、ブルズアイアンテナ構造300は、段付き開口内でフォーカスされた表面プラズモン共鳴を形成する。励起光由来の金属電子の運動量は、電子がコーナーを回るのを防止する。ブルズアイ構造体は、ベース金属の厚さに僅かに依存し得るが、共鳴が生じる中心開口の深さに影響され得る。
【0027】
ブルズアイアンテナ300の他の態様は、石英ガラス基板上に銀を伴って構成される介在空間が浅い材料の円形帯をなすことができる。この態様における増強レベルは、140〜220のオーダーと、より高くすることができ、部分開口の直径にわたってこの増強レベルを維持する。
【0028】
この態様においては、励起光源が上方からバルク溶液を通じて方向付けられる。しかしながら、適切な厚さおよび溝間隔を使用すると、光を下部から上部の表面プラズモンへとカップリングすることができる。更に、下部のプラズモンを、部分開口の下部の適切に薄い(金属の表面厚さ未満の)金属層を介して、この部分開口中へ、したがって、金属の上部へとカップリングできるであろう。
【0029】
ブルズアイ構造体300は、他の様々な技術を使用して製造することもできる。例えば、二段階堆積技術を使用できる。より具体的には、金属の第1の層を基板上にわたって堆積させることができる。その後、金属の円形帯の第2の層を金属の第1の層上に堆積させることができる。この技術の変形は、金属の第2の層を堆積させた後に、集束イオンビームを用いて溝をエッチングすることであってもよい。他の例は、基板上にわたって金属の層を堆積させた後に、ブルズアイ構造体の溝をエッチングすることであってもよい。そのようなエッチングは、集束イオンビームエッチング、または他の更に標準的な半導体プロセスを使用して行なうことができる。
【0030】
図4Aおよび図4Bは、更に他の態様に係る他の共鳴構造体400を集合的に示している。図4Aに示されるように、共鳴構造体400は、金属の薄い平面410(5〜15nm厚)上に位置する金属ナノボウタイアンテナ405(約25〜50nm厚)を備えることができ、この場合、平面は石英ガラス基板415に隣接する。励起光420が基板415の下側から共鳴構造体400を照らすことができる。金属ボウタイアンテナのダイポール間の隙間の上部に共鳴増強を見出すことができるが、端部間の増強は僅かな大きさであり、これは、金属の平面410がプラズモンをショートしないことを考えると、驚くべき結果だといえる。また、励起光は、入射光が、TIRFにおいて必要とされるよりも急な角度であるSPCEの臨界角における予期されるカップリングに対して垂直となり得るものの、上部でボウタイアンテナにカップリングされる。最後に、増強は、励起光レベルを減衰させることが予期される介在金属層を伴うことなく、石英ガラス基板上に直接に配置されるダイポール、すなわちボウタイアンテナにおいて観察されるよりも幾分大きい。
【0031】
共鳴構造体400は、良好な増強性能特性を有しており、光の大部分がバルク溶液中へ侵入するのを妨害することができる。あるいは、妨害は、図4Cに示されるように光の角度がSPCE臨界角へ向けて増大する(典型的には、SPCE角から、10〜15nmからの急な変化が存在する)につれて増大し得る。図4Cは、反射および光角度のプロット430を描いている。プロットライン435は、従来の顕微鏡の対物レンズを用いて達成できる角度である45度で透過がほぼゼロになることを示している。
【0032】
また、金属の平面410(基板415側からの収集を使用する)は、バルク溶液中の任意の望ましくない蛍光を効率的に遮断する。更に、放射エネルギを収集するためならびに励起のために共鳴構造体400を使用できる場合には、共鳴構造体由来のエネルギが明確な偏光を有するであろうことから、偏光フィルタを使用して、バルク溶液由来の望ましくない蛍光を遮断することができる。
【0033】
共鳴構造体400の他の態様では、金属筐体、例えば図1の金属筐体140を図1および図4A〜Bとの組み合わせとしての共鳴構造体と共に構成することができる。
【0034】
図4Dは、共鳴構造体400における増強および光源角度(source angle)のグラフを描いている。この構造にとって最適な角度は30〜35度であると思われ、その場合、通常の入射によって得られるレベルからの非常に著しい増強レベルの向上を伴う。ボウタイの形状および長さを適切に最適化することなく、900を超える増強レベルを得ることができる。
【0035】
幾つかの態様では、より効率的な共鳴器を有することに起因して高レベルの増強を形成するために、共鳴空洞の代わりに、ボウタイアンテナ100、または参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国仮特許出願第60/826,079号に記載される他の共鳴構造体を、ブルズアイ構造体300または他の集束構造体の中心に配置することもできる。この態様においては、部分的にエッチングされる開口315を伴うことなく、ブルズアイ構造体300を構成することができる。
【0036】
ボウタイアンテナ構造は、ポジ(positive)またはネガ(negative)のいずれかとなり得る。すなわち、ボウタイアンテナ構造は、ある位置で金属から形成することができ、または金属の平面にエッチングすることができる。後者が実施される場合には、金属の既存の平面上にわたってリフトオフ技術を使用することができる。これは、ボウタイ開口、または金属平面を完全には貫通して延びない閉鎖型ボウタイ構造をもたらし得る。図4Eは、ネガボウタイアンテナ構造450、またはボウタイ開口を描いている。
【0037】
図4Eに示されるように、ネガボウタイアンテナ構造450は、いかなる金属も有さないエア領域460を画定する金属領域455を備えることができる。エア領域460は、ボウタイアンテナの形状をなすように構成することができ、これは、金属の層のエッチングによって、またはリフトオフプロセスを使用することによって実施することができる。ネガボウタイアンテナ構造450は、長さa、狭い側の幅b、隙間幅g、および開口の角度であるシータθを有することができる。共鳴は、2つの金属側面が最も近接する隙間(gap)、すなわちgにわたって生じ得る。
【0038】
図4Eに描かれるボウタイ開口は間隔または隙間を有する。幾つかの態様において、ボウタイ開口は、C形状、H形状、円形状、正方形状または他の多角形などの特定の他の形状となるように形成することもできる。
【0039】
共鳴構造体の他の態様は、Qドットまたはアップコンバーティング蛍リン光体を増強領域に対して直接にアタッチメントさせてスペクトルシフトを与えることであってもよい。他の態様は、ブルズアイ構造体またはダイポールから離れる領域で金属厚さを増大させて、バルク溶液中への励起光の透過を更に減らすことであってもよい。更なる他の態様は、異なる長さを有し、したがって異なる角度で使用できる異なる共鳴周波数を有し、適合する波長の光源由来の適合する偏光角を有する、複数のダイポールであってもよい。ダイポールの異なる長さは、異なる励起波長でカップリングするため、または異なる放射波長をカップリングアウト(couple out)するために使用できる。
【0040】
他の態様は、ダイポール対の異なる側で、異なる長さ、したがって共鳴周波数を使用できる。更に他の態様は、ダイポールの共鳴周波数が比較的幅広いことに起因して、ある単一のダイポールの周波数に比較的近い異なる励起周波数を使用することができる。この形態の増強レベルは最適ではない。しかしながら、それはあまりにひどく低下するわけではない。
【0041】
一般に、前述した構造においては、以下の4つのパラメータを考慮しなければならない:(1)プラズモンを所望の場所(具体的には、石英ガラス基板における励起から水溶液と金属との間の界面まで)にカップリングすること;(2)プラズモンをフォーカシングすること;(3)zおよび/またはxy軸のいすれかにおいて共鳴し得る、プラズモンのための共鳴構造体を形成すること;ならびに(4)望ましくない領域由来の励起光またはカップリングされたプラズモンを防止すること。
【0042】
更なる他の態様は一般に光活性化プロセスに関する。特に、表面プラズモンは、光でも電磁波でもなく、電子振動であるため、表面プラズモンを使用して、光開裂リンカーまたは光活性アタッチメントなどの光子によって引き起こされる多くの光活性プロセスを活性化させることができる。表面プラズモンを使用して光活性化プロセスを活性化させることができる方法の一例は、参照により本明細書に組み入れられる2007年1月25日に公開されたHydeの米国特許出願第2007/0017791号に記載されている。光開裂リンカーのための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2000年5月2日に発行されたRothschildらの米国特許第6,057,096号に記載されている。光活性化可能な分子のための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる1999年12月7日に発行されたFisherらの米国特許第5,998,597号に記載されている。光活性化プロセスのための分子およびアタッチメント方法のための化学反応および/または物理的過程の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2005年11月22日に発行されたDuffyらの米国特許第6,967,074号に記載されている。
【0043】
前述した共鳴ナノ構造においては、光学干渉の方法を使用して平行なラインを形成することができる。複数の露光を使用して、干渉線(interference line)を回転させ、互いに対して角度をなす複数の干渉線を形成できる。したがって、この技術を使用して、穴の配列またはラインの格子を形成することができる。この光学干渉方法の他の使用法を用いて、ボウタイダイポールを形成することができる。
【0044】
図5は、ボウタイダイポール500の格子の部分図を示している。図5に示されるように、ボウタイダイポール500の格子は、70nmおよび100nm間隔を伴う一組の45度三角形を含む。図5は70nmおよび100nm間隔を伴う45度三角形を描いているが、本態様の範囲および思想から逸脱することなく、他の角度および間隔を使用することができるとともに、異なる幅、間隔、および角度を有するラインを使用することもできる。異なるタイプの三角形は、励起光の偏光角に対して異なるプラズモン周波数を有することができる。このとき、プラズモンポラリトンは、三角形の頂点で電場増強ボリュームを形成できる。チャンネルのうちの1つが他のチャンネルよりも幅広い場合には、鈍的な頂点を形成できる。
【0045】
図6は、図5に示されるボウタイダイポールを形成するための流れ工程600を示している。図6に示されるように、ステップ605では、石英ガラス(SiO2)などの適切に透明な基板上にフォトレジストの層を堆積させることができる。ステップ610では、干渉パターンを使用して、ダイポールのパターンをフォトレジスト上にパターニングすることができる。露光の結果として、露光されたポジフォトレジストは架橋されており、すなわち固体化されている。その後、ステップ615では、フォトレジストが現像されて洗浄され、それにより、三角形(三角形の中心が空の状態)の配列のラインを形成するラインが残存する。ステップ620では、基板が金属化されて、開放三角形が満たされ、フォトレジスト輪郭の上部がコーティングされる。その後、ステップ625では、標準的なリフトオフプロセスを使用して、フォトレジストが該フォトレジストの上部の金属と共に除去される。
【0046】
流れ工程600の他の態様は、ネガフォトレジストを使用することを考える。この場合、基板は、フォトレジストでコーティングする前に金属化される。その結果、現像されたフォトレジストは、架橋フォトレジストの三角形間に開放隙間を有する。その後、塩素エッチングなどのエッチングプロセスを使用して、隙間下の金属が除去される。
【0047】
また、幾つかの態様は、三角形のサイズに対してより狭いラインを形成することも考える。より具体的には、図7に示されるように、所与のピッチに関して関数cos(θ)sin(1.5θ)を用いて、例えばビートパターンを使用することにより、細い/狭いラインを形成することができる。したがって、cos(θ)およびsin(1.5×θ)との組み合わせを使用して、より複雑な干渉パターンを形成することができる。更に他の態様は、位相シフトマスクを使用して、光の通常の回折限界を下回る分解能においてパターンを形成することを考える。
【0048】
プロセスフロー600の他の変形は、より高い柔軟性を与えるナノインプリンティング技術を使用できる。より具体的には、フォトリソグラフィプロセスを使用するのではなく、ナノプリンティングを使用して、エッチングレジストをパターニングできる。結果として、簡単な三角形だけが形成されることが求められない。プロセスフロー600の他の変形は、電子ビームリソグラフィ、集束イオンビーム、ナノスフェアリソグラフィなどの技術を使用することを含むことができる。
【0049】
前述したプラズモン構造を形成する他の方法としては、特に、石英ガラスなどの基板上にわたって接着層を堆積させる。接着層は、クロム、ニッケル、または金属酸化物であってもよい。その後、プラズモン金属層を接着層上に堆積させることができる。プラズモン金属は、Al、Pt、Zn、Au、Ag、Cuなどの貨幣金属であってもよい。その後、第3の層をプラズモン金属層上に堆積させる。第3の層は、金属または誘電体、例えばSaO2、シリカ、アモルファスシリコン、窒化ケイ素、または他の類似誘電体などの様々な材料を用いて構成できる。
【0050】
その後、第3の層をエッチングマッチとして使用できる。より具体的には、第3の層上でフォトレジストまたは電子ビームレジストをパターニングする。その後、パターンが第3の層へ転写される。続いて、パターンを第2および第1の層へと転写することができる。ガラスへのエッチングを防止するために、第1の層をエッチング停止層として使用することができる。あるいは、第1および第2の層を一緒にエッチングすることができる。第1の層がエッチング停止層として使用される場合には、それを構造の一部として保持することができ、またはそれをその後のエッチングプロセスでエッチングすることができる。
【0051】
前述した製造プロセスの変形は、薄い誘電体層をスタンドオフ層として堆積させることを含むことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるReelらの2007年5月16日に出願された米国特許出願第11/749,411号に記載されている。共鳴構造体を取り囲む誘電体の開口の横方向寸法は、λ/2よりも大きくまたは小さくてもよい。誘電体は光閉じ込めを行なうことができ、これについては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2006年3月23日に公開された米国特許公開第2006006264号に記載されている。誘電体層がスタンドオフ層であってもよいが、製造プロセスにおいて誘電体層がエッチングマスクとして機能することもできる。
【0052】
共鳴構造体の異なる領域において異なるプラズモン共鳴を可能にするために、異なる金属および異なる金属合金を使用することができる。金は、530nmよりも大きい波長のため有益であり得、アルミニウムまたは銀は、全ての可視光線と共に使用するのに好ましい。金属を選択する際に考慮すべき事項は、プラズモンポラリトンが吸収されて熱へ変換される前に共鳴できる回数を制限する表面減衰長(surface decay length)である。
【0053】
しかしながら、金属だけが共鳴および/または集束構造の構成要素である必要はない。これらの共鳴および/または集束構造の態様を、部分的に誘電体材料を使用して形成することができる。
【0054】
光エネルギは、従来の顕微鏡技術を使用してこれらの構造へカップリングさせることができ、または導波路を使用して、特に米国仮出願第60/826,079号に記載されるフォトニック結晶導波路を使用してカップリングさせることができる。
【0055】
更なる増強は、プラズモン構造を組み合わせることによって達成できる。例えば、ビード、ナノシェル、ナノライス、ナノクレセント、または他の類似の構造は、ボウタイ、ブルズアイまたは他の類似の構造と相互作用するように局在化させることができる。そのような局在化は、光作動性アタッチメントを利用できる。構造化されたパターンまたは増強領域は、ナノ粒子の構造的アタッチメントのためのパターンを与えることができるとともに、励起および収集の両方に関して更なる増強を与えることができる。
【0056】
前述した共鳴および/または集束構造は、様々な検出システムで使用できる。例えば、これらのプラズモン構造は、抗体レセプターまたはリガンド、ハイブリダイゼーションなどを使用するタンパク質検出などの生体分子検出のために使用できる。
【0057】
これらの共鳴および/または集束構造は、光開裂リンカーおよび光活性アタッチメントのために使用することもできる。そのような化合物およびそれらの使用に関する従来の記載は、光、電磁放射線または電磁波を、光開裂リンカーにおける結合を破壊するため、または光活性化可能なアタッチメント部位を活性化するためのエネルギ源と称する。プラズモンポラリトンも同様に光開裂リンカーおよび光活性アタッチメントのためそのようなエネルギ源となることができるが、プラズモンポラリトンは、光、電磁放射線、または電磁波ではない。代わりに、プラズモンポラリトンは一群の振動電子である。さらに、表面プラズモンポラリトン構造は、拡散および反応に対して熱的効果を与えるために非常に局部的な加熱を行なうこともできる。
【0058】
前述した共鳴および/または集束構造においては、増強が最も高い特定の領域に分子を配置することが望まれ得る。しかしながら、このアタッチメントが無作為に行なわれる場合には、結果として高いバックグラウンドノイズが生じ得る。
【0059】
高いバックグラウンドノイズに対抗するための1つの方法は光活性化であり得る。この場合、活性化は、増強が最も高い領域に優先的にアタッチメントするように構造体由来の増強を使用して達成される。増強が更に低い(または無い)領域でアタッチメントが存在するが、これらの場所で蛍光色素分子により生成されるシグナルは比例的に低く、また、増強が低いまたは無い領域に対して高い増強を有する領域では、比例的に更に高い増強が存在する。したがって、所望の場所における増強が、意図しない場所よりも所望の場所の方で十分に高い場合には、意図しない場所での蛍光色素分子からのシグナルをバックグラウンドとしてソフトウェアを使用してフィルタリングし除去することができる。例えば、ボウタイ構造において、中心隙間が100の増強レベルを有し、より大きい端部は10の増強レベルを有するとする。そのような構造は、等しい数のアタッチメントを中心隙間およびより大きい端部において有するであろうが、しかし、中心で10倍大きい増強が存在するため、中心隙間の分子からのシグナルは、端部にアタッチメントされた分子に比べ10倍高いであろう。
【0060】
構造の好ましくない領域でのアタッチメントを減らすため、異なる金属の薄い層を使用して、構造の一部に対するアタッチメントを防止してもよい。例えば、金構造または銀構造の表面上でクロム層が使用されてもよい。チオールアタッチメント化学反応が使用される場合、チオールは、クロム層にアタッチメントせず、銀または金のみにアタッチメントする。したがって、構造の上部、および、トレンチボウタイ構造が使用される場合には構造間の平面では、任意の蛍光色素分子がアタッチメントすることが防止され得る。層が5nm以下オーダーと十分に薄い場合、層は、構造のプラズモン特性に対して著しい影響を及ぼさない。そのような層は、作用において、エッチングレジストとしての更なる目的を果たす。クロム接着層を使用することもできる。この場合には、フォトレジストが最初に露光されて現像され、それにより、上部クロム層をエッチングすることができる。その後、クロムは、異なるエッチング化学反応を使用してエッチングレジストとして使用されてもよい。下部クロム層も石英ガラス中へのオーバーエッチングを防止するように作用する。
【0061】
好ましくない領域でのアタッチメントを防止するための他の技術では、構造に対するアタッチメントを防止するためにフォトレジスト層が使用されてもよい。構造が形成された後、薄いフォトレジスト層が構造上にわたって加えられてもよい。その後、構造に対して光が加えられてもよく、増強が最も高い領域でフォトレジストが優先的に露光される。フォトレジストが光の露光に対して非線形様式で反応するため、典型的に、露光と非露光との間で2:1のファクタが必要とされ、したがって、所望の領域と意図しない領域との間の増強の3:1のファクタにより、露光(および非露光)が適切に起こるのを保証する十分な許容性が可能になる。その後、フォトレジストが現像され、それにより、増強の高い領域に穴が形成される。その後、アタッチメントまたは光アタッチメントが行なわれてもよい。フォトレジストの厚さは、構造の多くのタイプにおいて重要となる可能性が高い。これは、増強領域が構造の上側へと長く延びておらず、おそらく5〜10nmほどしか延びていないからである。一部の構造は、構造よりも上側にかなり延びる増強領域を有する。この1つの例が段付き開口であり、この段付き開口は、該開口の上側に延びる略平行な増強領域を形成する。
【0062】
更なる他の技術は、結合部分を増強部位に位置決めするために金膜における差異を使用することができる。この方法では、アルカンチオール(おそらく、色素標識分子の表面に対する非特異的結合を防止するためにPEG末端チオール)を用いて金表面が最初に改質される。最初の官能化の後、表面は、(ビオチンのような)末端結合部分を有するチオールに短時間(<30秒)だけ曝露される。そのように短時間だけ曝露することにより、これらの分子だけが金膜の欠陥部位中に入り込むはずである(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるCyganらのJACS 1999, 120, 2721-2732;LewisらのJACS 2004, 126, 12214-12215)。金膜は、ボウタイ構造の先端に、より多くの欠陥部位を有するはずであり、そのため、結合部分を有するチオールがそこに優先的に結合する。
【0063】
更に他の技術は、二光子光物理的工程を使用する。構造が高強度パルスで照射される場合、構造は、λ/2でポラリトン(および光子)を形成することができる。これは、増強が高い領域でのみ起こる。その後、増強が高い領域でのみ光アタッチメントが起こり、光化学反応が潜在的にUV励起を利用できる。例えば、これは、増強が最も大きい領域でビオチン、ベンゾフェノンまたは他の類似の化合物などの優先的にアタッチメントされた結合部分に対して使用され得る。二光子技術を使用した後、同じ領域において解析目的で更に低い増強の通常の増強を後に使用することができる。同様に、低い波長で反応するフォトレジストを前述したように露光することができる。
【0064】
更なる他の技術は、露光に起因して重合するフォトレジストを使用し、それにより、高い増強を有するボリュームへのアクセスが妨げられる。この場合、露光されて現像されたフォトレジストによって覆われる領域を除く全ての領域で、既にアタッチメントされたリンカーを除去することができる。あるいは、この露光表面は、リンカーが結合しないように、フォトレジストを除去できるように、および増強が高い領域でリンカーを優先的にアタッチメントさせることができるように、化学的に処理しまたはコーティングすることができる。
【0065】
本発明の例示的な態様を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、真の思想および範囲から逸脱することなく、前述した態様に対して様々な変更をなすことができる。本明細書において使用される用語および説明は、単なる例示として示されており、限定しようとするものではない。特に、方法を例として説明してきたが、方法の段階は、説明した順序と異なる順序でまたは同時に行なわれてもよい。当業者であれば分かるように、これらの変形および他の変形は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物に規定される思想および範囲内で可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
該基板上に堆積されたナノボウタイアンテナと;
該ナノボウタイアンテナにおける増強レベルを上げるように構成されており、該基板上に堆積されて該ナノボウタイアンテナを取り囲む、筐体と
を備える、共鳴構造体。
【請求項2】
基板が石英ガラスである、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項3】
ナノボウタイアンテナがアルミニウムを用いて構成されている、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項4】
光学干渉を使用してナノボウタイアンテナがパターニングされている、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項5】
基板と;
貫通穴ではない中心開口を更に備えており、該基板上に堆積されている、ブルズアイ構造体と
を備える、共鳴構造体。
【請求項6】
ブルズアイ構造体が、基板上に堆積されている複数の円形金属帯を更に備える、請求項5記載の共鳴構造体。
【請求項7】
ブルズアイ構造体が、2つの円形金属帯間に形成されている円形の介在空間を更に備える、請求項6記載の共鳴構造体。
【請求項8】
中心開口上にナノダイポールを更に備える、請求項5記載の共鳴構造体。
【請求項9】
基板と;
該基板上に堆積されている金属層と;
該金属層上に堆積されており、隙間内に増強領域が形成されている、金属ダイポールと
を備える、共鳴構造体。
【請求項10】
基板が石英ガラスである、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項11】
量子ドットおよびアップコンバーティング蛍リン光体のうちの一方を増強領域に更に備える、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項12】
複数のナノボウタイアンテナを備え、各アンテナが互いに異なる長さおよび異なる角度を有する、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項13】
基板上にフォトレジストの層を堆積させる段階;
該フォトレジストをパターニングして、少なくとも1つの共鳴構造体を形成する段階;
該フォトレジストを露光して、露光されたフォトレジストを固化する段階;
該フォトレジストを洗浄する段階;
金属の層を堆積させる段階;ならびに
該フォトレジストおよび対応する金属を除去する段階
を含む、共鳴構造体を形成するための方法。
【請求項14】
フォトレジストのパターニングが光学干渉技術を使用して行なわれる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
共鳴構造体が、量子ドットおよびアップコンバーティング蛍リン光体のうちの一方と更に関連付けられる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
基板が石英ガラスを備え、その上にフォトレジストの層を堆積させる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
共鳴構造体が、ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナとして形成される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
共鳴構造体が複数のナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナとして形成され、該アンテナのうちの少なくとも一部が異なる特性を有するように形成される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナの異なる特性が、互いに異なる長さまたはサイズに反映される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナの異なる特性が、互いに異なる角度または配置に反映される、請求項18記載の方法。
【請求項1】
基板と;
該基板上に堆積されたナノボウタイアンテナと;
該ナノボウタイアンテナにおける増強レベルを上げるように構成されており、該基板上に堆積されて該ナノボウタイアンテナを取り囲む、筐体と
を備える、共鳴構造体。
【請求項2】
基板が石英ガラスである、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項3】
ナノボウタイアンテナがアルミニウムを用いて構成されている、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項4】
光学干渉を使用してナノボウタイアンテナがパターニングされている、請求項1記載の共鳴構造体。
【請求項5】
基板と;
貫通穴ではない中心開口を更に備えており、該基板上に堆積されている、ブルズアイ構造体と
を備える、共鳴構造体。
【請求項6】
ブルズアイ構造体が、基板上に堆積されている複数の円形金属帯を更に備える、請求項5記載の共鳴構造体。
【請求項7】
ブルズアイ構造体が、2つの円形金属帯間に形成されている円形の介在空間を更に備える、請求項6記載の共鳴構造体。
【請求項8】
中心開口上にナノダイポールを更に備える、請求項5記載の共鳴構造体。
【請求項9】
基板と;
該基板上に堆積されている金属層と;
該金属層上に堆積されており、隙間内に増強領域が形成されている、金属ダイポールと
を備える、共鳴構造体。
【請求項10】
基板が石英ガラスである、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項11】
量子ドットおよびアップコンバーティング蛍リン光体のうちの一方を増強領域に更に備える、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項12】
複数のナノボウタイアンテナを備え、各アンテナが互いに異なる長さおよび異なる角度を有する、請求項9記載の共鳴構造体。
【請求項13】
基板上にフォトレジストの層を堆積させる段階;
該フォトレジストをパターニングして、少なくとも1つの共鳴構造体を形成する段階;
該フォトレジストを露光して、露光されたフォトレジストを固化する段階;
該フォトレジストを洗浄する段階;
金属の層を堆積させる段階;ならびに
該フォトレジストおよび対応する金属を除去する段階
を含む、共鳴構造体を形成するための方法。
【請求項14】
フォトレジストのパターニングが光学干渉技術を使用して行なわれる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
共鳴構造体が、量子ドットおよびアップコンバーティング蛍リン光体のうちの一方と更に関連付けられる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
基板が石英ガラスを備え、その上にフォトレジストの層を堆積させる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
共鳴構造体が、ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナとして形成される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
共鳴構造体が複数のナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナとして形成され、該アンテナのうちの少なくとも一部が異なる特性を有するように形成される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナの異なる特性が、互いに異なる長さまたはサイズに反映される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ナノボウタイアンテナまたはブルズアイアンテナの異なる特性が、互いに異なる角度または配置に反映される、請求項18記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2010−540900(P2010−540900A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525846(P2010−525846)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010940
【国際公開番号】WO2009/038791
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510074782)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010940
【国際公開番号】WO2009/038791
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510074782)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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