説明

集合住宅用インターホンシステム

【課題】利用者にあわせて快適に使用できる集合住宅用インターホンシステムを提供する。
【解決手段】ロビーに設置されたロビーインターホン12と、該ロビーインターホンからの呼出に応答できるように構成され各住戸内に設置された住戸インターホン11とを備えた集合住宅用インターホンシステム1であって、前記ロビーインターホンから前記住戸インターホンが呼出されてから前記住戸内の住戸人が応答するまでのインターホン回線16の占有時間を所望する時間に設定変更する占有時間設定制御部11aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロビーに設置されたロビーインターホンと、該ロビーインターホンからの呼び出しに応じて応答できるように構成され各住戸内に設置された住戸インターホンとを備えた集合住宅用インターホンシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマンション等の集合住宅用インターホンシステムは、ロビーインターホンから住戸インターホンを呼出す操作がされると、所定の応答待機時限になるまで、住戸インターホンでは呼出報知(チャイム音など)を連続鳴動し、応答待機状態となる。この所定の応答待機時限は、共用する他の住戸との間で迷惑がかからないように全戸一律に同じ時間(例えば約25秒〜35秒程度など)で設定されているものが知られている。
【0003】
ロビーインターホンから呼び出された住戸インターホンでは、ハンドセットを取り上げるか通話キーを押すなどして対応しなければ、ロビーインターホンと通話することができない。そのため、ロビーインターホンからの呼び出しには、応答待機時限内に応答しなければ、ロビーインターホンとの間で通話できない。そこで、上述のような対応ができない場合が問題となる。例えば住戸人が高齢者の場合や手が離せないような小さな子供がいる家庭の場合は、即座にロビーインターホンからの呼び出しに対応できず、間に合わない場合がある。
【0004】
呼出時間を延長できる例としては、例えば、下記特許文献1がある。ここには、音声呼び掛け時間が終了するまでに、内線呼出釦を操作したときには、音声呼び掛け時間を所定時間延長し、その後、内線呼出釦を操作する度に、音声呼び掛け時間を更に所定時間延長できるインターホンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−199110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示のインターホンシステムは、住戸内に設置されたインターホン親機(または副親機)からワイヤレスインターホンを呼出す内線呼出に用いられる技術であるため、集合住宅用のインターホンシステムに適用することが難しい。
すなわち、このように戸建住宅用のインターホンシステムの場合、呼出に応答するまで呼出時間を延長してインターホン回線を占有しても問題ない。
しかしながら、インターホン回線を複数の住戸が共用して使用するロビーインターホンを備えた集合住宅用インターホンシステムの場合は、むやみに延長すると他の住戸を訪ねてきた来訪者がロビーインターホンを使えないので問題となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、利用者にあわせて快適に使用できる集合住宅用インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る集合住宅用インターホンシステムは、ロビーに設置されたロビーインターホンと、該ロビーインターホンからの呼出に応答できるように構成され各住戸内に設置された住戸インターホンとを備えた集合住宅用インターホンシステムであって、前記ロビーインターホンから前記住戸インターホンが呼出されてから前記住戸内の住戸人が応答するまでのインターホン回線の占有時間を所望する時間に設定変更する占有時間設定制御部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また本発明において、前記占有時間を切替設定自在とした占有時間切替部をさらに備えている。なお前記占有時間設定制御部や前記占有時間切替部は、システム内に備えられておればよく、例えば前記住戸インターホンに設けるとよいが、管理人室機に設けてリモートで占有時間などを設定変更するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る集合住宅用インターホンシステムによれば、利用者にあわせて快適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る集合住宅用インターホンシステムのブロック図である。
【図2】同集合住宅用インターホンシステムのロビーインターホンの表示画面の表示例を示した模式図である。
【図3】同集合住宅用インターホンシステムの基本動作の一例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る集合住宅用インターホンシステム1(以下、インターホンシステム1という)は、図1に示すように、集合住宅の共用玄関となるロビーに設置されたロビーインターホン12と、ロビーインターホン12からの呼び出しに応答できるように構成され各住戸内に設置された住戸インターホン11とを備えている。住戸インターホン11は、ロビーインターホン12から呼出がなされてから住戸内の住戸人が応答するまでのインターホン回線16の占有時間を所望する時間に設定変更する占有時間設定制御部11aを有している。
以下、詳しく説明する。
【0013】
インターホンシステム1の住戸インターホン11とロビーインターホン12とはインターホン回線16で接続されており、さらに管理人室機13、住戸インターホン11とロビーインターホン12との呼出、通話を制御する制御装置14などを備えている。
インターホンシステム1の構成はこれに限定されず、この他、居住者を認証する認証装置、住戸インターホン11を広域ネットワーク上のウェブサーバ装置などを備えていてもよく、この場合はさらに所望のサーバ装置に接続させるゲートウェイ装置が設けられる。
【0014】
住戸インターホン11には、各住戸の玄関先に設置されるドアホン子器15が接続されており、その構成は特に限定されるものではないが、その一例として図2に住戸インターホン11の模式図を示している。
住戸インターホン11は、占有時間設定制御部11a(図1参照)、住戸表示画面11b、通話キー11c、占有時間切替部11d、呼出音量切替部11e、メニューキー11g、スピーカ11h、マイク11f、録画装置(不図示)などを備えている。
住戸インターホン11は、住宅情報盤として構成されたものとしてもよく、この場合、各住戸のドアホン子器15以外にもセキュリティセンサ(図示なし)などが接続されている。
【0015】
住戸表示画面11bは、各種画面、例えばロビーインターホン12のカメラ(不図示)で撮影した映像を映す映像画面、セキュリティ画面、生活情報画面などを切替表示するように構成されており、この切替表示はメニューキー11gなどを操作して行うことができる。
通話キー11cは、図2のように釦式に限らず、ハンドセットとしてもよく、これを操作するとロビーインターホン12、または管理人室機13と通話できるように構成されている。
録画装置は、カメラによって撮影された映像を録画するメモリであり、ロビーインターホン12から呼出を受け、通話キーで応答操作がされた後、ロビーに来た人の映像を録画できるよう構成されている。
【0016】
占有時間切替部11dの構成は、特に限定されないが、図2に示す例はスライドキーで構成されたものを示している。
このスライドキーをつまんで、左右にスライドさせて動かす。すると、ロビーインターホン12から呼出がなされてから住戸内の住戸人が応答するまでのインターホン回線16の占有時間を切り替え設定することができる。この制御は、占有時間設定制御部11aでなされる。占有時間設定制御部11aは、時限タイマ部(不図示)を有しており、時限タイマ部は、ロビーインターホン12から呼出信号を受信すると起動し、設定された占有時間を計時するように構成されている。
ここで占有時間とは、ロビーインターホン12から住戸インターホン11を呼出す操作を行い、住戸インターホン11で呼出報知を連続鳴動させる時間、応答待機時限に相当する。応答待機時限を越えるとロビーインターホン12からの呼出報知は中止され、インターホン回線16は遮断状態に復帰する。
よって、応答待機時限の間は、インターホン回線16はロビーインターホン12と、ロビーインターホン12から呼び出された住戸インターホン11との間で占有された状態となり、他の住戸インターホン11との間で通話することはできない。
この例では、上述のインターホン回線16の占有時間を30秒〜60秒の間で切り替え設定自在としているが、占有時間はこれに限定されない。要は、占有時間が長くなりすぎると共用する他の住戸人などに迷惑がかかるので、迷惑がかからない範囲で占有時間を延長できる構成であればよい。
【0017】
ロビーインターホン12の構成は、特に限定されないが、例えば表示画面、呼出操作部12a(図1参照)、通話部を構成するスピーカ、マイク、来訪者や住戸人など人を撮影するカメラ、録画装置など(呼出操作部12a以外、いずれも不図示)を備えている。
表示画面は、液晶画面などで構成され、カメラで撮影した映像を映す映像画面、呼出表示画面などを切替表示するように構成されている。呼出操作部12aは、住戸番号を指定して呼出操作を行うことができ、テンキー、呼出キー、取消キー等で構成され、呼出操作部12aを操作することにより住戸インターホン11を呼出すことができる。
録画装置は、カメラによって撮影された映像を録画するメモリであり、ロビーインターホン12の本体内に内蔵される構成としてもよいし、別途設けられる構成としてもよい。
【0018】
この他、住戸人を認証する機能を備えたインターホンシステムとした場合は、ロビーインターホン12に認証装置が設けられる。この認証装置は、非接触式カードキーなどの認証媒体から読み取った認証情報と、登録されている認証情報とを対照して居住者を認証する装置であり、認証装置による認証が成功すれば、ロビー扉(不図示)が自動的に解錠するようになっている。
【0019】
管理人室機13は、集合住宅の管理する管理人室などに設置され、その構成は特に限定されないが、警報監視盤として構成されたものとしてもよい。この場合、各住戸や集合住宅の共用部で異常発生時に点灯する警報ランプ、タッチパネルなどで構成された管理表示画面、住戸番号を入力するテンキーやメニューキーで構成された操作部、通話部となるハンドセット、警報を出力するスピーカ(いずれも図示なし)などを備えている。
【0020】
制御装置14は、住戸インターホン11と、ロビーインターホン12あるいは管理人室機13との間の信号伝送を制御する装置である。よって、住戸インターホン11、ロビーインターホン12、管理人室機13のそれぞれは、図1に示すようにこの制御装置14に接続されている。
制御装置14と住戸インターホン11との接続方式は特に限定されないが、デジタル式のインターホン回線16としてもよく、その場合、送信先、送信元のアドレスを指定したデジタル信号伝送が行われる。プロトコルの物理レイヤは任意であるが、論理レイヤでTCP/IPを利用できるようにしてもよく、この場合、住戸インターホン11のそれぞれには、固有のグローバルIPアドレスあるいはローカルIPアドレスが割り当てられる。
また、制御装置14とロビーインターホン12あるいは管理人室機13との信号伝送も同様である。なおインターホン回線16は、一般的なツイストペアケーブルを用いてもよいし、専用ケーブルを用いてもよい。
【0021】
続いて図3を参照しながら、インターホンシステム1の基本動作の一例について説明する。以下は、住戸インターホン11で占有時間が60秒に設定され、主に、住戸人が占有時間内にロビーインターホン12からの呼出に応答できなかった場合の動作例について説明する。
まず時刻T1では、住戸人が占有時間切替部11dを操作して占有時間を60秒に設定操作する。
時刻T2では、ロビーに来た人が、ロビーインターホン12の呼出操作部12aでの操作で住戸番号を指定し呼出操作を行う。するとロビーインターホン12が呼出操作を受け付けて、呼出信号を住戸インターホン11に発信する。時刻T3では、制御装置14によって、指定された住戸の住戸インターホン11が呼び出される。このとき、ロビーインターホン12では、呼出中であることが報知され、バックトーンが流れる。
【0022】
時刻T4では、時限タイマ部が起動し、60秒の計時が開始する。この60秒の間に住戸人がロビーインターホン12からの呼出に対応した場合は、その時点で時限タイマ部を停止するようにしてもよく、ロビーインターホン12と住戸インターホン11との間でインターホン回線16が確立し相互通話が可能となる。
なお、図3では、時刻T3と時刻T4とをわけて示しているが、ロビーインターホン12から呼出信号を受信する呼出報知と時限タイマ部の起動とを同時に行うようにしてもよい。
【0023】
時刻T5では、時限タイマ部での計時が60秒経過しタイムアップする。時刻T6では、呼出報知が中止となり、遮断信号がロビーインターホン12へ送信される。時刻T7では、その遮断信号を受けて、呼出報知、すなわちバックトーンの鳴動が終了する。
なお、図3に示す基本動作は一例であってこれに限定されない。
【0024】
以上によれば、占有時間の設定を住戸人自ら行うことができるので、例えば30秒以内にロビーインターホン12からの呼出に対応することが難しい高齢者などが住む住戸であれば、60秒に設定することができる。よって、在宅しているのに、ロビーインターホン12からの呼出に間に合わないといったことを防ぎ、余裕をもって対応することができる。また例えば普段は30秒以内にロビーインターホン12からの呼出に対応することが難しいため、60秒に設定している住戸人であっても、外出時には30秒に切り替えるなど、臨機応変に占有時間を設定変更できるので、利用者にあわせて快適に使用できる。
さらに占有時間が無用に長いとその間はロビーインターホン12を使用することができないことになるが、以上によれば、占有時間の上限が設定されているので、他の住戸人や来訪者に迷惑がかかることを防ぐことができる。
【0025】
なお、インターホンシステム1、住戸インターホン11、ロビーインターホン12などの構成は、図例に限定されるものではない。例えば、図ではロビーインターホン12が1台設けられた例を示しているが、複数のロビーを備えた集合住宅の場合は、複数台のロビーインターホン12が設けられる。またインターホンシステム1が、警報監視システムとしての機能を有している場合は、住戸インターホン11は、セキュリティセンサが異常発生を検知すると、住戸表示画面に警報画面を表示すると共に、スピーカから警報メッセージを出力にしてもよい。また、住戸インターホン11は、異常発生を検知すると管理人室機13に通知し、管理人室機13は、その通知を受信すると、警報を出力する。その後、管理人や警備員などの操作に応じて、異常発生を通知してきた住戸インターホン11や、その近隣の住戸インターホン11から、避難メッセージなどを出力させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 インターホンシステム
11 住戸インターホン
11a 占有時間設定制御部
11d 占有時間切替部
12 ロビーインターホン
16 インターホン回線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロビーに設置されたロビーインターホンと、該ロビーインターホンからの呼出に応答できるように構成され各住戸内に設置された住戸インターホンとを備えた集合住宅用インターホンシステムであって、
前記ロビーインターホンから前記住戸インターホンが呼出されてから前記住戸内の住戸人が応答するまでのインターホン回線の占有時間を所望する時間に設定変更する占有時間設定制御部を備えていることを特徴とする集合住宅用インターホンシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記占有時間を切替自在とした占有時間切替部をさらに備えていることを特徴とする集合住宅用インターホンシステム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−182546(P2012−182546A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42568(P2011−42568)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】