説明

集塵装置およびそれを用いた空調装置

【課題】異なる電圧を印加する一対の電極間に漏れ電流が発生することにより電位差を得ることができなくなり集塵効率が低下するという課題があり、漏れ電流を防止することを目的とする。
【解決手段】風下側に奥行き長さが長い幅広な無印刷部分5bを持つ通風体A1aと風下側に奥行き長さが短い幅狭な無印刷部分5aを持つ通風体B1bを交互に積層することにより、漏れ電流を低減するのに十分な電極部4間の沿面距離を確保でき、かつ電極により電界が発生する領域8も減らすことなく確保できるため、集塵効率を低減することなく漏れ電流が低減できる集塵装置が提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電するイオン化手段を前段に設け、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電界を形成して帯電した粉塵を捕集する構成を持つものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その集塵装置について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、荷電部101は線状電極102とアース電極A103とからなり、荷電部101の通風方向下流側に電圧印加電極105とアース電極B106とからなる集塵部104を設けている。通常、荷電部101においては線状電極102とアース電極A103の間に5〜15kV、また、集塵部104の電圧印加電極105とアース電極B106の間に2〜6kVの電位差を持つように高圧電源107によって線状電極102および電圧印加電極105にそれぞれ電圧が印加されている。
【0005】
上記構成において、荷電部101では線状電極102に高い電圧がかかっており、線状電極102近傍に非常に強い電界が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、アース電極の間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵を帯電させる。帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部104に導入され、電圧印加電極105とアース電極B106との電界の力を受けて両電極板のどちらかに付着して取り除かれ、清浄な空気が集塵部104後方から吹出される。電圧印加電極104は絶縁体である樹脂フィルムで被覆されており、アース電極B106と接触しても短絡を起こさない工夫が施されている。
【特許文献1】特開平6−31200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の集塵装置の集塵部において、異なる電圧を印加する一対の電極間に漏れ電流が発生することにより電位差を得ることができなくなり集塵効率が低下するという課題があり、漏れ電流を防止することが要求されている。
【0007】
また、集塵部において、通風体と電極を交互に積層するときに、通風体の表面もしくは通風路を介して漏れ電流が大きくなる、または短絡して電位差が得られずに集塵効率が低下するという課題があり、積層時の漏れ電流を防止することが要求されている。
【0008】
また、集塵部において、通風体と電極を交互に積層する際にそれぞれを接着されていないと強度が得られないという課題があり、通風体と電極を積層する際にそれぞれが接着されていることが要求されている。
【0009】
また、集塵部において、タバコのヤニなどを捕集して捕集面に導電性の膜が形成されることで高湿度の時に特に集塵効率が低下するという課題があり、捕集面に導電性の膜を形成させないことが要求されている。
【0010】
また、集塵部において、その成形物からガスが発生するという課題があり、発生ガスを抑制することが要求されている。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、漏れ電流を防止することで集塵効率の低下を防ぐことができ、また集塵部が汚れた時でも安定した集塵性能が得ることができ、また発生ガスを抑制することができ高い集塵性能が得られる安定して高い集塵性能を得ることができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体に、その上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層して構成される集塵装置において、電極を設けた面は通風方向に対して風下側に幅広の無電極部分を設けた通風体Aと、電極を設けた面は通風方向に対して風上側に幅広の無電極部分を設けた通風体Bとを電極を設けた面を挟むように交互に積層し、積層した際に通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極とが上下で重なる部分を持ち、また、通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極に異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0013】
この手段により、異なる電圧が印加された電極間の電極端の距離が確保でき漏れ電流の発生を抑制できる集塵装置が得られる。
【0014】
また、他の手段は、電極はスクリーン印刷によって通風体の上面または下面のどちらか一方に形成されることを特徴とするものである。
【0015】
また、他の手段は、スクリーン印刷された電極はカーボンインクであることを特徴とするものである。
【0016】
この手段により、電極がムラなく塗布できる安価な集塵装置が得られる。
【0017】
また、他の手段は、通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体にその上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層し、積層された前記通風体の電極には交互に異なる電圧を印加する集塵装置において、電極が配置されている通風体の表面は絶縁物によりコーティングされていることを特徴とするものである。
【0018】
この手段により、電極の表面が絶縁物により絶縁されているため漏れ電流が発生しない集塵装置が得られる。
【0019】
また、他の手段は、絶縁物はスクリーン印刷によって形成されることを特徴とするものである。
【0020】
この手段により、電極、絶縁物が同一の設備で塗布できる安価な集塵装置が得られる。
【0021】
また、他の手段は、絶縁物が接着性を有するコーティング剤であることを特徴とするものである。
【0022】
この手段により、電極の表面が絶縁物により絶縁されているため漏れ電流が発生しないと同時に通風体が積層される際に接着することができる集塵装置が得られる。
【0023】
また、他の手段は、接着性を有するコーティング剤はホットメルト接着剤であることを特徴とするものである。
【0024】
この手段により、電極の表面が絶縁物により絶縁されているため漏れ電流が発生しないと同時に通風体が積層される際に接着することができる集塵装置が得られる。
【0025】
また、他の手段は、通風体は、電極に対して垂直な壁面が電極に対して平行に配置されている上面および下面よりも内側に凹んでいることを特徴とするものである。
【0026】
この手段により、異なる電圧が印加された電極間に挟まれ電極に対して垂直に配置された壁面を介して流れる漏れ電流の発生を抑制できる集塵装置が得られる。
【0027】
また、他の手段は、表面に前記電極を配した通風体を積層し、シリコンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することを特徴とするものである。
【0028】
この手段により、粉塵の付着する表面にタバコの粉塵などに含まれる固形分、油分、水分が非連続的に付着することで導電性の膜を形成させない集塵装置が得られる。
【0029】
また、他の手段は、シリコンポリマーの溶液にはシリカゲルが添加されていることを特徴とするものである。
【0030】
この手段により、シリコンポリマーからの発生するガスを抑制できる集塵装置が得られる。
【0031】
また、他の手段は、シリカゲルには表面疎水処理が施されていることを特徴とするものである。
【0032】
この手段により、シリカゲルの分散を良くし、シリコンポリマーからの発生するガスを抑制できる集塵装置が得られる。
【0033】
また、他の手段は、表面に前記電極を配した通風体を積層し、抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥することを特徴とするものである。
【0034】
この手段により、抗菌機能を有する集塵装置が得られる。
【0035】
また、請求項1乃至12いずれかに記載の集塵装置を搭載する空調装置としたものである。
【0036】
この手段により、空調機能と同時に高性能かつ性能低下の無い安定した空気清浄機能を有する空調装置が得られる。
【0037】
また、請求項13記載の空調装置は空気清浄機、加湿器、除湿機、エアーコンディショナー、換気装置の何れかであることを特徴とする空調装置としたものである。
【0038】
この手段により、高性能かつ性能低下の無い安定した空気清浄機能を有する空気清浄機、加湿器、除湿機、エアーコンディショナー、換気装置が得られる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば電極間に漏れ電流の発生を抑えることが出来、安定して高い集塵性能を得ることができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供することができる。また、高湿度および集塵部が汚れた状態という装置にとって厳しい状況においても安定して高い集塵性能を得ることができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供することができる。また、発生ガスの抑制できる効果のある安定して高い集塵性能を得ることができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の請求項1記載の発明は、通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体に、その上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層して構成される集塵装置において、電極を設けた面は通風方向に対して風下側に幅広の無電極部分を設けた通風体Aと、電極を設けた面は通風方向に対して風上側に幅広の無電極部分を設けた通風体Bとを電極を設けた面を挟むように交互に積層し、積層した際に通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極とが上下で重なる部分を持ち、また、通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極に異なる電圧を印加することを特徴とするものである。電極は通風路に挟まれて上下にかつ交互に配置積層され異なる電圧が印加される。漏れ電流を低減するためには電極間の距離を拡大すれば低減することは可能であるが、電極により電界が発生する領域も減少してしまうため、集塵性能の劣化になってしまう。そこで、一対の電極間で一方の電極のみ通風方向に対してずらして配置しかつ交互に積層させることにより、沿面距離が通風方向に対して拡大するが、電極により電界が発生する領域は減少することなく漏れ電流の発生を抑制することができる作用を有する。
【0041】
この手段により、異なる電圧が印加された電極間の電極端の距離が確保でき漏れ電流の発生を抑制できる集塵装置が得られる。
【0042】
本発明の請求項2記載の発明は、電極はスクリーン印刷によって通風体の上面または下面のどちらか一方に形成されることを特徴とするものである。
【0043】
本発明の請求項3記載の発明は、スクリーン印刷された電極はカーボンインクであることを特徴とする集塵装置としたものであり、安価で低抵抗な電極を形成すことができる作用を有する。
【0044】
本発明の請求項4記載の発明は、通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体にその上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層し、積層された前記通風体の電極には交互に異なる電圧を印加する集塵装置において、電極が配置されている通風体の表面は絶縁物によりコーティングされていることを特徴とするものであり、電極および通風体の表面が絶縁物にて覆われていることにより電極間の漏れ電流を防止することができる作用を有する。
【0045】
本発明の請求項5記載の発明は、絶縁物はスクリーン印刷によって形成されることを特徴とするものであり、通風体の表面に形成する電極、絶縁物は同一設備で形成可能となり、安価で通風体表面に均一塗布形成することができる作用を有する。
【0046】
本発明の請求項6記載の発明は、絶縁物が接着性を有するコーティング剤であることを特徴とするものであり、通風体表面に電極を設けて積層する際に積層界面となる電極および通風体の表面が接着性を有することにより、積層形成が容易かつ安価にすることができる作用を有する。
【0047】
本発明の請求項7記載の発明は、接着性を有するコーティング剤はホットメルト接着剤であることを特徴とする集塵装置であり、通風体表面に電極を設けて積層する際に積層界面となる電極および通風体の表面が接着性を有するホットメルトであることにより、積層形成が容易かつ安価にすることができる作用を有する。
【0048】
本発明の請求項8記載の発明は、通風体は、電極に対して垂直な壁面が電極に対して平行に配置されている上面および下面よりも内側に凹んでいることを特徴とするものであり、電極は通風路に挟まれて上下にかつ交互に配置積層され異なる電圧が印加される。漏れ電流は各電極の積層界面および電極に対して垂直に配置された壁面を伝わり流れる。電極に対して垂直に配置された壁面を電極の配置された積層界面よりも内側に配置することにより、沿面距離が拡大し漏れ電流の発生を低減することができる作用を有する。
【0049】
本発明の請求項9記載の発明は、表面に前記電極を配した通風体を積層し、シリコンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することを特徴とする集塵装置であり、シリコンポリマーは絶縁性と同時に接着性も有しており、また、シリコンオイルや有機溶剤を混ぜることによって粘度調整も可能で、電極と通風体を積層した状態でシリコンポリマー溶液に浸漬して乾燥することにより集塵部全体の表面をコーティングし、かつ電極および通風体の積層界面を接着することが可能となり漏れ電流の低減と積層形成が同時かつ安価にすることができる作用を有する。
【0050】
本発明の請求項10記載の発明は、シリコンポリマーの溶液にはシリカゲルが添加されていることを特徴とするものであり、シリコンポリマーは主に縮合タイプ、加熱硬化タイプがあり、縮合タイプが一般工業用で幅広く使用されており安価であるが、縮合タイプは架橋剤と水分の反応によって副生ガスが発生し硬化する。水蒸気を物理的に吸着したシリカゲルを溶液に添加し混合することにより、シリコンポリマー内部より架橋剤との反応が促進し硬化を早め工数低減をすることができ、また、副生ガスを早期に発生させることにより副生ガスの残存率の低減をすることができる作用を有する。
【0051】
本発明の請求項11記載の発明は、シリカゲルには表面疎水処理が施されていることを特徴とする集塵装置であり、シリコンポリマー溶液にシリカゲルを混合させる際に表面に疎水化処理を施すことによりシリコンポリマー内での分散性をよくすることができる作用を有する。
【0052】
本発明の請求項12記載の発明は、表面に前記電極を配した通風体を積層し、抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥することを特徴とする集塵装置であり、抗菌成分が集塵装置の表面に付着するより集塵された細菌の増殖を抑えることができる作用を有する。
【0053】
本発明の請求項13記載の発明は、請求項1〜12いずれかに記載の集塵装置を搭載することを特徴とする空調装置としたものである。空調装置に本発明の集塵装置を設けることにより安定して高い空気清浄機能を持たせることができる作用を有する。
【0054】
本発明の請求項14記載の発明は、空調装置は空気清浄機、加湿器、除湿機、エアーコンディショナー、換気装置の何れかであることを特徴とする空調装置としたものである。空気清浄機、加湿器、除湿機、エアーコンディショナー、換気装置に本発明の集塵装置を設けることにより安定して高い空気清浄機能を持たせることができる作用を有する。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態を図1〜3を用いて説明する。
【0057】
図1に示すように、後述する通風体A1aと通風体B1bを総称した通風体1は、通風方向に対して平行な壁面2が上下左右に設けられた通風路3を複数個備えて一体的に成型され、その通風体1の上側表面にはスクリーン印刷法により電極部4がカーボンインクにより印刷されている。電極部4は、通風体1の上側表面全体に印刷されるのではなく、通風方向に対して風上側および風下側に電極部4が印刷されていない無印刷部5が構成されている。ここで、電極部4は通風体1の通風方向の奥行き中心に対して中心に配置されておらず、風上側の無印刷部5と風下側の無印刷部5の通風方向に対する長さ(奥行き長さ)が異なるように電極部4を印刷する。それによって出来上がる無印刷部5は、それぞれ幅狭の無印刷部5aと幅広の無印刷部5bとする。
【0058】
次に、図2および図3に示すように、通風体1を電極部4を上側にして複数個積層することによって集塵部6を構成する。通風体1の積層に際しては幅狭の無印刷部5aおよび幅広の無印刷部5bが通風方向に対して交互に風上側に配置されるように、通風体1を交互に前後逆向きに積層されている。そして、幅狭の無印刷部5aを風上側に配置した通風体1を通風体A1a、幅広の無印刷部5bを風上側に配置した通風体1を通風体B1bとする。
【0059】
集塵部6は、表面疎水化処理が施されたシリカゲルが添加されているシリコンポリマー溶液に浸漬された後、乾燥することにより成型固化されている(図示せず)。また、シリコンポリマー溶液乾燥後、抗菌成分を有する溶液に浸漬された後乾燥させることにより、表面に抗菌成分を付着させる(図示せず)。
【0060】
上記構成において、幅狭の無印刷部5aが通風方向に対して風上側に配置されている通風体A1aには高圧電源7より高電圧を印加し、幅広の無印刷部5bが通風方向に対して風上側に配置されている通風体B1bには高圧電源7のGND側に接続し、異なる電圧で挟まれた通風路3を形成した集塵部6を空気清浄機などの空調装置に組み込むことにより集塵装置と成す(図示せず)。
【0061】
このような本発明の実施の形態1によれば、奥行き長さが短い幅狭な無印刷部5aと奥行き長さが長い幅広な無印刷部5bを交互に積層することにより、漏れ電流を低減するのに十分な電極部4間の沿面距離を確保でき、かつ電極により電界が発生する領域8も減らすことなく確保できるため、集塵効率を低減することなく漏れ電流が低減できる集塵装置が提供することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、通風体1の上側表面に電極部4を形成したが、下側でも構わない。
【0063】
また、電極と通風体を積層した状態でシリコンポリマー溶液に浸漬して乾燥することにより、シリコンポリマーが持つ接着性のため、集塵部全体の表面をコーティングし、かつ電極および通風体の積層界面を接着することが可能となる。また、シリコンポリマーは絶縁物であるため、漏れ電流の低減が可能となり、積層形成が同時かつ安価にすることができる。
【0064】
また、シリコンポリマーの溶液に添加されたシリカゲルは、シリコンポリマーの硬化を早め工数低減をすることができ、また、副生ガスを早期に発生させることにより副生ガスの残存率の低減をすることができる作用を有する。
【0065】
また、シリコンポリマー溶液にシリカゲルを混合させる際に表面に疎水化処理を施すことによりシリコンポリマー内での分散性をよくすることができる。
【0066】
また、積層した通風体を抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥することによって、抗菌成分が集塵装置の表面に付着するより集塵された細菌の増殖を抑えることができる作用を有する。
【0067】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態を図4、5を用いて説明する。なお、実施の形態1の構成と同一部分には同一番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図4および図5に示すように、通風体1は通風方向に対して平行な壁面2が上下左右に設けられた通風路3を複数個備えて一体的に成型され、その通風体1の上側表面にはスクリーン印刷法により電極部4がカーボンインクにより印刷される。さらに、その上から絶縁性と接着性を有するホットメルト9をスクリーン印刷法により全面に印刷塗布されている。
【0069】
集塵部6は、電極部4およびホットメルト9を印刷した側を上側にした通風体1を複数個積層される。次に、通風体1を積層した集塵部6を加圧、加熱することによりホットメルトを溶解、接着固化させて集塵部6が形成される。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0070】
このような本実施の形態によれば、通風体1の表面に配置された電極部4は、その表面をホットメルト9で覆われ、絶縁物により完全に絶縁されているため、漏れ電流は発生せず、集塵効率を低減することなく漏れ電流が低減できる集塵装置が提供することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、実施の形態1のように、電極部4を通風方向に対して風上側、風下側にずらして配置した通風体1を交互に積層しても良いし、積層した通風体1をシリカゲルを混合したシリコンポリマー溶液、抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥してもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、ホットメルト9により集塵部6を固化形成できるため、シリコンポリマーの浸漬、乾燥工程は省くことが可能であり、コスト削減可能にすることができる集塵装置を提供することができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態を図6、7を用いて説明する。なお、実施の形態1、2の構成と同一部分には同一番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図6および図7に示すように、通風体1は通風方向に対して平行な壁面2が上下左右に設けられた通風路3を複数個備えて一体的に成型され、その通風体1の上側表面にはスクリーン印刷法により電極部4がカーボンインクにより印刷されている。左右に設けられる壁面、すなわち電極部4に対して垂直に配置されている垂直壁面2aは、上下に設けられた壁面、すなわち電極部4に対して平行に配置されている平行壁面2bよりも通風方向の長さが短く、通風体1の内側に凹んで配置されている(風上側および風下側)。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0075】
このような本発明の実施の形態3によれば、電極部4に対して垂直に配置されている垂直壁面2aが、電極部4に対して平行に配置されている平行壁面2bよりも通風体1の内側に凹んで配置されている(風上側および風下側)ことにより、垂直壁面2aを伝って流れる漏れ電流の沿面距離が長くなり、漏れ電流を低減するのに十分な電極部4間の沿面距離を確保でき、かつ電極により電界が発生する領域8も減らすことなく確保できるため、集塵効率を低減することなく漏れ電流が低減できる集塵装置が提供することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、実施の形態1のように、電極部4を通風方向に対して風上側、風下側にずらして配置した通風体1を交互に積層しても良いし、積層した通風体1をシリコンポリマー溶液、シリカゲルを混合したシリコンポリマー溶液、抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥してもよい。また、実施の形態2のように、通風体1を積層する際にはホットメルトを用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の集塵装置は、電極の配置を変更すること、また、通風体の形状を変更することを用いて容易に漏れ電流を防止することができ、安定して高い集塵性能を得ることができるという効果を有し、空気環境を向上させる用途として有用である。
【0078】
また、本発明の集塵装置は、電極表面に同一設備でコーティング可能な絶縁性と接着性を有するホットメルトを用いることにより、安価に漏れ電流を防止することができ、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用であり、長期間において安定した集塵性能を得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1の通風体を示す構成図
【図2】本発明の実施の形態1の集塵装置を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1の集塵装置を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態2の通風体を示す構成図
【図5】本発明の実施の形態2の集塵装置を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態3の通風体を示す構成図
【図7】本発明の実施の形態3の集塵装置を示す断面図
【図8】従来の集塵装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0080】
1a 通風体A
1b 通風体B
2 壁面
2a 垂直壁面
2b 平行壁面
3 通風路
4 電極部
5 無印刷部
5a 幅狭な無印刷部
5b 幅広な無印刷部
6 集塵部
7 高圧電源
8 電界が発生する領域
9 ホットメルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体にその上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層して構成される集塵装置において、電極を設けた面は通風方向に対して風下側に幅広の無電極部分を設けた通風体Aと、電極を設けた面は通風方向に対して風上側に幅広の無電極部分を設けた通風体Bとを電極を設けた面を挟むように交互に積層し、積層した際に通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極とが上下で重なる部分を持ち、また、通風体Aに設けた電極と通風体Bに設けた電極に異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記電極はスクリーン印刷によって通風体の上面または下面のどちらか一方に形成されることを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記電極はカーボンインクであることを特徴とする請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体にその上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層し、積層された前記通風体の電極には交互に異なる電圧を印加する集塵装置において、前記通風体の電極が配置されている表面は絶縁物によりコーティングされていることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
前記絶縁物はスクリーン印刷によって形成されることを特徴とする請求項4に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記絶縁物が接着性を有するコーティング剤であることを特徴とする請求項4または5に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記接着性を有するコーティング剤はホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項6に記載の集塵装置。
【請求項8】
通風方向に対して平行な壁面で形成された通風路を持つ通風体にその上面または下面のどちらか一方の表面に電極を設け、前記通風体を積層し、積層された前記通風体の電極には交互に異なる電圧を印加する集塵装置において、前記通風体は、前記電極に対して垂直な壁面が前記電極に対して平行に配置されている上面および下面よりも内側に凹んでいることを特徴とする記載の集塵装置。
【請求項9】
表面に前記電極を配した通風体を積層し、シリコンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
前記シリコンポリマーの溶液にはシリカゲルが添加されていることを特徴とする請求項9に記載の集塵装置。
【請求項11】
前記シリカゲルには表面疎水処理が施されていることを特徴とする請求項10に記載の集塵装置。
【請求項12】
表面に前記電極を配した通風体を積層し、抗菌成分を有する溶液に浸漬し乾燥することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかに記載の集塵装置を搭載する空調装置。
【請求項14】
請求項13記載の空調装置は空気清浄機、加湿器、除湿機、エアーコンディショナー、換気装置の何れかであることを特徴とする空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−229647(P2007−229647A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55848(P2006−55848)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】