集積回路のパッケージング及び製造
集積回路の製造に関する装置、パッケージング及び方法が提供される。集積回路は、第1の材料を含む第1の基板上に製造される第1のタイプの素子、及び第2の材料を含む第2の基板上に製造される第2のタイプの素子を含む。第1の材料は、第1のタイプの素子の製造及び/又は性能に関して第2の材料よりも良好な適合性を有するが、第2の材料は、第2のタイプの素子の製造及び/又は性能に関して第1の材料よりも良好な適合性を有する。また、上述した集積回路を作製する方法も説明され、その方法は、数あるステップの中で、第1と第2の基板を互いに向き合って配置するステップ、及び素子間に電気接続を確立するステップを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路(IC)は一般に、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、及びインダクターのような種々の素子からなる電子回路が製造される基板を内蔵する。基板材料の選択は、ICの設計および製造に関連した多数の要因によって影響を受ける。デバイスのコスト、デバイスのパッケージング密度、及びデバイスの性能のようなこれらの要因のいくつかは、時として不都合な態様で相互に依存する傾向がある。従って、基板の選択において、これらの要因に関連した特定の優先順位に基づいて、トレードオフがなされる必要がある。
【0002】
係るトレードオフの1つは、パッケージング密度を最大化するために、次善のデバイス性能を受け入れることに関係する。一般に、係るパッケージング密度の最大化は、たとえ回路のいくつかの素子の性能が、これらの素子が選択された基板上に形成された場合に損なわれるとしても、共通に共用される基板上に素子の大部分または全てを形成することを課す。損なわれる性能の1つの例は、素子が選択された基板上に製造される場合に電子回路に導入される寄生容量に関係する。寄生容量の影響は、電子回路の設計にこの静電容量を適応させることにより、或る程度まで対処され得るが、特に高周波数信号に関して、この静電容量に関連した信号の損失は、回路の性能にかなりネガティブな影響を及ぼす可能性がある。損なわれる性能の別の例は、例えば、特定の基板上に製造された場合に最適な性能を提供するトランジスタのような素子がデバイスのコストのような他の要因に基づいて選択された別の基板上に代替的に製造された場合に生じる可能性がある製造問題に関係する。
【0003】
いくつかの代替のパッケージング技術が上述したいくつかの不利益を克服するために提案されているが、係る代替の手法は、増大した製造コスト、及び扱いにくいハンドリング工程により負担がかかることが多い。係る代替のパッケージング技術の一例として、米国特許第6,462,620B1号(RF power amplifier circuitry and method for amplifying signals)に留意されたい。
【0004】
従って、認識され得ることは、現在の技術における上述した欠点に鑑みて、集積回路の製造および性能の特性における改善が必要とされていることである。
【0005】
開示の概要
概して、本開示の実施形態は、第1のタイプの素子が製造される第1の基板、及び第2のタイプの素子が製造される第2の基板を有する集積回路に関係する。第1の基板に含まれる材料は、1つ又は複数の態様において第2の基板に含まれる材料よりも、第1のタイプの素子と良好に適合する。第2の基板に含まれる材料は、1つ又は複数の態様において第1の基板に含まれる材料よりも、第2のタイプの素子と良好に適合する。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態の1つにおいて、集積回路を作製する方法は、第2のタイプの素子が製造される第2の基板に含まれる材料よりも、第1のタイプの素子と適合する第1の材料を含む第1の基板上に第1のタイプの素子を製造することを含む。第2の基板の材料は、第1の基板に含まれる材料よりも、第2のタイプの素子と適合する。方法はさらに、素子間に電気接続を確立することを含む。
【0007】
明らかに、開示のいくつかの実施形態は、上述したものに加えて、又はそれらの代わりに利点を呈することができる。さらに、他のパッケージング及び製造方法が明らかになることができる。係る追加のシステム、方法、特徴、及び/又は利点の全てが、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0008】
本発明の多くの態様は、以下の図面に関連してより良く理解され得る。図面の要素は、必ずしも一律の縮尺に従っておらず、代わりに本発明を明瞭に例示することに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照符号は、いくつかの図面の全体にわたって対応する部品を示す。
【0009】
詳細な説明
種々の実施形態が、集積回路の製造および性能の特性を改善するいくつかの態様を示す。いくつかの例示的な実施形態の1つにおいて、集積回路(IC)は、第1と第2の基板を含むように製造される。第1の基板は、例えば製造および性能のような種々の態様において、異なる材料を含む第2の基板上にではなく、この基板上に製造される特定のタイプの素子に良好な適合性を提供する材料を含む。第2の基板に含まれる材料は、この第2の基板上に製造される第2のタイプの素子に、より良好に適合する。素子の双方は、電子回路の一部であり、第1と第2の基板間の、1つ又は複数の導電性相互接続部を介して互いに電気接続される。
【0010】
このように、2つの基板の選択、並びにこれらの基板上に製造される素子に使用される相互接続技術は、独立して実行されることができ、結果として集積回路に含まれる電子回路の全体的な性能を最適化する。この例示的な実施形態は2つの基板の使用を説明するが、他の実施形態において、3つ以上の基板が使用されてもよい。さて、上記で概説された例示的な実施形態、及び他の例示的な実施形態が、図面を用いてさらに詳細に説明される。
【0011】
図1は、第1の例示的な実施形態に従って製造された集積回路100の断面図である。基板110(以降、代わりに「蓋基板」と呼ばれる)は、集積回路100の一部である2つの基板の1つである。基板115(以降、代わりに「底部基板」と呼ばれる)は、やはり集積回路100の一部である第2の基板である。理解されるように、用語「蓋」および「底部」は、説明の便宜のためだけに使用されている。
【0012】
図1において、回路素子125は基板110の表面111上に製造されるが、回路素子130は基板115の表面141上に製造されるように示される。導電性ポスト120の形態の導電性相互接続部が、2つの基板間に延在する。この例示的な実施形態において、導電性ポスト120は、例えば、ポリイミド又はコンプライアンスのあるポリマーのようなコンプライアンスのある材料からなる。ポリマーは一般に、不良の導電体である。従って、導電性ポスト120の少なくとも一部は、導電性材料の層121でコーティングされる。導電性ポスト120は、2つの基板110と115が互いに結合される前に蓋基板110上に形成される。代案として、ポスト120は、底部基板115上に形成され得る。結合される場合、導電性ポスト120が、底部基板115上に配置された導電性パッド122と電気接触する。導電性パッド122は、回路100が組み立てられる際に導電性ポスト120と電気接触するための比較的幅の広い導電性領域を提供することにより、電気接続を形成するのを助ける。図1において、導電性パッド122は、基板115の表面141の外側に位置するように示される。代替の実施形態において、導電性パッド122は、表面141の上に部分的に、又は全体的に製造されてもよい。
【0013】
回路素子125は、基板110の表面111上に製造された導電性トレース126を介して導電ポスト120に接続される。代替の実施形態において、導電性トレース126は、基板110の表面111の上に位置する1つ又は複数のメタライゼーション層上に製造される。
【0014】
回路素子130は、基板115の表面141上に位置する導電性トレース131を介して導電性パッド122に接続される。導電性パッド122は、上述したように導電性ポスト120に電気接続される。従って、電気相互接続が、導電性トレース126、導電性ポスト120、導電性パッド122、及び導電性トレース131を介して回路素子125と130との間に存在する。
【0015】
ガスケット135が集積回路100の周辺部の周りに延在し、基板110と115によってさらに画定されたチャンバ140にハーメチックシールを提供する。本明細書で使用される場合、チャンバにハーメチックシールを提供するガスケットは、「ハーメチックガスケット」と呼ばれる。ガスケット135の種々の構成が、種々の実施形態において使用され得る。例えば、共通に譲渡された米国特許第6,090,687号および米国特許第6,118,181号は、ハーメチックシールを提供するガスケットを形成するために使用され得る技術を説明しており、それら双方の特許文献は参照により本明細書に組み込まれる。図1に示された例示的な実施形態において、ガスケット135は、ポリイミド又はコンプライアンスのあるポリマーのようなコンプライアンスのある材料からなる。しかしながら、ポリマーはハーメチックではなく、ハーメチックシールを形成するために一般に使用されていない。従って、ガスケット135の少なくとも一部は、金、銅、ガラス、又は窒化ケイ素のようなシール材料の層136でコーティングされる。ポリマーをシール材料でコーティングすることにより、ガスケット135がハーメチックシールを形成することを可能にする。ガスケット135は、任意の所望の形状(例えば、円、正方形、長方形など)からなることができる。必要であれば、ガスケット135の形状に類似したパッド137が、底部基板115上に形成されて、集積回路100が組み立てられる際にガスケット135と接触することができる。
【0016】
回路素子125が、表面111と表面112との間の基板110を貫通して延在するバイア127を用いて外部導電性パッド128に接続されるように示される。パッド128を用いて、図1に示されていない他のデバイスに集積回路100を接続することができる。同様に、回路素子130は、表面141と表面142との間の基板115を貫通して延在するバイア116により外部導電性パッド117に接続される。パッド117を用いて、図1に示されていない他のデバイスに集積回路100を接続することができる。
【0017】
理解されるように、他の代替の実施形態において、外部電気接続は、パッド117と128の代替の実施形態により提供され得る。パッド117は、例えば、第1の代替の実施形態において、導電性ピンと置き換えられ得るが、第2の代替の実施形態において、2つのパッド117と128の一方は除去され得る。また、代替の実施形態において、導電性ポスト120は、回路素子125と130の端子間で、例えば超音波により適切にボンディングされる金ワイヤのような導電性ワイヤと置き換えられる。さらに別の代替の実施形態において、導電性ポスト120が底部基板115上に形成される。
【0018】
次に、図2に注目すると、図2は、例えば、図1の基板110と115のような2つ以上の基板上に製造され得る例示的な回路を示す。例示的な回路図は、既知の二段無線周波数(RF)増幅器200を示す。簡略にするため、RF増幅器200の回路動作は、微細に説明されない。一方、本開示に関連する回路の特定の態様は、より詳細に以下に説明される。
【0019】
RF増幅器200は、2つの主な分類、即ち「能動素子」と「受動素子」に概して分類され得る多数の素子からなる。能動素子のいくつかの例は、トランジスタ及びダイオードであり、受動素子のいくつかの例は、抵抗、コンデンサ、インダクター、伝送線回路、及びトランスである。能動素子の中で、種々のタイプの材料と技術を用いて製造される種々のタイプの素子が存在する。例えば、トランジスタの中で、バイポーラトランジスタ、単接トランジスタ(UJT)、及び電界効果トランジスタ(FET)のような、いくつかのタイプのトランジスタが存在する。これらのトランジスタは、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、及びリン化インジウムのような種々のタイプの材料を用いて、モノリシックバイポーラ、相補型バイポーラ、接合ゲートFET(JFET)、及び絶縁ゲートFET(IGFET)のデバイスを製造するために使用されるような種々の技術を採用して製造される。
【0020】
バイポーラトランジスタの中で、npnトランジスタは、バイポーラICで広く使用されている。npnトランジスタ構造の選択および選択された基板の不純物特性は、バイポーラICの製造に関する出発点となる。次いで、受動素子および追加の能動素子が、選択された基板の材料特性の制限を考慮しながら、この選択された基板上に製造される。残念ながら、例えば、JFET又はIGFETのような追加の能動素子、又はコンデンサのような受動素子がこの同じ基板上に製造される必要がある場合、基板材料の特性に起因して、何らかの調整が行われる必要がある。
【0021】
能動素子に関連した特定のパラメータに対処することについて、図3に注目すると、図3は、ピンチ領域(pinched region)において動作するJFETのAC等価回路を示す。一実施形態において、図2のRF増幅器200のトランジスタ205は、係るJFETである。AC等価回路は、JFETの周波数応答を画定するために使用され得る近似を提供する。Rsは、ソース端子に直列の寄生バルク抵抗を表し、Cgs及びCgdは、ゲートソース及びゲートドレインの静電容量であり、gdは、チャネル長変調効果に起因したダイナミック出力コンダクタンスである。1つの典型的な構成において、ドレイン面積は、Cgdを最小限にするために、できる限り小さく作製される。その理由は、この静電容量がドレイン端子とゲート端子間に寄生結合を提供し、JFETの周波数能力を低減するからである。Cdss310は、ドレインと基板との間に存在する寄生容量であり、Csss320は、ソースと基板との間に存在する寄生容量である。基板の材料によって主に画定されるこれら寄生容量は、特により高い周波数において、信号振幅を低減することにより、デバイス性能の大幅な劣化の一因となる。
【0022】
受動素子に目を向けると、例示的な実施形態において、図2のコンデンサ212に使用されるような薄膜コンデンサは一般に、誘電体により分離された2つの導電層からなる。薄膜コンデンサは、図4Aに示されるような金属酸化物半導体(MOS)構造を用いて製造され得るか、又は代案として、図4Bに示されるように2つの導電金属層間に薄膜誘電体層を用いることにより製造され得る。MOS構造は、従来の処理技術と容易に適合し、複数のメタライゼーション層を必要としないので、モノリシック回路に一般に使用される。
【0023】
薄膜か、又はMOSであるコンデンサは、コンデンサの一部とコンデンサが製造される基板との間に存在する寄生容量に関連した望ましくない信号損失の点で、不利益をこうむる。寄生容量は、コンデンサにより与えられる実効インピーダンスの1つの成分を構成する。この実効インピーダンスが基板により与えられるインピーダンスに匹敵する場合、コンデンサの実効インピーダンスが基板のインピーダンスに共役整合する際に信号損失が最大化される。従って、信号損失は、コンデンサと基板との間のインピーダンス不整合を意図的に導入することにより、低減され得る。係るインピーダンス不整合は、比較的高い抵抗率を有するか、又は理想的な導体である基板を用いることにより、導入され得る。高い抵抗率を有する半導体基板材料の例は、ガリウムヒ素(GaAs)及びリン化インジウム(InP)である。これらの材料は、高品質の受動素子を製造するために使用され得る。しかしながら、多くの場合、能動素子を製造するために選択された基板は、この基板上に製造される典型的なコンデンサにより与えられるインピーダンスに近い次善のインピーダンス特性を与える。従って、係る「損失の大きい」基板上に製造されたコンデンサは、望ましくない信号損失を提供する。
【0024】
また、コンデンサの上述した特性はさておき、図2のインダクター209のような、別の受動素子のインダクターも、インダクターが実装される基板によってもたらされる寄生容量の存在に起因して生じた信号損失をこうむる。寄生容量のネガティブな影響に加えて、インダクターの性能は、インダクターの周りに存在する磁界の結果として、基板に流れる過電流の存在によってさらに脅かされる。過電流および寄生容量は、基板材料の適切な選択により、最小限にされ得る。材料は、能動素子を念頭に置いて選択された基板上にインダクターを製造することにより支障を来す代わりに、これら望ましくない影響を最小限にするために選択される。
【0025】
種々の望ましくない影響が上述されたが、基板上の様々な素子の製造および性能は、不十分な温度係数、不十分な絶対値許容誤差、及び基板材料の限られた電力操作能力のような、さらなる要因によってさらに影響を受ける。
【0026】
さて、もう一度、図2に示されたRF増幅器200に注目する。RF増幅器200は、2つのセクションに分割され、1つのセクションは、能動素子(トランジスタ205、210)を含み、別のセクションは、受動素子だけを有する回路網225である。上述したように、基板上に製造される場合、能動素子は、特定の損失の大きい寄生容量および望ましくない抵抗を組み込む。従って、第1の実施形態において、第1の材料を含む第1の基板は、能動素子だけを製造するために選択される。一例として、この第1の材料は、100Ωcm未満のバルク抵抗率を有するシリコンである。次いで、第1の基板に含まれる材料とは異なる材料を含む第2の基板が、回路網225の受動素子を製造するために選択される。この第2の材料のバルク抵抗率は、例えば、1kΩcmより大きい、又は1kΩcmに等しい。一般に、より高い抵抗率を備える基板は、より低い抵抗率を備える基板よりも損失が少ない。
【0027】
第2の実施形態において、第1の基板は、能動素子(例えば、トランジスタ205と210)だけでなく、回路網225の外側に示された他の素子(例えば、インダクター203、コンデンサ206、伝送線207)も製造するために使用される。同様に、第2の基板も、図2に示されない能動素子を含む。これら代替の実施形態は、例えば、デバイスの性能、デバイスのパッケージング密度、基板の層の数、及び製造の容易性のような種々の目標を満たすために実施される。
【0028】
上記の例から理解されるように、集積回路は、基板のそれぞれに製造される素子の所望の性能によって決まる、2つの異なる材料を有する2つの基板を使用することができる。さらに、2つの基板の第1の基板に製造される素子は、第1の相互接続技術を用いて互いに相互接続され得る。例えば、インピーダンス整合回路網として動作する回路網225が第1の基板上に製造される場合、電気接続は、特に所望の特性インピーダンスを提供するような寸法に作られた金属トレースからなることができる。当業者ならば理解されるように、係る特性インピーダンスは、基板の誘電率に加えて、金属トレースの幅により、或る程度決定される。また、空間があれば、場合によっては、例えば、より広い金属トレースを使用することによって回路網225の受動素子を相互接続する場合には、信号損失が低減される。
【0029】
一方、例えば、RF増幅器200の2つの増幅段を相互接続するために利用される相互接続技術は、トレースの幅の代わりに、相互接続の距離とサイズを最小限にすることをめざしている。これは、コストの観点から望ましくない複数のメタライゼーション層の使用につながる。その理由は、各追加のメタライゼーション層が製造コスト及び製品原価を増すからである。
【0030】
上述した態様は、1つの例示的な実施形態において要約されることができ、この場合、特定の素子、例えば図2の能動素子の全ては、特定のタイプの材料からなる第1の基板上に製造される。この第1の基板は、例えば、基板上に能動素子を製造するための適合性、この基板上に製造された場合のこれら素子の性能、材料のコスト、及び製造コストのような、1つ又は複数の要因に基づいて選択される。次いで、別のタイプの材料からなる第2の基板が、第2の素子のセットを製造するために選択される。第2の素子のセット、例えば、図2の受動素子の全ては、第1の基板よりも第2の基板と適合する。やはり、第2の基板は、製造、性能、及びコストのような1つ又は複数の要因に基づいて選択される。この例示的な実施形態において、第1の基板上にではなく、第2の基板上に受動素子の全てを製造することにより、材料コストの低い第2の基板の独立した選択が可能になり、受動素子のより良好な回路性能が提供され、その上、組み込まれるメタライゼーション層の数がより少なくなり、より低い材料コスト及び製造コストにつながる。
【0031】
別の実施形態において、第1の基板は、第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料から選択され、第2の基板は、第1の基板のCTEに適合したCTEを有する材料から選択される。これら2つの基板から製造されたICは、特定の機械的および電気的利点を提供する。
【0032】
図5は、1つの例示的な実施形態に従って製造された集積回路500の断面図である。図5の集積回路500は、説明のために素子のいくつかが示された図2の素子を組み込む。基板510は、受動素子を有する回路網225(図2を参照)と連係して使用される場合に特定の所望の特性を提供するように、高い抵抗率の材料からなる。係る所望の特性の一例は、信号伝送損失を低減するための低い寄生容量に関係する。
【0033】
受動素子の2つ、インダクター209及びコンデンサ212が、基板515に面する基板510の表面551上に製造されるように示される。インダクター209及びコンデンサ212は、金属トレース224を介して互いに電気的に相互接続される。金属トレース224は、基板510の誘電率と連係して所望の特性インピーダンスを提供するような寸法に作られている。インダクター209は、金属トレース216により、導電性ポスト520にさらに接続される。
【0034】
集積回路500の第2の基板は、基板510に含まれる材料の抵抗率よりも低い抵抗率を有する材料からなる基板515である。図2の3つの素子、コンデンサ201、及びトランジスタ205と210が、基板515の表面552上に製造されるように示される。図2の回路において入力結合コンデンサとして動作するコンデンサ201が、金属トレース215により入力端子221に接続される。入力端子221は、基板515の下に延在する金属ピンであり、プリント基板(PCB)(図示せず)上に集積回路500を実装するために使用され、例えば、同じPCB上に同様に実装され得る他のデバイスに集積回路500の回路を電気接続するための手段を提供する。当業者には理解されるように、例えば、表面実装パッド及び表面実装リードを含む入力端子221の代替の実施形態がいくつか存在する。
【0035】
導電性ポスト520及びガスケット535は、図1の導電性ポスト120及びガスケット135の実施形態である。理解されるように、導電性ポスト520及びガスケット535は、いくつかの代替の態様で実施され得る。参照により本明細書に組み込まれる、2004年7月13日に出願され、「A Film Bulk Acoustic Resonator Package and Method of Fabricating same」と題する、共通に譲渡された米国特許出願第10/890343号は、導電性ポスト520、ガスケット535を形成するために使用され得る例示的な技術、及び集積回路500のようなデバイスを製造する方法を説明する。
【0036】
また、必要であれば、形状がガスケット535に類似したパッド537が、集積回路500が組み立てられる場合にガスケット535と接触するように、基板315の表面552上に配置され得る。同様に、導電性ポスト520に接触するための導電性パッド522が、基板515の表面552上に形成され得る。
【0037】
さて、図6に注目すると、図6は、基板510、並びに導電性ポスト520、ガスケット535、及び基板510上に製造された素子の断面図を示す。断面図は、集積回路500の1つのセクション、即ち、蓋セクションの製造の特徴に関する何らかの情報を提供する。図7は、基板510の表面551、及び図6に示された他の関連部品の図である。ガスケット535に注目すると、ガスケット535は、集積回路500の周辺部に沿って形成され、基板510が底部基板に結合された場合に形成されるチャンバの内側に素子を密閉する。
【0038】
図8は、基板515、並びにパッド537、導電性パッド522、及び基板515上に組み立てられた素子の断面図である。断面図は、集積回路500の別のセクション、即ち、底部セクションの製造の特徴に関する何らかの情報を提供する。図9は、基板515の表面552、及び図8に示された他の関連部品の図である。パッド537に注目すると、パッド537は、集積回路500の周辺部に沿って形成され、図4及び図5に示されたガスケット535と接合する。また、図6及び図7に示された対応する導電性ポスト520と機械的および電気的に接触する導電性パッド522も示される。
【0039】
図10は、集積回路500のような集積回路を製造する1つの例示的な方法を示すフローチャートである。単に便宜のために、図5(及び他の関連する図面)に示された例示的な実施形態が、図10のフローチャートを説明するために使用される。理解されるように、特定の例示的なプロセスのステップが以下に説明されるが、代替の具現化形態も実現可能である。さらに、ステップは、実質的に同時に、又は逆の順番を含む、図示された又は説明された順番から無関係に実行され得る。
【0040】
ブロック101において、それぞれ第1及び第2の材料からなる第1及び第2の基板510と515が準備される。ブロック102において、例えば、インダクター209のような第1のタイプの素子が、基板510上に製造される。ブロック103において、例えば、トランジスタ205のような第2のタイプの素子が、基板515上に製造される。ブロック104において、第1の基板510が、第2の基板515に向き合って配置される。例えば、この配置は、基板510を基板515に対して押しつけて結合することにより実施される。特に、基板510は、導電性ポスト520が導電性パッド522と接触し、ガスケット535がパッド537と接触しながら、基板515に押しつけられる。導電性ポスト520のコンプライアンスのある材料により、2つの基板が互いに押しつけられる際に、ポストが破損または故障せずに変形することを可能にする。さらに、ガスケット535のコンプライアンスのある材料により、基板510と515が互いに押しつけられる際に、ガスケット535が破損または故障せずに変形することを可能にする。基板510と515は、互いに押しつけられながら、結合され得る。熱圧着またはハンダ結合のような様々な既知の、又は将来に開発される結合技術を用いて、基板510と515を結合することができる。
【0041】
一実施形態において、導電性ポスト520及びガスケット535をコーティングするために使用される導電性材料は金(Au)である。係る実施形態において、基板510と515がハンダ結合を用いて結合される前に、スズ(Sn)の層が、金でコーティングされた導電性ポスト520とガスケット535に堆積される。次いで、ハンダ結合を用いて基板510と515を結合するために、基板510と515は、導電性ポスト520とガスケット535が基板515と密接に接触するまで、互いに押しつけられ、集積回路500は、導電性ポスト520とガスケット535上の金とスズの材料が溶融し始めるまで加熱され、それにより、この材料が基板515に拡散して付着する。次いで、集積回路500の加熱が停止され、基板510と515が冷えることを許容される。溶融した金とスズの材料は、集積回路500が冷えると硬化し、硬化された材料は、基板515と導電性ポスト520並びにガスケット535との間に結合を形成する。上述したように、金でコーティングされた導電性ポスト520とガスケット535にスズを導入することは、ハンダ結合中に、より強い結合を形成するのに役立つ。
【0042】
導電性ポスト520及びガスケット535のコンプライアンスのある材料は、確実に導電性ポスト520及びガスケット535が基板515に密接に接触することに役立つ。この点に関して、導電性ポスト520及びガスケット535のコンプライアンスのある材料により、導電性ポスト520及びガスケット535の全周辺部が基板515と接触するまで、導電性ポスト520及びガスケット535が変形することが可能になる。一例として、導電性ポスト520及びガスケット535の製造における欠陥により、導電性ポスト520がパッド522に接触する前に、ガスケット535がパッド537に接触する可能性がある。係る状況において、ガスケット535は、導電性ポスト520がパッド522と密接に接触するまで、基板510と515が互いにさらに押しつけられることを可能にするように変形する。同様に、導電性ポスト520又はガスケット535の一部は、ガスケット535の全周辺部がパッド537と密接に接触することを可能にするように変形することができる。結合中に、導電性ポスト520とパッド522との間、及びガスケット535とパッド537との間の密接な接触を保証することは、確実に導電性ポスト520が基板510と515との間に信頼できる低インピーダンスの導通を提供し、且つガスケット535がチャンバ540の信頼できるハーメチックシールを提供することに役立つ。
【0043】
集積回路500の組み立て後、基板515は、必要に応じて、その厚みを低減して、この基板上に実装された素子のより良好な熱放散を提供するために、薄くされ得る。例えば、バックラッピング又は研磨のような、基板515を薄くするための任意の適切な製造技術を用いて、基板515を薄くすることができる。一実施形態において、基板510は、基板515が破損または機械的完全性をあまり気にせずに薄くされ得るように、十分な構造的支持を提供する。
【0044】
導電性ポスト520及びガスケット535の何れか、又は双方は、同じ基板510上に形成される必要がある。代案として、導電性ポスト520及びガスケット535の何れか、又は双方は、基板515上に形成され得る。この場合、パッド537と522に類似したパッドが、基板510上に形成される。次いで、導電性ポスト520及び/又はガスケット535は、結合中に基板510上に位置するパッドに対して押しつけられる。
【0045】
1つの例示的な実施形態において、ガスケット535は、ガスケット535をシールするだけでなく導電性にもする金または銅のような材料でコーティングされる。係る実施形態において、ガスケット535は、基板510と515との間に電気接続を提供する。必要に応じて、ガスケット535は導電性ポスト520に加えて、又はその代わりに、2つの基板上に製造された回路素子間に電気接続を提供することができる。係る実施形態において、導電性ポスト520の形成は、必要ないかもしれない。
【0046】
図5に注目すると、図5は、図10によって説明された方法の1つの例示的な具現化形態を示す。特に、ブロック104に関連して、2つの素子は、第1及び第2の基板が互いに結合される場合に形成されるチャンバ540の内部に収容され得る。
【0047】
さらに図10のブロック104に関連して、第1の材料は、第1のタイプの素子に関連した1つ又は複数の態様に対して、第2の材料よりも適合する。例えば、第1の材料は、基板の表面上に受動素子を製造するという点で、より適合する。さらに、第1の材料は、例えば、第1のタイプの素子に関連した寄生容量が低減されることにより、より良好な性能を提供する。逆に、第2の材料は、第2のタイプの素子に関連した1つ又は複数の態様に対して、第1の材料よりも適合する。例えば、第2の材料は、トランジスタ205のような能動素子の製造に、より適合する。また、第2の材料は、第2の素子のより良好な性能も提供することができる。
【0048】
上記の例は、第1の基板上に受動素子を製造し、第2の基板上に能動素子を製造することに言及したが、理解されるように、追加の能動素子および受動素子も、一方または双方の基板上に、例示的な素子に加えて、又は例示的な素子の代わりに製造され得る。
【0049】
本発明の上述した実施形態は単に、本発明の原理を明瞭に理解するために説明されている。多くの変形形態および修正形態が、本発明から実質的に逸脱せずに行われ得る。係る修正形態および変形形態の全ては、本明細書において本開示の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本開示の1つの例示的な実施形態に従って製造された集積回路の断面図である。
【図2】能動素子および受動素子を組み込む無線周波数(RF)増幅器の例示的な回路図である。
【図3】図2のRF増幅器の一実施形態で使用されるJFETのAC等価回路を示す図である。
【図4A】図2のRF増幅器の実施形態に使用される金属酸化物半導体(MOS)コンデンサの構造を示す図である。
【図4B】図2のRF増幅器の実施形態に使用される薄膜コンデンサの構造を示す図である。
【図5】別の例示的な実施形態に従って製造された、図2の素子を含む集積回路の断面図である。
【図6】図5の集積回路の一部である、蓋基板、コンプライアンスのある接続部、及びコンプライアンスのあるガスケットを含む例示的な実施形態の断面図である。
【図7】図6の蓋基板の底面図である。
【図8】図5の集積回路の一部である、底部基板、及び外部接続部を含む例示的な実施形態の断面図である。
【図9】図8に示された底部基板の底面図である。
【図10】図5の集積回路を製造する1つの例示的な方法を示すフローチャートである。
【背景技術】
【0001】
集積回路(IC)は一般に、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、及びインダクターのような種々の素子からなる電子回路が製造される基板を内蔵する。基板材料の選択は、ICの設計および製造に関連した多数の要因によって影響を受ける。デバイスのコスト、デバイスのパッケージング密度、及びデバイスの性能のようなこれらの要因のいくつかは、時として不都合な態様で相互に依存する傾向がある。従って、基板の選択において、これらの要因に関連した特定の優先順位に基づいて、トレードオフがなされる必要がある。
【0002】
係るトレードオフの1つは、パッケージング密度を最大化するために、次善のデバイス性能を受け入れることに関係する。一般に、係るパッケージング密度の最大化は、たとえ回路のいくつかの素子の性能が、これらの素子が選択された基板上に形成された場合に損なわれるとしても、共通に共用される基板上に素子の大部分または全てを形成することを課す。損なわれる性能の1つの例は、素子が選択された基板上に製造される場合に電子回路に導入される寄生容量に関係する。寄生容量の影響は、電子回路の設計にこの静電容量を適応させることにより、或る程度まで対処され得るが、特に高周波数信号に関して、この静電容量に関連した信号の損失は、回路の性能にかなりネガティブな影響を及ぼす可能性がある。損なわれる性能の別の例は、例えば、特定の基板上に製造された場合に最適な性能を提供するトランジスタのような素子がデバイスのコストのような他の要因に基づいて選択された別の基板上に代替的に製造された場合に生じる可能性がある製造問題に関係する。
【0003】
いくつかの代替のパッケージング技術が上述したいくつかの不利益を克服するために提案されているが、係る代替の手法は、増大した製造コスト、及び扱いにくいハンドリング工程により負担がかかることが多い。係る代替のパッケージング技術の一例として、米国特許第6,462,620B1号(RF power amplifier circuitry and method for amplifying signals)に留意されたい。
【0004】
従って、認識され得ることは、現在の技術における上述した欠点に鑑みて、集積回路の製造および性能の特性における改善が必要とされていることである。
【0005】
開示の概要
概して、本開示の実施形態は、第1のタイプの素子が製造される第1の基板、及び第2のタイプの素子が製造される第2の基板を有する集積回路に関係する。第1の基板に含まれる材料は、1つ又は複数の態様において第2の基板に含まれる材料よりも、第1のタイプの素子と良好に適合する。第2の基板に含まれる材料は、1つ又は複数の態様において第1の基板に含まれる材料よりも、第2のタイプの素子と良好に適合する。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態の1つにおいて、集積回路を作製する方法は、第2のタイプの素子が製造される第2の基板に含まれる材料よりも、第1のタイプの素子と適合する第1の材料を含む第1の基板上に第1のタイプの素子を製造することを含む。第2の基板の材料は、第1の基板に含まれる材料よりも、第2のタイプの素子と適合する。方法はさらに、素子間に電気接続を確立することを含む。
【0007】
明らかに、開示のいくつかの実施形態は、上述したものに加えて、又はそれらの代わりに利点を呈することができる。さらに、他のパッケージング及び製造方法が明らかになることができる。係る追加のシステム、方法、特徴、及び/又は利点の全てが、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0008】
本発明の多くの態様は、以下の図面に関連してより良く理解され得る。図面の要素は、必ずしも一律の縮尺に従っておらず、代わりに本発明を明瞭に例示することに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照符号は、いくつかの図面の全体にわたって対応する部品を示す。
【0009】
詳細な説明
種々の実施形態が、集積回路の製造および性能の特性を改善するいくつかの態様を示す。いくつかの例示的な実施形態の1つにおいて、集積回路(IC)は、第1と第2の基板を含むように製造される。第1の基板は、例えば製造および性能のような種々の態様において、異なる材料を含む第2の基板上にではなく、この基板上に製造される特定のタイプの素子に良好な適合性を提供する材料を含む。第2の基板に含まれる材料は、この第2の基板上に製造される第2のタイプの素子に、より良好に適合する。素子の双方は、電子回路の一部であり、第1と第2の基板間の、1つ又は複数の導電性相互接続部を介して互いに電気接続される。
【0010】
このように、2つの基板の選択、並びにこれらの基板上に製造される素子に使用される相互接続技術は、独立して実行されることができ、結果として集積回路に含まれる電子回路の全体的な性能を最適化する。この例示的な実施形態は2つの基板の使用を説明するが、他の実施形態において、3つ以上の基板が使用されてもよい。さて、上記で概説された例示的な実施形態、及び他の例示的な実施形態が、図面を用いてさらに詳細に説明される。
【0011】
図1は、第1の例示的な実施形態に従って製造された集積回路100の断面図である。基板110(以降、代わりに「蓋基板」と呼ばれる)は、集積回路100の一部である2つの基板の1つである。基板115(以降、代わりに「底部基板」と呼ばれる)は、やはり集積回路100の一部である第2の基板である。理解されるように、用語「蓋」および「底部」は、説明の便宜のためだけに使用されている。
【0012】
図1において、回路素子125は基板110の表面111上に製造されるが、回路素子130は基板115の表面141上に製造されるように示される。導電性ポスト120の形態の導電性相互接続部が、2つの基板間に延在する。この例示的な実施形態において、導電性ポスト120は、例えば、ポリイミド又はコンプライアンスのあるポリマーのようなコンプライアンスのある材料からなる。ポリマーは一般に、不良の導電体である。従って、導電性ポスト120の少なくとも一部は、導電性材料の層121でコーティングされる。導電性ポスト120は、2つの基板110と115が互いに結合される前に蓋基板110上に形成される。代案として、ポスト120は、底部基板115上に形成され得る。結合される場合、導電性ポスト120が、底部基板115上に配置された導電性パッド122と電気接触する。導電性パッド122は、回路100が組み立てられる際に導電性ポスト120と電気接触するための比較的幅の広い導電性領域を提供することにより、電気接続を形成するのを助ける。図1において、導電性パッド122は、基板115の表面141の外側に位置するように示される。代替の実施形態において、導電性パッド122は、表面141の上に部分的に、又は全体的に製造されてもよい。
【0013】
回路素子125は、基板110の表面111上に製造された導電性トレース126を介して導電ポスト120に接続される。代替の実施形態において、導電性トレース126は、基板110の表面111の上に位置する1つ又は複数のメタライゼーション層上に製造される。
【0014】
回路素子130は、基板115の表面141上に位置する導電性トレース131を介して導電性パッド122に接続される。導電性パッド122は、上述したように導電性ポスト120に電気接続される。従って、電気相互接続が、導電性トレース126、導電性ポスト120、導電性パッド122、及び導電性トレース131を介して回路素子125と130との間に存在する。
【0015】
ガスケット135が集積回路100の周辺部の周りに延在し、基板110と115によってさらに画定されたチャンバ140にハーメチックシールを提供する。本明細書で使用される場合、チャンバにハーメチックシールを提供するガスケットは、「ハーメチックガスケット」と呼ばれる。ガスケット135の種々の構成が、種々の実施形態において使用され得る。例えば、共通に譲渡された米国特許第6,090,687号および米国特許第6,118,181号は、ハーメチックシールを提供するガスケットを形成するために使用され得る技術を説明しており、それら双方の特許文献は参照により本明細書に組み込まれる。図1に示された例示的な実施形態において、ガスケット135は、ポリイミド又はコンプライアンスのあるポリマーのようなコンプライアンスのある材料からなる。しかしながら、ポリマーはハーメチックではなく、ハーメチックシールを形成するために一般に使用されていない。従って、ガスケット135の少なくとも一部は、金、銅、ガラス、又は窒化ケイ素のようなシール材料の層136でコーティングされる。ポリマーをシール材料でコーティングすることにより、ガスケット135がハーメチックシールを形成することを可能にする。ガスケット135は、任意の所望の形状(例えば、円、正方形、長方形など)からなることができる。必要であれば、ガスケット135の形状に類似したパッド137が、底部基板115上に形成されて、集積回路100が組み立てられる際にガスケット135と接触することができる。
【0016】
回路素子125が、表面111と表面112との間の基板110を貫通して延在するバイア127を用いて外部導電性パッド128に接続されるように示される。パッド128を用いて、図1に示されていない他のデバイスに集積回路100を接続することができる。同様に、回路素子130は、表面141と表面142との間の基板115を貫通して延在するバイア116により外部導電性パッド117に接続される。パッド117を用いて、図1に示されていない他のデバイスに集積回路100を接続することができる。
【0017】
理解されるように、他の代替の実施形態において、外部電気接続は、パッド117と128の代替の実施形態により提供され得る。パッド117は、例えば、第1の代替の実施形態において、導電性ピンと置き換えられ得るが、第2の代替の実施形態において、2つのパッド117と128の一方は除去され得る。また、代替の実施形態において、導電性ポスト120は、回路素子125と130の端子間で、例えば超音波により適切にボンディングされる金ワイヤのような導電性ワイヤと置き換えられる。さらに別の代替の実施形態において、導電性ポスト120が底部基板115上に形成される。
【0018】
次に、図2に注目すると、図2は、例えば、図1の基板110と115のような2つ以上の基板上に製造され得る例示的な回路を示す。例示的な回路図は、既知の二段無線周波数(RF)増幅器200を示す。簡略にするため、RF増幅器200の回路動作は、微細に説明されない。一方、本開示に関連する回路の特定の態様は、より詳細に以下に説明される。
【0019】
RF増幅器200は、2つの主な分類、即ち「能動素子」と「受動素子」に概して分類され得る多数の素子からなる。能動素子のいくつかの例は、トランジスタ及びダイオードであり、受動素子のいくつかの例は、抵抗、コンデンサ、インダクター、伝送線回路、及びトランスである。能動素子の中で、種々のタイプの材料と技術を用いて製造される種々のタイプの素子が存在する。例えば、トランジスタの中で、バイポーラトランジスタ、単接トランジスタ(UJT)、及び電界効果トランジスタ(FET)のような、いくつかのタイプのトランジスタが存在する。これらのトランジスタは、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、及びリン化インジウムのような種々のタイプの材料を用いて、モノリシックバイポーラ、相補型バイポーラ、接合ゲートFET(JFET)、及び絶縁ゲートFET(IGFET)のデバイスを製造するために使用されるような種々の技術を採用して製造される。
【0020】
バイポーラトランジスタの中で、npnトランジスタは、バイポーラICで広く使用されている。npnトランジスタ構造の選択および選択された基板の不純物特性は、バイポーラICの製造に関する出発点となる。次いで、受動素子および追加の能動素子が、選択された基板の材料特性の制限を考慮しながら、この選択された基板上に製造される。残念ながら、例えば、JFET又はIGFETのような追加の能動素子、又はコンデンサのような受動素子がこの同じ基板上に製造される必要がある場合、基板材料の特性に起因して、何らかの調整が行われる必要がある。
【0021】
能動素子に関連した特定のパラメータに対処することについて、図3に注目すると、図3は、ピンチ領域(pinched region)において動作するJFETのAC等価回路を示す。一実施形態において、図2のRF増幅器200のトランジスタ205は、係るJFETである。AC等価回路は、JFETの周波数応答を画定するために使用され得る近似を提供する。Rsは、ソース端子に直列の寄生バルク抵抗を表し、Cgs及びCgdは、ゲートソース及びゲートドレインの静電容量であり、gdは、チャネル長変調効果に起因したダイナミック出力コンダクタンスである。1つの典型的な構成において、ドレイン面積は、Cgdを最小限にするために、できる限り小さく作製される。その理由は、この静電容量がドレイン端子とゲート端子間に寄生結合を提供し、JFETの周波数能力を低減するからである。Cdss310は、ドレインと基板との間に存在する寄生容量であり、Csss320は、ソースと基板との間に存在する寄生容量である。基板の材料によって主に画定されるこれら寄生容量は、特により高い周波数において、信号振幅を低減することにより、デバイス性能の大幅な劣化の一因となる。
【0022】
受動素子に目を向けると、例示的な実施形態において、図2のコンデンサ212に使用されるような薄膜コンデンサは一般に、誘電体により分離された2つの導電層からなる。薄膜コンデンサは、図4Aに示されるような金属酸化物半導体(MOS)構造を用いて製造され得るか、又は代案として、図4Bに示されるように2つの導電金属層間に薄膜誘電体層を用いることにより製造され得る。MOS構造は、従来の処理技術と容易に適合し、複数のメタライゼーション層を必要としないので、モノリシック回路に一般に使用される。
【0023】
薄膜か、又はMOSであるコンデンサは、コンデンサの一部とコンデンサが製造される基板との間に存在する寄生容量に関連した望ましくない信号損失の点で、不利益をこうむる。寄生容量は、コンデンサにより与えられる実効インピーダンスの1つの成分を構成する。この実効インピーダンスが基板により与えられるインピーダンスに匹敵する場合、コンデンサの実効インピーダンスが基板のインピーダンスに共役整合する際に信号損失が最大化される。従って、信号損失は、コンデンサと基板との間のインピーダンス不整合を意図的に導入することにより、低減され得る。係るインピーダンス不整合は、比較的高い抵抗率を有するか、又は理想的な導体である基板を用いることにより、導入され得る。高い抵抗率を有する半導体基板材料の例は、ガリウムヒ素(GaAs)及びリン化インジウム(InP)である。これらの材料は、高品質の受動素子を製造するために使用され得る。しかしながら、多くの場合、能動素子を製造するために選択された基板は、この基板上に製造される典型的なコンデンサにより与えられるインピーダンスに近い次善のインピーダンス特性を与える。従って、係る「損失の大きい」基板上に製造されたコンデンサは、望ましくない信号損失を提供する。
【0024】
また、コンデンサの上述した特性はさておき、図2のインダクター209のような、別の受動素子のインダクターも、インダクターが実装される基板によってもたらされる寄生容量の存在に起因して生じた信号損失をこうむる。寄生容量のネガティブな影響に加えて、インダクターの性能は、インダクターの周りに存在する磁界の結果として、基板に流れる過電流の存在によってさらに脅かされる。過電流および寄生容量は、基板材料の適切な選択により、最小限にされ得る。材料は、能動素子を念頭に置いて選択された基板上にインダクターを製造することにより支障を来す代わりに、これら望ましくない影響を最小限にするために選択される。
【0025】
種々の望ましくない影響が上述されたが、基板上の様々な素子の製造および性能は、不十分な温度係数、不十分な絶対値許容誤差、及び基板材料の限られた電力操作能力のような、さらなる要因によってさらに影響を受ける。
【0026】
さて、もう一度、図2に示されたRF増幅器200に注目する。RF増幅器200は、2つのセクションに分割され、1つのセクションは、能動素子(トランジスタ205、210)を含み、別のセクションは、受動素子だけを有する回路網225である。上述したように、基板上に製造される場合、能動素子は、特定の損失の大きい寄生容量および望ましくない抵抗を組み込む。従って、第1の実施形態において、第1の材料を含む第1の基板は、能動素子だけを製造するために選択される。一例として、この第1の材料は、100Ωcm未満のバルク抵抗率を有するシリコンである。次いで、第1の基板に含まれる材料とは異なる材料を含む第2の基板が、回路網225の受動素子を製造するために選択される。この第2の材料のバルク抵抗率は、例えば、1kΩcmより大きい、又は1kΩcmに等しい。一般に、より高い抵抗率を備える基板は、より低い抵抗率を備える基板よりも損失が少ない。
【0027】
第2の実施形態において、第1の基板は、能動素子(例えば、トランジスタ205と210)だけでなく、回路網225の外側に示された他の素子(例えば、インダクター203、コンデンサ206、伝送線207)も製造するために使用される。同様に、第2の基板も、図2に示されない能動素子を含む。これら代替の実施形態は、例えば、デバイスの性能、デバイスのパッケージング密度、基板の層の数、及び製造の容易性のような種々の目標を満たすために実施される。
【0028】
上記の例から理解されるように、集積回路は、基板のそれぞれに製造される素子の所望の性能によって決まる、2つの異なる材料を有する2つの基板を使用することができる。さらに、2つの基板の第1の基板に製造される素子は、第1の相互接続技術を用いて互いに相互接続され得る。例えば、インピーダンス整合回路網として動作する回路網225が第1の基板上に製造される場合、電気接続は、特に所望の特性インピーダンスを提供するような寸法に作られた金属トレースからなることができる。当業者ならば理解されるように、係る特性インピーダンスは、基板の誘電率に加えて、金属トレースの幅により、或る程度決定される。また、空間があれば、場合によっては、例えば、より広い金属トレースを使用することによって回路網225の受動素子を相互接続する場合には、信号損失が低減される。
【0029】
一方、例えば、RF増幅器200の2つの増幅段を相互接続するために利用される相互接続技術は、トレースの幅の代わりに、相互接続の距離とサイズを最小限にすることをめざしている。これは、コストの観点から望ましくない複数のメタライゼーション層の使用につながる。その理由は、各追加のメタライゼーション層が製造コスト及び製品原価を増すからである。
【0030】
上述した態様は、1つの例示的な実施形態において要約されることができ、この場合、特定の素子、例えば図2の能動素子の全ては、特定のタイプの材料からなる第1の基板上に製造される。この第1の基板は、例えば、基板上に能動素子を製造するための適合性、この基板上に製造された場合のこれら素子の性能、材料のコスト、及び製造コストのような、1つ又は複数の要因に基づいて選択される。次いで、別のタイプの材料からなる第2の基板が、第2の素子のセットを製造するために選択される。第2の素子のセット、例えば、図2の受動素子の全ては、第1の基板よりも第2の基板と適合する。やはり、第2の基板は、製造、性能、及びコストのような1つ又は複数の要因に基づいて選択される。この例示的な実施形態において、第1の基板上にではなく、第2の基板上に受動素子の全てを製造することにより、材料コストの低い第2の基板の独立した選択が可能になり、受動素子のより良好な回路性能が提供され、その上、組み込まれるメタライゼーション層の数がより少なくなり、より低い材料コスト及び製造コストにつながる。
【0031】
別の実施形態において、第1の基板は、第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料から選択され、第2の基板は、第1の基板のCTEに適合したCTEを有する材料から選択される。これら2つの基板から製造されたICは、特定の機械的および電気的利点を提供する。
【0032】
図5は、1つの例示的な実施形態に従って製造された集積回路500の断面図である。図5の集積回路500は、説明のために素子のいくつかが示された図2の素子を組み込む。基板510は、受動素子を有する回路網225(図2を参照)と連係して使用される場合に特定の所望の特性を提供するように、高い抵抗率の材料からなる。係る所望の特性の一例は、信号伝送損失を低減するための低い寄生容量に関係する。
【0033】
受動素子の2つ、インダクター209及びコンデンサ212が、基板515に面する基板510の表面551上に製造されるように示される。インダクター209及びコンデンサ212は、金属トレース224を介して互いに電気的に相互接続される。金属トレース224は、基板510の誘電率と連係して所望の特性インピーダンスを提供するような寸法に作られている。インダクター209は、金属トレース216により、導電性ポスト520にさらに接続される。
【0034】
集積回路500の第2の基板は、基板510に含まれる材料の抵抗率よりも低い抵抗率を有する材料からなる基板515である。図2の3つの素子、コンデンサ201、及びトランジスタ205と210が、基板515の表面552上に製造されるように示される。図2の回路において入力結合コンデンサとして動作するコンデンサ201が、金属トレース215により入力端子221に接続される。入力端子221は、基板515の下に延在する金属ピンであり、プリント基板(PCB)(図示せず)上に集積回路500を実装するために使用され、例えば、同じPCB上に同様に実装され得る他のデバイスに集積回路500の回路を電気接続するための手段を提供する。当業者には理解されるように、例えば、表面実装パッド及び表面実装リードを含む入力端子221の代替の実施形態がいくつか存在する。
【0035】
導電性ポスト520及びガスケット535は、図1の導電性ポスト120及びガスケット135の実施形態である。理解されるように、導電性ポスト520及びガスケット535は、いくつかの代替の態様で実施され得る。参照により本明細書に組み込まれる、2004年7月13日に出願され、「A Film Bulk Acoustic Resonator Package and Method of Fabricating same」と題する、共通に譲渡された米国特許出願第10/890343号は、導電性ポスト520、ガスケット535を形成するために使用され得る例示的な技術、及び集積回路500のようなデバイスを製造する方法を説明する。
【0036】
また、必要であれば、形状がガスケット535に類似したパッド537が、集積回路500が組み立てられる場合にガスケット535と接触するように、基板315の表面552上に配置され得る。同様に、導電性ポスト520に接触するための導電性パッド522が、基板515の表面552上に形成され得る。
【0037】
さて、図6に注目すると、図6は、基板510、並びに導電性ポスト520、ガスケット535、及び基板510上に製造された素子の断面図を示す。断面図は、集積回路500の1つのセクション、即ち、蓋セクションの製造の特徴に関する何らかの情報を提供する。図7は、基板510の表面551、及び図6に示された他の関連部品の図である。ガスケット535に注目すると、ガスケット535は、集積回路500の周辺部に沿って形成され、基板510が底部基板に結合された場合に形成されるチャンバの内側に素子を密閉する。
【0038】
図8は、基板515、並びにパッド537、導電性パッド522、及び基板515上に組み立てられた素子の断面図である。断面図は、集積回路500の別のセクション、即ち、底部セクションの製造の特徴に関する何らかの情報を提供する。図9は、基板515の表面552、及び図8に示された他の関連部品の図である。パッド537に注目すると、パッド537は、集積回路500の周辺部に沿って形成され、図4及び図5に示されたガスケット535と接合する。また、図6及び図7に示された対応する導電性ポスト520と機械的および電気的に接触する導電性パッド522も示される。
【0039】
図10は、集積回路500のような集積回路を製造する1つの例示的な方法を示すフローチャートである。単に便宜のために、図5(及び他の関連する図面)に示された例示的な実施形態が、図10のフローチャートを説明するために使用される。理解されるように、特定の例示的なプロセスのステップが以下に説明されるが、代替の具現化形態も実現可能である。さらに、ステップは、実質的に同時に、又は逆の順番を含む、図示された又は説明された順番から無関係に実行され得る。
【0040】
ブロック101において、それぞれ第1及び第2の材料からなる第1及び第2の基板510と515が準備される。ブロック102において、例えば、インダクター209のような第1のタイプの素子が、基板510上に製造される。ブロック103において、例えば、トランジスタ205のような第2のタイプの素子が、基板515上に製造される。ブロック104において、第1の基板510が、第2の基板515に向き合って配置される。例えば、この配置は、基板510を基板515に対して押しつけて結合することにより実施される。特に、基板510は、導電性ポスト520が導電性パッド522と接触し、ガスケット535がパッド537と接触しながら、基板515に押しつけられる。導電性ポスト520のコンプライアンスのある材料により、2つの基板が互いに押しつけられる際に、ポストが破損または故障せずに変形することを可能にする。さらに、ガスケット535のコンプライアンスのある材料により、基板510と515が互いに押しつけられる際に、ガスケット535が破損または故障せずに変形することを可能にする。基板510と515は、互いに押しつけられながら、結合され得る。熱圧着またはハンダ結合のような様々な既知の、又は将来に開発される結合技術を用いて、基板510と515を結合することができる。
【0041】
一実施形態において、導電性ポスト520及びガスケット535をコーティングするために使用される導電性材料は金(Au)である。係る実施形態において、基板510と515がハンダ結合を用いて結合される前に、スズ(Sn)の層が、金でコーティングされた導電性ポスト520とガスケット535に堆積される。次いで、ハンダ結合を用いて基板510と515を結合するために、基板510と515は、導電性ポスト520とガスケット535が基板515と密接に接触するまで、互いに押しつけられ、集積回路500は、導電性ポスト520とガスケット535上の金とスズの材料が溶融し始めるまで加熱され、それにより、この材料が基板515に拡散して付着する。次いで、集積回路500の加熱が停止され、基板510と515が冷えることを許容される。溶融した金とスズの材料は、集積回路500が冷えると硬化し、硬化された材料は、基板515と導電性ポスト520並びにガスケット535との間に結合を形成する。上述したように、金でコーティングされた導電性ポスト520とガスケット535にスズを導入することは、ハンダ結合中に、より強い結合を形成するのに役立つ。
【0042】
導電性ポスト520及びガスケット535のコンプライアンスのある材料は、確実に導電性ポスト520及びガスケット535が基板515に密接に接触することに役立つ。この点に関して、導電性ポスト520及びガスケット535のコンプライアンスのある材料により、導電性ポスト520及びガスケット535の全周辺部が基板515と接触するまで、導電性ポスト520及びガスケット535が変形することが可能になる。一例として、導電性ポスト520及びガスケット535の製造における欠陥により、導電性ポスト520がパッド522に接触する前に、ガスケット535がパッド537に接触する可能性がある。係る状況において、ガスケット535は、導電性ポスト520がパッド522と密接に接触するまで、基板510と515が互いにさらに押しつけられることを可能にするように変形する。同様に、導電性ポスト520又はガスケット535の一部は、ガスケット535の全周辺部がパッド537と密接に接触することを可能にするように変形することができる。結合中に、導電性ポスト520とパッド522との間、及びガスケット535とパッド537との間の密接な接触を保証することは、確実に導電性ポスト520が基板510と515との間に信頼できる低インピーダンスの導通を提供し、且つガスケット535がチャンバ540の信頼できるハーメチックシールを提供することに役立つ。
【0043】
集積回路500の組み立て後、基板515は、必要に応じて、その厚みを低減して、この基板上に実装された素子のより良好な熱放散を提供するために、薄くされ得る。例えば、バックラッピング又は研磨のような、基板515を薄くするための任意の適切な製造技術を用いて、基板515を薄くすることができる。一実施形態において、基板510は、基板515が破損または機械的完全性をあまり気にせずに薄くされ得るように、十分な構造的支持を提供する。
【0044】
導電性ポスト520及びガスケット535の何れか、又は双方は、同じ基板510上に形成される必要がある。代案として、導電性ポスト520及びガスケット535の何れか、又は双方は、基板515上に形成され得る。この場合、パッド537と522に類似したパッドが、基板510上に形成される。次いで、導電性ポスト520及び/又はガスケット535は、結合中に基板510上に位置するパッドに対して押しつけられる。
【0045】
1つの例示的な実施形態において、ガスケット535は、ガスケット535をシールするだけでなく導電性にもする金または銅のような材料でコーティングされる。係る実施形態において、ガスケット535は、基板510と515との間に電気接続を提供する。必要に応じて、ガスケット535は導電性ポスト520に加えて、又はその代わりに、2つの基板上に製造された回路素子間に電気接続を提供することができる。係る実施形態において、導電性ポスト520の形成は、必要ないかもしれない。
【0046】
図5に注目すると、図5は、図10によって説明された方法の1つの例示的な具現化形態を示す。特に、ブロック104に関連して、2つの素子は、第1及び第2の基板が互いに結合される場合に形成されるチャンバ540の内部に収容され得る。
【0047】
さらに図10のブロック104に関連して、第1の材料は、第1のタイプの素子に関連した1つ又は複数の態様に対して、第2の材料よりも適合する。例えば、第1の材料は、基板の表面上に受動素子を製造するという点で、より適合する。さらに、第1の材料は、例えば、第1のタイプの素子に関連した寄生容量が低減されることにより、より良好な性能を提供する。逆に、第2の材料は、第2のタイプの素子に関連した1つ又は複数の態様に対して、第1の材料よりも適合する。例えば、第2の材料は、トランジスタ205のような能動素子の製造に、より適合する。また、第2の材料は、第2の素子のより良好な性能も提供することができる。
【0048】
上記の例は、第1の基板上に受動素子を製造し、第2の基板上に能動素子を製造することに言及したが、理解されるように、追加の能動素子および受動素子も、一方または双方の基板上に、例示的な素子に加えて、又は例示的な素子の代わりに製造され得る。
【0049】
本発明の上述した実施形態は単に、本発明の原理を明瞭に理解するために説明されている。多くの変形形態および修正形態が、本発明から実質的に逸脱せずに行われ得る。係る修正形態および変形形態の全ては、本明細書において本開示の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本開示の1つの例示的な実施形態に従って製造された集積回路の断面図である。
【図2】能動素子および受動素子を組み込む無線周波数(RF)増幅器の例示的な回路図である。
【図3】図2のRF増幅器の一実施形態で使用されるJFETのAC等価回路を示す図である。
【図4A】図2のRF増幅器の実施形態に使用される金属酸化物半導体(MOS)コンデンサの構造を示す図である。
【図4B】図2のRF増幅器の実施形態に使用される薄膜コンデンサの構造を示す図である。
【図5】別の例示的な実施形態に従って製造された、図2の素子を含む集積回路の断面図である。
【図6】図5の集積回路の一部である、蓋基板、コンプライアンスのある接続部、及びコンプライアンスのあるガスケットを含む例示的な実施形態の断面図である。
【図7】図6の蓋基板の底面図である。
【図8】図5の集積回路の一部である、底部基板、及び外部接続部を含む例示的な実施形態の断面図である。
【図9】図8に示された底部基板の底面図である。
【図10】図5の集積回路を製造する1つの例示的な方法を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイプの素子が製造される、第1の材料からなる第1の基板(510)と、
前記第1の基板に向き合って配置され、第2のタイプの素子が製造される、第2の材料からなる第2の基板(515)と、
前記素子間の電気接続(520)とを含み、
前記第1の材料が、前記第1のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第2の材料よりも良好な適合性を有し、
前記第2の材料が、前記第2のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第1の材料よりも良好な適合性を有する、集積回路(500)。
【請求項2】
前記第1のタイプの素子が受動素子(209)であり、
前記第2のタイプの素子が能動素子(205)である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1の材料が、1kΩcmより大きい、又は1kΩcmに等しい抵抗率を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記第2の材料が、100Ωcm未満の抵抗率を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第1の基板および前記第2の基板が互いに結合されて、チャンバ(540)を画定し、
前記素子が前記チャンバ内に位置する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
第1の材料からなる第1の基板を準備(101)し、
第2の材料からなる第2の基板を準備(101)し、
前記第1の基板上に第1のタイプの素子を製造(102)し、
前記第2の基板上に第2のタイプの素子を製造(103)し、
前記第1の基板および前記第2の基板を互いに向き合って配置(104)し、
前記素子間に電気接続を確立する(104)ことを含み、
前記第1の材料が、前記第1のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第2の材料より適合し、
前記第2の材料が、前記第2のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第1の材料より適合する、集積回路を作製する方法。
【請求項7】
前記第1のタイプの素子が、能動素子および受動素子の1つであり、
前記第2のタイプの素子が能動素子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記準備することが、前記第1の基板が一部分を構成する第1のウェハー、及び前記第2の基板が一部分を構成する第2のウェハーを準備することを含み、
前記製造すること、前記配置すること、及び前記確立することが、2つ以上の集積回路を作製するために前記ウェハーに適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタイプの素子を製造することが、第1のプロセスからなり、
前記第2のタイプの素子を製造することが、第2のプロセスからなる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプロセスと前記第2のプロセスが、互換性のない動作からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項1】
第1のタイプの素子が製造される、第1の材料からなる第1の基板(510)と、
前記第1の基板に向き合って配置され、第2のタイプの素子が製造される、第2の材料からなる第2の基板(515)と、
前記素子間の電気接続(520)とを含み、
前記第1の材料が、前記第1のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第2の材料よりも良好な適合性を有し、
前記第2の材料が、前記第2のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第1の材料よりも良好な適合性を有する、集積回路(500)。
【請求項2】
前記第1のタイプの素子が受動素子(209)であり、
前記第2のタイプの素子が能動素子(205)である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1の材料が、1kΩcmより大きい、又は1kΩcmに等しい抵抗率を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記第2の材料が、100Ωcm未満の抵抗率を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第1の基板および前記第2の基板が互いに結合されて、チャンバ(540)を画定し、
前記素子が前記チャンバ内に位置する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
第1の材料からなる第1の基板を準備(101)し、
第2の材料からなる第2の基板を準備(101)し、
前記第1の基板上に第1のタイプの素子を製造(102)し、
前記第2の基板上に第2のタイプの素子を製造(103)し、
前記第1の基板および前記第2の基板を互いに向き合って配置(104)し、
前記素子間に電気接続を確立する(104)ことを含み、
前記第1の材料が、前記第1のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第2の材料より適合し、
前記第2の材料が、前記第2のタイプの素子の(a)製造および(b)性能の少なくとも1つに関して、前記第1の材料より適合する、集積回路を作製する方法。
【請求項7】
前記第1のタイプの素子が、能動素子および受動素子の1つであり、
前記第2のタイプの素子が能動素子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記準備することが、前記第1の基板が一部分を構成する第1のウェハー、及び前記第2の基板が一部分を構成する第2のウェハーを準備することを含み、
前記製造すること、前記配置すること、及び前記確立することが、2つ以上の集積回路を作製するために前記ウェハーに適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタイプの素子を製造することが、第1のプロセスからなり、
前記第2のタイプの素子を製造することが、第2のプロセスからなる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプロセスと前記第2のプロセスが、互換性のない動作からなる、請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−518467(P2008−518467A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538931(P2007−538931)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/034624
【国際公開番号】WO2006/049751
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/034624
【国際公開番号】WO2006/049751
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
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