説明

集積回路

【課題】内部クロック発生回路を備え、実動作試験が、安定して正確に行える集積回路の実現。
【解決手段】外部クロックEXCLKを逓倍して内部クロックPLLCLKを発生する内部クロック発生回路20と、PLLCLKで動作し、外部バスとは非同期でデータを入出力するインターフェースを含み、トランザクション信号CSに応じて、外部バスとの間でデータの入出力動作を行う内部回路11と、を備える集積回路であって、CSを所定時間遅延し、CSの変化から所定時間の間アクティブになる停止信号CSEDGEを発生する遅延回路22-24と、試験モード時に、内部回路への内部クロックの供給を停止信号がアクティブの間停止し、停止信号が非アクティブなった後、内部クロックに同期して内部回路への内部クロックの供給を再開するように制御するクロック制御回路21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部クロックを逓倍して内部クロックを発生する内部クロック発生回路を備える集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DFT(Defect For Design)のみでは排除できない集積回路の不良品が増えてきている。この原因の1つは、集積回路の動作速度の高速化である。外部から供給できるクロック速度は制限されるため、外部クロックを逓倍して、外部クロックより高速の内部クロックを発生する内部クロック発生回路を集積回路内に設け、集積回路の内部は高速の内部クロックで動作することが行われている。内部クロック発生回路は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)で実現される。
【0003】
このような集積回路をテスターを用いて動作試験する場合、集積回路の実速度実動作試験は、テスターから外部クロックを供給し、内蔵PLLで外部クロックを逓倍して発生した内部クロックで、内部回路を動作させて行うことになる。このとき、外部クロックに同期した入力信号を集積回路に入力し、集積回路内部では、外部クロックからPLL回路で逓倍した内部クロックへ乗り換え、入力信号を処理する必要がある。PLL回路で逓倍して発生した内部クロックは周期に揺らぎがあるので、このクロック乗り換えは非同期乗り換えとなり、テスターと集積回路を完全に同期させることは困難である。
【0004】
そのため、従来は、実速度実動作試験自体を行わないという選択や、低速の実動作試験または実動作ではないが内蔵メモリのみが高速で動作する実速度試験またはその両方を行う、という選択をしていた。そのため、試験時間の増大、不良品の流出という問題があった。
【0005】
図1は、このような集積回路の概略構成を示す図である。ここでは、集積回路10の内部を、内部クロック発生回路20と、それ以外の内部回路11に分けて示している。内部クロック発生回路20は、PLL回路であり、外部クロックEXCLKを逓倍して周波数がN倍の内部クロックPLLCLKを発生する。
【0006】
図2は、内部回路11の構成例を示す図である。図2に示すように、内部回路11は、外部インターフェース(I/F)12と、調停回路13と、CPU14と、リソース15と、RAM16と、機能マクロ17と、を備え、内部バスで相互に接続されている。リセット信号XRESETおよびクロックCLKは内部バスに直接供給され、他の信号は外部I/F12に入出力される。外部I/F12は、外部からの入力信号に応じて内部バスに信号を出力すると共に、内部バスから信号を受けて外部に出力信号を出す。調停回路13以外の各部が内部バスのマスターとなってバス使用権を調停回路13に要求し、調停回路13がこれらの要求に対してバス使用権の制御を行う。
【0007】
上記のように、外部クロックと内部クロックは同期していないので、テスターと、集積回路10に内蔵するPLL回路20が発生する内部クロックで動作する内部回路11とは同期していない。そのため、テスターからのデータを集積回路10が受け取るときに、外部クロックから内部クロックへ非同期で乗り換える必要がある。クロックの非同期乗り換え時は、乗り換え前のクロックと乗り換え後のクロックのタイミングによって、乗り換えが前の周期に間に合うか後の周期になるか一定しない場合がある。また、テスターと接続される外部インターフェースが内部回路11にアクセス要求を出すタイミングも一定しない場合がある。
【0008】
図3は、乗り換え前のクロックと乗り換え後のクロックのタイミングにより、乗り換え後の信号が一定しない例を示す。図3において、DATA0はCLK1の立ち上がりでDATA1に伝わり、DATA1はCLK2の立ち上がりでDATA2に伝わる。ここで、DATA1はCLK2のセットアップタイムを満たすかギリギリの場合、T1の期間はDATA2のH/Lが一定しない。CLK1をテスターから入力される外部クロック、CLK2を集積回路10の内部のPLL回路20で発生した内部クロックすると、PLL回路20のジッタによってCLK2の立ち上がりが揺らぐので、DATA2のT1期間は信号が一定しない。DATA2のT1期間のように一定しない信号を基にして発生した、内部バスのアクセス要求信号も一定しない。この一定しない期間に他の内部リソースからのアクセス要求があると、外部I/F12と他の内部リソースのどちらが先にバスを使用可能となるか一定しない。上記のように、内部回路11では、外部I/F12、CPU14、リソース15、RAM16および機能マクロ17が内部バスのマスターとなってバス使用権を調停回路に要求する。そのため、実速度実動作試験用パターン作成時と、実際の試験時の動作を同じにできない場合が生じる。言い換えれば、作成した実速度実動作試験用パターンが、実際の試験時の動作では、想定どおりに入出力されないという問題が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−40687号公報
【特許文献2】特開昭61−213957号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の第1の態様は、外部クロックを逓倍して内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、内部クロックで動作し、外部バスとは非同期でデータを入出力するインターフェースを含み、トランザクション信号に応じて、外部バスとの間でデータの入出力動作を行う内部回路と、を備えるインターフェース搭載集積回路であって、トランザクション信号を所定時間遅延し、トランザクション信号の変化から所定時間の間アクティブになる停止信号を発生する遅延回路と、試験モード時に、内部回路への内部クロックの供給を停止信号がアクティブの間停止し、停止信号が非アクティブなった後、内部クロックに同期して内部回路への内部クロックの供給を再開するように制御するクロック制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
記載された実施形態では、外部クロックから内部クロックを発生する内部クロック発生回路を備える集積回路、およびそのような集積回路を備える回路システムの実動作試験が、安定して正確に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、外部クロックから内部クロックを発生する内部クロック発生回路を備え、内部回路は内部クロックで動作し、外部バスとのインターフェースを非同期で行う集積回路の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、集積回路の内部回路の構成例を示す図である。
【図3】図3は、外部クロックと内部クロックの間で乗り換える場合に、乗り換え前のクロックと乗り換え後のクロックのタイミングにより、乗り換え後の信号が一定しない例を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態の集積回路の構成を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態におけるリセット解除時のクロック制御回路の動作波形を示す図である。
【図6】図6は、従来例の集積回路における動作波形を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態の集積回路の構成を示す図である。
【図9】図9は、従来例および第2実施形態におけるリセット解除時のクロック制御回路の動作波形を示す図である。
【図10】図10は、第2実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図11】図11は、第2実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図12】図12は、第2実施形態において、PLL回路のジッタ有無による、クロック制御波形の違いを示す図である。
【図13】図13は、第2実施形態において、PLL回路のジッタ有無による、クロック制御波形の違いを示す図である。
【図14】図14は、第2実施形態において、内部回路のトランザクション信号(CS)が下がってからリクエスト信号(REQ1)をネゲートする場合の動作波形を示す図である。
【図15】図15は、第2実施形態において、内部回路のトランザクション信号(CS)が下がってからリクエスト信号(REQ1)をネゲートする場合の動作波形を示す図である。
【図16】図16は、第3実施形態の集積回路の構成を示す図である。
【図17】図17は、第3実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図18】図18は、第3実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図19】図19は、第4実施形態の集積回路の構成を示す図である。
【図20】図20は、第4実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図21】図21は、第4実施形態の集積回路における動作波形を示す図である。
【図22】図22は、第5実施形態の回路システムの構成を示す図である。
【図23】図23は、第5実施形態の回路システムにおける動作波形を示す図である。
【図24】図24は、第5実施形態の回路システムにおける動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図4は、第1実施形態の集積回路10の構成を示す図である。図4に示すように、第1実施形態の集積回路10は、内部回路11および内部クロック発生回路20に加えて、クロック制御回路21、遅延回路22、ANDゲート23、フリップフロップ(FF)24、セレクタ25、FF26および波形成形回路27を備える。内部クロック発生回路20は、PLL回路であり、外部クロックEXCLKを逓倍して周波数がN倍の内部クロックPLLCLKを発生する。
【0014】
図4において、EXCLKは外部クロック、XRESETは外部リセット信号、CSは外部バストランザクション信号、TESTMODEは実速度実動作試験時にアサートする信号、REは外部バスから内部回路へのリード信号、WEは外部バスから内部回路へのライト信号、ADRは内部回路のリソースを区別して選択する信号、DATAは外部バスのリード/ライトデータ、READYは内部回路から外部バスへのトランザクション終了信号を表す。ここでは、外部バストランザクション信号CSは、チップ選択信号である。
【0015】
PLLCLKは、クロック制御回路21を経由して内部回路11に入力される。CSは、セレクタ25に直接入力する第1経路と、遅延回路22を経由してセレクタ25に入力する第2経路と、を通る。セレクタ25は、TESTMODE信号が通常動作時を示す時には第1経路のCSを選択し、TESTMODE信号が実速度実動作試験時を示す時には第2経路のCSを選択する。選択されたCSは、内部回路11に入力する。
【0016】
遅延回路22は、CSをEXCLKに同期させた後、EXCLK周期の整数倍だけ遅延させる。ANDゲート23は、遅延させたCSの反転信号と遅延させないCSの論理積を取って、CLKの供給/停止を制御するFF24の入力データを発生する。FF24は、CS立ち上がりの最初部分だけCLKを停止する信号を発生する。このCLKを停止する信号は、クロック制御回路21のCSEDGEに入力される。クロック制御回路21は、このCLKを停止する信号が入力される間、内部回路11へのクロックの供給を停止する。
【0017】
ここで、FF26は、外部から入力したXRESETをEXCLKでラッチする。波形成形回路27は、FF26の出力を内部クロックPLLCLKに同期させてXRESETIを発生する。クロック制御回路21は、内部回路11のクロックの供給/停止のタイミングがEXCLKに対して一定になるよう、XRESETIでリセットされる。内部回路11もクロック制御回路21と同じ信号XRESETIでリセットされ、リセット解除とCLK供給/停止の位相がEXCLKに対して確定するので、CLK停止するときの内部回路の状態はPLLCLKの揺らぎに影響されない。
【0018】
図5は、リセット解除時のクロック制御回路21の動作波形を示す図である。図5の(A)と(B)は、XRESETの立ち上がりのタイミングが異なる場合を示す。しかし、図示のように、XRESETをEXCLKでラッチしたFF26の出力信号Aのタイミングに違いはなく、XRESETIにもタイミングの違いがないので、(A)と(B)でクロック制御回路21の動作が同じになる。
【0019】
次に、内部回路11における動作について説明する。まず、比較のために、図1の従来例の集積回路の構成の場合の動作波形を、図6に示す。図6の(A)と(B)は、CSのEXCLK及びPLLCLKに対する動作タイミングが異なる場合を示している。図6において、REQ1は外部I/F12から内部バスへのアクセス要求信号、REQ2はCPU14から内部バスへのアクセス要求信号、ACKは内部バスの調停結果、CLKの下に書いてあるn+1等はXRESET立ち上がり後のPLLCLKの立ち上がりの数を表す。ACK1はREQ1に対するバス使用許可を、ACK2はREQ2に対するバス使用許可を表し、REQ2はREQ1より優先度が高いとする。この例では、REQ2に対するACK2が出力されるので、CPU14に対してバス使用許可が与えられる。
【0020】
図6の(A)では、PLLCLKのn+7番目の立ち上がりの直前でCSが立ち上がり、図6の(B)では、CLKのn+7番目の立ち上がりの後にCSが立ち上がっている。図6の(A)および(B)において、n+6以前にREQ1のタイミングが異なることがないとする。図6の(A)では、REQ1がREQ2よりPLLCLKの1クロック分早いためACKはACK1となるが、図6の(B)では、REQ1とREQ2が同時のため、ACKはACK2となり、図6の(A)と異なる。
【0021】
図7は、第1実施形態の集積回路の場合の動作波形を示す図である。図6の場合と同様に、図7の(A)と(B)は、CSのEXCLK及びPLLCLKに対する動作タイミングが異なる場合を示している。図7における各信号は、図6の場合と同じである。図7の(A)および(B)では、どちらも内部回路11のCS立ち上がり時にPLLCLKが停止しているので、CLK停止が終わった直後のPLLCLKの立ち上がりn+7に同期してREQ1が立ち上がる。
【0022】
図8は、第2実施形態の集積回路10の構成を示す図である。図8に示すように、第2実施形態の集積回路10は、内部回路11および内部クロック発生回路(PLL回路)20に加えて、分周器30、FF31、ORゲート32、FF41、FF42、ANDゲート43、セレクタ25、FF26、FF28およびFF29を備える。分周器30、FF31およびORゲート32が、第1実施形態のクロック制御回路21に類似の機能部分を形成する。FF41、FF42およびANDゲート43が、第1実施形態の遅延回路22、ANDゲート23およびFF24の機能部分に類似の部分を形成する。FF28およびFF29が、第1実施形態の波形成形回路27に類似の機能部分を形成する。
【0023】
FF26、FF28およびFF29は、XRESET=Lでリセットされ、XRESET立ち上がり後の最初のEXCLK立ち上がりで動作を開始する。FF26は、外部から入力したXRESETをEXCLKでラッチする。FF28およびFF29は、FF26の出力をPLLCLKに同期させた後、PLLCLK の2周期分遅延したXRESETIを発生する。
【0024】
分周器30は、PLLCLKを分周して、PLLCLKの周波数を1/Nに分周し、PLLCLKの1周期分アサートする信号Cを発生する。したがって、信号Cは、EXCLKと同じ周期を有する。FF31は、分周器30の出力がアサートの時のPLLCLK立ち上がりでCSEDGEをラッチし、FF31の出力で内部回路11へのPLLCLKの供給/停止を制御する。そのため、PLLCLKの供給/停止はPLLCLKに同期する。
【0025】
FF41および42は、CSをEXCLKに同期させた後、EXCLKの1周期分遅延させた信号を発生する。ANDゲート43は、EXCLKに同期させたCSの立ち上がりからEXCLKの1周期分アクティブになる信号CSEDGEを発生する。
【0026】
EXCLKの端子からPLL20までの遅延と、EXCLKからFF26までの遅延が同じ時、XRESETIはEXCLKに対するタイミングがPLLCLKの1クロック周期分のバラツキ内で確定する。
【0027】
図9は、第2実施形態において、リセット解除時にバラツキがある場合の動作波形を示す。比較のために、図9の(A)に、図1の従来例の集積回路の構成の場合の動作波形を、図9の(B)に、第2実施形態における動作波形を示す。
【0028】
図9の(A)に示すように、従来例の動作波形では、XRESET(外部)は外部端子で見たXRESET、XRESET(内部)は内部回路のXRESETが実際に作用する箇所のXRESETを表す。XRESET(外部)とXRESET(内部)の違いは、XRESETが端子の入力回路と内部配線に遅延があるために生じる。内部配線の遅延は、電源電圧、温度、製造バラツキによって生じる。図9の(A)では、内部配線の遅延が最小のときと最大のときの遅延時間差がPLLCLKの1周期分あり、点線の位置にあるPLLCLKに対してギリギリのため、内部回路11の動作がリセット状態か動作状態か確定しない期間がPLLCLKの2周期分ある。一方、図9の(B)に示す第2実施形態では、XRESET(外部)からXRESET(内部)までの遅延とそのバラツキは図9の(A)と同じであるが、EXCLKで動作するFF26でXRESETをラッチするので、内部回路11の状態が確定しない期間はPLLCLKの1周期分の時間になる。以下、PLLCLKの1周期分の時間を1クロックと称する。
【0029】
図10および図11は、第2実施形態における動作波形を示す。この例では、PLL回路20の逓倍率と分周器30の分周比は3である。また、この例では、書き込み(ライト)要求を例としているので、REに変化がなく、ADRはDATAと同じタイミングで変わるので、REとADRは省略している。図10および図11において、A, B, XRESETIはXRESETが伝搬して行く波形を図示している。図10および図11は、図9の(B)のリセット解除不定の期間がPLLCLKの1周期(1クロック)あり、PLLCLKのジッタが±0.5クロックとした場合に、PLLCLKが最も早い時と、最も遅い時の動作波形を表している。図10のCS立ち上がりはPLLCLKがm+02とm+03の間、図11のCSの立ち上がりはPLLCLKがm+04とm+05の間にある。CS立ち上がり時に、図10ではXRESET解除後PLLCLKがm+2個内部回路11に供給されるが、図11では図10より2つ多い、m+4個が内部回路11に供給される。
【0030】
図10および図11の両方で、CSから内部回路11への経路は、EXCLK立ち上がりに同期してCSからFF41の出力Dになり、DはEXCLK立ち上がりに同期してEになり、セレクタ25で選択されて内部回路11に入力される。CSからCLK制御部分への経路は、DとEの逆論理の論理積(AND)がCSEDGEになり、CSEDGEはCが“H”の期間のPLLCLKの立ち上がりでFとして出力され、CLKの供給/停止を制御する。CSEDGEはDとEの逆論理のAND となるので、CSの立ち上がり時のみ“H”となる。
【0031】
XRESETIの立ち上がりから2クロック遅れてCが“H”になるように分周器を設定すると、CはEXCLKの1周期期間に1回、PLLCLKの1周期期間だけアサートされるので、FはEより先に出力される。
【0032】
図12および図13は、PLL回路20のジッタ有無による、クロック制御波形の違いを示す。図12の(A)〜(D)の分周器(1/N)は分周器30のカウンタの値で、この値が2の時にCが“H”になる。図12の(A)はPLL回路20のジッタに影響されない信号を、図12の(B)はPLLCLKにジッタがない時を、図12の(C)はジッタによってPLLCLKが0.5クロック遅れた時を、図12の(D)はジッタによってPLLCLKが0.5クロック進んだ時を示す。図13は、図12の(B)〜(D)の信号Gをまとめて比較している。XRESET(内部)のタイミングによって2つ状態を取り得るので、分周器(1/N)は分周器30の状態を表すために0/1, 1/2, 2/0と書いて2つの状態を表し、Cは実線と破線で2つの状態を表している。XRESETのタイミングの違いやPLLCLKのジッタがあると、CSEDGEと分周器30の出力Cの相互タイミングはずれるが、分周器30の出力Cとクロック制御信号Fの相互タイミングは変わらない。
【0033】
ここで、Gを止めている期間はEXCLKの周期の整数倍であり、内部回路11のリセット解除の不確定期間と、PLL回路20のジッタ分を加えた時間より長いことが必要となる。図10から図13に示した動作の場合、リセット解除の不確定期間がPLLCLKの1クロック、PLL回路20のジッタがPLLCLKの±0.5クロックのため、1+0.5+0.5=2となり、PLLCLKの周期がEXCLKの周期の1/3のため、EXCLKの1周期分以上Gを停止するとこが必要になる。
【0034】
図10および図11において、CS, WE, DATA はEXCLKの立ち下がりに同期して入力され、REQ1, REQ2, ACKはGの立ち上がりに同期して出力され、READYはGの立ち上がりに同期して出力されるが、READYを出力するとCSIの立ち下がりを待たずにREQ1を下げる。外部から入力したCSがD、Eを経由してCSIに伝わる前に、CSからD、CSEDGEを経由してFとして伝わり、内部回路11のクロックを停止する。図10および図11では、共にCSIの立ち上がりがFの立ち上がりより遅く、Fの立ち下がりより早いので、どちらもDがm+08の時にCSIが内部回路に認識される。そのため、REQ1とREQ2の競合の程度は変わらない。
【0035】
図14および図15は、第2実施形態において、内部回路11のCSが下がってからREQ1をネゲートする場合の動作波形を示す。内部回路11のCSが下がってからREQ1をネゲートするので、内部回路11のCSとPLLCLKの位相が変わる場合がある。図14は、PLLCLKが0.5クロック遅く、XRESETがPLLCLKの立ち上がりに間に合わない場合を示し、図15は、PLLCLKが0.5クロック早く、XRESETがPLLCLKの立ち上がりに間に合う場合を示している。図14では、Gがm+42の時にACK2が出力されるが、図15では、Gがm+44の時にACK2が出力される。そのため、以降の内部回路11の動作に違いが生じる。
【0036】
図16は、第3実施形態の集積回路10の構成を示す図である。第3実施形態は、第2実施形態のANDゲート43を、EXORゲート80で置き換えたことが、第2実施形態と異なる。
【0037】
第2実施形態では、Eの反転信号とDの論理積(AND)からCSEDGEを発生させていたが、第3実施形態では、Eの反転信号とDの排他的論理和EXORからCSEDGEを発生するのでCSの立ち上がりと立ち下がりでCSEDGEにパルスが出る。そのため、CSの立ち上がりと立ち下がりでGを停止できる。
【0038】
図17および図18は、第3実施形態における動作波形を示す。図14および図15と同様に、図17は、PLLCLKが0.5クロック遅く、XRESETがPLLCLKの立ち上がりに間に合わない場合を、図18は、PLLCLKが0.5クロック早く、XRESETがPLLCLKの立ち上がりに間に合う場合を示している。図17および図18の場合、CS立ち下がり時にGを停止するので、図17および図18の両方で、Gがm+42の時にACK2が出力される。
【0039】
図19は、第4実施形態の集積回路10の構成を示す図である。第4実施形態では、外部バスのトランザクション信号として、CSの代りにREとWEを使用する。
【0040】
図19に示すように、第4実施形態の集積回路10は、第2実施形態の集積回路10においてFF41、FF42、ANDゲート43およびセレクタ25をなくし、FF51、FF52、ANDゲート53、FF54、FF55、ANDゲート56、ORゲート57、セレクタ58およびセレクタ58を加えた構成を備える。FF51、FF52およびANDゲート53は、第2実施形態においてFF41、FF42およびANDゲート43がCSに対して発生したのと類似の信号をREに対して発生する。セレクタ58は、通常動作時には外部から入力されるREを、試験動作時にはFF52の出力E1を、選択して内部回路11に入力する。同様に、FF54、FF55およびANDゲート56は、第2実施形態においてFF41、FF42およびANDゲート43がCSに対して発生したのと類似の信号をWEに対して発生する。セレクタ59は、通常動作時には外部から入力されるWEを、試験動作時にはFF55の出力E2を、選択して内部回路11に入力する。ORゲート57は、ANDゲート53の出力REEDGEとANDゲート56の出力WEEDGEの論理和を発生してFF31に入力する。
【0041】
第4実施形態は、外部バスのトランザクション信号として、CSの代りにREとWEを使用する場合である。トランザクション信号が2つあるので第1実施形態の遅延回路に相当する回路が2つある。
【0042】
図20および図21は、第4実施形態における動作波形を示す。図10および図11に示した第2実施形態では、EXCLKの立ち上がりに同期してCSからDが出力されるが、図20および図21では、EXCLK立ち上がりに同期してWEからD1が出力される点を除いて、第2実施形態と同じ動作となる。
【0043】
図22は、第5実施形態の回路システムの構成を示す図である。第5実施形態の回路システムでは、第2実施形態の集積回路10内の遅延回路の一部を集積回路10に設け、内部回路11へのクロック停止のタイミングを外部で発生し、集積回路10に入力する。
【0044】
第5実施形態の回路システムは、集積回路10、外部ホスト71、外部リソース72、アドレスデコーダー73、FF74、FF75、FF76、ANDゲート77およびセレクタ78を備える。FF74、FF75、FF76、ANDゲート77およびセレクタ78が、集積回路10外に設ける遅延回路を形成する。集積回路10は、図8の第2実施形態の集積回路から、FF41、FF42、ANDゲート43およびセレクタ25が除かれ、FF60を新たに備える。FF74、FF75およびANDゲート77は、第2実施形態のCSEDGEと同じ信号XCLKENを発生する。XCLKENは、集積回路10のFF60でEXCLKの1周期分遅延されてFF31に入力される。FF76は、XCLKENのFF60での遅延に合わせて、FF75の出力するCSの遅延信号EをEXCLKの1周期分遅延する。
【0045】
第5実施形態のように、外部でクロック停止のタイミング信号を発生する場合も、PLLCLKとEXCLKの位相を合わせるために、FF26〜FF28からなる波形成形回路は必要である。
【0046】
例えば、第5実施形態の回路システムにおいて、外部ホスト71は、主制御部であり、集積回路10の動作を制御する。実速度実動作試験の時は、集積回路10に複雑な演算などを行わせ、その結果を受け取る。実速度実動作試験のためのテストパターンは、外部ホスト71、外部リソース72、 アドレスデコーダー73、集積回路10外に設ける遅延回路を形成するFF74、FF75、FF76、ANDゲート77およびセレクタ78は、集積回路10同様にシミュレーションモデルで形成してもよい。
【0047】
図23および図24は、第5実施形態における動作波形を示す。第5実施形態の場合、集積回路10外でクロック停止信号XCLKENを作り、XCLKENを集積回路10に入力後にEXCLKでラッチしてEXCLK同期とする。集積回路10外にある、XCLKENを作る回路もEXCLKで動作するが、集積回路10の入力回路の遅延バラツキの影響を受けないように、XCLKENを集積回路に入力後にEXCLKでラッチする。そのため、集積回路10内部でクロック停止に使用するCDEDGEを作るときよりも、内部回路のCSがEXCLKの1クロック分遅くなる。
【0048】
以上説明したように、実施形態では、外部からの外部バストランザクション信号を被試験集積回路内で遅延させ、その間に内部回路のクロック供給を止め、トランザクション信号が内部回路に伝わった後に内部回路のクロック供給を再開することで非同期入力による動作の違いを防ぎ、PLL回路を使用した試験を安定して実施可能になる。
【0049】
外部信号をもとにして外部バストランザクションを終了する場合も、外部バストランザクション終了信号を被試験集積回路内で遅延させ、その間に内部回路のクロック供給を止め、トランザクション終了信号が内部回路に伝わった後に内部回路のクロック供給を再開することで非同期入力による動作の違いを防ぎ、PLLを使用した試験を安定して実施可能になる。
【0050】
ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【0051】
以下、実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
外部クロックを逓倍して内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、
前記内部クロックで動作し、外部バスとは非同期でデータを入出力するインターフェースを含み、トランザクション信号に応じて、外部バスとの間でデータの入出力動作を行う内部回路と、を備える集積回路であって、
前記トランザクション信号を所定時間遅延し、前記トランザクション信号の変化から前記所定時間の間アクティブになる停止信号を発生する遅延回路と、
試験モード時に、前記内部回路への前記内部クロックの供給を前記停止信号がアクティブの間停止し、前記停止信号が非アクティブなった後、前記内部クロックに同期して前記内部回路への前記内部クロックの供給を再開するように制御するクロック制御回路と、を備えることを特徴とする集積回路。
(付記2)
前記内部クロック発生回路は、PLL回路を備える付記1に記載の集積回路。
(付記3)
前記集積回路の動作状態を制御するリセット信号を遅延すると共に前記内部クロックに同期する内部リセット信号に変換するリセット信号処理回路を備え、
前記内部リセット信号が前記クロック制御回路および前記内部回路に供給される付記1または2に記載の集積回路。
(付記4)
前記リセット信号処理回路は、
前記集積回路の動作状態を制御するリセット信号を前記外部クロックに同期してラッチする第1フリップフロップと、
前記第1フリップフロップの出力を前記内部クロックに同期してラッチする第2フリップフロップと、
前記第2フリップフロップの出力を前記内部クロックの周期分順次遅延させる1個以上のフリップフロップを備えるリセット遅延回路と、を備え、
前記リセット遅延回路の出力が前記内部回路に供給される付記3に記載の集積回路。
(付記5)
前記クロック制御回路は、
前記内部クロックを分周して、前記外部クロックと同じ周期の分周クロックを発生し、前記内部リセット信号に同期して動作を開始する分周器と、
前記分周クロックに同期して動作状態となり、前記内部クロックに同期して動作し、前記停止信号がアクティブの間クロック供給停止信号を発生するフリップフロップと、
前記内部クロックの前記内部回路への供給を、前記クロック供給停止信号がアクティブの間停止するゲートと、を備える付記1から4のいずれかに記載の集積回路。
(付記6)
前記トランザクション信号は、チップセレクト信号、またはリードイネーブル信号およびライトイネーブル信号である付記1から5のいずれかに記載の集積回路。
(付記7)
外部回路と、前記外部回路からアクセスされる集積回路と、を備える回路システムであって、
前記外部回路は、前記集積回路へのアクセス動作を前記第1クロックに同期して行い、
前記集積回路は、
前記外部回路から入力される前記第1クロックを逓倍して内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、
前記内部クロックで動作し、前記外部回路とは非同期でデータを入出力するインターフェースを含み、前記外部回路からのトランザクション信号に応じて、前記外部回路との間でデータの入出力動作を開始する内部回路と、を備え、
前記外部回路は、前記集積回路にアクセスするために発生する前記トランザクション信号を第1所定時間遅延した第1遅延トランザクション信号、および前記第1遅延トランザクション信号をさらに第2所定時間遅延した第2遅延トランザクション信号、および前記トランザクション信号の発生から前記第1所定時間の間アクティブになる停止信号を発生する遅延回路を備え、
前記第1および第2遅延トランザクション信号、および前記停止信号が前記集積回路に入力され、
前記集積回路は、前記停止信号を前記第2所定時間遅延した遅延停止信号を発生する遅延回路と、試験モード時に、前記内部回路への前記内部クロックの供給を前記遅延停止信号がアクティブになる停止期間停止し、前記停止期間経過後、前記内部クロックに同期して前記内部回路への前記内部クロックの供給を再開するように制御するクロック制御回路と、を備え、前記第2遅延トランザクション信号が前記トランザクション信号として入力されることを特徴とする回路システム。
【符号の説明】
【0052】
10 集積回路
11 内部回路
20 内部クロック発生回路(PLL回路)
21 クロック制御回路
22 遅延回路
25 セレクタ
27 波形成形回路
30 分周器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部クロックを逓倍して内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、
前記内部クロックで動作し、外部バスとは非同期でデータを入出力するインターフェースを含み、トランザクション信号に応じて、外部バスとの間でデータの入出力動作を行う内部回路と、を備える集積回路であって、
前記トランザクション信号を所定時間遅延し、前記トランザクション信号の変化から前記所定時間の間アクティブになる停止信号を発生する遅延回路と、
試験モード時に、前記内部回路への前記内部クロックの供給を前記停止信号がアクティブの間停止し、前記停止信号が非アクティブなった後、前記内部クロックに同期して前記内部回路への前記内部クロックの供給を再開するように制御するクロック制御回路と、を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項2】
前記内部クロック発生回路は、PLL回路を備える請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記集積回路の動作状態を制御するリセット信号を遅延すると共に前記内部クロックに同期する内部リセット信号に変換するリセット信号処理回路を備え、
前記内部リセット信号が前記クロック制御回路および前記内部回路に供給される請求項1または2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記クロック制御回路は、
前記内部クロックを分周して、前記外部クロックと同じ周期の分周クロックを発生し、前記内部リセット信号に同期して動作を開始する分周器と、
前記分周クロックに同期して動作状態となり、前記内部クロックに同期して動作し、前記停止信号がアクティブの間クロック供給停止信号を発生するフリップフロップと、
前記内部クロックの前記内部回路への供給を、前記クロック供給停止信号がアクティブの間停止するゲートと、を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記トランザクション信号は、チップセレクト信号、またはリードイネーブル信号およびライトイネーブル信号である請求項1から4のいずれか1項に記載の集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−150533(P2011−150533A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11230(P2010−11230)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】