説明

集粉装置

【課題】消費電力の増大を抑えることが可能な集粉装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る集粉装置100は、上面に開口210aを有し、粉を収容する第1の容器210と、容器210の開口210aに対向して設けられた吸引口410と、第1の容器210の開口210aの周辺に舞い吸引口410に向かって移動する粉と衝突させるために開口210aと吸引口410との間に配置された妨害部610と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ物等の食材に付着させるために用いられた粉を回収する集粉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揚げ物等の食材に手作業で粉を付着させる際には、作業者は、粉を収容した容器の中に食材を落としたり、粉容器の上方にかざした食材に粉を振り掛けたり、粉容器の上方において食材に付着した余分な粉を叩き落す、といった作業を行う。この作業の間には、粉が周辺に飛散することがある。これを防ぐための装置として、登録実用新案第3005747号(特許文献1)に記載されたものが知られている。
【0003】
この文献に開示された装置においては、食材に粉を付着させるために用いられる作業テーブルの上方に吸気口が形成される。吸気口は、その上方に配置されたエアフィルタ及びファンと連通している。よって、作業テーブルの周囲に舞い上がった粉は、吸気口から吸引され、エアフィルタにより捕獲されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報第3005747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の装置においては、次に述べるような問題がある。
まず第1に、上記従来の装置は、作業テーブルの上方に舞い上がった粉を可能な限りすべて吸引する構成を有する。これにより、多量の吸引風量が必要となるため、これを実現するためのファンを用いる結果、消費電力が増加してしまう。
第2に、作業テーブルの上方に舞い上がった粉をすべて吸引する構成が採用されているため、吸気口から吸引される粉の量が多くなる。これは、フィルタの目詰まりがより早く進み、フィルタによる集粉効果が短時間で低下することを意味する。さらに、粉が付着したフィルタを掃除する際に掃除機を用いれば、今度は掃除機の目詰まりが激しくなり、一方、フィルタを水洗いすれば、フィルタを乾燥させる手間がかかってしまう。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上述した問題点の少なくとも1つに対処することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る集粉装置は、食材に付着させるために用いられた粉を回収する集粉装置であって、粉を収容する容器の開口に対向するように設けられた吸引口と、前記容器の前記開口の周辺に舞い前記吸引口に向かって移動する粉と衝突させるために前記開口と前記吸引口との間に配置された妨害部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る集粉装置の構成を模式的に示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示した集粉装置をA−A'面からみて模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示した集粉装置をB−B'面からみて模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示した集粉装置において用いられるサイクロンの構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示した集粉装置において用いられるブロワの構成を示す模式図である。
【図6】図6は、図1に示した集粉装置において用いられるフード、サイクロン及びブロワの接続状態を概念的に示す模式図である。
【図7】図7は、図1に示した集粉装置における吸引部及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示した吸引部及びその周辺の構成を模式的に示す正面図である。
【図9】図9は、図8に示した吸引部及びその周辺の構成をC−C'面からみて模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置における吸引部及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図である。
【図11】図11は、図10に示した集粉装置における第2の管及びガイド板の構成を模式的に示す断面図である。
【図12】図12は、図10に示した集粉装置におけるガイド板の構成を模式的に示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置におけるブロワと第1の管及び第2の管との接続状態を概念的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。添付図面における同一の構成要素に対しては同一の参照符号が付されていることに留意されたい。
【0009】
(実施の形態1)
1.集粉装置の概要
図1は、本発明の実施の形態1に係る集粉装置の構成を模式的に示す正面図である。図2は、図1に示した集粉装置をA−A'面からみて模式的に示す断面図である。図3は、図1に示した集粉装置をB−B'面からみて模式的に示す断面図である。
【0010】
本実施の形態に係る集粉装置100は、略L字状の断面形状を有する箱型の筐体110により構成される。このような筐体110により構成される集粉装置は、大きく分けて、食材に付着させるための粉を収容する容器等を収容する収容部200と、収容部200により収容された容器の周辺の空気を吸引する吸引部300と、吸引部300により吸引された空気から粉を回収する集粉部400と、を含む。
【0011】
2.収容部200の構成
収容部200の構成について説明する。
収容部200は、食材に付着させるための粉を収容する第1の容器210と、第1の容器210の下方に配置された篩い装置220と、篩い装置220の下方に配置された第2の容器230と、を筐体110の内部に収容する。
【0012】
第1の容器210は、その上面に開口210aを有する。また、底面には、複数の穴210bが形成されている。これらの穴210bは、着脱自在に設けられた蓋210cによって覆われている。
作業者が第1の容器210に収容された粉を用いて粉着け作業を行う際には、粉が穴210bを通って落下しないように、穴210bが蓋210cによって覆われる。粉着け作業が終了した後には、粉着け作業に起因して第1の容器210に溜まった食材の破片や玉(食材の表面に付着していた水分を吸収して玉状に固まった粉)を取り除くために、蓋210cが取り外され、穴210bが開放される。
【0013】
篩い装置220は、第1の容器210の穴210bを通って落下してきた食材の破片や玉と混ざった粉を篩いに掛けることにより、食材の破片や玉等を収集し、粉のみを下方の第2の容器230に落とす。なお、篩い装置220としては、加振動方式(例えば特許第3896273号)、揺動方式及び回転揺動方式等を含む任意の方式の装置を用いることができる。
【0014】
第2の容器230は、第1の容器210と同様に、上面に開口230aを有し、下面に複数の穴230bを有するものとすることができる。これらの穴230bを覆う蓋230cが着脱自在に設けられる。
【0015】
3.集粉部400の構成
集粉部400の構成について説明する。
集粉部400において、容器210の開口210aに対向する面402が形成されている。この面402には、例えば直方形状の吸引口410が形成されている。この吸引口410は、筐体110の中央部付近から上方に向かって延びるフード412に連通している。フード412は、例えば、上方に進むにつれて断面積を減少させる形状を有する。
集粉部400は、吸引口410から吸引されフード412を通過した空気から粉を回収するサイクロン420と、サイクロン420に接続され、サイクロン420に吸引力を与えるブロワ430と、を含む。
サイクロン420及びブロワ430は、一例として、両者の間にフード412を挟む位置関係となるように、筐体110の内部に配置されている。
【0016】
3−1.サイクロン420の構成
図4は、本実施の形態に係る集粉装置100において用いられるサイクロン420の構成を模式的に示す斜視図である。
サイクロン420は、主に、上円筒部500と、下円筒部510と、漏斗部520と、回収ボックス530と、により構成される。
【0017】
上円筒部500において、底面500aに穴500bが形成されている。また、側面500c下端には、排気口500dが形成されている。排気口500dには、排気管502が接続されている。排気管502は、後述するように、ブロワ430に接続される。
【0018】
下円筒部510において、上面510aに穴510bが形成されている。この穴510bは、上円筒部500の穴500bと連通している。
上面510aには、鉛直方向に延びる連通管512が取り付けられている。連通管512は、穴510bを介して上円筒部500の穴500bと連通している。
また、側面510c上端には、吸入口510dが形成されている。吸入口510dには、吸入管514が接続されている。吸入管514は、後述するように、フード412に接続される。
さらに、下円筒部510の下端510eは、開放端となっている。
【0019】
漏斗部520は、上端520aから下端520bに向かって減少する径を有する。上端520a及び下端520bがともに開放端となっている。上端520aは、下円筒部510の下端510eに連通している。
【0020】
回収ボックス530は、一例として、円筒形状を有する。上面530aには、穴530bが形成されている。穴530bは、漏斗部520の下端520bに連通している。
【0021】
このような構成を有するサイクロン420では、まず、排気管502に接続されたブロワ430が駆動すると、粉Pを含む空気が吸入管514から下円筒部510の内部に吸入される。粉Pを含む空気は下円筒部510の内部に接線方向に吸入されるので、下円筒部510内部に旋回流が発生させられる。旋回流に乗せられた粉Pは、遠心力及び重力の影響を受け、下円筒部510の内壁に押え付けられながら下方に落ちていく。一方、旋回流に乗せられた空気は、連通管512を通って上円筒部500の内部に至った後、排気管502を通ってブロワ430にまで吸引される。
さらに、下円筒部510から漏斗部520にまで旋回流に乗って落下してきた粉Pは、漏斗部520の内壁に沿って旋回しながら落下し、回収ボックス530の内部に集められる。
【0022】
3−2.ブロワ430の構成
図5は、図1に示した集粉装置100において用いられるブロワ430の構成を示す模式図である。
ブロワ430は、モータ部432と、モータ部432に接続された回転羽部434と、回転羽部434と連通する中空部436と、中空部436に連通する吸入口438及び排出口440と、を含む。
モータ部432が起動すると、回転羽部434が回動する。これにより、吸入口438から空気が吸入される。吸入口438から吸入された空気は、中空部436を通って、排出口440から排出される。
なお、ブロワ430としては、図5に示したものだけでなく、任意のブロワを用いることができる。
【0023】
3−3.接続状態
次に、フード412(吸引口410)、サイクロン420及びブロワ430の接続状態について、図6を参照して説明する。図6は、図1に示した集粉装置100において用いられるフード412、サイクロン420及びブロワ430の接続状態を概念的に示す模式図である。
【0024】
フード412、サイクロン420及びブロワ430は、それぞれ、図1〜図3に示した位置に配置されるものである。しかしながら、図6においては、これら各要素の接続関係を分かり易く示すために、これら各要素の位置関係が図1〜図3に示したものとは異なっている、ということに留意されたい。
【0025】
フード412は、配管602によって、サイクロン420の吸入管514に接続されている。
サイクロン420の排気管502は、配管604によって、ブロワ430の吸入口438に接続されている。
ブロワ430の排出口440は、配管606によって排気管608に接続されている。この配管606は、例えば、図2に示すように、筐体110の内部を通って筐体110の底面にまで延設されている。排気管608は、筐体110の底面の下方に配置される。これにより、ブロワ430の排気は、配管606及び排気管608を介して、筐体110の外部に排出される。
【0026】
以上のような接続がなされていることにより、吸引口410から吸引された空気(粉が混入した空気)は、フード412及び配管602を介して、吸入管514からサイクロン420に吸入される。吸入された空気に含まれていた粉は、回収ボックス530に収集される。粉が取り除かれた空気は、排気管502を介してサイクロン420から排出される。サイクロン420から排出された空気は、吸入口438を介してブロワ430に吸入され、排出口440を介してブロワ430から排出される。ブロワ430から排出された空気は、配管606を介して、排気管608から筐体110の外部に排出される。
【0027】
なお、図1〜図3は、配管602〜606を便宜的に単なる線により表現しているが、各配管は、図6に示したような配管602と同様の構成を有するものである。図6における配管604、606も同様である。
【0028】
4.吸引部300
次に、吸引部300の構成について図7〜図9を参照して説明する。
図7は、図1に示した集粉装置100において用いられる吸引部300及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示した吸引部300及びその周辺の構成を模式的に示す正面図である。図9は、図8に示した吸引部300及びその周辺の構成をC−C'面からみて模式的に示す断面図である。
【0029】
第1の容器210の上面210aの上方であって、この上面210aに対向する位置に、面402が配置されている。この面402には、吸引口410が形成されている。ここでは、一例として、吸引口410が、第1の容器210の上面210aの上方には位置しているが、この上面210aの真上には位置していない(すなわち、奥行方向Yにおいて、吸引口410と上面210aとの間で重なり合う領域がない)場合について説明している。しかしながら、奥行方向Yにおいて吸引口410と上面210aとの間で重なり合う領域が生ずるように、吸引口410と上面210aとの位置関係を変更してもよい。
【0030】
さらに、面402の後端402aと上面210aの後端210a1付近とを接続する接続面600が形成されている。接続面600の右端600Rからは、前方に向かって側壁604が延びており、同様に、接続面600の左端600Lからも、前方に向かって側壁608が延びている。
【0031】
また、面402と第1の容器210の上面210aとの間には、妨害部610が設けられている。この妨害部610は、接続面600の上に配置されている。この妨害部610は、(図9に最もよく示されているように、)吸引口410と上面210aとを繋ぐ領域R(図9において斜線が付された部分)に交差する衝突面612と、この衝突面612と連続的に形成され、吸引口410に対向する案内面(ガイド面)614と、を有する物体により構成されている。
【0032】
領域Rに交差する衝突面612は、次のように作用することを目的として設けられたものである。
作業者が、食材Fに対して粉着け作業を行う際には、第1の容器210の上面210a周辺(特に上面210aの上方)に粉が舞い上がる。上面210a周辺に舞い上がって吸引口410に向かって吸引され移動する粉の一部は、衝突面612に衝突することになる。衝突面612に衝突した粉は、衝突面612の下方に位置する第1の容器210の内部に落下する(なお、この意味において、図7〜図9に示すように衝突面612を第1の容器210に隣接した位置に配置することが望ましい)。
例えば、図9に示す粉P1は、吸引口410に向かって移動する途中で衝突面612に衝突した粉であり、衝突後は、下方に位置する第1の容器210に向かって落下する。一方、図9に示す粉P2は、吸引口410に向かって移動する際に衝突面612に衝突しなかった粉であり、そのまま吸引口410に吸引される。
【0033】
このように、衝突面612は、第1の容器210の上面210a周辺に舞い上がった粉が吸引口410に吸引される確率を下げるように、作用する。
図7〜図9に示した妨害部610の形状は一例に過ぎない。吸引口410に吸引される粉の望ましい量に基づいて、領域Rに交差する衝突面612の形状を変化させることができる。
例えば、衝突面612の高さ及び/又は幅を増加(減少)させれば、舞い上がった粉が衝突面612に衝突する確率が高く(低く)なるので、吸引口410に吸引される粉の量は減少(増加)する。
また、衝突面612が第1の容器210の上面210aに対してなす角度を減少(増加)させれば、舞い上がった粉が衝突面612に衝突する確率が高く(低く)なるので、吸引口410に吸引される粉の量は減少(増加)する。さらに加えて、衝突面612が第1の容器210の上面210aに対してなす角度を減少させれば、舞い上がった粉が衝突面612に衝突した後に第1の容器210に戻る確立を増加させることもできる。
なお、図7〜図9に示した例では、第1の容器210の上方における作業者による作業環境を維持しつつ、吸引口410に吸引される粉の量を減少させることができるようにするために、衝突面612は、第1の容器210の上面210aに対して略90度の角度をなすように形成されている。
【0034】
妨害部610は、舞い上がった粉が衝突面612に衝突させること、すなわち、舞い上がった粉が吸引口410に吸引されることを妨害することを目的として設けられたものである。よって、衝突面612及び案内面614が図7〜図9に示したように平らな面であることは必須ではない。
【0035】
なお、本実施の形態では、最も好ましい形態として、衝突面を有する妨害部を設ける手法と、サイクロンを設ける手法と、を組み合わせた形態を説明した。しかしながら、本発明は、これらの手法の少なくとも一方を用いた形態をも含むものである。すなわち、衝突面を有する妨害部に対して、従来技術に係るフィルタを組み合わせてもよいし、逆に、衝突面を有する妨害部を用いることなく、サイクロンのみを用いてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、粉を収容する容器とこれに対向する吸引口との間における領域に、吸引口に向かって移動する粉と衝突させる衝突面を設けたので、吸引口に吸引される粉の量を抑えることができる。よって、多量の吸引風量を有するファンが不要となるので、消費電力を抑えることができる。
また、衝突面を容器に隣接した(近づけた)位置に設けることにより、衝突面に衝突して容器に戻る粉の量をも増やすことができる。
【0037】
また、本実施の形態では、フィルタに代えてサイクロンを用いることができる。サイクロンを用いることによって、フィルタを用いることに起因する前述した様々な問題の発生を回避することができる。さらには、サイクロンを用いることにより、サイクロンに吸入された空気(粉が混ざった空気)から粉を回収して再度利用することもできる。
【0038】
(実施の形態2)
本実施の形態では、集粉装置の周辺に粉が飛散することを防止する場合について説明する。
以下、本実施の形態に係る集粉装置の構成のうち、上述した実施の形態1に係る集粉装置と異なる構成のみに着目して、説明する。
【0039】
図10は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置における吸引部及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る集粉装置700は、第1の容器210の開口210aの周りに沿って、吸引口410に向かう気流を発生させる気流発生要素を備える。
【0040】
図10には、気流発生要素の具体例として、第1の容器210の開口210aの両端(右端及び左端)付近に配置された第1の管710が示されている。第1の管710は、空気を搬送する管であって、吸引口410に向かってその空気を排出する排気孔712が形成された管である。排気孔712は、第1の管710の延設方向に沿って延びる線状の排出孔であってもよいし、第1の管710の延設方向に沿って配置された複数の点状の排出孔であってもよい。
【0041】
第1の管710によって、この第1の管710から吸引口410に向かって流れる気流S1が形成される。この気流S1が形成されていることによって、第1の容器210の周辺(特に上方)に舞い上がった粉は、気流S1に乗って吸引口410に向かって移動する。これにより、第1の容器210の周辺に舞い上がった粉が集粉装置700の周辺に飛散する事態を抑えることができる。なお、気流S1に乗って吸引口410に向かって移動する粉が、妨害部610(特に衝突面612)に衝突した場合には、落下して第1の容器210に戻ることになることは、いうまでもない。
【0042】
また、図10には、気流発生要素の別の具体例として、第2の管720及びこれに対応して設けられたガイド板730が示されている。これら第2の管720及びガイド板730の構成について、図10に加えて図11及び図12を参照して説明する。
図11は、図10に示した集粉装置における第2の管720及びガイド板730の構成を模式的に示す断面図である。図12は、図10に示した集粉装置におけるガイド板730の構成を模式的に示す斜視図である。
【0043】
図10に示すように、第2の管720は、筐体110の外面110aに横方向に沿って(一例として水平方向に沿って)取り付けられている。第2の管720は、空気を搬送する管であって、上方に向かって空気を排出する排気孔722が形成された管である。排気孔722は、第2の管720の延設方向に沿って延びる線状の排出孔であってもよいし、第2の管720の延設方向に沿って配置された複数の点状の排出孔であってもよい。
【0044】
ガイド板730は、第2の管720の上方においてこの第2の管720に対向するように、筐体110の外面110aに横方向に沿って取り付けられている。ガイド板730は、好ましくは、第2の管720と略平行に延びるように設けられる。
図11及び図12に示すように、ガイド板730は、筐体110の外面110aとの間に間隙をおいて延びる前板部732と、前板部732と連続的に形成され、吸引口410に向かって傾斜した後板部734と、前板部732と連続的に形成された固定部736と、を含む。固定部736に形成されたネジ孔736aは、ネジを用いて、ガイド板730を筐体110の外面110aに対して着脱自在に取り付けるために用いられる。
【0045】
このような構成を有する第2の管720及びガイド板730によれば、次のようにして、吸引口410に向かう気流が生成される。すなわち、図11に示すように、第2の管720の排気孔722から上方に向かって空気S21が排出される。排出された空気S21は、ガイド板730の前板部732の内面と筐体110の外面110aとの間における間隙を通った後、後板部734の内面に衝突することによって、進行方向を曲げる(S22)。進行方向を曲げられた空気S22は、後板部734の内面に案内され、吸引口410に向かって進行する(S23)。図11に示した空気S23が、図10に示した気流S2を形成する。
【0046】
この気流S2が形成されていることによって、第1の容器210の周辺(特に上方)に舞い上がった粉は、気流S2に乗って吸引口410に向かって移動する。これにより、第1の容器210の周辺に舞い上がった粉が集粉装置700の周辺に飛散する事態を抑えることができる。なお、気流S2に乗って吸引口410に向かって移動する粉が、妨害部610(特に衝突面612)に衝突した場合には、落下して第1の容器210に戻ることになることは、いうまでもない。
【0047】
別の実施の形態として、第2の管720を第1の容器210の開口210aの前端付近に配置することも勿論可能である(この場合には、第2の管720の排気孔722が吸引口41に向かうように、第2の管720を配置することができる)。しかしながら、本実施の形態のように第2の管720及びガイド板730を採用することによって、次に示す利点が得られる。
【0048】
図10に示すように、筐体110には、第1の容器210を収容する空間112が形成されている。この空間112は、筐体110の外面110aに形成された開口114を介して外部と連通している。これにより、作業者は、第1の容器210を掃除等するために取り外す際には、第1の容器210を、持ち上げることなく単に手前に向かって摺動させることにより開口114(すなわち通過口114)を通過させて、取り外すことができる。これを実現するためには、第1の容器210が開口114を通過できるように、開口114が開放されている必要がある。ここで、第2の管720を第1の容器210の開口210aの前端付近に配置すると、第1の容器210の移動が第2の管720の存在によって阻害されてしまう。
そこで、本実施の形態では、第2の管720が開口114の下方に配置され、より簡易に取り外し可能なガイド板730が、開口114を遮断するように筐体110に着脱自在に取り付けられる。この構成によれば、作業者が、第1の容器210を取り外す際には、ガイド板730を取り外すことにより、開口114が開放されるので、第1の容器210を摺動させて開口114を介して取り外すことができる。
【0049】
次に、上述した第1の管710及び第2の管720に対する空気の供給について、図13及び図14を参照して説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置700の構成を模式的に示す断面図である。図14は、本発明の実施の形態2に係る集粉装置におけるブロワ430と第1の管710及び第2の管720との接続状態を概念的に示す模式図である。
【0050】
図13に示すように、実施の形態1において説明したブロワ430の排気が、第1の管710及び第2の管720に供給される。
このような排気の供給は、例えば、図14に示す構成により実現可能である。ブロワ430の排気口440には、配管800が接続されている。配管800には、分岐管802が接続されている。
分岐管802には、配管804、806、808が接続されている。配管804、806は、それぞれ、エア絞り弁810、812を介して、対応する第1の管710に接続されている。配管808は、分岐管814に接続されている。
分岐管814には、配管816、818が接続されている。配管816は、エア絞り弁820を介して、第2の管720に接続されている。配管818は、実施の形態1で説明した排気管608に接続される。
なお、図13及び図14においては、各配管が便宜的に単なる線により表現されている、ということに留意されたい。
【0051】
本実施の形態では、最も好ましい形態として、吸引口410に向かう気流を発生させる気流発生要素(第1の管710、第2の管720、ガイド板730等)を設ける手法と、衝突面612を有する妨害部610を設ける手法とを、組み合わせた形態を説明した。しかしながら、本発明は、これらの手法の少なくとも一方を用いた形態をも含むものである。すなわち、吸引口に向かう気流を発生させる気流発生要素は、妨害部と組み合わせて用いることもできるし、妨害部と組み合わせることなく単独で用いることもできる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、粉を収容する容器の開口の周り(周りの一部又は全部)から、吸引口に向かう気流を発生させることによって、容器の周辺に舞い上がった粉は、その気流に乗って吸引口に移動するので、粉が集粉装置の周りに飛散する事態を抑えることができる。
【符号の説明】
【0053】
F 食材
P 粉
100 集粉装置
110 筐体
110a 外面
114 開口(通過口)
200 収容部
210 第1の容器
210a 第1の容器の開口(上面)
300 吸引部
400 集粉部
410 吸引口
420 サイクロン
430 ブロワ
438 吸入口
440 排出口
600 接続面
610 妨害部
612 衝突面
614 案内面
710 第1の管
712 排気孔
720 第2の管
722 排気孔
730 ガイド板
732 前板部
734 後板部
736 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材に付着させるために用いられた粉を回収する集粉装置であって、
粉を収容する容器の開口に対向するように設けられた吸引口と、
前記容器の前記開口の周辺に舞い前記吸引口に向かって移動する粉と衝突させるために前記開口と前記吸引口との間に配置された妨害部と、
を具備することを特徴とする集粉装置。
【請求項2】
前記妨害部が、前記容器の前記開口と前記吸引口と繋ぐ領域に交差する衝突面を有する、請求項1に記載の集粉装置。
【請求項3】
前記衝突面が前記容器の前記開口に対して略直角に延びる、請求項2に記載の集粉装置。
【請求項4】
前記衝突面が前記容器の前記開口に隣接して設けられる、請求項2又は請求項3に記載の集粉装置。
【請求項5】
前記妨害部が、前記衝突面と連続的に形成された、前記吸引口に対向するガイド面を有する、請求項2から請求項4のいずれかに記載の集粉装置。
【請求項6】
前記吸引口を通過した空気を吸入し、該空気に含まれた前記粉を収集するサイクロンをさらに具備する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の集粉装置。
【請求項7】
空気を吸引するブロワをさらに具備し、
前記サイクロンの排出口が前記ブロワの吸入口に接続される、請求項1から請求項6のいずれかに記載の集粉装置。
【請求項8】
前記容器の前記開口の周りに沿って配置され、前記吸引口に向かう気流を発生させる気流発生手段、をさらに具備する請求項1から請求項7のいずれかに記載の集粉装置。
【請求項9】
前記気流発生手段が、前記開口の周りに沿って延設された空気を搬送する第1の管であって、前記吸引口に向かって空気を排出する点状又は線状の排出孔が該管の延設方向に沿って形成された第1の管を含む、請求項8に記載の集粉装置。
【請求項10】
前記容器を支持する筐体をさらに具備し、
前記気流発生手段が、
前記筐体の外面に横方向に沿って延設された空気を搬送する第2の管であって、上方に向かって空気を排出する点状又は線状の排出孔が該管の延設方向に沿って形成された第2の管と、
該第2の管の上方に該第2の管に対向して設けられたガイド板であって、前記外面との間に間隙をおいて延びる前板と、該前板と連続的に形成され、前記吸引口に向かって傾斜した後板と、を含むガイド板と、
を含み、
前記第2の管の前記排出孔から上方に向かって排出された空気が、前記前板の内面と前記筐体の前記外面との間に形成された前記間隙を通り、前記後板の内面に衝突することにより、前記吸引口に向かって進行する、ようになっている、請求項8又は請求項9に記載の集粉装置。
【請求項11】
前記第2の管が、前記筐体から着脱される前記容器が通過するために該筐体の前記外面に形成された通過口の下方に取り付けられ、
前記ガイド板が、前記通過口を遮断するように前記筐体に着脱自在に取り付けられる、請求項10に記載の集粉装置。
【請求項12】
前記気流発生手段が、前記吸引口から空気を吸引するために用いられるブロワにより排出される空気を、前記気流を形成する空気として用いる、請求項8から請求項11のいずれかに記載の集粉装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate