説明

集計処理装置および集計処理プログラム

【課題】答案用紙のうち自動集計するものを的確に抽出して採点、集計および印刷を行うこと。
【解決手段】本発明は、自動集計すべき文書を特定できるデータを取得する処理対象入力手段1と、文書の画像データを順次読み込む画像データ入力手段2と、画像データ入力手段2で読み込んだ各文書の画像データから所定事項を抽出し認識する抽出認識手段3と、抽出認識手段3で認識した所定事項から各文書に共通の所定集計結果あるいは各文書に関連付けられた所定集計結果を算出する結果集計手段4と、結果集計手段4によって算出した集計結果と各文書とを特定し、各文書に対応する所定集計結果を各文書の所定欄に順次印刷する画像データ出力手段5とを備える集計処理装置において、抽出認識手段3が、処理対象入力手段1で取得した自動集計すべき文書を特定できるデータと画像データ入力手段2で入力した各文書の画像データとの照合を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、答案や採点等が書き込まれた多数の採点済みの答案用紙を自動集計し、その結果を各答案用紙に印刷することで集計の能率を向上させることができる集計処理装置および集計処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学校等で行われる筆記試験の採点は、通常、教師等の採点者により手作業で行われる。この採点に併せて、生徒の学年での成績序列、クラスでの成績序列、学年での平均点、クラスごとの平均点等、所定の採点結果の集計が行われ、一覧表等が作成される。
【0003】
試験の採点そのものは各生徒の習熟度、理解度を把握するため採点者自身が手作業で行うべきものであるが、採点結果の集計は必ずしも採点者自らが行う必要はなく、自動化により採点者の精神的、肉体的な負担を軽減することが求められる(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−199794号公報
【特許文献2】特開平7−320073号公報
【特許文献3】特開平8−16085号公報
【特許文献4】特開平8−30580号公報
【特許文献5】特開2002−245207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、採点済みの答案用紙を自動集計する際に生じたエラーを認識したり、修正したりする手段に具体的な記述が無く、誤った結果が各答案用紙に印刷される可能性もあり、また、エラーを修正する際には、エラーを含んだ集計結果を一旦登録した後、登録したデータを修正する必要がある。
【0006】
特に、「試験答案」の性質からして成績の序列等の集計に誤りが生じることは避けなくてはならず、もしも、採点者自身のミスや自動集計する際に誤りが発生した場合には確実かつ容易に修正できなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、自動集計すべき文書を特定できるデータを取得する処理対象入力手段と、所定事項が記入された文書の画像データを順次読み込む画像データ入力手段と、画像データ入力手段で読み込んだ各文書の画像データから所定事項を抽出し認識する抽出認識手段と、抽出認識手段で認識した所定事項から各文書に共通の所定集計結果あるいは各文書に関連付けられた所定集計結果を算出する結果集計手段と、結果集計手段によって算出した集計結果と各文書とを特定し、各文書に対応する所定集計結果を各文書の所定欄に順次印刷する画像データ出力手段とを備える集計処理装置において、抽出認識手段が、処理対象入力手段で取得した自動集計すべき文書を特定できるデータを抽出して認識し、その認識したデータと画像データ入力手段で入力した各文書の画像データとの照合を行うものである。
【0008】
このような本発明では、処理対象入力手段で自動集計すべき文書を特定できるデータを取得しているため、抽出認識手段によってこのデータを抽出して認識することで、読み込んだ文書から自動集計すべき文書を正確に照合できるようになる。
【0009】
また、本発明は、自動集計すべき文書を特定できるデータを取得する取得ステップと、所定事項が記入された各文書の画像データを順次読み込む入力ステップと、入力ステップで読み込んだ各文書の画像データから所定事項を抽出し認識する抽出ステップと、抽出ステップで認識した所定事項から各文書に共通の所定集計結果あるいは各文書に関連付けられた所定集計結果を算出する結果集計ステップと、結果集計ステップによって算出した集計結果と各文書とを特定し、各文書に対応する所定集計結果を各文書の所定欄に順次印刷する出力ステップとを集計処理装置で実行する集計処理プログラムにおいて、抽出ステップでは、取得ステップで取得した自動集計すべき文書を特定できるデータを抽出して認識し、その認識したデータと入力ステップで入力した各文書の画像データとの照合を行うものである。
【0010】
このような本発明では、取得ステップで自動集計すべき文書を特定できるデータを取得しているため、抽出ステップによってこのデータを抽出して認識することで、読み込んだ文書から自動集計すべき文書を正確に照合できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明によれば、採点済みの答案用紙を自動集計する際に、答案用紙の重送等により一部の答案用紙が読み込まれない、あるいは印刷できなかった答案用紙を特定し、正常に採点、集計および印刷を完了することが可能となる。また、採点済みの答案用紙を自動集計する際に集計の対象でない答案用紙、あるいは答案以外の用紙の混入が生じても、正常に採点、集計および印刷を完了することが可能となる。これにより、採点者の精神的、肉体的な負担を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1は、第1実施形態に係る集計処理装置を説明するブロック図である。本実施形態における集計処理装置は、処理対象入力手段1、画像データ入力手段2、抽出認識手段3、結果集計手段4および画像データ出力手段5を備えている。
【0013】
処理対象入力手段1は、自動集計すべき答案用紙を特定できるデータを入力する手段である。例えば、集計処理装置に事前に登録するための端末、ネットワーク等を通じて取得するための通信手段およびサーバ手段あるいは答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで抽出し認識する一覧入力手段等によって実現される。
【0014】
ここで、一覧表そのものの抽出認識は、例えば、一覧表の画像データを登録しておき、取り込まれた画像データと照合し、一致するものを抽出する方法(図2参照)、答案用紙や一覧表にフォームを特定する記号を印刷しておき、記号の種類によって一覧表を抽出する方法(図3参照)等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。また、一覧表に書かれている内容の抽出認識は、例えば、光学式文字読取装置(OCR:Optical Character Reader)やバーコード読取装置を用いること等が考えられる。
【0015】
画像データ入力手段2は、答案用紙やテキストから画像データを読み込んで入力するものである。入力画像データとしては、例えば、答案用紙やテキストからスキャンした画像データ、デジタルカメラで撮影した画像データなどがある。画像データ入力手段1は、例えば、フラットヘッドスキャナ、シートフィードスキャナあるいはハンディスキャナ等のスキャナ装置とその制御手段、磁気ディスクやメモリカード等のリード/ライト装置とその制御手段、内部バスやネットワーク等を介してデータの授受を行うデータ転送装置によって実現する。
【0016】
抽出認識手段3は、答案用紙やテキストより読み込まれた画像データから答案用紙やテキストに記入された所定事項を抽出し認識するもので、例えば、生徒の名前や出席番号、問題やその解答、ページ番号等の文字や数字であれば光学式文字読取装置(OCR)によって認識したり、採点の結果記入された○×△等の記号であれば形状や大きさを基にして類似した形状を抽出あるいは特定色の図形を抽出して認識する方法(図4参照)等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0017】
加えて、抽出認識手段3は、自動集計すべき答案用紙の一覧やテキストの各ページの情報を基にして、読み込まれていない答案用紙やページを特定する対象特定手段31および対象特定手段31での特定結果を基にして、読み込まれていない答案用紙やページが存在すること、あるいは読み込まれていない答案用紙やページを特定できる情報を通知する通知手段32を有する。
【0018】
ここで、答案用紙やテキスト等の原稿が読み込まれていない状況としては二種類考えられる。一つは答案用紙のように1ページの原稿が複数枚同時に読み込まれる状況において、一部の原稿が読み込まれない場合、もう一つは、テキストのように複数ページからなる原稿が同時に読み込まれる状況において、一部のページが読み込まれない場合である。本実施形態ではいずれか一方もしくは両方が発生した状況を想定している。
【0019】
自動集計すべき答案用紙の一覧を基にして、読み込まれていない答案用紙を特定する対象特定手段31は、例えば、自動両面原稿送り装置(DADF:Duplex Automatic Document Feeder)等による各1ページの答案用紙読み込み時に重送等により読み込まれていない答案用紙が発生してしまった際に、読み込まれた答案用紙から抽出認識した生徒の名前や出席番号等と、自動集計すべき答案用紙の一覧から抽出認識した生徒の名前や出席番号等とを比較照合して、読み込まれていない答案用紙を特定する。
【0020】
また、例えば、自動両面原稿送り装置(DADF)等による複数ページのテキスト読み込み時に重送等により読み込まれていないページが発生してしまった際に、読み込まれたページから抽出認識したページ番号と自動集計すべきページの一覧から抽出認識したページ数等を比較して読み込まれていないページを特定する、あるいは、事前に各ページの画像特徴データを登録しておき、実際に読み込まれたページの画像特徴データとを比較照合して読み込まれていないページを特定する等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0021】
対象特定手段31での特定結果を基にして、読み込まれていない答案用紙やページが存在すること通知する、あるいは読み込まれていない答案用紙やページを特定できる情報を通知する通知手段32は、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等による表示やライトや発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光体あるいはスピーカやブザー等による音声、電子メールによるコンピュータや携帯電話への通知等が考えられる。
【0022】
結果集計手段4は、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙やテキストに共通の所定集計結果、例えば、平均点等、あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果、例えば、各生徒の点数を算出するものである。
【0023】
画像データ出力手段5は、各答案用紙を特定した上で出力が指示された共通の所定集計結果あるいは各答案用紙やテキストに関連付けられた所定集計結果から生成された画像データを所定の形式で各答案用紙に上書きして出力するものである。そのため、画像データ出力手段5は、例えば、プリンタ装置とその制御手段によって実現される。すなわち、画像データ出力手段5からは、各答案用紙の点数欄や所定のページに点数や平均点が上書きされて出力される。
【0024】
加えて、画像データ出力手段5は、印刷を行った各答案用紙やページを特定する手段、自動集計されるべき答案用紙やページの一覧を基にして、所定集計結果が印刷されていない答案用紙やページを特定する手段、所定集計結果が印刷されていない答案用紙やページが存在することあるいは所定集計結果が印刷されていない答案用紙やページを特定できる情報を通知する手段、および自動集計されるべき答案用紙やページの一覧を示す文書を抽出し、所定集計結果を一覧文書の所定欄に印刷する手段を有する。
【0025】
印刷を行った各答案用紙やページを特定する手段は、例えば、印刷を行うと同時に各答案用紙面やページ紙面の一部もしくは全部を読み取って抽出認識手段により答案用紙やページを特定する等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0026】
自動集計されるべき答案用紙やページの一覧を基にして、所定集計結果が印刷されていない答案用紙を特定する手段は、例えば、印刷を行った各答案用紙やページを特定した結果を記録しておき、自動集計すべき答案用紙やページの一覧を比較して印刷されていない答案用紙やページを特定する方法等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0027】
所定集計結果が印刷されていない答案用紙やページが存在すること、あるいは所定集計結果が印刷されていない答案用紙やページを特定できる情報を通知する通知手段32は、例えば、液晶表示装置(LCD)等による表示やライトや発光ダイオード(LED:)等の発光体あるいはスピーカやブザー等による音声、電子メールによるコンピュータや携帯電話への通知等が考えられる。
【0028】
自動集計されるべき答案用紙やページの一覧を示す文書を抽出し所定集計結果を所定欄に印刷する手段は、結果集計手段により得られた、各答案用紙に共通の所定集計結果や各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を一覧表に上書きする。
【0029】
次に、具体的な処理手順について説明する。なお、以下に示す処理手順は、本実施形態の集計処理装置で実行される集計処理プログラムによって実現される。また、以下の説明で図示されない符号は図1を参照するものとする。
【0030】
(第1実施形態での第1の処理手順)
図5は、第1実施形態での第1の処理手順を説明するフローチャートである。この処理手順では、重送等により一部原稿が読み込めなかった場合の対応に特徴がある。
【0031】
先ず、集計処理装置は、ユーザの指示を受け付けて、処理対象入力手段1によって自動集計すべき答案用紙の一覧を取得する(ステップS11)。次いで、集計処理装置の画像データ入力手段2は、複数の答案用紙を読み込む(ステップS12)。なお、正常に読み込まれた答案用紙は自動もしくはユーザの手により画像データ出力手段5に運ばれる。
【0032】
次に、抽出認識手段3の対象特定手段31は、先のステップS11で取得した自動集計すべき答案用紙の一覧のデータを基にして、読み込まれていない答案用紙を特定する(ステップS13)。すなわち、事前に自動集計すべき答案用紙の一覧のデータを取得しているため、画像データ入力手段2で読み込んだ答案用紙の識別データと一覧に含まれるデータとを照合することで、読み込まれていない答案用紙を特定することができる。
【0033】
もし、読み込まれていない答案用紙があった場合、処理を止め、読み込まれていない答案用紙が存在すること、あるいは読み込まれていない答案用紙を特定できる情報を通知手段32によってユーザに通知し、もう一度答案用紙を画像データ入力手段2により読み込ませるよう促す。そして、ユーザが答案用紙を読み読ませるように準備した後、ユーザの指示を受け付けて処理を再開する(ステップS14)。
【0034】
ここで、答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで自動集計すべき答案用紙の一覧を取得していた場合、すべての答案用紙および一覧表を読み込み終えた際、一覧表のみを別トレーに排出しておき、画像データ出力手段では最後に印刷されるようにしておいてもよい。
【0035】
次いで、抽出認識手段3により、各答案用紙から読み込まれた画像データから答案用紙に記入された所定事項を抽出し認識する(ステップS15)。その後、結果集計手段4により、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙に共通の所定集計結果あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を算出する(ステップS16)。
【0036】
そして、画像データ出力手段5により、各答案用紙あるいは一覧表を特定した上で出力が指示された画像データを所定の形式で各々の答案用紙あるいは一覧表に上書きして出力する(ステップS17)。
【0037】
このような処理の流れによって、重送等があっても自動集計の対象となっている解答用紙を確実に読み込むことができ、必要な解答用紙に対する自動集計を行うことが可能となる。
【0038】
(第1実施形態での第2の処理手順)
図6は、第1実施形態での第2の処理手順を説明するフローチャートである。この処理手順では、重送等により一部原稿に対して上書き印刷できなかった場合の対応に特徴がある。
【0039】
先ず、集計処理装置は、ユーザの指示を受け付けて、処理対象入力手段1によって自動集計すべき答案用紙の一覧を取得する(ステップS21)。次いで、集計処理装置の画像データ入力手段2により複数の答案用紙を読み込む(ステップS22)。なお、正常に読み込まれた答案用紙は自動もしくはユーザの手により画像データ出力手段5に運ばれる。
【0040】
ここで、答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで自動集計すべき答案用紙の一覧を取得していた場合には、すべての答案用紙および一覧表を読み込み終えた際、一覧表のみを別トレーに排出しておき、画像データ出力手段5では最後に印刷されるようにする。
【0041】
次いで、抽出認識手段3により、各答案用紙から読み込まれた画像データから答案用紙に記入された所定事項を抽出し認識する(ステップS23)。その後、結果集計手段4により、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙に共通の所定集計結果あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を算出する(ステップS24)。
【0042】
そして、画像データ出力手段5により、各答案用紙あるいは一覧表を特定した上で出力が指示された画像データを所定の形式で各々の答案用紙あるいは一覧表に上書きして出力する(ステップS15)。
【0043】
次に、上書き印刷すべき答案用紙がなくなった時点で、所定集計結果が印刷されていない答案用紙を特定する手段により、上書き印刷されていない答案用紙が特定された場合、所定集計結果が印刷されていない答案用紙が存在することあるいは所定集計結果が印刷されていない答案用紙を特定できる情報を通知する手段により再度答案用紙を画像データ出力手段により印刷させるよう促す(ステップS26)。
【0044】
ユーザが答案用紙を印刷させるように準備した後、ユーザの指示を受け付けて、印刷処理を再開し、残りの答案用紙等に上書き印刷する(ステップS27)。
【0045】
そして、自動集計されるべき答案用紙の一覧を示す文書を抽出し所定集計結果を所定欄に印刷する手段により、各答案用紙に共通の所定集計結果や各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を一覧表に上書きする(ステップS28)。
【0046】
このような処理の流れによって、印刷時に重送等があっても自動集計の対象となっている解答用紙に確実に印刷することが可能となる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態に係る集計処理装置を説明する。図7は、第2実施形態に係る集計処理装置を説明するブロック図である。本実施形態における集計処理装置は、処理対象入力手段1、画像データ入力手段2、抽出認識手段3、結果集計手段4および画像データ出力手段5を備えている点で第1実施形態を同様であるが、抽出認識手段3の構成において相違している。
【0048】
処理対象入力手段1は、自動集計すべき答案用紙を特定できるデータを取得する手段である。例えば、集計処理装置に事前に登録するための端末、ネットワーク等を通じて取得するための通信手段およびサーバ手段あるいは答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで抽出し認識する一覧入力手段等によって実現される。また、一覧表のほか、自動集計の対象となる答案用紙の基本の画像データを予め入力してもよい。なお、以下では一覧表を用いる場合を例として説明する。
【0049】
ここで、一覧表そのものの抽出認識は、例えば、一覧表の画像データを登録しておき、取り込まれた画像データと照合し、一致するものを抽出したり(図2参照)、答案用紙や一覧表にフォームを特定する記号を印刷しておき、記号の種類によって一覧表を抽出する方法(図3参照)等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。また、一覧表に書かれている内容の抽出認識は、例えば、光学式文字読取装置(OCR)やバーコード読取装置を用いること等が考えられる。
【0050】
画像データ入力手段2は、各答案用紙から画像データを読み込んで入力するものである。入力画像データとしては、例えば、答案用紙からスキャンした画像データ、デジタルカメラで撮影した画像データなどがある。画像データ入力手段2は、例えば、フラットヘッドスキャナ、シートフィードスキャナあるいはハンディスキャナ等のスキャナ装置とその制御手段、磁気ディスクやメモリカード等のリード/ライト装置とその制御手段、内部バスやネットワーク等を介してデータの授受を行うデータ転送装置によって実現する。
【0051】
抽出認識手段3は、各答案用紙から読み込まれた画像データから答案用紙に記入された所定事項を抽出し認識するもので、例えば、生徒の名前や出席番号、問題やその解答等の文字や数字であれば光学式文字読取装置(OCR)によって認識したり、採点の結果記入された○×△等の記号であれば形状や大きさを基にして類似した形状を抽出あるいは特定色の図形を抽出して認識する方法(図4参照)等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0052】
加えて、第2実施形態に係る集計処理装置の抽出認識手段3は、読み込まれた画像データから答案用紙の科目や種類あるいは各答案用紙を特定する情報を認識する答案認識手段33、答案認識手段33による認識結果を基にして、自動集計すべき答案用紙か否かを判断する対象判断手段34および自動集計対象外の答案用紙が存在すること、あるいは自動集計対象外の答案用紙を特定できる情報を通知する通知手段35を有している。
【0053】
読み込まれた画像データから答案用紙の科目や種類あるいは各答案用紙を特定する情報を認識する答案認識手段33は、例えば、処理対象入力手段1における一覧表そのものの抽出認識方法と同様に、答案用紙の画像データを登録しておき、取り込まれた画像データと照合し、一致するものを抽出したり、答案用紙に科目や種類を特定する記号を印刷しておき、記号によって答案用紙を特定する等が考えられる。
【0054】
答案認識手段33での認識結果を基にして、自動集計すべき答案用紙か否かを判断する対象判断手段34は、処理対象入力手段1で取得した一覧表や登録された答案用紙の基本画像データ、または集計処理装置に事前に登録あるいはネットワーク等を通じて取得した生徒名簿と、読み込まれた答案用紙の科目や種類、答案用紙中の生徒の名前や出席番号、画像データの認識結果と比較照合して、自動集計すべき答案用紙か否かを判断する。
【0055】
自動集計対象外の答案用紙等が存在することあるいは自動集計対象外の答案用紙等を特定できる情報を通知する通知手段35は、例えば、液晶表示装置(LCD)等による表示やライトや発光ダイオード(LED)等の発光体あるいはスピーカやブザー等による音声、電子メールによるコンピュータや携帯電話への通知等が考えられる。
【0056】
結果集計手段4は、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙に共通の所定集計結果、例えば、平均点等、あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果、例えば、各生徒の点数を算出するものである。
【0057】
画像データ出力手段5は、各答案用紙を特定した上で出力が指示された共通の所定集計結果あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果から生成された画像データを所定の形式で各答案用紙に上書きして出力するものである。そのため、画像データ出力手段5は、例えば、プリンタ装置とその制御手段によって実現される。すなわち、画像データ出力手段5からは、各答案用紙の点数欄に点数や平均点が上書きされて出力される。
【0058】
加えて、画像データ出力手段5は、印刷を行おうとしている各答案用紙を特定する手段を有する。印刷を行おうとしている各答案用紙を特定する手段は、例えば、印刷を行う前に各答案用紙面の一部もしくは全部を読み取って抽出認識手段により答案用紙を特定する等が考えられるが、具体的な方法は上記に限らない。
【0059】
次に、具体的な処理手順について説明する。なお、以下に示す処理手順は、本実施形態の集計処理装置で実行される集計処理プログラムによって実現される。また、以下の説明で図示されない符号は図7を参照するものとする。
【0060】
(第2実施形態での第1の処理手順)
図8は、第2実施形態での第1の処理手順を説明するフローチャートである。この処理手順では、混入した答案用紙等をユーザが除去する場合の対応に特徴がある。
【0061】
先ず、集計処理装置は、ユーザの指示を受け付けて、処理対象入力手段1によって自動集計すべき答案用紙の一覧を取得する(ステップS31)。次いで、集計処理装置の画像データ入力手段2は、複数の答案用紙を読み込む(ステップS32)。なお、正常に読み込まれた答案用紙は自動もしくはユーザの手により画像データ出力手段5に運ばれる。
【0062】
ここで、答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで自動集計すべき答案用紙の一覧を取得していた場合には、すべての答案用紙および一覧表を読み込み終えた際、一覧表のみを別トレーに排出しておき、画像データ出力手段5では最後に印刷されるようにする。
【0063】
次いで、抽出認識手段3により、各答案用紙から読み込まれた画像データから答案用紙に記入された所定事項を抽出し認識する(ステップS33)。もし、自動集計対象外の答案用紙等があった場合、一旦処理を止め、自動集計対象外の答案用紙等が存在することあるいは自動集計対象外の答案用紙等を特定できる情報を通知する通知手段35によってユーザに通知して、不要な解答用紙等を取り除いた上でもう一度答案用紙を画像データ入力手段2により読み込ませるよう促す(ステップS34)。
【0064】
ユーザが答案用紙を読み読ませるように準備した後、ユーザの指示を受け付けて処理を再開し、残りの答案用紙を読み込む(ステップS35)。その後、結果集計手段4により、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙に共通の所定集計結果あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を算出する(ステップS36)。
【0065】
そして、画像データ出力手段5により、各答案用紙あるいは一覧表を特定した上で出力が指示された画像データを所定の形式で各答案用紙あるいは一覧表に上書きして出力する(ステップS37)。
【0066】
このような処理の流れによって、自動集計対象外の用紙が混在していても、簡単な構成によって自動集計対象の答案用紙だけ集計して結果を得ることが可能となる。
【0067】
(第1実施形態での第2の処理手順)
図9は、第2実施形態での第2の処理手順を説明するフローチャートである。この処理手順では、混入した答案用紙等からの情報を集計に含めない場合の対応に特徴がある。
【0068】
先ず、集計処理装置は、ユーザの指示を受け付けて、処理対象入力手段によって自動集計すべき答案用紙の一覧を取得する(ステップS41)。次いで、集計処理装置の画像データ入力手段2により複数の答案用紙を読み込む(ステップS42)。なお、正常に読み込まれた答案用紙は自動もしくはユーザの手により画像データ出力手段5に運ばれる。
【0069】
ここで、答案用紙とは別の用紙に記載された一覧表を読み込んで自動集計すべき答案用紙の一覧を取得していた場合には、すべての答案用紙および一覧表を読み込み終えた際、一覧表のみを別トレーに排出しておき、画像データ出力手段5では最後に印刷されるようにする。
【0070】
次いで、抽出認識手段3により、各答案用紙から読み込まれた画像データから答案用紙に記入された所定事項を抽出し認識する(ステップS43)。その後、結果集計手段4により、各画像データから抽出認識された所定事項を基にして各答案用紙に共通の所定集計結果あるいは各答案用紙に関連付けられた所定集計結果を算出する(ステップS44)。
【0071】
この際、結果集計手段4は、対象判断手段34で得た自動集計されるべき答案用紙か否かの判断結果を基にして、自動集計対象外の答案用紙から抽出し認識した所定事項を集計の対象から外す。これにより、自動集計の対象となっている答案用紙のみ所定事項の集計が行われる。
【0072】
そして、画像データ出力手段5により、各答案用紙あるいは一覧表を特定した上で出力が指示された画像データを所定の形式で各答案用紙あるいは一覧表に上書きして出力する(ステップS45)。この際、画像データ出力手段は、対象判断手段34での判断結果を基にして、自動集計対象外の答案用紙への追記は行わない。また、画像データ出力手段5は、対象判断手段34での判断結果を基にして、自動集計対象外の答案用紙を別トレーに排出してもよい。
【0073】
このような処理の流れによって、自動集計対象外の用紙が混在していても、自動集計対象の答案用紙だけに所定集計結果を上書き印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態に係る集計処理装置を説明するブロック図である。
【図2】一覧表の抽出認識方法の例(その1)を示す模式図である。
【図3】一覧表の抽出認識方法の例(その2)を示す模式図である。
【図4】抽出認識手段による抽出、認識方法の例を示す模式図である。
【図5】第1実施形態での第1の処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】第1実施形態での第2の処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る集計処理装置を説明するブロック図である。
【図8】第2実施形態での第1の処理手順を説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態での第2の処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1…処理対象入力手段、2…画像データ入力手段、3…抽出認識手段、4…結果集計手段、5…画像データ出力手段、31…対象特定手段、32…通知手段、33…答案認識手段、34…対象判断手段、35…通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動集計すべき文書を特定できるデータを取得する処理対象入力手段と、
所定事項が記入された文書の画像データを順次読み込む画像データ入力手段と、
前記画像データ入力手段で読み込んだ各文書の画像データから前記所定事項を抽出し認識する抽出認識手段と、
前記抽出認識手段で認識した前記所定事項から各文書に共通の所定集計結果あるいは各文書に関連付けられた所定集計結果を算出する結果集計手段と、
前記結果集計手段によって算出した集計結果と各文書とを特定し、特定した各文書に対応する所定集計結果をその各文書の所定欄に順次印刷する画像データ出力手段とを備える集計処理装置において、
前記抽出認識手段は、前記処理対象入力手段で取得した自動集計すべき文書を特定できるデータを抽出して認識し、その認識したデータと前記画像データ入力手段で入力した各文書の画像データとの照合を行う
ことを特徴とする集計処理装置。
【請求項2】
前記自動集計すべき文書を特定できるデータは、前記画像データ入力手段から入力可能であり、文書の一覧を示す一覧文書から成る
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項3】
前記抽出認識手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータを基にして、前記画像データ入力手段で読み込まれていない文書を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項4】
前記抽出認識手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータを基にして、前記画像データ入力手段で読み込まれていない文書があることを認識した場合、その旨を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項5】
前記画像データ出力手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータを基にして、前記所定集計結果が印刷されていない文書を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項6】
前記画像データ出力手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータを基にして、前記所定集計結果が印刷されていない文書が存在すること、あるいは前記所定集計結果が印刷されていない文書を特定できる情報を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項7】
前記画像データ出力手段は、前記所定集計結果を印刷した文書を特定する手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項8】
前記画像データ出力手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータが文書の一覧を示す一覧文書として読み込まれている場合、その一覧文書の所定欄に前記所定集計結果を印刷する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項9】
前記抽出認識手段は、前記画像データ入力手段で読み込まれた画像データから文書のフォームあるいは各文書を特定する情報を認識し、その認識結果を基にして、前記結果集計手段で自動集計すべき文書か否かを判断する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項10】
前記抽出認識手段は、前記自動集計すべき文書を特定できるデータを基にして、自動集計対象外の文書が存在すること、あるいは自動集計対象外の文書を特定できる情報を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の集計処理装置。
【請求項11】
自動集計すべき文書を特定できるデータを取得する取得ステップと、
所定事項が記入された各文書の画像データを順次読み込む入力ステップと、
前記入力ステップで読み込んだ前記各文書の画像データから前記所定事項を抽出し認識する抽出ステップと、
前記抽出ステップで認識した前記所定事項から各文書に共通の所定集計結果あるいは各文書に関連付けられた所定集計結果を算出する結果集計ステップと、
前記結果集計ステップによって算出した集計結果と各文書とを特定し、特定した各文書に対応する所定集計結果をその各文書の所定欄に順次印刷する出力ステップとを集計処理装置で実行する集計処理プログラムにおいて、
前記抽出ステップでは、前記取得ステップで取得した自動集計すべき文書を特定できるデータを抽出して認識し、その認識したデータと前記入力ステップで入力した各文書の画像データとの照合を行う
ことを特徴とする集計処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−18215(P2007−18215A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198465(P2005−198465)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】