説明

離型剤噴射用ポンプおよびそれを用いた離型剤噴射システム

【課題】成形面を覆うことなく、水溶性離型剤の飛散に起因して作業環境が悪化するのを回避できる離型剤噴射用ポンプを提供する。
【解決手段】離型剤噴射用ポンプ10を、円柱状凹所26を有するベース14と、円柱状凹所26において弧状に嵌め込まれる弾性材製のチューブ12と、当該チューブ12の内側に配設され、その外縁に設けられた押圧部42にてチューブ12の一部を押圧閉塞しつつ回転可能に配設されている回転体16と、所定の分解能で回転角度制御が可能で、中心軸CLを中心として回転体16を回転させるモータ18とで構成することにより、上記課題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形等に用いられる金型の成形面に離型剤を噴射するためのポンプおよびそれを用いた離型剤噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、それぞれに成形面が形成された移動金型と固定金型との型締めによって形成されたキャビティ内に、樹脂成形の場合は加熱溶融混練された樹脂、ダイカスト鋳造の場合はアルミニウムや亜鉛、マグネシウムのような軽金属等の溶湯を圧入した後、型締めを行い、溶湯が冷えて固まってから型開きを行うことにより、当該キャビティの形状と同一の射出成形品を取り出すようになっている。以下、ダイカストの場合を中心に記載する。
【0003】
キャビティに射出される溶湯は高温(例えばアルミニウム溶湯の場合は700〜800℃程度になる)であることから、射出した溶湯が金型の成形面に直に接触すると、溶湯が当該接触面に焼き付いてしまい、型開き後にダイカスト品を取り出すことができなくなる。このため、移動金型と固定金型とを型閉する前段階で、両金型の成形面に離型剤を塗布あるいは噴射することによって当該離型剤で成形面を覆うことで、溶湯が成形面に焼き付くのを回避して、ダイカスト品を容易に取り出せるようにすることが一般に行われている。
【0004】
ここで、離型剤には、大きく分けて油性離型剤と水溶性離型剤とがある。油性離型剤は、水溶性離型剤と比較して、ダイカスト品の離型性が良好である反面、コストが高く、かつ、300〜400℃程度に予熱された金型に接触したときに生じる油煙を原因とする発火や悪臭の問題がある。このため、水溶性離型剤を使用する頻度の方が高くなっている。
【0005】
しかし、水溶性離型剤にも問題があった。すなわち、離型剤噴射ノズルは、離型後で400℃程度の高温状態を保つ金型成形面に近接して、直接、水溶性離型剤を噴射して塗着することになるが、離型剤噴射ノズルは、当該金型成形面からの熱によって加熱されるため、稼動中は兎も角、作業終了後、離型剤噴射ノズル内における離型剤供給管の先端部に水溶性離型剤が残留していると、当該離型剤から水分が蒸発して固化し、ノズル詰まりが生じて次の作業が滞ってしまうという問題があった。そこで、水溶性離型剤の原液を50倍程度に薄めた噴射液を金型の成形面に対して大量に噴射することで水溶性離型剤の十分な成形面への塗着を担保していた。
【0006】
しかしながら、このような薄い水溶性離型剤の大量噴射は、噴射液が金型の周囲に大量に飛び散ってしまい、作業環境を悪化させる原因となるばかりか、高価な水溶性離型剤の無駄も生じており、噴射流量の調整が出来るとしても単なるバルブの開度調整のみであり細やかな流量調節ができなかった。
【0007】
このような水溶性離型剤の問題に対して、現実に取られている策は環境対策位なものであり、例えば、特許文献1では、噴射液を吹き付ける成形面を略箱状のカバーで覆い、当該カバーの内側で余剰の噴射液を回収することによって作業環境の悪化を回避するようにしている程度のものでしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−33920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の対応策は根本的な解決ではなく、加えて、水溶性離型剤の噴射の際に成形面にカバーを着脱しなければならないといった手間が増加するという問題が生じてしまう。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それ故に本発明の主たる課題は、水溶性離型剤の原液の微量噴射制御を可能にすることにより、水溶性離型剤の無駄をなくすと同時に、金型の成形面を覆うことなく、水溶性離型剤の飛散に起因して作業環境が悪化するのを回避できる離型剤噴射用ポンプおよびそれを用いた離型剤噴射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載した発明は、
「内部に形成された円柱状凹所26、および前記円柱状凹所26の内周面26aから外部に連通する一対の連通路28を有するベース14と、
液状の離型剤Lが通流する離型剤通流路22が内部に形成され、前記円柱状凹所26の前記内周面26aに沿って配設され、その両端部分が前記連通路28を通って外部に導出されている弾性材製のチューブ12と、
前記チューブ12の内側に配設され、その外縁に設けられた押圧部42にて前記チューブ12の一部を押圧閉塞しつつ回転可能に配設されている回転体16と、
前記円柱状凹所26の中心軸CLに一致してその回転軸18aが設けられているとともに、前記回転体16を所定の分解能で回転角度制御しつつ回転させるモータ18とを備えていることを特徴とする離型剤噴射用ポンプ10」である。
【0012】
この発明によれば、ベース14の中央部に形成された円柱状凹所26の内周面26aに沿って弧状にチューブ12が嵌め込まれており、当該チューブ12の内側に嵌め込まれた回転体16の外周に有る押圧部42が当該チューブ12の一部を押圧閉塞する(押し潰して閉塞する)。モータ18が回転体16を回転させて、当該押圧部42によるチューブ12の押圧閉塞位置が当該回転方向に応じて連続的に内周面26aに沿って移動していくことにより、離型剤通流路22内における液状の離型剤Lを回転体16の回転方向に順次押し出してチューブ12から吐出することができる。
【0013】
とりわけ、本発明の離型剤噴射用ポンプ10のモータ18は、所定の分解能(ステップ数)で回転角度制御が可能となっていることから、モータ18を回転させるステップ数を制御することにより、所定の微小量の離型剤Lを正確に供給することができる。
【0014】
加えて、1ステップで供給できる離型剤Lの量が決まっているので、モータ18のステップ数を把握することにより、離型剤Lの微小な供給量を正確に計測することが可能となる。
【0015】
なお、本発明に係る離型剤噴射用ポンプ10は、チューブ12を構成する弾性材の材質を適切に選択することにより、水溶性離型剤供給用として使用することもできるし、油性離型剤供給用として使用することもできる。
【0016】
請求項2に記載した発明は、請求項1の離型剤噴射用ポンプ10に関し、「前記回転体16は、前記チューブ12を押圧する円筒状の押圧外輪32と、前記押圧外輪32内に同心円状に嵌め込まれた円柱状のローター34とで構成されており、かつ、前記モータ18の前記回転軸18aに対して偏心されている」ことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、回転体16がモータ18の回転軸18aに対して偏心しているので、ローター34が同心円状に嵌め込まれた押圧外輪32の外周面における、モータ18の回転軸18aから最も離れた部分とその近傍がチューブを押圧閉塞させる押圧部42となる。
【0018】
ローター34が偏心回転すると、当該ローター34の外周で自由回転する押圧外輪32は、当該偏心回転により、その押圧部42がチューブ12上を「転がる」ようにその押圧閉塞位置を変えつつ移動することになる。
【0019】
このように、押圧外輪32がチューブ12上を「転がる」ようにして、押圧部42によるチューブ12の押圧閉塞位置を移動させていくので、回転体16の押圧部42がチューブ12の表面を「擦るようにしごいて」移動する場合に比べて、チューブ12表面の摩耗の程度を格段に小さくすることができ、その結果、摩耗によるチューブ12の交換頻度を格段に少なくすることができる。
【0020】
さらに言えば、本発明では、偏心回転するローター34が押圧外輪32の内周に嵌め込まれるようになっていることから、押圧外輪32の径を大きくして、チューブ12が描く弧の径に近づけることができる。これにより、ローター34が1回転したときにおける押圧外輪32の回転数をゼロに近づけ、ローター34が1回転したときに何回転もする「径の小さな押圧外輪32」を用いる場合に比べて、押圧外輪32の角速度を小さくして「押し潰しによるチューブ12の閉塞」をより安定して行うことができ、微少量の離型剤Lの供給をより正確に行うことができるようになる。
【0021】
請求項3は離型剤噴射システム60に関する発明であり、
「請求項1または2に記載の離型剤噴射用ポンプ10と、
離型剤Lを貯留する離型剤タンク62と、
金型80の成形面82に向けて設けられる離型剤噴射ノズル64と、
前記離型剤タンク62から前記離型剤噴射用ポンプ10に離型剤Lを供給するための離型剤供給管66と、
前記離型剤噴射用ポンプ10から供給された離型剤Lを前記離型剤噴射ノズル64に吐出する離型剤吐出管68と、
洗浄用の空気A、洗浄液、空気Aと洗浄液との混合物、あるいは洗浄液の後に空気Aを前記離型剤供給管66に供給する洗浄用配管70と、
前記離型剤供給管66および前記洗浄用配管70の接合位置に設けられ、前記離型剤タンク62および前記離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態、または前記洗浄用配管70および前記離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態に切り替える洗浄用三方弁74と、
前記離型剤噴射用ポンプ10の前記モータ18、および前記洗浄用三方弁74を制御する制御装置78とを備えており、
前記制御装置78は、離型剤Lの洗浄工程において、前記モータ18を回転させて前記押圧部42が前記チューブ12を押圧閉塞しない位置に移動させ、前記洗浄用三方弁74を前記洗浄用配管70および前記離型剤噴射用ポンプ10の接続状態に設定し、然る後、前記洗浄用配管70に空気A、洗浄液、空気Aと洗浄液との混合物、あるいは洗浄液の後に空気Aを供給する」ことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、制御装置78を用いて、回転体16の押圧部42がチューブ12を押圧閉塞しない位置(図2における「Z」の範囲)に移動するまでモータ18を回転させてチューブ12のいずれにも押圧閉塞が存在しない状態とし、然る後、洗浄用三方弁74を切り替えて、洗浄用の空気A、洗浄液、空気Aと洗浄液との混合物、あるいは洗浄液の後に空気Aを洗浄用配管70に供給することにより、当該洗浄用の空気Aや洗浄液は、チューブ12内を介して離型剤吐出管68まで一気に通流する。
【0023】
これにより、離型剤噴射用ポンプ10の内部(つまり、チューブ12の内部)および離型剤吐出管68から離型剤Lを完全に除去することができるので、稼動を終了して離型剤Lの噴射作業を長時間停止する場合等において離型剤吐出管68の先端等に離型剤Lが固着してしまい、次の離型剤Lの噴射ができなくなるといった問題を回避することができ、当該固着が生じやすい水溶性離型剤の原液であっても安心して使用することができる。
【0024】
請求項4に記載した発明は、請求項3の離型剤噴射システム60に関し、
「前記離型剤吐出管68内の離型剤Lを前記離型剤タンク62に戻すためのリターン配管72と、
前記離型剤吐出管68および前記リターン配管72の接合位置に設けられ、前記リターン配管72および前記離型剤吐出管68が接続された状態、または前記離型剤吐出管68が前記離型剤噴射用ポンプ10から前記離型剤噴射ノズル64まで接続された状態に切り替えるリターン用三方弁76とをさらに備えており、
離型剤Lの噴射が終了した後、次回の噴射開始準備として、前記制御装置78は、前記リターン用三方弁76を離型剤タンク62および離型剤吐出管68が接続された状態に設定し、然る後、前記モータ18を順方向に回転させて、前記押圧部42が前記チューブ12を押圧閉塞しない角度を通過して再び前記チューブ12の押圧閉塞を開始する離型剤供給原点Xに前記回転体16を設定した後、前記リターン用三方弁76を再び前記離型剤吐出管68が前記離型剤噴射用ポンプ10から前記離型剤噴射ノズル64まで接続された状態に戻す」ことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、離型剤Lの噴射が終了した後、リターン用三方弁76を離型剤タンク62および離型剤吐出管68の接続状態に設定し、然る後、モータ18を順方向に回転させて回転体16を離型剤供給原点X(=押圧部42がチューブ12を押圧閉塞しない角度を通過して再び当該チューブ12の押圧閉塞を開始する位置。図2参照)に設定するようになっている。
【0026】
仮に、離型剤Lの噴射終了後、離型剤供給原点Xに戻すことなくそのまま次回の離型剤噴射を行った場合、離型剤Lの噴射中に回転体16の押圧部42がチューブ12を押圧閉塞しない位置に入ってしまい、離型剤Lの供給が滞ってしまうおそれがあるが、本発明によれば、離型剤Lの噴射開始時には、回転体16が離型剤供給原点Xに設定されているので、毎回、離型剤噴射用ポンプ10が供給することのできる最大量の離型剤Lを連続して吐出することが可能となり、上述のように、離型剤Lの供給が滞ってしまうおそれを極小化することができる。
【0027】
加えて、回転体16を離型剤供給原点Xに移動させる際には、チューブ12内の下流側にある離型剤Lが離型剤噴射用ポンプ10から吐出されてしまうが、予めリターン用三方弁76を切り替えて「離型剤タンク62および離型剤吐出管68を接続した状態」に設定することにより、回転体16を離型剤供給原点Xに移動させる際に離型剤噴射用ポンプ10から吐出される離型剤Lは、離型剤噴射ノズル64に送られることなく、リターン配管72を介して離型剤タンク62に戻される。これにより、離型剤Lが離型剤吐出管68の先端から不所望に吐出されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の離型剤噴射用ポンプによれば、微小量の離型剤を計量しつつ正確に吐出することができるので、金型の成形面の形状に合わせた正確なスプレー塗布を高い再現性をもって実行することが出来、作業終了時には離型剤を回収するようにしているので、離型剤の無駄を排除することが出来、かつ、管路の洗浄を行うことができるので、カバーを取り付けることなく、離型剤が金型の周囲に飛散して作業環境が悪化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の離型剤噴射用ポンプを示す分解斜視図である。
【図2】蓋を外した状態における本発明の離型剤噴射用ポンプを示す正面図である。
【図3】他の実施例(蓋を外した状態)を示す正面図である。
【図4】本発明の離型剤噴射システムを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明が適用された実施例について、図面を用いて詳細に説明する。本発明が適用された離型剤噴射用ポンプ10は、液状の離型剤Lを吐出するためのポンプであり、図1および図2に示すように、大略、チューブ12と、ベース14と、回転体16と、モータ18と、蓋20と、マイクロスイッチ50とで構成されている。
【0031】
チューブ12は、離型剤Lが通流する離型剤通流路22をその内部に有しており、シリコンゴム等の弾性を有する材料で形成された管である。本実施例では、チューブ12の両端に、後述する離型剤供給管66や離型剤吐出管68との着脱を容易に行うことのできるカプラー24が取り付けられている。
【0032】
ベース14は、金属等の硬質材料で形成されたブロックであり、その中央部には中心軸CLを中心とする円柱状凹所26が形成されているとともに、当該円柱状凹所26とベース14の上面14aとを連通する一対の連通路28となる連通溝28aが形成されている。上述したチューブ12は、当該ベース14の外部から一方の連通路28を通って円柱状凹所26に入り、当該円柱状凹所26の内周面26aに沿って弧状に延びた後、他方の連通路28を通って再び外部で出るようにして嵌め込まれている。
【0033】
また、ベース14における円柱状凹所26の底の中心(中心軸CLと底面とが交わる点)には、当該モータ18の回転軸18a(回転体16の回転芯CLと同軸)を中心とする挿通孔30が形成されており(つまり、円柱状凹所26の中心軸CLと回転体16の回転芯CLとは互いに一致する。)、当該挿通孔30には、後述する回転体16におけるローター34の接続軸38(回転体16の回転芯CLと同軸)が挿通されるようになっている。
【0034】
回転体16は円板状の部材で、押圧外輪32とローター34とを同心円状に組み合わせて構成されている。押圧外輪32は、金属等の硬質材料で形成された円筒状体であり、円柱状凹所26の内周面26aに沿って弧状に嵌め込まれたチューブ12の内側に配設され、押圧外輪32とローター34との間には複数の転動コロ(図示せず)が配置されラジアルベアリング様となっている。
【0035】
ローター34は、押圧外輪32の内側に回転自在に嵌め込まれた円柱状のローター本体36と、当該ローター本体36の天面および底面から突設され、モータ18の回転軸18aと同軸に形成された接続軸38およびスイッチ作動軸40とで構成されており、これら接続軸38およびスイッチ作動軸40は円柱状に形成され、接続軸38はモータ18の回転軸18aに接続されている。また、接続軸38およびスイッチ作動軸40は、ローター本体36の中心Pから偏心している。
【0036】
押圧外輪32内には上述のようにベース14に取り付けられたモータ18の回転軸18aから偏心したローター本体36が嵌め込まれていることから、押圧外輪32自身も回転芯CLからチューブ12の押圧量だけ偏心することとなり、当該押圧外輪32の外周面における当該回転芯CLから最も離れた部分とその近傍が、押圧外輪32の外周に位置するチューブ12を押圧閉塞させる(押し潰す)押圧部42となる。
【0037】
なお、回転体16は、上述の実施例のような態様に限られるものではなく、例えば、図3(a)に示すように、押圧用の先端部分が丸く形成された棒状で、その平断面が矩形状の部材であってもよい。この場合、回転体16の一方端部にモータ18の回転軸18aと一致する回転中心44を設けることとなり、他方端がチューブ12を押圧閉塞させる押圧部42となる。また、図3(b)に示すように、回転体16の他方端部において、回転体16に対して回転可能に軸着された押圧外輪46を設けるようにしてもよい。
【0038】
モータ18(図1)は、挿通孔30を通ってベース14の背面に現れたローター本体36の接続軸38を介して、回転芯CLを中心として回転体16を回転させるための装置であり、所定の分解能(例えば、50ステップ)で回転角度制御が可能なステッピングモータ(もちろん、所定の分解能で回転角度制御が可能であれば、他の形式のモータを使用することができる。)が使用されている。
【0039】
蓋20は、ベース14の円柱状凹所26や連通溝28aにチューブ12や回転体16を収容した状態で当該円柱状凹所26および連通溝28aに被せる、金属等の硬質材料製の板材であり、ベース14に対して図示しないボルト等で固定される。ここで、ベース14に蓋20を取り付けた状態で、連通溝28aと蓋20とに囲まれた部分が連通路28となる。
【0040】
また、蓋20の中央部における、ローター本体36から延びるスイッチ作動軸40に一致する位置には、当該スイッチ作動軸40を挿通するためのスイッチ作動軸挿通孔48が形成されている。したがって、ローター34は、接続軸38がベース14に支持され、かつ、スイッチ作動軸40が蓋20に支持されることにより、接続軸38およびスイッチ作動軸40の回転芯CL(すなわち、モータ18の回転軸18a)を中心として正確に回転する。
【0041】
マイクロスイッチ50は、蓋20の表面に固定されたスイッチであり、回転体16が後述する「離型剤供給原点X」に来たときに、ローター34のスイッチ作動軸40の先端に設けられた接触子52が接触するように位置決めされている。もちろん、これに限らず、近接センサを使用する等、他の手段を使用することもできる。
【0042】
本実施例の離型剤噴射用ポンプ10を組み立てる手順について簡単に説明すると、最初に、ベース14の円柱状凹所26および連通路28にチューブ12を嵌め込み、然る後、回転体16をチューブ12の内側に挿入していき、ローター34の接続軸38をベース14の挿通孔30に挿通する。このとき、押圧外輪32の外周面がチューブ12を噛み込まないようにするために、押圧外輪32の外周面の押圧部42が後述する「チューブ不閉塞角度範囲Z」の内側で一対の連通路28の間のセパレート用凸部14b(この部分の内周面は円柱状凹所26の内周面26aの円上に位置し、かつ、チューブ12に接触しない位置である。)に向けてチューブ12に接触しないように挿入される。最後に、ローター34のスイッチ作動軸40を、蓋20のスイッチ作動軸挿通孔48に挿通するようにして、ベース14の表面に固定することにより、離型剤噴射用ポンプ10の組み立てが完了する。
【0043】
本実施例の離型剤噴射用ポンプ10によれば、ベース14の中央部に形成された円柱状凹所26の内周面26aに沿って弧状にチューブ12が嵌め込まれており、当該チューブ12の内側に嵌め込まれた回転体16における押圧外輪32の外周面における、回転芯CLから最も離れた部分とその近傍が当該チューブの一部を押圧閉塞する(押し潰す)押圧部42となっている。
【0044】
ところで、上述のようにチューブ12が円柱状凹所26の内周面26aに沿って弧状に嵌め込まれていることから、図2に示すように、押圧外輪32の押圧部42とチューブ12とが接触しない、あるいは接触したとしてもチューブ12を十分に押圧閉塞することができないことから離型剤Lを押し出すことができない回転体16の角度範囲が存在する。このように、回転体16が「チューブ12を押圧閉塞しない位置」を本明細書では「チューブ不閉塞角度範囲Z」という。また、回転体16が図中反時計回りするのを順方向とした場合、当該「チューブ不閉塞角度範囲Z」にあった回転体16の押圧部42が最初にチューブ12を押圧閉塞する位置を「離型剤供給原点X」といい、その後、回転体16が順方向に回転していき、押圧部42がチューブ12から離れて押圧閉塞しなくなる直前の位置を「離型剤供給終点Y」という。
【0045】
モータ18が指令を受けた角度だけ回転体16を離型剤供給原点Xから回転させ、この回転とともに、チューブ12上を移動する押圧外輪32の押圧部42によって、チューブ12の押圧閉塞位置が当該回転方向に応じて連続的に円弧状に沿って移動していくことになり、離型剤通流路22内における液状の離型剤Lを前記指令角度に対応する量だけ回転体16の回転方向に順次押し出して吐出することができる。
【0046】
とりわけ、この離型剤噴射用ポンプ10のモータ18は、上述のように所定の分解能(ステップ数)で回転角度制御が可能となっており、例えば、分解能を50(つまり、50ステップで1回転。1ステップ=7.2°)に設定した場合、1ステップで押圧部42の位置を7.2°進めることができ、この1ステップで供給できる離型剤Lの量は、「離型剤通流路の断面積」×「7.2°分の弧の長さ」で求めることができる。したがって、分解能を大きくしたり、チューブ12の内径を細くしたり、円柱状凹所26とこれに対応する回転体16の径を小さくすることにより、1ステップで供給できる離型剤Lの量を微少量(例えば、0.03cc)に設定することができる。そして、モータ18を回転させるステップ数を制御することで、所定の微小量の離型剤Lを正確かつ再現性を以って吐出することができる。このように1ステップで吐出できる離型剤Lの量が決まっているので、モータ18のステップ数を把握することにより、離型剤Lの微小な吐出量を正確に計測することが可能となる。
【0047】
また、ローター本体36が回転芯CLを中心として偏心回転すると、当該ローター本体36の外周で自由回転する押圧外輪32は、当該偏心回転により、押圧外輪32の外周面における押圧部42は、チューブ12上を「転がる」ようにその押圧閉塞位置を変えつつ移動することになる。
【0048】
このように、押圧外輪32がチューブ12上を「転がる」ようにして、押圧部42によるチューブ12の押圧閉塞位置を移動させていくので、回転体16の押圧部42がチューブ12の表面を「擦るようにしごいて」移動する場合(例えば図3(a)に示したような場合)に比べて、チューブ12表面の摩耗の程度を格段に小さくすることができ、その結果、摩耗によるチューブ12の交換頻度を格段に少なくすることができる。
【0049】
さらに、偏心回転するローター34が押圧外輪32の内周に嵌め込まれるようになっていることから、押圧外輪32の径を大きくして、チューブ12が描く弧の径に近づけることができる。これにより、ローター34が1回転したときにおける押圧外輪32の回転数をゼロに近づけ、押圧外輪32の径が小さくローター34が1回転したときに押圧外輪32が何回転もする場合(図3(b))に比べて、押圧外輪32の角速度を小さくして「押し潰しによるチューブ12の閉塞」をより安定して行うことができ、微少量の離型剤Lの吐出をより正確に行うことができるようになる。
【0050】
なお、離型剤噴射用ポンプ10は、チューブ12を構成する弾性材の材質を適切に選択することにより、水溶性離型剤供給用として使用することもできるし、油性離型剤供給用として使用することもできる。
【0051】
次に、上述した離型剤噴射用ポンプ10を用いた離型剤噴射システム60について、図4を用いて説明する。
【0052】
離型剤噴射システム60は、大略、離型剤噴射用ポンプ10と、離型剤タンク62と、離型剤噴射ノズル64と、離型剤供給管66と、離型剤吐出管68と、洗浄用配管70と、リターン配管72と、洗浄用三方弁74と、リターン用三方弁76と、制御装置78とで構成されている。
【0053】
離型剤タンク62は、内部に離型剤Lを貯留するための空間を有する容器であり、離型剤Lに冒されないものであればどのような材質であってもよいが、貯留されている離型剤Lの残量を確認するため、内部の液面が透けて見えるような材質が好適である(そうでない場合は、残量確認窓を設けるとよい。)。
【0054】
離型剤噴射ノズル64は、その先端が金型80の成形面82に向けて設けられるステンレス等で形成された管であり、コンプレッサー84から送給された圧縮空気CA(例えば、0.2MPa程度)が圧縮空気配管86を介して、当該離型剤噴射ノズル64に導入される。
【0055】
離型剤供給管66は、一端が離型剤タンク62に接続されているとともに、他端が離型剤噴射用ポンプ10におけるチューブ12の一端に設けられたカプラー24に接続されており、離型剤タンク62から離型剤噴射用ポンプ10に離型剤Lを供給する、ステンレス製の管である。なお、離型剤供給管66の材質は、離型剤Lや後述する配管内部の洗浄液等で冒されないものであればどのような材質でもよい。このことは、本明細書で説明する他の配管すべてにおいて同じである。
【0056】
離型剤吐出管68は、一端が離型剤噴射用ポンプ10におけるチューブ12の他端に設けられたカプラー24に接続されているとともに、他端が離型剤噴射ノズル64内の先端近傍に配設されており、離型剤噴射用ポンプ10から供給された離型剤Lを離型剤噴射ノズル64に吐出するための管である。
【0057】
洗浄用配管70は、一端が離型剤供給管66に接続されているとともに、他端が図示しない空気源に接続されており、洗浄用の空気Aを離型剤供給管66に供給するための管である。洗浄用配管70には、必要に応じて洗浄用の空気Aの供給をオン/オフするためのバルブ88(電磁弁)が取り付けられている。なお、洗浄用の空気Aに代えて、洗浄液を洗浄用配管70に供給してもよいし、洗浄用の空気Aと洗浄液との混合体を洗浄用配管70に供給してもよい。
【0058】
リターン配管72は、一端が離型剤吐出管68に接続されているとともに、他端が離型剤タンク62の天面(あるいは、離型剤タンク62の側面における、離型剤Lの液面よりも高い位置)に接続されており、離型剤吐出管68内の離型剤Lを離型剤タンク62内に戻すための管である。
【0059】
洗浄用三方弁74は、離型剤供給管66および洗浄用配管70の接合位置に設けられ、接続状態を「離型剤タンク62および離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態」、または「洗浄用配管70および離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態」に切り替えるための電磁弁である。
【0060】
リターン用三方弁76は、離型剤吐出管68およびリターン配管72の接合位置に設けられ、接続状態を「リターン配管72および離型剤吐出管68が接続された状態」、または「離型剤吐出管68が離型剤噴射用ポンプ10から離型剤噴射ノズル64まで接続された状態」に切り替えるための電磁弁である。
【0061】
制御装置78は、離型剤噴射用ポンプ10のモータ18、洗浄用三方弁74、リターン用三方弁76、および洗浄用配管70に取り付けられたバルブ88に対し、信号線90を介して制御信号(あるいは制御用電圧/電流)を送給し、これらの動作を制御する装置である。
【0062】
次に、本実施例の離型剤噴射システム60の動作について説明する。最初に、離型剤供給管66、離型剤噴射用ポンプ10のチューブ12、および離型剤吐出管68内が空(すなわち、離型剤Lが充填されていない状態)で、洗浄用三方弁74が「離型剤タンク62および離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態」、かつ、リターン用三方弁76が「離型剤吐出管68が離型剤噴射用ポンプ10から離型剤噴射ノズル64まで接続された状態」において、制御装置78の「運転準備」ボタン(図示せず)を押すと、制御装置78は、例えばタイマー制御により、あるいは離型剤噴射用ポンプ10のモータ18に予め設定された所定数のステップ信号を送信して、離型剤タンク62に貯留された離型剤Lを順次離型剤吐出管68に供給開始し、当該離型剤吐出管68の先端まで離型剤Lが充填されたところでモータ18を停止させる。
【0063】
先に述べたように、モータ18が1ステップ回転したときに離型剤噴射用ポンプ10から供給される離型剤Lの量は正確に把握できるので、離型剤供給管66、離型剤噴射用ポンプ10のチューブ12、および離型剤吐出管68の合計内部容積(流路全体の容積)を知ることにより、モータ18をどれだけの数だけステップ回転させれば離型剤Lを離型剤吐出管68の先端まで充填できるかを正確に計算することができる。このように、運転準備段階で、離型剤Lを離型剤吐出管68の先端まで充填しておくことにより、後に続く「離型剤噴射工程」で直ちに正確な量の離型剤Lを金型80の成形面82に向けて噴射することが可能となる。
【0064】
当該離型剤吐出管68の先端まで離型剤Lが充填された状態で、制御装置78は、リターン用三方弁76を切り替えて「リターン配管72が離型剤吐出管68と接続された状態」にするとともに、モータ18を離型剤供給原点Xまで進めたうえで停止させる。モータ18を離型剤供給原点Xまで進める際に離型剤噴射用ポンプ10から供給された分量の離型剤Lは、リターン配管72を通って再び離型剤タンク62に戻されることから、離型剤吐出管68の先端から不所望に離型剤Lがこぼれ出ることがない。
【0065】
モータ18を離型剤供給原点Xまで進めた後、リターン用三方弁76は、「離型剤吐出管68が離型剤噴射用ポンプ10から離型剤噴射ノズル64まで接続された状態」に戻される。これで「運転準備工程」が完了する。
【0066】
「運転準備工程」が完了すると、次に「離型剤噴射工程」が実施される。離型剤噴射ノズル64を移動させ、型開状態の金型80(図4では半面だけを図示した。)の成形面82に向けて配置した状態で、制御装置78の「離型剤噴射指令」によりコンプレッサー84から圧縮空気CAが圧縮空気配管86を介して離型剤噴射ノズル64内に送給され、当該離型剤噴射ノズル64の先端から成形面82に向けて噴射される。これと同時、あるいはこれにやや遅れて、制御装置78は、離型剤噴射用ポンプ10のモータ18に対し、離型剤Lの必要噴霧量から計算された必要数のステップ信号を送信する。ステップ信号を受けたモータ18が指令ステップだけ歩進して必要量の離型剤Lを離型剤吐出管68に供給することにより、同じ量の離型剤Lが当該離型剤吐出管68の先端から吐出され、吐出された離型剤Lは、圧縮空気CAによってミスト化された上で成形面82に噴射される。
【0067】
離型剤噴射用ポンプ10が必要量の離型剤Lを供給し終わった段階で、制御装置78は、「運転準備工程」の時と同様に、リターン用三方弁76を切り替えて「リターン配管72が離型剤吐出管68と接続された状態」にするとともに、モータ18を離型剤供給原点Xまで進めた後、リターン用三方弁76を再び「離型剤吐出管68が離型剤噴射用ポンプ10から離型剤噴射ノズル64まで接続された状態」に戻す。このとき、離型剤吐出管68の先端から不所望に離型剤Lがこぼれ出ることがないことは上述の通りである。このようにして1回分の「離型剤噴射工程」が完了する。
【0068】
次に、作業終了により次の作業までの間に離型剤Lの噴射を長時間停止する場合、既述のように金型80の熱で離型剤吐出管68が加熱されて内部の離型剤(特に、水溶性離型剤の場合)の水分が蒸発し、離型剤吐出管68の内部に離型剤Lが固化するおそれがあるので、これに場合に先立って当該離型剤吐出管68等の内部から離型剤Lを洗浄除去する必要があり、以下その「洗浄工程」について説明する。
【0069】
制御装置78の「洗浄工程指令」により、制御装置78は、モータ18を「チューブ不閉塞角度範囲Z」(=回転体16の押圧部42が弧状に配設されたチューブ12を押圧閉塞しない角度範囲)まで回転させ(この回転によって離型剤吐出管68の先端から離型剤Lがこぼれ出るのを回避するために、既述のように当該回転に先立ち、リターン用三方弁76を切り替えて「リターン配管72が離型剤吐出管68と接続された状態」に設定し、回転完了後、「離型剤吐出管68が離型剤噴射用ポンプ10から離型剤噴射ノズル64まで接続された状態」に戻す。)、洗浄用三方弁74を「洗浄用配管70および離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態」に設定し、然る後、洗浄用配管70に取り付けられたバルブ88を開ける。
【0070】
これにより、洗浄用の空気Aが洗浄用配管70から離型剤供給管66、チューブ12、および離型剤吐出管68内をこの順に通流し、離型剤Lを洗浄除去することができる(もちろん、空気Aに代えて洗浄液、あるいは、空気Aと洗浄液との混合物を用いてもよいし、洗浄液の後に空気Aを通流してもよい。)。洗浄用の空気Aの供給時間が所定の時間に達する等して離型剤Lの除去が完了すると、制御装置78は、バルブ88を閉めて洗浄用の空気Aの供給を停止し、洗浄用三方弁74を「離型剤タンク62および離型剤噴射用ポンプ10が接続された状態」に戻すことにより「洗浄工程」が完了し、「運転準備工程」を開始する前の状態に戻る。
【0071】
この離型剤噴射システム60によれば、離型剤Lの噴射が終了した後、リターン用三方弁76を「離型剤タンク62および離型剤吐出管68が接続された状態」に設定し、然る後、モータ18を回転させて回転体16を離型剤供給原点Xに設定するようになっている。
【0072】
仮に、離型剤Lの噴射終了後、離型剤供給原点Xに戻すことなくそのまま次回の離型剤噴射を行った場合、離型剤Lの噴射中に回転体16がチューブ不閉塞角度範囲Zに入ってしまい、離型剤Lの供給が滞ってしまうおそれがあるが、この離型剤噴射システム60によれば、離型剤Lの噴射開始時には、回転体16が離型剤供給原点Xに設定されているので、毎回、離型剤噴射用ポンプ10が連続して供給することのできる最大量の離型剤Lを吐出することが可能となり、上述のように、離型剤Lの供給が滞ってしまうおそれを極小化することができる。
【0073】
加えて、回転体16を離型剤供給原点Xに移動させる際には、チューブ12内の下流側にある離型剤Lが離型剤噴射用ポンプ10から吐出されてしまうが、予めリターン用三方弁76を切り替えて「離型剤タンク62および離型剤吐出管68が接続された状態」に設定することにより、回転体16を離型剤供給原点Xに移動させる際に離型剤噴射用ポンプ10から吐出される離型剤Lと同量の離型剤Lが、リターン配管72を介して離型剤タンク62に戻される。これにより、離型剤吐出管68の先端から離型剤Lが不所望に吐出されるのを防止することができる。
【0074】
また、制御装置78を用いて、回転体16をチューブ不閉塞角度範囲Zまで回転させてチューブ12のいずれにも押圧閉塞が存在しない状態とし、然る後、洗浄用三方弁74を切り替えて、洗浄用の空気Aを洗浄用配管70に供給することにより、チューブ12内を介して離型剤吐出管68の先端まで一気に洗浄用の空気Aを通流させて、離型剤供給管66、離型剤噴射用ポンプ10の内部(つまり、チューブ12の内部)および離型剤吐出管68内から離型剤Lを完全に除去することができるので、離型剤Lの噴射作業を数日間停止する場合等において離型剤吐出管68の先端等に離型剤Lが固着してしまい、次の離型剤Lの噴射ができなくなるといった問題を回避することができ、当該固着が生じやすい水溶性離型剤の原液であっても安心して使用することができる。
【0075】
なお、金型80の成形面82への原液(高濃度)離型剤Lのミスト塗布は、従来の希釈低濃度離型剤の塗布に比べて、離型剤Lの使用量を大幅に削減できるだけでなく、希釈低濃度離型剤によって形成される薄い離型膜に対して、十分に厚い離型膜を形成することができ、離型性能を大幅に向上させることもできるようになる。
【符号の説明】
【0076】
10…離型剤噴射用ポンプ
12…チューブ
14…ベース
16…回転体
18…モータ
20…蓋
22…離型剤通流路
24…カプラー
26…円柱状凹所
26a…内周面
28…連通路
28a…連通溝
30…挿通孔
32…押圧外輪
34…ローター
36…ローター本体
38…接続軸
40…スイッチ作動軸
42…押圧部
44…回転中心
46…押圧外輪
48…スイッチ作動軸挿通孔
50…マイクロスイッチ
52…接触子
60…離型剤噴射システム
62…離型剤タンク
64…離型剤噴射ノズル
66…離型剤供給管
68…離型剤吐出管
70…洗浄用配管
72…リターン配管
74…洗浄用三方弁
76…リターン用三方弁
78…制御装置
80…金型
82…成形面
84…コンプレッサー
86…圧縮空気配管
88…バルブ
90…信号線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された円柱状凹所、および前記円柱状凹所の内周面から外部に連通する一対の連通路を有するベースと、
液状の離型剤が通流する離型剤通流路が内部に形成され、前記円柱状凹所の前記内周面に沿って配設され、その両端部分が前記連通路を通って外部に導出されている弾性材製のチューブと、
前記チューブの内側に配設され、その外縁に設けられた押圧部にて前記チューブの一部を押圧閉塞しつつ回転可能に配設されている回転体と、
前記円柱状凹所の中心軸に一致してその回転軸が設けられているとともに、前記回転体を所定の分解能で回転角度制御しつつ回転させるモータとを備えていることを特徴とする離型剤噴射用ポンプ。
【請求項2】
前記回転体は、前記チューブを押圧する円筒状の押圧外輪と、前記押圧外輪内に同心円状に嵌め込まれた円柱状のローターとで構成されており、かつ、前記モータの前記回転軸に対して偏心されていることを特徴とする請求項1に記載の離型剤噴射用ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の離型剤噴射用ポンプと、
離型剤を貯留する離型剤タンクと、
金型の成形面に向けて設けられる離型剤噴射ノズルと、
前記離型剤タンクから前記離型剤噴射用ポンプに離型剤を供給するための離型剤供給管と、
前記離型剤噴射用ポンプから供給された離型剤を前記離型剤噴射ノズルに吐出する離型剤吐出管と、
洗浄用の空気、洗浄液、空気と洗浄液との混合物、あるいは洗浄液の後に空気を前記離型剤供給管に供給する洗浄用配管と、
前記離型剤供給管および前記洗浄用配管の接合位置に設けられ、前記離型剤タンクおよび前記離型剤噴射用ポンプが接続された状態、または前記洗浄用配管および前記離型剤噴射用ポンプが接続された状態に切り替える洗浄用三方弁と、
前記離型剤噴射用ポンプの前記モータ、および前記洗浄用三方弁を制御する制御装置とを備えており、
前記制御装置は、離型剤の洗浄工程において、前記モータを回転させて前記押圧部が前記チューブを押圧閉塞しない位置に移動させ、前記洗浄用三方弁を前記洗浄用配管および前記離型剤噴射用ポンプの接続状態に設定し、然る後、前記洗浄用配管に空気、洗浄液、空気と洗浄液との混合物、あるいは洗浄液の後に空気を供給することを特徴とする離型剤噴射システム。
【請求項4】
前記離型剤吐出管内の離型剤を前記離型剤タンクに戻すためのリターン配管と、
前記離型剤吐出管および前記リターン配管の接合位置に設けられ、前記リターン配管および前記離型剤吐出管が接続された状態、または前記離型剤吐出管が前記離型剤噴射用ポンプから前記離型剤噴射ノズルまで接続された状態に切り替えるリターン用三方弁とをさらに備えており、
離型剤の噴射が終了した後、次回の噴射開始準備として、前記制御装置は、前記リターン用三方弁を離型剤タンクおよび離型剤吐出管が接続された状態に設定し、然る後、前記モータを順方向に回転させて、前記押圧部が前記チューブを押圧閉塞しない角度を通過して再び前記チューブの押圧閉塞を開始する離型剤供給原点に前記回転体を設定した後、前記リターン用三方弁を再び前記離型剤吐出管が前記離型剤噴射用ポンプから前記離型剤噴射ノズルまで接続された状態に戻すことを特徴とする請求項3に記載の離型剤噴射システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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