説明

難燃性エチレン系共重合体組成物

【課題】機械特性、耐熱性、難燃性等に優れ、高柔軟性が要求されるカメラ用ケーブルや医療用ケーブルの被覆材用途に好適なエチレン系共重合体組成物を提供すること。
【解決手段】難燃性エチレン系共重合体組成物は、エチレン-ビニルエステル共重合体
(A1)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)、およびエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)から選ばれる少なくとも1種のエチレン系共重合体(A)99.9〜50重量%と、プロピレン以外の成分が0.1〜20モル%共重合されている多元プロピレン共重合体、または該多元プロピレン共重合体とプロピレン単独重合体とのブレンド物である樹脂(B)0.1〜50重量%とを、有機過酸化物(C)の存在下に溶融混練して得られる重合体組成物(D)と、特定量のポリリン酸アンモニウム(E)を含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性エチレン系共重合体組成物に関し、さらに詳しくは、優れた難燃性を有し、例えば、電気・通信ケーブルの被覆材として好適な難燃性エチレン系共重合体組成物(樹脂組成物)に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン系共重合体の中で特にエチレン−ビニルエステル共重合体やエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、フィラーの充填性が良好であることから、従来からエチレン系共重合体にフィラーである無機難燃剤、特に水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムを添加して、電線や通信線の難燃被覆材、または難燃性の建築用材料として広く利用されている。
【0003】
しかしながら、難燃効果を得るためには無機難燃剤を50%以上添加する必要があるため、柔軟性や機械物性の低下が否めない状況にある。電気・通信ケーブルの中でもカメラ用ケーブルや医療用ケーブルは高い柔軟性と耐熱性が要求されるため、柔軟性、機械物性、耐熱性、難燃性のバランスに優れた難燃性の樹脂組成物が求められていた。
【0004】
本願発明者らは、かかる現状に鑑み、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を実質的に損なうことなく、優れた難燃性を付与して、例えばカメラ用ケーブルや医療用ケーブルの被覆材として好適に使用し得るエチレン系共重合体組成物を得ることを目的として鋭意研究し、特定のエチレン系共重合体、特定の樹脂、特定の難燃剤および有機過酸化物を特定割合で混合し溶融混練して得られる重合体組成物は、上記の要求を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
なお、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に、金属水酸化物を10〜200重量部、錫酸亜鉛および/またはヒドロキシ錫酸亜鉛を1〜30重量部添加することにより、ハロゲンを含ませることなく、難燃性および機械特性を向上させる方法が開示されている。
【特許文献1】特開2001−348466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を保持するとともに優れた耐熱性および難燃性を有し、特に電線被覆材として好適に使用できる難燃性エチレン系共重合体組成物(樹脂組成物)を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−ビニルエステル共重合体(A1)、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)、およびメルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−不飽和カルボン酸系共重合体(A3)から選ばれる少なくとも1種のエチレン系共重合体(A)99.9〜50重量%と、
プロピレン以外の成分が0.1〜20モル%共重合されている二元以上の多元プロピレ
ン共重合体である樹脂(B)0.1〜50重量%(但し、成分(A)および成分(B)の合計が100重量%)とを、
前記成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して0.005〜3重量部の有機過酸化物(C)の存在下に溶融混練して得られる重合体組成物(D)と、
ポリリン酸アンモニウム(E)と
を含有してなり、該ポリリン酸アンモニウム(E)の含有量が、前記成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して、5〜100重量部であることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、エチレン系共重合体(A)と樹脂(B)とを、有機過酸化物(C)の存在下に溶融混練してなる重合体組成物(D)に、前記ポリリン酸アンモニウム(E)とを添加して溶融混練することにより得られる組成物であってもよい。また、エチレン系共重合体(A)と、樹脂(B)と、有機過酸化物(C)と、ポリリン酸アンモニウム(E)とを同時に溶融混練することにより得られる組成物であってもよい。
【0009】
本発明では、前記エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)が、酢酸ビニル単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
また、本発明では、前記樹脂(B)である多元プロピレン共重合体が、プロピレンとエチレンとからなる二元共重合体、またはプロピレンとエチレンと1−ブテンとからなる三元共重合体であることが好ましく、前記樹脂(B)である多元プロピレン共重合体の曲げ初期弾性率(ASTM D790)が、1,400MPa以下であることも好ましい。
【0010】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、さらに下記(F1)〜(F3)から選ばれる少なくとも1種の樹脂および/またはエラストマー(F)を含有してもよく、このとき該樹脂および/またはエラストマー(F)の含有量が、エチレン系共重合体(A)および樹脂(B)の合計99〜80重量部に対して、1〜20重量部(但し、成分(A)、成分(B)および成分(F)の合計が100重量部)であることが好ましく、樹脂および/またはエラストマー(F)の含有量が、前記エチレン系共重合体(A)および樹脂(B)の合計100重量部に対して、1〜25重量部であることも好ましい。
(F1)オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F2)スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F3)グラフト変性したポリオレフィン樹脂。
【0011】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、引張破断点強度(JIS K6760)が2MPa以上であり、かつ、引張破断点伸度(JIS K6760)が100%以上であることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、曲げ剛性率(JIS K7106)が100MPa以下であることが望ましい。
なお本明細書において、「樹脂および/またはエラストマー(F)」の「エラストマー」なる用語は、オレフィン系ゴムのようなソフトセグメントのみからなるゴムおよびスチレン系ブロック重合体およびその水添物を含むものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エチレン−ビニルエステル共重合体等のエチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を保持するとともに優れた難燃性を有するエチレン系共重合体組成物を提供することができる。
【0014】
本発明に係るエチレン系共重合体組成物は、電気・通信ケーブルの中でも高柔軟性が要求されるカメラ用ケーブルや医療用ケーブルの被覆材用途に特に好ましく利用することが
できる。
【0015】
また、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、電線被覆材の他に、工業用パッキン、建築用パッキン、工業用シール材、建築用シール材、車両用内装材、ホース類、フィルム類、テープ類、シート類、射出成形物等の難燃性が必要とされる用途にも広く利用することができる。また、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、他の樹脂との積層、あるいは樹脂以外の他の素材との積層に使用してもよい。本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、必要に応じて、その成形物表面に粘着剤を塗布することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物について具体的に説明する。
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、特定のエチレン系共重合体(A)と特定の樹脂(B)と、有機過酸化物(C)と、ポリリン酸アンモニウム(E)とから得られ、樹脂および/またはエラストマー(F)を特定割合で含有してもよい。
【0017】
[エチレン系共重合体(A)]
本発明で用いられるエチレン系共重合体(A)は、エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)またはエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)である。これらの共重合体は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。このような組み合わせとしては、例えば共重合体(A1)と共重合体(A2)とのブレンド物、共重合体(A1)と共重合体(A3)とのブレンド物、共重合体(A2)と共重合体(A3)とのブレンド物、共重合体(A1)と共重合体(A2)と共重合体(A3)とのブレンド物、2種以上の共重合体(A1)のブレンド物、2種以上の共重合体(A2)のブレンド物、2種以上の共重合体(A3)のブレンド物などが挙げられる。
【0018】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)は、メルトフローレート(MFR;JIS
K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜200g/10分、さらに好ましくは0.2〜100g/10分である。エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)のMFRが上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに引張破断点強度、破断点伸び等の引張特性などの基本物性に優れるとともに耐熱性に優れる難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0019】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)におけるエチレンと共重合可能なビニルエステル成分としては、具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。
【0020】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−n−酪酸ビニル共重合体、エチレン−パーサティック酸ビニル共重合体、エチレン−ラウリン酸ビニル共重合体、エチレン−ステアリン酸ビニル共重合体、エチレン−安息香酸ビニル共重合体、エチレン−サリチル酸ビニル共重合体、エチレン−シクロヘキサンカルボン酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0021】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)は、エチレンから導かれる構成単位含有量(エチレン単位含有量)が95〜50重量%、好ましくは90〜54重量%、さらに好ましくは85〜60重量%であり、ビニルエステル成分から導かれる構成単位含有量(ビニルエステル成分単位含有量)が5〜50重量%、好ましくは10〜46重量%、さらに好
ましくは15〜40重量%であることが望ましい。エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)のエチレン単位含有量が上記範囲内にあると、得られる組成物は、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を保持している。
【0022】
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)は、メルトフローレート(MFR;JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜250g/10分、さらに好ましくは0.5〜200g/10分である。エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)のMFRが上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに引張破断点強度、破断点伸び等の引張特性などの基本物性に優れる難燃性のエチレン系共重合体組成物が得られる。
【0023】
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)におけるエチレンと共重合可能な不飽和カルボン酸エステル成分としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどが挙げられる。
【0024】
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)としては、具体的には、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソオクチル共重合体、エチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−マレイン酸ジメチル共重合体、エチレン−マレイン酸ジエチル共重合体などが挙げられる。
【0025】
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)は、エチレン単位含有量が好ましくは99.5〜40重量%、さらに好ましくは95〜50重量%、より好ましくは90〜60重量%であり、不飽和カルボン酸エステル成分から導かれる構成単位含有量(不飽和カルボン酸エステル成分単位含有量)が好ましくは0.5〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)のエチレン単位含有量が上記範囲内にあると、得られる難燃性エチレン系共重合体組成物は、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を保持している。
【0026】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)は、メルトフローレート(MFR;JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜250g/10分、さらに好ましくは0.5〜200g/10分である。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)のMFRが上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに引張破断点強度、破断点伸び等の引張特性などの基本物性に優れる難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0027】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)におけるエチレンと共重合可能な不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどが挙げられる。
【0028】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)としては、具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−エタクリル酸
共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体、エチレン−イタコン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水イタコン酸共重合体、エチレン−マレイン酸モノメチル共重合体、エチレン−マレイン酸モノエチル共重合体などが挙げられる。
【0029】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)は、エチレン単位含有量が好ましくは99.5〜40重量%、さらに好ましくは99〜50重量%、より好ましくは99〜60重量%であり、不飽和カルボン酸成分から導かれる構成単位含有量(不飽和カルボン酸成分単位含有量)が好ましくは0.5〜60重量%、さらに好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%である。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(A3)のエチレン単位含有量が上記範囲内にあると、得られる難燃性エチレン系共重合体組成物は、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を保持している。
【0030】
これらの共重合体(A1)、(A2)、(A3)は、三元以上の多元エチレン系共重合体であってもよく、エチレンと共重合が可能な上記成分の他に、プロピレン、ブテン、1,3−ブタジエン、ペンテン、1,3−ペンタジエン、1−ヘキセン、3−ヘキセン、1−オクテン、4−オクテン等の不飽和炭化水素;ビニル硫酸、ビニル硝酸等の酸化合物;塩化ビニル、弗化ビニル、沃化ビニル等のハロゲン化合物;ビニル基含有1、2級アミン化合物およびアミド化合物;一酸化炭素、二酸化硫黄等が第三成分としてエチレン等と共重合されていてもよい。
【0031】
多元エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−一酸化炭素共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−一酸化炭素共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸−一酸化炭素共重合体、エチレン−メタクリル酸−一酸化炭素共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸イソブチル共重合体等の三元エチレン系共重合体などが挙げられる。
【0032】
これらの共重合体における第三成分から導かれる構成単位含有量(第三成分単位含有量)は、好ましくは0.01〜40重量%、特に好ましくは0.1〜30重量%であり、エチレン単位含有量は、好ましくは95〜40重量%であり、特に好ましくは90〜50重量%である。
【0033】
好ましいエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体(A1);エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n-ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2);エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸アクリル酸イソブチル共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸系共重合体(A3)が挙げられる。上記のエチレン−ビニルエステル共重合体(A1)の具体例の中では、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0034】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)等のエチレン系共重合体(A)は、共重合体(A)と、樹脂(B)との合計100重量%に対し、通常、99.9〜50重量%、好ましくは95〜70重量%の割合で用いられる。
【0035】
[樹脂(B)]
本発明で用いられる樹脂(B)は、二元もしくは三元以上の共重合体である多元プロピレン共重合体である。
【0036】
この多元プロピレン共重合体におけるプロピレンと共重合可能なプロピレン以外の成分としては、具体的には、エチレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらの成分は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
多元プロピレン共重合体としては、具体的には、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のプロピレン二元共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・スチレン共重合体等のプロピレン三元共重合体が挙げられる。これらの中では、共重合体中のエチレン単位含有量が1〜10モル%のプロピレン・エチレン共重合体、共重合体中の1−ブテン単位有量が1〜10モル%、共重合体中のエチレン単位含有量が1〜10モル%のプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体が最も好ましい。これらの共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、またブロック共重合体であってもよい。
【0038】
上記プロピレン共重合体におけるプロピレン以外の成分から導かれる構成単位含有量(2種以上含まれる場合はそれらの合計量)は、0.1〜20モル%、好ましくは0.2〜18モル%、さらに好ましくは0.5〜15モル%である。
【0039】
本発明で用いられる樹脂(B)としては、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、2160g荷重)が0.5〜50g/10分、好ましくは1〜45g/10分、さらに好ましくは2〜40g/10分であることが望ましい。樹脂(B)のMFRが上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに引張破断点強度、破断点伸び等の引張特性などの基本物性に優れる難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0040】
なお、上記多元プロピレン共重合体それ自体は、耐熱性、引張特性に優れるものの、柔軟性に劣る。また、エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)等のエチレン系共重合体(A)および樹脂(B)のみからなる組成物(未架橋の組成物)は、耐熱性および引張特性に劣る。
また、樹脂(B)である多元プロピレン共重合体の曲げ初期弾性率(ASTM D790)は、1,400MPa以下であることが好ましい。
【0041】
樹脂(B)は、エチレン系共重合体(A)と樹脂(B)との合計100重量%に対し、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の割合で用いられる。樹脂(B)を上記範囲内の割合で用いると、エチレン系共重合体(A)が本来的に有する好ましい諸物性を保持するとともに、優れた耐熱性と難燃性を有するエチレン系共重合体組成物(樹脂組成物)が得られる。
【0042】
[有機過酸化物(C)]
本発明で用いられる有機過酸化物(C)としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペ
ルオキシド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
【0043】
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3
、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオ
キシ)バレレート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが好ましく、なかでも、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが最も好ましい。
【0044】
有機過酸化物(C)は、前記エチレン系共重合体(A)および前記樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.005〜3重量部、好ましくは0.01〜2.5重量部、さらに好ましくは0.01〜2.0重量部の量で用いられる。有機過酸化物(C)を上記範囲内の量で用いると、流動性に優れ、成形加工性に優れた難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0045】
[ポリリン酸アンモニウム(E)]
本発明で用いられるポリリン酸アンモニウム(E)は、例えば下記式
(NH)n+2n3n+1
(式中、nは2以上の整数であり、好ましくは20〜100である。)
で表される化合物である。
【0046】
このようなポリリン酸アンモニウム(E)は、例えばエキソリット(Exolit)422、エキソリット700(以上、クラリアント社製)、スミセーフP(住友化学社製)、フォスチェック(Phos-chek)P/30、フォスチェックP/40(以上、ASTARIS社製)などが市販され、また、メラミン樹脂でマイクロカプセル化したものとしては、例えばエキソリット462(クラリアント社製)、熱可塑性樹脂で被覆したもの、窒素含有化合物を共重合したものとしては、例えば、スミセーフPM(住友化学社製)、テラージュ(TERAJU)C60、テラージュC40(以上、チッソ社製)などの商品名で市販されている。
【0047】
ポリリン酸アンモニウム(E)は、前記エチレン系共重合体(A)および前記樹脂(B)の合計100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは25〜70重量部の量で用いられる。ポリリン酸アンモニウム(E)を上記範囲内の量で用いると、難燃性に優れた難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0048】
[無機化合物]
本発明では必要に応じて無機化合物を添加してもよく、このような無機化合物としては、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、窒化物)、カーボンブラック、グラファイトなどが挙げられる。
【0049】
水酸化物としては、具体的には、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
炭酸塩としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
【0050】
ケイ酸塩としては、具体的には、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルンなどが挙げられる。
【0051】
硫酸塩としては、具体的には、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維などが挙げら
れる。
窒化物としては、具体的には、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
【0052】
カーボンブラックとしては、従来公知のカーボンブラックを用いることができ、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、これらカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理したものなどが挙げられる。
【0053】
無機化合物の表面は、分散性アップ、安全性を考慮して、高級脂肪酸、リン酸エステル、各種シランカップリング剤、金属塩、シリコーンポリマー等を表面にコーティングしてもよく、さらに、表面処理剤の異なる2種以上の無機化合物をブレンドしても構わない。
【0054】
また、本発明では無機化合物として、難燃性を付与する無機化合物を用いてもよい。難燃性を付与する無機化合物としては、従来公知の無機難燃剤を用いることができ、具体的には、
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム珪酸金属塩;
ホウ酸金属塩、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ゼオライト、カーボンブラック等が挙げられる。難燃剤の表面は、分散性アップ、安全性を考慮して、高級脂肪酸、リン酸エステル、各種シランカップリング剤、金属塩、シリコーンポリマー等を表面にコーティングしてもよく、さらに、表面処理剤の異なる2種以上の難燃剤をブレンドしても構わない。また、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤や塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤を併用しても構わない。
【0055】
無機化合物は、前記エチレン系共重合体(A)および前記樹脂(B)の合計100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは0〜80重量部、さらに好ましくは0〜70重量部の割合で用いられる。上記割合で無機化合物を用いると、耐熱性と難燃性に優れた難燃性エチレン系共重合体組成物が得られる。
【0056】
[樹脂および/またはエラストマー(F)]
本発明で必要に応じて用いられる樹脂および/またはエラストマー(F)としては、(F1)オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物、(F2)スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物、(F3)グラフト変性したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0057】
オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物(F1)のうち、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、規則性を制御したポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体部を共重合したブロック共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体に加硫サイトモノマーが加わったターポリマーなどが挙げられる。上記α−オレフィンとしては炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましい。
【0058】
オレフィン系熱可塑性エラストマーのグラフト変性物は、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーをグラフトモノマーで変性した変性物であり、グラフトモノマーである不飽和カルボン酸またはその酸無水物としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。グラフト変性オレフィン系熱可塑性エラストマー中のグラフトモノマー単位の含有量はグラフト変性オレフィン系熱可塑性エラストマーに対して0.01〜20重量
%が好ましい。
【0059】
スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物(F2)のうち、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系ブロック共重合体およびその水添物が挙げられ、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水添物であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、その水添物であるスチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
【0060】
スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物は、上記スチレン系熱可塑性エラストマーを上述したグラフトモノマーで変性した変性物である。またグラフト変性スチレン系熱可塑性エラストマー中のグラフトモノマー単位の含有量はグラフト変性スチレン系熱可塑性エラストマーに対して0.01〜20重量%が好ましい。
【0061】
グラフト変性したポリオレフィン樹脂(F3)としては、具体的には、マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、イタコン酸グラフト変性ポリエチレン等の不飽和カルボン酸グラフト変性ポリオレフィン;無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水イタコン酸グラフト変性ポリエチレン等の不飽和カルボン酸無水物グラフト変性ポリオレフィンあるいはシラングラフト変性ポリエチレン等のシラングラフト変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0062】
グラフトモノマーとしては、上記と同様のものが挙げられる。グラフト変性ポリオレフィン中のグラフトモノマー単位の含有量はグラフト変性ポリオレフィンに対して0.01〜20重量%が好ましい。
【0063】
樹脂および/またはエラストマー(F)のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238、190℃、2160g荷重)は、0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜250g/10分、さらに好ましくは0.5〜200g/10分であることが望ましい。
【0064】
樹脂および/またはエラストマー(F)は、前記エチレン系共重合体(A)および前記樹脂(B)の合計99〜80重量%に対し、1〜20重量%、特に5〜15重量%の割合で用いることが好ましい。また、樹脂および/またはエラストマー(F)は、前記エチレン系共重合体(A)および前記樹脂(B)の合計100重量%に対し、1〜25重量%、特に5〜20重量%の割合で用いることも好ましい。
樹脂および/またはエラストマー(F)を上記割合で用いると、柔軟性と耐熱性とのバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0065】
なお、本発明では、発明の目的を損なわない範囲で、組成物調製時に成分(A)、成分(B)、成分(F)以外の樹脂またはエラストマーを使用することができる。
[その他の成分]
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物の調製の際に、必要に応じて、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、架橋助剤、難燃助剤、耐熱安定剤、シリコーンオイル、銅害防止剤、着色剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0066】
酸化防止剤としては、従来公知のフェノール系、イオウ系またはリン系のいずれの酸化防止剤でも配合することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、具体的には、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-イソブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-シクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α−メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-シクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、n-オクタデシル-β-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェノール)プロピオネート、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェ
ノール、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンジルチオ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノ
ン、2,5-ジ-t-アミルハイドロキノン、2,2'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノー
ル)、2,2'-チオ-ビス(4-オクチルフェノール)、2,2'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4'-チオ-ビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、2,2'-メチレン-
ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス-{4-メチル-6-(α−メチルシクロヘキシル)-フェ
ノール}、2,2'-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチ
レン-ビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス-{6-(α−メチルベ
ンジル)-4-ノニルフェノール}、2,2'-メチレン-ビス-{6-(α,α−ジメチルベンジル
)-4-ノニルフェノール}、2,2'-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデン-ビス-(6-t-ブチル-4-イソブチルフェノール)、4,4'-メチレン-ビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス-(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール
)、4,4'-ブチリデン-ビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス-(3,6-ジ-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル
)-ブタン、2,6-ジ-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール
、1,1,3-トリス-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-ブタン、ビス{3,3-ビス(4'-ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド}エチレングリコールエ
ステル、ジ-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-ジシクロペンタジエン、ジ-{2-(3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-t-ブチル-4-メチルフェニル}テレフタレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシア
ヌレート、1,3,5-トリス-(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシア
ヌレート、1,3,5-トリス-{(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシエチル}イソシアヌレート、テトラキス{メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタンなどが挙げられる。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0067】
リン系酸化防止剤としては、具体的には、ジステアリル-ペンタエリスリトール-ジフォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン-ジ-フォスフ
ァイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジフォスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジフォスファイト、ビ
ス(2,6-ジ-t-ブチル-4-n-オクタデシルオキシカルボニルエチル-フェニル)ペンタエリ
スリトール-ジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられる。
これらのリン系酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0068】
イオウ系酸化防止剤としては、具体的には、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、
4,4'-チオビス-(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキ
ス(3-ラウリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
これらのイオウ系酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、フェノール系、リン系またはイオウ系酸化防止剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、上記以外の酸化防止剤としては、例えば、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール[商標 IRGSTAB CABLE KV10、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製
]などが挙げられる。
【0069】
耐光安定剤としては、従来公知の耐光安定剤例えばヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジン)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジン)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
キマソーブ(CHIMASSORB)944[商標;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製]、
FLAMESTAB NOR 116[商標;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、NOR型
ヒンダードアミン]
などを挙げることができる。
【0070】
紫外線吸収剤としては、従来公知の紫外線吸収剤を用いることができ、具体的には、チヌビン326[商標;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製]、チヌビン327[商標;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製]、チヌビン120[商標;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製]などが挙げられる。
【0071】
加工助剤としては、従来公知の加工助剤を用いることができ、具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0072】
架橋助剤としては、従来公知の架橋助剤を用いることができ、具体的には、p−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンオキシム等のキノンオキシム類;ラウリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート類;ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ジアリルフタレート等のアリル類;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;その他、硫黄、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニールベンゼン、ビニルトルエン、1,2−ポリブタジエンなどが挙げられる。
【0073】
難燃助剤としては、従来公知の難燃助剤を用いることができ、具体的には、三酸化アンチモン、赤リン、脂肪酸金属塩、硼酸亜鉛、トリアジン化合物、膨張黒鉛、リン酸エステル、リン酸塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、従来公知のシリコーンを用いることができる。
銅害防止剤としては、従来公知の銅害防止剤を使用することができる。
【0074】
着色剤としては、従来公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤を広く用いること
ができる。具体的には、アゾ顔料、ニトロソ顔料、塩基性染料、酸性染料、媒染染料などのレーキ、フタロシアニン顔料、有機蛍光顔料などの有機顔料、アルミニウム粉、酸化チタン、亜鉛華、沈降性シリカ、カーボンブラック、カドミウム赤、群青、べんがらなどの無機顔料などが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0075】
[難燃性エチレン系共重合体組成物]
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、例えば、まずエチレン系共重合体(A)、樹脂(B)、有機過酸化物(C)、必要に応じて樹脂および/またはエラストマー(F)を溶融混練して重合体組成物(D)を調製し、次いで、この重合体組成物(D)に、ポリリン酸アンモニウム(E)、上述した添加剤を添加し溶融混練することにより製造することができ、また、エチレン系共重合体(A)、樹脂(B)、有機過酸化物(C)、ポリリン酸アンモニウム(E)、樹脂および/またはエラストマー(F)、上述した添加剤を溶融混練することにより、一段で製造することもできる。
【0076】
具体的には、エチレン系共重合体(A)および樹脂(B)の二成分、あるいはエチレン系共重合体(A)と樹脂(B)と樹脂および/またはエラストマー(F)との三成分ないし四成分が溶融し、かつ、有機過酸化物(C)が十分に分解される温度条件下で溶融混練(動的に熱処理)することにより重合体組成物(D)を調整し、次いで、この重合体組成物(D)に、ポリリン酸アンモニウム(E)、上述した添加剤を添加し溶融混練することにより製造することができる。また、エチレン系共重合体(A)、樹脂(B)、有機過酸化物(C)、ポリリン酸アンモニウム(E)、樹脂および/またはエラストマー(F)、上述した添加剤を、前記樹脂成分が溶融し、かつ、有機過酸化物(C)が十分に分解される温度条件下で溶融混練(動的に熱処理)することにより製造することができる。このようにして得られた難燃性エチレン系重合体組成物は、エチレン系共重合体(A)、樹脂(B)の少なくとも一方が部分的にまたは完全に架橋されている。
【0077】
このとき用いられる溶融混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロールなどが挙げられ、この中では特に一軸または二軸押出機を用いることが好ましい。溶融混練は、通常130〜250℃の温度で、30秒〜15分間行われる。
【0078】
上記のようにして得られる、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物のメルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)は、通常0.01〜30g/10分、好ましくは0.01〜15g/10分、さらに好ましくは0.01〜5g/10分である。
【0079】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、UL耐炎性試験結果がV−2(厚み3mm)以上のレベル、すなわちV−2からV−0であることが好ましい。
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、引張破断点強度(JIS K6760)が2MPa以上、好ましくは5MPa以上であり、かつ、引張破断点伸度(JIS K6760)が100%以上、好ましくは300%以上であることが望ましい。
【0080】
また、曲げ剛性率(JIS K7106)が100MPa以下、好ましくは80MPa以下であることが望ましい。
さらに本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、耐熱性試験(JIS K7121、JIS K6301 3号ダンベル・1mm厚)120℃×96時間において、目視観察で試験片が全く変形しないか又は若干の変形が認められる状態であることが好ましい。なお、若干の変形とは試験片が伸長または収縮することなく、試験片の表面の一部に若干の凹凸が認められる程度であることを意味する。
【0081】
本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物は、耐熱性、難燃性等に優れ、電線・通信ケーブルの被覆材、特に高柔軟性が要求されるカメラ用ケーブルや医療用ケーブルの被覆材として好適である。被覆電線は、例えば、本発明に係る難燃性エチレン系共重合体組成物を用いて、従来公知の押出被覆成形方法により形成することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
【0082】
実施例および比較例で行った耐熱性、難燃性、引張特性、曲げ剛性率および加工性の、試験、評価ないし測定は、以下の方法に従って行った。
(1)引張試験
JIS K6301(3号ダンベル、1mm厚、引張速度200mm/min)に従っ
て引張試験を行い、引張破断点強度と引張破断点伸度を求めた。
【0083】
(2)曲げ剛性率
JIS K7106に従って測定した。
(3)耐熱性試験
JIS K7212(JIS K6301 3号ダンベル、1mm厚)に従い、試験片をオーブン内にセットして120℃で96時間加熱後放置して自然冷却させ、その形状保持状態を目視観察し、粉化、割れ、ひび、変形の有無を確認し、以下の3段階評価基準に従って、耐熱性を評価した。
<耐熱性の評価基準>
○:全く変形しないもの
△:若干の変形が認められたもの
×:原型を留めないもの、またはオーブン内で落下しているもの。
【0084】
(4)難燃性の評価
UL94耐炎性試験規格に記載された評価方法に従った(スガ試験機社製)。なお、試験片の厚みは1mmとした。
難燃性の評価は、以下の要求水準に照らして判定した。なお、本発明では、V−2も不合格と評価した。
V−0:A … 各回の有炎燃焼時間は10秒以下
B … 試験片5個の合計有炎燃焼時間は50秒以下
C … クランプまで有炎あるいは無炎燃焼しないこと
D … 下の綿を発火させないこと
E … 2回目の無炎燃焼時間は30秒以下
V−1:A … 各回の有炎燃焼時間は30秒以下
B … 試験片5個の合計有炎燃焼時間は250秒以下
C、D … V−0と同じ
E … 2回目の無炎燃焼時間は60秒以下
V−2:A,B,C,E … V−1と同じ
D … 下の綿発火OK
V−2 out:上のいずれにも該当しなかったもの
また、実施例、比較例で用いた成分は、以下の通りである。
【0085】
[エチレン系共重合体(A)]
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
酢酸ビニル単位含有量=33重量%
MFR(JIS K7210-1999、190℃、2160g荷重)=14g/10分
[樹脂(B)]
三元系プロピレンランダム共重合体
プロピレン単位含有量=93.5モル%
エチレン単位含有量=3.0モル%
ブテン単位含有量=3.5モル%
MFR(ASTM D1238、230℃、2160g荷重)=7.2g/10分
曲げ初期弾性率(ASTM D790)=720MPa
[有機過酸化物(C)]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(アトフィナ吉富(株)製)
[ポリリン酸アンモニウム(E)]
Exolit AP−750(クラリアント社製)
(G):エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル単位含有量=28重量%、MFR=1g/10分
(H):水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名 キスマ5A)。
(I):酢酸ビニル濃度=33重量%、MFR=6.0g/10分、無水マレイン酸濃度1重量%の無水マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体を作製して使用した。
【実施例1】
【0086】
エチレン系共重合体(A)80重量部と、樹脂(B)20重量部と、有機過酸化物(C)0.2重量部と、酸化防止剤(テトラキス{メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティーズ(株)製)0.2重量部とを、予めヘンシェルミキサーでブレンドした後、L/Dが28の一軸押出機を用い、樹脂温度200℃で溶融混練し、(A)成分、(B)成分の少なくとも一方が、少なくとも部分的に架橋された重合体組成物(D)を得た。
【0087】
次に、上記のようにして得られた重合体組成物(D)100重量部(すなわち、(A)と(B)との合計量99.6重量部)と、ポリリン酸アンモニウム(E)45重量部とをヘンシェルミキサーでブレンドした後、加圧ニーダーを用い、樹脂温度160℃で溶融混練し、ロールでシーティングした後、ペレタイズして難燃性エチレン系共重合体組成物のペレットを得た。
【0088】
次に、上記のようにして得られた組成物のペレットを、熱板温度を160℃に設定したプレス成形機にて、圧力100kg/cm2(ゲージ圧)の条件で10分間プレス成形し
、所定のプレスシートを作製した。
【実施例2】
【0089】
重合体組成物(D)100重量部に、ポリリン酸アンモニウム(E)45重量部と無水マレイン酸変性EVA(I)10重量部をブレンドしたこと以外は実施例1と同様にして難燃性エチレン系共重合体組成物のペレット、プレスシートを得た。
[比較例1]
重合体組成物(D)100重量部に、ポリリン酸アンモニウム(E)をブレンドせず、水酸化マグネシウム(H)200重量部をブレンドしたこと以外は実施例1と同様にして難燃性エチレン系共重合体組成物のペレット、プレスシートを得た。
[比較例2]
エチレン・酢酸ビニル共重合体(G)100重量部と、ポリリン酸アンモニウム(E)45重量部とをヘンシェルミキサーでブレンドした後、加圧ニーダーを用い、樹脂温度160℃で溶融混練し、ロールでシーティングした後、ペレタイズして難燃性エチレン系共重合体組成物のペレットを得た。
【0090】
次に、上記のようにして得られた組成物のペレットを用い、実施例1と同様にしてプレ
スシートを作製した。
上記のようにして得られた各プレスシートの耐熱性の評価を上記方法に従って行った。また、基本物性として引張破断点強度、引張破断点伸度および曲げ剛性率を上記方法に従って求めた。これらの結果を表1に示す。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−ビニルエステル共重合体(a1)、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(a2)、およびメルトフローレート(JIS K7210、190℃、2160g荷重)が0.1〜300g/10分であるエチレン−不飽和カルボン酸系共重合体(a3)から選ばれる少なくとも1種のエチレン系共重合体(A)99.9〜50重量%と、
プロピレン以外の成分が0.1〜20モル%共重合されている二元以上の多元プロピレン共重合体である樹脂(B)0.1〜50重量%(但し、成分(A)および成分(B)の合計が100重量%)とを、
前記成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して0.005〜3重量部の有機過酸化物(C)の存在下に溶融混練して得られる重合体組成物(D)と、
ポリリン酸アンモニウム(E)と
を含有してなり、該ポリリン酸アンモニウム(E)の含有量が、前記成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して、5〜100重量部であることを特徴とする難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項2】
エチレン系共重合体(A)と樹脂(B)とを、有機過酸化物(C)の存在下に溶融混練してなる重合体組成物に、前記ポリリン酸アンモニウム(E)を添加して溶融混練することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項3】
エチレン系共重合体(A)と、樹脂(B)と、有機過酸化物(C)と、ポリリン酸アンモニウム(E)とを同時に溶融混練することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項4】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体(A1)が、酢酸ビニル単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項5】
前記樹脂(B)である多元プロピレン共重合体が、プロピレンとエチレンとからなる二元共重合体、またはプロピレンとエチレンと1−ブテンとからなる三元共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項6】
前記樹脂(B)である多元プロピレン共重合体の曲げ初期弾性率(ASTM D790)が、1,400MPa以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難
燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項7】
さらに下記(F1)〜(F3)から選ばれる少なくとも1種の樹脂および/またはエラストマー(F)を含有し、該樹脂および/またはエラストマー(F)の含有量が、エチレン系共重合体(A)および樹脂(B)の合計99〜80重量部に対して、1〜20重量部(但し、エチレン系共重合体(A)、樹脂(B)および成分(F)の合計が100重量部)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物;
(F1)オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F2)スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F3)グラフト変性したポリオレフィン樹脂。
【請求項8】
さらに下記(F1)〜(F3)から選ばれる少なくとも1種の樹脂および/またはエラ
ストマー(F)を含有し、該樹脂および/またはエラストマー(F)の含有量が、エチレン系共重合体(A)および樹脂(B)の合計100重量部に対して、1〜25重量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物;(F1)オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F2)スチレン系熱可塑性エラストマーおよびそのグラフト変性物
(F3)グラフト変性したポリオレフィン樹脂。
【請求項9】
引張破断点強度(JIS K6760)が2MPa以上であり、かつ、引張破断点伸度(JIS K6760)が100%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項10】
曲げ剛性率(JIS K7106)が100MPa以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。
【請求項11】
耐熱性試験(JIS K7121、JIS K6301 3号ダンベル・1mm厚)120℃×96時間において、目視観察で試験片が全く変形しないか又は若干の変形が認められる状態であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性エチレン系共重合体組成物。

【公開番号】特開2006−241405(P2006−241405A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62382(P2005−62382)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】