説明

難燃性ポリアミド化合物の調製方法

本発明は、重量平均分子量が少なくとも10,000g/molである少なくとも1種類のポリアミドポリマーと、ポリアミドの全重量に対して1〜100重量%の量の難燃剤と、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーとを含む組成物を溶融混合するステップを含む、難燃性ポリアミド化合物の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量平均分子量が少なくとも10,000g/molである少なくとも1種類のポリアミドポリマーと、難燃剤とを含む組成物を溶融混合するステップを含む、難燃性ポリアミド化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法はEP−0794976−B1によって公知となっている。この特許には、ポリアミドと難燃剤とを含む種々の成分を含む難燃性ポリアミド化合物が記載されており、これらの化合物は、成分を乾式混合した後、押出機などの溶融混合装置に供給する方法によって調製することができる。難燃剤として、ハロゲン非含有有機難燃剤、特にトリアジン化合物メラミンおよびメラミンシアヌレートが挙げられている。メラミンおよびメラミンシアヌレートは、難燃性可塑性化合物(flame retardant plastic compounds)において広く用途が見いだされている。これらの化合物は、相乗剤を使用しなくても本来比較的低濃度で十分な難燃性を得ることができ、通常の条件では化合物の変色が発生せず、加工装置の腐食も認められないという実用的な利点を有する。上記特許では、トリアジン化合物の難燃作用は、加熱によってこれらの化合物が分解して、消火剤として作用する窒素含有気体化合物が生成することに起因すると考えられると報告されている。
【0003】
同特許において、メラミンと、より程度は低いがメラミンシアヌレートとは、加工中にメラミンが型中に付着するという欠点を有し、排気ダクトの閉塞が生じることがあり、製造工程を定期的に停止して型を掃除する必要性が生じることに言及している。メラミンシアヌレートは、メラミンよりも低い程度でこの型に付着するという現象が欠点として見られるが、より高温、例えば270℃を超える温度で、メラミンシアヌレートを含有するポリアミド溶融物が不安定となり、溶融粘度の低下を示すということのために使用が限定される。多くの場合290℃以上の温度において、気体の発生が激しくなるため、メラミンシアヌレートを含有する化合物の加工が実質的に不可能になる。
【0004】
高温で安定性が限定されるというこの問題は、ポリリン酸メラミンなどの他のハロゲン非含有難燃剤でも発生する。ハロゲン非含有難燃剤の限定された温度安定性によって、高温エンジニアリングポリアミドの分野の難燃性ポリアミド化合物の溶融混合法による調製において、難燃剤の分解、および化合物中の難燃剤含有率から期待されるよりも低い難燃性を有するポリアミド化合物が生成されるという問題が発生する。これらの現象は特に、ガラス繊維強化ポリアミドにおいて観察される。
【0005】
したがって、ポリアミド−6,6、(溶融温度265℃)、ポリアミド−4,6(溶融温度290℃)、さらに高い溶融温度を有する半芳香族ポリアミド、およびそれらのコポリアミド(例えばPA−6,6/6,T/6,I)などの高温エンジニアリングポリアミド中に、メラミンおよびメラミンシアヌレートを使用することができず、これらのポリアミドに難燃性を付与するためには臭素化ポリスチレンなどのハロゲン化有機化合物に頼る必要がある。しかし、これらのハロゲン化難燃性化合物も、これらの難燃剤を含有する化合物は通常、変色が起こる、または加工装置の腐食が発生するという点において熱に敏感である。これらの問題は、高温エンジニアリングポリアミドおよびハロゲン化難燃剤を主成分とするガラス繊維強化化合物においてさらに深刻化する。
【0006】
これらの問題の解決法として、EP−0794976−B1は、難燃剤としてメラムを含むポリアミド化合物、およびこれらの化合物の溶融混合法による実現可能な調製を請求している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱に敏感なハロゲン非含有難燃剤および/またはハロゲン化難燃剤と、ポリアミドとしての高温エンジニアリングポリアミドとを含む難燃性ポリアミド化合物の調製が可能となり、この化合物が、既知の化合物と比較して改善された難燃性および/または改善された色を示す、溶融混合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、溶融混合される組成物が、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーを含み、但し、溶融混合される組成物が:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、
からなるのではない方法によって実現される。
【0009】
本発明による方法では、難燃剤としてハロゲン非含有有機難燃剤を使用すると、難燃性試験における全燃焼時間が従来技術による化合物よりも短いポリアミド化合物を調製することができる。これらの化合物は、さらなる利点として機械的特性の改善も見られる。難燃剤がハロゲン化有機化合物である本発明による方法では、変色の少ないポリアミド化合物を調製することができる。さらに、これらの化合物は、工程を高いスクリュー速度で実施した場合でさえも、混合後の溶融物の押出成形において良好なストランドの品質を示す。
【0010】
JP−5214246−A(TORAY,1992)には、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり、末端基として5〜30個の炭素原子を有する炭化水素基で改質されたポリアミドオリゴマーと、1〜25重量部のトリアジン難燃剤とを、100重量部のポリアミドポリマーと溶融混合したポリアミド化合物が記載されている。この化合物を使用して、この日本特許出願は、離型剤の添加によって発生する難燃性の低下の問題の解決を目的としている。記載のポリアミド化合物が、難燃性および離型性を有すると請求している。JP−5214246−Aは、少なくとも1種類のポリアミドと難燃剤とを含む組成物の溶融混合中に発生する高温における難燃剤の不安定性の問題またはその解決法とは関係していない。さらに具体的には、成形中における同様の問題を回避するために、JP−5214246−Aは、100重量部のポリアミドポリマーに対する難燃剤の量を25重量部、より好ましくは20重量部、さらにより好ましくは15重量部に制限することを教示しており、その理由として、難燃剤の割合が上限を超えると、成形中に気体が発生し、成形物の外観が損なわれ、機械的特性が低下することを挙げている。JP−5214246−Aは、ポリアミドオリゴマー量を10重量部に制限することも教示しており、その理由として、ポリアミドオリゴマーの比率が10重量部を超えると、成形中に気体が発生し、成形物の外観が損なわれ、機械的特性が低下することを挙げている。
【0011】
JP−5214246−Aにはさらに、比較例として、100重量部のポリアミド−6,6ポリマーと、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマーと、7重量部のメラミンシアヌル酸とからなる組成物;ならびに、100重量部のポリアミド−6ポリマーと、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマーと、27重量部メラミンシアヌル酸とからなる組成物の溶融混合が報告されている。JP−5214246−Aには、これら2つの比較例の場合における本発明の利点は報告されていない。
【0012】
JP−5214246−Aにより請求されている方法で溶融混合される組成物、およびそれに記載される上記の2つの比較例は、偶然本発明の範囲に入っており、これらについては権利を主張しない。
【0013】
本発明による方法では、100重量部のポリアミドポリマーに対して難燃剤量が25重量部を超える、および/またはポリアミドオリゴマー量が10重量部を超える場合に、ポリアミドポリマーと、難燃剤と、分子量が5000以下であり、末端基として5〜30個の炭素原子を有する炭化水素基で改質されたオリゴマーとを含む組成物を溶融混合して、良好な外観および/または機械的特性の改善が見られる生成物を得ることができる。ポリアミドオリゴマーの分子量が5000を超える場合にも同じ良好な結果が得られる。
【0014】
本発明の場合では、ポリアミド化合物は、ポリアミド組成物の構成成分を溶融混合することによって得ることができ、成形品を製造するための成形法に使用すると適切なポリアミド組成物であると理解することができる。このポリアミド化合物は、限定するものではないが、溶融物(例えば成形品の製造に適切な装置内で)、押出成形されたストランド、細断された顆粒、および成形品(例えば溶融混合後のポリアミド組成物が直接成形品に成形される場合)などの種々の形態を有することができる。
【0015】
ポリアミド組成物とは、ポリアミド化合物の調製に使用することができるすべての成分または構成要素であると理解することができる。ポリアミド組成物は、乾式混合物としての形態を有することができる。この組成物は、上にポリアミド化合物の調製に適した装置にそれぞれの成分またはそれらの組み合わせを別々に加えることによって形成することもできる。
【0016】
本発明の場合では、ポリアミドポリマーは、重量平均分子量が少なくとも10,000g/mol、好ましくは少なくとも15,000g/mol、より好ましくは少なくとも20,000g/molである高分子ポリアミドであると理解することができる。
【0017】
本発明において、ポリアミドオリゴマーは、重量平均分子量が最高7500である低分子ポリアミドであると理解することができる。好ましくは、この重量平均分子量が、高分子ポリマーの「絡み合い間分子量」よりも小さい。この「絡み合い間分子量」は、例えばPA−6の場合で5,000g/molである。また、好ましくは、ポリアミドオリゴマーの重量平均分子量は最高5,000g/molであり、より好ましくは最高4,000g/molであり、さらにより好ましくは最高3,000g/molである。例えばガラス転移温度が低くなるなどの危険性を回避するために、ポリアミドオリゴマーの分子量を低くし過ぎない場合もある。好ましくは、重量平均分子量は約1,000g/molを超える。
【0018】
ポリアミドポリマーおよびポリアミドオリゴマーの両方に適切なポリアミドは、溶融加工が可能である結晶質、半結晶質、および非晶質のポリアミドを含む当業者に公知のあらゆるポリアミドである。本発明による適切なポリアミドの例は、脂肪族ポリアミド、例えばPA−6、PA−11、PA−12、PA−4,6、PA−4,8、PA−4,10、PA−4,12、PA−6,6、PA−6,9、PA−6,10、PA−6,12、PA−10,10、PA−12,12、PA−6/6,6−コポリアミド、PA−6/12−コポリアミド、PA−6/11−コポリアミド、PA−6,6/11−コポリアミド、PA−6,6/12−コポリアミド、PA−6/6,10−コポリアミド、PA−6,6/6,10−コポリアミド、PA−4,6/6−コポリアミド、PA−6/6,6/6,10−ターポリアミド、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとから得られるコポリアミド、芳香族ポリアミド、例えばPA−6,I、PA−6,I/6,6−コポリアミド、PA−6,T、PA−6,T/6−コポリアミド、PA−6,T/6,6−コポリアミド、PA−6,I/6,T−コポリアミド、PA−6,6/6,T/6,I−コポリアミド、PA−6,T/2−MPMDT−コポリアミド(MPMDT=2−メチルペンタメチレンジアミン)、PA−9,T、テレフタル酸と2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとから得られるコポリアミド、イソフタル酸とラウリンラクタムと3,5−ジメチル−4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンとから得られるコポリアミド、イソフタル酸とアゼライン酸および/またはセバシン酸と4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンとから得られるコポリアミド、カプロラクタムとイソフタル酸および/またはテレフタル酸と4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンとから得られる、カプロラクタムとイソフタル酸および/またはテレフタル酸とイソホロンジアミンとから得られるコポリアミド、イソフタル酸および/またはテレフタル酸および/または他の芳香族または脂肪族ジカルボン酸、場合によりアルキル置換ヘキサメチレンジアミン、およびアルキル置換4,4−ジアミノジシクロヘキシルアミンから得られるコポリアミド、ならびに上記ポリアミドのコポリアミドおよび混合物である。
【0019】
好ましくは、ポリアミドは、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−4,6、PA−11、PA−12、PA−12,12、PA−6,I、PA−6,T、PA−6,T/6,6−コポリアミド、PA−6,T/6−コポリアミド、PA−6/6,6−コポリアミド、PA−6,6/6,T/6,I−コポリアミド、PA−6,T/2−MPMDT−コポリアミド、PA−9,T、PA−4,6/6−コポリアミド、ならびに上記ポリアミドの混合物およびコポリアミドを含む群から選択される。より好ましくは、PA−6,I、PA−6,T、PA−6,6、PA−6,6/6T、PA−6,6/6,T/6,I−コポリアミド、PA−6,T/2−MPMDT−コポリアミド、PA−9,T、またはPA−4,6、あるいはそれらの混合物またはコポリアミドが本発明のポリアミドとして選択される。
【0020】
低分子量ポリアミドオリゴマーは、高分子量ポリアミドと同じ組成を有するように選択することができるし、2種類のポリアミド、すなわちオリゴマーおよびポリマーは、異なる組成を有するように選択することもできる。
【0021】
本発明による方法における高分子量ポリアミドポリマーは、場合により改質された末端基を含むことができ、例えばモノカルボン酸で改質されたアミン末端基および/または一官能性アミンで改質されたカルボン酸末端基を含むことができる。高分子量ポリアミドポリマー中の改質された末端基は、溶融混合によって化合物を調製する間の組成物の溶融安定性が改善するため、および成形品の調製のために化合物を成形する間の化合物の溶融安定性を改善するために使用すると好都合となる場合がある。
【0022】
好ましくは、本発明のポリアミドポリマーは、少なくとも260℃の溶融温度で規定される高温エンジニアリングポリアミドである。より好ましくは、溶融温度が少なくとも270℃であり、さらにより好ましくは少なくとも280℃であり、最も好ましくは少なくとも290℃である。ポリアミドポリマーの溶融温度が高いほど、溶融混合中にポリアミドオリゴマーを添加することによる、生成する化合物の特性に対する影響が顕著となる。
【0023】
ポリアミドオリゴマーの溶融温度は、ポリアミドポリマーの溶融温度よりも、好ましくは最高で20℃高く、より好ましくは最高で10℃高く、さらにより好ましくは最高でポリアミドポリマーの溶融温度と同じ温度である。ポリアミドポリマーの溶融温度よりはるかに高くなることがない溶融温度を有するポリアミドオリゴマー、またはより好ましくはポリアミドポリマーの溶融温度を超えることが全くない溶融温度を有するポリアミドオリゴマーの利点は、溶融混合工程に必要な加工温度を、ポリアミドオリゴマーを使用しない工程と比較して同程度に低く維持することができる、またはさらに低下させることができ、さらに難燃剤の分解が起こりにくくなることである。
【0024】
ポリアミドオリゴマーは、好ましくは溶融温度が少なくとも260℃であり、より好ましくは少なくとも270℃であり、さらにより好ましくは少なくとも280℃である。特に多量に使用される場合、高い溶融温度を有するポリアミドオリゴマーの利点は、ポリアミド化合物の高温の機械的特性がより良く維持される、またはさらに改善されることである。
【0025】
本発明による方法でのポリアミドオリゴマーに特に適しているポリアミドはポリアミド−4,6である。ポリアミド−4,6オリゴマーの溶融温度は約290℃である。ポリアミド−4,6オリゴマーの利点は、工業規模で生成可能であり、多種多様の高温エンジニアリングポリアミドと併用可能であることである。
【0026】
本出願の場合、「PA−4,6」は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%がテトラメチレンアジパミド単位からなるポリアミドであると理解することができる。PA−4,6は、テトラメチレンジアミンと、アジピン酸またはその付加体との重縮合を、場合により、他のポリアミド形成性モノマー、例えばε−カプロラクタム、異なるジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、または異なるカルボン酸、例えばイソフタル酸またはシクロヘキサンジカルボン酸の存在下で行うことによって調製することができる。
【0027】
本発明による方法におけるポリアミドオリゴマーは、場合により、改質された末端基、例えば一官能性カルボン酸で改質されたアミン末端基および/または一官能性アミンで改質されたカルボン酸末端基を含むことができる。一官能性カルボン酸および/または一官能性アミンは、ポリアミドオリゴマーの分子量を制御するための連鎖停止剤としてポリアミドオリゴマーの調製中に使用すると好都合となる場合がある。好ましくは、ポリアミドオリゴマーは、末端基の総数に対して最大50%、より好ましくは最大25%の改質された末端基を含む。本発明による方法において、最大25%の改質された末端基を有するポリアミドオリゴマーの利点は、結果として得られる化合物の機械的特性が、ハロゲン非含有難燃剤を含む場合に、さらに改善されることである。
【0028】
本発明による方法で溶融混合される組成物は、ポリアミドの全量に対して0.5〜30重量%のオリゴマーを含む。当業者であれば、化合物の所望の特性に応じて所与の範囲内のオリゴマー量を選択することができる。より多い量のオリゴマーを使用することができ、難燃剤のより優れた性能が得られる場合さえもあるが、量が多すぎると機械的特性に悪影響が生じることがある。ポリアミドの全量に対して好ましくは1〜20重量%の量のオリゴマー、より好ましくは2〜15重量%の量のオリゴマーが選択される。
【0029】
本発明による方法に使用することができる適切な難燃剤は、ハロゲン非含有難燃剤およびハロゲン含有難燃剤である。
【0030】
本発明による方法の好ましい形態では、溶融加工される組成物が、難燃剤としてハロゲン非含有難燃剤を含む。この方法では、難燃性試験において、ポリアミドオリゴマーを使用しない方法における同じ難燃剤の場合よりも、短い全燃焼時間を有するポリアミド化合物を調製することができる。結果として得られる化合物は、さらなる利点として改善された機械的特性も示す。
【0031】
適切なハロゲン非含有難燃剤は:
− 金属含有化合物、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;
− 窒素含有化合物、例えばグアナミン系化合物およびメラミン系化合物;
− 窒素およびリンを含有する化合物、例えばポリリン酸アンモニウムおよびメラミン系リン化合物、
− リン含有化合物、例えば赤リン、ホスファゼン系化合物、および有機リン化合物である。
【0032】
窒素含有化合物として選択することができる適切なメラミン系化合物は、例えばメラミン、メラミン誘導体、メラミン縮合生成物、およびそれらの混合物である。本出願の場合、「メラミン誘導体」とは、1つ以上のアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはシクロアルキル基、例えばメチル、エチル、エテニル、フェニル、またはトルイルを含む群から選択される基で置換されている1つ以上のアミン基を有するメラミンのことであると理解することができる。このようなメラミン誘導体の例は、N,N’,N”−トリフェニルメラミンである。メラミン誘導体の別の例はメラミンシアヌレートである。本出願の場合、「メラミン縮合生成物」とは、2つ以上のメラミン化合物が互いに結合している化合物であると理解することができ、例えばメラム、メレム、メロン、およびより高次のオリゴマー、ならびにメントンであり、これらの縮合生成物は、例えばWO 96/16948に記載の方法を使用して得ることができる。
【0033】
好ましくは、窒素含有化合物は、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、およびメロン、またはそれらの混合物が選択される。この利点は、ポリアミド化合物のさらなる加工が容易となり、型内部での揮発性成分の分解が軽減されることである。
【0034】
本発明の難燃剤として使用することができる適切なメラミン−リン化合物は、例えば、リン酸メラミン類、例えばリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、およびポリリン酸メラミン、例えばメラパール(Melapur)(登録商標)200(DSM、オランダ)およびPMP−100(登録商標)(日産化学工業(Nissan Chemical Industries)、日本)、ならびにメラミン縮合生成物のリン酸塩、例えばポリリン酸メラム、例えばPMP−200(登録商標)(日産化学工業)、およびポリリン酸メレム、例えばPMP−300(登録商標)(日産化学工業)である。
【0035】
適切な有機リン化合物は、例えば有機リン酸塩(有機ホスフェート)、亜リン酸塩(ホスフィット)、ホスホン酸塩(ホスホネート)、ホスフィン酸塩(ホスフィネート)、およびホスフィンオキシドである。
【0036】
好ましくは、ホスフェート、ホスホネート、またはホスフィネートが選択される。このようなリン化合物の例は、例えば「Encyclopedia of Chemical Technology」,Vol.10,p. 396 ff.(1980)に記載されている。多くの種類のものが市販されており、例えば、オランダのアクゾ−ノーベル(AKZO−Nobel,NL)の商品名フィロルフレックス(Fyrolflex)(登録商標)RDPのレソルシノール−ビス(ジフェニルホスフェート)オリゴマー;英国のFMCの商品名クロニテックス(Kronitex)(登録商標)CDPのクレシル−ジフェニルホスフェート(CDP);米国のオルブライト・アンド・ウィルソン(Albright and Wilson)の商品名アムガード(Amgard)P45のメチルリン酸のトリメチロールプロパノールエステル;米国のオルブライト・アンド・ウィルソンの商品名アンチブレイズ(Antiblaze)(登録商標)1045のメチルホスホン酸のトリメチロールプロパノールエステル;米国のアメリカン・シアナミド(American Cyanamid)の商品名シアガード(Cyagard)(登録商標)RF 1041のポリペンタエリスリトールホスフェート;ドイツのクラリアント(Clariant)の環状ジ−ホスフェートおよびトリホスフェートの混合物であるホスタフラム(Hostaflam)(登録商標)OP 910が市販されている。
【0037】
好ましくは、低揮発性のリン化合物が難燃剤として選択される。リン含有率が少なくとも14重量%、好ましくは少なくとも18重量%である有機リン化合物を使用することも好都合である。リン含有率が少なくとも14重量%であるそのような有機リン化合物の例は、アムガード−P45、ならびにUS−A−4,208,321およびUS−A−3,594,347などに記載される金属ホスフィン酸塩である。
【0038】
本発明の別の好ましい形態では、ハロゲン化有機化合物を難燃剤として使用して本発明の方法が実施される。この方法では、同じ難燃剤を使用するがポリアミドオリゴマーは使用しない方法と比べて、変色の少ないポリアミド化合物を調製することができる。さらに、結果として得られる化合物は、工程を高いスクリュー速度で実施した場合でさえも、混合後の溶融物の押出成形において良好なストランド品質を示す。
【0039】
ハロゲン含有系として使用する上で適切なものは、例えば、難燃剤としてハロゲン含有難燃剤を含む系であり、例えば臭素化ポリスチレン、例えば、アルベマール(Albemarle)(米国)のピロチェック(Pyrochek)(登録商標)68PBおよびセイテックス(Saytex)(登録商標)HP7010、臭素化ポリフェニレンエーテル、例えばグレート・レークス(Great Lakes)(米国)のP064P(登録商標)、ポリジブロモスチレン、例えばグレート・レークスのPDBS80(登録商標)、ポリトリブロモスチレン、ポリペンタブロモスチレン、ポリジクロロスチレン、ポリトリクロロスチレン、ポリペンタクロロスチレン、ポリトリブロモ−α−メチルスチレン、ポリジブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリトリブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリジクロロ−p−フェニレンオキシド、ポリブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリブロモ−o−フェニレンオキシド、アクリル酸ペンタブロモベンジル、例えばアメリブロム(AmeriBrom)(米国)のFR1025(登録商標)、エチレンビス−テトラブロモ−フタルイミド、例えばアルベマール(米国)のセイテックス(登録商標)BT−93W、ポリブロモビフェニル、臭素化フェノキシ−および塩素−含有難燃剤、例えばデクロラン(DeChlorane)(登録商標)(オクシデンタル・ケミカル・コーポレーション(Occidental Chemical Corporation)、米国)、およびその他の臭素化化合物、例えばアルベマール(米国)のセイテックス(登録商標)8010である。
【0040】
本発明による方法では、複数の種類の難燃剤を組み合わせて使用することもできる。適切な組み合わせは、例えば窒素含有難燃剤とリン含有難燃剤との組み合わせであり、例えば、メラミン縮合生成物が、有機ホスフェート、ホスフェート、ホスホネート、およびホスフィネートからなる群より選択されるリン化合物と併用される。ハロゲン非含有難燃剤とハロゲン含有難燃剤との組み合わせを使用することもできる。当業者は、目的に応じて最適な組み合わせを選択することができる。
【0041】
本発明による方法によって調製される難燃性化合物中に、難燃剤は、ポリアミドの全量100重量部に対して1〜100重量部の間の量で使用される。ポリアミドの全量100重量部に対して、好ましくは、この量は少なくとも10重量部であり、より好ましくは少なくとも20重量部であり、最も好ましくは少なくとも30重量部である。高い難燃性を有する化合物には、より少ない最小量の難燃剤を使用すると好都合である。
【0042】
また、難燃剤の量は、好ましくはポリアミドの全量100重量部に対して、最大90重量部、より好ましくは最大85重量部、および最も好ましくは最大80重量部である。高い靭性および耐衝撃性を有する化合物には、より少ない最小量の難燃剤を使用すると好都合である。基本的に、最適な量は、体系的な調査によって、ポリアミド化合物の配合の当業者によって実験的に決定することができる。
【0043】
本発明による方法では、難燃剤以外に、相乗剤を使用することもできる。適切な相乗剤とは:
− アンチモン含有化合物、例えば三酸化アンチモン、例えばブラスター(Bluestar)(登録商標)RG(キャンピン(Campine)、ベルギー)、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸カリウム、アンチモン酸ナトリウム、例えばピロブロック(Pyrobloc)(登録商標)SAP−2(クックソン・スペシャルティ・アディティブズ(Cookson Specialty Additives))、酒石酸アンチモン;
− IIA族およびIIB族金属ホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、例えばファイアブレーク(Firebrake)(登録商標)ZB(ボラックス・インコーポレイテッド(Borax Inc.)、米国)
− 水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、および類似の物質である。
【0044】
特に、典型的にはハロゲン含有難燃剤は、アンチモン含有化合物と組み合わせて使用される。
【0045】
難燃性を促進する他の物質も場合により加えることができ、例えばポリフェニレンエーテルおよびポリカーボネートなどの炭素形成物質、およびポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーなどの液だれ挙動を改良した物質を加えるができる。
【0046】
液だれ防止成分として機能する成分を加えることもできる。適切な液だれ防止成分としては、例えば、少なくとも1種類のエチレン系不飽和モノマーと少なくとも1種類のカルボン酸含有モノマーとを含むモノマーから調製されるポリマーである。好ましくは、これらのモノマーは、エチレン系不飽和モノマーとしてエチレンを含む。
【0047】
本発明による方法を使用して溶融混合される組成物としては、本発明が実質的に損なわれるのでなければ、ポリマー化合物中に通常使用される当業者に公知の他の添加剤も含むことができ、特に、充填剤、顔料、加工補助剤、例えば離型剤、結晶化促進剤、核剤、潤滑剤、軟化剤、UVおよび熱安定剤などを含むことができる。特に、本発明による組成物は、無機充填剤または強化剤を含む。無機充填剤または強化剤として使用することが適切なものとしては、当業者に公知のあらゆる充填剤である。適切な強化剤としては、例えばガラス繊維、金属繊維、グラファイト繊維、アラミド繊維、ガラスビーズ、ケイ酸アルミニウム、アスベスト、マイカ、クレー、焼成クレー、およびタルクである。
【0048】
本発明による方法は、強化剤を含む難燃性ポリアミド化合物の調製に使用すると特に好都合である。強化剤を含む難燃性ポリアミド化合物の調製は一般に、未強化化合物よりも、難燃剤の劣化、またはポリアミド化合物の特性に対する難燃剤の悪影響の問題が大きい。本発明による方法では、化合物の機械的特性に対する難燃剤の悪影響が実質的に軽減された、難燃性強化ポリアミド化合物を調製することができる。
【0049】
好ましくは、強化剤としてガラス繊維が選択される。本発明による方法では、難燃剤の顕著な影響がなく、難燃性への顕著な低下もなく、高いガラス含有率の化合物を調製することもできる。
【0050】
本発明による方法は、溶融混合装置中で実施することができ、溶融混合によってポリマー化合物を調製する当業者は、公知のあらゆる溶融混合装置を使用することができる。適切な溶融混合装置は、例えば、ニーダー、バンバリー(Banburry)ミキサー、一軸スクリュー押出機、および二軸スクリュー押出機である。通常、溶融混合は、高分子量ポリアミドの溶融温度よりも高い加工温度において、ポリマー溶融物を形成することによって実施される。他の構成成分も含みうるが、特にポリアミドポリマー、ポリアミドオリゴマー、および難燃剤を含むポリアミド化合物の調製のための本発明による方法では、これらの構成成分が溶融混合装置に供給されて、装置中で溶融混合される。構成成分は、乾式混合物とも呼ばれる粉末混合物または顆粒混合物として同時に供給することができるし、別々に供給することもできる。別々に供給される場合、好ましくはポリアミド成分、すなわちポリマーおよびオリゴマーが最初に供給されて、溶融され、次に難燃剤が加えられて、ポリマー溶融物と混合される。このことは、高温および高剪断への難燃剤の曝露が制限されて劣化が起こりにくくなり、結果として、さらに改善された難燃性または色の維持が実現されるという利点を有する。ポリアミドポリマーおよびポリアミドオリゴマーを別々に供給することもできる。
【0051】
本発明は、重量平均分子量が少なくとも10,000g/molであるポリアミドポリマーと、難燃剤とを含む難燃性ポリアミド化合物であって、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が7,500g/mol以下であるポリアミドオリゴマーを含み、但し:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、
からなるのではない化合物にも関する。
【0052】
本発明によるポリアミド化合物は、前述の本発明の方法によって得られる生成物の利点を有する。
【0053】
典型的には、本発明によるポリアミド化合物は、
a)70〜99.9重量部の、重量平均分子量が少なくとも10,000g/molであるポリアミドポリマー、
b)0.1〜30重量部の、分子量が最高7500g/molであるポリアミドオリゴマー(a)+b)の全量が100重量部となる)、
c)1〜100重量部の難燃剤、
d)0〜50重量部の強化剤、
e)0〜25重量部の少なくとも1種類の他の成分からなる。
【0054】
本発明のポリアミド化合物の好ましい実施形態は、前述の本発明による方法の好ましい実施形態と直接関係している。
【0055】
本発明は、成形品を製造するための、本発明による難燃性ポリアミド化合物の使用にも関する。ポリアミドオリゴマーを含有しない対応する化合物よりも低い加工温度および/または低い圧力で化合物の加工を実施できることが利点である。さらに、ハロゲン非含有有機難燃剤を含む化合物から製造された部品は、難燃性に優れ改善された機械的特性を有し、一方、難燃剤としてハロゲン化有機化合物を含む部品は変色が緩和される。
【実施例】
【0056】
これより、以下の実施例を参照しながら本発明を説明するが、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0057】
<材料>
[PP−A] ポリアミドポリマー:スタニル(Stanyl)(登録商標)KS200(DSM製、オランダ):ポリアミド−4,6ポリマー、Mw=36000、粘度数(蟻酸)=160;Tmelt=295℃。
[PO−A] ポリアミドオリゴマー:(DSM製、オランダ):Mw=2,000、Tmelt=288℃。
[MPP−200] ポリリン酸メラミン:メラパール200(DSM製、オランダ):窒素含有率42〜44重量%;リン含有率12〜14重量%。
[PMP−100] ポリリン酸メラミン;(日産化学工業);リン含有率14.5重量%。
[ガラス繊維] ポリアミド化合物用の標準的なガラス繊維;平均繊維直径10μm。
[FR−BR] 臭素化ポリスチレン:ピロチェック68PBC(アルベマール製);Br含有率68重量%。
[Sb203−MB] 三酸化アンチモン:アンチオックス(Antiox)GR 2617(キャンピン);ポリアミド−6中の80%マスターバッチ。
【0058】
<物理的特性の測定>
[粘度数]:酢酸中で測定、ISO 307に準拠
[引張強度]:23℃および5mm/分で測定、ISO 527に準拠
[破断時伸び]:23℃および5mm/分で測定、ISO 527に準拠
[ノッチ付きアイゾッド]:ISO 180/1Aに準拠して23℃で測定
[分子量]:標準的GPC技術を使用して測定
[融点]:DSCを使用して測定(2回目の測定、10℃/分)。
[難燃性]:アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriters Laboratories)試験方法UL 94に従い、0.8mmの試験棒を使用し、23℃および相対湿度50%で48時間コンディショニングをして、それぞれ70℃で168時間測定。
[嵩密度]:ASTM D 1895−96試験方法Aに従って測定。
【0059】
<ポリアミド化合物の調製>
(実施例Iおよび比較実験A)
どちらも化合物の全重量に対して30重量%のMPP−200を含み、PP−AおよびPO−Aの組み合わせを含む実施例Iによるポリアミド化合物、ポリアミドとしてPP−Aのみを含む比較実験A(表I参照)を、ワーナー・アンド・プフライデラー(Werner & Pfleiderer)ZSK−40二軸スクリュー押出機で300℃の平坦な温度分布を使用して構成成分を溶融混合することによって調製した。成分はホッパーから供給し、ガラス繊維はサイドフィードから加えた。押出量は60kg/hであり、スクリュー速度は250rpmであった。ポリマー溶融物は、押出機の終端部で脱気した。この溶融物をストランドに押出成形し、冷却し、細断して顆粒状にした。
【0060】
これらの顆粒を、ISO 527/1A多目的試験片および太さ0.8mmのUL 94試験棒に準拠する試験棒に射出成形した。これらの試験棒を使用して、化合物の難燃性および機械的特性を測定し、その結果を表Iに記載した。
【0061】
【表1】



【0062】
(実施例IIおよび比較実験B)
実施例IIおよび比較実験Bは、PMP−100を難燃剤として使用したことを除けば実施例Iおよび比較実験Aと同様の化合物である。化合物の調製に使用した加工条件は、実施例Iおよび比較実験の場合と同じであった。それぞれの顆粒から作製した射出成形品から得られた試験結果を表IIにまとめた。
【0063】
【表2】



【0064】
(実施例III〜VIIIおよび比較実験C〜D)
実施例III〜VIIIおよび比較実験C〜Dは、FR−68およびSb2O3を主成分とするハロゲン化難燃剤系を使用し、標準的なガラス繊維、安定剤、および潤滑剤を添加剤としてさらに含むポリアミド化合物である。比較実験C〜DはポリアミドとしてPP−Aのみを含むが、実施例III〜VIIIは、PP−AとPO−Aとの組み合わせを含み、異なる量でPO−Aを含有する。さらに、化合物は、バーストドルフ(Berstdorf)ZE−40二軸スクリュー押出機を使用し、同様の温度設定(平坦な温度分布300℃)において、175kg/hの押出量、および2種類のスクリュー速度で調製した。得られた押出物の品質を、ペレットのストランド品質、色、および嵩密度に関して測定した。それぞれの化合物についての加工条件および結果を表IIIに示す。
【0065】
【表3】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が少なくとも10,000g/molである少なくとも1種類のポリアミドポリマーと、難燃剤とを含む組成物を溶融混合するステップを含む難燃性ポリアミド化合物の調製方法であって、前記組成物が、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーを含むことを特徴とし、但し、溶融混合される前記組成物が:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、からなるのではない方法。
【請求項2】
前記ポリアミドポリマーが、溶融温度が少なくとも260℃のポリアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアミドオリゴマーが、溶融温度が少なくとも260℃のポリアミドである、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記難燃剤がハロゲン非含有難燃剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記難燃剤がハロゲン化有機化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミド組成物が強化成分を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
重量平均分子量が少なくとも10,000g/molであるポリアミドポリマーと、ポリアミドの全重量に対して1〜100重量%の量の難燃剤とを含む難燃性ポリアミド化合物であって、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーに由来することを特徴とし、但し、溶融混合される前記組成物が:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、
からなるのではない化合物。
【請求項8】
成形品を製造するための、請求項8に記載のポリアミド化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が少なくとも10,000g/molである少なくとも1種類のポリアミドポリマーと、難燃剤とを含む組成物を溶融混合するステップを含む難燃性ポリアミド化合物の調製方法であって、前記組成物が、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーを含むことを特徴とし、但し、溶融混合される前記組成物が:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、からなるのではない方法。
【請求項2】
前記ポリアミドポリマーが、溶融温度が少なくとも260℃のポリアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアミドオリゴマーが、溶融温度が少なくとも260℃のポリアミドである、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記難燃剤がハロゲン非含有難燃剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記難燃剤がハロゲン化有機化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミド組成物が強化成分を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
重量平均分子量が少なくとも10,000g/molであるポリアミドポリマーと、ポリアミドの全重量に対して1〜100重量%の量の難燃剤とを含む難燃性ポリアミド化合物であって、ポリアミドの全重量に対して0.1〜30重量%の量の、重量平均分子量が最高7,500g/molであるポリアミドオリゴマーに由来することを特徴とし、但し、溶融混合される前記組成物が:
i)100重量部のポリアミドポリマー、0.001〜10重量部の、分子量が5000以下であり末端として5〜30個の炭素を有する炭化水素基を有するポリアミドオリゴマー、および1〜25重量部のトリアジン難燃剤;
ii)100重量部のポリアミド−6,6ポリマー、15重量部の、分子量が1000でありステアリン酸とエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および7重量部のメラミンシアヌル酸;または
iii)100重量部のポリアミド−6ポリマー、0.5重量部の、分子量が1200でありステアリルアミンとエチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物からなるポリアミドオリゴマー、および27重量部のメラミンシアヌル酸、
からなるのではない化合物。
【請求項8】
成形品を製造するための、請求項に記載のポリアミド化合物の使用。


【公表番号】特表2006−509885(P2006−509885A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560711(P2004−560711)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000873
【国際公開番号】WO2004/055109
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505220217)デーエスエム アイピー アセッツ ベー. ヴェー. (29)
【Fターム(参考)】