説明

難燃性発泡性ポリマー

本発明は、少なくとも1つの発泡剤を含有する難燃性発泡性ポリマーに関し、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている。難燃剤として以下のもの:新規9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオンアンモニウム塩、9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン、9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオントリエチルアンモニウム塩など、又はその開環加水分解物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシドの少なくとも1つの新規誘導体を含有している少なくとも1つの発泡剤を有する難燃性発泡性ポリマーに関する。
【0002】
また本発明は、前記難燃剤で保護されたポリマーフォーム、その製造法ならびに発泡性ポリマー及びポリマーフォームにおける上記難燃剤の使用に関する。
【0003】
従来技術
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド(DOPO):
【化1】

は、1970年代の初めから公知で慣用の難燃剤であり、かつSanko Chemical Co. Ltd.社によりDE2034887に初めて記載されている。この文献には、一般に下記の式:
【化2】

[式中、
後者の式の化合物は、開環加水分解の生成物であり、かつ記号は以下の意味を有する:
Zは、酸素、硫黄であるか又は存在しない;
Xは、水素、塩素、メチル又はフェノキシであり、
Yは、水素、塩素又はC1〜4−アルキルであり、かつ
n=0、1又は2である]
の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体の基が開示されている。
【0004】
更に上記文献では、オルト−フェニルフェノール誘導体と三塩化リン、トリフェニルホスフィット、フェノキシジクロロホスフィン又はジフェノキシクロロホスフィンの反応による化合物の製造ならびにその難燃剤(とりわけ)としての使用が開示されている。実施例では、硫黄だけを含有する誘導体として、以下の反応:
【化3】

による"DOPS-OPh"が製造され、かつ分析されている。
【0005】
この場合に"DOPS"の略語は、DOPOの硫黄類似体、すなわち9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−スルフィド又は−10−チオン:
【化4】

を示す。
【0006】
それ以来、難燃剤として使用するためのオキサホスファフェナントレン環系をベースとする多くの誘導体が特許文献で記載されてきた。
【0007】
従って、Shinichi等は、US4198492(Asahi Dow社)にて以下の式:
【化5】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Zは、酸素又は硫黄であり、
q=0又は1であり、
Xは水素、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、C1〜10−アルキル、C1〜10−アルコキシ、C1〜10−アルキルチオ又は場合によりヒドロキシ置換されたC6〜10−アリールオキシであり、
Y1とY2は、C1〜8−アルキル、C1〜8−アルコキシ又はアリール基であり、かつ
nとpは、0〜4の整数である]
のDOPO誘導体の、ポリフェニレンエーテル樹脂における難燃剤としての使用を開示している。
【0008】
Z=硫黄である化合物の具体例として、X=H、アルコキシ及びアリールオキシである誘導体が挙げられ、この中に明白にDOPSも含まれる。しかし硫黄だけを含有する誘導体として、以下の化合物:
【化6】

が挙げられる。
【0009】
しかし、この物質は更に詳細に特徴付けられず、単に樹脂混合物中に組み込まれ、その特性が試験され、その際に特に点火測定で平均的な結果が達成されている。
【0010】
"DOPS-Cl"誘導体:
【化7】

も同様に多くの文献で開示されている。
【0011】
従って、Chernyshev等は、Zhurnal Obshchei Khimii 42(1)、93〜6(1972)にDOP-Clと硫黄をDOPS-Clにする反応を記載している。かつBhatia等は、Chemistry & Industry 24、1058(1975)にPSCl3とオルト−フェニルフェノールから出発するDOPS-Clの製造を記載している。
【0012】
US 2008/153950(The Dow Chemical Company)には、一般に以下の式:
【化8】

[式中、
XとX’は、酸素又は硫黄であり;
m=0、1又は2であり;
Tは共有結合、酸素、硫黄又は−NR4−であり、その際、XとTの少なくとも1つは硫黄であり、Rは、場合により互いに結合した炭化水素基であり;
Aは、有機リンカー基であり;かつ
nは、少なくとも1、有利には少なくとも2の整数である]
のリン−硫黄化合物のポリマーにおける難燃剤としての使用が開示されている。有利には、該化合物は以下の式:
【化9】

に相応し、若干の実施態様では、以下の構造も可能である:
【化10】


【0013】
この場合に有機リンカー基Aは、n価の非分枝又は分枝、場合により置換されたアルキレン基であってもよく、幾つかの場合にはリンを含んでいてもよい。二価のリンカーの単鎖の例として、基−CH2−CH=CH−CH2−(2−ブテニレン)が幾度か挙げられる。先に記載したこのようなホスファフェナントレン誘導体(XとX’=0、かつT=S)の合成は、DOPOと、元素硫黄及び個々のリンカーのハロゲン誘導体の反応により行われる。X又はX’=Sであるホスファフェナントレン誘導体は、具体的に記載も製造もされていない。
【0014】
Dow Global Technologies社のWO 2009/035881には、難燃性ポリマー組成物が記載されており、その際、様々なリン含有化合物が作用成分として使用されている。これに関して、リンに結合した4個のヘテロ原子(酸素又は硫黄)を有する多くの化合物の構造が主に記載されている。すなわち、より明確にはリン酸の塩又はエステルならびに様々なチオリン酸が時折ポリマーの形で記載されている。
【0015】
この中で、水素の代わりに2個のDOPS分子中にスルフィド架橋又はジスルフィド架橋により互いに結合したDOPSのダイマー(すなわち"DOPS-S-DOPS"もしくは"DOPS-S2-DOPS")の構造ならびにその類似体も見出され、その際に、ジヒドロオキサホスファフェナントレン(DOP)の酸素は硫黄で置換されている。すなわち、ジヒドロホスファスルファフェナントレン(DPS)誘導体(いわば"DPSS-S-DPSS"もしくは"DPSS-S2-DPSS")。
【0016】
しかしWO2009/035881には、唯一のDOPO−誘導体は実際に製造されず、かつ特徴付又は再現可能にも開示されず、専ら非芳香族化合物だけが開示されている。
【0017】
従って、文献からはDOPOとその様々な誘導体は良好な難燃特性を有することが公知であり、その際に、この作用はこれらの化合物が加熱される際にリン含有ラジカルを遊離することに基づいているようである(例えば、Seibold等、J. Appl. Polym. Sci. 105(2), 685〜696(2007)参照)。しかし、更に新規物質は増大した難燃作用を提供することが望ましく、特に気相活性を改善するものが望ましい。
【0018】
更なる誘導体の製造は、例えばDOP-Clから出発して行われる。これに関して、Ciesielski等は、Polymers for Advance Technologies 19, 507(2008)に、DOP-Clから出発するDOP-NHPrの製造を記載している。更に、ホスフィット、アルキルホスフィット及びクロロホスフィットのより一般的な反応は、例えば、以下の文献に記載されている:US 2805241(Ciba)には、ジアルキルホスフィット及びジアリールクロロホスフィットと硫化水素及び化学量論量の塩基の反応が記載されている。US 4220472(Sandoz)には、Cl-P=S基の加水分解が記載されている。このように例えば、特にClariant社の商品で得られる難燃剤Sandoflam(R)は製造されている。Kabatschnik等、Chem. Zentralbl. 127, 11232(1956)及びBorecki等、J. Chem. Soc. 1958、4081〜4084には、H-P=O基と硫黄の反応が記載されている。Seeberger等はTetrahedron 55(18)、5759-5772(1992)に、H-P=S基と硫黄の反応ならびに水と組み合わせたヨウ素とのその酸化を例示的に示している。
【0019】
WO 99/10429(Albemarle社)では、スチレンポリマーにおいて場合により硫黄含有の有機リン化合物と、難燃剤としての元素硫黄を組み合わせた使用が一般に開示され、改善された難燃特性が作用している。しかし、ここでDOPO及びその誘導体は言及されていない。
【0020】
難燃剤でのポリマーフォーム又は発泡性ポリマーの処理は多くの用途において、例えば発泡ポリスチレン(EPS)からのポリスチレン粒子フォーム又はポリスチレン−押出しフォームシート(XPS)において建築物を断熱するために重要である。今日までに、主にハロゲン含有、特に臭素化有機化合物、例えば、ヘキサブロモシクロドデセン(HBCD)は、ポリスチレンホモポリマー及びコポリマーに使用されてきた。しかし、これらの一連の臭素化物質は、潜在的な環境や健康への悪影響のため懸念されるか又は既に禁止されてきている。
【0021】
代替品として様々なハロゲン不含難燃剤が存在する。しかしハロゲン不含難燃剤はハロゲン含有難燃剤と同じ難燃作用を達成するために、通常は著しく多量に用いらなくてはならない。
【0022】
この理由で、熱可塑性圧縮ポリマーにおいて使用可能であるハロゲン不含難燃剤を同じ方法でポリマーフォームにおいて使用できない。それというのも、これらはフォーミング過程で阻害されるか、又はポリマーフォームの機械及び熱特性に影響を与えるからである。懸濁重合による発泡ポリスチレンの製造では、多量の難燃剤は更に懸濁液の安定性を下げ、ひいては製造法を妨げるか又は影響を及ぼしてしまう。
【0023】
ポリマーフォームにおいて圧縮ポリマーに使用される難燃剤の作用は、このようなフォームの特性及びそれらの様々な火炎挙動のため、又は様々な火災試験のため、しばしば予測不可能である。
【0024】
これに関して従来技術からWO 2006/027241では、ポリマーフォーム用のハロゲン不含難燃剤が記載されている。これは、フォーミング過程及び機械特性に実質的に影響が無く、かつ主に独立気泡ポリマーフォームの製造を可能にする。1970年代初めから公知でかつ使用されてきたこれらの難燃剤はリン化合物であり、かつ例えば、JP-A 2004-035495、JP-A 2002-069313又はJP-A 2001-115047により製造されている。上記酸化リン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(6H-ジベンズ[c,e]−オキサホスホリン−6−オキシド、DOP-O、CAS[35928-25-5])が特に有利に挙げられる。
【0025】
しかしこの難燃剤の場合では、十分な品質の製品を得るために比較的に高濃度の難燃剤が必要であり、かつこれらの高濃度はフォーム構造及びマトリックスの安定性に強い影響を与える。更に、EN 11925により試験される欧州fire class E又はDIN 4102により試験されるB1を達成できていない。
【0026】
従って、本発明の対象はハロゲン不含であるが、品質的に相応した難燃性発泡性ポリマーを提供することであり、該ポリマーは特に少量で使用されるべきであり、又は後続のフォーミング過程及びフォームの機械特性に実質的に影響しない難燃剤を含有する。
【0027】
更に本発明の対象はこのようなポリマーを製造する有利な方法を提供することである。
【0028】
本発明のもう1つの対象は、有利な火炎挙動及び良好な機械特性を有するハロゲン不含であるが、品質的に相応する難燃性ポリマーフォームならびにその有利な製法を提供することである。
【0029】
本発明の開示
現在の調査では、以下の式I:
【化11】

[式中、Xは水素、OH及びSH及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びホスホニウム塩、二価のリンカー基Znから選択され、これは2個の同じ又は異なるジヒドロオキサホスファフェナントレニル基に結合し、以下の式II:
【化12】

(式中、Y、Y1、Y2及びZは、互いに独立に酸素原子又は硫黄原子を示すが、但し、式I中XとYのうち少なくとも1つ、かつ式II中Y1、Y2及びZのうち少なくとも1つは硫黄原子であるか又は硫黄原子を含む;
nは少なくとも1の整数であり、その際、Zが酸素原子である場合にはn=1であり、かつZが硫黄原子である場合にはn=1〜8である;
基Rは、それぞれ互いに独立に場合により置換された1〜8個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ又はアルキルチオ基を示すか又は場合により置換されたアリール基を示し、かつ
mは、それぞれ互いに独立に0〜4の整数を示す)
のダイマーを生じる]に相応する化合物の基がDOPO及びその他の比較物質と比べて高い難燃作用を有することが確認されている。
【0030】
このような化合物の開環加水分解物も上記にように難燃特性を示す。
【0031】
本明細書中では、本発明の化合物の任意の置換基Rの"アルキル"部分は、非分枝又は分枝であってもよい飽和及び不飽和脂肪族の両方を意味すると解釈され、その際不飽和基が有利である。置換基Rは、有利には6個以下、より有利には4個以下又は3個以下、更に有利には2個以下の炭素原子を有する単鎖アルキル基、又はアリール基としてフェニルを含み、かつmは有利には0〜2である。それというのも、長鎖の基、高い飽和度及び多数の置換基は、難燃作用に不利な影響を与え得るからである。最も有利には、m=0である。すなわち本発明の化合物は最も有利には不飽和である。
【0032】
置換基Rが存在する場合には、これらは有利には硫黄含有置換基、例えば、−SH、−SO3NH4−、−SO−又は−SO2−、又はリン含有置換基、例えば、−PO(ONH42又はそのようなものを有し、防火作用を更に改善する。
【0033】
本発明の化合物のSH−又はOH−基の任意の塩のうちアンモニウム塩及びホスホニウム塩が有利である。それというのも、これらも同様に難燃作用に寄与するからである。アンモニウムイオン及びホスホニウムイオンは、水素原子の代わりに先に定義した4個までの有機基を有していてもよい(すなわちNR4+又はPR4+)。その際、アンモニウムの場合には水素が置換基として有利である。
【0034】
これらの難燃剤を用いれば、改善された難燃作用を有するポリマー及びポリマーフォームの製造を可能にする。このことは、特定の理論に固執されるべきではないが増大した気相活性ならびに改善された特性に基づいていると考えられる。更には同じ効果を達成するために比較的に少量で十分である。
【0035】
従って第一の態様では、本発明は難燃剤として、以下のリン化合物又はその環開加水分解物又は塩を含有する膨張可能又は膨張性又は発泡性のポリマーを含有する新規の発泡剤含有難燃性ポリマーに関し、具体的には、難燃剤として特に式I
【化13】

の幾つかの新規9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわちXが水素であり、Yが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS"):
【化14】

;XがOHであり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシー9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS-OH"):
【化15】

;XがONH4であり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドアンモニウム塩("DOPS-ONH4"):
【化16】

;XがSHであり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS-SH"):
【化17】

;XがSNH(Et)3であり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドトリエチルアンモニウム塩("DOPS-SNH(Et)3"):
【化18】

;XがONH(Et)3であり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドトリエチルアンモニウム塩("DOPS-ONH(Et)3"):
【化19】

;XがOMelであり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドメラミニウム塩("DOPS-OMel"):
【化20】

;及び
XがOGuaであり、かつYが硫黄である式Iの化合物、すなわち9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドグアニジウム塩("DOPS-OGua"):
【化21】

;ならびにXが二価のリンカー基Znであり、これが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基に結合し、式II:
【化22】

のダイマー、すなわち、Y1とY2がそれぞれ酸素であり、Zが硫黄であり、かつn=1である式IIの化合物、すなわちビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−イル)−スルフィド("DOPO-S-DOPO"):
【化23】

;Y1とZがそれぞれ硫黄であり、Y2が酸素であり、かつn=1である式IIの化合物、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルチオ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド("DOPS-S-DOPO"):
【化24】

;Y1、Y2及びZがそれぞれ硫黄であり、かつn=1である式IIの化合物、すなわち、ビス(9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド("DOPS-S-DOPS"):
【化25】

;Y1、Y2及びZがそれぞれ硫黄であり、かつn=2である式IIの化合物、すなわち、ビス(9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)ジスルフィド("DOPS-S2-DOPS"):
【化26】

;Y1、Y2及びZがそれぞれ硫黄であり、かつn=4である式IIの化合物、すなわち、ビス(9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)テトラスルフィド("DOPS-S4-DOPS"):
【化27】

;Y1とY2が硫黄であり、Zが酸素であり、かつn=1である式IIの化合物、すなわち、ジ(9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)エーテル("DOPS-O-DOPS"):
【化28】

;及び
Y1が硫黄であり、Y2とZがそれぞれ酸素であり、かつn=1である式IIの化合物、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−(9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルオキシ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド("DOPS-O-DOPO"):
【化29】

を生じる幾つかの新規9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体を有する。
【0036】
当業者は、適切な条件下に式I及びIIの本発明の化合物の環状ホスホン酸又はホスフィン酸エステルを容易に加水分解できるので、"開環加水分解物"も本発明の保護範囲内である。従って、これらは以下の構造:
【化30】

を含有する化合物を示すと解釈され、その際、この構造は上記式IIによるダイマーのモノマー単位の1つ又は両方において存在していてもよい。よって、このようなダイマーは同様に"開環加水分解物"の定義にも相当する。それというのも、このような加水分解物は難燃剤としても有効であるからである。
【0037】
上記化合物の幾つかの構造は確かに文献に記載された式に含まれているが、これまでにこれらのうちの1つも具体的に記載されておらず、実際に合成又は更に詳細に特徴付けもされていない。幾つかのDOPSの式はDE2034887とUS4198492に含まれ、後者の文献にはDOPS-OHも含まれている。上記のように、構造DOPS-S-DOPSとDOPS-S2-DOPSは既に正式にWO2009/035881に記載されているが、しかしこれらの化合物は合成又は更に詳細に特徴付けられていない。しかし、今では成功していて、かつこの特殊な化合物が開示された他の代表的な類似した結合基よりも改善された難燃特性を有し、かつその際に、元素硫黄及び他の硫黄含有化合物との相乗効果を有することが分かっている。
【0038】
後の実施例で示されるように、上記の新規化合物は単独でも、その幾つかの混合物としても又は難燃組成物中に含有され極めて優れた難燃特性を有する。この難燃剤を用いて、改善された難燃作用及び改善された特性を有するポリマー又はポリマーポリマーを製造できた。更に、フォーミングに影響を与えることなく、既に比較的に少量でも十分に同じ効果を達成できる。
【0039】
本発明の有利な実施態様は、新規化合物が元素硫黄及びその他の硫黄含有化合物と組み合わさって難燃剤として相乗効果を示す意外な発見により特徴付けられる。
【0040】
このように得られる発泡性ポリマーは、少なくとも1つの難燃剤が元素硫黄及び/又は更なる硫黄含有化合物もしくは硫黄化合物と、ポリマーの全体量に対して、特に0.1〜10質量%の量、特に約0.5〜5質量%の量、有利には約2質量%の量で組み合わさって使用されることにより特徴付けられる。この更なる硫黄含有化合物は、少なくとも1つのS-S結合を有し、その際、硫黄原子のうち少なくとも1つは二価の形であるのが有利である。
【0041】
硫黄化合物として、例えば、スルフィド、スルフィット、スルフェート、スルファン、スルホキシレート、スルホン、スルホネート、チオスルフェート、チオナイト、チオネート、ジスルフェート、スルホキシド、硝酸硫黄、ハロゲン化硫黄及び/又は有機硫黄化合物、例えば、チオール、チオエーテル、チオフェンなどが有利に使用可能である。
【0042】
更に、硫黄化合物は、EN ISO 11358による熱質量分析法(TGA)において115℃未満で10質量%未満の質量損失を有するのが有利であることが判明した(例えば、チオ硫酸アンモニウム、ジカプロラクタムジスルフィド、硫化亜鉛、ポリフェニレンスルフィドなど)。
【0043】
特に有利には、硫黄含有化合物又は硫黄化合物は、少なくとも1つのS-S結合を有し、その際、硫黄原子のうち少なくとも1つは二価の形で存在し、例えば、ジスルフィット、亜ジチオン酸塩、シスチン、アミルフェノールジスルフィド、ポリ(t−ブチルフェノールジスルフィド)などである。
【0044】
比較例は、本発明の新規化合物を元素硫黄又は硫黄含有化合物と組み合わせて使用する場合に、これが相乗効果を示し、公知の添加剤DOPOと比べて著しく改善された難燃性を示すことが明らかに示されている。
【0045】
有利には、ハロゲン不含の難燃性ポリマーフォームは熱可塑性ポリマー、特にスチレンポリマーを含有する。
【0046】
本発明の発泡性ポリマーは、有利には発泡性スチレンポリマー(EPS)又は発泡性スチレンポリマー(EPS)粒状物である。有利には、これらはスチレンのホモポリマー及びコポリマー、有利には無色透明のポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合ポリスチレン又は耐衝撃性ポリスチレン(A-IPS)、スチレン−α−メチルスチレンのコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルエステル(ASA)、メチルアクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)ポリマー、又はこれらの混合物、又はポリフェニレンエーテル(PPE)との混合物から成る。特にポリスチレンに関しては品質的に価値の高い製品に対する需要が特に高い。
【0047】
機械特性又は温度耐性を改善するために、前記スチレンポリマーを場合により相溶剤の使用下に、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリアミド(PA)、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン、又はポリエーテルスルフィド(PES)、又はこれらの混合物と、通常は全部で最大30質量%の混合物の割合で、ポリマー溶融物に対して有利には1〜10質量%の範囲内の割合で混合することもできる。
【0048】
更に、上記の量の範囲での混合物は、例えば、疎水性に変性又は官能化されたポリマーもしくはオリゴマー、ゴム、例えばポリアクリレート又はポリジエン、例えば、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、又は生分解性脂肪族又は脂肪族/芳香族コポリエステルを用いて製造することができる。
【0049】
相溶剤として、例えば、無水マレイン酸変性スチレンコポリマー、エポキシド基含有ポリマー又はオルガノシランが適切である。
【0050】
発泡性ポリマーの有利な実施態様は、化合物を単独で難燃剤として、例えばプラスチック材料において使用することができ、その際、これらは有利にはポリマーの全質量に対して0.1〜25質量%の割合で、有利には3〜10質量%の割合で存在するか、又は難燃組成物の成分として存在でき、該組成物はこのような組成物中で通常含まれるような任意の更なる成分を含有していてもよい。これらには、例えば、有機ペルオキシド、例えば、ジクミルペルオキシド、金属水酸化物、窒素化合物、例えば、メラミン、ナノ粒子などが含まれる。
【0051】
リン化合物の作用は、適切な難燃相乗剤、例えば、熱的ラジカル形成剤、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド又はジクミルの添加により更に改善することができる。
【0052】
また、様々な付加的な難燃剤、例えば、メラミン、メラミンシアヌレート、金属酸化物、金属水酸化物、ホスフェート、ホスフィネート又は相乗剤、例えば、Sb2O3又はZn−化合物を使用することもできる。
【0053】
ポリマー又はポリマーフォームを完全にハロゲン不含にする必要が無い場合には、ハロゲンを減らしたフォームをリン化合物の使用により製造してもよく、かつ少量のハロゲン含有の、特に臭素化難燃剤、例えばヘキサブロモシクロデカン(HBCD)を有利には0.05〜1質量%の範囲内、特に0.1〜0.5質量%の範囲内の量で添加することにより製造してもよい。
【0054】
ハロゲン不含の、難燃性ポリマーフォームは、有利には8〜200g/lの範囲内、特に有利には10〜50g/lの範囲内の密度を有し、かつ有利には80質量%を上回る、特に有利には95〜100%まで独立気泡である。
【0055】
本発明のもう1つの態様は、このようなポリマーの製造に関する。本発明によれば、上記の難燃性発泡性ポリマーは、上記難燃剤及び場合により硫黄及び/又は場合により少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物の混合により自体公知の方法で製造できる。
【0056】
有利な方法は、ダイナミック又はスタチックミキサーを用いて難燃剤及び発泡剤をスチレンポリマー溶融物と混合し、引き続き造粒することを含む。
【0057】
二者択一的に、ダイナミック又はスタチックミキサーを用いて難燃剤を混合して、なお粒状のポリスチレンポリマーにし、かつ次に溶融し、かつ該溶融物を引き続き含浸及び造粒することにより提供してもよい。
【0058】
二者択一的に、ダイナミック又はスタチックミキサーを用いて難燃剤を混合して、なお粒状のEPSにし、かつ該混合物を引き続き溶融し、かつ造粒することにより提供してもよい。
【0059】
二者択一的に、更に造粒は難燃剤及び発泡剤の存在で、水性懸濁液中でのスチレンの懸濁重合により行われていてもよい。
【0060】
硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物は、難燃剤と同時に添加される。
【0061】
本発明の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造する本発明の方法は以下の工程を有する:
押出機中に、>120000g/mol、有利には150000〜250000g/mol、特に有利には180000〜220000g/molの分子量Mwを有するPS又はEPS粒状物及び難燃剤、及び場合により1つ以上の更なる添加剤を一緒に供給し、
− 押出機内で全ての成分を一緒に溶融し、
− 場合により少なくとも1つの発泡剤を供給し、
− 全ての成分を>120℃の温度で混合し、
− 30〜100℃、特に50〜80℃の水温で例えば、1〜20barで、<5mmの粒状物サイズ、有利には0.2〜2.5mmに加圧水中造粒により造粒し、
− 場合により被覆剤、例えばシリケート、脂肪酸の金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドで表面を被覆する。
【0062】
本発明のハロゲン不含の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)とスチレンポリマー押出フォーム(XPS)は、発泡剤と上記リン化合物の1つ以上又はその加水分解物又は塩、及び場合により硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物をポリマー溶融物中に混入し、かつ引き続き押出し、発泡シート、フォーム担体又は発泡粒状物を製造してもよい。
【0063】
有利には、発泡性スチレンポリマーは>120000、特に有利には180000〜220000g/molの範囲内の分子量を有する。剪断及び/又は温度効果による分子量の減少により、発泡ポリスチレンの分子量は、使用されるポリスチレンの分子量よりも通常約10000g/mol少ない。
【0064】
更に、スチレンポリマー溶融物に上記熱可塑性ポリマーの再生物、特にスチレンポリマー及び発泡性スチレンポリマー(EPS)をそれらの特性を実質的に劣化させない量で、通常は最大50質量%、特に1〜20質量%の量で添加してもよい。
【0065】
発泡剤含有スチレンポリマー溶融物は、通常は1つ以上の均一に分布した発泡剤を、発泡剤含有スチレンポリマー溶融物に対して、全部で2〜10質量%の割合、有利には3〜7質量%の割合で含有する。発泡剤として、EPSで通常使用される物理的な発泡剤、例えば、2〜7個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル又はハロゲン化炭化水素が適切である。有利には、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン又はn−ペンタンが使用される。XPSに関して、有利にはCO2又は、アルコールもしくはケトンとの混合物が使用される。
【0066】
添加される発泡剤の量は、発泡性スチレンポリマー(EPS)が7〜200g/l、有利には10〜50g/lの発泡性を有するように選択される。
【0067】
本発明の発泡性スチレンポリマー粒状物(EPS)は、通常最大で700g/l、有利には590〜660g/lの範囲内の嵩密度を有する。
【0068】
スチレンポリマー溶融物に、添加剤、核形成剤、充填剤、可塑剤、可溶性及び不溶性無機及び/又は有機染料及び顔料、例えば、IR吸収剤、例えば、カーボンブラック、グラファイト又はアルミニウム粉末を一緒に又は別々に、例えばミキサー又はサイド押出機により添加してもよい。通常は、染料及び顔料は、0.01〜30質量%の範囲内、有利には1〜10質量%の範囲内の量で添加される。スチレンポリマー中の顔料の均一かつ微細な分布に関して、極性顔料では分散助剤、例えば、オルガノシラン、エポキシ基含有ポリマー、又は無水マレイン酸グラフトスチレンポリマーを使用するのが有利である。有利な可塑剤は、鉱油、フタレートであり、これはスチレンポリマーに対して0.05〜10質量%の量で使用することができる。
【0069】
本発明のもう1つの対象は、難燃剤として上記リン化合物又はその開環加水分解物又は塩のうち少なくとも1つを含有しているポリマーフォーム、特にスチレンポリマー粒子フォーム、又は押出ポリスチレン硬質フォーム(XPS)に関する。
【0070】
有利には、硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物を更に含有することもできる。
【0071】
このポリマーフォームは、本発明の難燃性発泡性ポリマー、特に発泡性スチレンポリマー(EPS)から、特にポリマーのフォーミング及び焼結により、又は押出しにより得られる。
【0072】
特に有利なポリマーフォームは、7〜200g/lの間の密度を有し、かつ1mm3当たり0.5気泡を上回る殆ど独立した気泡構造を有する。
【0073】
本発明によれば、前記リン化合物又はその開環加水分解物又は塩の少なくとも1つは、発泡性ポリマーにおいて、特に発泡性スチレンポリマー(EPS)又は発泡性スチレンポリマー(EPS)粒状物において、またはポリマーフォーム、特に発泡性ポリマーからフォーミングにより得られるスチレンポリマー粒子フォームにおいて、又は押出ポリスチレン硬質フォーム(XPS)において難燃剤として使用される。
【0074】
難燃性押出ポリスチレン硬質フォーム(XPS)を製造するために、難燃剤及び発泡剤、及び場合により硫黄及び/又は硫黄含有化合物又は硫黄化合物の少なくとも1つは、ダイナミックミキサー又はスタチックミキサーを用いてスチレンポリマー溶融物と混合され、引き続きフォーミングされるか、又はダイナミックミキサー又はスタチックミキサーを用いて、難燃剤はなお粒状のポリスチレンポリマーに添加され、かつ溶融され、引き続き溶融物は含浸及びフォーミングされる。
【0075】
これらのポリマー及びフォームの後仕上げを当業者に保証するために、まず以下のことを記載する:
難燃剤及びその誘導体の製造
本発明の難燃剤及びその誘導体は、例えば、DOPO、DOP-Cl、DOPS、DOPS-Cl及びDOP-NHPrから選択される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−(DOP)誘導体と、元素硫黄又は硫黄含有化合物と反応させて所望の化合物にすることにより製造できる。
【0076】
このような合成により難燃剤は極めて良好な収率で、かつ加水分解物又は分解生成物のような副生成物の重大な形成無しに得ることができる。
【0077】
本発明の化合物を得るための特に有利な反応を以下に挙げることにする:
DOP-Clと硫化水素からDOPSを得る反応:
【化31】


DOPOとローソン試薬又はP2S5からDOPSを得る反応:
【化32】

(ここで、ローソン試薬は以下の構造:
【化33】

を有する)。
【0078】
DOPS-OHと水性アンモニアからDOPS-ONH4を得る反応:
【化34】


DOP-NHPrと硫化水素からDOPSを得る反応:
【化35】


DOPOと元素硫黄からDOPS-OHを得る反応:
【化36】


DOPOとアンモニウムチオスルフェートからDOPS-ONH4を得る反応:
【化37】


DOPSと元素硫黄からDOPS-SHを得る反応:
【化38】


DOPS-Clと硫化水素からDOPS-SHを得る反応:
【化39】


【0079】
DOPOとN,N’−ジカプロラクタムジスルフィド(ビス(ヘキサヒドロ−2−オキソ−2H−アゼピン−1−イル)ジスルフィド)からDOPO-S-DOPOとDOPS-S-DOPOから成る混合物を得る反応:
【化40】


【0080】
DOPS-Clと硫化水素からDOP-S-DOPSを得る反応:
【化41】


【0081】
DOPSと硫黄及びトリエチルアミンからDOPS-SNH(Et)3を得る反応:
【化42】


【0082】
DOPS-Clと硫黄及びトリエチルアミンからDOPS-SNH(Et)3を得る反応:
【化43】


【0083】
DOPS-OHとトリエチルアミンからDOPS-ONH(Et)3を得る反応:
【化44】


【0084】
DOPS-OHとメラミンからDOPS-OMelを得る反応:
【化45】


【0085】
DOPS-OHとグアニジンカーボネートからDOPS-OGuaを得る反応:
【化46】


【0086】
DOPS-SHからDOPS-S-DOPSを得る二量体化:
【化47】


【0087】
DOPS-SNH(Et)3と過酸化水素から同時に二量体化しながらDOPS-S2-DOPSを得る反応:
【化48】


【0088】
DOPS-SNH(Et)3と二塩化二硫黄からDOPS-S4-DOPSを得る反応:
【化49】


【0089】
DOP-ClとDOPS-OHからトリエチルアミン、及び引き続き元素硫黄との反応からDOPS-O-DOPSを得る反応:
【化50】


【0090】
DOP-ClとDOPO-OH及びトリエチルアミン、及び引き続き元素硫黄との反応からDOPS-O-DOPOを得る反応:
【化51】


【0091】
DOP-ClとDOPS-SNHEt3及び引き続き元素硫黄との反応からDOPS-S-DOPSを得る反応:
【化52】


【0092】
最後に、9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9―オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオンもしくは−10−スルフィド("DOPS-SH")を製造する二者択一的な方法も存在し、その際に、DOPS-SNH(Et)3とHClは加水分解してDOPS-SHになる:
【化53】


【0093】
難燃剤化合物は、他の方法で容易に得ることもでき、その際、通常の当業者は、特殊なリン化学を考慮しながら、一連の代案による合成法を捜し当てることができ、かつ既にDOP−誘導体から出発する方法でも、またジヒドロオキサホスファフェナントレン−ベース材料をまず形成しなくてはならない方法でもよい。例えば、これはDE2034887に開示されている合成に似て、o−フェニルフェノールから出発する。
【0094】
既にDOP-誘導体から出発する例示的な合成を以下に開示する。
【0095】
DOPS-ClとメタルハライドからDOPSを得る反応:
【化54】


【0096】
DOPS-Clと水又は水性塩基からDOPS-OHを得る反応:
【化55】


【0097】
DOPSと有機もしくは無機酸化剤からDOPS-OHを得る反応:
【化56】


【0098】
DOPS-OHと水性アンモニアからDOPS-ONH4を得る反応:
【化57】


【0099】
この合成はDOPS-SHを用いて類似した方法で実施できる:
DOPS-SHと水性アンモニアからDOPS-SNH4を得る反応:
【化58】


【0100】
二者択一的にDOPS-OHとDOPS-SHは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の希釈溶液を用いて相応の金属塩に、又はホスホニウム塩、例えば、テトラアルキルホスホニウムハロゲン化物、又はホスフェート(有利には、中程度又は強力な補助塩基の存在で)の溶液を用いて相応のホスホニウム塩に変換してもよいが、しかしその際に、上記のように望ましくない場合には環状エステルの加水分解が生じないように留意し、またこのような本発明の化合物の加水分解物は難燃作用を十分に示してもよい。
【0101】
DOP-NHPrと硫化水素からDOPSを得る反応:
【化59】


【0102】
DOPS-Clと硫化水素からDOPS-SHを得る反応:
【化60】


【0103】
DOPS-Clと硫化水素からDOPS-S-DOPSを得る反応:
【化61】


【0104】
DOPS-Clと水からDOPS-O-DOPSを得る反応:
【化62】


【0105】
当業者が難燃剤を製造できるようにするために、合成に関連する出発生成物("合成例")と上記難燃剤又はその誘導体("実施例")の製造を以下の実施例でより詳細に記載するが、制限するものでは無いことを理解されたい。
【0106】
実施例
合成例1
10−クロロ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン(DOP-Cl))の製造
【化63】


【0107】
本発明の新規化合物を合成するためのこの出発生成物は、主に文献(DE2034887)に倣って、o−フェニルフェノールとPCl3から、及び塩化亜鉛触媒の使用下に中間生成物として得られたジクロロホスフィットの環化により製造された。
収率:理論値の94%。
【0108】
合成例2
10−クロロ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド(DOPS-Cl)の製造
【化64】


【0109】
本発明の新規化合物を合成するためのこの出発生成物は、主に文献(Chernyshev等、Zhurnal Obshchei Khimii 42(1), 93-6(1972))に倣って、DOP-Clと元素硫黄から製造された。
収率:理論値の88%。
【0110】
合成例3
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−プロピルアミノフェナントレン(DOP-NHPr)の製造
【化65】


【0111】
本発明の新規化合物を合成するためのこの出発生成物は、主に文献(Ciesielski等、Polymers for Advanced Technologies 19, 507(2008)に倣って、DOP-Clとn−プロピルアミンから製造された。
収率:理論値の91%。
【0112】
例1
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン−又は−10−スルフィド(DOPS)の製造
【化66】


【0113】
不活性ガスでフラッシングしながら、ガス供給管、サーモメター、滴下漏斗、機械的撹拌機及びガス出口管を備えた丸底フラスコ中にDOP-Cl28.1g(0.12mol)を装入し、その後に空気及び湿分不含のトルエン200mlを添加した。DOP-Clが完全に溶解した後に、撹拌下及び25〜30℃の間の温度を保持しながらH2Sガスを投入した。2時間後に、トリエチルアミン18.4ml(13.4g、0.132mol)を添加し、これは白色固体(トリエチルアミン塩酸塩)の沈殿を生じた。30分後に、H2Sガスの供給を停止し、かつ1.5時間後に撹拌を停止した。引き続き固体を濾別し、かつトルエンを真空で留去した。得られた残留物をアセトニトリルから再結晶化した。DOPS23.7g(理論値の85%)が白色の結晶質固体として得られた。
融点:92〜94℃(アセトニトリル)
31P-NMR(CDCl3):58.7ppm
MS:232(C12H9OPS)
元素分析:計算値P 13.35%、実測値P 13.21%。
【0114】
例2
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン−又は−10−スルフィド(DOPS-OH)の製造
【化67】


【0115】
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド(DOPO)をSchill+Seilacher AG社(ドイツ、ベーブリンゲン)から入手した。DOPO240g(1.11mol)と元素硫黄96g(3.0mol)を徹底的に混合し、混合物を丸底フラスコに満たし、かつ空気を不活性ガス(アルゴン又は窒素)と交換した。引き続き、固体出発材料を含有するフラスコを135℃に予め調節した加熱浴中で加熱した。15分後に、加熱浴を除去した。得られた黄色い溶融物をスチール容器に注いだ。混合物を冷却した後に、得られた固体を機械的に粉砕し、かつメタノール500mlと一緒に加熱した。引き続き、過剰の硫黄を濾別し、かつメタノールを部分的真空下に回転エバポレーターで留去し、淡黄色の粗生成物が得られ、これをトルエン700mlから再結晶化した。トルエンを真空中で除去し、その際に白色結晶の形でDOPS-OH248.1g(理論値の90%)が得られた。
【0116】
融点:149〜151℃(トルエン)
31P−NMR(CDCl3):72.2ppm
MS:248(C12H9O2PS)
元素分析:計算値P12.49%、実測値P12.28%。
【0117】
例3
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン−又は−10−スルフィド−アンモニウム塩(DOPS-ONH4)の製造
【化68】

【0118】
DOPO21.6g(0.10mol)とアンモニウムチオスルフェート14.8g(0.10mol)を徹底的に混合し、かつ該混合物を丸底フラスコに移した。引き続き、固体の出発材料の入ったフラスコを加熱浴の存在で160℃まで加熱した。30分後に、加熱浴を除去し、かつ反応混合物を僅かに冷却させた。この後に、エタノール250mlを添加し、かつ混合物を沸騰させた。引き続き、溶けていない固体を濾別し、かつ濾液を真空中で蒸発させた。DOPS-ONH4約85%までから成る残留物(約20g)をアセトニトリルから再結晶化させ、これから白色結晶の形でDOPS-ONH419.1g(理論値の75%)が得られた。
融点:238〜239℃(分解)(アセトニトリル)
31P−NMR(CDCl3/エタノール):60.1ppm
MS:248(DOPS-OHと類似)
元素分析:計算値P11.69%、実測値P11.43%。
【0119】
例4
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン−又は−10−スルフィド−アンモニウム塩(DOPS-ONH4)の製造
【化69】

【0120】
DOPS-OH12.4g(0.05mol)を僅かに温めながらエタノール50ml中に溶かした。冷却後に、25%濃度のアンモニア溶液8mlを添加した。この溶液を室温で1時間放置し、その後にエタノールを真空中で除去した。残留物をアセトニトリルから結晶化させ、その際、DOPS-ONH411.5g(理論値の90%)が白色結晶の形で得られた。このように得られた生成物は例3の場合と化学的に同一であった。
【0121】
例5
9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン−又は−10−スルフィド(DOPS-SH)の製造
【化70】

【0122】
DOPS11.6g(0.05mol)と元素硫黄1.6g(0.05mol)を徹底的に混合し、該混合物を丸底フラスコ中に移し、かつ空気を不活性ガス(窒素)と交換した。引き続き、固体の出発材料を130℃に予め調節した油浴中で加熱した。15分後に油浴を除去した。生じた淡黄色の溶融物を注ぎ出し、かつ冷却した際に非晶質の固体になり、これはNMR分析によればDOPS出発材料との混合物の形でDOPS-SH93%を含有していた。
31P-NMR(CDCl3):78.7ppm
MS:264(C12H9OPS2)。
【0123】
例6
ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−イル)スルフィド(DOPO-S-DOPO)と9,10−ジヒドロ−10−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルチオ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド(DOPS-S-DOPO)の製造
【化71】

【0124】
DOPO30g(0.139mol)、N,N’−ジカプロラクタムジスルフィド(ビス(ヘキサヒドロ−2−オキソ−2H−アゼピン−1−イル)ジスルフィド)20g(0.69mol)及びトルエン120mlを、還流冷却器、機械的撹拌機及び不活性ガス供給管を備えた丸底フラスコ中に還流下及び空気排除下に3時間撹拌した。冷却後に、暗色の上澄み溶液をデカンテーションにより除去した。残留物をアセトニトリル200mlと一緒に沸騰させ、かつ熱い溶液をひだ付き濾紙で濾過した。冷却の際に粒状の固体を分離し、これを濾別かつ真空中で乾燥させた。このように灰色の粉末19.8gが得られ、これはNMR分析により、化合物DOPO-S-DOPOとDOPS-S-DOPOの混合物(37:63)を含有していた。
31P-NMR(CDCl3):DOPO-S-DOPO:0.61ppm
DOPS-S-DOPO:0.14ppm、0.61ppm、63.4ppm、63.7ppm
MS:DOPO-S-DOPO:462(C24H16O4P2S)
DOPS-S-DOPO:478(C24H16O3P2S2
元素分析(37% DOPO-S-DOPO、63%DOPS-S-DOPO):
計算値P 13.13%、実測値P 13.40%。
【0125】
例7
9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドトリエチルアンモニウム塩(DOPS-SNH(Et)3)の製造
【化72】

【0126】
DOPS9.3g(0.04mol)と硫黄1.31g(0.041mol)を35℃で無水トルエン100ml中で1.5時間撹拌した。引き続き、撹拌下にトリエチルアミン5.3g(0.053mol)を滴下し、かつ得られた懸濁液を約50℃で1時間撹拌した。室温で冷却させた後に沈殿した固体を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、かつ僅かに温めながら真空中で乾燥させた。このように、DOPS-SNH(Et)313.4g(理論値の92%)が白色の結晶質固体として得られた。
融点:137〜139℃
31P-NMR(CDCl3):99.8ppm
元素分析:計算値P8.47%、実測値P8.32%。
【0127】
例8
9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドトリエチルアンモニウム塩(DOPS-SNH(Et)3
の製造
【化73】

【0128】
DOPS-Cl26.6g(0.1mol)を無水トルエン75ml中に80℃で溶かし、その後にトリエチルアミン34g(0.33mol)及びその後に元素硫黄7g(0.22mol)を添加した。反応混合物を不活性雰囲気下に90℃で6時間撹拌し、その後に温度を100℃まで上げ、かつ更に5時間撹拌した。反応工程で、フラスコ内容物は暗く色づき、かつ粘性の沈殿物が形成され、これは引き続く冷却の際に固体を生じた。これらをガラスフリットで濾別し、トルエンで3回洗浄し、かつ乾燥させた。引き続き固体をエタノール200ml中室温で5分間撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩を除去して濾別し、トルエン100ml中に溶かし、かつ60℃で30分間撹拌し、暗色の不純物を除去した。次に生成物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、かつ真空中で乾燥させた。DOPS-SNH(Et)329.6gが僅かに茶色い粉末(理論値の80%)として得られ、これは例7からの生成物と化学的に同一であった。
【0129】
例9
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩(DOPS-ONH(Et)3)の製造
【化74】

【0130】
無水トルエン75ml中のDOPS-OH12.41g(0.05mol)の懸濁液に、60℃で15分間以内にトリエチルアミン6g(0.06mol)を撹拌下に滴下した。この反応混合物を更に30分間撹拌し、かつその後に冷却した。その際に生じた固体をガラスフリットにより濾別し、エーテルで洗浄し、かつ僅かに温めながら真空中で乾燥させた。このように、DOPS-OH(Et)313.4g(理論値の99%)が白色の結晶質固体として得られた。
融点:147〜148.5℃
31P−NMR(CDCl3):61.3ppm
元素分析:計算値P8.86%、実測値P8.78%。
【0131】
例10
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドメラミニウム塩(DOPS-OMel)の製造
【化75】

【0132】
不活性ガスでフラッシュしながら、機械的撹拌機と還流冷却器を備えた丸底フラスコ中に、水1300ml中の細かく粉砕したメラミン126.1g(1.0mol)を室温で予め装入した。この懸濁液にDOPS-OH248.2g(1.0mol)を強く撹拌しながら添加した。反応混合物を90℃まで加熱し、かつ同じ温度で更に4時間撹拌した。室温まで冷却し、撹拌可能なスラリーが生じ、これを濾過し、かつ残留湿度<0.1%(Karl Fischer)になるまでフィルターケーキを空気中70℃で乾燥させ、かつ引き続き粉砕し、その際にDOPS-OMel365.7g(理論値の98%)が細かい結晶質の白色固体として得られた。
融点:275℃(分解)(H2O)
31P-NMR(MeOH-d4):60.7ppm
元素分析:計算値P8.27%、N22.44%、実測値P8.19%、N22.42%。
【0133】
例11
9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドグアニジウム塩(DOPS-OGua)の製造
の製造
【化76】

【0134】
不活性ガスでフラッシングしながら、機械的撹拌機及び還流冷却器を備えた丸底フラスコ中で、グアニジンカーボネート90.1g(0.5mol)を60℃で水300g中に溶かした。強く撹拌しながら、この溶液に少しずつ及び著しいガスの発生を妨げながら、DOPS-OH248.2g(1.0mol)を添加した。得られた懸濁液を、常圧下にまず140℃まで加熱し、かつ蒸気の形成が終わった後に、水流真空下に185℃まで加熱し水を除去した。形成された水不含の溶融物を注ぎ出し、冷却かつ粉砕した後に、DOPS-OGua304.5g(理論値の99%)が琥珀色の粉末として得られた。
融点:173〜179℃(H2O)
31P-NMR(アセトン−d6):57.9ppm
元素分析:計算値P10.07%、N13.67%、実測値P10.27%、N13.69%。
【0135】
例12
ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド(DOPS-S-DOPS)の製造
【化77】

【0136】
DOPS-SH13.21g(0.05mol)をアセトニトリル120ml中還流下かつ不活性ガス雰囲気下に2時間撹拌し、その際、粒状の固体が形成され、これを濾別し、次にキシレン中で1時間還流した。その後に固体を濾別し、温かいクロロホルムで洗浄し、かつその後にジエチルエーテルで洗浄し、かつ引き続き真空中で乾燥させた。これによりDOPS-S-DOPS7.7g(理論値の78%)が白色の結晶質固体として得られた。
融点:237〜239℃(キシレン)
31P-NMR(CDCl3):74.1ppm;74.8ppm
MS:494(C24H16O2P2S3
元素分析:計算値P12.53%、実測値P12.41%。
【0137】
例13
ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)ジスルフィド(DOPS-S2-DOPS)の製造
【化78】

【0138】
無水トルエン50ml中のDOPS-ONH(Et)35.48g(0.015mol)の懸濁液に、約20℃でシリンジを用いて37%塩酸0.66g(0.018mol)を添加し、その後に酢酸エチル中の過酸化水素の10%溶液5.6g(0.016mol)を強く撹拌しながら10分以内に滴下した。更に30分後に、トリエチルアミン0.75mlを添加し、過剰の塩酸を加えて中和し、その後に揮発性成分を真空中で留去した。緩やかに温めながら残留物を水75mlとエタノール25mlから成る混合物と一緒に約15分間撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩を溶かした。引き続き、固体を吸引濾過し、かつ水/エタノール中でもう一度撹拌した。緩やかに温めながら新たに吸引濾過及び乾燥させた後に真空で得られた白色粉末を、アセトニトリルから再結晶化し、その際にDOPS-S2-DOPS3.20g(理論値の81%)が得られた。
融点:126〜130℃(分解)(アセトニトリル)
31P-NMR(CDCl3):84.28ppm;84.65ppm
MS:526(C24H16O2P2S4
元素分析:計算値P11.76%、実測値P11.62%。
【0139】
例14
ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)テトラスルフィド(DOPS-S4-DOPS)の製造
【化79】

【0140】
無水トルエン50ml中のDOPS-ONH(Et)32.75gの懸濁液に、約20℃でシリンジを用いて二塩化二硫黄0.51g(0.00375mol)を5分間以内に添加した。添加が終わった後に、反応混合物を室温で2時間撹拌し、その後に揮発性成分を真空中で吸引濾過した。残留物を水50mlとエタノール10mlから成る混合物で35℃で約30分間撹拌し、トリエチルアミン−塩酸塩を溶かした。引き続き固体を吸引濾過し、かつもう一度、水30mlとエタノール20mlから成る混合物中で撹拌した。濾別した後に、固体をアセトニトリルから再結晶化し、かつ引き続き、穏やかに温めながら真空中で乾燥させ、その際にDOPS-S4-DOPS1.9g(理論値の86%)が白色の固体として得られた。
融点:約150℃(分解)(アセトニトリル)
31P-NMR(CDCl3):84.0ppm;84.5ppm
MS:590(C24H16O2P2S6
元素分析:計算値P10.49%、実測値P10.56%。
【0141】
例15
ジ(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)エーテル(DOPS-O-DOPS)の製造
【化80】

1)二量体化
【化81】

【0142】
不活性ガスでフラッシングしながら、サーモメター、機械的撹拌機及び還流冷却器を備えた丸底フラスコ中にDOP-Cl23.5g(0.10mol)を装入し、その後に空気及び湿分不含のトルエン130mlを添加し、かつ混合物を60℃まで加熱した。DOP-Clが完全に溶解した後に、トリエチルアミン12.3g(0.12mol)を添加した。引き続き、DOPS-OH24.8g(0.1mol)を15分間以内に添加した。更に60℃で6時間置いた後に、加熱と撹拌を止め、かつ反応生成物を室温で12時間放置した。
2)スルフィド化
【化82】

【0143】
次に硫黄3.2g(0.1mol)を添加し、かつ懸濁液を80℃まで加熱した。1.5時間後に温度が100℃まで上がり、かつ4時間後に加熱と撹拌を止めた。冷却後に、沈殿した固体を濾別し、水中に懸濁してトリエチルアンモニウムクロリドを除去し、かつもう1度濾別した。この洗浄工程を繰り返した。引き続き、茶色がかった固体をクロロホルムで洗浄し、かつ真空中で乾燥させた。これによりDOPS-O-DOPSが白色固体として得られた(43g、すなわち理論値の90%)。
融点:210〜215℃
31P-NMR(CDCl3):62.3ppm;62.8ppm
MS:478(C24H16O3P2S2
元素分析:計算値P12.95%、実測値P12.61%。
【0144】
例16
9,10−ジヒドロ−10−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10―ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルオキシ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド(DOPS-O-DOPO)の製造
【化83】

1)二量体化
【化84】

【0145】
不活性ガスでフラッシングしながら、サーモメター、機械的撹拌機及び還流冷却器が備えられた丸底フラスコ中にDOP-Cl22.7g(0.097mol)を装入し、その後に空気及び湿分不含のトルエン100mlを添加し、かつ混合物を60℃まで加熱した。DOP-Clが完全に溶解した後に、トリエチルアミン10.0g(0.10mol)を添加した。引き続き、DOPS-OH22.5g(0.097mol)を10間分以内に添加し、かつ反応混合物を60℃で3時間撹拌した。
2)スルフィド化
【化85】

【0146】
次に、元素硫黄3.2g(0.10mol)を添加し、かつ反応混合物を95℃で6時間撹拌し、その後に加熱と撹拌を止めた。冷却後に沈殿した固体を濾別し、水中に懸濁してトリエチルアンモニウムクロリドを除去し、かつ新たに濾別した。この洗浄工程を繰り返した。引き続き、固体を真空中で乾燥させた。これによりDOPS-O-DOPSが白色固体として得られた(39g、すなわち理論値の87%)。
融点:211〜216℃
31P-NMR(CDCl3):−0.61ppm;−0.29ppm;−0.03ppm、
0.30ppm;63.26ppm;63.45ppm;63.58ppm;63.79ppm
MS:462(C24H16O4P2S)
元素分析:計算値P13.40%、実測値P13.45%。
【0147】
例17
ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10―ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド(DOPS-S-DOPS)の製造
【化86】

1)二量体化
【化87】

【0148】
不活性ガスでフラッシングしながら、サーモメター、機械的撹拌機及び還流冷却器が備えられた丸底フラスコ中にDOP-Cl4.7g(0.02mol)を装入し、その後に空気及び湿分不含のトルエン60mlを添加し、かつ混合物を60℃まで加熱した。DOP-Clが完全に溶けた後に、撹拌下にDOPS-SNH(Et)37.3g(0.02mol)を添加し、かつ反応混合物を60℃で4時間撹拌した。得られた懸濁液を予め冷却せずに、湿気の排除下に濾過し、トリエチルアンモニウムクロリドを分離した。フィルターケーキを再び温かい無水トルエンで後洗浄し、その後に濾液を合わせ、かつ真空中で約50mlに濃縮した。
2)スルフィド化
【化88】

【0149】
DOP-S-DOPSの濃縮溶液に元素硫黄0.64g(0.02mol)を添加し、その後に不活性ガス雰囲気中で反応混合物を100℃で4時間撹拌した。冷却後に、沈殿した固体を濾別し、温かい無水トルエンで洗浄し、かつ真空中で乾燥させた。これによりDOPS-S-DOPSが僅かに灰色の粉末(5.1g、すなわち理論値の52%)として得られた。このように得られた生成物は例12のものと化学的に同一であった。
【0150】
例18
9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド(DOPS-SH)の製造
【化89】

【0151】
DOPS-SNH(Et)39.13g(0.025mol)を不活性ガス雰囲気中、60℃でエタノール100mlに溶かした。冷却後に、濃塩酸50ml、水200ml、及びNaCl約20gを添加し、次にトルエン150mlを添加した。この混合物を10分間撹拌し、かつ次に分液漏斗に移した。トルエン相を分離し、かつ水相をトルエン30mlでそれぞれ3回抽出した。有機相を合わせ、水50mlで洗浄し、かつNa2SO4上で乾燥させた。乾燥剤を濾別し、かつトルエンを真空中で留去した後に、DOPS-SHが85%の収率で結晶質固体として得られた。
31P-NMR(CDCl3):78.7ppm
MS:264(C12H9OPS2
元素分析:計算値P11.72%、実測値P11.29%。
【0152】
例19
プラスチックを難燃性にする際の9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド(DOPS-OH)のin-situでの製造
【化90】

【0153】
反応のメカニズムは例2と同じであった。ポリスチレン粒状物(Mw:約192000g/mol、Tg:約94℃)を、16×4mmの出口スリットを有するノズルの使用下に、Thermo Scientific社の商品名Prism Eurolab16の二軸押出機内で3分間の滞留時間で175〜180℃の温度で加工し、DOPO5質量%と硫黄2質量%と一緒に均一なストランドにした。31P-NMR分析により、DOPOはDOPS-OHに実質的に質量的に変換されたことが示された。
【0154】
この実施例により、当業者はこのような所望の難燃剤ならびに場合によっては必要な出発生成物を製造することができる。
【0155】
難燃剤を含有する発泡性ポリマーの製造:
粒状物又はビーズの形の難燃性発泡性ポリマー、例えば、EPSの製造は当業者に自体公知であり、かつ前記の難燃剤を有する本発明のポリマーの製造は実質的に同じように機能することが原則的に言える。従って、例えばWO2006/027241の実施例を引用することができ、その際に、そこで使用されているリン化合物の代わりに、本発明で挙げた難燃剤を使用することができる。同様のことは、ポリマーフォームもしくはXPSにも当てはまる。
【0156】
以下に、本発明を具体的な実施例を用いて、しかしこれに限定されることなく詳細にかつ再現可能な方法で記載することにする。以下に、これらの実施例は効能を証明するために引用される。
【0157】
a)第一の試験系(6例):
例4は、公知の難燃剤DOPO(以下の表4)を使用した比較例である。
例1(実施例−5%DOPS-OH):
二軸押出機中の供給箇所でスチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:ペンタン6質量%、鎖長Mw=200000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、得られたEPS粒状物に対して6−ヒドロキシ−6H−ジベンズ[c,e][1,2]−オキサホスホリン−6−スルフィド(ヒドロキシ−DOPS)5質量%を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物をノズルプレートを通して20kg/hの流量で運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターを用いて造粒し、圧縮EPS粒状物にした。
【0158】
例2(本発明の実施例−10%DOPS-OH):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対して6−ヒドロキシ−6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−スルフィド(ヒドロキシ−DOPS)10質量%を添加した点が異なった。
【0159】
例3(実施例−更なるHBCD):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対してヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)0.1質量%を更に添加した点が異なった。
【0160】
例4(比較例−10%DOPO):
二軸押出機中の供給箇所でスチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:ペンタン6質量%、鎖長Mw=200000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、得られたEPS粒状物に対して9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−フェナントレン−10−オキシド(DOPO)10質量%を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物をノズルプレートを通して20kg/hの流量で運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターを用いて造粒し、圧縮EPS粒状物にした。
【0161】
例5(実施例−更なる添加剤):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対してジクミルペルオキシド(DCP)0.2質量%及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−N−オキシド(HTEMPO)0.2質量%を更に添加した点が異なった。
【0162】
例6(実施例−10%DOPS-OH、二者択一的製造+添加剤):
スチレン4kgを、撹拌機、加熱器及び冷却器が備えられた圧力反応器に予め装入し、かつその中に得られたEPSビーズに対して6−ヒドロキシ−6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−スルフィド(ヒドロキシ−DOPS)10質量%を溶かした。次に、ジベンゾイルペルオキシド10g(水中75%)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカルボネート8g及びジクミルペルオキシド10gを添加した。この混合物に、ピロホスフェート酸ナトリウム14gと硫酸マグネシウム26g含有の脱イオン水20リットルを添加し、連続的に撹拌しながら90℃で5時間保持した。反応器を密閉し、かつスチレンに対してペンタン7%を添加した後に、125℃まで加熱し、かつこの温度で2.5時間保持した。得られたEPSビーズは、1mmの平均粒子サイズを有した。
【0163】
b)第二の試験系(20例):
比較例:
例1(比較例−10%DOPO):
二軸押出機中の供給部でスチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:ペンタン6質量%、鎖長Mw=200000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、得られたEPS粒状物に対して9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−フェナントレン−10−オキシド(DOPO)10質量%を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物をノズルプレートを通して20kg/hの流量で運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターを用いて造粒し、圧縮EPS粒状物にした。
【0164】
例2(比較例−15%DOPO):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対して9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−フェナントレン−10−オキシド(DOPO)15質量%を添加した点が異なった。
【0165】
例3(比較例−5%硫黄):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対して黄色硫黄5質量%だけを添加した点が異なった。
【0166】
実施例:
例4(実施例−DOPS-SNH(Et)310%):
スチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:ペンタン6質量%、鎖長Mw=200000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、二軸押出機中の供給部で得られたEPSに対して9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオンもしくは−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩(DOPS-SNH(Et)3)10質量%を混合し、かつ押出機中で190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物をノズルプレートを通して20kg/hの流量で運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターを用いて造粒し、圧縮EPS粒状物にした。
【0167】
本発明の実施例を、例1〜4と類似した又は同じ条件下に実施したが、異なる難燃剤又は相乗剤を使用した。質量%の数値は、得られたEPS粒状物を意味する。
【0168】
例5(実施例−10%DOPS-SNH(Et)3+2%硫黄):
10質量%9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩(DOPS-SH(Et)3)及び2%黄色硫黄
【0169】
例6(実施例−10%DOPS-ONH(Et)3):
10質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩(DOPS-ONH(Et)3
【0170】
例7(実施例−10%DOPS-ONH(Et)3)+2%硫黄):
10質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩(DOPS-ONH(Et)3)及び黄色硫黄2質量%
【0171】
例8(実施例−7.5%DOPS-OMel+2%硫黄):
7.5質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−メラミニウム塩(DOPS-OMel)及び黄色硫黄2質量%
【0172】
例9(実施例−7.5%DOPS-OMel+5%BBDS):
7.5質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−メラミニウム塩(DOPS-OMel)及び5質量%ビス(ベンゾチアゾイル)ジスルフィド(BBDS)
【0173】
例10(実施例−7.5%DOPS-OGua+2%硫黄):
7.5質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−グアニジウム塩(DOPS-OGua)及び2質量%黄色硫黄
【0174】
例11(実施例−7.5%DOPS-OGua+5%BBDS):
7.5質量%9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−グアニジウム塩(DOPS-OGua)及び5質量%ビス(ベンゾチアゾイル)ジスルフィド(BBDS)
【0175】
例12(実施例−7.5%DOPS-S-DOPS+2%硫黄):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド(DOPS-S-DOPS)及び2質量%黄色硫黄
【0176】
例13(実施例−7.5%DOPS-S-DOPS+5%DCDS):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド(DOPS-S-DOPS)及び5質量%N,N’−ジカプロラクタムジスルフィド(DCDS)。
【0177】
例14(実施例−7.5%DOPS-S-DOPS+5%BBDS):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)−スルフィド(DOPS-S-DOPS)及び5質量%ビス(ベンゾチアゾイル)ジスルフィド(BBDS)。
【0178】
例15(実施例−10%DOPS-S2-DOPS):
10質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)ジスルフィド(DOPS-S2-DOPS)。
【0179】
例16(実施例−7.5%DOPS-S2-DOPS+2%硫黄):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)−ジスルフィド(DOPS-S2-DOPS)及び2質量%黄色硫黄。
【0180】
例17(実施例−10%DOPS-S4-DOPS):
10質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)テトラスルフィド(DOPS-S4-DOPS)。
【0181】
例18(実施例−7.5%DOPS-S4-DOPS+2%硫黄):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)テトラスルフィド(DOPS-S4-DOPS)及び2質量%黄色硫黄。
【0182】
例19(実施例−7.5%DOPS-O-DOPS+2%硫黄):
7.5質量%ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)オキシド(DOPS-O-DOPS)及び2質量%黄色硫黄。
【0183】
例20(実施例−7.5%DOPO-O-DOPS+2%硫黄):
7.5質量%DOPO-O-DOPS及び2質量%黄色硫黄。
【0184】
これらの実施例により、当業者に発泡性ポリマーならびにポリマーフォームの製造が可能になる。
【0185】
難燃剤の作用の検出
a)圧縮ポリスチレンにおける効果:
圧縮ポリスチレンは、既に上記難燃剤の有利な作用を示している:
試験体はポリスチレン粒状物(Mw:約192000g/mol、Tg:約94℃)から以下のように形成された:粒状物を粉砕して粉末にし、かつモルタル中で個々の添加剤と混合した。固体混合物12gをそれぞれアルミニウムるつぼ中に計量供給し、次にこれを予備加熱した乾燥棚に移し、かつその中で粉末が溶融し圧縮シートになるまで必要な温度に保持した。必要な温度は、個々の混合物の組成物により、かつ試験した試験体では、165〜195℃の間であり、かつ以下の表に示されているように溶融工程は10〜20分後に完了した。冷却後に、アルミニウムるつぼからシートを取り出し、かつ防火試験のために試験体に切込みを入れた。
【0186】
他方で、UL94による難燃試験にて70×13×4mmの試験体を後燃焼時間(秒)で試験するために製造した。
【0187】
UL94は、保険研究所の試験基準であり、その内容はIEC/DIN EN 60695-11-10と-20に引き継がれている。その際にパイロット火炎を出力50Wで試験体において2回短期間で作用させ、その際、垂直試験、燃焼時間及び燃焼部材の落下を試験体の下に配置した綿棒で評価した。分類は以下の表1に記載された"V0"、"V1"及び"V2"段階で行った:
【表1】

【0188】
従って、"V0"の分類は、防火における最大の要求を示し、よって難燃組成物の使用を目的とする。
【0189】
他方で、120×10×4mmの試験体を製造し、かつISO 4589により試験し、その酸素指数(LOI、"限界酸素指数")を決定した。これは、試験体の燃焼がなお保持できる最小酸素濃度(窒素との混合物)である。このために垂直に配置した試験体を、それぞれ酸素/窒素混合物で排気したガラスシリンダ内でプロパンガス炎で燃焼し、次にその火炎挙動を観察した。より短い燃焼時間及びより高いLOI値は、より良好な難燃性を示している。
【0190】
試験体の3つの試験系で得られた結果は以下の表に示されていて、これはそれぞれ4つの測定値の平均値である。
【0191】
【表2】

【0192】
比較のために、ポリスチレン(分子量:120000〜250000g/mol)中の唯一の難燃添加剤としての元素硫黄のLOI値が示されている。これらの値はWO99/10429から引用した。
【0193】
【表3】

【0194】
上記の結果は、上記化合物が圧縮ポリマーにおいて特に元素硫黄又は硫黄含有化合物と組み合わせて使用する場合に相乗効果を示し、公知の添加剤DOPOよりも極めて優れた難燃性を示すことを明らかに示している。このことは表2及び表2と表3の比較から分かるが、しかし試験No.6に対して試験No.7の硫黄の量を2倍にしても、難燃作用に改善を示さないことも分かる。更に、本発明の化合物を樹脂材料に挿入することは殆どの場合にDOPOよりも容易である。
【0195】
以下には、本発明の新規化合物の第二の試験系に関するUL94による防火試験の結果が示されている。
【0196】
【表4】

【0197】
【表5】

【0198】
表4の結果も、新規化合物を特に元素硫黄又は硫黄含有化合物と組み合わせて使用する場合に、公知の添加剤DOPOよりも優れた難燃作用を有することを明らかに示している。
【0199】
更に、上記表は、本発明の化合物の相乗効果が物質に特異的であることを明らかに示している。すなわち、難燃を促進する公知のどの硫黄含有化合物も総じて同じ程度の相乗効果を示すわではない。例示的に、硫黄とのDOPSのメラミニウム塩又はグアニジウム塩(試験26〜29)は、BBDSを単独で使用した場合に優れた難燃作用を有するにもかかわらず、同量の硫黄よりも実質的に優れた結果を示している。相乗効果の特異性は、試験30〜32によっても提供され、その際、相乗剤としての硫黄及びBBDSとのダイマーDOPS-S-DOPSは傑出した結果を提供するのに対して、DCDSを用いる場合には、本発明の他の組成物と比べて一般に平均的な、むしろ劣悪な性能が達成されている。
【0200】
同じ質量比で2倍モル量のリン及び3倍量の硫黄の存在によるダイマーDOPS-S-DOPSの場合により傑出した結果を説明する試みは、DOPS-S2-DOPSとDOPS-S4-DOPSを用いる試験33〜36により論破される。これらの化合物の同じ質量中に、硫黄が多く存在するにもかかわらず燃焼時間の値はむしろ劣る。
【0201】
更なる相乗剤の使用下よる本発明の新規化合物の第三の試験系に関するUL94による防火試験の結果は、以下に記載されている。
【0202】
【表6】

【0203】
表5中の結果は、硫黄含有相乗剤と一緒に難燃剤としての本発明の新規化合物の効果を新たに証明する。ここで、特に加硫剤として販売されているポリスルフィドVultac TB7(Arkema Inc.社)は、単独でも同様に優れた難燃作用を示すが本発明の化合物と一緒の場合には更に著しく作用的な組合せを形成し、これがひいては難燃組成物としての大きなポテンシャルを有することが注目に値する。
【0204】
要約すると、上記試験は圧縮ポリマーにおいて、単独で又は更なる相乗効果添加剤との組み合わせで、新規DOPS誘導体の難燃剤としての適性を明らかに証明している。ここで、この相乗剤は物質特異的なものとして同一視されている。特にこれは、元素硫黄又は硫黄含有化合物と組み合わせて使用する場合であり、それらと一緒に相乗効果が示される。それぞれ本発明の化合物にとって最も適切な相乗剤を見出すことは更なる試験の目的である。そのために、通常の当業者は問題なくかつ過度の試験無しに、例えば一連の試験でUL94及び/又はISO4589により公知の難燃剤のパネルを、それぞれ個々のDOPS誘導体と組み合わせて試験することで達成できるのがよい。
【0205】
b)発泡性ポリマー又はポリマーフォームにおける効果
本発明の発泡剤含有の難燃性発泡性ポリマーならびにそれから製造可能な既に説明したようなポリマーフォーム(これは上記のような公知の特殊な問題があるが)に関して、上記難燃剤の利点が確認された明確な結果が示されていて、同じく幾つかの点で克服している。
【0206】
第一の試験系の結果と評価:
以下の表6には、予め記載した第一の試験系の結果の比較が明確に示されていて、その際、押出機中の粘度減少のパラメーター、発泡ビーズが崩壊されるまでの時間ならびに定義づけられた試験体の火炎挙動が試験されている。
【0207】
【表7】

【0208】
試験1〜6と記載された左の欄の試験結果は、予め記載した例1〜6をベースにした製品を用いた試験により得られた。この場合に、試験4は難燃性DOPOポリマー又はフォームと相応する基準点又は参照点が示されている。この参照試験4には、表6中の各々の欄で、すなわち各々の試験で4つの数値が示されている。DOPOに関するこれらの結果は、HBCDだけで難燃性にしたか、又は全く難燃剤を含有していない参照ポリマーに対する。僅かな数、特に1はより有利になる傾向があり、より大きな数、特に5はより不利である。
【0209】
詳細な説明:
火炎試験(表6中の欄1):
試験1〜5から得られたEPS粒状物と、例6からのEPSビーズを飽和蒸気で予備発泡し、15〜25kg/m3の嵩密度を有する発泡ビーズにし、これを24時間貯蔵し、次に成形品オートメーターで成形して発泡シートにした。
【0210】
発泡シートからは、厚さ2cmの試験体を切り出し、これを70℃で72時間コンディショニングした後にDIN4102-2による火炎試験(B2-スモールバーナーテスト)を行った。
【0211】
1〜5の間の値を有する結果を、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)で難燃性にしたEPS(Supor(R)EPS SE社)と比較して評価した。欄1中の数値1は、試験物質がその火炎挙動に関してHBCD含有のEPSのものと同等に優れていることを示している。数値5は火炎挙動が極めて劣悪で、かつ難燃性EPSのものに相応しないことを示している。
【0212】
表6の欄1(試験1と2)からは、ヒドロキシDOPSで難燃性にしたEPSからの発泡ポリスチレン発泡シートが、難燃剤無しのポリスチレンよりも遙かに優れた難燃性を示し、かつDOPOで難燃性にしたポリスチレンよりも遙かに優れた難燃性を示している。更に、HBCDで難燃性にしたポリスチレンの優れた難燃作用に近い値は、特に、試験2で10%のより高いDOPS濃度の場合に匹敵する。
【0213】
この結果は、試験6で証明されているようにEPS粒状物又はビーズの製法とは無関係である。難燃相乗剤又は安定剤の更なる添加により、結果をより改善することができ、かつ試験5に示されているようにHBCDで保護されたEPSのものに相応する難燃性を達成することができる。
【0214】
押出機中での粘度減少(表6中、欄2):
例1〜5では押出しの際に、ポリマー溶融物の粘度は、上記リンベースの難燃剤の供給を開始した直後に減少し、これはノズルプレートの前の箇所でポリマー溶融物の圧力減少により明らかである。GPC分析は、これらがポリマー鎖の分解により引き起こされていないことを示した。
【0215】
1〜5の間の値で評価された結果は、難燃剤無しのポリマー溶融物の圧力増大と比較して圧力減少を示している。欄2の、数値1は違いが無いか又は圧力減少が無いことを示している。数値5は、強い粘度減少が行われたことを示している。
【0216】
従って、試験1と2からは上記難燃剤、特にDOPS-OHがポリマー溶融物に有害な作用を与えず、かつそれらの粘度減少が僅かであることを示している。これと比較すると、DOPOは遙かに悪い値を生じている。
【0217】
崩壊までの時間(表6中、欄3):
例1〜5から得られたEPS粒状物と、例6から得られたEPSビーズを飽和蒸気で予備発泡し、15〜25kg/m3の嵩密度を有する発泡ビーズにし、これを24時間中間的に貯蔵し、かつ成形品オートメーターで成形して発泡シートにした。
【0218】
リンベースの難燃剤の軟化効果により、プレフォーミングの際にEPS粒子は種々の安定性を示し、フォーミングした発泡ビーズに蒸気を当て崩壊するまでの時間に関して示してある。この時間を難燃剤無しのEPS粒子と比較した結果をまとめて評価した。
【0219】
欄3では、数値1はビーズが通常の安定性をすることを意味している。数値5は、ビーズが直ぐに崩壊したことを示す。
【0220】
試験1と2からは、上記難燃剤、特にDOPS-OHはフォーム粒子の安定性に有害な影響を有さないことが示されている。これと比較して、DOPOは著しく劣悪な値を生じている。
【0221】
まとめると、本発明のポリマー及び発泡剤は、DOPOで保護したポリマーまたは発泡剤よりも試験した3つの全ての点で優れていることが分かる。
【0222】
硫黄の相乗効果
既に説明したように、新規化合物を元素硫黄及びその他の硫黄含有化合物組み合わせた場合に、発泡性ポリマー又はフォームにおいて難燃剤としての相乗効果を有することが意外にも証明された。
【0223】
比較試験により、本発明の新規化合物を元素硫黄又は硫黄含有化合物と組み合わせる場合に、これらは相乗効果を示し、公知の添加剤DOPOよりも遙かに優れた難燃作用を示すことが証明された。これは例えば上記表と表6の比較から分かる。しかし、試験番号6に対して試験番号7で硫黄の量を2倍にした試験からは、難燃作用の改善が何も達成されないことが分かる。
【0224】
以下の比較試験は、硫黄の良好な作用を明確に示している:
例1(実施例):
スチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:6質量%ペンタン、鎖長MW=200.000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に二軸押出機の供給箇所で、得られたEPS粒状物に対して5質量%6−ヒドロキシ−6H−ジベンズ[c,e][1,2]−オキサホスフォリン−6−スルフィド(ヒドロキシ-DOPS)及び2質量%黄色硫黄(S8)を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物を20kg/hの流量で、ノズルプレートにより運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターで圧縮EPS粒状物に造粒した。
【0225】
例2(実施例):
例1を繰り返したが、得られたEPS粒状物に対して10質量%6−ヒドロキシ−6Hジベンズ[c,e][1,2]オキサホスフォリン−6−スルフィド(ヒドロキシ−DOPS)を供給したことが異なった。
【0226】
例3(比較例−DOPO):
スチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:6%ペンタン、鎖長Mw=200.000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、二軸押出機の供給箇所で、得られたEPS粒状物に対して10質量%9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−フェナントレン−10−オキシド(DOPO)と2質量%黄色硫黄(S8)を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物を20kg/hの流量で、ノズルプレートにより運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターで圧縮EPS粒状物に造粒した。
【0227】
例4(実施例−硫黄のみ):
スチレンポリマー(SUNPOR EPS-STD:6%ペンタン、鎖長Mw=200.000g/mol、不均一度Mw/Mn=2.5)に、二軸押出機の供給範囲で、得られたEPS粒状物に対して2質量%黄色硫黄(S8)を混合し、かつ押出機中190℃で溶融した。このように得られたポリマー溶融物を20kg/hの流量で、ノズルプレートにより運搬し、かつ加圧水中グラニュレーターで圧縮EPS粒状物に造粒した。
【0228】
【表8】

【0229】
結果の評価を表6に倣って実施し、かつ硫黄の相乗効果を明らかに示した。このように保護されたポリマーとフォームを、少なくともそれらの火炎挙動に関しては、より有利にDOPO誘導体だけで保護されたポリマー、またDOPS誘導体で保護されたポリマーよりも、また単に硫黄だけで処理したポリマーよりも有利であった。
【0230】
第二の試験系の結果と評価:
以下の表8には、上記の第二の試験系の結果の比較が明らかに示されていて、その際、定義付けられた試験体の火炎挙動を試験した。
【0231】
【表9】

【0232】
1〜20の試験番号で左欄に記載された結果は、上記比較例と実施例1〜20をベースとして得られる生成物又は試験体を用いた試験により得られている。
【0233】
試験1、2及び3は、公知の難燃剤DOPOだけで難燃性にされたか又は相乗剤として硫黄を含有しているポリマー又はフォームに相応する参照である。
【0234】
詳細:
EN11925(欄6)とDIN4102(欄7)による燃焼試験:
例1〜18から得られたEPS粒状物を飽和蒸気で予備発泡し、15〜25kg/m3の嵩密度を有する発泡ビーズにし、これを24時間中間的に貯蔵し、かつ成形品オートメーターで成形して発泡シートにした。発泡シートから厚さ2cmの試験体を切り出し、70℃で72時間コンディショニングした後にEN11925とDIN4102による燃焼試験を行った。EN11925による欧州fire class E又はDIN4102によるfire class B2を達成した試験には"合格"と表示した。
【0235】
この場合に、試験した系では、EN 11925によるfire class Eは、DIN 4102によるfire class B2よりもより容易に達成されたことが分かる。
【0236】
試験4〜20の結果は、試験された全てのDOPS誘導体は、良好な結果を生じるか、又は公知の難燃剤DOPOよりも少ない量で既に作用的であったことを示している(試験1と2)。
【0237】
EN11925によるfire class Eを達成するために、DOPS-SNH(Et)3(試験4)とDOPS-ONH(Et)3(試験6)では、DOPO(試験2)の2/3の使用量だけが必要である。硫黄2質量%の使用により、このDOPS誘導体の場合には、DIN4102によるfire class B2を達成することができる(試験5と7)。硫黄2質量%の相乗効果は、DOPS-OMel(試験8)、DOPS-OGua(試験10)、DOPS-S-DOPS(試験12)、DOPS-O-DOPS(試験19)及びDOPO-O-DOPO(試験20)の場合でも示される。適切な相乗効果は、5質量%BBDS(試験9と11)又は5質量%DCDS(試験13)の場合にも示されるのに対して、5質量%BBDSは、7.5質量%DOPS-S-DOPS(試験14)と組み合わせた場合に、fire class B2を達成するのに十分である。
【0238】
特殊な場合はDOPS-S2-DOPSで得られ、これは10質量%の濃度でfire class B2とEの規定を満たす(試験17)ことができるのに対して、7.5質量%DOPS-S2-DOPSと2質量%硫黄の組合せ(試験18)は、クラスB2の規定を満たすことができない。
【0239】
試験17(10質量%DOPS-S4-DOPS)と試験18(7.5質量%DOPS-S4-DOPS+2質量%硫黄)の防火系は、EN 11925によるfire class Eの規定に十分であるが、しかしDIN4102によるクラスB2の規定には不十分である。
【0240】
まとめると、本発明のポリマー及びフォームは難燃剤としてのDOPOで処理されるポリマー又はフォームよりもより有利であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、
式I
【化1】

[式中、Xは、水素であり、かつYは硫黄である]の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS"):
【化2】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項2】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがOHであり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS-OH"):
【化3】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項3】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがONH4であり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドアンモニウム塩("DOPS-ONH4"):
【化4】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項4】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがSHであり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド("DOPS-SH"):
【化5】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項5】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがSNH(Et)3であり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−メルカプト−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩("DOPS-SNH(Et)3"):
【化6】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項6】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがONH(Et)3であり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−トリエチルアンモニウム塩("DOPS-ONH(Et)3"):
【化7】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項7】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがOMelであり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィドメラミニウム塩("DOPS-OMel"):
【化8】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項8】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、XがOGuaであり、かつYが硫黄である式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−チオン又は−10−スルフィド−グアニジウム塩("DOPS-OGua"):
【化9】

又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項9】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、式I
【化10】

[式中、Xは式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して、式II:
【化11】

(式中、Y1とY2は、それぞれ酸素であり、Zは硫黄であり、かつn=1である)のダイマー、すなわちビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−イル)スルフィド("DOPO-S-DOPO"):
【化12】

を生じる二価のリンカー基Znである]
の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項10】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1とZはそれぞれ硫黄であり、Y2は酸素であり、かつn=1である)のダイマー、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルチオ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド("DOPS-S-DOPO"):
【化13】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項11】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1、Y2及びZはそれぞれ硫黄であり、かつn=1である)のダイマー、すなわち、ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド("DOPS-S-DOPS"):
【化14】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項12】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1、Y2及びZはそれぞれ硫黄であり、かつn=2である)のダイマー、すなわち、ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)スルフィド("DOPS-S2-DOPS"):
【化15】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項13】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1、Y2及びZはそれぞれ硫黄であり、かつn=4である)のダイマー、すなわち、ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)テトラスルフィド("DOPS-S4-DOPS"):
【化16】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項14】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1とY2はそれぞれ硫黄であり、Zは酸素であり、かつn=1である)のダイマー、すなわち、ジ(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イル)エーテル("DOPS-O-DOPS"):
【化17】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項15】
少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマーであって、その際、難燃剤として少なくとも1つのリン化合物が含有されている難燃性発泡性ポリマーにおいて、前記難燃剤は、Xが式Iの2個のジヒドロオキサホスファフェナントレニル基が結合して式II(式中、Y1は硫黄であり、Y2とZはそれぞれ酸素であり、かつn=1である)のダイマー、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−10−チオキソフェナントレン−10−イルオキシ)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オン又は−10−オキシド("DOPS-O-DOPO"):
【化18】

を生じる二価のリンカー基Znである式Iの9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン誘導体、又はその開環加水分解物であることを特徴とする、少なくとも1つの発泡剤が含有されている難燃性発泡性ポリマー。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の発泡性ポリマーにおいて、発泡性ポリマーは、発泡性スチレンポリマー(EPS)又は発泡性スチレンポリマー粒状物(EPS)であり、これは特に、スチレンのホモポリマー及びコポリマー、有利には無色透明のポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合ポリスチレン又は耐衝撃性ポリスチレン(A-IPS)、スチレン−α−メチルスチレンのコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルエステル(ASA)、メチルアクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)ポリマー、これらの混合物、又はポリフェニレンエーテル(PPE)との混合物から成る、請求項1から15までのいずれか1項に記載の発泡性ポリマー。
【請求項17】
難燃剤は、ポリマーの全質量に対して、0.1〜25質量%、特に3〜10質量%の量で含有されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の発泡性ポリマー。
【請求項18】
更に元素硫黄、特に黄色硫黄(S8)及び/又は少なくとも1つの更なる無機もしくは有機硫黄含有化合物又は硫黄化合物が、ポリマーの全質量に対して、0.1〜10質量%の量で、特に約0.5〜5質量%の量で、有利には約2質量%の量で含有されている、請求項1から17までのいずれか1項に記載の発泡性ポリマー。
【請求項19】
更なる硫黄含有化合物又は硫黄化合物は、少なくとも1つのS-S−結合を有し、その際、硫黄原子のうち少なくとも1つは2価の形で存在する、請求項18に記載の発泡性ポリマー。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の難燃性発泡性ポリマーを製造する方法において、難燃剤として、請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのリン化合物又はその開環加水分解物又は塩が使用され、かつ場合により更なる難燃剤又は相乗剤として、請求項18又は19に記載の硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物が使用されることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の難燃性発泡性ポリマーを製造する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造する方法において、
− ダイナミックミキサー又はスタチックミキサーを用いて、難燃剤及び発泡剤及び場合により硫黄又は硫黄化合物をスチレンポリマー溶融物と混合し、かつ引き続き造粒するか又は
− ダイナミックミキサー又はスタチックミキサーを用いて、難燃剤及び場合により硫黄又は硫黄化合物をなお粒状のポリスチレンポリマーに混合し、かつ溶融し、かつ溶融物を引き続き含浸し、かつ造粒するか又は
− ダイナミックミキサー又はスタチックミキサーを用いて、難燃剤及び場合により硫黄又は硫黄化合物をなお粒状のEPSに混合し、かつ引き続き該混合物を溶融し、かつ造粒するか又は
− 難燃剤及び発泡剤及び場合により硫黄又は硫黄化合物の存在で、水性懸濁液中でスチレンの懸濁重合により粒状物の製造を行う、請求項20に記載の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造する方法。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造する方法において、次の工程:
− 押出機中に分子量Mw>120000g/mol、有利には150000〜250000g/mol、特に有利には180000〜220000g/molを有するPS又はEPS粒状物、ならびに少なくとも1つの難燃剤及び場合により1つ以上の更なる添加剤、特に
a)難燃相乗剤、例えば、熱的ラジカル形成剤、例えば、ジクミルペルオキシドを0.1〜20質量%の濃度で、
b)赤外線乳白剤、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウム、二酸化チタンを0.1〜1質量%の濃度で、
c)安定剤、例えば、ニトロキシルラジカル形成物質、例えば、HTEMPOを0.1〜1質量%の濃度で、
d)更なるハロゲン化又はハロゲン不含難燃剤、例えば、HBCD、DOPO、水酸化マグネシウムを0.1〜20質量%の濃度で、及び/又は
e)充填剤、例えば、白亜、タルク、シリケートを1〜20質量%の濃度で、一緒に計量供給し、
− 押出機中で全ての成分を一緒に溶融し、
− 場合により少なくとも1つの発泡剤を供給し、
− 全ての成分を120℃を上回る温度で混合し、
− 加圧水中造粒を用いて例えば1〜20バールで、30〜100℃、特に50〜80℃の水温で<5mm、有利には0.2〜2.5mmの粒状物サイズに造粒し、
− 場合により被覆剤、例えば、ケイ酸塩、脂肪酸の金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドで表面被覆すること
を含む、請求項20又は21に記載の難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造する方法。
【請求項23】
請求項20から22までのいずれか1項に記載の方法により得られる難燃性発泡性スチレンポリマー(EPS)。
【請求項24】
難燃剤として、請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのリン化合物又はその開環加水分解物又は塩を含有している、ポリマーフォーム、特にスチレンポリマー粒子フォーム又は押出ポリスチレン−硬質フォーム(XPS)。
【請求項25】
更なる難燃剤又は難燃相乗剤として、請求項18又は19に記載の硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物が含有されている、請求項24に記載のポリマーフォーム。
【請求項26】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の難燃性発泡性ポリマー、特に発泡性スチレンポリマー(EPS)から、特にポリマーの溶融及び焼結により又は押出により得られる、請求項24又は25に記載のポリマーフォーム。
【請求項27】
7〜200g/lの間の密度及び1mm3当たり0.5気泡を上回る殆ど独立した気泡構造を有する、請求項24〜26のいずれか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項28】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのリン化合物又はその開環加水分解物又は塩を難燃剤としてならびに場合により請求項18又は19に記載の硫黄及び/又は少なくとも1つの硫黄含有化合物又は硫黄化合物を難燃剤又は難燃相乗剤として、
− 請求項16又は17による発泡性ポリマー、特に発泡性スチレンポリマー(EPS)又は発泡性スチレンポリマー粒状物(EPS)において、又は
− ポリマーフォーム、特に発泡性ポリマーからフォーミングにより得られるスチレンポリマー粒子フォームにおける、又は押出ポリスチレン−硬質フォーム(XPS)において
用いる使用。

【公表番号】特表2012−531504(P2012−531504A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518690(P2012−518690)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000246
【国際公開番号】WO2011/000018
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(512003711)サンパー クンストシュトフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Sunpor Kunststoff Ges.m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Stattersdorfer Hauptstrasse 48, A−3100 St. Poelten, Austria
【Fターム(参考)】