説明

難燃性試験装置

【課題】難燃性試験の被試験物が内部で燃やされる試験槽を備える難燃性試験装置において、ごく簡易な構成により、前記試験槽内の温度を速やかに所定の許容温度に調節できること。
【解決手段】制御部(6)は、開始イベントの検知に応じて、温度センサ5の検出温度が目標温度に下がるまで、出口ダンパ3を開いた状態に保持し、冷気供給切替部(41,42)を冷気が試験槽(10)内に供給される状態に保持し、試験槽(10)内の気体を誘引する通風機(3)を作動状態に保持する。その後、制御部(6)は、温度センサ(5)の検出温度が目標温度まで下がったときに、出口ダンパ(3)を閉じ、冷気供給切替部(41,42)を冷気が試験槽(10)内に供給されない状態に切り替え、通風機(2)を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性試験の被試験物が内部で燃やされる試験槽を備える難燃性試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線などの電装部品、特に、自動車用の電装部品は、事故発生時の燃料への引火を回避するため、高い難燃性を有することが望ましい。また、電装部品などの物体の難燃性は、着火のしにくさの他、着火してから炎が消えるまでの時間の短さによっても評価される。また、難燃性の評価基準を統一するため、難燃性試験の条件の標準化が進められている。
【0003】
例えば、ISO−06722規格においては、難燃性試験の対象となる被試験物(電線)の保持角度、試験環境の温度範囲及び試験環境が無風状態であることなどの試験条件が規定され、さらに、被検査物が着火してからその炎が消えるまでの時間が、難燃性の評価指標とされる旨が規定されている。このような難燃性試験は、無風状態に保たれた所定の試験槽内で行われる。
【0004】
以下、難燃性試験の手順の一例について説明する。まず、被試験物及び着火装置が収容された試験槽内の温度が、予め定められた許容範囲内の温度となるように調節される。次に、前記試験物が、前記着火装置によって着火される。前記被試験物に火が付いた時点からストップウォッチなどのタイマによる計時が開始された後、前記被試験物の炎の状況が監視され、前記被試験物の炎が消えた時点で、前記タイマによる計時を終える。
【0005】
一方、難燃性試験に用いるために内部温度を調節可能な容器としては、特許文献1に示されるような恒温槽が考えられる。恒温槽は、特許文献1に示されるように、ヒータ、冷凍機及び送風ファンによって内部温度を自動調節する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−185285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示されるような恒温槽は、冷気又は暖気を主に内部循環させるため、難燃性試験に用いられる容器として適さないという問題点があった。内部循環型の恒温槽においては、過去の難燃性試験により発生したガスが恒温槽内に滞留し、そのガスが次回の難燃性試験に影響を及ぼす可能性があるからである。また、内部温度を設定された温度に対してごくわずかな誤差で調節可能な恒温槽は、難燃性試験用には高価過ぎるという問題点もある。
【0008】
また、被試験物が内部で燃やされる試験槽及びその試験槽内を換気する装置を備える難燃性試験装置が、難燃性試験に用いられることが考えられる。しかしながら、前記試験槽の内部温度が、換気のみによって調節される場合、前記試験槽の外部温度が比較的高い場合に、前記試験槽の内部温度の調節に長い時間を要し、試験の効率が悪化するという問題点があった。夏期の難燃性試験においては、前記試験槽の外部温度が高いため、その問題点が特に顕著となる。例えば、1日に100回の難燃性試験が行われる場合、1回の試験当たりの温度調節時間がわずか1分長くなるだけで、1日当たりの試験時間が100分も長くなる。
【0009】
本発明は、難燃性試験の被試験物が内部で燃やされる試験槽を備える難燃性試験装置において、ごく簡易な構成により、前記試験槽内の温度を速やかに所定の許容温度に調節できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る難燃性試験装置は、以下に示す各構成要素を備える。第1の構成要素は、難燃性試験の被試験物が内部で燃やされる試験槽である。第2の構成要素は、前記試験槽内の温度を検出する温度検出部である。第3の構成要素は、前記試験槽内の気体を誘引して排出する通風機である。第4の構成要素は、前記通風機により前記試験槽外へ排出される気体の流路を開閉する出口ダンパである。第5の構成要素は、前記試験槽外で冷気を生成する冷気生成部である。第6の構成要素は、前記冷気生成部により生成される冷気を前記試験槽内に供給するか否かを切り替える冷気供給切替部である。第7の構成要素は制御部である。この制御部は、所定の開始イベントが検知された場合に、前記温度検出部の検出温度が予め設定された許容温度に下がるまで、前記出口ダンパを開いた状態に保持し、前記冷気供給切替部を前記冷気が前記試験槽内に供給される状態に保持し、前記通風機を作動状態に保持する。その後、前記制御部は、前記温度検出部の検出温度が前記許容温度まで下がったときに、前記出口ダンパを閉じ、前記冷気供給切替部を前記冷気が前記試験槽内に供給されない状態に切り替え、前記通風機を停止させる。
【0011】
また、前記冷気供給切替部は、前記冷気生成部により生成される冷気の流路を、前記試験槽内に連通する流入路と前記試験槽外へ連通する放出路とに選択的に切り替える流路切替部であることが考えられる。
【0012】
また、本発明に係る難燃性試験装置は、前記温度検出部の検出温度が予め設定された温度よりも高いか否かを区別して表示する表示部を備えることが考えられる。また、前記冷気生成部はスポットエアーコンディショナーであることが考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前記制御部の作用により、前記試験槽内の温度が速やかに所定の許容温度に調節される。また、温度調節が行われるごとに、ガスを含む前記試験槽内の気体は、前記通風機によって前記試験槽の外に排出され、フレッシュな空気が前記試験槽内に充填される。そのため、過去の難燃性試験により発生したガスが前記試験槽内に滞留し、そのガスが次回の難燃性試験に影響を及ぼすことを防止できる。
【0014】
また、本発明において、前記冷気供給切替部は、前記冷気生成部により生成される冷気を、前記試験槽内に供給するか否かを切り替える。これにより、温度調節の完了ごとに、次回の温度調節まで、前記冷気生成部を、十分に温度の低い冷気を安定的に吐出する状態に保持することができる。その結果、前記冷気生成部を毎回起動する場合に比べ、繰り返し行われる温度調節の時間を短縮することができる。しかも、本発明に係る難燃性試験装置は、ごく簡易な構成により実現される。
【0015】
なお、本発明に係る難燃性試験装置において、十分な容量の前記試験槽が採用され、前記制御部が、前記試験槽内の温度を、難燃性試験において許容される温度範囲における上限温度に対して余裕のある前記許容温度に調節すれば、前記試験槽内の温度が、試験中に前記許容される温度範囲を超えることはない。また、前記試験槽内の温度は、被試験物の燃焼によって上昇する傾向にあるので、前記試験槽内の温度を許容温度まで上げるためのヒータは通常は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る難燃性試験装置1の概略構成図である。
【図2】内部温度調節中の難燃性試験装置1の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
以下、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る難燃性試験装置1の構成及び動作について説明する。難燃性試験装置1は、難燃性試験に用いられる装置である。難燃性試験は、例えば、予め定められた温度範囲で無風の試験環境において、電線などの被試験物が所定角度で保持され、その被検査物が着火してからその炎が消えるまでの時間を計測する試験である。
【0019】
図1に示されるように、前記難燃性試験装置1は、試験槽10、通風機2、冷気生成装置4、温度センサ5、制御部6、スタートボタン7及び表示灯50を備えている。前記試験槽10の内部は、出口ダクト20を介して前記通風機2に連通し、入口ダクト31及び基幹ダクト30を介して前記冷気生成装置4に連通する。
【0020】
前記試験槽10は、被試験物が収容される容器であり、その内部において前記被試験物が燃やされる。前記試験槽10には、前記試験槽10の一部を開閉可能に支持されたガラスなどの透光性部材からなる窓11が設けられている。前記試験槽10内での前記被試験物の様子は、前記窓11を通じて確認できる。また、前記試験槽10内への被試験物の設置の際に、前記窓11が開かれる。前記温度センサ5は、前記試験槽10内の雰囲気温度を検出するセンサであり、例えば、サーミスタ又は熱電対などである。
【0021】
前記通風機2は、前記試験槽10内の気体を誘引して排出するファンである。前記出口ダクト20は、前記試験槽10内の気体が前記通風機2へ流れる流路を形成する。前記通風機2が作動すると、前記試験槽10内の気体は、前記出口ダクト20を通じて前記試験槽10の外へ排出される。前記出口ダクト20の内部には、前記通風機2により前記試験槽10の外へ排出される気体の流路を開閉する出口ダンパ3が設けられている。なお、前記試験槽10内の気体には、空気及び前記被試験物の燃焼によって発生するガスが含まれる。
【0022】
前記冷気生成装置4は、前記試験槽10の外において、前記試験槽10内に供給するための冷気を生成する装置である。前記冷気生成装置4は、冷凍サイクルを構成するコンプレッサ、凝縮器、キャピラリチューブ及び蒸発器を備え、予め設定された冷却強度に応じたパワーで冷気を生成する。なお、前記冷気生成装置4は、前記温度センサ5の検出温度に応じて冷却強度を調節する機能は備えていない。前記冷気生成装置4は、例えば、スポットエアーコンディショナーである。
【0023】
また、前記基幹ダクト30は、前記冷気生成装置4に接続される側と反対側の開口部において、前記入口ダクト31と、前記試験槽10の外に繋がる放出ダクト32との両方に接続されている。即ち、前記冷気生成装置4から吐出される冷気の流路は、前記試験槽10内へ向かう流路である前記入口ダクト31と、前記試験槽10の外へ向かう流路である前記放出ダクト32との2つの流路に分岐している。
【0024】
前記入口ダクト31の内部には、前記冷気生成装置4から前記試験槽10内へ流れる冷気の流路を開閉する入口ダンパ41が設けられている。また、前記放出ダクト32の内部には、前記冷気生成装置4から前記試験槽10の外へ流れる冷気の流路を開閉する放出ダンパ42が設けられている。前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、前記冷気生成装置4により生成される冷気を前記試験槽内に供給するか否かを切り替える冷気供給切替部の一例である。
【0025】
前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、各々開及び閉の状態が相互に逆の状態となるように動作する。従って、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、前記冷気生成装置4により生成される冷気の流路を、前記試験槽10内に連通する流入路である前記入口ダクト31と、前記試験槽10の外へ連通する放出路である前記放出ダクト32とに選択的に切り替える。前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、前記流路切替部の一例である。
【0026】
図1に示される各ダンパ3,41,42の状態は、前記試験槽10内への冷気の流入が遮断され、前記試験槽10からの気体の流出も遮断された状態であり、難燃性試験が行われている最中の状態である。一方、図2に示される各ダンパ3,41,42の状態は、前記試験槽10内へ冷気が流入し、前記試験槽10からの気体が流出する状態であり、難燃性試験の開始前に、前記試験槽10内の温度調節が行われるときの状態である。
【0027】
前記表示灯50は、前記温度センサ5の検出温度が、予め設定された初期上限温度よりも高いか否かを区別して表示する表示部である。前記表示灯50は、前記温度センサ5の検出温度が前記初期上限温度よりも高い場合に点灯される赤色の警告灯51と、前記温度センサ5の検出温度が前記初期上限温度以下である場合に点灯される緑色の確認灯52とを備えている。
【0028】
前記スタートボタン7は、当該難燃性試験装置1において、前記試験槽10内の温度を調節する制御を開始するイベントを発生する操作ボタンである。
【0029】
前記制御部6は、前記温度センサ5の検出温度及び前記スタートボタン7のON/OFFの状態を入し、前記通風機2、前記出口ダンパ3、前記入口ダンパ41、前記放出ダンパ42及び前記表示灯50を制御する回路である。前記制御部6は、前記通風機2及び各ダンパ3,41,42を制御することにより、前記試験槽10内の温度調節処理を行う。前記制御部6は、計算機のように演算素子を備えた回路、又はごく簡単なロジック回路によって実現可能である。以下、前記制御部6の具体的な制御の内容について説明する。
【0030】
前記制御部6は、常時、前記温度センサ5の検出温度が、予め設定された前記初期上限温度T1よりも高いか否かを判別する。前記初期上限温度T1は、験難燃性試験において許容される温度範囲における上限温度に対して余裕のある温度である。例えば、験難燃性試験において、試験中の環境温度として許容される温度範囲が摂氏18度から摂氏28度であり、1回の難燃性試験による前記試験槽10内の最大の温度上昇幅が2度程度である場合に、前記初期上限温度T1は摂氏24度程度に設定される。
【0031】
そして、前記制御部6は、前記温度センサ5の検出温度が前記初期上限温度T1よりも高いと判別すると、前記警告灯51を点灯させる。このとき、前記制御部6が、不図示の警報音出力装置に対して警報音を出力させることも考えられる。前記警告灯51の点灯は、次回の難燃性試験の開始前に、前記試験槽10内の温度調節処理が必要であることを意味する。一方、前記制御部6は、前記温度センサ5の検出温度が前記初期上限温度T1以下であると判別すると、前記確認灯52を点灯させる。前記確認灯52の点灯は、次回の難燃性試験の開始前に、必ずしも前記試験槽10内の温度調節処理を行う必要がないことを意味する。試験員は、難燃性試験を開始する前に、前記警告灯51が点灯している場合、前記制御部6に前記温度調節処理を開始させるために前記スタートボタン7を押下する。
【0032】
前記制御部6は、前記温度調節処理の開始イベントである前記スタートボタン7のON操作を検知すると、前記温度センサ5の検出温度が予め設定された目標温度T2に下がるまで、各ダンパ3,41,42及び前記通風機2の状態を、図2に示される温度調節状態に保持する。前記温度調節状態においては、前記出口ダンパ3は開いた状態に保持され、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、冷気が前記試験槽10内に供給される状態に保持され、前記通風機2は作動状態に保持される。ここで、前記冷気生成装置4は、一連の複数回の難燃性試験が実施される期間、常に作動状態に保持される。即ち、前記制御部6は、前記冷気生成装置4の作動及び停止を制御できてもできなくてもよい。
【0033】
前記目標温度T2は、験難燃性試験の環境温度として許容される温度範囲内で設定され、通常、前記初期上限温度T1未満に設定される。例えば、験難燃性試験において、試験中の環境温度として許容される温度範囲が摂氏18度から摂氏28度であり、1回の難燃性試験による前記試験槽10内の最大の温度上昇幅が2度程度であり、前記初期上限温度T1が摂氏24度に設定された場合に、前記目標温度T2は、摂氏23度程度に設定される。前記目標温度T2が前記初期上限温度T1と同じ温度に設定されることも考えられる。
【0034】
そして、前記制御部6は、各ダンパ3,41,42及び前記通風機2を前記温度調節状態に保持した後、前記温度センサ5の検出温度を監視し、前記温度センサ5の検出温度が前記目標温度T2まで下がったときに、各ダンパ3,41,42及び前記通風機2の状態を、図1に示される試験中状態に保持する。前記試験中状態においては、前記出口ダンパ3は閉じた状態に保持され、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、冷気が前記試験槽10の外に放出される状態に保持され、前記通風機2は停止される。従って、前記試験中状態においては、前記試験槽10の入口及び出口が全て閉じられるので、前記試験槽10内は無風状態に維持される。前述したように、前記冷気生成装置4は、前記試験中状態においても作動状態に保持される。
【0035】
前記難燃性試験装置1においては、前記試験槽10内の温度が速やかに前記目標温度T2に調節される。例えば、夏期に、前記難燃性試験装置1の実物を用いて、前記冷気生成装置4を動作させる場合と動作させない場合とで、前記試験槽10内の温度を摂氏28度から摂氏23度まで下げるのに要する時間を比較してみた。但し、市販のスポットエアーコンディショナーである前記冷気生成装置4を動作させない場合、前記入口ダクト31と前記放出ダクト32とが連通するようにした。この場合、前記冷気生成装置4を動作させない場合には、温度調節に要する時間が10分であったのに対し、前記冷気生成装置4を動作させることにより、温度調節に要する時間が1分にまで短縮された。
【0036】
また、温度調節が行われるごとに、ガスを含む前記試験槽10内の気体は、前記通風機2によって前記試験槽10の外に排出され、フレッシュな冷気が前記試験槽10内に充填される。そのため、過去の難燃性試験により発生したガスが前記試験槽10内に滞留し、そのガスが次回の難燃性試験に影響を及ぼすことを防止できる。
【0037】
また、前記難燃性試験装置1において、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42は、前記冷気生成装置4により生成される冷気を、前記試験槽10内に供給するか否かを切り替える。これにより、温度調節の完了ごとに、次回の温度調節まで、前記冷気生成装置4を、十分に温度の低い冷気を安定的に吐出する状態に保持することができる。その結果、前記冷気生成装置4を毎回起動する場合に比べ、繰り返し行われる温度調節の時間を短縮することができる。しかも、前記難燃性試験装置1は、ごく簡易な構成により実現される。
【0038】
前記難燃性試験装置1において、十分な容量の前記試験槽10が採用され、前記目標温度T2が、難燃性試験において許容される温度範囲における上限温度に対して余裕のある温度に設定されれば、前記試験槽10内の温度は、試験中に前記許容される温度範囲を超えることはない。また、前記試験槽10内の温度は、被試験物の燃焼によって上昇する傾向にあるので、前記試験槽10内の温度を許容温度まで上げるためのヒータは通常は不要である。
【0039】
以上に示した実施形態では、2つのダンパ41,42が、冷気の流路を切り替える流路切替部として採用されたが、三方弁などの他の流路切り替え機構が採用されることも考えられる。また、前記制御部6が温度調節を開始するイベントとして、前記スタートボタン7に対する操作の他、外部装置からネットワーク又は制御信号線を通じて入力される所定のスタート信号などが採用されることも考えられる。
【0040】
また、例えば難燃性試験の時期が冬期である場合のように、前記試験槽10の設置環境の温度が十分に低い場合、前記冷気生成装置4を作動させる必要がないことが考えられる。そのような場合に対応するため、前記制御部6は、選択スイッチなどの操作部に対する所定の選択操作に応じて、前記温度調節状態における制御パターンを第1パターン及び第2パターンの2つのパターンから選択可能に構成されることが考えられる。前記第1パターンは、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42を、前記試験槽10内と前記冷気生成装置4(前記基幹ダクト30)とを連通させる制御パターンである。前記第2パターンは、前記試験槽10内と前記放出ダクト32(冷気の放出路)とを連通させる制御パターンである。
【0041】
また、前記難燃性試験装置1において、前記放出ダクト32は、その解放端側の開口、即ち、前記冷気生成装置4に連通する側と反対側の開口が、前記冷気生成装置4の吸気口に近接するよう配置されればなお好適である。これにより、前記入口ダンパ41及び前記放出ダンパ42によって冷気が前記試験槽10の外に放出されているときに、前記冷気生成装置4がより低温の状態となる。その結果、前記試験槽10内の温度調節が再開されたときに、より低温の冷気が前記試験槽10内に流入し、温度調節時間がより短縮される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、車両用無線給電装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 難燃性試験装置
2 通風機
3 出口ダンパ
4 生成装置
5 温度センサ
6 制御部
7 スタートボタン
10 試験槽
20 出口ダクト
30 基幹ダクト
31 入口ダクト
32 放出ダクト
41 入口ダンパ
42 放出ダンパ
50 表示灯
51 警告灯
52 確認灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性試験の被試験物が内部で燃やされる試験槽と該試験槽内の温度を検出する温度検出部とを備えた難燃性試験装置であって、
前記試験槽内の気体を誘引して排出する通風機と、
前記通風機により前記試験槽外へ排出される気体の流路を開閉する出口ダンパと、

前記試験槽外で冷気を生成する冷気生成部と、
前記冷気生成部により生成される冷気を前記試験槽内に供給するか否かを切り替える冷気供給切替部と、
所定の開始イベントが検知された場合に、前記温度検出部の検出温度が予め設定された許容温度に下がるまで、前記出口ダンパを開いた状態に保持し、前記冷気供給切替部を前記冷気が前記試験槽内に供給される状態に保持し、前記通風機を作動状態に保持し、その後、前記温度検出部の検出温度が前記許容温度まで下がったときに、前記出口ダンパを閉じ、前記冷気供給切替部を前記冷気が前記試験槽内に供給されない状態に切り替え、前記通風機を停止させる制御部と、
を備えた難燃性試験装置。
【請求項2】
前記冷気供給切替部は、前記冷気生成部により生成される冷気の流路を、前記試験槽内に連通する流入路と前記試験槽外へ連通する放出路とに選択的に切り替える流路切替部である、請求項1に記載の難燃性試験装置。
【請求項3】
前記温度検出部の検出温度が予め設定された温度よりも高いか否かを区別して表示する表示部を備える、請求項1又は請求項2に記載の難燃性試験装置。
【請求項4】
前記冷気生成部はスポットエアーコンディショナーである請求項1から請求項3のいずれかに記載の難燃性試験装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−141147(P2011−141147A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−931(P2010−931)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】