説明

難燃発泡用樹脂組成物及びその発泡体

【課題】イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を含有し、難燃性、強度特性に優れ、さらに作業性に優れる発泡用樹脂組成物及びその発泡体を提供する。
【解決手段】本発明の発泡体は、糖質類の分子量を適切な範囲に制御することと、メラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を添加すること、イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比を0.30〜0.85とすることを特徴とする発泡用樹脂組成物を成形して得ることを特徴とし、さらに本発明のプレミックス液の相溶性の向上には適切な範囲に制御された糖質類を相溶化剤として使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的の諸特性を得るため、イソシアネート化合物と、糖質類と、メラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比を適切な範囲に組み合わせ制御することを特徴とし、さらには、分子量を制御した糖質類を使用、または官能基を導入した糖質類を利用することでプレミックス液の相溶性を向上させ作業性に優れ、その発泡体の諸特性である難燃性、強度特性に優れた発泡用樹脂組成物、及びその発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体はポリオール、反応触媒、整泡剤、難燃剤、発泡剤とを混合しプレミックス液とし、発泡体製造時にイソシアネート化合物と撹拌混合させる2液混合法で製造されるのが一般的である。このような発泡体の主用途は建材関連や自動車内装材等であり難燃性への要求が重要視される他、製造施工時に必要な発泡体強度が要求される。
【0003】
難燃性向上の為には、難燃剤の添加やイソシアヌレート変性等の手法がある。またこのような発泡体はイソシアネート化合物の官能基(−NCO)数とポリオールの官能基(−OH)数とのNCO/OH当量比を1.0〜1.2程度に設定するのが通常である。
【0004】
糖質類は自身の持つ官能基(−OH)と構造の剛直性、残炭率の高さから難燃性に有利な材料として注目されてきたが、通常の処方では糖質類の持つ官能基(−OH)を全てイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)と反応させてしまう為、難燃性が下がってしまうと言う欠点があった。
【0005】
難燃性を補う為に難燃剤を添加する方法があるが、失われてしまった難燃性を向上させる為には多量の難燃剤の使用が必要となり、強度低下、脆砕性の悪化といった問題を生ずる。
【0006】
また、芳香族ポリエステルポリオールを用い、NCO/OH当量比を上昇させて三量化反応触媒を用いてイソシアヌレート環を形成させ難燃性を向上させる手法もあるが、ポリオール量に比べイソシアネート化合物の使用量が極端に多くなる為、製造上難しく、発泡体が脆くなる等の問題がある。
【0007】
糖質類の持つ難燃性に注目した文献もあるが、製造施工時に必要な実用的強度が得られないと言った問題があった。係る問題に対処すべく各種検討がなされて来たが十分でないのが現状である。
【0008】
また糖質類をポリオールとして使用した場合、その親水性の高さから、整泡剤、難燃剤と言った添加剤との相溶性が難しく作業性に問題があった。その解消のために、プレミックス液とする際に、整泡剤、難燃剤と言った添加剤を予めイソシアネート化合物と混合させる方法や、ポリオール、整泡剤や難燃剤と言った添加剤、イソシアネート化合物の3液成分で混合させる等、発泡体製造時に工夫を要する必要性があり、広く一般的な使用が望めない点も検討課題であった。
【0009】
従来は、炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、メラミン樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有する組成物より得られるポリウレタン発泡体の少なくとも片面に難燃若しくは不燃性の板又はシートを設けてなる難燃性構造体を製造している(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、メラミン樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有する組成物より得られるポリウレタン発泡用樹脂組成物を製造しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、フェノール樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有する組成物より得られるポリウレタン発泡用樹脂組成物を製造しているものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
しかし、特許文献1乃至3のいずれにおいても、イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比や糖質類の分子量を適切な範囲に制御しておらず、難燃性と製造施工時の作業性および、必要な実用的強度を両立し得る発泡用樹脂組成物、発泡体を開示するものではない。また特許文献1乃至3のいずれにおいても、ポリオールに整泡剤、難燃剤と言った添加剤をプレミックスする方法を開示するものではない。
【特許文献1】特開昭61−268435号公報
【特許文献2】特開昭61−266425号公報
【特許文献3】特開昭61−266424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする問題点は、イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比を通常どおりに配合するだけでは、作業性に劣り、難燃性、強度、脆砕性等の諸特性を満足した発泡用樹脂組成物、及びその発泡体が得られないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の発泡用樹脂組成物は、イソシアネート化合物に、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を添加し、NCO/OH当量比を0.30〜0.85とすることで難燃性を発現せしめるとともに、糖質類の分子量を一般式(1)及び/又は一般式(2)に示すように適切な範囲に制御すること、及びメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を添加することで強度向上をはかること、さらには一般式(3)に記載する糖質類を相溶化剤として使用することで、プレミックス液の相溶性を向上させることが出来ることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、難燃性が高く、実用的強度が得られる発泡用樹脂組成物及びその発泡体を得ることができ、さらには一般式(3)の糖質類を加えることで、プレミックス液の相溶性が向上し、使い勝手が良く、難燃性が高く、実用的強度が得られる発泡用樹脂組成物、及びその発泡体を得ることができる。
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0017】
請求項1記載の発明によれば、糖質類とイソシアネート化合物を含む発泡用樹脂組成物であって、イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比を0.30〜0.85とすることにより、糖質類の持つ官能基(−OH)を残すようにイソシアネート化合物と反応させることができ、糖質類の官能基が持つ難燃性を発現させ、また一般式(1)及び/又は一般式(2)に示すように、糖質類の分子量を適切な範囲に制御する事でイソシアネート化合物との反応時の分子量向上を図るとともに、メラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を添加することで糖質類とイソシアネート化合物との架橋密度向上を図る事で強度を発現させることができ、難燃性に優れ、実用的強度の得られる発泡体の製造に好適な発泡用樹脂組成物を提供できる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、一般式(3)に記載する糖質類を相溶化剤として使用することで、プレミックス液の相溶性が向上した、難燃性に優れ、実用的強度の得られる発泡体の製造に好適な発泡用樹脂組成物を提供できる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、難燃剤にリン酸エステル系化合物を使用することにより、請求項1、2に記載の発明と同様な効果を奏することに加えて、糖質類の構造の剛直性からくる脆砕性の悪化を回避でき、更に難燃性にも優れた発泡用樹脂組成物を提供できる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至2記載の発明に係る発泡用樹脂組成物を基に成形して得られる発泡体は、難燃性に優れ、強度特性も良好である。さらに請求項3記載の発明に係る発泡用樹脂組成物を基に成形して得られる発泡体は、請求項1及び2から得られた発泡体と同様な効果を奏することに加えて、糖質類の構造の剛直性からくる脆砕性の悪化を回避でき、更に難燃性にも優れた特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明について更に詳述する。
【0022】
本発明における糖質類としては、糖誘導体(ヒドロキシアルキル化グルコシド、等)の下記一般式(1)、オリゴ糖、でん粉糖糖化物水溶液、還元でん粉糖糖化物水溶液等の、下記一般式(2)に示すものが挙げられる。
【0023】
【化1】

【0024】
【化2】

【0025】
特には、一般式(1)のR1が炭素数2〜4の範囲の化合物である糖誘導体が好ましい。また一般式(1)に示す糖質類の平均分子量は200〜450が好ましく、さらに好ましくは平均分子量250〜400である。平均分子量が200未満では十分な発泡体強度が得られず、平均分子量が450を超えるとプレミックス液の粘度が上昇し成形不良を起こし、好ましくない。 一般式(1)中のグルコースユニットの置換基としては、次のアルコール類から変性されたものが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0026】
1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、等が挙げられる。
【0027】
一般式(2)に示す糖質類の平均分子量は300〜900が好ましく、さらに好ましくは平均分子量350〜700である。平均分子量が300未満では十分な発泡体強度が得られず、平均分子量が900を超えるとプレミックス液の粘度が上昇し成形不良が起こり、好ましくない。
【0028】
本発明におけるプレミックス液の相溶性向上の為の相溶化剤として使用される糖質類は、糖誘導体(アルコキシアルキル化グルコシド、アルキル化グルコシド、等)下記一般式(3)に示すものが挙げられる。
【0029】
【化3】

【0030】
特には、一般式(3)のR2が炭素数4〜12の範囲の化合物である糖誘導体がさらに好ましい。また一般式(3)に示す糖質類の平均分子量は190〜500が好ましく、さらに好ましくは平均分子量230〜420である。平均分子量が190未満では十分な相溶性が得られず、平均分子量が500を超えるとプレミックス液の粘度が上昇し成形不良が起こり、好ましくない。
【0031】
一般式(3)中のグルコースユニットの置換基としては、次のアルコール類から変性されたものが可能であるが、これに限定されるものではない。メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、ベンジルアルコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、等が挙げられる。
【0032】
本発明におけるメラミン樹脂としては、特に制限はないがアルキル化メチロールメラミン樹脂やメチロールメラミン樹脂が好適である。また本発明におけるフェノール樹脂としては、特に制限はないがレゾール型フェノール樹脂が好適である。メラミン樹脂及びフェノール樹脂は共に、固形分として70%以上が好ましい。固形分が70%未満では十分な発泡体強度が得られず、好ましくない。使用量は一般式(1)及び/又は一般式(2)及び/又は一般式(3)に記載する糖質類100質量部に対し1〜200質量部で、好ましくは5〜60質量部である。使用量が1質量部未満では十分な発泡体強度が得られず、200質量部を超えると発泡体が脆くなり、好ましくない。
【0033】
本発明における一般式(3)に記載する糖質類を相溶化剤として使用する際の使用量は、一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載する糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂からなるポリオール成分100質量部に対し1〜100質量部で、好ましくは5〜50質量部である。使用量が1質量部未満では十分な相溶性が得られず、100質量部を超えると強度が低下し、好ましくない。
【0034】
本発明におけるイソシアネート化合物として特に制限はなく、一般的なエチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、クロルフェニルイソシアネート、ジクロルフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタンイソシアネート、等のモノイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、及びこれらの誘導体からなるイソシアネート末端を有するポリマーなどが使用される。
【0035】
難燃剤としてリン酸エステル系化合物を組み合わせることで、脆砕性の改善とともに難燃性の発現をより効果的なものとする。本発明で使用される難燃剤の例として、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の非ハロゲンリン酸エステル類や非ハロゲン縮合リン酸エステル類が使用でき、また、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類、含ハロゲン縮合リン酸エステル類も使用できるが、これに限定されるものではない。
【0036】
難燃剤の使用量は、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂からなるポリオール成分100質量部に対し1〜80質量部で、好ましくは5〜60質量部である。使用量が1質量部未満では難燃効果が十分でなく、80質量部以上では発泡体の強度が低下し、好ましくない。
【0037】
その他、発泡体の作成に必要な、反応触媒、整泡剤、発泡剤、等には特に制限は無く、一般的なものでよく、使用する量も特に制限はないが、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂、イソシアネート化合物によって、適宜品種を選択し使用量の調節を行えば良い。また発泡体の改質の目的に合わせて任意なポリオールを適宜混合しても良い。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0039】
[樹脂M]
メラミン100質量部、37%ホルマリン193質量部、水酸化ナトリウム0.2質量部を反応容器に投入し、70℃にて反応せしめた後に蓚酸にてpH=6.0に調整した。その後メチルアルコールを475質量部添加し、加温して反応せしめ、水酸化ナトリウムにてpH=10.0に調整した。脱塩後減圧下にて脱水し固形分80%、粘度2000mPa・s/25℃、OH当量=75のメラミン樹脂を得た。
【0040】
[樹脂P]
フェノール100質量部、92%パラホルムアルデヒド52質量部、酢酸亜鉛0.3質量部を反応容器に投入し還流温度にて反応せしめ固形分95%、粘度7000mPa・s/25℃、OH当量=95のフェノール樹脂を得た。
【0041】
[実施例1]
ポリオールとしてKM−55:水あめ(群栄化学工業株式会社製、平均分子量=380、OH当量=48、糖質分75%水溶液)85質量部、樹脂M 15質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)111質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0042】
[実施例2]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド65質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、樹脂M 15質量部、発泡剤として水20質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)114質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0043】
[実施例3]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド53質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、樹脂P 30質量部、発泡剤として水17質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてオクチル錫2質量部、難燃剤としてトリス(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)122質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0044】
[実施例4]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド34質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、KM−55:水あめ(群栄化学工業株式会社製、平均分子量=380、OH当量=48、糖質分75%水溶液)40質量部、樹脂M 15質量部、発泡剤として水11質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)124質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0045】
[実施例5]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド51質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、樹脂M 12質量部、相溶化剤としてブチルグルコシド(平均分子量=300、OH当量=58)15質量部、発泡剤として水22質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン3質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)108質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0046】
[実施例6]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド47質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、樹脂P 27質量部、相溶化剤としてデシルグルコシド(平均分子量=400、OH当量=80)5質量部、発泡剤として水21質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてオクチル錫2質量部、難燃剤としてトリス(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)113質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0047】
[実施例7]
ポリオールとしてKM−55:水あめ(群栄化学工業株式会社製、平均分子量=380、OH当量=48、糖質分75%水溶液)68質量部、樹脂M 12質量部、相溶化剤としてブチルグルコシド(平均分子量=300、OH当量=58)15質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン3質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)103質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0048】
[実施例8]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド30質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、KM−55:水あめ(群栄化学工業株式会社製、平均分子量=380、OH当量=48、糖質分75%水溶液)30質量部、樹脂M 12質量部、相溶化剤としてブチルグルコシド(平均分子量=300、OH当量=58)15質量部、発泡剤として水13質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン3質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)108質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0049】
[比較例1]
ポリオールとして果糖75質量部(平均分子量=180、OH当量=36)、発泡剤として水25質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N‘、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)100質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0050】
[比較例2]
ポリオールとして果糖65質量部(平均分子量=180、OH当量=36)、樹脂M 15質量部、発泡剤として水20質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)110質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0051】
[比較例3]
ポリオールとして果糖51質量部(平均分子量=180、OH当量=36)、樹脂M 12質量部、相溶化剤としてブチルグルコシド(平均分子量=300、OH当量=58)15質量部、発泡剤として水22質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン3質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)103質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0052】
[比較例4]
ポリオールとしてヒドロキシエチルグルコシド51質量部(平均分子量=400、OH当量=45)、樹脂M 12質量部、相溶化剤としてブチルグルコシド(平均分子量=300、OH当量=58)15質量部、発泡剤として水19質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング株式会社製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン3質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)20質量部を混合してプレミックス液(A液)とした。B液のイソシアネート化合物としてコスモネートM200(三井化学株式会社製、NCO当量=135)221質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌後30×30×2.5cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体を得た。
【0053】
上述した実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各発泡体は、JIS A 9511「発泡プラスチック保温材」及びJIS K 7201−2「プラスチック−酸素指数による燃焼性試験方法−第2部:室温における試験」を参考に物性測定した。
【0054】
上述した実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各発泡体の物性測定の結果を下記表1に示す。なお、実用的な発泡体密度は35kg/m以上で、製造・施工上必要とされる実用的圧縮強さは5N/cm以上である。また、難燃性の指標である「酸素指数(LOI)」の数値は、24.0以上の場合、燃焼が持続せず難燃性に優れる。さらに、ポリオール類のOH当量は、JIS K 1557「ポリウレタン用ポリエーテル試験方法」を参考に測定した水酸基価に基づき、またイソシアネート化合物のNCO当量は以下の計算式により計算した。
OH当量=KOHの分子量(=56100)÷水酸基価(KOHmg/g)
NCO当量=NCOの分子量(=42)÷NCO含有量(%)×100
【0055】
【表1】

【0056】
表1から明らかなように、本発明のイソシアネート化合物と糖質類とのNCO/OH当量比を等量もしくは過剰とすることなく適切な範囲に組み合わせ制御し、イソシアネート化合物と、糖質類とメラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂とのNCO/OH当量比を0.30〜0.85とし、糖質類の分子量を制御することと、メラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂を添加した発泡用樹脂組成物を使用した本実施例1乃至4で得られた発泡体は、何れも「酸素指数(LOI)」の数値が24.0以上で高く難燃性に優れ、且つ実用性のある強度5N/cm以上を有することがわかった。また糖質類を相溶化剤として使用した、実施例5乃至8で得られた発泡体は、何れもプレミックスの相溶性をさらに向上させることができ、酸素指数(LOI)の数値が24.0以上で高く難燃性に優れ、且つ実用性のある強度5N/cm以上を有することが明らかである。一方、本発明に記載されている糖質類以外の果糖を使用した比較例1乃至3の場合、圧縮強度が不十分であり、NCO/OH当量比を本発明の範囲外の1.08とした比較例4の場合、圧縮強度及び酸素指数(LOI)が不十分であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る発泡体は、建築物の外壁材、内壁材、自動車内装材等として極めて広範囲に応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載する糖質類と(B)メラミン樹脂及び/又はフェノール樹脂と(C)イソシアネート化合物とを含有し、(A)と(B)の合計に対する(C)の比であるNCO/OH当量比を0.30〜0.85とすることを特徴とする難燃発泡用樹脂組成物。
【化1】


【化2】

【請求項2】
上記(A)成分として一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載する糖質類に加え、下記一般式(3)に記載する糖質類を含有することを特徴とする請求項1記載の難燃発泡用樹脂組成物。
【化3】

【請求項3】
難燃剤としてリン酸エステル系化合物を使用することを特徴とする請求項1乃至2記載の難燃発泡用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の難燃発泡用樹脂組成物を攪拌混合した後、成形して得られることを特徴とする発泡体。

【公開番号】特開2008−266464(P2008−266464A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111668(P2007−111668)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】