説明

雨水処理装置

本発明は、汚水分離器1に垂直に挿入される囲い部4を有し、汚水分離器1は水流入口2と水流出口12とを有する雨水処理装置において、囲い部4の側壁には、少なくとも一部が曲がった部分があり、その部分はフィルタ5を有し、囲い部4の内部には、垂直壁9により分離されかつ囲い部4の下部に形成された通路15により連通する第1空洞6及び第2空洞8が形成され、第1空洞6は外側壁に上記フィルタ5を有し、第2空洞8は、排出管7を介して、汚水分離器1の水流出口2と直接連通するのに適した流出オリフィスを有する、ことを特徴とする雨水処理装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水の処理、特に都市環境における雨水の処理に関する。より正確には、雨水から分離されるべき沈殿物及び、炭化水素類や他の類似成分の抽出に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の文献にあるように、雨水処理用の様々な装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報第2007/011864号
【特許文献2】米国特許第6780310号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0928861号明細書
【特許文献4】米国特許第5814216号明細書
【0004】
別の既存のシステムは、一列に並んだ二つの鉢からなる。
【0005】
第1の鉢は、炭化水素分離器の上流に位置し、流入口に下方へ傾斜する壁を備えるデカンターで、液体は水平に流れる。流れを遅くしているので、重い物質は傾斜によって鉢に入る。通常の通過時間は、120〜150秒である。
【0006】
第2の鉢は、より効果の高い分離器であり、流入口及び流出口に、コアレッシングフィルタの流れに沿って、下方へ傾斜する壁を備える。液体は水平に流れる。流れを遅くしているので、軽い物質は上昇して油収集室に入り、重い物質は傾斜によって汚泥室に入る。保持時間は、通常90〜300秒の間で変動する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主題は、より強力な雨水処理装置であり、沈殿物、炭化水素類、浮遊物等の様々な形状、タイプの成分を抽出できる装置である。
【0008】
本発明による装置は、汚水分離器に垂直に挿入する囲い部を有する。汚水分離器は、水流入口及び水流出口を有する。本発明による装置は、囲い部の側壁には、少なくとも一部が曲がった部分があり、その部分にフィルタを備えることを特徴とする。囲い部の内部には、垂直壁により分離されかつ囲い部の下部に形成されたオリフィスにより互いに連通する第1空洞及び第2空洞が形成される。第1空洞は外側面に上記フィルタを有する。第2空洞は、汚水分離器の水流出口と直接連通するのに適した流出オリフィスを有する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、装置は、実質的に円筒形状の第1囲い部と、同じく実質的に円筒形状を有し、第1囲い部の内部に、第1囲い部と同軸状に配置される第2囲い部とを有する。第1囲い部には、吸水オリフィスが取り付けられているか、一体的に形成されている。
第2囲い部は、二つの半円筒からなり、これらは共通壁で分離されるが、壁の下部には、二つの半円筒を連通させるオリフィスが形成されている。二つの半円筒の一方の、実質的に円筒状の外壁は、下部が密封表面であり、上部が透過表面(フィルタ)である。他方の半円筒の外壁は不透過性であり、この半円筒の外壁には、排水オリフィス取り付けられているか、一体的に形成されている。
【0010】
本発明の装置によれば、沈殿、デカンテーション、及び分離の操作が、単一の汚水分離器内で実施できる。
【0011】
また、本発明に特有な利点の一つとして、流入量に適合した、分離、デカンテーション、及び沈殿の操作を実施出来る点を強調できる。
【0012】
本発明による装置は、水の層流を生じさせるように設計されているが、強いにわか雨の時には、乱流が起きることもある。しかし、流れのタイプに左右されることなく、本装置の操作は確実に実施できる。
【0013】
発明の詳細な説明
図面によって示される実施例を含む、下記の詳細な説明によって、本発明は、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による装置の第1の実施態様
【図2】本発明による装置の第2の実施態様
【図3A】図1及び図2の装置に使用される囲い部の上面図
【図3B】図1及び図2の装置に使用される囲い部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から分かるように、管状の流入口シケイン3は、水流入口2に接続され、それは格子14に接続されて、接線方向で液体を透過させ、円筒槽状の汚水分離器1に導入する。また、汚水分離器1は、水流出口12も有する。
実質的に円筒形状の囲い部4は汚水分離器1内にそれと同軸上に垂直に配置される。囲い部4の壁の一部はフィルタ5からなる。囲い部4は、二つの半円筒6、8からなり、各々が空洞を形成する。二つの空洞6、8は、壁9によって分離される。壁9は垂直で、密封されているが、その下部には、二つの空洞6、8を連通する通路15を有する。第1空洞6の外壁は、フィルタ5からなり、第2空洞は、汚水分離器1の流出口12と直接連通する排出管7を有する。
浮遊物トラップ16は、円形状格子に細かい網目(好ましくは、5mm未満)を付けたもので、二つの半円筒6、8の周囲に配置して、内端部を半円筒6、8の各壁に取り付け、外端部を汚水分離器1の内壁に取り付ける。浮遊物トラップ16には、好ましくは合成物質か、他の適切な物質を使用してよい。
より正確には、浮遊物トラップ16は、好ましくは、フィルタ5の下部の直ぐ下であって、水流入口2より上に配置する。このトラップは、フィルタ5が、浮遊物によって偶発的に詰まることを防止することを目的として備えられる。浮遊物は、分解性或は非分解性であり、密度は通常1未満である、例えば、木の葉、針葉樹の葉、タバコの吸いさし等である。
【0016】
囲い部4の上部には、棒と輪を組み合わせた握り部11が備えられている。握り部11によって、囲い部4が取り外しやすくなる。この点については、囲い部4を汚水分離器1から取り外した位置を示す図2を参照のこと。
図2に示されるシステムは、図1に示すシステムと同じであるが、流入口シケイン13の断面が管状でない点のみが異なる。
シケイン3、13から流出する液体は、汚水分離器1の内壁に沿って円形状に動き、フィルタ5の表面全体で接線状に接する。液体の速度及び方向は、好ましくは少なくとも70cmの水流入柱の高さ、流量、及び流入口シケイン3の形状に依存する。
液体は、動くにつれて囲い部4の外側面に沿って、その周囲に広がる。液体がこのような軌道を描くことで、保持期間を延ばす効果をもたらされる。懸濁液中の粒子について、それぞれの濃度に応じたデカンテーションの時間が増える。
【0017】
囲い部4は、底面は完全に閉じており、上面は第2空洞8の上部のみが閉じている。要約すると、第2空洞8は閉じており、二つの通路15、7のみを有する。第1通路15は、第1空洞6に連通し、第2通路7は汚水分離器1の流出口2と連通する。浮遊物トラップ16は、重い物質と軽い物質のデカンテーションを行う第1分離要素を形成する。沈殿した物は、汚水分離器1の底部にある汚泥室に堆積する。軽い物質は、表面に上昇する。
フィルタ5は、例えば、ポリエーテル発泡体からなり、好ましくは、支持体に着脱可能に装着されている。フィルタは、軽い物質の分離段階を形成し、液体をろ過することで、より大きな分離効果を提供する。
フィルタ5は、コアレッシングフィルタが有利である。その構造(大きさ、気孔の配置)により、液体粒子、通常は炭化水素粒子を結合させ、より大きな液滴を形成し、その液滴は、重力によって分離される。
このようにして、分散する油と炭化水素がフィルタ5によって捕集される。
更に、比較的大きな浮遊物も、フィルタ5に保持される。
別の重要な側面は、フィルタ5はかなり広い表面積を有し、垂直に位置するために、それ(層流システム)を妨げることなく、液体の透過を促進し、分離効率を向上させる効果を有する。
【0018】
囲い部4の内部において、二つの空洞6、8を分離する壁9の大きさは、フィルタ5を通過した液体に対するデカンテーション及び分離の第2段階を行うように、思慮深く決めなければならない。
より正確には、第1空洞6内の、合体(炭化水素又は他の油成分)によって形成された大きな液滴は、重力により、その上面に向かう。二つの空洞6、8を結合する通路15は囲い部4の下部に形成されているので、大きな液滴は、第1空洞に閉じ込められる(捕捉される)。したがって、処理された液体のみが第2空洞に入ることができ、その後汚水分離器1の流出口7、12を使うことができる。
囲い部4内の液体の量は、流入口シケイン3、13の下向きに傾斜する部分の高さによって決まることに留意されたい。
汚水分離器1内の液体の量は、その一部は、水流出口7、12の高さによって決まる。
【0019】
囲い部4は、ニトリルゴム製のOリングシール、それ自体から自然に生じるシール、及び2つの鍵を備えるフランジ10によって、排出管7から着脱自在に懸架しているのが有利である(図3A及び3B参照)。
【0020】
好ましくは、排出管7に向かって密封オリフィスを形成し、試料を取り出せるようにする。或は、密封オリフィスの代わりに、自動閉鎖式バタフライ弁を使用してもよい。
【0021】
本発明による装置及びその構成部材は、望まれる目的を達成するものであれば、どんな物質からなってもよい。囲い部4の密封壁は、チタン安定化ステンレス鋼からなるのが、有利である。
【0022】
本発明による装置は、様々な流量、例えば2リットル/秒未満の流量、或は、25リットル/秒を超える流量、に合わせて設計できる。
【0023】
本発明による装置を、1〜22リットル/秒の範囲で変化する流量に対して使用した結果を以下に示す。
捕捉された懸濁固体>98%
重金属は汚泥へ沈殿している
試験台における試験:炭化水素類<5mg/L
溶解重金属の大幅な減少
【0024】
本発明により、下記が可能となる。
−道路沿いの排水溝の汚水、マンホール、袋、道路脇の水路、駐車領域の水路舗装された運転領域における、雨水の汚染を、その源で閉じ込め、処理できる。
−単一システムから分離器への排水通路が簡単になる。
−処理工場での水の流入を減らし、処理を向上させ、その結果、処理費用を減らす。
−最も近い既存の廃水口を選択できる:地下水面に直接浸透して再生、排水路、湾、小川、表面水集積地、池、湖への接続。
−懸濁固体を減らし、排水において、沈殿物をなくす。
−維持費用を減らす。
−水処理総合計画(PGEE)の領域において、溢れた水をより良く分布し、より良く制御する。
−分水排水路、大きな分離器、道路の水を処理するための池や鉢、洪水放水路、流量制限器を構成せず、汚染物質負荷を取り除く。
−水ストレスを減らす。
−生分解性有機物の嫌気性細菌による酸化と、懸濁液中の可溶有機物質の鉱物化を向上させる。
【符号の説明】
【0025】
1 汚水分離器
2 水流入口
3 シケイン
4 囲い部
5 フィルタ
6 第1半円筒
7 排出管
8 第2半円筒
9 分離壁
10 フランジ
11 握り部
12 水流出口
13 シケイン
14 格子
15 通路
16 浮遊物トラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水分離器(1)に垂直に挿入される囲い部(4)を有し、該汚水分離器(1)は水流入口(2)と水流出口(12)とを有する雨水処理装置において、
該囲い部(4)の側壁には、少なくとも一部が曲がった部分があり、その部分はフィルタ(5)を有し、該囲い部(4)の内部には、垂直壁(9)により分離されかつ囲い部(4)の下部に形成された通路(15)により連通する第1空洞(6)及び第2空洞(8)が形成され、該第1空洞(6)は外側壁に上記フィルタ(5)を有し、該第2空洞(8)は、排出管(7)を介して、汚水分離器(1)の水流出口(12)と直接連通するのに適した流出オリフィスを有する、ことを特徴とする雨水処理装置。
【請求項2】
前記囲い部(4)は円筒形である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記囲い部(4)の上部に握り部(11)を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタ(5)は着脱自在である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
フィルタ(5)はコアレッシングフィルタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記空洞(6、8)の外壁と、汚水分離器(1)の内壁との間に浮遊物トラップ(16)が形成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置と、汚水分離器(1)との組立体であって、汚水分離器(1)の水流入口(2)は、汚水分離器(1)への水の流入が実質的に水平方向になるように形成された流入口シケイン(3、13)を有する、組立体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置と、排出管(7)を有する汚水分離器(1)との組立体であって、前記囲い部(4)は排出管(7)に懸架して装着されることを特徴とする、組立体。
【請求項9】
排出管(7)は試料を取り出す手段を有する、請求項8に記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−504557(P2011−504557A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534569(P2010−534569)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054610
【国際公開番号】WO2009/066196
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510143572)テクセップ アンビロヌマン ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ (1)
【Fターム(参考)】