説明

電力供給システム

【課題】蓄電装置から負荷機器に対して放電する際に使用者の電力使用実態に適合した放電を行い、エネルギーの有効利用を図る電力供給システムを提供する。
【解決手段】システムECU31は、負荷機器が使用した電力使用実績を記憶して過去の電力使用実績を書き換え学習情報として更新し、当該学習情報を用いて蓄電池33からの負荷機器に対する放電を制御する。システムECU31は、当該学習情報を用いて負荷機器が使用する1日の時間帯毎の予測使用電力量を求め、当該時間帯毎の予測使用電力量に基づいて、負荷機器に対して放電する放電実施時間帯を決定する。電力供給システム100は、1日のうち、上記の放電実施時間帯であるときに、蓄電池33からの放電を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の電気機器に対して電力供給するために、蓄電装置からの放電を制御する電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下記特許文献1に開示された電力供給システムが知られている。この電力供給システムは、電力会社の配電系統と連携し、全住宅共用の蓄電池設備を電力貯蔵手段とし、複数の住宅の負荷機器に電力を供給するシステムである。そして、当該電力供給システムは、各住宅の負荷機器で消費する負荷電力の大きさが一定値以上の場合のみ、各住宅に設置されたパワーコンディショナを介して、蓄電池から放電を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−143763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電力供給システムでは、当該負荷電力の大きさが一定値以上の場合のみ、蓄電池から、各住宅の負荷に対して放電を行うようにしているため、蓄電池の蓄電能力、使用者の電力使用実態にかかわらず、放電の実施及び停止がなされる。したがって、蓄電池に蓄えた電力の有効活用が十分でないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電装置から負荷機器に対して放電する際に使用者の電力使用実態に適合した放電を行い、エネルギーの有効利用を図る電力供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の電力供給システムに係る発明は、電力供給契約に基づいて電力供給元の電力系統(2)から建物(1)に供給される電力を充電可能であるとともに、建物(1)側で使用される負荷機器(14,15)に対して電力を放電可能である蓄電装置(33)と、負荷機器が使用した電力使用実績を記憶して過去の電力使用実績を書き換え学習情報として更新し、当該学習情報を用いて蓄電装置からの負荷機器に対する放電を制御する制御装置(31)と、を備え、
制御装置は、
電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器が使用する1日の時間帯毎の予測使用電力量を求め、当該1日の時間帯毎の予測使用電力量に基づいて、蓄電装置から負荷機器に対して放電する放電実施時間帯、または、放電実施か否かの判定基準としての放電閾値を決定し、
1日のうち、当該決定した放電実施時間帯であるときに、または負荷機器が消費する負荷電力が当該決定した放電閾値以上であるときに、蓄電装置からの負荷機器に対する放電を実施することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器の時間帯毎の予測使用電力量を求めるため、当該予測使用電力量は、使用者の使用実態に適した予測値となる。したがって、蓄電装置からの負荷機器に対する放電を実施する際の判断基準である放電実施時間帯や放電閾値は、使用者の使用実態に適した当該予測使用電力量に基づいて決定したものであるため、本発明は、個々の使用者にとって最適な放電制御を提供することができる。このように、蓄電装置から負荷機器に対して放電する際に使用者の電力使用実態に適合した放電を実施でき、エネルギーの有効利用を図る電力供給システムが得られるのである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御装置は、蓄電装置からの放電を実施しているときに、負荷機器が実際に消費する負荷電力の変動を取得し、当該取得した実際の負荷電力の変動に基づいて、前記放電を停止するための放電停止電力値を決定し、負荷機器の実際に消費する負荷電力が当該放電停止電力値以下になったときに、蓄電装置からの放電を停止することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、蓄電池の放電開始後に、放電を停止するための条件を実際の負荷機器による負荷電力にしたがって適正に設定することが可能である。この設定により、学習情報から得られた電力使用の予測とは異なる電力使用実態が実際に生じた場合に、柔軟な放電制御を実施でき、適正な放電を実施可能な電力供給システムを提供することができる。したがって、様々な電力使用状況に対応できる汎用性の高い電力供給システムを提供できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、制御装置は、電力使用実績から得られる学習情報を用いて、1日のうち負荷機器によって消費されると予測される負荷電力が集中する高消費電力時間帯を決定し、当該高消費電力時間帯以外の時間帯に消費すると予測される負荷電力と当該高消費電力時間帯に消費すると予測される負荷電力とを、蓄電装置の蓄電量でまかなうことができないと判定した場合には、蓄電装置からの放電を当該高消費電力時間帯に優先して実施することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、他の時間帯よりも負荷電力の集中する高消費電力時間帯を、電力需要の観点から最重要時間帯として認識し、蓄電池の蓄電量を他の時間帯よりも高消費電力時間帯に優先して振り分けることができる。したがって、系統電力から充電した蓄電池の蓄電量を電力の高需要時間帯に活用できるので、使用者の利便性の向上及び電力の有効利用が図れる。また、高消費電力時間帯は、学習情報を用いて決定されるため、使用者の使用実態に適合した重要な電力需要時間帯を抽出することができる。
【0012】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した第1実施形態における電力供給システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】電力供給システムにおける蓄電池からの放電制御に関わる構成を示したブロック図である。
【図3】電力供給システムにおける1日の作動例を示したフローチャートである。
【図4】第1実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第2実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明を適用した第3実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明を適用した第4実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態に関して、図1〜図4を用いて説明する。図1は第1実施形態における電力供給システム100の概略構成を示す模式図である。図2は、電力供給システム100における蓄電池33からの放電制御に関わる構成を示したブロック図である。
【0016】
図示する電力供給システム100は、電力供給契約に基づいて電力供給元(電力会社)の電力系統2から建物1に供給される電力を蓄電池33に充電可能であるとともに、電力系統2から供給される電力を建物1側で使用される負荷機器(200V機器14、100V機器15等)に対して供給可能であり、蓄電池33に蓄電された電力を当該負荷機器に対して放電可能である。また、電力供給システム100は、自然エネルギー利用の一例である太陽光発電装置を備え、太陽光発電装置が発電した電力を負荷機器に供給可能であるとともに、蓄電池33に充電可能である。
【0017】
電力供給システム100では、電力供給契約に基づいて他の時間帯よりも安価な電気料金の時間帯である、例えば、深夜料金時間帯(23時から7時の時間帯)の電力を、蓄電池33に蓄電する。電力供給システム100は、深夜料金時間帯に蓄えた蓄電池33の蓄電量を、電力供給元へ売電するよりも、昼間に負荷機器の作動のために供給して使い切るように蓄電池33の放電を制御している。これは、電力供給元への売電では売電電力が有効利用されていない可能性もあるため、昼間の負荷機器作動のために使用する方が確実に電力の有効活用が図れるからである。
【0018】
電力供給システム100は、上記の負荷機器が使用した電力使用実績を記憶し、記憶した電力使用実績を過去の電力使用実績に対して新たな電力使用実績として書き換えて学習する機能を備える。電力供給システム100は、更新し続ける学習情報を用いて、蓄電池33からの負荷機器に対する放電を制御することで、使用者の実際の電力使用実態に適合した放電制御を実施する。
【0019】
電力供給システム100は、昼間に使用する電力が蓄電池33の蓄電量でまかなうことができない場合には、その不足分を太陽光発電装置が発電している場合はその発電量で補い、太陽光発電装置が発電していない場合は電力系統2からの供給電力で補う。また、太陽光発電装置の発電によって余剰電力が生じているときは、電力供給元へ売電したり、蓄電池33に蓄電したりすることができる。
【0020】
図1に示すように、電力供給システム100は、例えば一般住宅である建物1内に配線された交流電源線7と、交流電源線7に電気的に接続された負荷機器と、交流電源線7に電気的に接続された蓄電ユニット30と、蓄電ユニット30に直流電源線で接続された操作パネル17と、太陽光によって発電する太陽光発電装置と、を備えている。電力会社の電力系統2から供給される購入電力を建物1内に導入する交流電源線7には、売電電力を計測する売電電力計3、及び導入する系統電力を計測する電力量計4が配設されている。
【0021】
建物1内に配線された交流電源線7は、例えば、1本の中性線と2本の電圧線とからなる単相3線式の電源線であり、電力会社の電力系統2の系統電力が分電盤18を介して供給されるようになっている。分電盤18には、各回路系統に流れる電流上限値を規制する、主幹ブレーカ8、太陽光発電装置用のブレーカ9、200V負荷機器用のブレーカ10、100V負荷機器用のブレーカ11、蓄電ユニット30用のブレーカ12が配設されている。また、ブレーカ12が配設される交流電源線7には、蓄電ユニット30内部において蓄電ユニット30用のブレーカ13が配設されている。交流電源線7は、分電盤18内において、太陽光発電用パワーコンディショナ6(以下、太陽光発電PCS6ともいう)、双方向パワーコンディショナ32(以下、双方向PCS32ともいう)、200V機器14、及び100V機器15に分岐している。
【0022】
主幹ブレーカ8は、単相3線式200V仕様、中性線欠相保護付きの漏電検知ブレーカである。中性線欠相保護付きとは、中性線が何らかの理由で欠相すると、軽負荷側の電圧線と中性線との間の電圧が上昇し、機器側に高電圧がかかることを防ぐため、中性線欠相時に自動的に回路を遮断する機能を有することである。太陽光発電装置用のブレーカ9は、単相3線式200V仕様、中性線欠相保護付きの漏電検知ブレーカであり、逆接続対応タイプである。ブレーカ10は、建物1内のIH電化機器、エアコン等の200V機器14への上限電流を規制する、単相2線式200V仕様の漏電検知ブレーカである。ブレーカ11は、建物1内の100V仕様の電化製品等である100V機器15への上限電流を規制する、単相2線式100V仕様の漏電検知ブレーカである。ブレーカ12及びブレーカ13は、蓄電ユニット30との間の上限電流を規制する、単相3線式200V仕様、中性線欠相保護付きの漏電検知ブレーカであり、逆接続対応タイプである。
【0023】
主幹ブレーカ8よりも上流側の電源線には、逆潮流電流を検出する逆潮流電流検出器40が設けられている。主幹ブレーカ8よりも下流側の電源線には、負荷機器に供給される電流と蓄電池33に供給される電流との合計電流を検出する電流検出器41が設けられている。ブレーカ10よりも下流側の電源線には、負荷機器のうち200V機器14に供給される電流を検出する電流検出器42が設けられている。ブレーカ11よりも下流側の電源線には、負荷機器のうち100V機器15に供給される電流を検出する電流検出器43,44が設けられている。各電流検出器41,42,43,44で検出される電流値は、消費電力演算ECU16に入力され、逆潮流電流検出器40で検出される電流値は、システムECU31に入力される。消費電力演算ECU16は、各電流検出器41,42,43,44で検出する電流値等を用いて、建物1側の負荷機器等で消費する消費電力を演算する制御装置である。
【0024】
太陽光発電装置は、自然エネルギーの一例である太陽光による発電電力を、交流電源線7に系統外電力として供給する。太陽光発電装置は、建物1の屋根に設けた太陽光発電パネル5と、太陽光発電パネル5で発電した太陽光電力が供給される太陽光発電PCS6とを備える。太陽光発電PCS6は、交流電源線7に電気的に接続され、太陽光発電パネル5からの直流電力を交流電力に変換して、交流電源線7へ放電する。また太陽光発電PCS6は、各種の制御装置と通信可能に構成されている。
【0025】
交流電源線7には、例えば建物1の外部に設置された蓄電ユニット30(蓄電システム、e−Stationと呼ばれることもある)が接続されている。蓄電ユニット30は、双方向PCS32、蓄電池33、システムECU31等を備えている。蓄電池33は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなる単位電池を複数組み合わせた集合体である。
【0026】
双方向PCS32は、例えば、充放電・PCS制御用基盤、電力変換回路、通信基盤等を備えている。蓄電池33は、この双方向PCS32を介して交流電源線7に電気的に接続され、交流電源線7からの交流電力を充電したり、蓄電された直流電力を交流電源線7へ放電したりすることが可能である。
【0027】
システムECU31は、電力供給システム100における蓄電池33の充放電制御を司る制御装置であり、双方向PCS32と通信可能に接続され、例えば通信規格RS485の通信により、双方向PCS32の作動及び蓄電池33の作動を制御する。またシステムECU31は、双方向PCS32を介して蓄電池33に搭載された蓄電池監視ECUとも通信可能に接続されている。さらにシステムECU31は、使用者が操作したり、表示画面を確認したりする操作パネル17と低電圧の直流電源線を介して接続されるとともに、通信可能に接続され、操作パネル17の表示画面を制御する。このように、システムECU31は、電力供給システム100に関わる各種制御装置、各種検出器等と通信可能に構成されて相互に各種情報交換を行うことができ、各部の作動を制御する。
【0028】
操作パネル17は、例えば、建物1内に配設される遠隔操作可能なリモートコントローラである。操作パネル17は、消費電力演算ECU16と通信可能に接続されている。操作パネル17は、例えば、図2に示すように、記憶部171及び演算部172を含んでいる。記憶部171は、消費電力演算ECU16から入力される負荷機器の負荷電力(消費電力の実績値)を当該負荷機器が使用した電力使用実績として記憶し、過去の電力使用実績を当該記憶する電力使用実績に書き換え、学習情報として更新する。更新される学習情報は、蓄電池33から負荷機器に対して放電するときに用いられ、具体的には、演算部172が放電実施か否かの基準となる放電閾値に基づく放電実施時間帯を決定するときに用いられる。
【0029】
システムECU31は、充放電許可部311及び電力指示部312を含んでいる。充放電許可部311は、演算部172による演算結果と、予め設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムとを用いた演算により、充電許可及び放電許可を決定し、許可と決定した場合には双方向PCS32の充放電実行部321に指令する。放電制御の場合には、充放電許可部311は、演算部172によって決定された放電実施時間帯と、後述する図3及び図4に示す制御プログラムを用いた演算により、放電許可か否かを決定する。電力指示部312は、充放電許可部311が充電許可または放電許可を決定した場合に、充電電力または放電電力を双方向PCS32の電力調整部322に送信して指示する。
【0030】
双方向PCS32の電力調整部322は、電力指示部312からの指示にしたがって電力調整を行う。双方向PCS32の充放電実行部321は、電力調整部322によって調整される電力にしたがって、充電電力制御または放電電力制御を実施する。電力調整部322または充放電実行部321は、電力変換回路、充放電・PCS制御用基盤によって構成することができる。
【0031】
また、システムECU31は、蓄電池33から交流電源線7へ放電しているときに、逆潮流電流検出器40からの入力信号に基づいて交流電源線7から電力系統2への電力逆潮流現象の発生を検出した場合には、放電を禁止するように充放電・PCS制御用基盤を制御する。また、双方向PCS32のDC/DCコンバータからは、システムECU31と、システムECU31を介して操作パネル17へ直流電源線が延びており、電力系統2の系統電力が停電した場合にもシステムECU31や操作パネル17を作動可能としている。
【0032】
次に、電力供給システム100の作動例について図3及び図4にしたがって説明する。図3は、電力供給システム100における1日の作動例を示したフローチャートである。図4は、図3のフローチャートにおける蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。以下に説明する作動は、システムECU31が主要な制御手段となって制御される。
【0033】
図3に示すように、電力供給システム100が作動状態にあるとき、まず、ステップS1で、現在時刻が深夜料金時間帯(例えば、23時から翌朝の7時までの時間帯)であるか否かを判定する。深夜料金時間でない場合は、深夜料金時間帯以外の昼間時間帯であるため、深夜電力を蓄電池33に充電することはできない。したがって、後述するステップS5の「蓄電池の充放電制御ルーチン」に進む。
【0034】
ステップS1で、現在時刻が深夜料金時間であると判定すると、深夜電力を蓄電池33に蓄電する「蓄電池の充電ステップ」を実施する(ステップ2)。蓄電池の充電ステップでは、記憶部171に記憶された負荷機器の電力使用実績に係る学習情報を用いて、蓄電池33でまかなう必要のある電力量を算出する。蓄電池33の充電は、ステップ3で、蓄電池33の蓄電量が深夜料金時間帯において当該電力量に等しい量に到達したと判定するまで行われる。なお、当該電力量は、例えば、学習情報を用いて求めた負荷機器の使用電力予測量に対し、太陽光発電装置で翌日に発電できると予測される予測発電量でまかなうことができない不足分である。予測発電量は、例えば、過去の発電実績値と翌日の天候予測とを用いて求めることができる。また、蓄電池の充電制御は、当該電力量が深夜料金時間帯終了までに蓄電池33に蓄電できるように逆算して蓄電池33への充電電流を求め、系統電力を当該充電電流に制御することによって実施する。
【0035】
ステップ3で、蓄電池33の充電が完了したと判定すると、ステップ4で深夜料金時間帯が終了したと判定するまで待機する。ステップ4で深夜料金時間帯が終了したと判定すると、深夜料金時間帯以外の時間帯(例えば、翌朝の7時以降の時間帯)に突入したため、ステップ5で、「蓄電池の放電制御ルーチン」を実行する。「蓄電池の放電制御ルーチン」は、本発明に係る特徴的制御であり、蓄電池33から負荷機器に供給する放電に係るルーチンである。
【0036】
次に、図4にしたがって、ステップ5の「蓄電池の放電制御ルーチン」を説明する。まず、ステップ10で、記憶部171に記憶されている負荷機器の消費電力実績に関わる学習情報を読み込む処理を実行し、ステップ20に移る。過去の電力使用実績は、過去の予め定めた日数分の実績(例えば14日分の実績)である。例えば、平日実績値と休日(土、日)実績値との2種類がある場合には、読み込む際、読み込むときの曜日に応じていずれか1種類の実績に係る学習情報が選択される。
【0037】
ステップ20では、読み込んだ学習情報に基づいて、今日1日における時間帯毎の予測使用電力量の分布を求める。そして、蓄電池33の放電効率を所定の効率以上に確保すること、蓄電池33の蓄電量を有効に使い切ることを判断基準として、当該時間帯毎の予測使用電力量の分布に対して放電を実施するか否かを決定するための放電閾値を求める。さらに当該予測使用電力量の分布において、放電閾値以上の予測使用電力量を示す時間帯を、放電を実施すべき放電実施時間帯として決定する。蓄電池33の放電効率は、例えば、蓄電池33からの放電電力に対する、放電時に回路基板等から消費する損失電力の割合が大きいほど効率が悪く、当該割合が小さいほど高効率である。
【0038】
つまり、このようにして求めた放電閾値は、学習情報に基づいて求めた予測使用電力量が放電閾値以上であるときは、蓄電池33からの放電を実施することが上記の判断基準を満たすことになり、放電閾値未満であるときは、蓄電池33からの放電を実施しないことが上記の判断基準を満たすことになる、という閾値である。
【0039】
また、この1日の時刻に対する予測使用電力量の分布は、一定でなく、変動幅の大きい分布になり得る。例えば、2人の子供がいる4人家族を構成する使用者のケースでは、午前中は、登校前や出勤前の早朝は、負荷機器で使用される予測使用電力量が一時的に大きくなるが、その時間は短い。登校後や出勤後は、建物1内で活動している人数が少なくなるため、予測使用電力量は急激に小さくなり、その変動も小さくなる。この傾向は、午後3時頃まで続くが、例えば午後5時以降の夕方から夜にかけては、子供の帰宅による電化製品の稼動増、夕食や風呂の準備のための給湯等の電力消費増によって、急激に予測使用電力量が増大し、この状態が比較的長く継続する。
【0040】
このようなケースでは、午前中の時間帯及び夕方までの時間帯では、予測使用電力量が小さいため、この時間帯に蓄電池33からの放電電力を供給することは、上記判断基準の観点から、好ましくない。例えば、この時間帯は、蓄電池33からの放電を実施するよりも、太陽光発電装置による発電電力や系統電力を負荷機器に供給する方が好ましいのである。一方、夕方以降の時間帯では、予測使用電力量が増大するため、この時間帯に蓄電池33からの放電電力を供給することは、高効率、電力の有効活用の観点から好ましいのである。このような時間帯に蓄電池の放電を実施可能なように、放電実施時間帯を決定することが、使用者の電力使用実態に適した放電制御を実現でき、系統電力の利用、ひいては自然エネルギーの利用において、環境及び使用者に対して有益なエネルギー利用が促進できるのである。
【0041】
次にステップ30では、このようにして決定した放電実施時間帯になったか否かを判定し、放電実施時間帯になったと判定すると、ステップ40で、充放電許可部311は充放電実行部321に対して放電許可を指示する。そして、ステップ50で充放電実行部321は、蓄電池33の放電を実施する。
【0042】
蓄電池33の放電は、ステップ60で放電実施時間帯が終了したと判定するまで継続する。ステップ60で放電実施時間帯の終了を判定すると、ステップ70で蓄電池33からの放電を終了し、「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了する。
【0043】
「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了するとステップ6で、現在時刻が深夜料金時間帯か否かを判定する。現在時刻が深夜料金時間帯になると、ステップ7で、今日の深夜料金時間帯以外の時間帯における蓄電池33の放電実績を記憶部171に記憶させ、負荷機器の電力使用実績を更新し、ステップ2に進み、上記の各ステップを継続的に実行する。
【0044】
本実施形態の電力供給システム100がもたらす作用効果について説明する。電力供給システム100は、負荷機器が使用した電力使用実績を記憶して過去の電力使用実績を書き換え学習情報として更新し、当該学習情報を用いて蓄電池33からの負荷機器に対する放電を制御する。電力供給システム100は、電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器が使用する1日の時間帯毎の予測使用電力量を求め、当該時間帯毎の予測使用電力量に基づいて、蓄電池33から負荷機器に対して放電する放電実施時間帯を決定する。電力供給システム100は、1日のうち、上記決定した放電実施時間帯であるときに、蓄電池33からの放電を実施する。
【0045】
この制御によれば、電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器の時間帯毎の予測使用電力量を求めるため、当該予測使用電力量は、使用者の使用実態に適した予測値となる。したがって、蓄電池33からの負荷機器に対する放電を実施するためのトリガーである放電実施時間帯は、使用者の使用実態に適した当該予測使用電力量に基づいて決定したものである。このため、本実施形態は、個々の使用者にとって最適な放電制御を提供する。このように、蓄電池33から負荷機器に対して放電する際に使用者の電力使用実態に最適な放電が実施可能であり、エネルギーの有効利用を図る電力供給システム100が得られる。
【0046】
また、蓄電池33の放電の際には、回路基板等で一定の電力が消費されることになる。このため、当該負荷電力が大きくない場合には、放電時の回路基板等での消費電力が蓄電池33の供給電力に対して占める割合は大きくなる。したがって、このような場合には、蓄電池33の放電効率が低下するため、エネルギー有効活用上好ましくないという問題がある。本実施形態は、蓄電池33の放電効率を所定の効率以上に確保すること、蓄電池33の蓄電量を有効に使い切ることを判断基準として、放電実施時間帯を決定するため、上記問題を解消し、エネルギー有効活用上好ましい放電制御を提供できる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態で説明した「蓄電池の放電制御ルーチン」の他の形態として、図5に記載する特徴的な制御を説明する。図5は、第2実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。本実施形態で特に説明しない構成、作用、制御、同じステップ符号を付した処理等は、第1実施形態と同様であるとし、その作用効果も同様である。
【0048】
本実施形態に記載する特徴的な「蓄電池の放電制御ルーチン」は、図5に示すように、第1実施形態の図4に記載のフローに対して、ステップ60A1、ステップ60A2、及びステップ60A3が異なる。
【0049】
以下、第1実施形態の制御と異なる点について説明する。図5に示すように、第2実施形態の制御に係るフローチャートでは、ステップ50の「蓄電池の放電実施」後、当該放電を終了する条件を、実際の負荷電力に基づいて決定する。そして、決定した放電終了条件が満たされたときに蓄電池の放電を終了することを特徴としている。
【0050】
ステップ50の「蓄電池の放電実施」後、ステップ60A1で、負荷機器が必要とする実際の負荷電力を検出して監視する。実際の負荷電力とは、200V機器14、100V機器15等の負荷機器が蓄電池33の放電中に実際に必要とする電力である。この実際の負荷電力は、学習情報から求めた、時間帯に対する予測使用電力量の分布と乖離することがある。例えば、実際の負荷電力が、予測値よりも小さい場合や、一時的に増加したり低下したりして大きな上下動を呈する場合である。
【0051】
このように実際の負荷電力をモニタリングすることにより、予測値とは大きく異なった電力使用が生じた場合に、現状に適した放電制御を実施することが可能になるのである。そこで、ステップ60A2では、モニタリングした実際の負荷電力に基づいて、放電を停止する条件となる放電停止電力値を決定する。この放電停止電力値は、実際の負荷電力がこれ以下になると、放電効率の観点から、蓄電池33の放電を停止するという閾値である。
【0052】
ステップ60A3で、放電中に実際の負荷電力が放電停止電力値以下になったか否かを判定する。ステップ60A3で放電停止電力値以下になったと判定するまで、蓄電池33からの放電は継続する。ステップ60A3で放電停止電力値以下になったと判定すると、ステップ70で蓄電池33からの放電を終了し、「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了する。
【0053】
本実施形態の電力供給システム100がもたらす作用効果について説明する。電力供給システム100は、蓄電池33からの負荷機器への放電を実施しているときに、負荷機器が必要とする実際の負荷電力を検出して負荷電力の変動を取得する(ステップ60A1)。そして、取得した負荷電力の変動に基づいて、蓄電池33からの放電を停止するための放電停止電力値を決定する(ステップ60A2)。負荷機器への負荷電力が当該放電停止電力値以下になったときに、蓄電池33からの放電を停止する(ステップ60A2)。
【0054】
この制御によれば、蓄電池の放電を開始した後に、放電を停止するための条件を実際の負荷機器による負荷電力にしたがって、設定することができる。この設定により、学習情報から得られた電力使用の予測量とは異なる電力使用が生じた場合にも、現実の状況に応じた適正なエネルギー利用を実施することが可能になる。すなわち、他の時間帯よりも安価な深夜料金時間帯に蓄電池33に蓄えられた蓄電量を、高効率放電を確保できる条件で使用することができるのである。したがって、過去の電力使用実績からは予測できない電力使用状況において、適正な放電を実施可能とする電力供給システム100を提供することができる。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態で説明した「蓄電池の放電制御ルーチン」の他の形態として、図6に記載する特徴的な制御を説明する。図6は、第3実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。本実施形態で特に説明しない構成、作用、制御、同じステップ符号を付した処理等は、第1実施形態または第2実施形態と同様であるとし、その作用効果も同様である。
【0056】
本実施形態に記載する特徴的な「蓄電池の放電制御ルーチン」は、図6に示すように、第1実施形態の図4に記載のフローに対して、ステップ20B、ステップ25、ステップ30B、ステップ60B1、及びステップ60B2が異なる。なお、ステップ60B1については、第2実施形態の図5に記載のステップ60A1と同じ処理である。
【0057】
以下、第1実施形態の制御と異なる点について説明する。図6に示すように、第3実施形態の制御に係るフローチャートでは、ステップ10の後、学習情報に基づく放電閾値を決定する(ステップ20B)。ステップ20Bでは、まず、読み込んだ学習情報に基づいて、今日1日における時間帯毎の予測使用電力量の分布を求める。そして、蓄電池33の放電効率を所定の効率以上に確保すること、蓄電池33の蓄電量を有効に使い切ることを判断基準として、当該時間帯毎の予測使用電力量の分布に対して放電を実施するか否かを決定するための放電閾値を求める。このようにして求めた放電閾値は、学習情報に基づいて求めた予測使用電力量が放電閾値以上であるときは、蓄電池33からの放電を実施することが上記の判断基準を満たすことになり、放電閾値未満であるときは、蓄電池33からの放電を実施しないことが上記の判断基準を満たすことになるように設定された閾値である。
【0058】
次にステップ25で、負荷機器が電力供給を要求した場合、その負荷電力を検出する。そしてステップ30Bで、負荷危機が要求する負荷電力がステップ20Bで決定した放電閾値以上であるか否かを判定する。負荷機器の負荷電力が放電閾値未満である場合は、ステップ25に戻る。負荷機器の負荷電力が放電閾値以上であると判定すると、ステップ40、ステップ50を順に実行して蓄電池33からの負荷機器に対する放電を実施する。ステップ50の「蓄電池の放電実施」後、ステップ60B1で、第2実施形態のステップ60A1と同様に、負荷機器が必要とする実際の負荷電力を検出して監視する。
【0059】
そしてステップ60B2で、放電中に実際の負荷電力が放電閾値未満になったか否かを判定する。ステップ60B2で実際の負荷電力が放電閾値未満になったと判定するまで、「蓄電池からの放電」及び「実際の負荷電力のモニタリング」は継続する。ステップ60B2で実際の負荷電力が放電閾値未満になったと判定すると、ステップ70で蓄電池33からの放電を終了し、「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了する。
【0060】
本実施形態の電力供給システム100がもたらす作用効果について説明する。電力供給システム100は、負荷機器が使用した電力使用実績を記憶して過去の電力使用実績を書き換え学習情報として更新し、当該学習情報を用いて蓄電池33からの負荷機器に対する放電を制御する。電力供給システム100は、電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器が使用する1日の時間帯毎の予測使用電力量を求め、当該時間帯毎の予測使用電力量に基づいて、放電実施か否かの判定基準としての放電閾値を決定する。電力供給システム100は、1日のうち、負荷機器の負荷電力が上記決定した放電閾値以上であるときに、蓄電池33からの放電を実施する。
【0061】
この制御によれば、電力使用実績から得られる学習情報を用いて負荷機器の時間帯毎の予測使用電力量を求めるため、当該予測使用電力量は、使用者の使用実態に適した予測値となる。したがって、蓄電池33からの負荷機器に対する放電を実施するためのトリガーである放電閾値は、使用者の使用実態に適した当該予測使用電力量に基づいて決定したものである。このため、本実施形態は、個々の使用者にとって最適な放電制御を提供する。このように、蓄電池33から負荷機器に対して放電する際に使用者の電力使用実態に最適な放電が実施可能であり、エネルギーの有効利用を図る電力供給システム100が得られる。
【0062】
また、蓄電池33の放電の際には、回路基板等で一定の電力が消費されることになる。このため、当該負荷電力が大きくない場合には、放電時の回路基板等での消費電力が蓄電池33の供給電力に対して占める割合は大きくなる。したがって、このような場合には、蓄電池33の放電効率が低下するため、エネルギー有効活用上好ましくないという問題がある。本実施形態は、蓄電池33の放電効率を所定の効率以上に確保すること、蓄電池33の蓄電量を有効に使い切ることを判断基準として、放電閾値を決定するため、上記問題を解消し、エネルギー有効活用上好ましい放電制御を提供できる。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態で説明した「蓄電池の放電制御ルーチン」の他の形態として、図7に記載する特徴的な制御を説明する。図7は、第4実施形態における蓄電池の放電制御ルーチンの処理手順を示したフローチャートである。本実施形態で特に説明しない構成、作用、制御、同じステップ符号を付した処理等は、第1実施形態と同様であるとし、その作用効果も同様である。
【0064】
本実施形態に記載する特徴的な「蓄電池の放電制御ルーチン」は、図7に示すように、第1実施形態の図4に記載のフローに対して、ステップ20Cの処理及びステップ30C1の判定を実行する点が大きく相違する。ステップ20Cでは、記憶部171に記憶された電力使用実績から得られる学習情報を用いて、1日のうち負荷機器が消費すると予測される負荷電力が集中する高消費電力時間帯を決定する。ステップ30C1では、当該高消費電力時間帯以外の時間帯に必要な負荷電力に加えて当該高消費電力時間帯に必要な負荷電力が、蓄電池33の蓄電量でまかなうことが可能か否かを判定する。そして、ステップ30C1で、可能でないと判定すると、当該高消費電力時間帯に蓄電池33からの放電を実施する。
【0065】
上記の相違点により、第4実施形態に係る蓄電池の放電制御は、例えば、深夜料金時間帯以外の時間帯のうち、負荷機器の予測使用電力量が集中する高消費電力時間帯において蓄電池33の蓄電量からの供給が不足しないように、当該高消費電力時間帯での蓄電池33の放電を優先することを特徴としている。
【0066】
以下、第1実施形態の制御と異なる点について説明する。図7に示すように、第4実施形態の制御に係るフローチャートでは、ステップ20の後、学習情報に基づいて高消費電力時間帯を決定する(ステップ20C)。ステップ20Cでは、1日における蓄電池33からの放電可能な時間帯について、学習情報を用いて時間帯毎の予測使用電力量の分布を求める。そして、当該予測使用電力量の分布から、他の時間帯よりも著しく使用電力量が多い時間帯を選定し、この時間帯での蓄電池33からの供給電力が1日うち最も重要な放電電力であると位置づけ、これを高消費電力時間帯の放電運転とする。当該高消費電力時間帯は、例えば、上述のように、午後5時以降の夕方から夜にかけての時間帯であり、この時間帯は、子供の帰宅による電化製品の稼動増、夕食や風呂の準備のための給湯等の電力消費増によって、急激に予測使用電力量が増大し、この状態が比較的長く継続する時間帯である。
【0067】
次にステップ30C1で、上述のように、蓄電池33に現在蓄えられている蓄電量によって、当該高消費電力時間帯以外の時間帯の予測使用電力量をまかなうことができ、さらに当該高消費電力時間帯の予測使用電力量もまかなうことが可能か否かを判定する。そして、ステップ30Cで、まかなうことが可能であると判定すると、ステップ30C2で、前述のステップ20で決定した放電実施時間帯になったか否かを判定する。ステップ30C2で、放電実施時間帯になったと判定すると、ステップ40、ステップ50、ステップ60、ステップ70を順に実行し、蓄電池33からの放電を終了し、「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了する。
【0068】
ステップ30C1で、まかなうことができないと判定すると、当該高消費電力時間帯で使用される負荷電力のすべてに蓄電池33の蓄電量を供給できない可能性があるため、この状況を回避する必要がある。したがって、蓄電池33の蓄電量を当該高消費電力時間帯に優先して供給するように放電する制御を実施する。
【0069】
そしてステップ30C3で、前述のステップ20Cで決定した高消費電力時間帯になったか否かを判定する。ステップ30C3で高消費電力時間帯になったと判定すると、ステップ40Cで、充放電許可部311は充放電実行部321に対して放電許可を指示する。そして、ステップ50Cで充放電実行部321は、蓄電池33の放電を実施する。
【0070】
蓄電池33の放電は、ステップ60Cで高消費電力時間帯が終了したと判定するまで継続する。ステップ60Cで高消費電力時間帯の終了を判定すると、ステップ70で蓄電池33からの放電を終了し、「蓄電池の放電制御ルーチン」を終了する。
間帯に蓄電池33からの放電を実施する。
【0071】
本実施形態の電力供給システム100がもたらす作用効果について説明する。電力供給システム100は、電力使用実績に係る学習情報を用いて、1日のうち負荷機器によって消費されると予測される負荷電力が集中する高消費電力時間帯を決定する(ステップ20C)。さらに当該高消費電力時間帯以外の時間帯に消費すると予測される負荷電力と当該高消費電力時間帯に消費すると予測される負荷電力とを、蓄電装置の蓄電量でまかなうことができないと判定した場合には、蓄電装置からの放電を当該高消費電力時間帯に優先して実施する(ステップ30C1、ステップ30C3、ステップ50C)。
【0072】
この制御によれば、他の時間帯よりも負荷電力の集中する高消費電力時間帯を、使用者における電力需要実態の観点から最重要時間帯として認識する。そして、電力供給契約に基づいて安価に設定された深夜料金時間帯に系統電力から充電した蓄電池の蓄電量は、他の時間帯よりも高需要の高消費電力時間帯に優先して振り分けられるのである。したがって、蓄電池の蓄電量を電力の高需要時間帯に有効に活用し、さらに当該蓄電量を余すことなく使い切ることにも寄与するため、使用者の利便性が向上するとともに、省エネルギーの観点からも電力の有効利用が図れる。また、高需要と認定される高消費電力時間帯は、学習情報を用いて決定されるため、使用者の使用実態に適合した重要な電力需要時間帯として高精度に抽出することができる。
【0073】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0074】
上記実施形態では、蓄電池33は定置式の二次電池であったが、これに限定されるものではない。蓄電装置は、充放電可能な蓄電手段であればよく、例えばキャパシタ等を採用することもできる。
【0075】
上記実施形態では、建物1は一般住宅であったが、これに限定されるものではない。例えば、建物1は、店舗、工場、倉庫等の施設も含む。
【0076】
上記実施形態では、建物1や蓄電ユニット30において利用する自然エネルギーは、太陽光エネルギーであるが、これに限定しないことはいうまでもない。利用する自然エネルギーは、太陽熱エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー等であり、これらの自然界のエネルギーから各種発電装置を用いて得られた系統外電力が交流電源線7に供給される。交流電源線7には、これら各種の自然エネルギーを利用する装置が接続可能となっており、各種負荷機器に給電可能となっている。
【0077】
上記実施形態における負荷機器には、蓄熱用機器を含むようにしてもよい。蓄熱用機器は、太陽光発電電力、系統電力等を熱エネルギーに変えて蓄える機器である。当該蓄熱用機器は、例えば、内部に給湯用の湯を蓄えるタンクと、水を沸き上げてタンク内に蓄える湯とするヒートポンプ装置と、各部を制御する蓄熱用制御装置と、を備える。この蓄熱用機器は、太陽光発電電力、系統電力等を使用してヒートポンプ装置によって湯を沸かし、沸き上げた湯をタンク内に熱量として蓄える。
【符号の説明】
【0078】
1…建物
2…電力系統
14…200V機器(負荷機器)
15…100V機器(負荷機器)
17…操作パネル(制御装置)
31…システムECU(制御装置)
33…蓄電池(蓄電装置)
100…電力供給システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給契約に基づいて電力供給元の電力系統(2)から建物(1)に供給される電力を充電可能であるとともに、前記建物(1)側で使用される負荷機器(14,15)に対して電力を放電可能である蓄電装置(33)と、
前記負荷機器が使用した電力使用実績を記憶して過去の電力使用実績を書き換え学習情報として更新し、当該学習情報を用いて前記蓄電装置からの前記負荷機器に対する放電を制御する制御装置(31)と、を備え、
前記制御装置は、
前記電力使用実績から得られる前記学習情報を用いて前記負荷機器が使用する1日の時間帯毎の予測使用電力量を求め、当該1日の時間帯毎の予測使用電力量に基づいて、前記蓄電装置から前記負荷機器に対して放電する放電実施時間帯、または、放電実施か否かの判定基準としての放電閾値を決定し、
1日のうち、前記決定した放電実施時間帯であるときに、または前記負荷機器が消費する負荷電力が前記決定した放電閾値以上であるときに、前記蓄電装置からの前記負荷機器に対する前記放電を実施することを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記蓄電装置からの前記放電を実施しているときに、前記負荷機器が実際に消費する負荷電力を検出して負荷電力の変動を取得し、当該取得した負荷電力の変動に基づいて、前記放電を停止するための放電停止電力値を決定し、
前記負荷機器の実際に消費する負荷電力が当該放電停止電力値以下になったときに、前記蓄電装置からの前記放電を停止することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記電力使用実績から得られる前記学習情報を用いて、1日のうち前記負荷機器が消費すると予測される負荷電力が集中する高消費電力時間帯を決定し、
当該高消費電力時間帯以外の時間帯に消費すると予測される負荷電力と当該高消費電力時間帯に消費すると予測される負荷電力とを、前記蓄電装置の蓄電量でまかなうことができないと判定した場合には、前記蓄電装置からの前記放電を当該高消費電力時間帯に優先して実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186950(P2012−186950A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49231(P2011−49231)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】