説明

電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラム

【課題】省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図る。
【解決手段】第1の人感センサ28として熱源を検出する素子を縦横に二次元状に複数個配列した赤外線アレイセンサ28IRを適用している。検出部28Aは、熱源を検出するサーモパイル素子であり、8(縦)×8(横)(=64素子)に二次元マトリックス状に多画素化した。検出結果判定部60では、温度分布−状態照合テーブルに基づいて、基本パターンとして、温度分布から人の存在を判定する。基本パターンを判定を基礎して、応用パターンから人の動作状態を判定し、状態情報出力部64を介して、監視制御部24へ送出し、スリープモードからスタンバイモードへ遷移する必要性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給対象の機器に対する電力供給制御を自動化する手段の他の1つとして、人感センサ制御がある。
【0003】
特許文献1には、画像処理装置に人感センサを設置して、当該画像処理装置に近づいてきた人を検出して、画像処理装置の電源を立上げて、消費電力の低減と利便性の両立を実現することが提案されている。
【0004】
より詳しくは、人感センサとして、2点に設置された距離検出手段を採用し、人体の移動方向が所定のエリアに向かっているかどうかを判断し、その判断結果に基づいて、画像形成装置本体を制御しており、人感センサによる人体の接近の際、画像形成装置に近づいてきて、操作することなく素通りするといった事象(単なる歩行者)に対して、前記立上げが実行される場合を含んでいる。
【0005】
特許文献2には、人感検知により人がいないと判断した場合にUI(ユーザーインターフェイス)の表示を消すことが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、省エネルギーモード時に駆動が必要な人体検知センサを時分割駆動にして、人体を検知したら時分割の周期を短くするなどして、時分割駆動による人体検知センサの平均電力を省エネすることが記載されている。また、この特許文献3には、機器が装置中には、人体検知センサを駆動停止して更に省エネすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−045471号公報
【特許文献2】特開2002−006686号公報
【特許文献3】特開2002−071833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図ることができる電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、電源部から電力の供給を受けて動作することで予め定められた処理を実行する負荷と、少なくとも熱源から受ける熱量に応じた電気信号を出力する熱源検出素子を縦横に複数個配列することで多画素化された二次元配列型熱源検出手段を含み、前記負荷を基準とした周囲を検出領域として設置され前記負荷を使用する使用者を含む移動体が存在しているか否かを検出する移動体検出手段と、少なくとも前記負荷を対象として、前記電源部から電力を受ける電力供給状態、或いは前記電源部から電力の供給を受けない電力遮断状態に遷移させる電力供給状態遷移制御手段と、前記移動体検出手段による検出情報、並びに予め定めた計時手段の計時情報をそれぞれに設定された基準情報と比較することで、前記電力供給状態遷移制御手段による遷移時期を判定する遷移時期判定手段と、を有している。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の移動方向を解析する解析手段をさらに有し、前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報と比較して、前記熱源が移動体であり、かつ前記負荷に接近しているか否かを判定する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の輪郭を解析する解析手段をさらに有し、前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報を比較して、熱源の輪郭が人型か否かを判定し、人型であれば所持物の有無を判定する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記移動体検出手段が、前記負荷と至近距離で対峙する使用者を検出する使用者検出手段をさらに備え、前記二次元配列型熱源検出手段から、前記使用者検出手段まで、連携して電力供給を受ける順序を設定すると共に、前記二次元配列型熱源検出手段を常に電力供給状態とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の発明において、前記二次元配列型熱源検出手段の検出領域が、前記使用者検出手段の検出領域を含むように設定されている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1〜請求項5の何れか1項記載の発明において、前記使用者検出手段が、投光部と受光部を備え、投光部から光を受光部で受けるか否かで使用者の有無を判別する反射型検出手段である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6の何れか1項記載の発明において、前記負荷の稼働状況と前記使用者検出手段の検出状況とに基づいて、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を制御する。
請求項4〜6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項4〜請求項6の何れか1項記載の発明において、前記使用者検出手段で使用者を検出している期間を少なくとも含み、当該使用者検出手段で使用者を検出しなくなってから予め定めた期間は、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を遮断する。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項4〜請求項8の何れか1項記載の発明において、前記解析手段の解析結果に基づいて、少なくとも前記移動体が負荷から離れていくことが判明した場合に、前記使用者検出手段への電力供給を遮断する。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の発明において、前記負荷が、電力供給を受けて動作して、予め定められた処理を実行する複数の処理部と、当該複数の処理部に対して選択的に処理内容を少なくとも指示する指示部とに分類され、前記電力遮断状態で遷移されるモードとして、前記移動体検出手段による検出結果を解析するための監視制御部に電力を供給するスリープモード、必要に応じて指示部に電力を供給するアウェイクモードを備え、前記電力供給状態で遷移されるモードとして、前記スリープモードから前記処理部を立ち上げるための準備段階であるウォームアップモード、前記処理部に対して定常時よりも下げて電力を供給しておくスタンバイモード、前記処理部に対して前記定常時の電力を供給するランニングモードを含む複数のモードを備え、処理状況に応じてモードを遷移する。
【0019】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1〜請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記負荷が、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部、使用者との情報の受付報知を行うユーザーインターフェイス部、使用者を識別するための使用者識別装置の少なくとも1つを含んでおり、使用者からの指示に基づいて、相互に連携しあって画像処理を実行すると共に、前記移動体検出手段が、前記ユーザーインターフェイス部又は使用者識別装置の設置位置を基準として設けられた画像処理装置である。
【0020】
請求項12に記載の発明は、コンピュータを、前記請求項1〜請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、二次元配列型熱源検出手段が、熱源の移動方向を検出することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、二次元配列型熱源検出手段が、熱源の輪郭を検出することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、二次元配列型熱源検出手段から使用者検出手段までの電力供給を連携することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、複数の検出手段の検出領域に相関関係を持たせることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、検出精度を向上することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、二次元配列型熱源検出手段への電力供給期間を少なくすることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、二次元配列型熱源検出手段への電力供給期間を少なくすることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、使用者検出手段への電力供給期間を少なくすることができる。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、モード単位で遷移指示することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明によれば、省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図ることができる。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置を含む通信回線網接続図である。
【図2】本実施の形態に係る画像処理装置の概略図である。
【図3】本実施の形態に係る画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係るメインコントローラと電源装置の制御系を機能別に概略図である。
【図5】画像処理装置における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートである。
【図6】本実施の形態に係り、画像処理装置及びその周辺示す平面図である。
【図7】(A)は第1の人感センサとして適用される赤外線アレイセンサの外観を示す斜視図、(B)は赤外線アレイセンサの検出部の正面図及び解析部の機能ブロック図である。
【図8】(A)は本実施の形態に係る赤外線エリアセンサの検出領域を示す正面図、(B)は図8(A)の検出領域の温度分布図(基本パターン)、(C)は図8(B)の温度分布の段階を示す図表である。
【図9】本実施の形態に係る赤外線エリアセンサによる人の検出状態、判定結果、対応を示す管理図(応用パターン1)である。
【図10】本実施の形態に係る赤外線エリアセンサによる人の検出状態、判定結果、対応を示す管理図(応用パターン2)である。
【図11】本実施の形態に係る赤外線エリアセンサによる人の検出状態、判定結果、対応を示す管理図(応用パターン3)である。
【図12】変形例に係る赤外線エリアセンサの、予備監視状態、本監視状態を示す管理図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(画像処理装置の構成)
図1に示される如く、本実施の形態に係る画像処理装置10は、インターネット等のネットワーク通信回線網20に接続されている。図1では、2台の画像処理装置10が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
【0035】
また、このネットワーク通信回線網20には、情報端末機器としての複数のPC(パーソナルコンピュータ)21が接続されている。図1では、2台のPC21が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、情報端末機器としては、PC21に限定されるものではなく、さらには有線接続である必要もない。すなわち、無線によって情報を送受信する通信回線網であってもよい。
【0036】
図1に示される如く、画像処理装置10では、PC21から当該画像処理装置10に対して、遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を行なう場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理を指示する場合がある。
【0037】
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。
【0038】
画像処理装置10は、筐体10Aによって覆われており、適宜個所に開閉可能な扉が設けられている。一例として、図2の前面の扉10Bを図示するが、例えば、左右の側面にも扉が存在する場合がある。この扉10Bは、例えば、紙詰まり、消耗品の交換、定期点検等、装置内部に作業者が手を差し延べて作業する場合に開放されるものであり、通常処理中は閉止されている。
【0039】
この扉10Bの開閉動作軌跡上には、当該扉10Bの開閉状態を検出する開閉検出スイッチ14Aが設けられている。この開閉検出スイッチ14Aは、図4に示すインターロック部14のための必須の部材である。インターロック部14では、前記開閉検出スイッチ14Aからの出力信号に基づいて、前記扉10Bが開放されたことを判別すると、インターロック部14に設けられ、機械的動作によって接点が切り替わるリレースイッチ14RLYを動作させて、外部からの電力供給を遮断(後述する商用電源242(図3,図4参照)からの電力供給を遮断)するようになっている。
【0040】
リレースイッチ14RYLは、前記接点が切り替わるスイッチ部と、このスイッチ部に対面して配置されるコイル部とを備えている。コイル部には、前記開閉検出スイッチ14Aからの出力信号に応じて、電流が流れたり流れないように回路が組み込まれている(一次側回路)。コイル部に電流が流れたときと、流れないときとで前記スイッチ部の接点が機械的動作によって切り替わり、電力供給ライン(二次側回路)が接続、或いは遮断される。
【0041】
画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部240又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
【0042】
メインコントローラ200にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0043】
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0044】
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0045】
画像処理装置10には、入力電源線244の先端にコンセント245が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源242の配線プレート243に、当該コンセント245を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源242から、電力の供給を受けるようになっている。
【0046】
(画像処理装置の制御系ハード構成)
図3は、画像処理装置10の制御系のハード構成の概略図である。
【0047】
ネットワーク回線網20は、メインコントローラ200に接続されている。メインコントローラ200には、それぞれ、データバスやコントロールバス等のバス33A〜33Dを介して、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216が接続されている。すなわち、このメインコントローラ200が主体となって、画像処理装置10の各処理部が制御されるようになっている。なお、UIタイッチパネル216には、UIタッチパネル用バックライト部(図4参照)が取り付けられている場合がある。
【0048】
また、画像処理装置10は、電源装置202を備えており、メインコントローラ200とはバス33Eで接続されている。電源装置202は、商用電源242から電力の供給を受けている。電源装置202では、メインコントローラ200、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216のそれぞれに対して独立して電力を供給する電力供給線35A〜35Dが設けられている。このため、メインコントローラ200では、各処理部(デバイス)に対して個別に電力供給(電力供給モード)、或いは電力供給遮断(スリープモード)し、所謂部分節電制御を可能としている。
【0049】
また、メインコントローラ200には、2個の人感センサ(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30)が接続されており、画像処理装置10の周囲の人の有無を監視している。この第1の人感センサ28、第2の人感センサ30については後述する。
【0050】
(部分節電構成を主体とした機能ブロック図)
図4は、前記メインコントローラ200によって制御される処理部(「負荷」、「デバイス」、「モジュール」等と称する場合もある)、並びにメインコントローラ200、並びに各デバイスへ電源を供給するための電源装置202の電源ラインを主体とした概略構成図である。本実施の形態では、画像処理装置10が処理部単位で電力供給又は非供給が可能でとなっている(部分節電)。
【0051】
なお、処理部単位の部分節電は一例であり、処理部をいくつかのグループに分類しグループ単位で節電の制御を行ってもよいし、処理部を一括して節電の制御を行ってもよい。
【0052】
[メインコントローラ200]
図4に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216(バックライト部216BLを含む)が接続されている。また、I/O210には、ハードディスク(HDD)218が接続されている。ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD、DVD、BD(ブルーレイディスク)、USBメモリ、SDメモリ等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
【0053】
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、ファクシミリ通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
【0054】
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、計時を行うものである(以下、「システムタイマ」という場合がある)。
【0055】
メインコントローラ200及び各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)は、電源装置202から電源が供給される(図4の点線参照)。なお、図4では、電源線を1本の線(点線)で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
【0056】
[電源装置202]
図4に示される如く、商用電源242から引き込まれた入力電源線244は、メインスイッチ246に接続されている。メインスイッチ246がオンされることで、インターロック部14を介して、第1の電源部248及び第2の電源部250へ電力供給が可能となる。
【0057】
第1の電源部248は、制御用電源生成部248Aを備え、メインコントローラ200の電源供給制御回路252に接続されている。電源供給制御回路252は、メインコントローラ200に電源供給すると共に、I/O210に接続され、メインコントローラ200の制御プログラムに従って、前記各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)への電源供給線を導通/非導通させるためのスイッチング制御を行う。
【0058】
一方、第2の電源部250へ接続される電源線254には、第1のサブ電源スイッチ256(以下、「SW−1」という場合がある。)が介在されている。このSW−1は、接点切り替え動作に機械的動作を伴うリレースイッチであることが好ましく、前記電源供給制御回路252で、オン・オフが制御されるようになっている。なお、このSW−1は、前記インターロック部14に設けられるリレースイッチ14RLYに相当する。
【0059】
また、第2の電源部250は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を備えている。24V電源部250H(LVPS2)は主としてモーター等で使用される電源である。
【0060】
第2の電源部250の24V電源部250H(LVPS2)及び5V電源部250L(LVPS1)は、選択的に、画像読取部電源供給部258、画像形成部電源供給部260、ファクシミリ通信制御回路電源供給部264、UIタッチパネル電源供給部266に接続されている。
【0061】
画像読取部電源供給部258は、24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第2のサブ電源スイッチ268(以下、「SW−2」という場合がある。)を介して、画像読取部238に接続されている。
【0062】
画像形成部電源供給部260は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第3のサブ電源スイッチ270(以下、「SW−3」という場合がある。)を介して、画像形成部240に接続されている。
【0063】
ファクシミリ通信制御回路電源供給部264は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第4のサブ電源スイッチ274(以下、「SW−4」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像形成部240に接続されている。
【0064】
UIタッチパネル電源供給部266は、5V電源部250L(LVPS1)と24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第5のサブ電源スイッチ276(以下、「SW−5」という場合がある。)を介して、UIタッチパネル216(バックライト部216BLを含む)に接続されている。なお、UIタッチパネル216の本来の機能(バックライト部216BLを除く機能)へは、節電中監視制御部24から電源を供給可能としてもよい。
【0065】
前記第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ274、第5のサブ電源スイッチ276は、それぞれ前記第1のサブ電源スイッチ256と同様に、メインコントローラ200の電源供給制御回路252からの電源供給選択信号に基づいて、オン・オフ制御される。図示していないが、24V電源部250Hと5V電源部250Lが供給されるスイッチや配線は、2系統で構成されている。また電源スイッチ268〜276は電源装置202でなく、電源供給先の各デバイス内に配置されても良い。
【0066】
上記構成では、機能別に各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)を選択した電源を供給し、指示された機能に不要なデバイスへの電源を供給しないため、必要最小限の電力で済む。
【0067】
(画像処理装置の状態遷移のための監視制御)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある(図5参照)。
【0068】
スリープモードは、例えば、画像処理が終了した時点でシステムタイマを起動させることで移行可能である。すなわち、前記システムタイマが起動してから所定時間経過することで電力供給を停止させている。なお、予め定められた一定時間(例えば、図9のステップ104に相当)が経過するまでに、何らかの操作(ハードキーの操作等)があれば、当然、スリープモードへのタイマカウントは中止され、次の画像処理終了時からシステムタイマが起動される。
【0069】
一方、上記スリープモード中において、常に電力の供給を受ける素子として、節電中監視制御部24がI/O210に接続されている。この節電中監視制御部24は、例えば、ASICと称される、自身で動作プログラムが格納され、当該動作プログラムで処理されるCPU,RAM,ROM等を備えたICチップ等で構成することができる。
【0070】
ところで、前記節電中の監視において、例えば、通信回線検出部からプリント要求などが来たり、FAX回線検出部からFAX受信要求が来ることで、節電中であったデバイスに対して、節電中監視制御部24では、電源供給制御回路252を介して、第1のサブ電源スイッチ256、第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ274、第5のサブ電源スイッチ276を制御することで、電力の供給を行なうことが前提である。
【0071】
また、メインコントローラ200のI/O210には、節電制御ボタン26が接続されており、節電中に使用者がこの節電制御ボタン26を操作することで、節電が解除可能となっている。なお、この節電制御ボタン26には、処理部に電力が供給されているときに操作されることで、当該処理部の電力供給を強制的に遮断し、節電状態にする機能を持たせてもよい。
【0072】
ここで、スリープモードで監視するためには、節電中監視制御部24以外に、節電制御ボタン26や各検出部には節電中に必要最小限の電力を供給しておくことが好ましい。すなわち、電力非供給状態であるスリープモードであっても、予め定めた電力以下(例えば、0.5W以下)であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける場合がある。このときの電力供給元は、商用電源242に限定されるものではなく、蓄電池、ソーラー電池や、商用電源242から電力が供給されているときに充電される充電器等であってもよい。
【0073】
なお、スリープモードの特定の期間(図5に示すアウェイクモード(awk)において、UIタッチパネル216やICカードリーダー217等の入力系を主体とした必要最小限の電力供給を含む(バックライト部216BLを除く、或いは照度を通常よりも減らすことが好ましい)。
【0074】
ところで、スリープモード時に使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に節電制御ボタン26を操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
【0075】
そこで、本実施の形態では、前記節電中監視制御部24に、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を設置すると共に、スリープモードでは、使用者が節電制御ボタン26を操作(押圧等)する前に人感センサ(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30)で検知して早期に電力供給を再開して、使用者が、節電制御ボタン26を操作して使用を開始するよりも早く使えるようにした。なお、節電制御ボタン26と第1の人感センサ28、第2の人感センサ30とを併用しているが、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30のみで全ての監視を行うことも可能である。
【0076】
図4に示される如く、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、検出部28A、30Aと回路基板部28B、30Bとを備えており、回路基板部28B,30Bは、検出部28A、30Aで検出した信号の感度を調整したり、出力信号を生成する。
【0077】
なお、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が検知(「検出」と同義である)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の検知も含むものである。従って、以下において、人感センサの検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も検知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して検知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。以下では、移動体、人、使用者等は、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30が検出する対象として同義として扱い、必要に応じて区別することとする。
【0078】
(第1の人感センサ28)
本実施の形態に係る第1の人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲(例えば、1m〜5mの範囲)において、移動体の動きを検出するものである。
【0079】
本実施の形態では、第1の人感センサ28として熱源を検出する素子を縦横に二次元状に複数個配列した二次元配列型熱源検出手段(赤外線アレイセンサ28IR(図7参照))を適用している。以下、図7に基づき、第1の人感センサ28として適用される、赤外線アレイセンサ28IRの構成について詳述する。なお、図7(B)に示す制御機能系のブロック図はハード構成を限定するものではなく、赤外線アレイセンサ28IRから出力される信号処理を機能別にブロックしたものである。
【0080】
図7(A)に示される如く、赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28Aと、この検出部28Aが中央に取り付けられた回路基板部28B(以下、「解析部28B」という場合がある)とを備えている。
【0081】
検出部28Aは、熱源を検出する素子を有している。熱源を検出する素子は、サーモパイル素子であり、このサーモパイル素子を8(縦)×8(横)(=64素子)に二次元マトリックス状に多画素化したものである。市販品としては、商品名:Grid−Eye(グリッドアイ)「登録商標」/パナソニック電工製がある。
【0082】
前記市販の赤外線アレイセンサの仕様としては、前記センサ部28Aとしてのサーモパイル素子(アレイ状)と、集光用シリコンレンズと、解析部28BとしてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサと、IC等が組み込まれた実装用モジュールとされ、視野角が60度、最大5〜10m先の領域を検知し、本実施の形態の第1の人感センサ28として適用可能である。
【0083】
なお、MEMSとは、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。
【0084】
赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28A(サーモパイル素子)で検出する熱画像に応じた検出信号により、温度分布を解析することで、特定空間にいる人や熱源の温度変化を非接触で検知すると共に、人等の移動方向が検知可能である。
【0085】
図7(B)に示される如く、検出部28Aからの電気信号は、解析部28Bの電気信号受付部50で受け付けられ、画素毎データ格納部52にそれぞれのサーモパイル素子で検出した信号が格納されるようになっている。なお、ここでは、解析部28Bの機能の全てが図4に示す回路基板部28Bに具備することとして説明するが、解析部28Bが当該機能の全てを備える必要はなく、一部が図4に示す監視制御部24の機能であってもよい。
【0086】
この画素毎データ格納部52には、データ抽出部54が接続されており、例えば、1画素単位でデータが抽出され、温度レベル決定部56に送出される。温度レベル決定部56には、電気信号−温度レベル特性テーブル記憶部58が接続されており、受け付けた電気信号に基づく温度レベル(本実施の形態では、図8(C)に示す4段階)の何れかを決定する。
【0087】
決定した温度レベル情報は、検出結果判定部60へ送出されるようになっている。
【0088】
検出結果判定部60には、温度分布−状態照合テーブル記憶部62が接続されている。検出結果判定部60では、この温度分布−状態照合テーブル記憶部62に記憶されている温度分布−状態照合テーブルに基づいて、例えば、基本パターンとして、図8(A)に示すように、検出部28Aの検出領域に人が存在する場合に、その検出結果(温度分布)から状態(ここで、「人が存在する」)を判定する(図8(B)参照)。
【0089】
また、図7に示される如く、検出結果判定部60では、上記図8に示す基本パターンを判定を基礎して、図9〜図11に示す応用パターンから人の動作状態を判定し、状態情報出力部64を介して、図4に示す監視制御部24へ送出する。
【0090】
なお、図9〜図11では、検出状態に基づく判定と共に、本実施の形態に特化した対応(すなわち、スリープモードからスタンバイモードへ遷移する必要性)を示している。また、以下の応用パターン1〜3を組み合わせ、かつ第2の人感センサ30による検出と組み合わせることで、後述する図6のAパターン〜Cパターンの見極めるようになっている。
【0091】
「応用パターン1(図9)」
図9(A)は、検出領域に何も存在せず、赤外線アレイセンサ28IRの検出状態は無感状態となり、その判定結果は、周囲に誰もいないと判定され、対応としてはスリープモードが維持されることになる。
【0092】
図9(B)は、人を検出(基本パターンと同等)したが、原稿に相当する温度分布がなく、スキャン、コピーのための原稿を所持していないと判定され、対応としてはスリープモードが維持されることになる。
【0093】
図9(C)は、人を検出(基本パターンと同等)し、かつ原稿に相当する温度分布があり、スキャン、コピーのための原稿を所持していると判定され、対応としてはスリープモードからスタンバイモードへ立ち上げることになる。なお、直接スタンバイモードへ遷移させるのではなく、例えば、第2の人感センサ30の電力遮断状態である場合は、まず、この第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0094】
「応用パターン2(図10)」
図10(A)は、検出領域に何も存在せず、赤外線アレイセンサ28IRの検出状態は無感状態となり、その判定結果は、周囲に誰もいないと判定され、対応としてはスリープモードが維持されることになる。
【0095】
図10(B)は、人を検出(基本パターンと同等)し、当該人が検出領域の左から進入していると判定され、対応としては、装置に接近するか否かが不明な状況であるので、スリープモードが維持されることになる。
【0096】
図10(C)は、人を検出(基本パターンと同等)し、前記左から進入した人がそのまま右へ移動すると判定され、対応として、装置に接近せず、検出領域から退出するため、スリープモードが維持されることになる。
【0097】
「応用パターン3(図11)」
図11(A)は、検出領域に何も存在せず、赤外線アレイセンサ28IRの検出状態は無感状態となり、その判定結果は、周囲に誰もいないと判定され、対応としてはスリープモードが維持されることになる。
【0098】
図11(B)は、人を検出(基本パターンと同等)したが、相対的に少ない画素での検出であり、かつ温度分布も相対的に低いため遠方に人がいると判定され、対応としては、装置に接近するか否かが不明な状況であるので、スリープモードが維持されることになる。
【0099】
図11(C)は、人を検出(基本パターンと同等)し、相対的に多い画素での検出であり、かつ温度分布も相対的に高いため近傍に人がいると判定され、対応としては、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げることになる。なお、直接スタンバイモードへ遷移させるのではなく、例えば、第2の人感センサ30の電力遮断状態である場合は、まず、この第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0100】
(第2の人感センサ28)
一方、本実施の形態に係る第2の人感センサ30の仕様は、移動体の有無(存在・不存在)を検出するものが適用されている。この第2の人感センサ30に適用されるセンサは、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である(反射型センサ)。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
【0101】
この第2の人感センサ30に適用された反射型センサ等の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって移動体の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である。
【0102】
なお、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30として、目的とする機能をそれぞれ達成することが可能であれば、第1の人感センサ28として赤外線アレイセンサ28RIや、第2の人感センサ30として反射型センサに限定されるものではない。
【0103】
ここで、本実施の形態では、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30により、2つの領域(図6の第1の領域Fと第2の領域N)を設定した。
【0104】
相対的に遠い検出領域である図6の第1の領域F(単に、「領域F」という場合がある)は、第1の人感センサ28による検出領域であり、遠隔移動体検出手段としての機能を有する。また、相対的に近い検出領域である図6の第2の領域N(単に、「領域N」という場合がある)は、第2の人感センサ30による検出領域であり、近接移動体検出手段としての機能を有する。
【0105】
第1の人感センサ28の検出領域(図6の第1の領域F参照)は、画像処理装置10が設置されている場所の環境にもよるが、目安として2〜3m程度である。一方、第2の人感センサ30の検出領域(図6の第2の領域N)参照)は、画像処理装置10のUIタッチパネル216やハードキーの操作が可能な範囲であり、目安として0〜0.5m程度である。
【0106】
図6に示される如く、移動体(使用者)と画像処理装置10との関係は、大きく分けて3形態あり、第1の形態は、人が画像処理装置10に対して、使用目的で操作可能位置まで近づいてくる形態(図6のA線矢視の動向(Aパターン)参照)、第2の形態は、人が処理装置を使用目的ではないが、操作可能位置まで近づいてくる形態(図6のB線矢視の動向(Bパターン)参照)、第3の形態は、人が処理装置の操作可能位置まで近づかないが、第1の形態、第2の形態に移行する可能性のある距離まできている形態(図6のC線矢視の動向(Cパターン)参照)である。
【0107】
本実施の形態では、人の動向を少なくとも上記Aパターン〜Cパターンに区別することで、画像処理装置10の状態、特にスリープモードからの電力供給状態へ立ち上げ、或いは電力供給状態からスリープモードへの立ち下げを制御する。
【0108】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0109】
(画像処理装置10(デバイス)の電力供給制御のモード遷移)
まず、図5に基づき、画像処理装置10における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートを示す。
【0110】
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなり、本実施の形態では、節電中監視制御部24にのみ電力が供給されている。
【0111】
ここで、立ち上げ契機(立ち上げトリガの検出、或いはUIタッチパネル216等の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
【0112】
なお、この立ち上げトリガ契機後は、依然としてスリープモードと定義し、UIタッチパネル216のみを起動するようにしてもよいし、或いは、UIタッチパネル216の起動によって、節電中監視制御部24のみの電力供給よりも電力供給量が増加するので、アウェイクモード「awk」(目覚めモード)として定義してもよい(図5の遷移図における、スリープモード範囲の括弧[ ]内参照)。このアウェイクモードでUIタッチパネル216等の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
【0113】
前記立ち上げトリガとは、主として、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、操作者による節電解除操作も立ち上げトリガとしてもよい。
【0114】
ウォームアップモードは画像処理装置10を迅速に処理可能状態にもっていくため、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。
【0115】
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移するようになっている。
【0116】
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
【0117】
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
【0118】
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、待機トリガによって画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。なお、画像処理後、システムタイマによる計時を開始し、予め定めた時間経過した後に待機トリガを出力し、スタンバイモードへ遷移するようにしてもよい。
【0119】
このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げトリガの検出がある、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移するようになっている。
【0120】
なお、立ち下げトリガとは、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、システムタイマを併用してもよい。
【0121】
また、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全てこのタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
【0122】
ここで、電力の供給を受けて動作する各デバイスは、図5におけるスリープモードからアウェイクモード、ウォームアップモードを経てスタンバイモードへ遷移することで、それぞれの処理を即時に実行可能となる。
【0123】
このように、本実施の形態の画像処理装置10は、モードの間を相互に遷移しており、各モード毎に電力供給量が異なっている。
【0124】
本実施の形態の画像処理装置10では、予め定められた条件(例えば、人感センサ30による移動体(使用者)立ち去り情報、或いはシステムタイマのタイムアップによる立ち下げトリガ出力)が揃うと、スリープモードへ移行する。このスリープモードでは、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスのみならず、節電中監視制御部24を除くメインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対しても電力供給を遮断する。この場合、メインコントローラ200に接続されている節電制御ボタン26の機能も停止されることが好ましい。このため、周囲から画像処理装置10を見ると、メイン電源スイッチが切られている状態とほぼ同等の状態となる。すなわち、スリープモードが確実に実行されていることが、周囲から確認可能な状態となる(「見える化」の実現)。
【0125】
画像処理装置10のデバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)に関しては、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30に基づき、省エネ性及び利便性という二律背反の目的を相互に考慮し、適正なモード遷移(特に、スリープモードからの立ち上げ、並びにスリープモードへの立ち下げ)を行っている。この場合、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30等の検出系については、常時、電力が供給される前提となっている。なお、第1の人感センサ28のみを常時電力供給対象とし、この第1の人感センサ28で移動体(使用者)を検出した時点で、第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0126】
ここで、本実施の形態では、第1の人感センサ28として、赤外線アレイセンサ28RIを適用したため、単純に移動体(使用者)の移動を検出に加え、当該検出領域に進入してきた移動体の検出状態に基づいて、状況を判定し、以後の処理の対応を決定するようにした。
【0127】
この赤外線アレイセンサ28IRを適用することで、例えば、単純に移動体の有無を検出するセンサに比べて、少なくとも以下の課題を解決することが可能となる。
【0128】
(課題1)
画像処理装置10に近づいてくる移動体(人)の中には、スキャンやコピー以外で近づいてくる人もいる。例えば、遠隔のPCからプリント指示を出力した後、当該プリントアウト用紙を取りに来るといった場合である。このような場合に、単純に人が近づいてくるという判断で、例えば、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げたり、次段の人感センサ(本実施の形態では、第2の人感センサ30)に電力を供給すると、無駄な電力消費となる場合がある。
【0129】
(課題1の対策)
図8の基本パターンに加え、図9に示す応用パターン1を適用する。
【0130】
すなわち、図9(B)「応用パターン1」に示される如く、人を検出したが、原稿に相当する温度分布がなく、スキャン、コピーのための原稿を所持していないと判定し、スリープモードを維持する。
【0131】
一方、図9(C)「応用パターン1」に示される如く、人を検出し、かつ原稿に相当する温度分布があり、スキャン、コピーのための原稿を所持していると判定し、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げる。なお、直接、スタンバイモードへ遷移させるのではなく、例えば、第2の人感センサ30の電力遮断状態である場合は、まず、この第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0132】
(課題2)
画像処理装置10の近傍に移動体(人)が存在していても、当該画像処理装置10が社員等が頻繁に行き来する通路に設置されているような場合、社員が画像処理装置10を使用する人と同等の距離まで近づくような場合である。このような場合に、単純に人が近くに存在するという判断で、例えば、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げたり、次段の人感センサ(本実施の形態では、第2の人感センサ30)に電力を供給すると、無駄な電力消費となる場合がある。
【0133】
(課題2の対策1)
図8の基本パターンに加え、図10及び図11に示す応用パターン2及び応用パターン3を適用する。
【0134】
図10(B)「応用パターン2」示される如く、人を検出したが、人が検出領域の左から進入していると判定された後、図10(C)「応用パターン2」に示される如く、前記左から進入した人がそのまま右へ移動した場合、単なる素通りと判定し、スリープモードを維持する。
【0135】
一方、図10(B)「応用パターン2」に示される如く、人を検出したが、人が検出領域の左から進入していると判定された後、図11(C)「応用パターン3」に示される如く、前記左から進入した人が向きを変えて、画像処理装置10に近づいてきた場合、画像処理装置10を操作する意志があると判定し、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げる。なお、直接スタンバイモードへ遷移させるのではなく、例えば、第2の人感センサ30の電力遮断状態である場合は、まず、この第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0136】
(課題2の対策2)
図8の基本パターンに加え、図10及び図11に示す応用パターン2及び応用パターン3を適用する。
【0137】
図11(B)「応用パターン3」示される如く、人を検出したが、相対的に遠方にいると判定された後、図10(C)「応用パターン2」に示される如く、前記遠方にいた人が近づきながら右へ移動した場合、単なる素通りと判定し、スリープモードを維持する。
【0138】
一方、図11(B)「応用パターン3」に示される如く、人を検出したが、相対的に遠方にいると判定された後、図11(C)「応用パターン3」に示される如く、前記遠方にいた人がそのまま、画像処理装置10近傍まで近づいてきた場合、画像処理装置10を操作する意志があると判定し、スリープモードからスタンバイモードへ立ち上げる。なお、直接スタンバイモードへ遷移させるのではなく、例えば、第2の人感センサ30の電力遮断状態である場合は、まず、この第2の人感センサ30に電力を供給するようにしてもよい。
【0139】
なお、本実施の形態では、第1の人感センサ28として、赤外線エリアセンサ28IRを適用し、かつ、この赤外線エリアセンサ28RIに関しては、スリープモードであっても常時電力を供給し、全ての画素(64画素)で監視をするようにしたが、図12に示される如く、予備監視として、周縁の画素(28画素)で監視し、本監視として、全画素(64画素)で監視する、段階的な電力供給をおこなってもよい。
【0140】
より詳細に示せば、図12(A)に示される如く、スリープモード中は、周囲の画素(28画素)で監視を行っており(予備監視)、検出領域には誰も存在しない。このため、スリープモードを維持することになり、このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.007Wdcである。
【0141】
次に、図12(B)に示される如く、赤外線エリアセンサ28IRの周囲の画素だけで監視中に、人が検出領域に進入すると、当該周囲の画素で温度を検知する。そこで、スリープモードは維持するが、赤外線エリアせんさ28IRの全画素に電力を供給し、当該全画素での監視に移行する(本監視)。このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.015Wdcである。
【0142】
本監視になった後は、前述した応用パターン1〜3と同様に、検出領域内での人を動きを解析して、図12(C)に示される如く、素通りであればスリープモードを維持し、図12(D)に示される如く、画像処理装置10に近づいてくれば、スタンバイモードへ立ち上げ、或いは次段の人感センサ30へ電力を供給するようにすればよい。
【0143】
また、検出領域から人が存在しなくなった時点で、再度本監視状態から予備監視状態に移行すればよい。
【0144】
なお、本実施の形態の、赤外線アレイセンサ28IRによる監視は、上記課題1、2に限定されるものではなく、例えば、移動体が移動したか否かの情報以上の情報(移動体の輪郭や移動方向、或いは原稿等の所持の有無等)を取得することで、当該移動体が移動したか否かの情報を検知する他のセンサよりも誤検知率が軽減される。
【符号の説明】
【0145】
W 壁面
10 画像処理装置
20 ネットワーク通信回線網
21 PC
22 電話回線網
24 節電中監視制御部
26 節電制御ボタン
28 第1の人感センサ
30 第2の人感センサ
28IR 赤外線アレイセンサ
28A 検出部
28B 回路基板部(解析部)
50 電気信号受付部
52 画素毎データ格納部
54 データ抽出部
56 温度レベル決定部
58 電気信号−温度レベル特性テーブル記憶部
60 検出結果判定部
62 温度分布−状態照合テーブル記憶部
64 状態出力部
200 メインコントローラ
204 CPU
206 RAM
208 ROM
210 I/O(入出力部)
212 バス
214 UI制御回路
216 UIタッチパネル
217 ICカードリーダー
218 ハードディスク
220 タイマ回路
222 通信回線I/F
236 ファクシミリ通信制御回路
238 画像読取部
240 画像形成部
242 商用電源
243 配線プレート
244 入力電源線
245 コンセント
246 メインスイッチ
248 第1の電源部
250 第2の電源部
248A 制御用電源生成部
252 電源供給制御回路
254 電源線
256 第1のサブ電源スイッチ(「SW−1」)
250H 24V電源部(LVPS2)
250L 5V電源部(LVPS1)
258 画像読取部電源供給部
260 画像形成部電源供給部
266 ファクシミリ通信制御回路電源供給部
268 第2のサブ電源スイッチ(「SW−2」)
270 第3のサブ電源スイッチ(「SW−3」)
274 第4のサブ電源スイッチ(「SW−4」)
276 第6のサブ電源スイッチ(「SW−5」)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から電力の供給を受けて動作することで予め定められた処理を実行する負荷と、
少なくとも熱源から受ける熱量に応じた電気信号を出力する熱源検出素子を縦横に複数個配列することで多画素化された二次元配列型熱源検出手段を含み、前記負荷を基準とした周囲を検出領域として設置され前記負荷を使用する使用者を含む移動体が存在しているか否かを検出する移動体検出手段と、
少なくとも前記負荷を対象として、前記電源部から電力を受ける電力供給状態、或いは前記電源部から電力の供給を受けない電力遮断状態に遷移させる電力供給状態遷移制御手段と、
前記移動体検出手段による検出情報、並びに予め定めた計時手段の計時情報をそれぞれに設定された基準情報と比較することで、前記電力供給状態遷移制御手段による遷移時期を判定する遷移時期判定手段と、
を有する電力供給制御装置。
【請求項2】
前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の移動方向を解析する解析手段をさらに有し、
前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報と比較して、前記熱源が移動体であり、かつ前記負荷に接近しているか否かを判定する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の輪郭を解析する解析手段をさらに有し、
前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報を比較して、熱源の輪郭が人型か否かを判定し、人型であれば所持物の有無を判定する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
前記移動体検出手段が、前記負荷と至近距離で対峙する使用者を検出する使用者検出手段をさらに備え、前記二次元配列型熱源検出手段から、前記使用者検出手段まで、連携して電力供給を受ける順序を設定すると共に、前記二次元配列型熱源検出手段を常に電力供給状態とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
前記二次元配列型熱源検出手段の検出領域が、前記使用者検出手段の検出領域を含むように設定されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項6】
前記使用者検出手段が、投光部と受光部を備え、投光部から光を受光部で受けるか否かで使用者の有無を判別する反射型検出手段である請求項4又は請求項5記載の電力供給制御装置。
【請求項7】
前記負荷の稼働状況と前記使用者検出手段の検出状況とに基づいて、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を制御する請求項4〜6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項8】
前記使用者検出手段で使用者を検出している期間を少なくとも含み、当該使用者検出手段で使用者を検出しなくなってから予め定めた期間は、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を遮断する請求項4〜6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項9】
前記解析手段の解析結果に基づいて、少なくとも前記移動体が負荷から離れていくことが判明した場合に、前記使用者検出手段への電力供給を遮断する請求項4〜8の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項10】
前記負荷が、電力供給を受けて動作して、予め定められた処理を実行する複数の処理部と、当該複数の処理部に対して選択的に処理内容を少なくとも指示する指示部とに分類され、
前記電力遮断状態で遷移されるモードとして、前記移動体検出手段による検出結果を解析するための監視制御部に電力を供給するスリープモード、必要に応じて指示部に電力を供給するアウェイクモードを備え、
前記電力供給状態で遷移されるモードとして、前記スリープモードから前記処理部を立ち上げるための準備段階であるウォームアップモード、前記処理部に対して定常時よりも下げて電力を供給しておくスタンバイモード、前記処理部に対して前記定常時の電力を供給するランニングモードを含む複数のモードを備え、
処理状況に応じてモードを遷移する請求項1〜請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項11】
前記請求項1〜請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記負荷が、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部、使用者との情報の受付報知を行うユーザーインターフェイス部、使用者を識別するための使用者識別装置の少なくとも1つを含んでおり、使用者からの指示に基づいて、相互に連携しあって画像処理を実行すると共に、
前記移動体検出手段が、前記ユーザーインターフェイス部又は使用者識別装置の設置位置を基準として設けられた画像処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、前記請求項1〜請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−20048(P2013−20048A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152614(P2011−152614)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】