説明

電力供給装置

【課題】バッテリと帰還経路とを備えており省電力及び誤動作の防止が得られる電力供給装置を提供する。
【解決手段】
電力供給装置1は、バッテリ13及び負荷を接続する接続線L1、L2、L3と特定電位との間にコンデンサC1、C2、C3が設けられている。電源回路16をオンにして電力の供給が行われる場合に、切替回路11はバッテリ13、電源回路16及び負荷を直列に接続し電力が負荷に供給されている間にコンデンサC1、C2、C3に蓄積電荷が生じる。一方、電源回路16をオフにして電力の供給が停止された場合に切替回路11は、昇圧回路15を備えた帰還経路、充電回路12及びバッテリ13を直列に接続し、コンデンサC1、C2、C3の蓄積電荷による電圧を昇圧回路15で昇圧し、蓄積電荷を充電回路12に帰還して、バッテリ13を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ及び帰還経路を備えており、省電力及び誤動作の防止が可能となる電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器は、バッテリを備えている。たとえば、ノート型パーソナルコンピュータは、外部電源が接続されている場合に外部電源から電力が供給され、外部電源が接続されていない場合にバッテリから電力が供給される。外部電源に接続可能な装置におけるバッテリの充電は、通常、その装置が外部電源から電力の供給を受けている最中に行われる。具体的には、その装置の電力消費量が低下した間に、バッテリに電圧を印加して余った電力でバッテリを充電する。たとえば、パーソナルコンピュータの消費電力は、キー操作が行われているか否か、ハードディスクがアクセスされているか否か、或いは表示状態などに応じて時々刻々と変化する。そして、充電装置は、パーソナルコンピュータ自体により消費される電力が低下したときにバッテリへ電圧を印加して充電を行う。待機電源が必要となる電子機器においてもバッテリが備えられており、待機状態では、バッテリから電力を供給する。待機状態においてバッテリの出力電圧が所定電圧以下になると外部電源をバッテリに接続し充電を行うことで、効率よくバッテリの充電を行う電力供給装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
このような電力供給装置は、スイッチング素子等で構成されておりスイッチング素子のオン/オフにより発生する断続的な電圧を平滑化するために、負荷へ電力を供給する接続線及び特定電位の間に平滑用コンデンサが設けられている。また、電力が供給される電子機器の内部に設けられており、電力供給装置の接続線と接続される電源線及び特定電位の間には、電源線に印加された電圧に対して負荷変動により混入するリップル電圧及びノイズ電圧等を除去するためのバイパスコンデンサが設けられている。電子機器に電力が供給されている間、これらのコンデンサには蓄積電荷が生じる。
【特許文献1】特開2000−166087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電力供給装置では、電子機器への電力の供給を停止した場合にコンデンサの蓄積電荷は時間の経過に伴い電子機器を介して自然放電されるため、蓄積電荷のエネルギーが無駄に失われるという問題がある。また、電子機器の負荷が軽い場合には、電子機器への電力の供給が停止された後にコンデンサの蓄積電荷が電子機器を介して速やかに自然放電されず、蓄積電荷による電圧が電子機器内部の各電子部品の誤動作を引き起こすという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、バッテリを負荷に接続する接続線及び特定電位の間に備えられたコンデンサと、コンデンサの蓄積電荷を充電回路に帰還させる帰還経路と、電力の供給を行う場合にバッテリ及び負荷を直列に接続する一方、電力の供給を停止した場合に帰還経路、充電回路及びバッテリを直列に接続する切替回路とを設けることにより省電力が可能となる電力供給装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的は、帰還経路に昇圧回路を設けることにより、蓄積電荷を効率よく充電回路に帰還させてバッテリを充電し、省電力及び誤動作の防止が可能となる電力供給装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、外部電源から電力の供給を受付ける受電端子を設けることにより、外部電源からの電力の供給に対応することが可能となる電力供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力供給装置は、負荷に電力を供給するバッテリと、該バッテリ及び前記負荷との間に設けられたスイッチと、前記バッテリを充電する充電回路とを備えた電力供給装置において、前記スイッチ及び前記負荷を接続する接続線と、該接続線及び特定電位の間に設けられたコンデンサと、該コンデンサの蓄積電荷を前記充電回路に帰還させる帰還経路と、前記スイッチをオンにして前記負荷への電力の供給が行われる場合に前記バッテリ及び前記負荷を直列に接続する一方、前記スイッチをオフにして前記負荷への電力の供給が停止された場合に前記帰還経路、前記充電回路及び前記バッテリを直列に接続する切替回路とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、電力供給装置は、負荷への電力の供給が行われる場合にバッテリ及び負荷を直列に接続してバッテリ及び負荷の間に設けられたスイッチをオンにする。負荷への電力の供給が行われている間、コンデンサには蓄積電荷が生じる。一方、電力供給装置は、負荷への電力の供給を停止する場合にスイッチをオフにすると共に、帰還経路、充電回路及びバッテリを直列に接続してコンデンサの蓄積電荷を充電回路に帰還させてバッテリを充電する。
【0010】
本発明に係る電力供給装置は、前記帰還経路は、前記蓄積電荷による電圧を昇圧する昇圧回路を有することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、蓄積電荷による電圧を帰還経路に設けられた昇圧回路によって昇圧して充電回路に印加し、蓄積電荷は帰還経路を介して充電回路に帰還する。
【0012】
本発明に係る電力供給装置は、外部電源から電力が供給される受電端子を備えており、前記切替回路は、前記受電端子に電力が供給された場合に前記受電端子及び前記負荷を直列に接続すると共に、前記受電端子、前記充電回路及び前記バッテリを直列に接続し、前記受電端子に電力が供給されていない場合に前記バッテリ及び前記負荷を直列に接続するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、受電端子に電力が供給された場合に切替回路は、受電端子及び負荷を直列に接続して受電端子から負荷に電力が供給されると共に、受電端子、充電回路及びバッテリを直列に接続してバッテリを充電する。受電端子に電力が供給されていない場合に切替回路は、バッテリ及び負荷を直列に接続してバッテリから負荷に電力が供給される。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、電力供給装置は、負荷への電力の供給が停止された場合に帰還経路、充電回路及びバッテリを直列に接続してバッテリ及び負荷の間に設けられたコンデンサの蓄積電荷を充電回路に帰還させてバッテリを充電するため、省電力及び誤動作の防止が可能となる。
【0015】
本発明にあっては、帰還経路は昇圧回路を有するため、効率よくコンデンサの蓄積電荷を充電回路に帰還させてバッテリを充電することが可能となる。
【0016】
本発明にあっては、電力供給装置は外部電源の電圧を入力する受電端子を備えており外部電源の接続時には外部電源から負荷への電力の供給及びバッテリの充電を行うように構成されることにより、外部電源からの電力の供給に対応が可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。図1は、本実施の形態における電力供給装置及び外部電源の内部構成を示す回路図である。図1中1は本発明に係る電力供給装置を示しており、2は電力供給装置1の外部から電力を供給する場合に接続される外部電源を示している。電力供給装置1は、切替回路11、充電回路12、バッテリ13、切替制御回路14、昇圧回路15、電源回路16、受電端子17、及び電源オン/オフ端子18等で構成されている。電源回路16は、スイッチング素子等で構成されており入力された電圧を負荷に対応した電源電圧へ変換し、安定化させて出力し、電力を供給する回路である。電源回路16は、電源オン/オフ端子18と接続されており、電源オン/オフ端子18に所定の電圧が印加された場合に出力をオン状態に、接地電位が印加された場合に出力をオフ状態に切替える。外部電源2は、ACアダプタ21及び商用交流電源22で構成されており、商用交流電源22が出力する交流電圧をACアダプタ21により所定の直流電圧に変換して出力する。受電端子17は、電力供給装置1の外部に設けられた外部電源2からの電力の供給を受けるべく電力供給装置1に設けられている。図1中19及び20は、接地電位を示しているが、必ずしも接地電位である必要はなく、バッテリの陰極の電位等の特定電位であれば良い。
【0018】
切替回路11はサイリスタ等からなるスイッチ111、112、113で構成されており、各スイッチの状態は切替制御回路14により制御される。切替回路11のスイッチ111は、閉状態及び開状態を切替えるスイッチであり、一接点は受電端子17に、他接点は接続点114に接続されている。スイッチ112は、接点A及び接点Bのいずれか一方に接続を切替えるスイッチであり、コモン端子は接続点114に接続されている。スイッチ113は、接点C及び接点Dのいずれか一方に接続を切替えるスイッチであり、コモン端子は接続点114と接続されている。充電回路12は、バッテリ13を充電する回路であり充電電流値のモードとして低電流モードと高電流モードとを有し、切替制御回路14により、いずれか一方に切り替え可能に構成されている。充電回路12の入力側は、切替回路11のスイッチ112の接点Aに接続されている。充電回路12の出力側はバッテリ13の陽極に接続されている。バッテリ13の陰極は接地電位19に接続されている。電源回路16の入力側は、切替回路11のスイッチ113の接点Dに接続されており、出力側には、後述する負荷に異なる電源電圧を出力して電力を供給する接続線L1、L2、L3が設けられている。接続線L1、L2、L3と接地電位20との間に接地線GND1を介して、それぞれコンデンサC1、C2、C3が設けられている。接地線GND1は、接地電位20と接続されている。
【0019】
コンデンサC1、C2、C3は、電源回路16に含まれるスイッチング素子のスイッチング動作により接続線L1、L2、L3に生じた断続的な電圧を、電荷を充放電して平滑化する平滑コンデンサである。接続線L1、L2、L3は、それぞれダイオードD1、D2、D3の陽極が接続されており、各ダイオードD1、D2、D3の陰極は昇圧回路15の電圧入力端子15aに接続されている。昇圧回路15は電圧入力端子15aに入力された電圧を昇圧して電圧出力端子15bから出力する回路であり、昇圧オン/オフ端子15dに所定の電圧が印加された場合にオン状態となり、昇圧オン/オフ端子15dに接地電位が印加された場合にオフ状態になるように構成されている。ダイオードD1、D2、D3は、接続線L1、L2、L3の異なる電圧により高い電圧の接続線から低い電圧の接続線に電流が流れ込むことを防ぐと共に、コンデンサC1、C2、C3及び後述する負荷装置に含まれるコンデンサの蓄積電荷を充電回路12に帰還する帰還経路の一部となっている。充電回路12の出力側は、バッテリ13の陽極だけでなく、昇圧回路15に設けられたフィードバック端子15cにも接続されている。これにより昇圧回路15は、充電回路12の出力電圧である充電電圧が一定となるように昇圧比を制御する。また、昇圧回路15は昇圧オン/オフ端子15dを備えており、切替制御回路14に接続されている。切替制御回路14は、受電端子17及び電源オン/オフ端子18に電圧が印加されているか否かを検出する手段を備えており、検出結果に基づき切替回路11の各スイッチ111、112、113の状態、充電回路12の充電電流値のモード切替、昇圧回路15のオン/オフ状態の切替、及び電源回路16のオン/オフ状態の切替を制御可能に構成されている。
【0020】
図2は、本実施の形態における負荷装置の構成を示す回路図である。図2中3は、電力供給装置1に接続されて電力が供給される負荷装置を示しており負荷回路31、32、33、及びコンデンサC4、C5、C6等で構成されている。電力供給装置1の接続線L1、L2、L3及び接地線GND1は、それぞれ負荷装置3の電源線L4、L5、L6及び接地線GND2に接続されている。電源線L4、L5、L6は、それぞれ負荷回路31、32、33の陽極に接続されている。負荷回路31、32、33の陰極は接地電位34に接続されている。電源線L4、L5、L6と接地線GND2との間には、それぞれコンデンサC4、C5、L6が設けられている。コンデンサC4、C5、C6は、電源線L4、L5、L6に印加された電圧に混入したノイズ電圧及び負荷回路31、32、33の負荷変動に伴い発生したリップル電圧を除去するためのバイパスコンデンサである。
【0021】
まず、バッテリ13から電力が供給される場合の電力供給装置1の動作を説明する。この場合には、外部電源2は受電端子17に接続されていない。電源回路16をオンにすべく電源オン/オフ端子18に所定の電圧が印加される。切替制御回路14は、受電端子17に印加された電圧を検出しない状態で電源オン/オフ端子18に所定の電圧が印加されたことを検出した場合に切替回路11のスイッチ111を開状態に、スイッチ112を接点Bに接続した状態に、スイッチ113を接点Dに接続した状態に切替える。また、切替制御回路14は、充電回路12の充電電流値を低電流モードに切替え、昇圧回路15をオフにし、電源回路16をオンにする。バッテリ13の陽極は切替回路11のスイッチ112の接点B、接続点114及びスイッチ113の接点Dを介して電源回路16に接続され、バッテリ13の出力電圧が電源回路16に入力される。電源回路16は入力された電圧を負荷回路31、32、33のそれぞれに対応した電源電圧に変換及び安定化して接続線L1、L2、L3に出力する。接続線L1、L2、L3に出力された電圧は負荷装置3の電源線L4、L5、L6を介して負荷回路31、32、33にそれぞれ印加されて電力が供給される。電力が供給されている間に電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6には一定の蓄積電荷が生じる。
【0022】
次に、電源回路16から負荷装置3への電力の供給を停止した場合の電力供給装置1の動作を説明する。電源回路16をオフにすべく電源オン/オフ端子18に接地電位が印加される。切替制御回路14は、電源オン/オフ端子18に接地電位が印加されたことを検出した場合に電源回路16をオフにし、切替回路11のスイッチ112を接点Aに接続した状態に、スイッチ113を接点Cに接続した状態に切替え、昇圧回路15をオンにする。昇圧回路15の出力側は、切替回路11のスイッチ113の接点C、接続点114、スイッチ112の接点A及び充電回路12を介してバッテリ13の陽極に接続される。電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6の蓄積電荷による電圧は、それぞれダイオードD1、D2、D3を介して昇圧回路15の電圧入力端子15aに入力される。昇圧回路15は、入力された電圧を昇圧し、電圧出力端子15b及び切替回路11を介して充電回路12に出力する。充電回路12は、昇圧回路15の出力電圧を低電流モードの充電電流値に対応した充電電圧に変換して出力しバッテリ13を充電する。充電回路12の出力電圧は、昇圧回路15のフィードバック端子15cにフィードバック入力されて充電電圧が一定となるように昇圧回路15は昇圧比を制御する。これらにより電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6の蓄積電荷は、ダイオードD1、D2、D3及び昇圧回路15からなる帰還経路並びに切替回路11を介して充電回路12に帰還してバッテリ13を充電する。
【0023】
次に外部電源2から電力が供給される場合の電力供給装置1の動作を説明する。この場合には、外部電源2は受電端子17に接続されている。切替制御回路14は、受電端子17に印加された電圧を検出した場合に切替回路11のスイッチ111を閉状態に、スイッチ112を接点Aに接続した状態に、スイッチ113を接点Dに接続した状態に切替え、充電回路12の充電電流値を高電流モードに切替える。外部電源2は、切替回路11のスイッチ111、接続点114及びスイッチ112の接点Aを介して充電回路12と接続される。充電回路12は、外部電源2の出力電圧を高電流モードの充電電流値に対応した充電電圧に変換して出力しバッテリ13を充電する。次に電源回路16をオンにすべく電源オン/オフ端子18に所定の電圧が印加される。切替制御回路14は、電源オン/オフ端子18に所定の電圧が印加されたことを検出した場合に電源回路16をオンにする。外部電源2は切替回路11のスイッチ111、接続点114及びスイッチ113の接点Dを介して電源回路16に接続されて外部電源2の電圧が電源回路16に入力される。電源回路16は入力された電圧を負荷回路31、32、33のそれぞれに対応した電源電圧に変換及び安定化して接続線L1、L2、L3に出力する。接続線L1、L2、L3に出力された電圧は負荷装置3の電源線L4、L5、L6を介して負荷回路31、32、33にそれぞれ印加されることにより、電力が供給される。電力が供給されている間に電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6には一定の蓄積電荷が生じる。
【0024】
次に、外部電源2が接続された状態で電源回路16から負荷装置3への電力の供給を停止した場合の電力供給装置1の動作を説明する。電源回路16をオフにすべく電源オン/オフ端子18に接地電位が印加される。切替制御回路14は、電源オン/オフ端子18に接地電位が印加されたことを検出した場合に切替回路11のスイッチ111を開状態に、スイッチ112を接点Aに接続した状態に、スイッチ113を接点Cに接続した状態に切替え、充電回路12の充電電流値を低電流モードに切替え、昇圧回路15をオンにする。昇圧回路15の出力側は、切替回路11のスイッチ113の接点C、接続点114、スイッチ112の接点A及び充電回路12を介してバッテリ13の陽極に接続される。電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6の蓄積電荷による電圧は、ダイオードD1、D2、D3を介して昇圧回路15の電圧入力端子15aに入力される。昇圧回路15は、入力された電圧を昇圧して電圧出力端子15b及び切替回路11を介して充電回路12に出力する。充電回路12は、昇圧回路15の出力電圧を低電流モードの充電電流値に対応した充電電圧に変換して出力しバッテリ13を充電する。充電回路12の出力電圧は、昇圧回路15のフィードバック端子15cにフィードバック入力されて充電電圧が一定となるように昇圧回路15は昇圧比を制御する。これらにより電力供給装置1のコンデンサC1、C2、C3及び負荷装置3のコンデンサC4、C5、C6の蓄積電荷は、ダイオードD1、D2、D3及び昇圧回路15からなる帰還経路並びに切替回路11を介して充電回路12に帰還してバッテリ13を充電する。蓄積電荷がバッテリ13に充電されるに従い昇圧回路15に入力される蓄積電荷による電圧は減少する。昇圧回路15に入力される電圧が低いために所定の充電電圧が得られなくなった場合に切替回路11は昇圧回路15をオフにし、充電回路12の充電電流値を高電流モードに切替え、切替回路11のスイッチ111を閉状態に切替える。これにより、外部電源2は、充電回路12と接続されバッテリ13が充電可能に構成される。
【0025】
図3は、本実施の形態における昇圧回路15の一例を示す回路図である。昇圧回路15は、PWM回路151及びチョッパ回路152で構成されている。PWM回路151は、フィードバック端子15c、昇圧オン/オフ端子15d、基準電圧源51、誤差増幅器52、三角波発生回路53、及びPWM比較器54等で構成されている。基準電圧源51は、昇圧オン/オフ端子15dが接続されており、昇圧オン/オフ端子15dに印加する制御電圧により基準電圧源51のオン/オフ状態が制御される。フィードバック端子15cに印加された電圧は、固定抵抗R1 及びR2 により分圧されて固定利得の誤差増幅器52の反転入力端子に入力され、基準電圧源51から非反転入力端子に入力された基準電圧との偏差が増幅出力される。増幅された信号はPWM比較器54に入力されて三角波発生回路53から入力された基準信号と比較される。PWM比較器54の出力信号はチョッパ回路152のスイッチングトランジスタTrのベースに入力される。PWM比較器54は、フィードバック端子15cに入力された電圧が、基準電圧源51が出力する基準電圧と一致するようにPWM制御したパルス電圧をスイッチングトランジスタTrのベースに対して出力する。スイッチングトランジスタTrは、ベースに入力されたパルス電圧に応じてオン/オフする。
【0026】
チョッパ回路152は、電圧入力端子15a、リアクトルL、スイッチングトランジスタTr、ダイオードD4、平滑コンデンサC7、及び電圧出力端子15b等から構成されている。電圧入力端子15aは、リアクトルLの一方の端子に接続され、リアクトルLの他方の端子は、NPN型トランジスタであるスイッチングトランジスタTrのコレクタ、及びダイオードD4の陽極に接続されている。スイッチングトランジスタTrのエミッタは接地され、ダイオードD4の陰極は、平滑コンデンサC7の一方の端子に接続されており、平滑コンデンサC7の他方の端子は接地されている。スイッチングトランジスタTrがオンであるとき、図3中矢印に示すようにコレクタ電流Ic が流れて、リアクトルLにエネルギーが蓄積される。スイッチングトランジスタTrがオフであるとき、リアクトルLに蓄積されたエネルギー及び電圧入力端子15aからのエネルギーが、ダイオードD4を通じて電圧出力端子15bから出力される。ここで、リアクトルLが十分大きく、PWM回路151がスイッチングトランジスタTrをスイッチングする周期をTon、その内のオフの時間をToff、電圧入力端子15aに入力される電圧をV0 とすれば、スイッチングトランジスタTrがオフであるとき、そのコレクタ・エミッタ間の電圧Vceは、Vce=(Ton/Toff)V0 =AV0 (A=Ton/Toff ;昇圧率)となる。コレクタ・エミッタ間電圧Vceは、出力電圧端子15bに出力される。
【0027】
図3に示すPWM回路151の昇圧オン/オフ端子15dは、図1で示すように切替制御回路14と接続されており、切替制御回路14は、昇圧オン/オフ端子15dに印加する制御電圧で基準電圧源51の出力のオン/オフ状態を制御することにより昇圧回路15のオン/オフ状態を切替える。また、図1に示すように昇圧回路15のフィードバック端子15cは、充電回路12が出力する充電電圧が入力されており、昇圧回路15にフィードバック入力され、充電電圧が一定となるように図3に示すPWM回路151は昇圧比のPWM制御を行う。
【0028】
電力供給装置1は、負荷装置3への電力供給が停止された場合にコンデンサC1、C2、C3の蓄積電荷を自然放電させることなく充電回路12に帰還させてバッテリ13を充電することにより省電力となる。一般に蓄積電荷による電圧は負荷装置3の内部に含まれる図示しないIC等の誤動作を引き起こすことがある。電力供給装置1は、蓄積電荷をバッテリ13に速やかに帰還させるためIC等の誤動作を防ぐことが可能となる。また、負荷装置3の負荷が大きい場合、電力の供給を停止した後にコンデンサC1、C2、C3の蓄積電荷のうち、充電回路12に帰還せずに負荷装置3から接地電位34に向かう放電経路を介して自然放電される蓄積電荷の割合が増大する。そこで負荷回路31、32、33の陰極と接地電位34との間にスイッチを設けて、負荷装置3への電力供給が停止された場合にスイッチを開状態にして負荷回路31、32、33から接地電位34への放電経路を遮断しても良い。この新たに設けられるスイッチは、例えば、切替制御回路14と接続されて、切替制御回路14が電源回路16をオフにすると共にスイッチを開状態にするように構成すると良い。
【0029】
本実施の形態では、3本の接続線L1、L2、L3が電源回路16の出力側に設けられた場合を示したが、接続線の数はこれに限るものではなく、負荷装置3に含まれる負荷回路の数に合わせて2本以下でも、4本以上でも良く、接続線の数に対応する電源線、ダイオード及びコンデンサを設ければ良い。また、電力供給装置1に受電端子17を備える例を示したが、USB規格の機器類等の受電端子を設けて、これらを切替可能に切替回路11を構成することにより、外部電源2の他に様々な電圧供給形態に対応可能にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態における電力供給装置及び外部電源の内部構成を示す回路図である。
【図2】本実施の形態における負荷装置の構成を示す回路図である。
【図3】本実施の形態における昇圧回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0031】
1 電力供給装置
2 外部電源
3 負荷装置
11 切替回路
111、112、113 スイッチ
12 充電回路
13 バッテリ
14 切替制御回路
15 昇圧回路
16 電源回路
17 受電端子
18 電源オン/オフ端子
19、20 接地電位
21 ACアダプタ
22 商用交流電源
15a 電圧入力端子
15b 電圧出力端子
15c フィードバック端子
15d 昇圧オン/オフ端子
D1、D2、D3 ダイオード
C1、C2、C3 コンデンサ
L1、L2、L3 接続線
GND1 接地線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給するバッテリと、該バッテリ及び前記負荷との間に設けられたスイッチと、前記バッテリを充電する充電回路とを備えた電力供給装置において、
前記スイッチ及び前記負荷を接続する接続線と、
該接続線及び特定電位の間に設けられたコンデンサと、
該コンデンサの蓄積電荷を前記充電回路に帰還させる帰還経路と、
前記スイッチをオンにして前記負荷への電力の供給が行われる場合に前記バッテリ及び前記負荷を直列に接続する一方、前記スイッチをオフにして前記負荷への電力の供給が停止された場合に前記帰還経路、前記充電回路及び前記バッテリを直列に接続する切替回路と
を備えることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記帰還経路は、前記蓄積電荷による電圧を昇圧する昇圧回路を有することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
外部電源から電力が供給される受電端子を備えており、
前記切替回路は、前記受電端子に電力が供給された場合に前記受電端子及び前記負荷を直列に接続すると共に、前記受電端子、前記充電回路及び前記バッテリを直列に接続し、
前記受電端子に電力が供給されていない場合に前記バッテリ及び前記負荷を直列に接続するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−99403(P2008−99403A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276802(P2006−276802)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】