説明

電力変換回路の駆動制御装置

【課題】初期電流を与えるために使用したスイッチング素子にターンオフ損失を発生させることをなくしながら、入力電力を変換出力できるようにした電力変換回路の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】駆動制御回路がスイッチング素子M2、M3をオフした状態のままスイッチング素子M1、M4をオンするとコイル電流iLuを正方向に通電する。コイル電流iLuがコイル7uの自己誘導作用により正方向最大値からゼロに漸減し、当該コイルの通電電流iLuがゼロクロスする所定時間t1前にスイッチング素子M2、M3についてオンオフを完了することで、コイル電流iLuのゼロクロスタイミングまでに寄生キャパシタの蓄積キャリア(逆回復電荷ΔQ)の量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換出力する電力変換回路の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータによる電力変換回路は、当該半導体スイッチング素子を高周波でスイッチングするためスイッチング損失が大きくなる傾向にある。そこで、コイル電流がゼロとなった瞬間に次のスイッチング動作に入るようにすることでターンオン損失を低減する技術が用いられる。しかし、半導体スイッチング素子の寄生キャパシタやスナバコンデンサに蓄積された電荷が半導体スイッチング素子を介して放電されるため、ターンオン時にスイッチング損失が発生し、ターンオン損失を完全にゼロとすることはできない。
【0003】
この問題を解決する技術として特許文献1の技術思想が挙げられる。この特許文献1の技術思想では、ロウサイドの半導体スイッチング素子をオフし、ハイサイドの半導体スイッチング素子をオンし、コイル電流をゼロとした後、次のターンオン期間に入る前に所定期間を設けている。
【0004】
コイルと寄生容量との間に共振状態を発生させることで、コイルからハイサイドの半導体スイッチング素子の寄生容量に電荷を蓄積させると共にロウサイドの半導体スイッチング素子の寄生容量から電荷を引き抜き、ロウサイドの半導体スイッチング素子のターンオン時における両半導体スイッチング素子の共通接続点の電圧をゼロとしている。
【0005】
この間、コイル電流は負の値から上昇に転じており、共通接続ノードの電圧をゼロとするときにコイル電流をゼロとしている。これにより、ゼロ電流およびゼロ電圧時にロウサイドの半導体スイッチング素子をターンオンさせることができ、ターンオン損失をゼロとすることができる。しかし、この方式の場合、入出力電圧(特許文献1のVBUS、VIN)の関係によっては半導体スイッチング素子の共通接続ノードの電圧を完全にゼロとすることができない場合がある。
【0006】
例えば、特許文献1のVBUS電圧がVIN電圧の2倍より小さく設定されていると、-共振状態により負荷コイルに蓄積されるエネルギー(LI2/2)は、電圧VINをゼロまで低下させるエネルギーよりも小さいため、共振状態を構成したとしてもターンオンしたいスイッチング素子の電圧をゼロにはできない。このような問題を解決するため、本願の出願人により特許文献2記載の技術が供されている。この技術思想は、ブーストコンバータ、バックコンバータ、バックブーストコンバータなどの非絶縁型コンバータを電流境界モードで動作させている。
【0007】
例えば、バックブーストコンバータを適用した場合を説明する。一般的なバックブーストコンバータでは、入力電圧より出力電圧が小さく設定されている場合、出力電流が正の場合に入力側ではハイサイドのスイッチング素子のゼロボルトスイッチ(ZVS)を実現することができない。また、入力電圧より出力電圧が大きく設定されている場合であっても、出力電流が負の場合には、出力側のハイサイドの半導体スイッチング素子のゼロボルトスイッチを実現することができない。
【0008】
特許文献2記載の技術では、出力端子の出力電圧が入力端子の入力電圧より低く、出力電流が正の場合、コイルの電流減少中にオフとなっている入力側の第2の半導体スイッチング素子をオンにし、コイルの通電電流のゼロクロス後に所定時間オンにし続けることでコイルに初期電流を与えることで入力側のハイサイドの第1の半導体スイッチング素子をゼロボルトスイッチング可能とし、出力端子の出力電圧が入力端子の入力電圧より高く、出力電流が負の場合、コイルの電流減少中にオフとなっている入力側の第1の半導体スイッチング素子と出力側の第4の半導体スイッチング素子とをオンとし、コイルの通電電流のゼロクロス後に所定時間オンにし続けることでコイルに初期電流を与えている。
【0009】
これによりコイルに共振状態時に必要なエネルギーを与え入力側のハイサイドの第1の半導体スイッチング素子および出力側の第3の半導体スイッチング素子をゼロボルトスイッチ可能としている。その他、本願に関連する文献として特許文献3も挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2005−512491号公報
【特許文献2】特開2009−213215号公報
【特許文献3】特開2005−229783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、初期電流を与えるために必要な半導体スイッチング素子をオンにした後に再びオフするため、初期電流を与えるために使用したスイッチング素子にターンオフ損失が発生してしまう。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、初期電流を与えるために使用したスイッチング素子にターンオフ損失を発生させることをなくしながら、入力電力を変換出力できるようにした電力変換回路の駆動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、駆動制御手段は、第1スイッチング素子をオンし第2スイッチング素子をオフするとコイルに電流を所定方向に通電する。コイルの通電電流が所定方向に通電された状態において駆動制御手段が第1スイッチング素子をオフすると、第2ダイオードに順方向通電することで当該第2ダイオードにキャリアが蓄積される。コイルの通電電流は当該コイルの自己誘導作用により漸減するが、当該コイルの通電電流が所定方向最大値からゼロに近づきゼロクロスするタイミングまでの間に第1スイッチング素子をオフとしたまま第2スイッチング素子をオンオフすることで第2ダイオードの蓄積キャリアの量を制御する。
【0014】
そして、コイルの通電電流が所定方向とは逆方向に反転すると初期電流が第2ダイオードに逆回復電流として流れることで第2ダイオードの蓄積キャリアが消滅する。そして、その初期電流に応じた共振状態が寄生キャパシタおよびコイルにより構成され、第1スイッチング素子の両端電圧をほぼゼロボルトにすることができる。第1スイッチング素子の両端電圧をほぼゼロボルトとした状態において、駆動制御手段は第1スイッチング素子をターンオンすることで、ゼロボルトスイッチングを実現することができる。
【0015】
しかも、初期電流を与えるために使用した第2スイッチング素子はコイルの通電電流が反転する前にオフしているため、第2ダイオードの順方向電圧(ほぼ0V)で設定された状態で第2スイッチング素子をオフすることができ、第2スイッチング素子にターンオフ損失が発生する虞を極力抑制できる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、駆動制御手段は、第1スイッチング素子をオフとしたまま第2スイッチング素子をオンすることで第2ダイオードに蓄積されたキャリアを消滅させ、コイルの通電電流が所定方向最大値からゼロに近づきゼロクロスするタイミングの所定時間前に第2スイッチング素子をオフしているため、寄生容量に対するキャリアの蓄積量を制御することができ、適切なタイミングにて第1スイッチング素子をターンオンすることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、ゼロクロスタイミング推測手段は、コイルの通電電流がゼロクロスするタイミングを推測し、駆動制御手段は、ゼロクロスタイミング推測手段による推測ゼロクロスタイミングから第2ダイオードの蓄積キャリア量に一意に対応付けられた所定時間前に第2スイッチング素子をオフしているため、適切なタイミングにて第1スイッチング素子をターンオンすることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、駆動制御手段は、ゼロクロスタイミング推測手段による推測ゼロクロスタイミングから第2ダイオードの蓄積キャリア量に一次近似して算出された所定時間前に第2スイッチング素子をオフするため、適切なタイミングにて第1スイッチング素子をターンオンすることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、駆動制御手段は、第2スイッチング素子のオフタイミングから蓄積キャリア量に対応付けられたデッドタイムだけ経過したタイミングにおいて第1スイッチング素子をターンオンするため、適切なタイミングにて第1スイッチング素子をターンオンすることができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、駆動制御手段は、第2ダイオードの蓄積キャリア量に一次近似して算出されたデッドタイムを経過したタイミングにおいて第1スイッチング素子をターンオンするため、スイッチング素子の諸特性に合わせてオンオフタイミングを設定でき、適切なタイミングにて第1スイッチング素子をターンオンすることができる。
【0021】
請求項7ないし10記載の発明によれば、電力変換回路は第1および第2入力端子間に直流電力が与えられると第1および第2出力端子に電力を変換出力する回路を制御する場合を対象としている。
【0022】
特に、請求項7記載の発明によれば、第1および第2スイッチング素子が第1および第2入力端子間に直列接続されており、第3および第4スイッチング素子が第1および第2出力端子間に直列接続されている。第1および第4スイッチング素子は同時にオンオフし、第2および第3スイッチング素子は同時にオンオフする。第1乃至第4スイッチング素子にはそれぞれ第1乃至第4ダイオードが逆並列接続されている。そして、コイルは、直列接続された第1および第2スイッチング素子間の共通接続点と、直列接続された第3および第4スイッチング素子間の共通接続点との間に接続されている。このような非反転形バックブーストコンバータに適用しても同様の作用効果が得られる。
【0023】
また、特に、請求項8記載の発明によれば、第1および第2スイッチング素子が電力変換回路の第1および第2入力端子間に直列接続されており、コイルは、その一方が直列接続された第1および第2スイッチング素子間の共通接続点に接続されると共に、その他方が電力変換回路の第1出力端子に接続されている。このようなバックコンバータに適用したとしても同様の作用効果が得られる。
【0024】
また、特に、請求項9記載の発明によれば、第1および第2スイッチング素子は、電力変換回路の第1および第2出力端子間に直列接続して構成されており、コイルは、電力変換回路の第1入力端子と第1および第2スイッチング素子の共通接続点に接続されている。このようなブーストコンバータに適用したとしても同様の作用効果が得られる。
【0025】
また、特に、請求項10記載の発明によれば、第1および第2スイッチング素子は、電力変換回路の第1入力端子と第1出力端子との間に直列接続されており、コイルは、共通接続された第2入力端子および第2出力端子と、直列接続された第1および第2スイッチング素子の共通接続点との間に接続されている。このような反転形バックブーストコンバータに適用したとしても同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態について示す要部の電気的構成図
【図2】システムの全体構成図
【図3】駆動制御回路の機能ブロック図
【図4】電流境界モードにおける出力電流が正の場合の電力変換回路の基本的動作説明図
【図5】電流境界モードにおける出力電流が負の場合の電力変換回路の基本的動作説明図
【図6】寄生キャパシタを考慮した基本動作説明図
【図7】本実施形態の特徴部分に係る出力電流が正の場合の詳細動作を示すタイミングチャート
【図8】本実施形態の特徴部分に係る電流経路の説明図
【図9】所定時間の導出フローチャート
【図10】出力電流が負の場合の詳細動作を示すタイミングチャート
【図11】(a)は逆回復電流の時間依存性を示すシミュレーション結果、(b)は逆回復電荷のデッドタイム依存性を示すシミュレーション結果
【図12】本発明の第2実施形態について示す要部の電気的構成図
【図13】(a)従来例を示すタイミングチャート、(b)図7相当図
【図14】本発明の第3実施形態について示す要部の電気的構成図
【図15】(a)従来例を示すタイミングチャート、(b)図7相当図
【図16】本発明の第4実施形態について示す要部の電気的構成図
【図17】(a)従来例を示すタイミングチャート、(b)図7相当図
【図18】本発明の第5実施形態について示す図7相当図(その1)
【図19】図7相当図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明の電力変換回路として非反転形バックブーストコンバータに適用した駆動制御装置の第1実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。図2は、制御システムAの全体構成を示しており、図1は、本実施形態の特徴部分の構成に注目して示した構成図である。図2において、電動機1はハイブリッド車の動力発生装置を示している。ここでは、電動機1は永久磁石同期モータ(PMSM)を示している。この電動機1を駆動制御するため、駆動制御装置2Aが、駆動制御回路2、3相コンバータ3を備える。
【0028】
3相コンバータ3はその入力にバッテリ4が接続されている。このバッテリ4はニッケル水素蓄電池、リチウム蓄電池などの2次電池による高圧バッテリである。3相コンバータ3は電動機1の各相ごとに非反転形バックブーストコンバータによる電力変換回路5u,5v,5wを備える。
【0029】
U,V,Wの各相の電力変換回路5u〜5wは互いに同一構成であるため、以下、U相の電力変換回路5uを代表して説明し、V相の電力変換回路5v,および,W相の電力変換回路5wは、その構成要素について、その符号を「u」からそれぞれ「v」「w」に変更したものを図2に付してその詳細説明を省略する。
【0030】
U相の電力変換回路5uはスイッチング回路6u,コイル7u,出力コンデンサ8uを備えたDC−DCコンバータにより構成されている。スイッチング回路6uは、電力変換回路5uの入力端子5a−5b間に直列接続された半導体スイッチング素子(以下、スイッチング素子)M1,M2を備え、さらに、電力変換回路5uの出力端子5c−5d間に直列接続された半導体スイッチング素子(以下、スイッチング素子)M3,M4を備える。これらのスイッチング素子M1〜M4は、それぞれNチャネル型のパワーMOSFETにより構成され、これらのスイッチング素子M1〜M4は例えば互いに同一の諸特性を備えている。なお、本実施形態においては、スイッチング素子M1〜M4は、それぞれ第1,第2,第3,第4スイッチング素子として構成されている。
【0031】
これらのスイッチング素子M1のソースとスイッチング素子M2のドレインとの共通接続点と、スイッチング素子M3のソースとスイッチング素子M4のドレインとの共通接続点との間には、コイル7uが接続されている。また、電力変換回路5uの出力端子5c−5d間にはコンデンサ8uが接続されている。
【0032】
各スイッチング素子M1〜M4にはそれらのドレイン−ソース間にそれぞれ寄生ダイオードD1〜D4が構成される。この寄生ダイオードD1〜D4はパワーMOSFETのボディダイオードとなり、等価回路として示すとドレイン−ソース間に逆並列接続した形態となる。本実施形態においては、寄生ダイオードD1,D2,D3,D4は、それぞれ、第1,第2,第3,第4ダイオードとなる。
【0033】
この制御システムAは、バッテリ4の電圧を検出する電圧センサ9を備える。また、制御システムAは、各相の状態を検出するため、各コンデンサ8u〜8wの電圧をそれぞれ検出する電圧センサ10u〜10w、各コイル7u〜7wに流れる電流をそれぞれ検出する電流センサ11u〜11wを備える。また、制御システムAは、電動機1の各相の電流を検出するため、電流センサ12u〜12wを備える。
【0034】
駆動制御回路2は電動機1を駆動制御する駆動制御装置(駆動制御手段)を構成している。この駆動制御回路2は前記した各センサ9,10u〜10wの電圧検出値(入力電圧Vin,出力電圧Vout)、各センサ11u〜11w,12u〜12wのそれぞれの電流検出値iLu,iLv,iLw,iMu,iMv,iMwに基づいて電動機1を駆動制御する。
【0035】
駆動制御回路2は、それぞれ矩形波状の駆動信号du1,du2,dv1,dv2,dw1,dw2を生成し、各相のスイッチング素子M1〜M4のゲートに印加することで、各スイッチング素子M1〜M4をオンオフ動作させチョッパ制御することでバッテリ4の電圧を所望の電圧に変換し、各相のコンデンサ8u〜8wを介して電力変換回路5u〜5wの出力端子5c−5d間からそれぞれ変換出力する。
【0036】
図3は、駆動制御回路内部の機能ブロックを概略的に示している。この図3に示すように、駆動制御回路2は、スイッチ選択パルス幅演算部21,共振初期電流演算部22,選択スイッチ保持部23,初期電流用所定時間演算部24,ゼロクロスタイミング推測部(ゼロクロスタイミング推測手段)25,およびゲート制御部26を備える。
【0037】
スイッチ選択パルス幅演算部21は、電圧センサ9により検出された入力電圧Vin,電圧センサ10(10u、10v、10w)により検出された出力電圧Vout,電流センサ12(12u、12v、12w)により検出された出力電流(iMu、iMv、iMw),および,外部の指令電圧に基いて、スイッチ選択パルス幅tonを演算しゲート制御部26に出力する。
【0038】
また、共振初期電流演算部22は、入力電圧Vinおよび出力電圧Voutに応じて初期電流を演算する。選択スイッチ保持部23はスイッチ選択パルス幅演算部21により選択されたスイッチの情報の履歴(前回、今回)を保持する。
【0039】
初期電流用所定時間演算部24は、電流センサ11によるコイル電流の検出値(iLu,iLv,iLw)、共振初期電流演算部22による初期電流演算結果、選択スイッチ保持部23が保持した選択スイッチの履歴、に応じて所定時間t1を演算してゲート制御部26に出力する。ここで演算される所定時間t1は、コイル電流iLu,iLv,iLwがゼロクロスするタイミング前の初期電流用スイッチング素子のターンオフタイミングを規定する時間であり詳しくは後述する。また、ゼロクロスタイミング推測部25はコイル電流iLu,iLv,iLwの検出値、コイル電流勾配(漸減度、漸増度)に基いてコイル電流iLu,iLv,iLwがゼロクロスするタイミングを推測する。
【0040】
ゲート制御部26は、ゼロクロスタイミング推測部25による推測結果,スイッチ選択パルス幅演算部21によるパルス幅の演算結果,選択スイッチ,所定時間t1に応じてスイッチング素子M1〜M4のゲート信号を作成し当該スイッチング素子M1〜M4の制御信号として与える。駆動制御回路2は、このような機能ブロック構成を備える。
【0041】
<基本的動作説明>
まず、本実施形態における動作説明に先立ち、電力変換回路の基本的動作について説明する。図4は、出力端子5c−5dの電圧を制御するためのチョッパ制御の説明を示しており、U相の出力電流を正とする場合について基本的な動作原理を示している。
【0042】
駆動制御回路2が駆動信号du1をオン制御電圧(オン制御信号),駆動信号du2をオフ制御電圧(オフ制御信号)として出力するとき、スイッチング素子M2,M3は共にオフした状態において、スイッチング素子M1,M4は共にオンする。すると、図4(a)に示すように、閉ループ回路がバッテリ4,スイッチング素子M1,コイル7u,スイッチング素子M4により構成され、電流がコイル7uの所定方向(正方向:図示の右方向を正方向とする)に流れる。
【0043】
この後、駆動制御回路2は駆動信号du1をオフ制御信号に変更する。すると、スイッチング素子M1,M4は共にオフする。図4(b)に示すように、スイッチング素子M1,M3がオフすると、閉ループ回路がコイル7u,寄生ダイオードD3,コンデンサ8u,寄生ダイオードD2に生じる。この場合、コイル7uの正方向通電電流によって電荷が出力端子5cに供給され、出力電流との差分がコンデンサ8uに蓄積される。これにより、出力電流よりもコイル7uから出力される電流の平均値が大きければ、コンデンサ8uが充電され出力端子5c−5d間の電圧が上昇する。以上が基本動作となる。
【0044】
図4(c)は、出力端子5cの出力電流が正の場合のコイル7uの通電電流iLuを模式的に示している。この図4(c)に示すように、スイッチング素子M1,M4がオンすると(「A」のタイミング),図4(a)に示す経路で電流が流れることでコイル7uの通電電流が漸増する。所定期間経過しスイッチング素子M1,M4がオフする(「B」のタイミング)と、図4(b)に示す経路で電流が流れることになりコイル7uの通電電流は当該コイルの自己誘導作用により漸減する。
【0045】
この後、コイル7uの蓄積エネルギー(LI^2/2)が0となるまで図4(b)に示す経路で電流が流れることになる。このようにしてコンデンサ8uの蓄積電荷を調整することで電力変換出力できる。以上は、出力端子5cの出力電流を正に制御する場合の電流境界モードの例を示している。
【0046】
出力端子5cの出力電流を負に制御する場合の電流境界モードの例を図5(a)〜図5(c)に示している。図5(a)〜図5(c)に示すように、駆動制御回路2は駆動信号du1をオフ制御電圧(オフ制御信号),駆動信号du2をオン制御電圧(オフ制御信号)として出力する。このとき、スイッチング素子M2,M4は共にオン、スイッチング素子M1、M3は共にオフする。この後、スイッチング素子M2,M4をオフすることでコイル7uの通電電流iLuが漸増する。この後、コイル7uの蓄積エネルギーが0となるまで図5(b)に示す経路で電流が流れることになる。このようにしてコンデンサ8uの蓄積電荷を調整することで電力変換出力できる。
【0047】
以下、出力端子5cの出力電流が正の場合について説明する。さて、スイッチング素子M1〜M4には半導体構造上では寄生容量となる寄生キャパシタC1〜C4がそれぞれ存在する。図6には、スイッチング素子の寄生キャパシタを考慮したU相の電力変換回路の等価回路と基本的な動作説明図を示している。この寄生キャパシタC1〜C4の寄生容量は各半導体スイッチング素子M1〜M4の諸特性が互いに同一であればほぼ同一値となる。
【0048】
この図6に示すように、寄生キャパシタC1〜C4を考慮する。図4(c)に示す「A」のタイミングにてスイッチング素子M1,M4を共にオンすると、閉ループ回路は、バッテリ4,スイッチング素子M1,コイル7u,スイッチング素子M4を通じた経路に生じる。このとき、寄生キャパシタC2は入力電圧Vinにより充電されると共に、寄生キャパシタC3はコンデンサ8uの充電電圧により充電される。次に、図4(c)に示す「B」のタイミングにてスイッチング素子M1,M4をオフすると、全てのスイッチング素子M1〜M4がオフ状態となる。
【0049】
すると、閉回路がコイル7u,寄生キャパシタC1,C2,C3,C4を通じて構成される。この際、コイル電流iLuにより、寄生キャパシタC1は充電、寄生キャパシタC2は放電し、寄生キャパシタC1の充電電圧が入力電圧Vin程度(入力電圧Vin+寄生ダイオードD2の順方向電圧)になった時点で寄生ダイオードD2がオンする。同様に、コイル電流iLuにより寄生キャパシタC3は放電、寄生キャパシタC4は充電し、寄生キャパシタC4の端子電圧がコンデンサ8uの充電電圧程度(詳細には、コンデンサ8uの充電電圧+寄生ダイオードD3の順方向電圧)まで上昇した時点で、ダイオードD3がオンする。このようにして、図6(b)に示すような閉ループ回路が形成され、コイル電流iLuは漸減状態に入る。
【0050】
コイル電流iLuが正方向から負方向にゼロクロスすると、図6(c)に示すように、コイル7u,寄生キャパシタC1,C2,C3,C4を通じた共振回路が形成される。この際、寄生キャパシタC4の充電電荷が寄生キャパシタC2に放電されるようになる。この後、図6(a)に示すように、スイッチング素子M1およびM4をオンすることになる。
【0051】
コイル7uおよび寄生キャパシタC1,C2の合成容量(C1の容量値+C2の容量値)と寄生キャパシタC3,C4の合成容量(C3の容量値+C4の容量値)を考慮し共振状態を構成することで、コイル7uに負方向電流が流れたときに寄生キャパシタC4の全充電電荷を寄生キャパシタC2側に放出できる。寄生キャパシタC2の充電電圧が低い場合には、寄生キャパシタC1の充電電荷を十分に放出させることができず、寄生キャパシタC1に電荷が蓄積されたままスイッチング素子M1をターンオンすることになりスイッチング損失が発生してしまう。
【0052】
図6(c)に示す電流経路が生じているとき、寄生キャパシタC2の電圧をバッテリ4の入力電圧Vin程度とすることで、スイッチング素子M1,M4のターンオン時における寄生キャパシタC1の充電電圧をほぼ0とするためには、原理的には少なくとも出力電圧Voutを入力電圧Vin以上とする必要がある。特に出力電圧Voutが入力電圧Vinより小さいときには、スイッチング素子M1について損失を発生させることなくターンオンすることは基本的に難しい。
【0053】
<本実施形態のU相の動作説明>
そこで本実施形態では、図7に示すタイミングによりスイッチング素子M1〜M4をオンオフすることで、寄生ダイオードD2およびD3の逆回復前の少数キャリアの蓄積量を制御し、その後、寄生ダイオードD2,D3の少数キャリアによる逆回復電流を流し、寄生キャパシタおよびコイル7uによる共振状態を構成して寄生キャパシタC2に充電しながら寄生キャパシタC1の充電電荷を放出し、スイッチング素子M1,M4のドレイン−ソース間電圧(寄生キャパシタC1の充電電圧)をほぼゼロボルトとしたタイミングにてスイッチング素子M1,M4をターンオンしている。またこのとき、コイル電流iLuが正方向最大電流値から自己誘導作用により漸減するときに、当該コイル電流iLuがゼロクロスするタイミングの所定時間前にはスイッチング素子M2,M3のオンオフ動作を完了するようにしている。
【0054】
PN接合ダイオードは順方向バイアスを印加するとPN接合部を超えてP型,N型の各領域に少数キャリアが注入され拡散、再結合する。この後、ダイオードに急激に逆バイアスを印加した場合には少数キャリアが再結合消滅していないため、PN接合の逆方向に短時間無視できない程度の電流が流れる。この効果は少数キャリア蓄積効果と称されているが、本実施形態では、この少数キャリア蓄積効果を積極的に利用し、コイル7uの電流iLuがゼロクロスした直後の負方向初期電流(共振開始時の共振初期電流)を制御する。
【0055】
図8(a)は、図7に示すタイミングにてスイッチング素子のオンオフ切換したときの電流経路を概略的に示している。
スイッチング素子M1〜M4を全てオフにした状態からスイッチング素子M1,M4のみをオンさせると、図8(a)に示すように、閉ループ回路がバッテリ4,スイッチング素子M1,コイル7u,スイッチング素子M4を通じて構成され、コイル7uの電流iLuが正方向最大値まで上昇する(図7の(0)範囲参照)。
【0056】
その後、駆動制御回路2がスイッチング素子M1,M4をターンオフすると、スイッチング素子M1,M4のドレイン−ソース間電圧が急峻に上昇する(図7の(1)以降参照)。スイッチング素子M1〜M4がターンオフしている間は、コイル7uの電流iLuが正方向に流れ続けるようになる。
【0057】
この場合、図8(b)に示すように、閉ループ回路が、寄生ダイオードD2の順方向,コイル7u,寄生ダイオードD3の順方向,コンデンサ8uを通じて構成され、寄生ダイオードD2,D3のP領域、N領域にそれぞれ少数キャリアが蓄積される。このとき、スイッチング素子M1,M4をターンオフした直後からコイル7uの自己誘導作用によりコイル7uの電流iLuは漸減する(図7の(1)以降参照)。
【0058】
その後、コイル7uの電流iLuが正方向となっている状態において、駆動制御回路2がスイッチング素子M2,M3をターンオンすると(図7の(2)時点)、図8(c)に示すように、MOSトランジスタM2のチャネルと寄生ダイオードD2とに並列の電流経路が形成されると共に、MOSトランジスタM3のチャネルと寄生ダイオードD3とに並列の電流経路が形成される。すると、寄生ダイオードD2,D3に対する少数キャリアの注入が抑制される。その結果、寄生ダイオードD2,D3内の蓄積キャリアすなわち逆回復電荷が減少する。
【0059】
その後、コイル電流iLuが正方向から負方向にゼロクロスするタイミングの所定時間t1前にスイッチング素子M2,M3をターンオフする(図7の(3)時点)。このターンオフタイミングは、寄生ダイオードD2,D3に蓄積する逆回復電荷ΔQに応じて設定されるものであり詳しくは後述する。
【0060】
図8(d)に示すように、スイッチング素子M1〜M4が全てターンオフすると、閉ループ回路が寄生ダイオードD2,コイル7u,寄生ダイオードD3,コンデンサ8uを通じて構成されるようになり、コイル電流iLuがゼロとなるまで寄生ダイオードD2およびD3に少数キャリアが蓄積される。
【0061】
この後、コイル電流iLuがゼロクロスし(図7の(4)時点)、当該コイル電流iLuが負方向に増加すると、寄生ダイオードD2,D3に蓄積された少数キャリア蓄積効果により寄生ダイオードD2,D3の逆方向に電流が流れる。この間、スイッチング素子M2,M3のドレイン−ソース間電圧は上昇しないため、スイッチング素子M1のドレイン−ソース間電圧は入力電圧Vinでほぼ一定となる。
【0062】
寄生ダイオードD2,D3が逆回復完了すると(図7の(5)時点とする)、当該ダイオードD2,D3はそのPN接合逆方向電流を遮断する。すると、コイル7uは寄生キャパシタC1およびC2の合成容量と、寄生キャパシタC3およびC4の合成容量の間で共振状態が構成され、出力側の寄生キャパシタC4の蓄積電荷が入力側の寄生容量C2に放出されるようになる。
【0063】
この場合、駆動制御回路2は、スイッチング素子M2およびM3のオフタイミングを調整することで、図7に示すt1期間((3)〜(4)期間)により寄生ダイオードD2,D3の少数キャリアの蓄積量を調整でき、よって少数キャリアの消滅に必要な時間を調整することができ、コイル7uおよび寄生キャパシタC1およびC2による共振状態を発生させるタイミングを制御できる。
【0064】
発明者らの実験によれば、図7のt1期間が長ければ、少数キャリアの蓄積量を増加させることができるため、逆回復期間(t2期間)を長くできることが確認されている。したがって、初期電流を増加すると共に長くするためには、所定時間t1の期間を長くすることで逆回復期間(t2期間)を長くすると良い。
【0065】
図7中の点線は比較例を示している。この点線の比較例に示すように、スイッチング素子M2およびM3のオンタイミングが(2)のタイミングで且つオフタイミングがゼロクロスタイミング直前に設定されると、初期電流が不足するため、スイッチング素子M1の寄生キャパシタC1の充電電荷が十分に放電されないことが確認されている。この場合、スイッチング素子M1のドレイン−ソース間電圧を0にできないままターンオンすることになると、ターンオン損失が発生する(図7中の点線の(6)タイミング参照)。このため、スイッチング素子M2、M3のオフタイミング(図7の(3)のタイミング)は、コイル電流iLuのゼロクロスタイミングの所定時間t1前に設定すると良い。
【0066】
スイッチング素子M2,M3を適切なタイミングにてターンオフすると、寄生キャパシタC4の蓄積電荷を寄生キャパシタC2に充電することで寄生キャパシタC1の蓄積電荷を放電してほぼ0とすることができ、スイッチング素子M1,M4をターンオンする際の寄生キャパシタC1の充電電荷の放電によるスイッチング損失を抑制できる。したがって、ゼロボルトスイッチング(ZVS)を実現することができる。
【0067】
図9は、初期電流用所定時間演算部が行うスイッチング素子M2,M3のオフタイミングの設定方法をフローチャートにより示している。図9に示すように、初期電流用所定時間演算部24は、出力電流を正としスイッチング素子M1,M4を選択してコイル7uに正方向に通電するときには(ステップS1:YES)、初期電流用スイッチをM2,M3とし(ステップS2)、逆に出力電流を負としスイッチング素子M2,M3を選択対象としてコイル7uに負方向に通電するときには(ステップS1:NO)、初期電流用スイッチをM1,M4とする(ステップS3)。初期電流用所定時間演算部24は、初期電流用スイッチをM2,M3としたときには、逆回復電荷ΔQの量(蓄積キャリア量に相当)を
ΔQ1 ← (Vin2 − Vout2)・C / 2Vout …(1)
と設定する(ステップS4)。ここで、Voutは出力電圧、Vinは入力電圧、Cは入力寄生キャパシタの合成容量値(=出力寄生キャパシタの合成容量値)を示している。
【0068】
この場合、初期電流用所定時間演算部24は、逆回復電荷ΔQが0よりも小さい場合にはΔQを0と設定し(ステップS5およびS6)、逆回復電荷ΔQに予め対応付けられた所定時間t1をゲート制御部26に出力する(ステップS7)。この場合、ゲート制御部26は、ゼロクロスタイミング推測部25により推測されたコイル電流iLuの推測ゼロクロスタイミングから所定時間t1だけ前のタイミングでスイッチング素子M2,M3をターンオフする。その後、ゲート制御部26は、コイル電流iLuが正方向から負方向にゼロクロスした後、コイル電流iLuが再び負方向から正方向にゼロクロスしたタイミングでスイッチング素子M1,M4をターンオンする。
【0069】
前述説明では、出力電流を正とする場合を示しているが、出力電流が負の場合については、スイッチング素子M1,M4のオンオフタイミングについて、スイッチング素子M2,M3のオンオフタイミングと入れ替えて制御すれば良い。
【0070】
なお、図10は、出力電流を負とした場合について、図7に対応したタイミングチャートを概略的に示している。この場合、スイッチング素子M2およびM3をオンオフした後、コイル電流iLuが負の最大値から漸減してゼロクロスするタイミングまでの間にスイッチング素子M1およびM4をオンオフすることで少数キャリアの蓄積量を制御するが、コイル電流iLuがゼロクロスするタイミングの所定時間t1前にターンオフすることで、少数キャリアの蓄積量を適切な値に調整でき、スイッチング素子M2を適切なタイミングにてターンオンすることができる。
【0071】
この場合、図9における初期電流用所定時間演算部が行う演算処理については、初期電流用所定時間演算部24は、ステップS3において初期電流用スイッチをM1,M4としたときに、逆回復電荷ΔQの量を
ΔQ2 ← (Vout2 − Vin2)・C / 2Vin …(2)
と設定する(ステップS8)。
【0072】
初期電流用所定時間演算部24は、逆回復電荷ΔQが0よりも小さい場合にはΔQを0と設定し(ステップS9およびS10)、ステップS7において逆回復電荷ΔQに予め対応付けられた所定時間t1をゲート制御部26に出力する。この場合、ゲート制御部26は、ゼロクロスタイミング推測部25により推測されたコイル電流iLuのゼロクロス推測タイミングから所定時間t1だけ前の時点でスイッチング素子M1,M4をターンオフする。その後、コイル電流iLuが負方向から正方向にゼロクロスした後、コイル電流iLuが再び正方向から負方向にゼロクロスしたタイミングでスイッチング素子M2,M3をターンオンする。
【0073】
前述の(1)式、(2)式は、入力側の寄生キャパシタC1およびC2の合成容量による蓄電エネルギー(CV2/2)と、出力側の寄生キャパシタC3およびC4の合成容量による蓄電エネルギー(CV2/2)との差分が、コイル7uの通電電流iLuの逆回復電流のエネルギー(LI2/2)と等しくなることを考慮すると共に、寄生ダイオードD2の逆回復電流通電期間におけるコイル電流iLuの積分値を逆回復電荷ΔQであると仮定すると導出できる。
【0074】
図11(a)は、逆回復電流の所定時間t1の依存性の実験結果を示している。この図11(a)には、「小」、「中」、「大」の3通りの逆回復電流特性を示している。ここでいうデッドタイムはハーフブリッジ回路での実験条件において上下アームのスイッチング素子を同時オフとするように制御する時間であり、本発明でいう所定時間t1に依存した時間を示している。この図10(a)におけるデッドタイムが大きければ逆回復電流Iの最大値が増加する傾向にあることがわかる。これは、寄生容量の少数キャリア蓄積効果により少数キャリアの蓄積量が大きければ逆回復電流Iが大きくなることを示している。
【0075】
また、図11(b)は、逆回復電荷のデッドタイム依存性の実験結果を示している。この図11(b)に示すように、デッドタイムが「小」から「大」となる範囲では、デッドタイムが大きくなれば逆回復電荷ΔQが増すことが確認されている。しかも、デッドタイムが「小」から「大」となる範囲では、逆回復電荷ΔQも線形的に増加(一次近似可能)であるという特性が得られている。
【0076】
したがって、スイッチング素子M1〜M4の諸特性を予め測定したりシミュレーション結果を算出し、当該結果に応じて逆回復電荷ΔQおよび所定時間t1の関係を導出し、逆回復電荷ΔQに応じて所定時間t1を一意に対応付けて駆動制御回路2の内部メモリのテーブルに記憶させたり、逆回復電荷ΔQから所定時間t1を算出可能な一次近似式を記憶させたりすると良い。すると、駆動制御回路2は、ステップS7において逆回復電荷ΔQに応じた所定時間t1を算出できる。逆回復電荷ΔQは電流依存性もあるため、電流依存性を考慮した近似式を用いれば、さらに精度よく所定時間t1を算出できる。電流依存性が線形の場合は、2次の近似式となる。
【0077】
図7の(6)のタイミングに示すように、ゲート制御部26が適切なタイミングでゲート信号をスイッチング素子M1にオン制御信号(オン制御電圧)を印加することで、スイッチング素子M1のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトとした状態にてスイッチング素子M1をターンオンできる。このような動作はV相、W相においても同様である。
【0078】
要するに、本実施形態によれば、次のような特徴的な動作を示す。駆動制御回路2がスイッチング素子M2,M3をオフした状態のままスイッチング素子M1,M4をオンするとコイル電流iLuを正方向に通電する。その後、スイッチング素子M1,M4をオフすることでコイル電流iLuが当該コイル7uの自己誘導作用により正方向最大値からゼロに漸減し、当該コイル7uの通電電流iLuがゼロクロスする所定時間t1前にスイッチング素子M2,M3についてオンオフ動作を完了することで、コイル電流iLuのゼロクロスタイミングまでにスイッチング素子M2,M3の寄生ダイオードD2,D3の蓄積キャリアの量を制御している。すると、コイル7uの通電電流iLuが逆方向に反転したときに、寄生ダイオードD2,D3の蓄積少数キャリアを消滅させる際の逆回復時間t2を調整できる。
【0079】
そして、この逆回復電流Iをスイッチング素子M2のドレイン−ソース間に流れる初期電流とすることでコイル7uの電流iLuを逆方向に初期通電して適切に(例えば強く多く)引くことができるため、寄生キャパシタC1,C2,C3,C4並びにコイル7uによって適切な共振状態を形成することができる。
【0080】
したがって、コイル電流iLu(出力電流)が正の場合で、出力電圧Voutが入力電圧Vinより小さい場合であっても、逆回復電流Iを積極的に利用することで寄生キャパシタC1,C2,C3,C4並びにコイル7uにより適切な共振状態を形成することができ、これにより、ゼロボルトスイッチング(ZVS)を実現できる。同様に、コイル電流iLu(出力電流)が負の場合で、出力電圧Voutが入力電圧Vinより大きい場合であっても、逆回復電流を積極的に利用して共振状態を構成することができ、これにより、ゼロボルトスイッチングを実現できる。
【0081】
なお、特許文献2記載の技術思想では、本実施形態の出力電流が正となる場合に対応付けて説明すると、コイル電流iLuがゼロクロスしコイル電流iLuが負となったタイミング後にスイッチング素子M2、M3をターンオフしている。この場合、スイッチング素子M2,M3にコイル電流iLuが流れている状態になる。このため、スイッチング素子M2,M3のターンオフ時はハードスイッチングとなり、スイッチング素子M2,M3のターンオフ損失が発生する。
【0082】
本実施形態では、コイル電流iLuがゼロクロスするタイミングの所定時間t1前にスイッチング素子M2,M3をターンオフしているため、スイッチング素子M2のドレイン−ソース間電圧は寄生ダイオードD2の順方向電圧値でほぼ安定した状態でターンオフできる。したがって、このようなターンオフ損失が発生することもなくなる。
【0083】
特に、駆動制御回路2は、ゼロクロスタイミング推測部25がコイル電流iLuのゼロスタイミングを推測し、推測ゼロクロスタイミングから逆回復電荷ΔQに一意に対応付けられた所定時間t1前のタイミングにおいてスイッチング素子M2,M3をオフするため、所定時間t1を制御することで寄生ダイオードD2,D3の蓄積キャリア量を制御することができ、適切なタイミングでスイッチング素子M1、M4をターンオンすることができる。
【0084】
また、駆動制御回路2は、逆回復電荷ΔQに一次近似して算出された所定時間t1前にスイッチング素子M2,M3をオフすることでも適切なタイミングでスイッチング素子M1,M4をターンオンすることができる。
【0085】
(第2実施形態)
図12および図13は、本発明の第2実施形態を示すもので、前述実施形態と異なるところは電力変換回路をバックコンバータに適用したところにある。
以下、U相,V相,W相について同様であるため、U相の電力変換回路に適用した例のみを示す。図12には電力変換回路5uに代わる電力変換回路15uの電気的構成を示している。この電力変換回路15uはバックコンバータの回路構成によるものである。
【0086】
図12に示すように、電力変換回路15uは、上アーム側のスイッチング素子M1および下アーム側のスイッチング素子M2を入力端子15aおよび15b間に直列接続すると共に、当該スイッチング素子M1およびM2の共通接続点をコイル7uの一端に接続して構成されている。なお、本実施形態においては、スイッチング素子M1,M2は、それぞれ第1、第2スイッチング素子として構成されている。コイル7uの他端はコンデンサ8uの一端に接続されると共に出力端子15cに接続されている。このバックコンバータによる電力変換回路15uは、半導体集積回路装置内に構成される。
【0087】
このようなバックコンバータの回路形態でもほぼ同様に、特にコイル7uに流れる電流iLu(出力電流)が正の場合で、且つ出力電圧Voutが入力電圧Vinの1/2よりも小さいときには、図13(a)の比較例に示すように、例えばコイル電流iLuがゼロクロスするタイミングにてスイッチング素子M2、M3をターンオフすると、蓄積電荷をスイッチング素子M2の寄生キャパシタに十分に充電できなくなり、スイッチング素子M1のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトにできないままスイッチング素子M1をターンオンする虞がある。
【0088】
そこで、本実施形態では逆回復電荷ΔQ3を、
ΔQ3=((Vin−Vout)2−Vin2)・C/2Vout …(3)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ3に応じた所定時間t1を設定すると良い。すると、本実施形態の動作として図13(b)に示すように、逆回復電荷ΔQが寄生キャパシタに注入されることで、コイルiLuの初期電流の負方向電流勾配、負電流最大値を増大して制御でき、これに応じてスイッチング素子M1の寄生キャパシタC1から放電させることができスイッチング素子M1のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトにできる。これにより、ゼロボルトスイッチングを実現できる。
【0089】
同様に、コイル電流iLu(出力電流)が負の場合で、且つ、出力電圧Voutが入力電圧Vinの1/2より大きいときには、スイッチング素子M2のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトにできないままスイッチング素子M2をターンオンする虞があるため、逆回復電荷ΔQ4を、
ΔQ4=(Vout2−(Vin−Vout)2)・C/2(Vin−Vout)
…(4)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ4に応じた所定時間t1を設定すると良い。すると、スイッチング素子M2のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトとした状態でスイッチング素子M2をターンオンできる。本実施形態によれば、電力変換回路15uをバックコンバータにより構成した場合であっても前述実施形態とほぼ同様に適用できる。
【0090】
(第3実施形態)
図14および図15は、本発明の第3実施形態を示すもので、前述実施形態と異なるところは電力変換回路をブーストコンバータに適用したところにある。
以下、U相、V相、W相について同様であるため、U相の電力変換回路に適用した例のみを示す。図14には電力変換回路5uに代わる電力変換回路25uの電気的構成を示している。この電力変換回路25uはブーストコンバータによるもので、電力変換回路25uは半導体集積回路装置内に構成される。
【0091】
電力変換回路25uは、上アーム側のスイッチング素子M3および下アーム側のスイッチング素子M4を出力端子25cおよび25d間に直列接続すると共に、当該スイッチング素子M3およびM4の共通接続点をコイル7uの一端に接続して構成されている。コイル7uの他端は入力端子25aに接続されている。なお、本実施形態においては、スイッチング素子M3〜M4は、それぞれ第1、第2スイッチング素子として構成されている。
【0092】
このような場合には、コイル電流iLu(出力電流)が正の場合で、出力電圧Voutが入力電圧Vinの2倍より小さいときには、図15(a)に示すように、スイッチング素子M4をゼロボルトスイッチングできない虞があるため、本実施形態では逆回復電荷ΔQ5を、
ΔQ5=(Vin2−(Vout−Vin)2)・C/2(Vout−Vin)
…(5)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ5に応じた所定時間t1を設定すると良い。すると、本実施形態の動作として図15(b)に示すように、スイッチング素子M4をゼロボルトスイッチングできる。
【0093】
同様に、コイル電流iLu(出力電流)が負の場合で、且つ、出力電圧Voutが入力電圧Vinの2倍より大きいときには、スイッチング素子M3のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトにできないままスイッチング素子M3をターンオンしてしまう虞があるため、逆回復電荷ΔQ6を、
ΔQ6=((Vout−Vin)2−Vin2)・C/2Vin …(6)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ6に応じた所定時間t1を設定すると良い。すると、スイッチング素子M3のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトとした状態でスイッチング素子M3をターンオンできる。本実施形態によれば、電力変換回路25uをブーストコンバータにより構成した場合であっても前述実施形態とほぼ同様に適用できる。
【0094】
(第4実施形態)
図16および図17は、本発明の第4実施形態を示すもので、前述実施形態と異なるところは電力変換回路を反転形バックブーストコンバータに適用したところにある。
以下、U相、V相、W相について同様であるため、U相の電力変換回路に適用した例のみを示す。図16には電力変換回路5uに代わる電力変換回路35uの電気的構成を示している。この電力変換回路35uは反転形バックブーストコンバータによる。
【0095】
電力変換回路35uは、入力側のスイッチング素子M5および出力側のスイッチング素子M6を入力端子35aおよび出力端子35c間に直列接続すると共に、当該スイッチング素子M5およびM6の共通接続点をコイル7uの一端に接続して構成されている。これらのスイッチング素子M5およびM6はそれぞれNチャネル型のパワーMOSFETにより構成されている。コイル7uの他端は入力端子35bおよび出力端子35dの共通接続点に接続されている。なお、本実施形態においては、スイッチング素子M5〜M6は、それぞれ第1、第2スイッチング素子として構成されている。
【0096】
このような場合には、コイル電流iLu(出力電流)が正の場合で、出力電圧Voutの絶対値が入力電圧Vinより小さいときには、図17(a)に示すように、スイッチング素子M5をゼロボルトスイッチングできなくなる。
【0097】
そこで、本実施形態では逆回復電荷ΔQ7を、
ΔQ7=(Vin2−Vout2)・C/2|Vout| …(7)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ7に応じた所定時間t1を設定すると良い。本実施形態の動作として図17(b)に示すように、スイッチング素子M5をゼロボルトスイッチングできる。
【0098】
同様に、コイル電流iLu(出力電流)が負の場合で、且つ、出力電圧Voutが入力電圧Vinより大きいときには、スイッチング素子M6のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトにできないままスイッチング素子M6をターンオンする虞があるため、逆回復電荷ΔQ8を、
ΔQ8=(Vout2−Vin2)・C/2Vin …(8)
と設定し、当該逆回復電荷ΔQ8に応じた所定時間t1を設定すると良い。すると、スイッチング素子M6のドレイン−ソース間電圧をほぼゼロボルトとした状態でスイッチング素子M6をターンオンできる。本実施形態によれば、電力変換回路35uをブーストコンバータにより構成した場合であっても前述実施形態とほぼ同様に適用できる。
【0099】
(第5実施形態)
図18および図19は、本発明の第5実施形態を示すもので、前述実施形態と異なるところは、初期電流調整用のスイッチング素子のオンオフタイミングのバリエーションを変更しているところにある。前述実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
図18および図19は、それぞれ出力電流が正の場合について図7に対応したタイミングチャートを示している。図18および図19に示すように、初期電流調整用のスイッチング素子M2、M3のオンオフタイミングを調整するときには、図18に示すように、オンタイミングを固定してオン通電期間をtbからtaに変化させてオフタイミングを変更して調整しても良い。また、図19に示すように、オンオフタイミングのオン通電期間をtc=tdで一定としてオンオフタイミングのそれぞれを変更して調整しても良い。このような実施形態によれば、前述実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、実用的に各スイッチング素子の寄生容量に対する少数キャリアの蓄積量を制御できる。
【0101】
(他の実施形態)
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形または拡張が可能である。
電動機1は、3相電動機に限らず、例えば、単相電動機や5相電動機を適用しても良い。この場合、各相毎にDC−DCコンバータによる電力変換回路を設けた形態に適用できる。前述実施形態では3相毎に1つずつ電力変換回路5u,5v,5wを設けた実施形態を示したが、電力変換回路の数は限られない。また、電動機に限らず、発電機に適用しても良い。電動機1をハイブリッド車の動力発生装置として適用したが、例えば、電気自動車の回転機の動力を発生するための装置として適用しても良い。
【0102】
前述実施形態では、スイッチング素子M2の寄生ダイオードD2に蓄積する逆回復電荷ΔQを考慮した(1)〜(8)式を適用し、コイル電流iLuがゼロクロスする所定時間t1前にスイッチング素子M2、M3を共にターンオフする実施形態を示したが、このタイミングは実用的範囲でマージンを設定すると良い。また、前述実施形態ではコイル7uがゼロクロスする所定時間t1前にターンオフする実施形態を示したが、寄生容量の少数キャリア蓄積量をコイル7uの電流iLuがゼロクロスするまでに適切に制御できれば、コイル電流iLuがゼロクロスする直前のタイミングにてオンオフして少数キャリアの蓄積量を制御しても良い。
【0103】
前述実施形態では、例えば第1実施形態においては、ゼロクロスタイミング推測部25が推測した推測ゼロクロスタイミングよりも所定時間t1前に初期電流用スイッチとなるスイッチング素子M2,M3をオフすることで蓄積キャリアの量を制御する実施形態を示した。駆動制御回路2が、所定時間t1を演算できれば、初期電流用スイッチとなるスイッチング素子M2、M3をオフした時点から選択対象スイッチとなるスイッチング素子M1,M4をターンオンする時点までの時間(すなわちデッドタイム)を算出できる。
【0104】
このため、駆動制御回路2が、スイッチング素子M2、M3をオフしてからスイッチング素子M1、M4をターンオンするまでのデッドタイムを算出し、スイッチング素子M2、M3のオフタイミングから蓄積キャリア量に一意に対応付けられたデッドタイムだけ経過したタイミングにおいてスイッチング素子M1、M4をターンオンするような回路ブロック構成としても良い。第2実施形態以降の実施形態でも同様である。スイッチング素子は、パワーMOSFETに限られずRC−IGBTを適用しても良い。
【符号の説明】
【0105】
図面中、Aは制御システム、1は電動機、2Aは駆動制御装置、2は駆動制御回路(駆動制御手段)、3は3相コンバータ、4はバッテリ、5u〜5wは電力変換回路、6u〜6wはスイッチング回路、7u〜7wはコイル、8u〜8wはコンデンサ、10u〜10wは電圧センサ、11u〜11wは電流センサ、12u〜12wは電流センサ、15u、25u、35uは電力変換回路、24はゼロクロスタイミング推測部(ゼロクロスタイミング推測手段)、M1〜M4はスイッチング素子、D1〜D6は寄生ダイオードを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダイオードが逆並列接続された第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に直列接続されると共に第2ダイオードが逆並列接続された第2スイッチング素子とを備え寄生キャパシタが構成されてなるスイッチング回路と、コイルと、を備えた電力変換回路についての駆動制御手段を備えた駆動制御装置であって、
前記駆動制御手段は、
前記第2スイッチング素子をオフ状態のまま前記第1スイッチング素子をオンすることで前記コイルに電流を所定方向に通電し、
前記コイルの通電電流を所定方向に通電した状態において前記第1スイッチング素子をオフし、
前記コイルの通電電流が所定方向最大値からゼロに近づき前記コイルの通電電流がゼロクロスするタイミングまでの間に前記第1スイッチング素子をオフとしたまま前記第2スイッチング素子をオンオフすることで前記第2ダイオードに通電して当該第2ダイオードの蓄積キャリアの量を制御し、
前記コイルの通電電流が所定方向とは逆方向に反転すると前記第2ダイオードに逆回復電流が流れることで前記蓄積キャリアを消滅させ、前記寄生キャパシタおよび前記コイルにより共振状態を構成して前記第1スイッチング素子の両端電圧をほぼゼロボルトとした状態で当該第1スイッチング素子をターンオンすることを特徴とする電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、
前記第1スイッチング素子をオフとしたまま前記第2スイッチング素子をオンすることで前記第2ダイオードに蓄積されたキャリアを消滅させ、前記コイルの通電電流が所定方向最大値からゼロに近づきゼロクロスするタイミングの所定時間前に前記第2スイッチング素子をオフし、
前記第1および第2スイッチング素子を共にオフに保持することで前記コイルの通電電流がゼロクロスするタイミングまでの間に前記第2ダイオードに通電することで当該第2ダイオードにキャリアを蓄積し当該蓄積キャリアの量を制御することを特徴とする請求項1記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、
前記コイルの通電電流がゼロクロスするタイミングを推測するゼロクロスタイミング推測手段を備え、
前記コイルの通電電流がゼロクロスするタイミングの所定時間前に前記第2スイッチング素子をオフするときには、
前記ゼロクロスタイミング推測手段による推測ゼロクロスタイミングから前記第2ダイオードの蓄積キャリア量に一意に対応付けられた前記所定時間前に前記第2スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項2記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、
前記ゼロクロスタイミング推測手段による推測ゼロクロスタイミングから前記第2ダイオードの蓄積キャリア量に一次近似して算出された前記所定時間前に前記第2スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項3記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記第2スイッチング素子のオフタイミングから蓄積キャリア量に一意に対応付けられたデッドタイムだけ経過したタイミングにおいて前記第1スイッチング素子をターンオンすることを特徴とする請求項1または2記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、前記第2ダイオードの蓄積キャリア量に一次近似して算出されたデッドタイムを経過したタイミングにおいて前記第1スイッチング素子をターンオンすることを特徴とする請求項5記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項7】
前記電力変換回路は、
第1および第2入力端子間に直流電力が与えられると第1および第2出力端子に電力を変換出力する回路であって、
前記電力変換回路の第1および第2入力端子間に前記直列接続された第1および第2スイッチング素子を備えると共に、
前記第2スイッチング素子と同時にオンオフする第3スイッチング素子であって第3ダイオードが逆並列接続された第3スイッチング素子と、
前記第3スイッチング素子に直列接続されると共に前記第1スイッチング素子と同時にオンオフする第4スイッチング素子であって第4ダイオードが逆並列接続された第4スイッチング素子と、を備え、
前記直列接続された第3および第4スイッチング素子は前記第1および第2出力端子間に接続され、
前記コイルは、前記直列接続された第1および第2スイッチング素子間の共通接続点と、前記直列接続された第3および第4スイッチング素子間の共通接続点との間に接続された非反転形バックブーストコンバータに適用したことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項8】
前記電力変換回路は、
第1および第2入力端子間に直流電力が与えられると第1および第2出力端子間から電力を変換出力する回路であって、
前記電力変換回路の第1および第2入力端子間に前記直列接続された第1および第2スイッチング素子を備え、
前記コイルは、その一方が前記直列接続された第1および第2スイッチング素子間の共通接続点に接続されると共に、その他方が前記電力変換回路の第1出力端子に接続されたバックコンバータに適用したことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項9】
前記電力変換回路は、
第1および第2入力端子間に直流電力が与えられると第1および第2出力端子に電力を変換出力する回路であって、
前記直列接続された第1および第2スイッチング素子を前記電力変換回路の第1および第2出力端子間に接続して構成され、
前記コイルは、前記電力変換回路の第1入力端子と前記第1および第2スイッチング素子の共通接続点に接続して構成されたブーストコンバータに適用したことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電力変換回路の駆動制御装置。
【請求項10】
前記電力変換回路は、
第1および第2入力端子間に直流電力が与えられると第1および第2出力端子に電力を変換出力する回路であって、
前記電力変換回路の第1入力端子と第1出力端子との間に前記直列接続された第1および第2スイッチング素子を備え、
前記コイルは、共通接続された前記電力変換回路の第2入力端子および第2出力端子と、前記直列接続された第1および第2スイッチング素子の共通接続点と、の間に接続された反転形バックブーストコンバータに適用したことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電力変換回路の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−110121(P2012−110121A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256807(P2010−256807)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】