説明

電力変換装置

【課題】IGBTやFETなどの半導体スイッチング素子のゲートドライブ回路に駆動用電力を供給する電源装置の部品点数を減少させて基板サイズを小さくした電力変換装置を提供する。
【解決手段】複数の半導体スイッチング素子6、7と、これらの半導体スイッチング素子6,7をそれぞれ駆動する複数のゲートドライブ回路8、9と、これらのゲートドライブ回路8、9にそれぞれ駆動用電力を供給する電源装置10とを備えたパワーコンデショナ1において、電源装置10を高周波交流電源で構成すると共に、ゲートドライブ回路8、9の入力側に、電源装置10から出力される高周波交流を直流に変換するパルストランス13、14を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関し、特に分散電源を系統に連系するパワーコンディショナ等に用いる電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーコンディショナは、例えばソーラパワーコンディショナに示されるように、太陽電池である分散電源で発電された直流電力を昇圧し、PWM制御のインバータを用いて電力会社による単相3線式または三相3線式などの商用系統の周波数及び電圧に応じた交流電力に変換してその商用系統に電力を出力する。即ち、パワーコンディショナは、昇圧部とインバータ部を備え、昇圧部は太陽電池の電圧を系統へ連系するのに必要となる電圧まで昇圧し、インバータ部は4つのスイッチング素子で構成されて、系統電圧に同期した位相の出力電流となるようにPWMスイッチングを行い、系統へ交流電力を出力する。
【0003】
ところで、パワーコンディショナの昇圧部やインバータ部には、一般に、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やFET(Field effect transistor)などの半導体スイッチング素子が複数用いられており、このIGBTやFETなどの半導体スイッチング素子を複数用いる場合、半導体スイッチング素子およびそのゲートドライブ回路はそれぞれ絶縁されている必要がある。
【0004】
例えば、特開2009−284562号公報(特許文献1)には、直流電圧を高速でスイッチングする複数の半導体スイッチング素子と、これらの半導体スイッチング素子をそれぞれ駆動する複数のゲートドライブ回路と、これらのゲートドライブ回路に整流回路を介してそれぞれ駆動用電力を供給するゲート用電源とで構成された高周波交流電源装置が開示されている。
【0005】
そして、ゲート用電源には、閉じた磁路を形成する複数のトランスコアと、これらのトランスコアを貫通する共通の1次巻線と、この1次巻線と空間距離を設けて前記トランスコアに巻回され、前記各ゲートドライブ回路にそれぞれ接続された複数の2次巻線と、直流電圧をスイッチングし、共通の1次巻線に交流電圧を供給するトランスドライブ回路が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−284562号公報(要約の欄、図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パワーコンディショナにより高度な制御を実現するためには、昇圧部やインバータ部のIGBTやFETなどの半導体スイッチング素子を多くする必要があるが、半導体スイッチング素子を増やした場合、前述のように、半導体スイッチング素子およびそのゲートドライブ回路はそれぞれが絶縁されている必要がある。前記特許文献1に開示された電源装置では、トランスコアに巻回された2次巻線の出力を、整流回路を介して直流とし、ゲートドライブ回路に直流駆動用電力として供給しているため、ゲートドライブ回路に駆動用電力を供給する電源装置の部品点数が増え、基板サイズが大きくなり、また電源装置から半導体スイッチング素子への総配線長が長くなる課題がある。
【0008】
この発明の目的は、IGBTやFETなどの半導体スイッチング素子のゲートドライブ
回路に駆動用電力を供給する電源装置の部品点数を減少させて基板サイズを小さくした電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電力変換装置は、直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であって、複数の半導体スイッチング素子と、これらの半導体スイッチング素子をそれぞれ駆動する複数のゲートドライブ回路と、これらのゲートドライブ回路にそれぞれ駆動用電力を供給する電源装置とを備えた電力変換装置において、前記電源装置を高周波交流電源で構成すると共に、前記ゲートドライブ回路の入力側に、前記電源装置から出力される高周波交流を直流に変換するパルストランスを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、IGBTやFETなどの半導体スイッチング素子のゲートドライブ回路の電源を高周波交流電源装置としたので、その出力端をそれぞれ絶縁する必要がなくなって電源装置の部品点数が減り、基板サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電力変換装置を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る電力変換装置について好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものではなく、諸種の設計的変更を含むものである。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電力変換装置を説明するブロック図である。図1に示すように、電力変換装置(以下、パワーコンディショナと称する。)1は、昇圧部2とインバータ部3を備え、太陽電池である分散電源4で発電された直流電力を昇圧部2で昇圧し、インバータ部3を用いてPWM制御し、電力会社による単相3線式または三相3線式などの商用系統の周波数及び電圧に応じた交流電力に変換している。そして、商用系統電源5に電力を出力している。
【0014】
昇圧部2とインバータ部3は、それぞれ4つのIGBTあるいはFETなどの半導体スイッチング素子6、7から構成されており、インバータ部3は上述のように、系統電圧に同期した位相の出力電流となるようにPWMスイッチングを行い、系統へ交流電力を出力するように構成されている。また、昇圧部2とインバータ部3の半導体スイッチング素子6、7は、それぞれ互いに絶縁されたゲートドライブ回路8、9により駆動される。
【0015】
ゲートドライブ回路8、9に駆動用電力を供給する電源装置10は、太陽電池である分散電源4で発電された直流電力を入力する電源入力部11と高周波交流を出力する電源交流出力部12を備えている。また、ゲートドライブ回路8、9の入力側には、電源装置10の電源交流出力部12から出力される高周波の交流を直流に変換するパルストランス13、14が備えられている。なお、電源交流出力部12から昇圧部2のゲートドライブ回路8への配線15は、パルストランス13の相互間をチェーン状に接続しており、電源交流出力部12からインバータ部3のゲートドライブ回路9への配線16も同様に構成されている。
【0016】
以上説明したように、実施の形態1に係るパワーコンディショナ1は、昇圧部2あるいはインバータ部3の半導体スイッチング素子6、7を駆動するゲートドライブ回路8、9に駆動用電力を供給する電源装置10が、高周波交流の電源装置で構成されているので、
その電源交流出力部12でそれぞれ絶縁する必要がなくなる。従って、部品点数の削減が可能となり、基板サイズが小さくなる。
【0017】
また、電源装置10からゲートドライブ回路8、9への配線15、16をチェーン状に接続し、パワーコンディショナ1に使用するIGBTあるいはFETなどの半導体スイッチング素子6、7への電力供給を、同一の信号で行うことができるため、配線数を低減して総配線長を短くできる効果がある。
【符号の説明】
【0018】
1 パワーコンディショナ
2 昇圧部
3 インバータ部
4 分散電源(太陽電池)
5 商用系統電源
6、7 半導体スイッチング素子
8、9 ゲートドライブ回路
10 電源装置
11 電源入力部
12 電源交流出力部
13、14 パルストランス
15、16 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であって、複数の半導体スイッチング素子と、これらの半導体スイッチング素子をそれぞれ駆動する複数のゲートドライブ回路と、これらのゲートドライブ回路にそれぞれ駆動用電力を供給する電源装置とを備えた電力変換装置において、
前記電源装置を高周波交流電源で構成すると共に、前記ゲートドライブ回路の入力側に、前記電源装置から出力される高周波交流を直流に変換するパルストランスを備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電源装置から前記ゲートドライブ回路への配線をチェーン状に接続したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−175881(P2012−175881A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38274(P2011−38274)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】