説明

電力変換装置

【課題】部品点数及び取り付け作業工数の増大を抑制しつつ、耐振強度を向上できるようにする。
【解決手段】電力変換装置1は、設置状態において前方となる側に開口部20を有し、前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に外側上面壁部21、外側下面壁部22、外側左面壁部23、外側右面壁部24、外側後面壁部25を備えた略箱状の筐体2と、筐体2の内部空間における開口部20近傍に設けられ、外側左面壁部23と外側右面壁部24とに架け渡された第1補強部材31及び外側上面壁部21と外側下面壁部22とに架け渡された第2補強部材32を備えた略十字型形状の補強部材3とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置の筐体に関し、ループ形状に連続一体構造とした補強部材(筐体補強金具)が筐体内面に固定されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−59184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電力変換装置の設置条件は多様化しており、その筐体には、複合的な振動条件に耐えうる耐振強度が要求されている。上記従来技術では、補強部材が内枠、筐体自身が外枠の二重構造となり、筐体の剛性は向上するが、開口部が大きく開いた状態となっているため、縦長の筐体の特に左右方向において耐振強度が十分であるとは言えなかった。
【0005】
そこで、筐体の内面に左右方向に延びる補強部材を設けることが考えられる。この場合、左右方向の補強部材1点のみでは、上述した複合的な振動条件に耐えうるとは限らないため、複数の補強部材を設けることが必要となる。その結果、部品点数及び取り付け作業工数の増大を招く結果となっていた。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、部品点数及び取り付け作業工数の増大を抑制しつつ、耐振強度を向上できる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、設置状態において前方となる側に開口部を有し、前記前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に上面、下面、左面、右面及び後面を備えた略箱状の筐体と、前記筐体の内部空間における前記開口部近傍に設けられ、前記左面と前記右面とに架け渡された第1補強部材及び前記上面と前記下面とに架け渡された第2補強部材を備えた略十字型形状の補強部材と、を有する電力変換装置が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数及び取り付け作業工数の増大を抑制しつつ、耐振強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態の電力変換装置の部分透過斜視図である。
【図2】電力変換装置の分解斜視図である。
【図3】電力変換装置を前方から見た平面図である。
【図4】筐体の内部に2つのダクトを設ける変形例における、電力変換装置の部分透過斜視図である。
【図5】電力変換装置の分解斜視図である。
【図6】電力変換装置を前方から見た平面図である。
【図7】第2補強部材を略L字型形状とする変形例における、電力変換装置を前方から見た平面図である。
【図8】第2補強部材を略T字型形状とする変形例における、電力変換装置を前方から見た平面図である。
【図9】風洞部を直線状とする変形例における、電力変換装置の部分透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図内に「前」「後」「左」「右」「上」「下」の注記がある場合は、明細書中の説明における前方、後方、左方、右方、上方、下方とは、その注記された方向を指す。
【0011】
図1、図2、及び図3に示すように、本実施形態の電力変換装置1は、交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置であり、筐体2と、補強部材3と、当該電力変換装置1の動作に関わる図示しない電子回路が設けられた2つの回路基板4a,4b(基板)とを有している。
【0012】
筐体2は、設置状態において前方となる側に開口部20を有し、外壁部として金属板を貼り合わせた略箱状の形状となっており、この例では長手方向が上下方向に向く姿勢で設置されている。開口部20には、図示しない筐体蓋部が着脱可能に装着され、当該開口部20を覆うように筐体蓋部が装着された際には、筐体2全体の内部が中空構造となって他の各部品を収納可能となる。この筐体2は、前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に、上面としての外側上面壁部21、下面としての外側下面壁部22、左面としての外側左面壁部23、右面としての外側右面壁部24、後面としての外側後面壁部25を備えている。さらに本実施形態では、筐体2の内部に、冷却風が通風される風洞部としてのダクト5が設けられている。
【0013】
ダクト5は、上記外側上面壁部21と、この外側上面壁部21より下方側で平行に対向して配置された内側上面壁部26と、上記外側左面壁部23と、上記外側右面壁部24と、上記外側後面壁部25と、この外側後面壁部25より前方側に平行して配置された内側後面壁部27とによって囲まれた略L字型形状(図中では上下逆さまの略L字型形状)の中空空間である。
【0014】
ダクト5の下方側の端部と上方前側の端部とは、それぞれ開口しており、周囲の大気と連通している。そして、ダクト5の下方側の開口部51には、軸流ファン等で構成された図示しない送風ファンが設けられ、ダクト5の上方前側の開口部52には、十分な通気が可能な通気蓋部2cが設けられている。このダクト5は、下方側の開口部51を冷却風流入口(以下適宜、「冷却風流入口51」と称する)としてそこから周囲の空気を流入し、この流入した空気を冷却風として内部に流通させ、上方前側の開口部52を冷却風流出口(以下適宜、「冷却風流出口52」と称する)としてそこから冷却風を流出させる。つまり、ダクト5は、冷却風の流路として機能する。図示する例では、冷却風流出口52が上記筐体蓋部の取り付け位置より前方側に少しだけ突出している。
【0015】
なお、ダクト5と筐体2とは、上記構成のように近接する壁部同士を共有させて一体に形成する以外にも、それぞれ個別の壁部で囲んで形成してもよい。
【0016】
また、外側下面壁部22の開口部20近傍には、電力ケーブルや制御ケーブル等の複数のケーブル(図示省略)を挿通可能な略楕円形状の貫通孔8が設けられている。
【0017】
補強部材3は、筐体2の内部空間における開口部20近傍に設けられており、別体として構成された第1補強部材31及び第2補強部材32を備えている。
【0018】
第1補強部材31は、その長手方向寸法が外側下面壁部22の左右方向寸法と略等しい幅狭の平板状部材である。この第1補強部材31は、その長手方向が左右方向を向く姿勢で、その左方側の端部が1つのネジ9により外側左面壁部23の内面に設けられた固定部材6に対し固定され、その右方側の端部が1つのネジ9により外側右面壁部24の内面に上記外側左面壁部23側の固定部材6に対向して設けられた図示しない固定部材に対し固定されている。これにより、第1補強部材31は、外側左面壁部23と外側右面壁部24とに架け渡されている。
【0019】
第2補強部材32は、その長手方向寸法が内側後面壁部27の上下方向寸法と略等しい、上記第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、略長方形形状を備えている。この第2補強部材32は、その長手方向が上下方向を向く姿勢で、その上方側の端部が3つのネジ10により内側上面壁部26の内面に設けられた固定部材7aに対し固定され、その下方側の端部が4つのネジ10により外側下面壁部22の内面に上記内側上面壁部26側の固定部材7aに対向して設けられた固定部材7bに対し固定されている。これにより、第2補強部材32は、内側上面壁部26と外側下面壁部22とに架け渡されている。なお、第2補強部材32が、内側上面壁部26と外側下面壁部22とに架け渡されることは、内側上面壁部26より上方側で平行に対向して配置された上記外側上面壁部21と外側下面壁部22とに架け渡されることと同等である。
【0020】
そして、これら第1補強部材31と第2補強部材32とは、2つのネジ11がそれぞれ第2補強部材32を貫通して第1補強部材31に締結することで、互いに固定的に連結されている。補強部材3は、第1補強部材31と第2補強部材32とが上記のように架け渡されて連結されることで、全体的に略十字型形状となっている。
【0021】
また、第2補強部材32の前方側の面(表面)には、上記回路基板4a,4bがそれぞれ4つのボス12を介して上下方向に並列して設けられている。すなわち、第2補強部材32は、回路基板4a,4bを支持する基板支持部材としての機能も兼ねている。さらに、この第2補強部材32は、その下方側に、結束バンド(ケーブルタイ)等の図示しない固定具を用いて上記ケーブルを固定するための切り欠き部13を有している。そして、上記外側下面壁部22の貫通孔8を貫通して筐体2の外部から内部に引き回されたケーブルが固定具で縛られ、その固定具が当該切り欠き部13に引っ掛けられることで、ケーブルが第2補強部材32に固定されている。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の電力変換装置1は、設置状態において前方となる側に開口部20を有し、前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に、外側上面壁部21、外側下面壁部22、外側左面壁部23、外側右面壁部24、外側後面壁部25を備えた筐体2と、筐体2の内部空間における開口部20近傍に設けられた補強部材3とを有している。この補強部材3は、外側左面壁部23と外側右面壁部24とに架け渡された第1補強部材31と、内側上面壁部26と外側下面壁部22とに架け渡された第2補強部材32とを備えている。
【0023】
このように、補強部材3を第1補強部材31と第2補強部材32とを有する略十字型形状とすることにより、上下方向及び左右方向のいずれの方向に対しても筐体2の耐振強度を向上することができ、電力変換装置1の設置条件の多様化による複合的な振動条件に耐えることが可能となる。また、略十字型形状の補強部材3を一点を設ければ足りることから、特に図示しないが筐体2の内面に左右方向に延びる補強部材を複数設ける場合に比べ、部品点数及び取り付け作業工数を抑制できる。したがって、部品点数及び取り付け作業工数の増大を抑制しつつ、耐振強度を向上できる。またその結果、部品費及び作業費を削減でき、電力変換装置1をコストダウンできる効果もある。
【0024】
また、本実施形態では特に、第2補強部材32が、第1補強部材31よりも幅広の平板状部材である。これにより、筐体2の左右方向のせん断力(外側上面壁部21と外側下面壁部22とが左右方向にずれるように作用する力)に対する剛性を向上できる。また、第2補強部材32が幅広の平板状であるので、その表面に回路基板4a,4b等の部品を載置することが可能となる。
【0025】
また、本実施形態では特に、第2補強部材32が、第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、その前方側の面に2つの回路基板4a,4bが設けられている。これにより、第2補強部材32を基板支持部材として用いることが可能となるので、基板支持部材を別途設ける必要が無くなり、部品点数及び取り付け作業工数をさらに低減することができる。また、回路基板4a,4bに伝わる振動を抑制できる効果もある。
【0026】
また、本実施形態では特に、第1補強部材31と第2補強部材32とが、別体として構成されており、互いに固定的に連結されている。第1補強部材31と第2補強部材32とを別体として構成することで、各部材の形状や材料を個別に設計することが可能となり、補強部材3の設計の自由度を向上できる。また、第1補強部材31と第2補強部材32とを互いに固定的に連結することで、筐体2の耐振強度を確実に向上することができる。
【0027】
また、本実施形態では特に、第2補強部材32が、下方側に切り欠き部13を有している。これにより、外側下面壁部22に設けられた貫通孔8を貫通して筐体2の外部から内部に引き回されたケーブルを固定具で縛り、当該固定具を切り欠き部13に引っ掛けることにより、ケーブルを第2補強部材32に固定することができる。その結果、ケーブルをまとまりよく整理しつつ配線することができる。
【0028】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0029】
(1)筐体の内部に2つのダクトを設ける場合
上記実施形態においては、筐体2の内部に、1つのダクト5を設けていたが、これに限られず、筐体2の内部に、2つのダクトを設けてもよい。
【0030】
図4、図5、及び図6において、本変形例の電力変換装置1Aの構成は、上記実施形態の電力変換装置1とほぼ同様であるが、筐体2の内部に内側ダクト15を新たに設け、第2補強部材32に代えて第2補強部材32Aを設けた点に相違がある。
【0031】
すなわち、電力変換装置1Aにおいては、前述の筐体2の内部に、冷却風が通風される風洞部14が設けられている。この風洞部14は、互いに連通せずにそれぞれ独立して設けられた、前述のダクト5(本変形例では「外側ダクト5」と称する)、及び、内側ダクト15を有している。
【0032】
内側ダクト15は、前述の内側上面壁部26と、この内側上面壁部26より下方側で平行に対向して配置された内側下面壁部201と、前述の外側左面壁部23より右方側で平行に対向して配置された内側左面壁部202と、前述の外側右面壁部24より左方側で平行に対向して配置された内側右面壁部203と、前述の内側後面壁部27と、この内側後面壁部27より前方側で平行に対向して配置された内側前面壁部204とによって囲まれた略L字型形状(図中では上下逆さまの略L字型形状)の中空空間である。
【0033】
内側ダクト15の下方側の端部と上方前側の端部とは、それぞれ開口しており、周囲の大気と連通している。そして、内側ダクト15の下方側の開口部151には、十分な通気が可能な図示しない通気蓋部が設けられ、内側ダクト15の上方前側の開口部152には、軸流ファン等で構成された図示しない送風ファンが設けられている。この内側ダクト15は、下方側の開口部151を冷却風流入口(以下適宜、「冷却風流入口151」と称する)としてそこから周囲の空気を流入し、この流入した空気を冷却風として内部に流通させ、上方前側の開口部152を冷却風流出口(以下適宜、「冷却風流出口152」と称する)としてそこから冷却風を流出させる。つまり、内側ダクト15は、冷却風の流路として機能する。図示する例では、冷却風流出口152が前述の筐体蓋部の取り付け位置より前方側に少しだけ突出している。
【0034】
このような構成により、外側ダクト5と内側ダクト15とは、それぞれの冷却風の流路が略平行な配置関係で重なり合い、互いの冷却風流入口51,151同士及び冷却風流出口52,152同士が近接するように配置されている。
【0035】
なお、各ダクト5,15と筐体2とは、上記構成のように近接する壁部同士を共有させて一体に形成する以外にも、それぞれ個別の壁部で囲んで形成してもよい。
【0036】
また、補強部材3Aの第2補強部材32Aは、その長手方向寸法が内側前面壁部204の上下方向寸法と略等しい、前述の第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、略長方形形状を備えている。この第2補強部材32Aは、その長手方向が上下方向を向く姿勢で、その上方側の端部が3つのネジ10により内側下面壁部201の内面に設けられた固定部材7aに固定され、その下方側の端部が4つのネジ10により外側下面壁部22の内面に上記内側下面壁部201側の固定部材7aに対向して設けられた固定部材7bに対し固定されている。これにより、第2補強部材32Aは、内側下面壁部201と外側下面壁部22とに架け渡されている。なお、第2補強部材32Aが、内側下面壁部201と外側下面壁部22とに架け渡されることは、内側下面壁部201より上方側で平行に対向して配置された前述の外側上面壁部21と外側下面壁部22とに架け渡されることと同等である。
【0037】
上記以外の電力変換装置1Aの構成は、上記実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0038】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(2)第2補強部材を略L字型形状とする場合
図7において、本変形例の電力変換装置1Bの構成は、上記(1)の変形例の電力変換装置1Aとほぼ同様であるが、第2補強部材32Aに代えて第2補強部材32Bを設けた点に相違がある。
【0040】
すなわち、電力変換装置1Bにおいては、補強部材3Bの第2補強部材32Bは、その長手方向寸法が前述の内側前面壁部204の上下方向寸法と略等しい、前述の第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、この例では設置状態において上方となる側(又は下方となる側でもよい)がこの例では設置状態において右方となる側(又は左方となる側でもよい)に延出した延出部321を有する略L字型形状を備えている。この第2補強部材32Bは、その長手方向が上下方向を向く姿勢で、その上方側の端部が3つのネジ10により前述の内側下面壁部201の内面に設けられた固定部材7aに固定され、その下方側の端部が4つのネジ10により前述の外側下面壁部22の内面に上記内側下面壁部201側の固定部材7aに対向して設けられた固定部材7bに対し固定されている。また、この第2補強部材32Bは、その右方側に延出した延出部321の端部が2つのネジ16により外側右面壁部24の内面における上記第1補強部材31の右方側の端部を固定する固定部材と異なる位置(この例では当該固定部材よりも上方側の位置)に設けられた固定部材17に対し固定されている。これにより、第2補強部材32Bは、内側下面壁部201と外側下面壁部22と加え、上記第1補強部材31と異なる位置(この例では第1補強部材31よりも上方側の位置)において、外側右面壁部24に架け渡されている。
【0041】
上記以外の電力変換装置1Bの構成は、上記(1)の変形例の電力変換装置1Aと同様である。
【0042】
以上説明した本変形例においては、補強部材3Bの第2補強部材32Bが、略L字型形状を備えており、内側下面壁部201と外側下面壁部22とに加え、第1補強部材31よりも上方側の位置において、外側右面壁部24に架け渡されている。第2補強部材32Bをこのような構成とすることで、筐体2の耐振強度をさらに向上することができる。
【0043】
なお、第2補強部材を、内側下面壁部201と外側下面壁部22とに加え、第1補強部材31と異なる位置で、外側左面壁部23に架け渡される構成としてもよく、この場合でも同様の効果を得ることができる。
【0044】
(3)第2補強部材を略T字型形状とする場合
図8において、本変形例の電力変換装置1Cの構成は、上記(1)の変形例の電力変換装置1Aとほぼ同様であるが、第2補強部材32Aに代えて第2補強部材32Cを設けた点に相違がある。
【0045】
すなわち、電力変換装置1Cにおいては、補強部材3Cの第2補強部材32Cは、その長手方向寸法が前述の内側前面壁部204の上下方向寸法と略等しい、前述の第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、この例では設置状態において上方となる側(又は下方となる側でもよい)が設置状態において右方となる側に延出した延出部321、及び、設置状態において左方となる側に延出した延出部322を有する略T字型形状を備えている。この第2補強部材32Cは、その長手方向が上下方向を向く姿勢で、その上方側の端部が3つのネジ10により前述の内側下面壁部201の内面に設けられた固定部材7aに固定され、その下方側の端部が4つのネジ10により前述の外側下面壁部22の内面に上記内側下面壁部201側の固定部材7aに対向して設けられた固定部材7bに対し固定されている。また、この第2補強部材32Cは、その右方側に延出した延出部321の端部が2つのネジ16により外側右面壁部24の内面における上記第1補強部材31の右方側の端部を固定する固定部材と異なる位置(この例では当該固定部材よりも上方側の位置)に設けられた固定部材17に対し固定されている。さらに、この第2補強部材32Cは、その左方側に延出した延出部322の端部が2つのネジ16により外側左面壁部23の内面における前述の固定部材6と異なる位置(この例では当該固定部材6よりも上方側の位置)に設けられた固定部材18に対し固定されている。これにより、第2補強部材32Cは、内側下面壁部201と外側下面壁部22と加え、上記第1補強部材31と異なる位置(この例では第1補強部材31よりも上方側の位置)において、外側左面壁部23と外側右面壁部24とに架け渡されている。
【0046】
上記以外の電力変換装置1Cの構成は、前述の(1)の変形例の電力変換装置1Aと同様である。
【0047】
以上説明した本変形例においては、補強部材3Cの第2補強部材32Cが、略T字型形状を備えており、内側下面壁部201と外側下面壁部22とに加え、第1補強部材31よりも上方側の位置において、外側左面壁部23と外側右面壁部24とに架け渡されている。第2補強部材32Cをこのような構成とした場合も、上記(2)の変形例と同様、筐体2の耐振強度をさらに向上することができる。
【0048】
(4)風洞部を直線状とする場合
前述の実施形態においては、風洞部としてのダクト5が略L字型形状の屈曲構造を備えていたが、これに限られず、風洞部が上下方向に略直線状の形状を備えていてもよい。
【0049】
図9において、本変形例の電力変換装置1Dの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1とほぼ同様であるが、筐体及びその内部に設けられる風洞部の構造と、第2補強部材32に代えて第2補強部材32Dを設けた点とに相違がある。
【0050】
すなわち、電力変換装置1Dにおいては、筐体2Dは、設置状態において前方となる側に開口部20Dを有し、前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に、上面としての外側上面壁部21D、前述の外側下面壁部22、左面としての外側左面壁部23D、右面としての外側右面壁部24D、前述の外側後面壁部25を備えている。さらに本変形例では、筐体2Dの内部に、冷却風が通風される風洞部50が設けられている。
【0051】
風洞部50は、上記外側上面壁部21Dと、上記外側左面壁部23Dと、上記外側右面壁部24Dと、上記外側後面壁部25と、この外側後面壁部25より前方側に平行して配置された内側壁部28とによって囲まれた略直線状の中空空間である。
【0052】
風洞部50の下方側の端部は、開口しており、周囲の大気と連通している。風洞部50の上方側の端部に位置する外側上面壁部21Dには、複数の通気孔211が設けられており、周囲の大気と連通している。そして、風洞部50の下方側の開口部501には、軸流ファン等で構成された図示しない送風ファンが設けられている。この風洞部50は、下方側の開口部501を冷却風流入口(以下適宜、「冷却風流入口501」と称する)としてそこから周囲の空気を流入し、この流入した空気を冷却風として内部に流通させ、上方前側の通気孔211を冷却風流出口(以下適宜、「冷却風流出口211」と称する)としてそこから冷却風を流出させる。つまり、風洞部50は、冷却風の流路として機能する。
【0053】
また、補強部材3Dの第2補強部材32Dは、その長手方向寸法が内側壁部28の上下方向寸法と略等しい、前述の第1補強部材31よりも幅広の平板状部材であり、略長方形形状を備えている。この第2補強部材32Dは、その長手方向が上下方向を向く姿勢で、その上方側の端部が3つのネジ10(図9中では図示省略)により外側上面壁部21Dの内面に設けられた固定部材7a(図9中では図示省略)に固定され、その下方側の端部が4つのネジ10により外側下面壁部22の内面に上記外側上面壁部21D側の固定部材7aに対向して設けられた固定部材7bに対し固定されている。これにより、第2補強部材32Dは、外側上面壁部21Dと外側下面壁部22とに架け渡されている。
【0054】
上記以外の電力変換装置1Dの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1とほぼ同様である。
【0055】
本変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(5)その他
以上では、補強部材の第1補強部材31と第2補強部材とを別体として構成していたが、これに限られず、第1補強部材と第2補強部材と一体として構成してもよい。
【0057】
また以上では、補強部材の第1補強部材31を筐体の内部に1つ設ける構成としていたが、これに限られず、第1補強部材を筐体の内部に2つ以上設ける構成としてもよい。
【0058】
さらに以上では、電力変換装置が交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置である場合を一例として説明したが、これに限られず、電力変換装置が直流電力から交流電力への変換を行うコンバータ装置である場合にも適用することができる。
【0059】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0060】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1,1A〜1D 電力変換装置
2,2D 筐体
3,3A〜3D 補強部材
4A,4D 回路基板(基板)
13 切り欠き部
20,20D 開口部
21,21D 外側上面壁部(上面)
22 外側下面壁部(下面)
23,23D 外側左面壁部(左面)
24,24D 外側右面壁部(右面)
25 外側後面壁部(後面)
31 第1補強部材
32,32A〜D 第2補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、
設置状態において前方となる側に開口部を有し、前記前方から見て上、下、左、右、後方向となる各側に上面、下面、左面、右面及び後面を備えた略箱状の筐体と、
前記筐体の内部空間における前記開口部近傍に設けられ、前記左面と前記右面とに架け渡された第1補強部材及び前記上面と前記下面とに架け渡された第2補強部材を備えた略十字型形状の補強部材と、を有する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記第2補強部材は、
前記第1補強部材よりも幅広の平板状部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第2補強部材は、
その表面に少なくとも1つの基板が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1補強部材と前記第2補強部材とは、
別体として構成されており、互いに固定的に連結されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第2補強部材は、
前記上面と前記下面に加え、前記第1補強部材と異なる位置において、前記左面及び前記右面の少なくとも一方に架け渡されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第2補強部材は、
下方側に、固定具を用いてケーブルを固定するための切り欠き部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−223032(P2012−223032A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88831(P2011−88831)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】