説明

電力変換装置

【課題】より小型化が可能な電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路11とを積層した積層体10を備える。積層体10は、フレーム5の内側に収容されている。半導体モジュール2のパワー端子21に、複数のバスバー3(3a〜3c)が接続している。個々のバスバー3は、他の電子部品と接続するための接続部4を有する。フレーム5の内面58を含む平面Pと積層体10との間の隙間Gに加圧部材6が配置されている。この加圧部材6によって積層体10を積層方向(X方向)に加圧し、積層体10をフレーム5内に固定している。複数の接続部4のうち一部の接続部4は、パワー端子21の突出方向(Z方向)から見た場合に隙間Gに位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールに接続したバスバーとを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば直流電力と交流電力との間で電力変換をする電力変換装置として、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷却管とを積層した積層体を備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。従来の電力変換装置の一例を図13に示す。
【0003】
従来の電力変換装置9は、複数の半導体モジュール92と複数の冷却管916とを積層した積層体910を、四角形状のフレーム95内に収納してある。また、フレーム95内には、加圧部材96(板ばね)が配置されている。この加圧部材96によって、積層体910を積層方向(X方向)に加圧することにより、積層体910をフレーム95内に固定している。
【0004】
個々の半導体モジュール92は、パワー端子98を備える。このパワー端子98には、直流電流が流れる正極端子98a及び負極端子98bと、交流電流が流れる交流端子98cとがある。また、半導体モジュール92は、パワー端子98の突出側とは反対側に突出した複数の制御端子(図示しない)を備える。この制御端子には制御回路基板(図示しない)が接続している。そして、制御回路基板に形成された制御回路によって半導体モジュール92のスイッチング動作を制御することにより、正極端子98aと負極端子98bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子98cから出力している。
【0005】
正極端子98aには正極バスバー93aが接続しており、負極端子98bには負極バスバー93bが接続している。また、交流端子98cにも、図示しない交流バスバーが接続する。正極バスバー93aと負極バスバー93bは、直流電源や平滑コンデンサ等に接続するための接続部94を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−109767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来の電力変換装置9は、接続部94が、フレーム95の外面99よりもX方向外側に突出しているため、X方向における電力変換装置9の長さが長くなりやすかった。そのため、電力変換装置9全体が大型化しやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、より小型化が可能な電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、半導体素子を内蔵した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを、上記パワー端子の突出方向に直交する方向に積層した積層体と、
該積層体を内側に収容するフレームと、
上記パワー端子に接続した複数のバスバーとを備え、
個々のバスバーは、他の電子部品と接続するための接続部を有し、
上記フレームの内面を含む平面と上記積層体との間の隙間に加圧部材が配置され、該加圧部材によって上記積層体を該積層体の積層方向に加圧して該積層体を上記フレーム内に固定するよう構成され、
複数の上記接続部のうち少なくとも一部の上記接続部は、上記突出方向から見た場合に、上記隙間に位置する隙間接続部となっていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記電力変換装置においては、上記突出方向から見た場合に、複数の上記接続部のうち少なくとも一部の接続部(隙間接続部)が、上記隙間に位置するよう構成してある。このようにすると、加圧部材を配置するために形成された上記隙間を、接続部を配置するための場所として利用することができる。そのため、フレームの外面から接続部が積層方向外側に突出することを防止でき、積層方向における電力変換装置の長さを短くすることができる。これにより、電力変換装置を小型化することが可能になる。
【0011】
以上のごとく、本発明によれば、より小型化が可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、電力変換装置の平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB矢視図。
【図4】実施例1における、端子台の拡大斜視図。
【図5】図1に示す電力変換装置から正極バスバー、負極バスバー、端子台を取り除いた状態における平面図。
【図6】図5に示す電力変換装置から被制御バスバーを取り除いた状態における平面図。
【図7】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の回路図。
【図9】実施例3における、電力変換装置の平面図。
【図10】実施例4における、電力変換装置の平面図。
【図11】図10のC−C断面図。
【図12】実施例5における、電力変換装置の平面図。
【図13】従来例における、電力変換装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車両用電力変換装置とすることができる。また、上記電子部品は、例えば平滑用のコンデンサとすることができる。
【0014】
上記電力変換装置において、上記バスバーは、上記パワー端子に接続した板状本体部を有し、上記隙間接続部は、上記積層方向における上記板状本体部の端部に屈曲形成されており、上記隙間接続部の主面は上記積層方向に直交していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、隙間接続部の表面積を充分に確保しつつ、積層方向における隙間接続部の長さを短くすることができる。そのため、上記隙間の積層方向長さが短い場合でも、上記突出方向から見た場合に隙間接続部が上記隙間に位置するように構成することができる。これにより、隙間接続部がフレームの外面から積層方向外側に突出することを防止できる。また、上記構成にすると、隙間接続部の表面積を充分に確保できるため、他の電子部品に電気接続しやすい。
【0015】
また、上記フレームを構成する壁部には、上記積層方向において上記隙間接続部に隣接する位置に切欠部が形成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、電子部品の端子と隙間接続部とを締結するための、ボルト等の締結部材を、フレーム外から切欠部を通して積層方向に挿入することができる。したがって、隙間接続部の主面が積層方向に直交しているため上記端子と隙間接続部とを積層方向に締結する必要がある場合でも、締結作業を行うことが可能になる。
【0016】
また、上記隙間に、上記隙間接続部を固定するための端子台が設けられていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、端子台によって、隙間接続部をしっかりと固定することができる。そのため、隙間接続部のぐらつきを抑制でき、隙間接続部がフレームに接触して漏電する等の不具合を防止できる。
【0017】
また、上記バスバーには、直流電流が流れる正極バスバーおよび負極バスバーと、被制御電流が流れる被制御バスバーとがあり、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに上記隙間接続部がそれぞれ形成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、正極バスバーと負極バスバーの2つのバスバーについて、接続部がフレームの外面から積層方向外側に突出することを防止できる。そのため、電力変換装置全体を小型化しやすい。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1〜図7を用いて説明する。図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路11とを積層した積層体10を備える。半導体モジュール2は、半導体素子23(図7参照)を内蔵した本体部20を有する。この本体部20からパワー端子21が突出している。冷媒流路11は、冷却管110の内部に形成されている。冷媒流路11には、半導体モジュール2を冷却する冷媒14が流れる。半導体モジュール2と冷媒流路11とは、パワー端子21の突出方向(Z方向)に直交する方向(X方向)に積層されている。
【0019】
積層体10は、フレーム5の内側に収容されている。また、パワー端子21には、複数のバスバー3(3a〜3c)が接続している。図1に示すごとく、個々のバスバー3は、他の電子部品と接続するための接続部4を有する。
【0020】
フレーム5の内面58を含む平面P(図4参照)と積層体10との間の隙間Gには、加圧部材6が配置されている。この加圧部材6によって積層体10を該積層体10の積層方向(X方向)に加圧し、積層体10をフレーム5内に固定している。
図1に示すごとく、複数の接続部4のうち一部の接続部4は、上記突出方向(Z方向)から見た場合に隙間Gに位置する隙間接続部40となっている。
【0021】
バスバー3には、直流電流が流れる正極バスバー3a及び負極バスバー3bと、被制御電流I(図7参照)が流れる3本の被制御バスバー3cとがある。正極バスバー3aと負極バスバー3bの接続部4は、上記隙間接続部40となっている。隙間接続部40はコンデンサ81(図7参照)に接続され、被制御バスバー3cの端子4は三相交流モータ84に接続される。
【0022】
図1に示すごとく、正極バスバー3aと負極バスバー3bは、パワー端子21に接続する板状本体部30をそれぞれ備える。隙間接続部40は、X方向における板状本体部30の端部に屈曲形成されている。隙間接続部40は、隙間G内に挿入されている。
隙間Gには、絶縁樹脂製の端子台7を配置してある。この端子台7において、隙間接続部40を上記コンデンサ81の端子89(図4参照)に接続し、固定するようになっている。
【0023】
一方、図2に示すごとく、パワー端子21には、直流電流が流れる正極端子21aおよび負極端子21bと、上記被制御電流Iが流れる被制御端子21cとがある。正極端子21aには正極バスバー3aが接続し、負極端子21bには負極バスバー3bが接続している。また、被制御端子21cには被制御バスバー3cが接続している。
【0024】
個々の半導体モジュール2は複数の制御端子22を備える。制御端子22は、本体部20からパワー端子21とは反対側に突出し、制御回路基板15に接続している。
【0025】
図6に示すごとく、複数の冷却管110は、該冷却管110の長手方向(Y方向)の両端部において、一対の冷却管16によって接続されている。また、複数の冷却管110のうち、X方向における一端に位置する冷却管110aには、冷媒14を導入するための導入管12と、冷媒14を導出するための導出管13とが接続されている。冷媒14を導入管12から導入すると、冷媒14は連結管16を通って全ての冷却管110内を流れ、導出管13から導出する。これにより、半導体モジュール2を冷却するようになっている。
【0026】
フレーム5の、X方向に直交する2つの壁部50(50a,50b)のうち、一方の壁部50aと積層体10との間には、上述した加圧部材6が設けられている。この加圧部材6によって、積層体10を他方の壁部50bに向けて加圧することにより、半導体モジュール2と冷却管110との接触圧を確保しつつ、積層体10をフレーム5内に固定している。
【0027】
加圧部材6と積層体10との間には、荷重支持板17が介在している。荷重支持板17は、加圧部材6の加圧力を積層体10に均等に加えるために設けられている。また、フレーム5の壁部50aと加圧部材6との間には、円柱状の固定部材18が設けられている。電力変換装置1を製造する際には、フレーム5内に積層体10と荷重支持板17とを配置し、隙間Gに加圧部材6を入れる。そして、治具(図示しない)を使って加圧部材6のY方向両端部をX方向に押圧し、弾性変形させる。これに伴って、積層体10もX方向に押圧される。その後、固定部材18を挿入し、治具による加圧部材6の押圧を解除する。これにより、加圧部材6を、弾性変形させた状態でフレーム5内に固定する。
【0028】
一方、図5に示すごとく、本例では、上述した3個の被制御バスバー3cを、絶縁樹脂製の封止部材39によって部分的に封止し、一体化してバスバーモジュール300としている。個々の被制御バスバー3cには、Z方向に貫通した複数の貫通穴37が形成されている。この貫通穴37内を、パワー端子21が通っている。また、被制御バスバー3cは、Z方向に突出した複数の端子接続部38を有する。この端子接続部38を被制御端子21cに重ね合わせて溶接することにより、被制御端子21cと被制御バスバー3cとを電気的に接続している。
【0029】
3個の被制御バスバー3cの接続部4は、上述したように三相交流モータ84(図7参照)に接続される。この3つの接続部4は、三相交流電圧のU相、V相、W相の出力端子となっている。
【0030】
図1に示すごとく、被制御端子21cの貫通穴37に挿入された正極端子21aと負極端子21bに、正極バスバー3aと負極バスバー3bがそれぞれ接続している。バスバー3a,3bの板状本体部30の側面には、複数の切込部36が形成されている。この切込部36に正極端子21aおよび負極端子21bを挿入し、バスバー3a,3bと端子21a,21bとを溶接してある。
【0031】
また、上述したように、隙間接続部40は、X方向における板状本体部30の端部に屈曲形成されている。隙間接続部40は、板状本体部30からZ方向における制御回路基板15(図3参照)側へ突出している。
【0032】
フレーム5の壁部50aには、X方向において隙間接続部40に隣接する位置に切欠部51が形成されている。図3に示すごとく、X方向から見ると、隙間接続部40に形成したボルト挿通孔49を、切欠部51を通して視認できる。
【0033】
図4に示すごとく、端子台7は、ナット71をインサートした台座部73と、Y方向における台座部73の両端からX方向に突出した一対の固定部72とを備え、Z方向から見た場合にコ字状を呈する。固定部72は基端部72aと先端部72bとからなる。基端部72aは、台座部73からX方向に突出しており、Z方向長さが台座部73と等しい。先端部72bは、Z方向における制御回路基板15(図3参照)を設けた側を切り欠いた形状をしている。先端部72bのZ方向長さは、基端部72aのZ方向長さよりも短い。また、一対の固定部72のY方向における間隔Dと、切欠部51のY方向における長さとは、略等しい。
【0034】
固定部72の先端部72bは、壁部50aの端面57に載置されている。先端部72bには、金属製のカラー74をインサートしてある。このカラー74にボルト(図示しない)を挿入し、壁部50aに形成した螺子孔(図示しない)に螺合することにより、端子台7を壁部50aに固定するようになっている。
【0035】
図4に示すごとく、隙間接続部40は、電子部品(コンデンサ81;図7参照)の端子89に接続される。端子89の先端890は折り曲げられている。この先端890には、X方向に貫通したボルト挿通孔87が形成されている。隙間接続部40と端子89とを接続する際には、先端890を隙間接続部40に重ね合わせ、ボルト88を、フレーム5の外側から切欠部51を通してフレーム5内に入れる。そして、ボルト88をボルト挿通孔87,49に挿入し、ナット71に螺合する。
【0036】
次に、電力変換装置1の電気回路の説明をする。図7に示すごとく、本例の電力変換装置1は、18個の半導体素子23(IGBT素子)を備える。個々の半導体素子23には、フリーホイールダイオード25が逆並列接続している。半導体素子23とフリーホイールダイオード25は、半導体モジュール2の本体部20(図2参照)内に封止されている。
【0037】
半導体素子23には、正極バスバー3aに接続した上アーム半導体素子23aと、負極バスバー3bに接続した下アーム半導体素子23bとがある。上アーム半導体素子23aのコレクタ端子は正極端子21aに接続しており、下アーム半導体素子23bのエミッタ端子は負極端子21bに接続している。また、上アーム半導体素子23aのエミッタ端子と下アーム半導体素子23bのコレクタ端子は、それぞれ被制御端子21cに接続している。
【0038】
正極バスバー3aと負極バスバー3bの接続部4(隙間接続部40)は、コンデンサ81に接続している。コンデンサ81は、正極バスバー3aと負極バスバー3bの間に加わる直流電圧を平滑化するために設けられている。
【0039】
また、被制御バスバー3cの接続部4は三相交流モータ84に接続している。半導体素子23のゲート端子(制御端子22;図2参照)に接続された制御回路基板15によって、半導体モジュール2のスイッチング動作を制御することにより、直流電源80から供給される直流電流を交流電流(被制御電流I)に変換し、三相交流モータ84を駆動している。
【0040】
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、接続部4を有する複数のバスバー3(3a〜3c)を備える。そして、Z方向から見た場合に、複数の接続部4のうち一部の接続部4(隙間接続部40)が、隙間Gに位置するよう構成してある。このようにすると、加圧部材6を配置するために形成された隙間Gを、接続部4を配置するための場所として利用することができる。そのため、フレーム5の外面59から接続部4がX方向外側に突出することを防止でき、X方向における電力変換装置1の長さを短くすることができる。これにより、電力変換装置1を小型化することが可能になる。
【0041】
また、図1に示すごとく、本例の隙間接続部40は、X方向における板状本体部30の端部に屈曲形成されている。隙間接続部40の主面400はX方向に直交している。
このようにすると、隙間接続部40の表面積を充分に確保しつつ、X方向における隙間接続部40の長さを短くすることができる。そのため、隙間GのX方向長さが短い場合でも、隙間G内に隙間接続部40を配置することができる。これにより、隙間接続部40がフレーム5の外面59からX方向外側に突出することを防止しやすくなる。また、隙間接続部40の表面積を充分に確保できるため、他の電子部品に接続しやすい。
【0042】
また、図4に示すごとく、フレーム5を構成する壁部50aには、X方向において隙間接続部40に隣接する位置に切欠部51が形成されている。
このようにすると、電子部品の端子89と隙間接続部40とを締結するためのボルト88を、切欠部51を通してフレーム5外からX方向に挿入することができる。したがって、本例のように隙間接続部40の主面400がX方向に直交しているため端子89と隙間接続部40とをX方向に締結する必要がある場合でも、締結作業を行うことが可能になる。
【0043】
また、本例では図1、図4に示すごとく、隙間Gに、隙間接続部40を固定するための端子台7が設けられている。
この場合には、端子台7によって、隙間接続部40をしっかりと固定することができる。そのため、隙間接続部40のぐらつきを抑制でき、隙間接続部40がフレーム5に接触して漏電する等の不具合を防止できる。
【0044】
以上のごとく、本例によれば、より小型化が可能な電力変換装置を提供することができる。
【0045】
なお、上記実施例においては、冷却管110内に冷媒流路11を形成し、該冷却管110を半導体モジュール2に接触させた例を示したが、本例の電力変換装置1はこれに限られるものではない。すなわち、例えば、半導体モジュール2に冷媒14が直接、接触するように冷媒流路11を設けることもできる。
【0046】
また、上記実施例では、積層体10をフレーム5内に固定し、このフレーム5を収容ケース(図示しない)内に収容するよう構成したが、収容ケース内に積層体10を直接、固定してもよい。この場合には、収容ケースがフレーム5を兼ねることになる。
【0047】
また、上記実施例では、正極バスバー3aと負極バスバー3bの接続部4を隙間接続部40としたが、被制御バスバー3cの接続部4を隙間接続部40としてもよい。
【0048】
(実施例2)
本例は、図8に示すごとく、電力変換装置1をDC−DCコンバータとして構成した例である。本例の電力変換装置1は、実施例1と同様に、直流電流が流れる正極バスバー3aおよび負極バスバー3bと、被制御電流Iが流れる3個の被制御バスバー3cとを備える。半導体素子23のゲート端子には、制御回路基板(図示しない)が接続している。
【0049】
本例では、被制御バスバー3cの接続部4をチョークコイル82の一端821に接続してある。3個の接続部4は、それぞれ別のチョークコイル82に接続される。チョークコイル82の他端822は、直流電源80の正極端子に接続している。また、正極バスバー3aと負極バスバー3bの接続部4は隙間接続部40となっている。隙間接続部40は平滑コンデンサ83に接続される。
【0050】
制御回路基板が下アーム半導体素子23bをオンオフさせることにより、チョークコイル82に被制御電流Iを流したり、遮断したりする。これにより、チョークコイル82の自己誘導を利用して、直流電源80の直流電圧を昇圧している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0051】
(実施例3)
本例は、負極バスバー3bの形状を変更した例である。本例では図9に示すごとく、正極バスバー3aのみ隙間接続部40を備えており、負極バスバー3bは隙間接続部40を備えていない。負極バスバー3bの接続部4は、導入パイプ12と導出パイプ13との間に位置している。
【0052】
このように、正極バスバー3aの接続部4のみを、X方向における加圧部材6を配置した側に形成し、負極バスバー3bの接続部4を反対側に形成する場合があるが、この場合でも、正極バスバー3aの接続部4を隙間接続部40とすることにより、X方向における電力変換装置1の長さを短くすることができる。
【0053】
また、図示しないが、負極バスバー3bの接続部4を隙間接続部40とし、正極バスバー3aの接続部4を導入パイプ12と導出パイプ13との間に配置することもできる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0054】
(実施例4)
本例は、正極バスバー3aと負極バスバー3bの形状を変更した例である。図10、図11に示すごとく、本例の正極バスバー3aおよび負極バスバー3bは、実施例1と同様に、パワー端子21に接続した板状本体部30と、隙間接続部40とを備える。
また、実施例1と異なり、本例の隙間接続部40は屈曲していない。本例では、隙間接続部40の主面400と、板状本体部30の主面350とは面一になっている。
【0055】
隙間Gには端子台7が設けられている。本例の端子台7は、ナット71がインサートされた直方体形状の台座部75と、該台座部75からY方向に突出する一対の固定部76とを備える。固定部76には、X方向に貫通したボルト挿通孔760が形成されている。このボルト挿通孔760にボルト77を挿入し、壁部50aに形成した螺子孔(図示しない)に螺合することにより、端子台7を壁部50aに固定している。
【0056】
図10に示すごとく、フレーム5は、Z方向に突出した複数の支柱55を備える。この支柱55にコンデンサ(図示しない)が固定される。そして図11に示すごとく、コンデンサの端子89を、隙間接続部40に接続するようになっている。
【0057】
隙間接続部40は、端子台7の載置面70に載置されている。そして、隙間接続部40に上記コンデンサの端子89を重ね合わせ、端子89と隙間接続部40に形成されたボルト挿通孔87,49にボルト88を挿通し、ナット71に螺合してある。これにより、端子89と隙間接続部40とを接続している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0058】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、バスバー3a,3bを折り曲げなくても隙間接続部40を形成することができる。そのため、バスバー3a,3bを容易に製造することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0059】
(実施例5)
本例は、加圧部材6の形状を変更した例である。図12に示すごとく、本例では、加圧部材6として2個のコイルばね60を用いている。2個のコイルばね60は、Y方向における隙間Gの両端に設けられている。この2個のコイルばね60を使って積層体10をX方向に押圧し、積層体10をフレーム5内に固定している。
【0060】
本例では実施例1と同様に、隙間接続部40を、X方向における板状本体部30の端部に屈曲形成してある。そして、隙間接続部40を隙間G内に配置してある。また、隙間Gには端子台7が設けられている。この端子台7において、他の電子部品の端子と隙間接続部40とを締結するようになっている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0061】
本例の作用効果について説明する。本例では、2個のコイルばね60をY方向における隙間Gの両端に配置しているため、Y方向における隙間Gの中央部分(2個のコイルばね60の間の空間)を、端子台7を配置する場所として広く使うことができる。そのため、端子台7を隙間Gに配置しやすくなる。また、端子台7を大型化した場合でも、隙間Gに配置することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0062】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 パワー端子
3 バスバー
4 接続部
40 隙間接続部
5 フレーム
6 加圧部材
7 端子台
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを、上記パワー端子の突出方向に直交する方向に積層した積層体と、
該積層体を内側に収容するフレームと、
上記パワー端子に接続した複数のバスバーとを備え、
個々のバスバーは、他の電子部品と接続するための接続部を有し、
上記フレームの内面を含む平面と上記積層体との間の隙間に加圧部材が配置され、該加圧部材によって上記積層体を該積層体の積層方向に加圧して該積層体を上記フレーム内に固定するよう構成され、
複数の上記接続部のうち少なくとも一部の上記接続部は、上記突出方向から見た場合に、上記隙間に位置する隙間接続部となっていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記バスバーは、上記パワー端子に接続した板状本体部を有し、上記隙間接続部は、上記積層方向における上記板状本体部の端部に屈曲形成されており、上記隙間接続部の主面は上記積層方向に直交していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記フレームを構成する壁部には、上記積層方向において上記隙間接続部に隣接する位置に切欠部が形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記隙間に、上記隙間接続部を固定するための端子台が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記バスバーには、直流電流が流れる正極バスバーおよび負極バスバーと、被制御電流が流れる被制御バスバーとがあり、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに上記隙間接続部がそれぞれ形成されていることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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