説明

電力変換装置

【課題】蓋板の振動をより効果的に抑制できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、電子部品を収納するための収納ケース2を備える。収納ケース2は、底壁20と、蓋板3と、側壁21とを有する。蓋板3は、周辺部30と、凸部31と、直線状の溝状部4とを備える。凸部31は、周辺部30よりも板厚方向(Z方向)に突出している。溝状部4は、その両脇に配された凸部31の間に形成されており、凸部31の側面によって構成された溝側面310と、周辺部30と同一平面上に配された溝底部32とを有する。溝状部4を含み溝状部4の長手方向に平行な直線a上に、凸部31が存在するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ケースの蓋板に凹凸を形成した電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DC−DCコンバータやAC−DCコンバータ等の電力変換装置として、図10に示すごとく、電気回路を構成する複数の電子部品94と、該電子部品94を収納する収納ケース99とを備えたものが知られている(下記特許文献1参照)。収納ケース99は、電子部品94が実装される底壁91と、側壁92と、蓋板93とを備える。
【0003】
電子部品94の中には、トランスのように振動するものがある。電力変換装置9を稼動すると、トランス等の振動によって蓋板93が共振することがある。また、電力変換装置9を車両に搭載する場合は、車両の走行に伴って発生した振動により、蓋板93が共振することがある。
【0004】
蓋板93が共振すると、振動音が発生したり、振動が周囲に伝播して、電子部品固定用の螺子910が緩んだりする不具合が生じやすくなる。この問題を防止するため、下記特許文献1に記載の電力変換装置9では、蓋板93に凸部95を形成してある。
【0005】
蓋板93に凸部95を形成すると、蓋板93の剛性が高くなる。そのため、蓋板93の固有振動数が高周波数側にシフトし、トランス等が振動しても蓋板93が共振しにくくなる。
【0006】
蓋板93は、平板状の周辺部97を備える。上記凸部95は、この周辺部97よりもケース外側に突出している。突部95は直線状であり、蓋板93には、複数本の凸部95が、互いに平行に形成されている。また、複数本の凸部95の間には、溝状部960が形成されている。溝状部960は、凸部95の側面によって構成された溝側面950と、周辺部97と同一平面上に配された溝底部96とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−348506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力変換装置9は、蓋板93の振動を充分に抑制できないという問題があった。すなわち、図10に示すごとく、従来の電力変換装置9の蓋板93は、溝状部960を含み溝状部960の長手方向(X方向)に平行な直線a上に、凹凸が存在していない。そのため、図11に示すごとく、この直線aを中心として蓋板93が湾曲し、蓋板93が振動しやすくなる。
そのため、蓋板93の振動をより効果的に抑制できる電力変換装置が望まれていた。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、蓋板の振動をより効果的に抑制できる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、電力変換回路を構成する複数の電子部品と、
該複数の電子部品を収納する収納ケースとを備え、
該収納ケースは、底壁と、該底壁に対して該底壁の板厚方向に所定間隔をおいて対向配置された蓋板と、上記底壁又は上記蓋板と一体に形成された側壁とを有し、
上記蓋板は、その端縁に沿って同一平面上に形成された周辺部と、該周辺部よりも上記板厚方向に突出した凸部と、両脇に配された上記凸部の間に形成された、少なくとも一本の直線状の溝状部とを備え、該溝状部は、上記凸部の側面によって構成された溝側面と、上記周辺部と同一平面上に配された溝底部とを有し、
上記溝状部を含み該溝状部の長手方向に平行な直線上に、上記凸部が存在するよう構成されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
上記電力変換装置は、蓋板に、上記凸部と上記溝状部を形成してある。そして、溝状部を含み該溝状部の長手方向に平行な直線上に、凸部が存在するよう構成してある。
このようにすると、上記直線上において、溝底部と凸部との境界に段差ができるため、この直線を中心として、蓋板が湾曲しにくくなる。そのため、蓋板の振動を効果的に抑制することが可能になり、振動に伴って異常音が発生したり、電子部品固定用の螺子が緩んだりする不具合を防止できる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、蓋板の振動をより効果的に抑制できる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、電力変換装置の平面図。
【図2】図1のA矢視図。
【図3】実施例1における、蓋板の斜視図。
【図4】図1のB−B断面図。
【図5】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図6】実施例2における、蓋板の平面図。
【図7】実施例3における、蓋板の平面図。
【図8】実施例4における、蓋板の平面図。
【図9】実施例5における、蓋板の平面図。
【図10】従来例における、電力変換装置の分解斜視図。
【図11】従来例における、蓋板の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される車両用電力変換装置とすることができる。
【0015】
また、上記電力変換装置において、上記蓋板は複数本の上記溝状部を有し、該複数の溝状部のうち少なくとも一部は、上記長手方向における長さが互いに異なるよう構成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、長さが互いに異なる複数の溝状部を有するため、それぞれの溝状部の固有振動数をずらすことができる。そのため、蓋板の共振をより抑制しやすくなる。
【0016】
また、上記側壁には、上記電力変換回路を制御する外部機器と該電力変換回路とを電気的に接続するための制御コネクタが設けられ、上記蓋板は複数本の上記溝状部を有し、該複数本の溝状部には、その一端が上記周辺部に開放した開放溝状部があり、上記板厚方向から見た場合に、上記開放溝状部を開放側に延長した仮想延長線から外れた位置に、上記制御コネクタが設けられていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、制御コネクタが水滴によって濡れる不具合を防止できる。すなわち、電力変換装置の上方に配置される機器から、結露水等の水滴が滴下することがあり、この水滴から制御コネクタを保護する必要がある。水滴が蓋板に滴下すると、この水滴は上記開放溝状部を流れ、上記周辺部に開放した開放部から排出される。その後、水滴は、開放部から上記仮想延長線を通って側壁の外面に到達し、該外面を伝わって底板側へ移動する。そのため、この仮想延長線上から外れた位置に制御コネクタを設けることにより、水滴の排出経路から制御コネクタを離すことができ、制御コネクタが水滴によって濡れる不具合を防止することが可能になる。
【0017】
また、上記蓋板は、上記側壁とは別部材となっており、上記側壁は、該側壁の外面からケース外側に突出し上記板厚方向に延びる柱部を有し、該柱部に螺子孔が形成され、上記蓋板には貫通孔が形成され、雄螺子を上記貫通孔に挿入して上記螺子孔に螺合することにより上記蓋板を上記側壁に締結するよう構成され、上記板厚方向から見た場合に、上記仮想延長線と上記側壁の外面とが交わる交点と、上記制御コネクタとの間に上記柱部が位置していることが好ましい(請求項4)。
この場合には、水滴の排出経路と制御コネクタとの間に上記柱部が設けられているため、水滴は、柱部を乗り越えなければ制御コネクタに到達できない。そのため、制御コネクタが水滴によって濡れる不具合をより効果的に防止することができる。
【0018】
また、上記側壁には、上記電力変換回路と外部機器とを電気的に接続するための入力コネクタおよび出力コネクタが設けられ、上記板厚方向から見た場合に、上記仮想延長線から外れた位置に、上記入力コネクタ及び上記出力コネクタがそれぞれ設けられていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、入力コネクタと出力コネクタが、水滴によって濡れる不具合を防止することができる。
【0019】
また、上記蓋板は長方形状に形成され、該蓋板は第1溝状部と、第2溝状部と、第3溝状部と、第4溝状部との4本の上記溝状部を有し、これら4本の溝状部が互いに連結して連結溝状部が形成されており、上記第1溝状部および上記第2溝状部は互いに平行であり、それぞれの一端が上記蓋板の一方の長辺側に開放し、上記第3溝状部は、上記第1溝状部の他端と上記第2溝状部の他端との間を繋いでおり、上記第4溝状部は、上記第3溝状部の両端の間から上記蓋板の他方の長辺に向って延び、該他方の長辺側に開放していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、4本の溝状部が互いに連結しているため、これら4本の溝状部の間で水滴が移動しやすくなる。また、上記連結溝状部は、周辺部に対して3箇所において開放しているため、水滴を排出しやすい。そのため、水滴が溝状部に溜まりにくくなる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
電力変換装置に係る実施例について、図1〜図5を用いて説明する。図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は収納ケース2を備え、この収納ケース2に、電力変換回路11(図5参照)を構成する複数の電子部品10が収納されている。
収納ケース2は、底壁20と、蓋板3と、側壁21とを有する。蓋板3は、底壁20に対して底壁20の板厚方向(Z方向)に所定間隔をおいて対向配置されている。側壁21は、底壁20と一体に形成され、底壁20の周辺からZ方向に立設している。
【0021】
図1、図3に示すごとく、蓋板3は、周辺部30と、凸部31と、直線状の溝状部4とを備える。周辺部30は、その端縁301に沿って同一平面上に形成されている。凸部31は、周辺部30よりも板厚方向(Z方向)に突出している。溝状部4は、その両脇に配された凸部31の間に形成されており、凸部31の側面(図4参照)によって構成された溝側面310と、周辺部30と同一平面上に配された溝底部32とを有する。
そして、溝状部4を含み溝状部4の長手方向に平行な直線a上に、凸部31が存在するよう構成されている。
【0022】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載して用いるための、車両用電力変換装置である。
【0023】
蓋板3は例えば金属板からなり、プレス加工によって、凸部31と溝状部4とが形成されている。凸部31は、周辺部30よりもZ方向におけるケース外側(図2参照)に突出している。なお、蓋板3は、樹脂によって成形することもできる。
【0024】
蓋板3は、第1溝状部4aと、第2溝状部4bと、第3溝状部4cと、第4溝状部4dとの4本の溝状部4を備える。これら4本の溝状部4が互いに連結して連結溝状部40が形成されている。また、蓋板3は、L字状に形成された第1凸部31aおよび第2凸部31bと、長方形状に形成された第3凸部31cとの3個の凸部31を備える。
【0025】
第1溝状部4aを含み第1溝状部4aの長手方向に平行な直線a1上には、第1凸部31aが存在している。また、第2溝状部4bを含み第2溝状部4bの長手方向に平行な直線a2上には、第2凸部31bが存在している。さらに、第3溝状部3cを含み第3溝状部3cの長手方向に平行な直線a3上には、第1凸部31a及び第2凸部31bが存在している。そして、第4溝状部4dを含み第4溝状部4dの長手方向に平行な直線a4上には、第3凸部31cが存在している。
【0026】
第1溝状部4aと第2溝状部4bとは、長手方向における長さが互いに等しい。また、第1溝状部4aと、第3溝状部4cと、第4溝状部4dとは、長手方向における長さが互いに異なる。第3溝状部4cは第1溝状部4aよりも長く、第4溝状部4dは第1溝状部4aよりも短い。
また、第1溝状部4aと、第2溝状部4bと、第4溝状部4dとは互いに平行である。第3溝状部4cは、他の溝状部4a,4b,4dに対して直交している。
【0027】
本例の蓋板3は、長方形状に形成されている。第1溝状部4aおよび第2溝状部4bは、それぞれの一端が、蓋板3の一方の長辺12a側に開放している。第3溝状部4cは、第1溝状部4aの他端と第2溝状部4bの他端との間を繋いでいる。第4溝状部4dは、第3溝状部4cの両端の間から、蓋板3の他方の長辺12bに向って延び、他方の長辺12b側に開放している。
【0028】
このように、蓋板3に形成された4本の溝状部4a〜4cのうち、3本の溝状部4a,4b,4dは、その一端が周辺部30に開放した開放溝状部41となっている。
【0029】
また、側壁21には、電力変換回路11を制御する外部機器と電力変換回路11とを電気的に接続するための制御コネクタ50が設けられている。Z方向から見た場合に、開放溝状部41を開放側に延長した仮想延長線bから外れた位置に、制御コネクタ50が設けられている。
【0030】
側壁21には、電力変換回路11と外部機器とを電気的に接続するための入力コネクタ51および出力コネクタ52が設けられている。そして、Z方向から見た場合に、仮想延長線bから外れた位置に、入力コネクタ51及び出力コネクタ52がそれぞれ設けられている。
【0031】
側壁21には、蓋板3の一対の長辺12a,12bに沿って配される第1側壁21aおおび第2側壁21bと、蓋板3の一対の短辺13a,13bに沿って配される第3側壁21cおよび第4側壁21dとがある。
上記第3側壁21cに入力コネクタ51が設けられ、上記第4側壁21dに出力コネクタ52が設けられている。溝状部4は、入力コネクタ51側に開放しておらず、また、出力コネクタ52側にも開放していない。
【0032】
側壁21には、図示しない螺子孔が複数個、形成されている。また、蓋板3には複数の貫通孔16(図3参照)が形成されている。そして、雄螺子17を貫通孔16に挿入して螺子孔に螺合することにより、蓋板3を側壁21に締結してある。
図1、図2に示すごとく、側壁21は複数の柱部14を備える。柱部14は、側壁21の外面からケース外側に突出し、Z方向に延びている。上述した複数個の螺子孔のうち、一部の螺子孔は、柱部14に形成されている。そして、複数の柱部14のうち1個の柱部14aは、上記仮想延長線bと側壁21の外面とが交わる交点15と、制御コネクタ50との間に位置している。
【0033】
第2側壁21bの一部は、他の部分よりもケース外側に突出した側壁突部210となっている。蓋板3の長辺12に平行な方向(Y方向)における、側壁突部210の両端に、それぞれ柱部14a,14bが設けてある。この側壁突部210に、制御コネクタ50が設けてある。
【0034】
また、第1側壁21aおよび第2側壁21bは、蓋板3の短辺13に平行な方向(X方向)に突出したケース固定部19を備える。ケース固定部19は、Z方向に貫通したボルト挿通孔190を有する。このボルト挿通孔190に図示しないボルトを挿通し、他の機器に形成した雌螺子等に螺合することにより、収納ケース2を固定するよう構成されている。
【0035】
一方、本例の電力変換装置1は、DC−DCコンバータとして用いられる。図5に示すごとく、収納ケース2に収納された複数の電子部品10によって、直流電圧を変圧するための変圧回路が構成されている。変圧回路は、入力コネクタ51に接続したフィルタコンデンサ10aと、ブリッジ回路101と、制御コネクタ50に接続した制御回路18と、トランス10cと、ダイオード10dと、平滑コンデンサ10eと、平滑リアクトル10fとを有する。
【0036】
ブリッジ回路101は4個のスイッチング素子10b(IGBT素子)からなる。スイッチング素子10bのゲート端子に、制御回路18が接続している。制御回路18がスイッチング素子10bのオンオフ動作を制御することにより、直流電圧を交流電圧に変換している。得られた交流電圧は、トランス10cの一次コイルに一次電圧Vaとして印加される。また、トランス10cの二次コイルに発生した二次電圧Vbを、ダイオード10dによって整流し、さらに平滑コンデンサ10eによって平滑化している。平滑リアクトル10fは、二次電流を平滑化している。
また、制御回路18によって、スイッチング素子10bのデューティーを調節することにより、出力コネクタ52から出力される電圧を調整するようになっている。
【0037】
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、蓋板3に、凸部31と溝状部4を形成してある。そして、溝状部4を含み溝状部4の長手方向に平行な直線a上に、凸部31が存在するよう構成してある。
このようにすると、直線a上において、溝底部32と凸部31との境界に段差ができるため、この直線aを中心として、蓋板3が湾曲しにくくなる。そのため、蓋板3の振動を効果的に抑制することが可能になり、振動に伴って異常音が発生したり、電子部品固定用の螺子(図示しない)が緩んだりする不具合を防止できる。
【0038】
また、本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される。車両用電力変換装置は、車両の走行に伴って振動が発生するため、高い制振性が要求される。そのため、本例の電力変換装置1を車両に搭載して用いる場合は、その効果が特に顕著に現れる。
【0039】
また、図1に示すごとく、第1溝状部4aと、第3溝状部4cと、第4溝状部4dとは、それぞれの長手方向における長さが互いに異なる。
このようにすると、溝状部4a,4c,4dの固有振動数をずらすことができる。そのため、蓋板3の共振をより抑制しやすくなる。
【0040】
また、本例では、第1溝状部4aと、第2溝状部4bと、第4溝状部4dとは互いに平行であり、第3溝状部4cは、他の溝状部4a,4b,4dに対して直交している。
このようにすると、第3溝状部4cの長手方向(Y方向)と、他の溝状部4a,4b,4dの長手方向(X方向)とが直交しているため、蓋板3は、X方向に平行な直線(a1,a2,a4)を中心としても湾曲しにくくなり、Y方向に平行な直線(a3)を中心としても湾曲しにくくなる。そのため、蓋板3の振動を効果的に抑制できる。
【0041】
また、本例では、Z方向から見た場合に、開放溝状部41を開放側に延長した仮想延長線bから外れた位置に、制御コネクタ50が設けられている。
このようにすると、制御コネクタ50が水滴によって濡れる不具合を防止できる。すなわち、電力変換装置1の上方に配置される機器から、結露水等の水滴が滴下することがあり、この水滴から制御コネクタ50を保護する必要がある。水滴が蓋板3に滴下すると、この水滴は開放溝状部41を流れ、周辺部30に開放した開放部49から排出される。その後、水滴は、開放部49から仮想延長線bを通って側壁21の外面に到達し、該外面を伝わってZ方向へ移動する。そのため、この仮想延長線b上から外れた位置に制御コネクタ50を設けることにより、水滴の排出経路から制御コネクタ50を離すことができ、制御コネクタ50が水滴によって濡れる不具合を防止することが可能になる。
【0042】
また、本例では、Z方向から見た場合に、仮想延長線bと側壁21の外面とが交わる交点15と、制御コネクタ50との間に柱部14が位置している。
このようにすると、水滴は、柱部14を乗り越えなければ制御コネクタ50に到達できない。そのため、制御コネクタ50が水滴によって濡れる不具合をより効果的に防止することができる。
【0043】
また、本例では、Z方向から見た場合に、仮想延長線bから外れた位置に、入力コネクタ51及び出力コネクタ52がそれぞれ設けられている。
このようにすると、入力コネクタ51と出力コネクタ52が、水滴によって濡れる不具合を防止することができる。
【0044】
また、本例では、4本の溝状部4a〜4dが互いに連結して連結溝状部40になっている。連結溝状部40は、3箇所の開放部49において、周辺部30に開放している。
このようにすると、4本の溝状部4a〜4dが互いに連結しているため、これら4本の溝状部4a〜4dの間で水滴が移動しやすくなる。また、連結溝状部40は、周辺部30に対して3箇所において開放しているため、水滴を排出しやすい。そのため、水滴が溝状部4に溜まりにくくなる。
【0045】
以上のごとく、本発明によれば、蓋板の振動をより効果的に抑制できる電力変換装置を提供することができる。
【0046】
(実施例2)
本例は、溝状部4の形状を変更した例である。図6に示すごとく、本例の蓋板3は、実施例1と同様に長方形状を呈している。蓋板3の一方の長辺12a側には、第1周辺部30aが配されており、他方の長辺12b側には、第2周辺部30bが配されている。そして、第5溝状部4eと第6溝状部4fとの2本の溝状部4が、第1周辺部30aから第2周辺部30bに向って延出している。また、第2周辺部30bから第7溝状部4gが、第1周辺部30aに向って延出している。
それぞれの溝状部4を含み該溝状部4の長手方向に平行な直線a上には、突部31が存在している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0047】
(実施例3)
本例は、溝状部4の形状を変更した例である。図7に示すごとく、本例では、蓋板3に、第8溝状部4h〜第11溝状部4kが長方形状に連結した状態で形成されている。また、第1周辺部30aと第10溝状部4jとの間を、第12溝状部4mが繋いでいる。さらに、第2周辺部30bと第8溝状部4hとの間を、第13溝状部4nが繋いでいる。これら6本の溝状部4h〜4nは、互いに連結して連結溝状部40となっている。
それぞれの溝状部4を含み該溝状部4の長手方向に平行な直線a上には、突部31が存在している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0048】
(実施例4)
本例は、溝状部4の形状を変更した例である。図8に示すごとく、本例では、第1周辺部30aから、X方向に向って第14溝状部4pが延出している。また、第2周辺部30bから、X方向に向って第15溝状部4qが延出している。Y方向において、第14溝状部4pと第15溝状部4qとは、略同じ位置に形成されている。また、第14溝状部4pの先端から、第16溝状部4rがY方向に向って延出している。さらに、第15溝状部4qの先端から、第17溝状部4sがY方向に向って延出している。そして、第16溝状部4rの先端と、第17溝状部4sの先端との間を、第18溝状部4tが繋いでいる。これら5本の溝状部4p〜4tは、互いに連結して連結溝状部40となっている。
また、それぞれの溝状部4を含み該溝状部4の長手方向に平行な直線a上には、突部31が存在している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0049】
(実施例5)
本例は、溝状部4の形状を変更した例である。図9に示すごとく、本例では、第1周辺部30aから、X方向に向って第19溝状部4uが延出している。第19溝状部4uの先端には、第20溝状部4vが連結している。第20溝状部4vはY方向に延出している。第19溝状部4uは、Y方向における、第20溝状部4vの中央位置において、該第20溝状部4vに連結している。また、第20溝状部4vの両端から、X方向における第2周辺部30b側に向って、第21溝状部4wと第22溝状部4xとがそれぞれ延出している。これら4本の溝状部4u〜4xは、互いに連結して連結溝状部40となっている。
また、それぞれの溝状部4を含み該溝状部4の長手方向に平行な直線a上には、突部31が存在している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【符号の説明】
【0050】
1 電力変換装置
2 収納ケース
20 底壁
21 側壁
3 蓋板
30 周辺部
31 凸部
32 溝底部
4 溝状部
40 連結溝状部
41 開放溝状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路を構成する複数の電子部品と、
該複数の電子部品を収納する収納ケースとを備え、
該収納ケースは、底壁と、該底壁に対して該底壁の板厚方向に所定間隔をおいて対向配置された蓋板と、上記底壁又は上記蓋板と一体に形成された側壁とを有し、
上記蓋板は、その端縁に沿って同一平面上に形成された周辺部と、該周辺部よりも上記板厚方向に突出した凸部と、両脇に配された上記凸部の間に形成された、少なくとも一本の直線状の溝状部とを備え、該溝状部は、上記凸部の側面によって構成された溝側面と、上記周辺部と同一平面上に配された溝底部とを有し、
上記溝状部を含み該溝状部の長手方向に平行な直線上に、上記凸部が存在するよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記蓋板は複数本の上記溝状部を有し、該複数の溝状部のうち少なくとも一部は、上記長手方向における長さが互いに異なるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、上記側壁には、上記電力変換回路を制御する外部機器と該電力変換回路とを電気的に接続するための制御コネクタが設けられ、上記蓋板は複数本の上記溝状部を有し、該複数本の溝状部には、その一端が上記周辺部に開放した開放溝状部があり、上記板厚方向から見た場合に、上記開放溝状部を開放側に延長した仮想延長線から外れた位置に、上記制御コネクタが設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記蓋板は、上記側壁とは別部材となっており、上記側壁は、該側壁の外面からケース外側に突出し上記板厚方向に延びる柱部を有し、該柱部に螺子孔が形成され、上記蓋板には貫通孔が形成され、雄螺子を上記貫通孔に挿入して上記螺子孔に螺合することにより上記蓋板を上記側壁に締結するよう構成され、上記板厚方向から見た場合に、上記仮想延長線と上記側壁の外面とが交わる交点と、上記制御コネクタとの間に上記柱部が位置していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電力変換装置において、上記側壁には、上記電力変換回路と外部機器とを電気的に接続するための入力コネクタおよび出力コネクタが設けられ、上記板厚方向から見た場合に、上記仮想延長線から外れた位置に、上記入力コネクタ及び上記出力コネクタがそれぞれ設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記蓋板は長方形状に形成され、該蓋板は第1溝状部と、第2溝状部と、第3溝状部と、第4溝状部との4本の上記溝状部を有し、これら4本の溝状部が互いに連結して連結溝状部が形成されており、上記第1溝状部および上記第2溝状部は互いに平行であり、それぞれの一端が上記蓋板の一方の長辺側に開放し、上記第3溝状部は、上記第1溝状部の他端と上記第2溝状部の他端との間を繋いでおり、上記第4溝状部は、上記第3溝状部の両端の間から上記蓋板の他方の長辺に向って延び、該他方の長辺側に開放していることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21876(P2013−21876A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155058(P2011−155058)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】