説明

電力平準化方法、電力平準化装置、及びプログラム

【課題】利便性の低下を抑制しつつ消費電力を平準化すること。
【解決手段】電力平準化方法は、複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータが実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力平準化方法、電力平準化装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護のため、低炭素社会の実現が火急の問題として考えられている。低炭素社会の実現には、エネルギーの使用量を削減する、いわゆる省エネだけでなく、消費電力の推移の平準化も効果的であると考えられている。消費電力の推移が平準化されれば、不足分の電力を火力発電によって補う機会が減少し、火力発電によるCO2の排出量が削減されるからである。
【0003】
そこで、ノートPCが搭載しているバッテリを活用して、オフィスでの消費電力の平準化が検討されている。その一例として、例えば、消費電力の小さい時期にバッテリを充電しておき、消費電力の大きい時期にはバッテリを放電させることで、消費電力を平準化させることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−258176号公報
【特許文献2】特開平10−300168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各ノートPCに関して、一律にバッテリの充電時期と放電時期とが制御された場合、ノートPCの利便性を損なってしまう可能性がある。すなわち、商用電源を利用できない場合の補助的な電源として機能することがノートPCのバッテリの本来の役割である。したがって、例えば、外出等によってノートPCを持ち出す時期が、放電時期の直後等、バッテリへの充電が十分に行われていない時期に重なってしまった場合、当該ノートPCを持ち出し先で使用できない可能性がある。
【0006】
そこで、利便性の低下を抑制しつつ消費電力を平準化することのできる電力平準化方法、電力平準化装置、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、電力平準化方法は、複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
利便性の低下を抑制しつつ消費電力を平準化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における電力平準化システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における電力平準化装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】オフィスにおける電力消費量の時間的な推移の傾向を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における電力平準化システムの機能構成例を示す図である。
【図5】第一の実施の形態における商用電源への接続状態の変化の履歴の収集処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】タップ・ノート対応記憶部の構成例を示す図である。
【図7】第一の実施の形態の接続履歴記憶部の構成例を示す図である。
【図8】電力平準化制御処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】第一の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図10】第一の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図11】電力消費量推移記憶部の構成例を示す図である。
【図12】優先順位記憶部の構成例を示す図である。
【図13】第一の実施の形態のノートPCが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】第二の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図15】第二の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図16】第三の実施の形態における商用電源への接続状態の変化の履歴の収集処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図17】第三の実施の形態の接続履歴記憶部の構成例を示す図である。
【図18】第三の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図19】第三の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図20】充電状態のノートPCによる通知処理の処理手順の一例を説明するための図である。
【図21】第四の実施の形態のノートPCが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における電力平準化システムの構成例を示す図である。同図において、電力平準化システム1は、電力平準化装置10、及び複数台のノートPC20等を含む。電力平準化装置10と各ノートPC20とは、LAN(Local Area Network)等の情報通信ネットワークN1(有線又は無線の別は問わない。)を介して通信可能に接続されている。
【0011】
ノートPC20は、充電可能なバッテリ(二次電池)を備えた、可搬性の有るPC(Personal Computer)である。ノートPC20は、バッテリ及び商用電源の双方を電源として駆動することができる。各ノートPC20は、電力ネットワークN2に接続された電源タップ30のコンセント(プラグ受け)に差し込みプラグが接続されることで、商用電源より電力供給を受けることができる。各電源タップ30は、電力センサを内蔵しており、例えば、各ノートPCの商用電源への接続状態の変化を、情報通信ネットワークN1を介して電力平準化装置10に通知する。なお、電源タップ30から情報通信ネットワークN1への接続は、例えば、無線通信を介して行われてもよい。又は、情報通信ネットワークN1に接続された変換器等に、USB(Universal Serial Bus)等を介して電源タップ30が接続されてもよい。この場合、変換器等は、USB等を介して電源タップ30より入力される情報を、例えば、IPパケット等に変換して、情報通信ネットワークN1に出力する。
【0012】
なお、充電可能なバッテリを備え、当該バッテリと商用電源との双方を電源として駆動可能な装置であれば、ノートPC20以外の情報処理装置が、ノートPC20の位置付けに適用されてもよい。
【0013】
電力平準化装置10は、電力平準化システム1全体、又は電力平準化システム1が利用される所定の区域における電力消費量の推移が平準化されるようにするための処理を実行する。本実施の形態において、所定の区域は、オフィスであるとする。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態における電力平準化装置のハードウェア構成例を示す図である。図2の電力平準化装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0015】
電力平準化装置10での処理を実現するプログラムは、記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0016】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って電力平準化装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、情報通信ネットワークN1に接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0017】
なお、記録媒体101の一例としては、CD−ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置102の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体101及び補助記憶装置102のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
【0018】
なお、ノートPC20についても、図2に示されるハードウェアと同様のハードウェアを備えていればよい。但し、ノートPC20は、キーボード等の入力装置や、液晶画面等の表示装置を備えていてもよい。また、上記したように、ノートPC20は、バッテリを備えている。
【0019】
続いて、第一の実施の形態における、電力平準化の基本的な考え方について説明する。図3は、オフィスにおける電力消費量の時間的な推移の傾向を示す図である。
【0020】
同図では、出社時、昼休み、及び退社時に時間帯が区切られている。同図の例では、出社時において、電力消費量は急激に増加し、一日のうちのピークを記録する。これは、出社に伴って、各従業員がPC(Personal Computer)等の電子機器を起動することによるものと考えられる。その後、昼休みになると、節電のためにPC等の電源が切られ、電力消費量は一時的に低下する。昼休みが終わると、再びPC等が起動され、電力消費量は増加する。但し、午後になると出張や会議等によって離席する従業員が増えるため、昼休み直後の消費電力量は、出社時ほどではない。その後、退社時に近付くにつれ、外出から戻ってくる従業員が増加し、それに伴って起動されるPC等によって電力消費量が増加する。退社時を過ぎると、PC等の電源は切られ、消費電力量は急激に減少する。
【0021】
本実施の形態では、図3に示されるような傾向に鑑みて、一部のノートPC20の起動について、商用電源ではなく、バッテリを利用することで、電力を平準化させる。すなわち、一部のノートPC20の起動にバッテリが利用されること(以下、「バッテリ起動」という。)で、例えば、出社時や、昼休み後の電力消費量の低下を期待することができる。その結果、出社時、昼休み、及び退社時を通した全体的な電力の推移の平準化を期待することができる。
【0022】
バッテリ起動の対象とする一部のノートPC20の選択基準について説明する。本実施の形態では、オフピークの時間帯(以下、「オフピーク時間帯」という。)にオフィスに居る可能性の高いユーザのノートPC20に関して、バッテリ起動が行われる。一方、オフピーク時間帯にオフィスに居る可能性の低いユーザのノートPC20は、バッテリ起動の対象から除外される。
【0023】
オフピーク時間帯とは、例えば、30分単位の平均の電力消費量が閾値以下である時間帯をいう。当該閾値は、一日の消費電力量の時間的な推移のピーク値を基準として定められてもよいし、一日の消費電力量の平均値を基準として定められてもよい。前者の場合は、例えば、ピーク値に対して1未満の係数を乗じた値が閾値とされる。なお、図3の例では、例えば、昼休みがオフピーク時間帯とされる。
【0024】
オフピーク時間帯に、オフィスに居る可能性の低いユーザは、オフピーク時に外出する可能性の高いユーザであるといえる。したがって、仮に、斯かるユーザに関して、出社時等においてノートPC20の起動にバッテリが使用されてしまうと、持ち出し先で当該バッテリを使用できなくなってしまう可能性がある。本実施の形態では、斯かるユーザのノートPC20はバッテリ起動の対象から除外されるため、このような不都合が発生する可能性を低下させることができる。
【0025】
以上のような制御を可能とするため、電力平準化システム1は、例えば、図4に示されるような機能構成を有する。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態における電力平準化システムの機能構成例を示す図である。同図において、ノートPC20は、通知部21、問い合わせ部22、バッテリ起動フラグ記憶部23、及び電源選択部24等を有する。通知部21、問い合わせ部22、及び電源選択部24は、ノートPC20にインストールされたプログラムが、ノートPC20のCPUに実行させる処理により実現される。バッテリ起動フラグ記憶部23は、ノートPC20が有する補助記憶装置又はノートPC20とネットワークを介して接続する記憶装置を用いて実現可能である。
【0027】
通知部21は、ノートPC20の状態の変化を電力平準化装置10に通知する。問い合わせ部22は、当該ノートPC20が、バッテリ起動の対象であるか否かを電力平準化装置10に問い合わせる。電力平準化装置10からの応答において、バッテリ起動の対象であることが示されている場合、問い合わせ部22は、当該ノートPC20がバッテリ起動の対象であることを示す情報(以下、「バッテリ起動フラグ」という。)をバッテリ起動フラグ記憶部23に記録する。なお、問い合わせ部22の処理の実行時は、既にノートPC20の起動後である。したがって、バッテリ起動フラグは、次回の起動時において有効となる。
【0028】
電源選択部24は、ノートPC20が使用する電源を選択する。電源選択部24は、バッテリ起動フラグ記憶部23にバッテリ起動フラグが記録されている場合、当該ノートPC20の起動時及び起動後の所定期間の駆動に関して、バッテリを電源として使用する。一方、バッテリ起動フラグ記憶部23にバッテリ起動フラグが記録されていない場合、電源選択部24は、当該ノートPC20の起動等に関して商用電源を使用する。
【0029】
一方、電力平準化装置10は、履歴収集部121、オフピーク接続時間算出部122、優先順位判定部123、バッテリ起動選択部124、及び指示部125等を有する。これら各部は、電力平準化装置10にインストールされたプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。電力平準化装置10は更に、タップ・ノート対応記憶部131、接続履歴記憶部132、電力消費量推移記憶部133、算出用テーブル134、及び優先順位記憶部135等を有する。これら各記憶部又はテーブルは、補助記憶装置102、又は電力平準化装置10とネットワークを介して接続する記憶装置等を用いて実現可能である。但し、算出用テーブル134は、メモリ装置103を用いて実現されるのが好適である。
【0030】
履歴収集部121は、各電源タップ30より、ノートPC20の商用電源への接続状態の変化の履歴を収集する。商用電源への接続状態とは、商用電源への接続の有無をいう。履歴収集部121は、履歴の収集先の電源タップ30に対応したノートPC20を、タップ・ノート対応記憶部131を参照して特定する。履歴収集部121は、当該履歴を、特定されたノートPC20に関する商用電源への接続状態の変化の履歴として接続履歴記憶部132に記録する。
【0031】
タップ・ノート対応記憶部131は、各電源タップ30のコンセント単位の識別子(以下、「タップID」という。)と、各ノートPC20の識別子(以下、「ノートID」という。)との対応情報を記憶する。
【0032】
電力消費量推移記憶部133は、電力平準化システム1全体又はオフィス全体の電力消費量の時間的な推移を示す情報(例えば、図3に示されるような情報)を予め記憶する。具体的には、例えば、30分単位で、24時間分の電力消費量を記憶する。当該消費電力量は、例えば、オフィスの建屋に設置された電力計を用いて計測されたものであってもよいし、各電源タップ30が備える電力センサによって計測された電力値の合計であってもよい。また、電力消費量推移記憶部133は、特定の日の消費電力量ではなく、一定期間における計測値の平均値等を記憶していてもおい。
【0033】
オフピーク接続時間算出部122は、ノートPC20ごとに、オフピーク時間帯における、商用電源への接続時間を算出する。具体的には、オフピーク接続時間算出部122は、ノートPC20ごとに、商用電源への接続時間帯と、オフピーク時間帯との重複時間を算出する。各ノートPC20の商用電源への接続時間帯は、接続履歴記憶部132を参照して特定される。オフピーク時間帯は、電力消費量推移記憶部133を参照して特定される。
【0034】
算出用テーブル134は、オフピーク接続時間の算出に使用される作業用のテーブルである。算出用テーブル134は、最終的に、ノートPC20ごとにオフピーク接続時間が記録された状態となる。
【0035】
優先順位判定部123は、算出用テーブル134に記録された各ノートPC20のオフピーク接続時間に基づいて、バッテリ起動に関する各ノートPC20の優先順位を判定する。オフピーク接続時間が長い方が優先順位において上位とされる。オフピーク接続時間が長いノートPC20は、オフピーク時間帯において、商用電源に接続できる可能性が高いノートPC20であると推定できるからである。優先順位判定部123は、優先順位の判定結果を、優先順位記憶部135に記録する。
【0036】
すなわち、本実施の形態では、オフピーク接続時間が相対的に長いノートPC20は、オフピークの時間帯にオフィスに居る可能性が相対的に高いユーザのノートPC20であると推定される。一方、オフピーク接続時間が相対的に短いノートPC20は、オフピーク時間帯にオフィスに居る可能性が相対的に低いユーザのノートPC20であると推定される。
【0037】
バッテリ起動選択部124は、優先順位記憶部135に記録された、各ノートPC20の優先順位を参照して、バッテリ起動の対象とするノートPC20を選択する。バッテリ起動選択部124は、選択結果を、優先順位記憶部135に記録する。
【0038】
指示部125は、優先順位記憶部135を参照して、バッテリ起動の対象として参照されたノートPC20に対して、バッテリ起動の指示を行う。
【0039】
以下、電力平準化システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、第一の実施の形態における商用電源への接続状態の変化の履歴の収集処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0040】
或る電源タップ30のコンセントに、ノートPC20のプラグが差し込まれ、ノートPC20の電源がONされると(S110でYes)、当該電源タップ30の電力センサによって、電力の消費が検知される。電力の消費の検知に応じ、当該電源タップ30は、当該電源タップ30及び当該コンセントを識別するタップIDを含む接続通知を電力平準化装置10に送信する(S120)。
【0041】
電力平準化装置10において接続通知が受信されると、履歴収集部121は、接続通知に含まれるタップIDをキーとして、タップ・ノート対応記憶部131よりノートPC20の識別子(ノートID)を検索する(S130)。
【0042】
図6は、タップ・ノート対応記憶部の構成例を示す図である。同図において、タップ・ノート対応記憶部131は、電源タップ30ごとに、タップIDと、当該タップIDに係る電源タップ30に接続されるノートPC20のノートIDを記憶する。なお、同図において、ノートIDは、「A」、「B」、又は「C」と抽象化されているが、例えば、IPアドレス又はホスト名等がノートIDとして用いられてもよい。
【0043】
該当するノートIDが検索された場合(S130でYes)、履歴収集部121は、当該ノートIDに関して、商用電源に接続されたことを接続履歴記憶部132に記録する(S140)。一方、該当するノートIDが検索されない場合(S130でNo)、ステップS140は実行されない。
【0044】
図7は、第一の実施の形態の接続履歴記憶部の構成例を示す図である。同図において、接続履歴記憶部132は、各ノートPC20に関して、商用電源への接続状態の変化の履歴を記憶する。すなわち、接続履歴記憶部132の各レコードは、ノートID、接続状態、及び時刻等を含む。ノートIDは、商用電源への接続状態が変化したノートPC20のノートIDである。接続状態は、変化後の接続状態である。「有り」は、商用電源への接続(商用電源の電力の消費)が検知されたことを示す。「無し」は、商用電源への接続の解除(商用電源の電力の消費が無いこと)が検知されたことを示す。時刻は、接続状態が変化した時刻、すなわち、レコードが接続履歴記憶部132に記録された時刻である。
【0045】
上記したステップS140において、履歴収集部121は、検索されたノートIDと、「有り」を示す接続状態と、現在時刻とを含むレコードを接続履歴記憶部132に記録する。
【0046】
一方、或る電源タップ30のコンセントに接続されていたノートPC20の電源がOFFにされたり、プラグが抜かれたりすると(S150でYes)、当該電源タップ30の電力センサによって、電力の消費(電力値)が検知されなくなる。電力の消費が検知されなくなったことに応じ、電源タップ30は、当該電源タップ30及び当該コンセントを識別するタップIDを含む切断通知を電力平準化装置10に送信する(S160)。
【0047】
電力平準化装置10において切断通知が受信されると、履歴収集部121は、切断通知に含まれるタップIDをキーとして、タップ・ノート対応記憶部131よりノートIDを検索する(S170)。該当するノートIDが検索された場合(S170でYes)、履歴収集部121は、当該ノートIDに関して、商用電源への接続状態として「無し」と、現在時刻とを含むレコードを接続履歴記憶部132に追加する(S180)。一方、該当するノートIDが検索されない場合(S170でNo)、ステップS180は実行されない。
【0048】
図5に示される処理が、例えば、1日実行されることにより、各ノートPC20に関して、商用電源への接続時間帯を特定することができる。なお、図5に示される処理は、数日間実行されてもよい。
【0049】
また、上記では、電源タップ30の電力センサによって、ノートPC20の商用電源への接続が検知される例について説明したが、ノートPC20が、自らの通電状態を調べて、商用電源への接続を検知してもよい。すなわち、接続通知又は切断通知は、ノートPC20の通知部21によって送信されてもよい。この場合、接続通知又は切断通知には、ノートIDを指定することができる。したがって、タップ・ノート対応記憶部131は、必ずしも必要ではなくなる。
【0050】
続いて、図5に示される処理とは非同期に電力平準化装置10が実行する、電力平準化制御処理について説明する。
【0051】
図8は、電力平準化制御処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0052】
同図の処理は、周期的に実行される(S201)。例えば、一週間ごと、又は一ヶ月ごと等に実行される。又は、接続履歴記憶部132の内容若しくは電力消費量推移記憶部133の内容の変化に応じて実行されてもよい。すなわち、同図の処理が周期的に実行されるのは、各ノートPC20の商用電源への接続時間帯の変化や、オフィス全体の電力消費量の推移の変化等に合わせて、電力平準化のための制御を行うためである。
【0053】
ステップS202において、オフピーク接続時間算出部122及び優先順位判定部123は、優先順位判定処理を実行する。優先順位判定処理では、次回の起動時においてバッテリ起動の対象とするノートPC20の選択に関する優先順位が判定される。優先順位の判定結果は、優先順位記憶部135に記録される。
【0054】
続いて、バッテリ起動選択部124は、例えば、優先順位の上位所定数のノートPC20に対して、次回の起動時に関してバッテリ起動の対象とするノートPC20を選択する(S203)。バッテリ起動の対象の選択結果は、優先順位記憶部135に記録される。
【0055】
続いて、いずれかのノートPC20から、起動対象であるか否かの問い合わせが受信されると(S204でYes)、指示部125は、優先順位記憶部135を参照して、問い合わせに指定されたノートIDに係るノートPC20がバッテリ起動の対象であるか否かを判定し、その判定結果を含む応答を返信する(S205)。当該応答の内容が、バッテリ起動の対象であることを示すものであれば、当該応答は、バッテリ起動の対象として選択されたことの通知、又はバッテリ起動することの指示に相当する。
【0056】
続いて、ステップS202の詳細について説明する。図9は、第一の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0057】
ステップS210において、オフピーク接続時間算出部122は、接続履歴記憶部132より、順番に一つのレコードを取得する。レコードが取得できた場合(S210でYes)、オフピーク接続時間算出部122は、当該レコード(以下、「履歴レコード」という。)の接続状態の値は「有り」であるか否かを判定する(S220)。履歴レコードの接続状態の値が「有り」である場合(S220でYes)、オフピーク接続時間算出部122は、履歴レコードのノートIDを含むレコードが、算出用テーブル134に記録されているか否かを判定する(S230)。
【0058】
図10は、第一の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。同図に示される算出用テーブル134には、ノートIDごとに、オフピーク接続時間及び接続開始時刻等が記録される。オフピーク接続時間は、ノートIDに係るノートPC20が、オフピーク時間帯において、商用電源に接続されていた時間である。すなわち、オフピーク接続時間は、当該ノートPC20による商用電源への接続時間帯と、オフピーク時間帯との重複時間である。接続開始時刻は、ノートIDに係るノートPC20が商用電源への接続を開始した時刻であり、オフピーク接続時間を算出するために一時的に記録される。なお、算出用テーブル134の内容は、図9の処理の開始時において空である。
【0059】
したがって、或るノートIDに関して初めてステップS230が実行される場合、ステップS240に進む。ステップS240において、オフピーク接続時間算出部122は、算出用テーブル134に対して、対象ノートIDに係るレコード(以下、「算出用レコード」という。)を追加する。算出用レコードのオフピーク接続時間には「0」が記録される。続いて、オフピーク接続時間算出部122は、履歴レコードの時刻を、算出用レコードの接続開始時刻に記録する(S250)。
【0060】
なお、履歴レコードのノートIDを含む算出用レコードが算出用テーブル134に既に記録されている場合(S230でNo)、オフピーク接続時間算出部122は、履歴レコードの時刻を、当該算出用レコードの接続開始時刻に記録する(S250)。
【0061】
一方、履歴レコードの接続状態の値が「有り」でない場合(S220でNo)、オフピーク接続時間算出部122は、履歴レコードのノートIDに係るノートPC20に関して、商用電源への接続時間帯を特定する(S260)。具体的には、当該ノートIDに関して算出用テーブル134に記録されている接続開始時刻から履歴レコードに記録されている時刻までの時間帯が、当該ノートPC20の商用電源への接続時間帯として特定される。
【0062】
続いて、オフピーク接続時間算出部122は、特定された接続時間帯と、オフピーク時間帯との重複時間を算出する(S270)。すなわち、当該接続時間帯のうち、オフピーク時間帯に属する時間が算出される。オフピーク時間帯は、電力消費量推移記憶部133が記憶する、消費電力量の時間的な推移に基づいて特定される。
【0063】
図11は、電力消費量推移記憶部の構成例を示す図である。同図において、電力消費量推移記憶部133は、30分単位で、電力消費量を記憶する。この場合、オフピーク時間帯は、30分刻みで特定される。例えば、電力消費量が予め設定された閾値以下である時間がオフピーク時間帯に含まれる。
【0064】
なお、電力消費量推移記憶部133には、オフピーク時間帯を示す情報(例えば、開始時刻及び終了時刻)が直接的に記録されていてもよい。また、オフピーク時間帯は、必ずしも一つの時間帯に限られない。オフピーク時間帯が複数有る場合、複数のそれぞれのオフピーク時間帯と、接続時間帯との重複時間の総和がオフピーク接続時間として算出される。
【0065】
続いて、オフピーク接続時間算出部122は、算出された重複時間を、算出用テーブル134において、履歴レコードのノートIDに係るレコードのオフピーク接続時間に加算する(S280)。
【0066】
ステップS250又はS280に続いて、接続履歴記憶部132が記憶する全てのレコードに関してステップS210以降が実行される。全てのレコードに関してステップS210以降の実行が完了すると(S210でYes)、優先順位判定部123は、算出用テーブル134を参照して、各ノートPC20に関して優先順位を判定する(S290)。ここでは、オフピーク接続時間の長い順に優先順位が上位とされる。優先順位判定部123は、判定結果を優先順位記憶部135に記録する。
【0067】
図12は、優先順位記憶部の構成例を示す図である。同図に示されるように、優先順位記憶部135は、ノートIDごとに、優先順位を記憶する。同図では、図10の算出用テーブル134に記録されているオフピーク接続時間の長い順に、優先順位が設定された例が示されている。
【0068】
なお、図8のステップS203において、バッテリ起動選択部124は、優先順位記憶部135を参照して、優先順位の上位から順に所定数のノートPC20を選択する。但し、オフピーク接続時間が閾値以上であるノートPCが選択されてもよい。この場合、選択されるノートPC20の数は、必ずしも所定数ではない。バッテリ起動選択部124は、選択されたノートPC20係るノートIDに関して、バッテリ起動の対象としたことを、優先順位記憶部135に記録する。すなわち、図12において、「バッテリ起動」の項目に記録されている「○」は、バッテリ起動の対象とされたことを示す。
【0069】
なお、バッテリ起動の対象とするノートPC20の台数は、固定的であってもよいし、オフィスにおける電力消費量の推移に基づいて算出されてもよい。具体的には、バッテリ起動選択部124は、電力消費量推移記憶部133を参照して、電力消費量の最高値及び最低値を特定する。続いて、バッテリ起動選択部124は、当該最高値と当該最低値との差分を、ノートPC20の標準電力消費量で除した値を、バッテリ起動の対象とするノートPC20の台数とする。なお、標準電力消費量とは、例えば、通常の接続状態において消費される電力量をいう。
【0070】
続いて、各ノートPC20が実行する処理手順について説明する。図13は、第一の実施の形態のノートPCが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0071】
ノートPC20の電源がONされると(S310)、電源選択部24は、バッテリ起動フラグ記憶部23にバッテリ起動フラグが記録されているか否かを判定する(S320)。バッテリ起動フラグが記録されている場合(S320でYes)、電源選択部24は、バッテリを使用してノートPC20を起動及び駆動させる(S330)。この場合、起動後の所定時間は、ノートPC20の駆動に必要な電力は、バッテリより供給される。一方、バッテリ起動フラグが記録されていない場合(S320でNo)、電源選択部24は、商用電源を使用してノートPC20を起動及び駆動させる(S340)。
【0072】
起動後の定常動作時において、問い合わせ部22は、ノートIDを指定して、当該ノートPC20がバッテリ起動の対象であるかを定期的に問い合わせる(S350)。当該問い合わせに応じ、電力平準化装置10では、図8のステップS204及びS205が実行される。すなわち、指示部125は、優先順位記憶部135を参照して、問い合わせに指定されたノートIDに係るノートPC20がバッテリ起動の対象であるか否かを判定し、その判定結果を含む応答を返信する。
【0073】
問い合わせ部22は、当該応答を受信すると、当該応答に含まれている判定結果に基づいて、バッテリ起動フラグ記憶部23の記憶内容を更新する(S360)。すなわち、当該判定結果において、当該ノートPC20がバッテリ起動の対象であることが示されていれば、バッテリ起動フラグがバッテリ起動フラグ記憶部23に記録される。一方、当該判定結果において、当該ノートPC20がバッテリ起動の対象でないことが示されており、バッテリ起動フラグ記憶部23にバッテリ起動フラグが記録されていれば、当該バッテリ起動フラグは削除される。ステップS350以降は、ノートPC20の起動中、一定周期で行われる(S370)。
【0074】
なお、上記では、バッテリ起動の対象であるか否かに関して、ノートPC20が問い合わせる形態について説明したが、図9のステップS290に続いて、電力平準化装置10の指示部125が、バッテリ起動の対象として選択されたノートPC20に対して、バッテリ起動の対象であることを通知してもよい。当該通知を受信したノートPC20の問い合わせ部22は、バッテリ起動フラグをバッテリ起動フラグ記憶部23に記録すればよい。
【0075】
上述したように、第一の実施の形態によれば、商用電源への接続時間帯と、オフピーク時間帯との重複時間が長いノートPC20が、優先的にバッテリ起動の対象として選択される。斯かるノートPC20は、オフピーク時間帯において、持ち出される可能性の低いノートPC20であると推定される。すなわち、当該ノートPC20のユーザは、オフピーク時間帯において、外出等する可能性の低いユーザであると推定される。斯かるノートPC20をバッテリ起動の対象とすることで、当該ノートPC20の利便性が損なわれる可能性を抑制しつつ、オフィス全体の消費電力の平準化を期待することができる。すなわち、出社時等において、商用電源からの電力使用量を低下させることができる。また、バッテリ起動されたノートPC20が、オフピーク時間帯において充電を行う可能性を高めることができる。
【0076】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態では、第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、第二の実施の形態において特に言及しない点については、第一の実施の形態と同様でよい。
【0077】
図14は、第二の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図14中、図9と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第二の実施の形態では、図9の処理手順が、図14に示されるように置き換えられる。
【0078】
図14では、ステップS240が、ステップS240aに置換され、ステップS251及びS252が追加されている。また、ステップS290が、ステップS290aに置換されている。
【0079】
ステップS240aにおいて、オフピーク接続時間算出部122は、算出用テーブル134に対して、対象ノートIDに係るレコード(算出用レコード)を追加する。
【0080】
図15は、第二の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。図15中、図10と同一部分の説明は省略する。
【0081】
図15に示される算出用テーブル134aには、ノートIDごとに、接続回数及び切断回数が更に記録される。接続回数は、商用電源への接続回数である。切断回数は、商用電源からの切断回数である。ステップS240aにおいて、オフピーク接続時間算出部122は、算出用レコードのオフピーク接続時間、接続回数、及び切断回数に0を記録する。
【0082】
また、ステップS251において、オフピーク接続時間算出部122は、算出用レコードの接続回数に1を加算する。また、ステップS281において、オフピーク接続時間算出部122は、算出用レコードの切断回数に1を加算する。
【0083】
更に、ステップS290aにおいて、優先順位判定部123は、算出用テーブル134aに記録されているオフピーク接続時間が相対的に長く、かつ、接続回数及び切断回数が相対的に少ないノートPC20の優先順位を上位とする。例えば、まず、オフピーク接続時間の長い順に優先順位が付与され、その後に、接続回数又は切断回数が閾値より多いノートPC20の優先順位は下げられる。すなわち、接続回数又は切断回数が閾値より多いノートPC20については、起動対象から除外される可能性が高められる。なお、接続回数と切断回数とは、対をなすものである。したがって、優先順位の判定には、いずれか一方が使用されてもよい。
【0084】
商用電源への接続回数又は商用電源からの切断回数が多いノートPC20のユーザは、出張や会議等によって、ノートPC20を持ち出して離席する可能性の高いユーザであると推定される。したがって、このようなノートPC20がバッテリ起動の対象から除外されることで、当該ノートPC20に関して、持ち出し先でのバッテリ切れの可能性を低減させつつ、オフィス全体での消費電力の平準化を図ることができる。
【0085】
次に、第三の実施の形態について説明する。第三の実施の形態では、第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、第三の実施の形態において特に言及しない点については、第一の実施の形態と同様でよい。
【0086】
図16は、第三の実施の形態における商用電源への接続状態の変化の履歴の収集処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図16中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第三の実施の形態では、図5の処理手順が、図16に示されるように置き換えられる。
【0087】
図16では、ステップS120が、ステップS120aに置換され、ステップS141〜S143が追加されている。
【0088】
ステップS120aにおいて、電源タップ30は、プラグが差し込まれたコンセントを識別するタップIDと、電力センサによって検知された電力値とを含む接続通知を電力平準化装置10に送信する。
【0089】
また、ステップS141において、履歴収集部121は、接続通知に含まれている電力値が、所定値以上であるか否かを判定する。所定値は、充電時におけるノートPC20の平均的な消費電力値と、非充電時におけるノートPC20の平均的な消費電力値とを区別可能な値であればよい。
【0090】
接続通知に含まれている消費電力値が所定値以上である場合(S141でYes)、履歴収集部121は、ステップS140において記録されたレコードに対して、充電中であることを記録する(S142)。接続通知に含まれている電力値が所定値未満である場合(S141でNo)、履歴収集部121は、ステップS140において記録されたレコードに対して、充電中でないことを記録する(S143)。
【0091】
図17は、第三の実施の形態の接続履歴記憶部の構成例を示す図である。図17中、図7と同一部分の説明は省略する。
【0092】
図17に示される接続履歴記憶部132aの各レコードは、充電状態を更に含む。充電状態は、充電中であるか否かを示す。「ON」は、充電中であることを示し、「OFF」は充電中でないことを示す。したがって、ステップS142では、充電状態に「ON」が記録される。ステップS143では、充電状態に「OFF」が記録される。
【0093】
また、図18は、第三の実施の形態の優先順位判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図18中、図9と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第三の実施の形態では、図9の処理手順が、図18に示されるように置き換えられる。
【0094】
図14では、ステップS240が、ステップS240bに置換され、ステップS252及びS253が追加されている。また、ステップS290が、ステップS290bに置換されている。
【0095】
ステップS240bにおいて、オフピーク接続時間算出部122は、算出用テーブル134に対して、対象ノートIDに係るレコード(算出用レコード)を追加する。
【0096】
図19は、第三の実施の形態の算出用テーブルの構成例を示す図である。図19中、図10と同一部分の説明は省略する。
【0097】
図19に示される算出用テーブル134bには、ノートIDごとに、充電回数が更に記録される。充電回数は、商用電源からの充電回数である。ステップS240bにおいて、オフピーク接続時間算出部122は、算出用レコードのオフピーク接続時間及び充電回数に0を記録する。
【0098】
また、ステップS252において、オフピーク接続時間算出部122は、履歴レコードの充電状態の値は「ON」であるか否かを判定する。当該充電状態が「ON」である場合(S252でYes)、オフピーク接続時間算出部122は、算出レコードの充電回数に1を加算する(S253)。
【0099】
更に、ステップS290bにおいて、優先順位判定部123は、算出用テーブル134bに記録されているオフピーク接続時間が相対的に長く、かつ、充電回数が相対的に少ないノートPC20の優先順位を上位とする。例えば、まず、オフピーク接続時間の長い順に優先順位が付与され、その後に、充電回数が閾値より多いノートPC20の優先順位は下げられる。すなわち、充電回数が閾値より多いノートPC20については、起動対象から除外される可能性が高められる。
【0100】
充電回数が多いノートPC20のユーザは、出張や会議等によって、ノートPC20を持ち出して離席する可能性の高いユーザである可能性が推定される。したがって、このようなノートPC20がバッテリ起動の対象から除外されることで、当該ノートPC20に関して、持ち出し先でのバッテリ切れの可能性を低減させつつ、オフィス全体での消費電力の平準化を図ることができる。
【0101】
なお、第二の実施の形態と第三の実施の形態とは組み合わされてもよい。例えば、優先順位の判定時において、商用電源への接続回数若しくは商用電源からの切断回数、及び充電回数に基づいて優先順位が変更されてもよい。
【0102】
ところで、電力平準化装置10への充電状態の通知は、ノートPC20が行ってもよい。図20は、充電状態のノートPCによる通知処理の処理手順の一例を説明するための図である。
【0103】
ノートPC20において、充電の開始が検知されると(S401でYes)、当該ノートPC20の通知部21は、当該ノートPC20のノートIDを含む充電開始通知を電力平準化装置10に送信する(S402)。その後、充電が終了すると(S403でYes)、通知部21は、当該ノートPC20のノートIDを含む充電終了通知を電力平準化装置10に送信する(S404)。
【0104】
なお、電力平準化装置10において充電開始通知が受信された場合、履歴収集部121は、充電開始通知に含まれているノートIDを含み、充電状態が「OFF」であるレコードを接続履歴記憶部132aに追加する。一方、電力平準化装置10において充電終了通知が受信された場合、履歴収集部121は、充電終了通知に含まれているノートIDを含み、充電状態が「OFF」であるレコードを接続履歴記憶部132aに追加する。
【0105】
次に、第四の実施の形態について説明する。第四の実施の形態では、第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、第四の実施の形態において特に言及しない点については、第一の実施の形態と同様でよい。
【0106】
図21は、第四の実施の形態のノートPCが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図21中、図13と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第四の実施の形態では、図13の処理手順が、図21に示されるように置き換えられる。
【0107】
図21では、ステップS335が追加されている。すなわち、電源選択部24は、オフピーク開始時刻が経過するまでバッテリでの駆動を継続する(S335でNo)。オフピーク開始時刻とは、オフピーク時間帯の開始時刻をいい、後述されるように、電力平準化装置10への問い合わせに対する応答において通知され、バッテリ起動フラグ記憶部23に記録される。
【0108】
オフピーク開始時刻が経過すると(S335でYes)、電源選択部24は、商用電源を利用した駆動に切り替える(S340)。
【0109】
起動後の定常動作時において、問い合わせ部22は、ノートIDを指定して、当該ノートPC20がバッテリ起動の対象であるかを定期的に問い合わせる(S350)。当該問い合わせに応じ、電力平準化装置10の指示部125は、優先順位記憶部135を参照して、問い合わせに指定されたノートIDに係るノートPC20がバッテリ起動の対象であるか否かを判定し、その判定結果とオフピーク開始時刻とを含む応答を返信する。
【0110】
問い合わせ部22は、当該応答を受信すると、当該応答に含まれている判定結果に基づいて、バッテリ起動フラグ記憶部23の記憶内容を更新すると共に、当該応答に含まれているオフピーク開始時刻をバッテリ起動フラグ記憶部23に記録する(S360)。
【0111】
第四の実施の形態によれば、ノートPC20のバッテリの充電がオフピーク時間帯に行われる可能性を高めることができる。その結果、オフィス全体の平準化を更に促進することができる。
【0112】
なお、第四の実施の形態は、第二及び第三の実施の形態の少なくともいずれか一方と組み合わされてもよい。
【0113】
なお、本実施の形態において、接続履歴記憶部132は、履歴記憶部の一例である。履歴収集部121は、収集部の一例である。オフピーク接続時間算出部122は、算出部の一例である。バッテリ起動選択部124は、選択部の一例である。電力消費量推移記憶部133は、推移記憶部の一例である。
【0114】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0115】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータが実行する電力平準化方法。
(付記2)
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記接続状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記1記載の電力平準化方法。
(付記3)
前記記録する処理は、前記複数の情報処理装置のそれぞれについて、前記商用電源からの前記電池への充電状態の変化の履歴を収集して該履歴を前記履歴記憶部に記録し、
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記充電状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記1又は2記載の電力平準化方法。
(付記4)
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録する収集部と、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出する算出部と、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する選択部とを有する電力平準化装置。
(付記5)
前記選択部は、前記履歴記憶部に記録された前記接続状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記4記載の電力平準化装置。
(付記6)
前記収集部は、前記複数の情報処理装置のそれぞれについて、前記商用電源からの前記電池への充電状態の変化の履歴を収集して該履歴を前記履歴記憶部に記録し、
前記選択部は、前記履歴記憶部に記録された前記充電状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記4又は5記載の電力平準化装置。
(付記7)
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータに実行させる電力平準化プログラム。
(付記8)
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記接続状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記7記載の電力平準化プログラム。
(付記9)
前記記録する処理は、前記複数の情報処理装置のそれぞれについて、前記商用電源からの前記電池への充電状態の変化の履歴を収集して該履歴を前記履歴記憶部に記録し、
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記充電状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する付記7又は8記載の電力平準化プログラム。
【符号の説明】
【0116】
1 電力平準化システム
10 電力平準化装置
20 ノートPC
21 通知部
22 問い合わせ部
23 バッテリ起動フラグ記憶部
24 及び電源選択部
30 電源タップ
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
121 履歴収集部
122 オフピーク接続時間算出部
123 優先順位判定部
124 バッテリ起動選択部
125 指示部
131 タップ・ノート対応記憶部
132 接続履歴記憶部
133 電力消費量推移記憶部
134 算出用テーブル
135 優先順位記憶部
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータが実行する電力平準化方法。
【請求項2】
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記接続状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する請求項1記載の電力平準化方法。
【請求項3】
前記記録する処理は、前記複数の情報処理装置のそれぞれについて、前記商用電源からの前記電池への充電状態の変化の履歴を収集して該履歴を前記履歴記憶部に記録し、
前記選択する処理は、前記履歴記憶部に記録された前記充電状態の変化の回数が相対的に多い前記情報処理装置を、選択対象から除外する請求項1又は2記載の電力平準化方法。
【請求項4】
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録する収集部と、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出する算出部と、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する選択部とを有する電力平準化装置。
【請求項5】
複数の情報処理装置のそれぞれについて、商用電源への接続状態の変化の履歴を収集して該履歴を履歴記憶部に記録し、
前記履歴記憶部に記録された前記履歴に基づいて、前記情報処理装置ごとに、前記商用電源への接続時間帯を特定し、該接続時間帯と、推移記憶部が記憶する、電力消費量が所定値以下である時間帯との重複時間を算出し、
前記重複時間の長い順に、当該情報処理装置が備える電池を使用して起動を行う情報処理装置を選択する処理をコンピュータに実行させる電力平準化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−205494(P2012−205494A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71172(P2011−71172)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】