説明

電力用コンデンサの監視装置

【課題】 運用中の電力用機器の電磁操作機構に使用されるコンデンサによる駆動に支障を与えずに、コンデンサ容量を取得し、機器が故障状態になる前にコンデンサの劣化状況を把握できる電力用コンデンサの監視装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 電力用コンデンサの監視装置100のデータ処理部40は、診断部10により診断時にコンデンサによる動作に支障を及ぼさない範囲で電圧低下値ΔVを測定し、測定した電圧低下値ΔVから演算したコンデンサ電圧と予め寿命予測用記憶部30に記憶する寿命判断のしきい値とを比較するようにしたので、運転中の機器を停止することなくコンデンサの寿命時期到来有無を判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空遮断機等に用いられる電力用コンデンサの寿命診断機能を備える電力用コンデンサの監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空遮断器は、高真空の容器に電極を収めた構造により、高真空の優れた絶縁耐力と消アーク能力を利用して電流の遮断を行う。小型軽量、長寿命等の特長により、配電用の遮断器として広く利用されている。また、地球温暖化ガスを使用していないことにより、更なる適用範囲の拡大が望まれている。
【0003】
それ故、受配電設備で故障が発生した場合、その影響が広く波及するおそれがある。それらを未然に防ぎ電力安定供給を図るために様々な手段がとられている。
【0004】
真空遮断器の寿命判断の一つに、電気的寿命がある。真空遮断器の電磁操作機構にはコンデンサが使用されているが、このコンデンサの性能が低下すると電磁操作機構が操作不能になるなどの機器異常が発生する。
【0005】
従来から、機器異常が発生する前に、事前にコンデンサの容量を測定することによりコンデンサの寿命を診断する方法は種々提案されているが、コンデンサの運転中に容量を測定する方法はなかった。
【0006】
特許文献1では、充電電流を遮断することなくコンデンサの両端電圧の変動を測定し、コンデンサの容量測定を行い、この測定値とあらかじめ設定しておいた寿命判断値を比較することで、機器寿命を診断する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−133046号公報(0021〜0025段、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力用コンデンサの監視装置では、運転状態におけるコンデンサ端子電圧の変化を測定し、ピーク電圧と平均値の差の程度から容量低下の傾向を把握していたため、電磁操作機構などの瞬発力に影響を与えるコンデンサの容量及び内部インピーダンスの状況変化を把握することが難しいという問題点があった。
【0009】
また、測定データは測定時点の計測値しかなく、劣化の進行具合が掴めないため、実際の寿命時期の到来がいつ頃になるかの予測ができないという問題点もあった。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、運用中の電力用機器の電磁操作機構に使用されるコンデンサによる駆動に支障を与えずに、コンデンサ容量を取得し、機器が故障状態になる前にコンデンサの劣化状況を把握できる電力用コンデンサの監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電力用コンデンサの監視装置は、直列に接続された放電回路と放電スイッチとを電磁操作機構に配設するコンデンサに並列し、電源からのコンデンサへの充電を停止し放電回路の放電スイッチを動通させることにより、コンデンサに充電されたエネルギを電磁操作機構の動作が可能な電圧低下値の範囲内で放電させ、放電によるコンデンサの電圧低下値を測定回路により測定し、電圧低下値に基づき測定時のコンデンサのコンデンサ電圧を演算する診断部と、コンデンサの寿命判断のしきい値を含む寿命データを予め記憶する第一の記憶部と、診断部で演算するコンデンサ電圧と第一の記憶部に記憶するコンデンサの寿命判断のしきい値とを比較してコンデンサの寿命を判断する寿命判断部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力用コンデンサの監視装置の寿命判断部は、診断部により診断時にコンデンサによる動作に支障を及ぼさない範囲で電圧低下値ΔVを測定し、測定した電圧低下値ΔVから演算したコンデンサ電圧と予め寿命予測用の記憶部に記憶する寿命判断のしきい値とを比較するようにしたので、運転中の機器を停止することなくコンデンサの寿命時期到来有無を判断できる。
【0013】
また、寿命判断部は、寿命予測用の記憶部に診断部から取得した診断時のコンデンサ容量をトレンドデータとして蓄積させるようにしたので、コンデンサ容量の変化の推移を把握することで、運転中の機器を停止することなくコンデンサ寿命到来の時期を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における診断部の構成を示す回路図である。
【図3】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における放電による電圧の変化を示す図である。
【図4】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における寿命予測用記憶部に記憶するデータの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における動作手順を示すフローチャート図である。
【図6】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における表示部の表示の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の実施の形態における表示部の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電力用コンデンサの監視装置の各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における電力用コンデンサの監視装置100の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、電力用コンデンサの監視装置100は、診断部10と、子局20と、第一の記憶部としての寿命予測用の記憶部30と、寿命判断部としてのデータ処理部40と、表示部50とから構成される。
【0017】
診断部10は、コンデンサ容量を診断するための検出端末を示す。また、診断部10は、診断のために検出した電圧低下値ΔVの計測値から演算したコンデンサ容量を子局20に伝送する。子局20は、診断部10から取得したコンデンサ容量をデータ処理部40に伝送する。
【0018】
寿命予測用記憶部30は、コンピュータのハードディスク(HDD)等からなり、予め寿命データとしてのコンデンサの寿命判断のしきい値を記憶し、診断部10から取得するコンデンサ容量等を蓄積する。
【0019】
データ処理部30は、診断部10から取得したコンデンサ容量と寿命判断のしきい値とを比較し警報判定を行う。表示部50は、データ処理部40で出力された警報を表示したり、寿命予測用記憶部30に蓄積されたデータのトレンド表示等を行う。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態における電力用コンデンサの監視装置100の診断部10の概略を示す回路構成図である。図2に示すように、診断部10は、電源3と、放電回路4と、抵抗分圧回路5と、測定回路6と、診断回路7と、警報出力生成手段としての警報器8とから構成される。
【0021】
電源3は、容量の良否を判定するコンデンサ2に充電するためのDC電源3aと、コンデンサ2に必要とされる電圧に調整する充電停止機能付きのDC/DCコンバータ3bとからなる。放電回路4は、放電抵抗4a及び放電スイッチ4bとしてのトランジスタとからなり、コンデンサ2のエネルギを放電させるためコンデンサ2に並列に接続される。
【0022】
抵抗分圧回路5は、第一の抵抗5aと第二の抵抗5bとからなり、コンデンサ2の放電時の電圧低下を測定するために並列に接続される。測定回路6は、増幅器6aとA/Dコンバータ6bとからなり、抵抗分圧回路5で抵抗分圧されるコンデンサ電圧を増幅器6aで増幅して測定し、A/Dコンバータ6bでアナログ量をデジタル量に変換後、診断回路7に出力する。
【0023】
診断回路7は、計測部7aと、第二の記憶部としての異常診断用の記憶部7bとからなり、異常診断用記憶部7bは、コンピュータのハードディスク(HDD)等からなり、予め異常診断データとしての許容電圧低下値ΔVsを記憶し、測定回路6で測定されるコンデンサ容量等を蓄積する。
【0024】
診断回路7は、計測部7aにより、コンデンサ2への充電の停止指令及び放電回路4の放電スイッチ4aの導通指令を出し、コンデンサ2に充電されたエネルギを所定時間放電させる。
【0025】
また、診断回路7は、記憶部22に予め設定し記憶する許容電圧低下値ΔVsに基づいて、測定回路6にて測定される放電によるコンデンサ電圧の電圧低下値ΔVによりコンデンサ容量の良否を判定する。警報器8は、診断回路7による判定結果に基づき、否と判断された場合にコンデンサ2が異常である旨の警報を発する。
【0026】
良と判断された場合には、診断回路7は、コンデンサ電圧の電圧低下値ΔVに基づき、
放電時間:T、初期電圧:V、低下電圧:ΔV、放電抵抗:R、放電電荷量:Qとした場合の式(1)よりコンデンサ2のコンデンサ容量:Cを演算する。
C=(V×T)/(ΔV×R) (1)
なお、上式(1)は、C=Q/ΔV、Q=I×T/R×Tより導出される。
【0027】
診断回路7は、上式(1)で演算された診断時のコンデンサ容量を異常診断用記憶部7bに記憶させ、所定のタイミングで子局20を介して、データ処理部40に伝送する。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施の形態における電力用コンデンサの監視装置100の診断部10の動作原理について説明する。
【0029】
まず、容量の良否を判定されるコンデンサ2は、接続されるDC電源3aより電力を供給され、DC/DCコンバータ3bによりコンデンサ2が使用される機器が要求する電圧Vcで充電される。
【0030】
続いて、診断回路7からコンデンサ2への充電停止指令が出され、放電回路4の放電スイッチ4bに所定の時間tの導通指令が出される。図3は、コンデンサの容量診断時の放電によるコンデンサの電圧9を示すもので、コンデンサ電圧Vは放電スイッチ4bが導通されてから放電抵抗4aを介して放電により時間とともに低下し、時間tで電圧低下は止まり、再び充電が開始される。
【0031】
このコンデンサ電圧Vは、抵抗分圧回路5の第一の抵抗5aの抵抗R1と第二の抵抗5bの抵抗R2の接続点AでR1/(R1+R2)に分圧され、時間tでの電圧低下値ΔVが測定され、増幅回路6aを通してA/Dコンバータ6bにて変換された測定回路6による結果が診断回路7に送られる。
【0032】
次いで、予め診断時にコンデンサ2に許容される所定の電圧低下値ΔVとして異常診断用記憶部7bに記憶された基準の電圧低下値ΔVsと比較し、図3の9aに示す基準値を越える電圧低下値ΔVs以内である場合には、コンデンサ容量が適と判定され、9bに示す基準値を越える電圧低下値ΔVs以上である場合には、コンデンサ容量が否と判定され、否と判定された場合には警報回路8にて警報が発せられる。
【0033】
ここで、コンデンサ2に許容される所定の電圧低下値ΔVsとは、コンデンサ2が診断のため所定の時間放電されても、コンデンサ2が本来の操作に必要な容量が確保されていることをいう。ただし、放電抵抗4aには、コンデンサ2の漏れ電流(自己放電電流)に対して大きい電流を流し、コンデンサ容量の計測時の漏れ電流の影響を小さくする。これにより、測定誤差が低減され、容量診断の精度の向上が図れる。
【0034】
放電抵抗4の抵抗Rdは式(2)を満たすように設定される。
Id=Vc/Rd>Is (2)
ここで、Vcは充電時のコンデンサの電圧、Idは放電電流である。例えば、自己放電電流に対して容量診断時の放電電流を100倍に設定することにより、測定誤差に与える影響は1%以下と実用上問題ないレベルまで大幅に低減することが可能となる。
【0035】
コンデンサの本来の駆動操作に支障を及ぼさないコンデンサ容量が適であるとされる診
断時の許容電圧低下値ΔVsは、充電コンデンサ電圧Vcの数%程度とされる。したがっ
て、容量診断時に適とされるコンデンサの放電による電圧低下値がΔVsの範囲内となる
よう所定の時間tは決定される。このため、抵抗分圧回路5のA点での電圧変化が小さい
ため、増幅器6aによる電圧増幅を行うことが望ましい。
【0036】
本実施の形態の電力用コンデンサの監視装置100は、診断時にコンデンサによる動作に支障を及ぼさない範囲での放電による電圧低下となるよう所定の放電抵抗、時間内で測定を実施し、許容電圧低下値ΔVsに基づき判断することで、コンデンサ本来の動作が可能となる効果を有し、コンデンサの運用中もコンデンサ容量の適否の診断により異常判定できる。
【0037】
一方、コンデンサ容量が良とされた場合には、診断回路7は、測定された電圧低下値ΔVに基づき演算されるコンデンサ2のコンデンサ容量を、子極20を介してデータ処理部40に伝送する。データ処理部40は、診断部10の診断時のコンデンサ容量として、寿命予測用記憶部4に記憶させる。
【0038】
図4は、寿命予測用記憶部30における、コンデンサ容量の保存データイメージを示す。例えば、図4に示すように、保存したデータを日単位で行毎に保存する。図4において、1列目には、測定した日付として年月日41を保存する。2列目以降には、各診断部が計測したコンデンサ容量の一日の平均値42を保存する。
【0039】
次に、図5のフローチャートに従い、本発明の実施の形態における電力用コンデンサの監視装置100の動作について説明する。まず、各診断部10では、診断回路7は、定時間毎に計測部7aによりコンデンサ2の所定の電圧低下値ΔVを測定し、コンデンサ容量Cを演算する。(ステップS501)。
【0040】
例えば、1時間毎に、1日につき24回、コンデンサ2の所定の電圧低下値ΔVの測定を行い、診断回路7は、予め異常診断用記憶部7bに記憶する基準の電圧低下値ΔVsより低下しているか否かを判断する。
【0041】
測定された電圧低下値ΔVが基準値を越える電圧低下値ΔVs以上である場合には、コンデンサ容量が否と判定され、診断回路7は、計測部7aから警報器8に信号を送り、警報器8により警報を発する。
【0042】
測定された電圧低下値ΔVが基準値を越える電圧低下値ΔVs以内である場合には、コンデンサ容量が適と判定され、測定された電圧低下値ΔVからコンデンサ容量Cを演算し、異常診断用記憶7bに記憶させる。
【0043】
次いで、診断回路7は、日替わりチェックを行う(ステップS502)。日替わりチェックの直前に記憶した測定値の測定が、一日の最後の測定でなければ、定時間毎に測定を繰り返す(ステップS501)。
【0044】
日替わりチェックの直前に記憶した測定値の測定が、一日の最後の測定であれば、診断回路7は、異常診断用記憶7bに記憶するコンデンサ容量Cの最大及び最小のそれぞれ3回を除いた計18回の平均値を演算し(ステップS503)、日替わり時に、その日一日のコンデンサ容量の平均測定値として子局20に送信する。
【0045】
続いて、データ処理部40は、日替わり時に、子局20を経由して各診断部10からの一日のコンデンサ容量の平均測定値を取得し、警報チェックを行う(ステップS504)。
【0046】
すべての各診断部10でコンデンサ容量の平均値が寿命判断のしきい値以上と判断した場合は、データ処理部40は、そのまま各診断部10のコンデンサ容量を寿命予測用記憶部30に記憶させ(ステップS505)、ステップS501乃至S505を繰り返してコンデンサ容量を蓄積し、監視を継続する。
【0047】
いずれかの診断部10でコンデンサ容量の平均値が寿命判断のしきい値より低下したと判断した場合、データ処理部40は、表示部50に寿命判断のしきい値より低下した診断部10の警報表示を行った後(ステップS506)、コンデンサ容量の平均値を寿命予測用記憶部30に記憶させ(ステップS505)、寿命判断のしきい値より低下していない診断部10についてステップS501乃至S505を繰り返してコンデンサ容量を蓄積し、監視を継続する。
【0048】
図6に、表示部50に表示するコンデンサ容量の警報表示画面600の一例を示す。図6では、診断部10でコンデンサ容量の平均値が寿命判断のしきい値より低下した遮断器のアラーム表示領域60に表示されている警報項目61、62の文字を、例えば、色反転して表示し、劣化状態を警告する。
【0049】
劣化状態は、例えば、軽故障の判定のしきい値を下回った場合は、軽故障の警報項目61を橙色に反転表示し、重故障の判定のしきい値を下回った場合、重故障の警報項目62を赤色に反転表示してもよい。
【0050】
本実施の形態の電力用コンデンサの監視装置100は、データ処理部40により、診断時にコンデンサによる動作に支障を及ぼさない範囲で電圧低下値ΔVを測定し、測定した電圧低下値ΔVから演算したコンデンサ電圧と寿命判断データとを比較することで、運転中の機器を停止することなくコンデンサの寿命時期到来有無を判断できる。
【0051】
さらに、データ処理部40は、寿命に至っていない診断部10でコンデンサ容量の平均値の監視を継続し、長期間(例えば、1年分、10年分)のコンデンサ容量の平均値を診断部10から取得し、寿命予測用記憶部30に記憶させ、コンデンサ容量の変化をトレンドデータとして蓄積させる。データ処理部40は、表示部50に、このトレンドデータを表示させる。
【0052】
図7は、表示部50に表示するコンデンサ容量のトレンド表示画面700の一例を示す。図7では、トレンドグラフ表示領域70に、開極用のコンデンサ2a及び閉極用のコンデンサ2bのそれぞれのコンデンサ容量の経時変化を表すトレンドグラフ71、72が表示されている。
【0053】
また、トレンドグラフ表示領域70には、寿命判断データとして、コンデンサ2の軽故障判断のしきい値のグラフ73及び重故障判断のしきい値のグラフ74が表示されている。軽故障判断のしきい値のグラフ73は、例えば、橙色の線で表示し、重故障判断のしきい値のグラフ74は赤色の線で表示する。
【0054】
このトレンドグラフの傾向から、寿命判断のしきい値と比較して異常発生や寿命時期をあらかじめ把握したり、部品交換タイミングを予測することができる。
【0055】
電力用機器である真空遮断器の電磁操作機構の電源として使用されるコンデンサは、必要とされるコンデンサ容量が大きいため、コンデンサ自体も大きくなり、交換に要する時間が長くなる上、コンデンサ交換中は真空遮断器が動作しないことから交換は計画的に行う必要がある。
【0056】
本実施の形態の電力用コンデンサの監視装置100は、データ処理部40により、寿命予測用記憶部30にトレンドデータを蓄積させ、コンデンサ容量の変化の推移を把握することで、運転中の機器を停止することなくコンデンサ寿命到来の時期を予測することができ、計画的な部品交換が可能となる。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、電力用コンデンサの監視装置100のデータ処理部40は、診断部10により診断時にコンデンサによる動作に支障を及ぼさない範囲で電圧低下値ΔVを測定し、測定した電圧低下値ΔVから演算したコンデンサ電圧と予め寿命予測用記憶部30に記憶する寿命判断のしきい値とを比較するようにしたので、運転中の機器を停止することなくコンデンサの寿命時期到来有無を判断できる。
【0058】
また、データ処理部40により、寿命予測用記憶部30に診断部10から取得した診断時のコンデンサ容量をトレンドデータとして蓄積させるようにしたので、コンデンサ容量の変化の推移を把握することで、運転中の機器を停止することなくコンデンサ寿命到来の時期を予測することができ、計画的な部品交換が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
2 コンデンサ
3 電源
4a 放電抵抗
4b 放電スイッチ
7 診断回路
5 抵抗分圧回路
6 測定回路
10 診断部
30 寿命予測用記憶部
40 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された放電回路と放電スイッチとを電磁操作機構に配設するコンデンサに並列し、電源からの前記コンデンサへの充電を停止し前記放電回路の前記放電スイッチを動通させることにより、前記コンデンサに充電されたエネルギを前記電磁操作機構の動作が可能な電圧低下値の範囲内で放電させ、前記放電による前記コンデンサの電圧低下値を測定回路により測定し、前記電圧低下値に基づき測定時の前記コンデンサのコンデンサ電圧を演算する診断部と、
前記コンデンサの寿命判断のしきい値を含む寿命データを予め記憶する第一の記憶部と、
前記診断部で演算する前記コンデンサ電圧と前記第一の記憶部に記憶する前記コンデンサの寿命判断のしきい値とを比較して前記コンデンサの寿命を判断する寿命判断部とを備える電力用コンデンサの監視装置。
【請求項2】
測定回路は、直列に接続された第一の抵抗と第二の抵抗とをコンデンサに並列に接続される抵抗分圧回路と、前記第一の抵抗と前記第二の抵抗との分圧点の電圧を増幅する増幅回路とからなることを特徴とする請求項1に記載の電力用コンデンサの監視装置。
【請求項3】
診断部は、コンデンサの電圧低下値を所定時間毎に測定し、前記所定時間ごとに測定した前記電圧低下値に基づき演算するコンデンサ電圧を記憶する第二の記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力用コンデンサの監視装置。
【請求項4】
寿命判断部は、診断部により演算されたコンデンサ容量を所定時間毎に第一の記憶部にトレンドデータとして蓄積し、前記第一の記憶部に記憶する前記トレンドデータと前記コンデンサの寿命判断のしきい値とを比較して前記コンデンサの寿命を予測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力用コンデンサの監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−174797(P2011−174797A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38683(P2010−38683)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】