説明

電力管理装置、蓄電装置及び表示システム

【課題】太陽電池の発電状況に応じたスイッチ制御をシンプルな構成で実現できる電力管理装置を提供する。
【解決手段】電力管理装置であって、太陽電池から当該電力管理装置への電力供給または遮断を切替えるスイッチと、外光の照度を検出する照度検出部からの照度情報に基づいて前記スイッチを切替え制御する制御部と、を備える電力管理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理を行う電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージと呼ばれる、屋外等に配置され、広告や様々な情報を表示する大型の表示装置が普及しつつある(特許文献1、2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294284号公報
【特許文献2】特開2009−296105号公報
【特許文献3】英国特許出願公開第2453723号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、出願人は、太陽電池を備えた表示システムをデジタルサイネージ用に開発中である(例えば、特願2010−147775(2010年6月3日出願)、特願2010−266333(2010年11月30日出願))。このシステムでは、表示装置(大型モニタ)の上部に太陽電池を設け、表示装置と太陽電池が一体化した構成となっている。また、該システムでは、昼間に太陽電池で発電した電力を夜間に利用できるよう、蓄電池ユニットも搭載している。
【0005】
ここで、上記表示システムにおいては、昼間・夜間で制御を切り替える必要がある。昼間・夜間を判断する手法としては、太陽電池からの出力電流等を監視してスイッチを切替えることも可能であるが、回路や制御が複雑化してしまう。または、タイマーを用いて現在時刻から昼間・夜間を判断することも考えられるが、季節や表示システムの設置場所により日の出時刻、日の入り時刻が変化するので、あらかじめ煩雑な設定が必要である。
【0006】
そこで、本発明は、太陽電池の発電状況に応じたスイッチ制御をシンプルな構成で実現できる電力管理装置、これを備える蓄電装置及び表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電力管理装置は、
電力管理装置であって、
太陽電池から当該電力管理装置への電力供給または遮断を切替えるスイッチと、
外光の照度を検出する照度検出部からの照度情報に基づいて前記スイッチを切替え制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る蓄電装置は、上記構成の電力管理装置と、前記電力管理装置により充電が行われる蓄電池と、を同一の筐体内部に備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る表示システムは、上記構成の電力管理装置と、前記太陽電池と、前記電力管理装置により充電が行われる蓄電池と、前記電力管理装置から電力供給される表示装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、太陽電池の発電状況に応じたスイッチ制御をシンプルな構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示システムの昼間の動作状態を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る表示システムの夜間の動作状態(バッテリ残容量が満充電状態の場合)を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る表示システムの夜間の動作状態(バッテリ残容量が枯渇状態の場合)を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る表示システムの夜間の動作状態(バッテリ残容量が中間状態の場合)を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る蓄電装置の背面図を示す。
【図6】蓄電装置における配線板取付部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る表示システム100の構成を図1に示す。なお、後述する図2〜図4に示す表示システム100は、図1に示す表示システム100とスイッチの状態が異なるだけであり、同一のものである。
【0013】
表示システム100は、太陽電池1と、AC/DCコンバータ2と、PMU(Power Management Unit)3と、保護ユニット4と、バッテリ5と、インバータ6と、表示装置7と、照度センサー8A〜8Eを備えている。AC/DCコンバータ2には、商用交流電源50が接続される。
【0014】
表示システム100のうち、AC/DCコンバータ2、PMU3、保護ユニット4、バッテリ5及びインバータ6は、同一の箱型の筐体内に収められて蓄電装置を構成する。なお、表示システム100のうち、太陽電池1、照度センサー8A〜8E及び表示装置7は、例えば公園、バス停等の公共交通機関の停留所などの屋外に設置され、上記蓄電装置は表示装置7等から離れた屋内に設置される。
【0015】
ここで、図5に、蓄電装置の背面図を示す。箱型の筐体の一部をなす背面扉61には、前面側(図5の紙面奥側)に凹んだ配線板取付部64が設けられる。そして、筐体内部側から配線板(不図示)が配線板取付部64に取り付けられ、配線板が有する各種コネクタが配線板取付部64に形成された孔部から背面側に露出する。該各種コネクタは、照度センサー用コネクタ62、DC出力用コネクタ63、RS−485コネクタ65及び太陽電池用コネクタ66である。図6に、配線板取付部64の拡大図を示す。
【0016】
照度センサー用コネクタ62は、照度センサー8A〜8E(図1)を接続するためのコネクタである。DC出力用コネクタ63は、インバータ6に接続される不図示のAC/DCコンバータの直流出力を蓄電装置外部へ取り出すためのコネクタである。DC出力用コネクタ63は、表示装置7(図1)を冷却するためのファンを駆動するのに用いられる。RS−485コネクタ65は、外部のPCを接続するためのコネクタであり、接続によりPMU3から動作状態をPCへ通知するなどができる。太陽電池用コネクタ66は、太陽電池1(図1)を接続するためのコネクタである。
【0017】
PMU3は、充電回路31と、制御部32と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、第4スイッチSW4と、第5スイッチSW5を有している。第1スイッチSW1〜第5スイッチSW5は、例えばMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子である。
【0018】
第1スイッチSW1は、太陽電池1から充電回路31への電力供給または遮断を切替える。第2スイッチSW2は、充電回路31からバッテリ5への電力供給または遮断を切替える。第3スイッチSW3は、バッテリ5から表示装置7が接続されるインバータ6への電力供給または遮断を切替える。第4スイッチSW4は、商用交流電源50が接続されるAC/DCコンバータ2から充電回路31への電力供給または遮断を切替える。第5スイッチSW5は、AC/DCコンバータ2からインバータ6への電力供給または遮断を切替える。
【0019】
太陽電池1は、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力(例えば100V)を第1スイッチSW1を介して充電回路31に供給する。AC/DCコンバータ2は、商用交流電源50から供給される交流電力を直流電力(例えば60V)に変換し、直流電力を第4スイッチSW4を介して充電回路31に供給する。なお、太陽電池1及びAC/DCコンバータ2から充電回路31への入力系統は1系統である。
【0020】
充電回路31は、太陽電池1またはAC/DCコンバータ2から供給される直流電力を第2スイッチSW2及び保護ユニット4を介してバッテリ5へ充電させる。充電回路31は、バッテリ5の定格電圧及び定格電流に応じた定電圧(例えば50V程度)及び定電流を出力する機能を有している。保護ユニット4は、バッテリ5の過充電状態、過放電状態等を検知すると、バッテリ5を電力ラインから遮断してバッテリ5を保護する機能を有する。また、保護ユニット4は、サージ電圧を検知すると、バッテリ5を電力ラインから遮断する機能も有している。バッテリ5は、例えば複数本のリチウムイオン電池から構成される。
【0021】
バッテリ5に充電された直流電力は、保護ユニット4及び第3スイッチSW3を介してインバータ6に放電される。また、充電回路31が出力する直流電力は、第2スイッチSW2、保護ユニット4及び第3スイッチSW3を介してインバータ6に供給される。
【0022】
インバータ6は、供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力を負荷としての表示装置7に供給する。表示装置7は、例えば液晶表示装置であり、例えば広告情報、ニュース及び交通機関情報などの各種情報を表示する。
【0023】
また、AC/DCコンバータ2が出力する直流電力は、第5スイッチSW5を介して直接的にインバータ6に供給することもできる。
【0024】
外光の照度を検出する五つの照度センサー8A〜8Eは、太陽電池1の近傍に設けられ、検出した照度情報を制御部32に送る。制御部32は、例えばマイコンで構成され、照度センサー8A〜8Eからの照度情報及びバッテリ5からの残容量情報に基づいて第1スイッチSW1〜第5スイッチSW5をオンオフ制御する。
【0025】
このように照度センサーの出力を用いて各スイッチを切替える構成を採ることで、太陽電池からの出力電流等を監視して切替える構成よりもシンプルな構成でのスイッチ制御が可能となる。
【0026】
次に、このような構成である表示システム100の動作について図1〜図4を用いて説明する。
【0027】
<昼間の動作>
制御部32は、照度センサー8A〜8Eからの照度情報に基づいて現在が昼間か夜間かを判断する。制御部32は、照度センサー8A〜8Eからのそれぞれの照度情報が示す照度レベルを所定の閾値と比較し、閾値以上である照度情報の数がそうでない照度情報の数より多ければ、現在は昼間であると判断し、閾値以上である照度情報の数がそうでない照度情報の数より少なければ、現在は夜間であると判断する。なお、ここで昼間とは、晴天の場合以外に曇天、雨天の場合も含む。
【0028】
このような判断方法によれば、例えば昼間の場合に五つの照度センサーのうち或る一つの照度センサーがたまたま影に入ってしまったときでも、四つの照度センサーにより検出される照度レベルはいずれも閾値以上となるので、昼間であると正しく判断できる。また、或る一つの照度センサーが汚れており検出される照度レベルが小さくなった場合でも、正しく判断することができる。
【0029】
制御部32は、昼間であると判断した場合、図1に示すように第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオンとし、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5をオフとする。
【0030】
これにより、負荷としての表示装置7を駆動させる場合、太陽電池1が発電して充電回路31から出力される電力のうち、表示装置7の駆動に必要な電力がインバータ6に供給され、残りの電力はバッテリ5に充電される。但し、太陽電池1の発電量が低く、充電回路31から出力される電力が表示装置7の駆動に必要な電力より小さい場合は、充電回路31からインバータ6へ電力が供給されると共に、バッテリ5からインバータ6へ放電される。なお、表示装置7が駆動を停止している場合は、充電回路31から出力される電力は表示装置7への行き場を失って全てバッテリ5に充電される。
【0031】
なお、昼間の場合でも曇天または雨天が長く続くと、太陽電池1の発電量が低い状態が長く続くので、上述のようにバッテリ5からの放電が続くことになり、そのままの状態ではバッテリ5が枯渇して表示装置7の駆動に支障をきたす。そこで、バッテリ5の残容量がゼロに近い所定の閾値(例えば10%)以下になったことを制御部32がバッテリ5からの残容量情報から検知すると、図1のスイッチ状態から第5スイッチSW5をオンとすると共に、第3スイッチSW3をオフとする。これにより、太陽電池1が発電した電力を全てバッテリ5に充電させつつ、第5スイッチSW5のオンによって表示装置7を商用電源50により安定して駆動することができる。
【0032】
<夜間の動作>
ここでは、上述した昼間の動作を前提とした夜間の動作について説明する。制御部32は、照度センサ8A〜8Eからの照度情報に基づいて現在が夜間であると判断した場合、さらにバッテリ5からの残容量情報よりバッテリ5の残容量が満充電状態、中間状態または枯渇状態のいずれであるかを判定する。例えば、残容量が80%以上であれば満充電状態、残容量が20%以上かつ80%より小さければ中間状態、残容量が20%より小さければ枯渇状態であると判定する。
【0033】
バッテリ5の残容量が満充電である場合は、制御部32は、図2に示すように、第1スイッチSW1、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5をオフとし、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオンとする。なお、第2スイッチSW2はオフとしてもよい。
【0034】
これにより、バッテリ5が充電されて満充電となると、バッテリ5の放電のみによりインバータ6へ電力が供給される。従って、昼間に太陽電池1の発電によりバッテリ5に充電された電力を使用し、商用交流電源50の電力を使用することなく表示装置7を駆動できる。
【0035】
なお、第4スイッチSW4をオンとして第2スイッチSW2をオフとしても同様の効果は得られるが、その場合は充電回路31に電力が供給されて無駄な電力が消費されてしまうので、これを防ぐため本実施例では第4スイッチSW4をオフとしている。
【0036】
もしバッテリ5の残容量が枯渇状態である場合は、制御部32は、図3に示すように、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオフとし、第2スイッチSW2、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5をオンとする。
【0037】
これにより、商用交流電源50から供給されて充電回路31が出力する電力の全てがバッテリ5に充電される。それと共に、商用交流電源50から供給される電力が第5スイッチSW5を介してインバータ6へ供給される。従って、夜間で且つバッテリ5の残容量が枯渇状態の場合でも、バッテリ5を充電しつつ、表示装置7へ電力を供給して表示装置7の駆動を継続することができる。また、夜間は電力料金が安いので、商用交流電源50から供給される電力を使用して表示装置7を駆動しても問題はない。
【0038】
もしバッテリ5の残容量が中間状態である場合は、制御部32は、図4に示すように、第1スイッチSW1及び第5スイッチSW5をオフとし、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4をオンとする。
【0039】
これにより、商用交流電源50から供給されて充電回路31が出力する電力のうち、表示装置7の駆動に必要な電力はインバータ6へ供給され、残りの電力がバッテリ5に充電される。従って、夜間で且つバッテリ5の残容量が中間状態の場合に、バッテリ5を充電しつつ、表示装置7へ電力を供給して表示装置7の駆動を継続することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変形が可能である。
【0041】
例えば、上述の実施形態では照度センサーは五つとしたが、一つであってもよいし、二つ以上としてもよい。
【0042】
また、PMU3にRS−485などのシリアルインタフェースを設けて、このシリアルインタフェースに外部のPCを接続し、PMU3の制御部32からPCへPMU3の動作状況を通知するようにしてもよい。動作状況とは、例えば各スイッチのオンオフ状態など
が挙げられる。
【0043】
また、上記実施例の昼間の動作において、バッテリ5の残容量がゼロに近い所定の閾値として10%としたが、この値に限ることはない。また、上記実施例の夜間の動作において、バッテリ5の残容量の状態を判定する閾値として80%と20%としたが、これらの値に限ることはない。
【0044】
また、夜間の動作において、一つのみの閾値を用いて満充電状態か枯渇状態であるかのみを判定して、スイッチ制御してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 太陽電池
2 AC/DCコンバータ
3 PMU(電力管理装置)
4 保護ユニット
5 バッテリ
6 インバータ
7 表示装置
8A〜8E 照度センサー
31 充電回路
32 制御部
50 商用交流電源
100 表示システム
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
SW4 第4スイッチ
SW5 第5スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力管理装置であって、
太陽電池から当該電力管理装置への電力供給または遮断を切替えるスイッチと、
外光の照度を検出する照度検出部からの照度情報に基づいて前記スイッチを切替え制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記照度検出部は複数設けられ、
前記制御部は、前記照度検出部からの照度情報が示す照度レベルが高い数が低い数よりも多い場合は昼間であると判断し、そうでない場合は夜間であると判断することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力管理装置と、前記電力管理装置により充電が行われる蓄電池と、を同一の筐体内部に備えることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力管理装置と、前記太陽電池と、前記電力管理装置により充電が行われる蓄電池と、前記電力管理装置から電力供給される表示装置と、を備えることを特徴とする表示システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90346(P2013−90346A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225474(P2011−225474)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】