説明

電力管理装置

【課題】 非常時においても車両によって移動可能な状況を確保しつつ、電気自動車から住宅へ電力を供給できる電力管理装置を提供する。
【解決手段】 電力管理装置は、電気機器22を含む住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理するため、住宅の住人が利用可能な車両を検知する車両検知部26を備え、制御部24は、車両検知部26により検知された車両の有無に応じて、電気自動車1から住宅システム2に供給する電力を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車から住宅に電力を供給する技術としては、下記の特許文献1のような電力マネジメントシステムが知られている。この電力マネジメントシステムは、日常の車両走行によるバッテリ消費を学習し、学習結果を基に、電気自動車に確保すべき電力量を決定している。また、この電力マネジメントシステムは、深夜時間帯に電気自動車に対して充電を行い、深夜時間帯以外に確保電力量を残しながら住宅へ電力供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−8380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電力マネジメントシステムは、非常時など、予期せずに電気自動車の走行が必要な場合に、確保電力量が電気自動車に残っているものの、これだけの確保電力量では走行できなくなる可能性がある。これに備るため、非常時を鑑みて常に一定量の充電レベルを確保すると、電気自動車からバッテリへ供給できる電力量が少なくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、非常時においても車両によって移動可能な状況を確保しつつ、電気自動車から住宅へ電力を供給できる電力管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する第1の態様に係る電力管理装置は、電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、住宅の住人が利用可能な車両を検知する車両検知部と、車両検知部により検知された車両の有無に応じて、電気自動車から住宅に供給する電力を決定する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
第1の態様に係る電力管理装置であって、第2の態様は、電力制御部が、車両検知部により検知された車両の有無に応じて、電気自動車の充電レベルの下限値を切り換え、当該充電レベルの下限値に至るまで、電気自動車から住宅に電力を放電させることを特徴とする。
【0008】
第1の態様に係る電力管理装置であって、第3の態様は、車両検知部が、センサ機器により車両の有無を検知することを特徴とする。
【0009】
第1の態様に係る電力管理装置であって、第4の態様は、車両検知部が、車両との間の通信によって車両の有無を検知することを特徴とする。
【0010】
第1の態様に係る電力管理装置であって、第5の態様は、車両検知部が、利用者に操作される操作部により車両の有無を検知することを特徴とする。
【0011】
第1の態様に係る電力管理装置であって、第6の態様は、車両が電気自動車である場合に、車両検知部が、当該電気自動車の行う充放電用の通信接続に基づいて車両の有無を検知することを特徴とする。
【0012】
第1乃至第6の何れかの態様に係る電力管理装置であって、第7の態様は、電力制御部が、前記車両検知部により検知された車両の走行可能距離を算出し、算出された走行可能距離に応じて、前記電気自動車から住宅への供給電力を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両検知部により検知された他車両の有無に応じて、電気自動車から住宅に供給する電力を決定するので、緊急時の走行手段を確保しつつ、電気自動車から住宅に電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態として示す電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて、(a)は他車両が存在する場合の充電レベルの変化であり、(b)は他車両が存在しない場合の充電レベルの変化である。
【図3】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおけるEV蓄電池に対する充放電の制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいてEV蓄電池の充電レベルの下限値の決定処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて他車両の有無を判断する処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて他車両の有無を判断する他の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて他車両の有無を判断する他の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて他車両の有無を判断する他の処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおいて、EV蓄電池の充電レベルの下限値を決定する他の処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおいて、EV蓄電池の充電レベルの下限値を決定する他の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の実施形態として示す電力供給システムは、例えば図1に示すように構成される。この電力供給システムは、電気自動車(EV)1、住宅システム2を含む。住宅システム2は、電力系統3と接続されている。この電力供給システムは、電気自動車1が電力ケーブルを介して住宅システム2と電気的に接続が可能である。
【0017】
この電力供給システムは、住宅システム2が電力系統3から電力(以下、系統電力と呼ぶ。)が供給され、当該系統電力を住宅の家電製品等の負荷機器(電気機器)22に供給する。また、この電力供給システムは、電力系統3から住宅システム2に供給された系統電力を電気自動車1に供給可能となっている。更に、この電力供給システムは、電気自動車1に蓄えられた電力を住宅システム2の負荷機器22に供給可能である。
【0018】
電気自動車1は、EV蓄電池11、蓄電池情報記憶部12、及び、通信部13を含む。
【0019】
EV蓄電池11は、電気自動車1に搭載された蓄電池である。EV蓄電池11は、電気自動車1が走行するために、電力を蓄積する。この電力は、住宅システム2から供給されてEV蓄電池11に蓄電され、電気自動車1の走行に応じて消費される。また、この電力は、電気自動車1が住宅システム2以外の電気スタンド等でも充電可能である。
【0020】
蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11の蓄電池情報として、充電レベル(例えば、SOC:State Of Charge)を記憶している。蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11に対する充電及び放電に応じて、充電レベルを更新する。
【0021】
通信部13は、住宅システム2の通信部25との間で通信信号の授受を行う。通信部13は、住宅システム2の通信部25に対して蓄電池情報記憶部12に記憶している蓄電池情報を送信する。通信部25は、電気自動車1と住宅システム2とを接続する電力ケーブルに内蔵された通信ケーブルを介して通信を行ってもよく、無線通信によって通信を行ってもよい。
【0022】
住宅システム2は、分電盤21、負荷機器22、充放電コンバータ23、制御部24、通信部25、及び、車両検知部26を含む。
【0023】
充放電コンバータ23は、電力ケーブルを介して電気自動車1と電気的に接続される。充放電コンバータ23は、電気自動車1と接続された場合に、制御部24の制御に従って、当該電気自動車1との間で電力を授受する。充放電コンバータ23は、DC−DC変換回路と、AC−DC変換回路とを含む。充放電コンバータ23は、住宅システム2に適した電圧と電気自動車1のEV蓄電池11に適した電圧との間でAC/DC変換を行う。例えば、住宅システム2に適した電圧は100Vの交流電圧である。例えば、電気自動車1におけるEV蓄電池11の充放電に適した電圧は300V〜400Vの直流電圧である。
【0024】
分電盤21は、負荷機器22、電力系統3及び充放電コンバータ23と接続されている。分電盤21は、分岐回路やリレー、ブレーカ等を備える。分電盤21は、電力系統3から供給された系統電力を分岐して、負荷機器22に供給する。また、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11に対して充電を行う場合に、充放電コンバータ23に電力を供給する。更に、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11から放電された電力が充放電コンバータ23を介して供給された場合、当該EV蓄電池11から放電された電力を負荷機器22等に分岐する。
【0025】
なお、分電盤21には、太陽電池や燃料電池が接続されていてもよい。分電盤21は、太陽電池や燃料電池によって電力が生成された場合に、負荷機器22や充放電コンバータ23に分岐することができる。
【0026】
負荷機器22は、住宅システム2における各種の家電機器である。
【0027】
制御部24は、負荷機器22を含む住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理する電力管理装置の電力制御部として機能する。制御部24には、車両検知部26と通信部25とが接続されている。
【0028】
車両検知部26は、住宅の住人(利用者)が利用可能な車両を検知する電力管理装置の車両検知部として機能する。特に、車両検知部26は、電気自動車1以外の住宅の住人が利用できる車両を検出する。なお、以下の説明において、制御対象の電気自動車1以外の車両検知部26により検出された車両を、「他車両」と呼ぶ。つまり、車両検知部26は、住宅システム2に電気的に接続された電気自動車1のみならず、他車両を検知可能となっている。車両検知部26は、電気自動車1の代わりになることができる移動手段であれば、他車両として住宅システム2に接続されていない電気自動車1を検知するものであってもよい。例えば、電気自動車ではないガソリン車やガス車、二輪車等や、住宅敷地内にはない住人の車両も、車両検知部26の検知対象の他車両としてもよい。なお、車両検知部26の具体的な構成については後述する。
【0029】
制御部24は、車両検知部26により検知された他車両の有無に応じて、電気自動車1から住宅システム2に供給する電力を決定する電力制御部として機能する。制御部24は、非常時においても車両によって移動可能な状況を確保しつつ、電気自動車1から住宅へ電力を供給できるように制御を行う。すなわち、車両検知部26によって他車両が検知された場合には、他車両が検知されない場合よりも多くの電力を電気自動車1から住宅システム2に供給する。一方、車両検知部26によって他車両が検知されない場合には、他車両が検知された場合よりも少ない電力を電気自動車1から住宅システム2に供給する。なお、具体的な動作については後述する。
【0030】
以上のように、この電力供給システムは、車両検知部26により検知された他車両の有無に応じて、電気自動車1から住宅に供給する電力を決定するので、緊急時の走行手段を確保しつつ、電気自動車1から住宅システム2に電力を供給できる。
【0031】
つぎに、上述した電力供給システムにおける具体的な動作について説明する。
【0032】
電力供給システムは、他車両の有無に応じてEV蓄電池11の充電レベルの下限値を切り換え、当該充電レベルの下限値に至るまで、電気自動車1から住宅に電力を放電させる。具体的には、他車両が存在している場合には図2(a)に示すように、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を低く制御する。一方、他車両が存在していない場合には図2(b)に示すように、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を高く制御する。以下、図3を参照して、EV蓄電池11に対する充放電の制御について説明する。
【0033】
電力供給システムは、図3に示すような動作を行って、電気自動車1から住宅システム2に電力を供給する。なお、予め設定した所定時間毎にステップS1が実施される。
【0034】
先ずステップS1において、制御部24は、図示しないタイマを参照し、現在が夜間時間帯か否かを判定する。この夜間時間帯は、予めユーザ等によって設定されている。現在が夜間時間帯である場合にはステップS2に処理を進め、そうでない場合にはステップS3に処理を進める。
【0035】
ステップS2において、制御部24は、EV蓄電池11が満充電となるように充電を実施する(図2(a)、(b)を参照)。このとき、制御部24は、充放電コンバータ23から電気自動車1に対して所定電圧値の直流電圧を供給する。電気自動車1は、直流電圧が供給されたことに応じて、EV蓄電池11に充電を行う。
【0036】
ステップS3において、電気自動車1の通信部13はEV蓄電池11の充電レベルを検出し、住宅システム2の通信部25に送信する。制御部24は、通信部13と通信部25との通信によって、EV蓄電池11の充電レベルを検出する。
【0037】
次のステップS4において、制御部24は、ステップS3にて検出した充電レベルが所定の下限値より高いか否かを判定する。充電レベルが所定の下限値よりも高い場合、ステップS5に処理を進め、そうでない場合にはステップS6に処理を進める。この所定の下限値は、後述する図4を参照して説明する。
【0038】
ステップS5において、制御部24は、予め設定された下限値までEV蓄電池11の電力の放電を実施させる。このとき、制御部24は、充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11から電力を取り出す。これによって、充放電コンバータ23は、EV蓄電池11からの放電電力を所定の交流電力に変換して、分電盤21から負荷機器22に供給可能とする。
【0039】
ステップS6において、制御部24は、予め設定された下限値までEV蓄電池11に対して充電を実施させる。このとき、制御部24は、充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11に対して直流電圧を供給させる。充放電コンバータ23は、制御部24の制御に従って、分電盤21から系統電力を取り出し、所定の直流電圧に変換して、EV蓄電池11に供給する。
【0040】
図4に、所定の下限値の決定処理を示す。この所定の下限値の決定処理は、予め設定した所定時間毎にステップS11が実施される。
【0041】
先ずステップS11において、制御部24は、車両検知部26の検知結果に基づいて、電気自動車1以外の他車両が在宅するか否かを判定する。電気自動車1以外の他車両が存在する場合にはステップS12に処理を進め、そうでない場合にはステップS13に処理を進める。
【0042】
ステップS12において、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を、所定値A(低レベル)に設定する。ステップS13において、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を、所定値B(高レベル)に設定する(図2(b)を参照)。
【0043】
図2(a)に示すようにEV蓄電池11の充電レベルの下限値を所定値Aに設定した場合、上述した図3のステップS4における下限値が、低レベルの所定値Aとなる。したがって、電力供給システムは、ステップS5において、EV蓄電池11の充電レベルが所定値Aといった低レベルとなるまでEV蓄電池11の電力を放電できる。一方、電力供給システムは、ステップS6において、EV蓄電池11の充電レベルが所定値Aといった低レベルとなるまでEV蓄電池11を充電すればよい。
【0044】
図2(b)に示すようにEV蓄電池11の充電レベルの下限値を所定値Bに設定した場合、上述した図3のステップS4における下限値が、高レベルの所定値Bとなる。したがって、電力供給システムは、ステップS5において、EV蓄電池11の充電レベルが所定値Bといった高レベルまでしかEV蓄電池11の電力を放電できない。一方、電力供給システムは、ステップS6において、EV蓄電池11の充電レベルが所定値Aといった高レベルとなるまでEV蓄電池11の充電が必要となる。
【0045】
以上のように、この電力供給システムによれば、上述と同様に、緊急時の走行手段を確保しつつ、電気自動車1から住宅システム2に電力を供給できる。すなわち、電気自動車1以外の他車両が存在しない場合にはEV蓄電池11の充電レベルを大きく確保して、緊急時の走行手段を確保できる。一方、他車両が存在する場合には、EV蓄電池11から住宅システム2への供給電力を大きくできる。これにより、EV蓄電池11の充電時間(夜間時間帯)以外では、電力系統3の系統電力を使用することなく、EV蓄電池11の電力を使用でき、住宅システム2における電力コストを削減できる。また、住宅システム2において利用する電力のピークをシフトする効果を大きくできる。
【0046】
なお、上述した電力供給システムでは、電気自動車1の制御部24によって充放電コンバータ23の動作を制御して、EV蓄電池11の充電レベルを制御したが、住宅システム2以外にコントローラとしての制御部24を設けてもよい。例えば、制御部24の機能を電気自動車1に搭載してもよい。
【0047】
また、上述した電力供給システムでは、夜間時間帯に充電して夜間時間帯以外に放電するものとしたが、太陽電池や燃料電池などの発電装置を備えるものとして、発電電力の余剰分で充電し、発電電力が不足する際に放電するものとしてもよい。
【0048】
つぎに、上述した電力供給システムにおける他の構成について説明する。
【0049】
電力供給システムにおいて、図5に示すように、車両検知部26は、センサ機器26bより他車両の有無を検知してもよい。この車両検知部26は、センサ機器26bと、当該センサ機器26bと接続された車両有無判断部26aとを含む。
【0050】
センサ機器26bは、例えば住宅の駐車スペースやガレージに設けられた赤外線センサや人感センサ等が使用される。車両有無判断部26aは、センサ機器26bの検出出力に応じて、電気自動車1以外に住人が利用可能な他車両の有無を検出する。これにより、電力供給システムは、制御部24によって電気自動車1以外の他車両の有無を検出することができる。
【0051】
この電力供給システムにおける他車両の有無判断は、図6に示すように、先ずステップS21において、車両有無判断部26aは、センサ機器26bのセンサ出力を検出する。
【0052】
次のステップS22において、車両有無判断部26aは、電気自動車1以外の他車両が存在するか否かを判定する。他車両が存在する場合にはステップS23に処理を進め、電気自動車1以外の他車両が存在していると判断し、そうでない場合には、ステップS24において、電気自動車1以外の他車両が存在していないと判断する。
【0053】
これにより、電力供給システムは、車両有無判断部26aによって電気自動車1以外の他車両の有無を判断し、制御部24によって、当該判断結果に基づいてEV蓄電池11から住宅システム2への供給電力を制御できる。
【0054】
上述の電力供給システムにおいて、車両検知部26は、図7に示すように、通信部26cより他車両の有無を検知してもよい。この車両検知部26は、通信部26cと、当該通信部26cと接続された車両有無判断部26aとを含む。
【0055】
通信部26cは、電気自動車1Aとは異なる他車両1Bの通信部13との間で通信が可能となっている。この通信部26cは、通信機能の実現手段として、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、ZigBee、RFタグ、赤外線通信、NFCなどを用いるものとしてよい。通信部26cは、他車両1Bの通信部13との間で通信を行い、当該通信結果を車両有無判断部26aに供給する。
【0056】
車両有無判断部26aは、通信部26cの通信結果に基づいて、電気自動車1以外の他車両の有無を判断する。例えば、予め住人が利用可能な車両として電気自動車1A、他車両1BのIDを登録しておき、通信部26cが通信可能な他車両1BのIDを取得して、通信結果として車両有無判断部26aに供給する。車両有無判断部26aは、通信部26cの通信結果として他車両1BのIDが供給された場合に、電気自動車1以外の他車両が存在すると判定できる。
【0057】
この電力供給システムにおける他車両の有無判断は、図8に示すように、先ずステップS21aにおいて、通信部26cによって、他車両1Bの通信部13との間の通信信号を検出する。
【0058】
次のステップS22aにおいて、車両有無判断部26aは、通信部26cの通信結果として、他車両1Bとの間で授受された通信信号が有るか否かを判定する。他車両1Bとの間での通信信号がある場合にはステップS23に処理を進め、電気自動車1以外の他車両1Bが存在していると判断し、そうでない場合には、ステップS24において、電気自動車1以外の他車両1Bが存在していないと判断する。
【0059】
これにより、電力供給システムは、車両有無判断部26aによって電気自動車1以外の他車両1Bの有無を判断し、制御部24によって、当該判断結果に基づいてEV蓄電池11から住宅システム2への供給電力を制御できる。
【0060】
上述の電力供給システムにおいては、住人の操作に応じて、他車両の有無を検知してもよい。この電力供給システムは、図9に示すように、住人の操作可能な構成として、車両検知部26の操作部26dと、他車両1Bの操作部14とを備える。なお、操作部は、制御部24に検出可能で有れば、何れか一方であってもよい。
【0061】
操作部26dは、例えば、住宅の住人が操作可能な液晶タッチパネル等で構成される。操作部26dは、住人によって他車両1Bが存在することの操作入力を受け付けた場合に、その旨の入力信号を車両有無判断部26aに出力する。
【0062】
操作部14は、他車両1Bの運転者等によって操作される。操作部14は、運転者等によって住宅の車庫等に駐車された場合に操作される。操作部14は、他車両1Bが車庫等に存在することの操作信号を受け付けた場合に、その旨の入力信号を通信部13から通信部26cに送信させる。これにより、車両検知部26cは、入力信号を車両有無判断部26aに出力できる。
【0063】
車両有無判断部26aは、操作部26d又は通信部26cから操作結果としての入力信号を受け付けたことに応じて、他車両1Bが存在していると判断する。
【0064】
この電力供給システムにおける他車両1Bの有無判断は、図10に示すように、先ずステップS21bにおいて、操作部26d又は操作部14によって、住人等の操作入力を検出する。この検出結果は、車両有無判断部26aに供給される。
【0065】
次に車両有無判断部26aは、住人の操作によって、他車両1Bが在宅している設定操作が実施されたか否か(ステップS22b−1)、他車両1Bが在宅していない設定操作が実施されたか否か(ステップS22b−2)、を判定する。他車両1Bが在宅している設定操作が実施された場合、車両有無判断部26aは、ステップS23において他車両1Bが在宅していると判断する。一方、他車両1Bが在宅していない設定操作が実施された場合、車両有無判断部26aは、ステップS24において他車両1Bが在宅していないと判断する。
【0066】
これにより、電力供給システムは、車両有無判断部26aによって電気自動車1以外の他車両1Bの有無を判断し、制御部24によって、当該判断結果に基づいてEV蓄電池11から住宅システム2への供給電力を制御できる。
【0067】
電力供給システムにおいて、他車両1Bが電気自動車である場合に、車両有無判断部26aは、当該他車両1Bとしての電気自動車が行う充放電用の通信接続に基づいて他車両1Bの有無を検知してもよい。他車両1Bとしての電気自動車は、図11に示すように、電気自動車1Aと同様にEV蓄電池11、蓄電池情報記憶部12、通信部13を備えている。他車両1Bとしての電気自動車は、電気自動車1Aと同様に、当該他車両1Bとしての電気自動車の充放電時に、電力ケーブルによって、住宅システム2と接続される。
【0068】
住宅システム2は、電気自動車1Aと接続される充放電コンバータ23Aに加え、他車両1Bとしての電気自動車と接続される充放電コンバータ23Bを備える。また、電気自動車1Aの通信部13及び他車両1Bとしての電気自動車の通信部13は、通信可能なように通信部25に通信接続されている。この通信部25には、車両検知部26の車両有無判断部26aが接続されている。したがって、車両有無判断部26aは、電気自動車1A及び他車両1Bとしての電気自動車と通信部25との通信接続を検出できる。
【0069】
この電力供給システムにおける他車両の有無判断は、図12に示すように、先ずステップS21cにおいて、車両有無判断部26aは、通信部25によって行われている充放電用の通信を検出する。通信部25による充放電用の通信としては、EV蓄電池11の充放電に関するあらゆるものが含まれる。例えば、電力ケーブルを介して電気自動車1が接続された結果としての通信接続を確立する通信、電気自動車1から住宅システム2に送信される充電レベルの通知が含まれる。
【0070】
車両有無判断部26aは、ステップS22cにおいて、通信部25による充放電用の通信を検出したか否かを判定する。他車両1Bとしての電気自動車との間での通信信号がある場合にはステップS23に処理を進め、電気自動車1以外の他車両1Bとしての電気自動車が存在していると判断する。そうでない場合には、ステップS24において、車両検知部26は、電気自動車1以外の他車両1Bとしての電気自動車が存在していないと判断する。
【0071】
これにより、電力供給システムは、車両有無判断部26aによって電気自動車1以外の他車両1Bとしての電気自動車の有無を判断し、制御部24によって、判断結果に基づいてEV蓄電池11から住宅システム2への供給電力を制御できる。
【0072】
上述した電力供給システムにおいて、制御部24は、車両検知部26により検知された他車両1Bの走行可能距離を算出し、算出された走行可能距離に応じて、電気自動車1から住宅システム2への供給電力を決定することが望ましい。すなわち、制御部24は、他車両1Bの状態に応じて、充電レベルの下限値を設定してもよい。この電力供給システムは、上述した図11と同様に、電気自動車1Aと他車両1Bとしての電気自動車といったように複数台の電気自動車が住宅システム2に接続可能となっている。
【0073】
電力供給システムは、充電レベルの下限値を設定するために、図13のような動作を行う。
【0074】
先ずステップS11aにおいて、制御部24は、車両検知部26aの検知結果に基づいて、電気自動車1以外の他車両1Bが在宅するか否かを判定する。このとき、車両有無判断部26aは、通信部25の電気自動車1A及び他車両1Bに対する通信を検出して、ステップS11aの判断を行う。電気自動車1以外の他車両1Bが存在する場合にはステップS11bに処理を進め、そうでない場合にはステップS13に処理を進める。
【0075】
ステップS11bにおいて、制御部24は、他車両1Bの走行可能距離を算出する。このとき、制御部24は、他車両1Bが電気自動車である場合には、当該電気自動車の充電レベルを検出し、当該電気自動車の電費情報と充電レベルとを掛け合わせて、他車両1Bとしての電気自動車の走行可能距離を算出する。
【0076】
図14に示すように他車両1Bがガソリン車である場合、ガソリン残量検知部15によって、ガソリンタンク16のガソリン残量を取得する。制御部24は、当該ガソリン車の燃費情報とガソリン残量とを掛け合わせて、他車両1Bとしてのガソリン車の走行可能距離を算出する。他車両1Bがハイブリッド車の場合、制御部24は、充電レベルとガソリン残量を検出して、電費情報および燃費情報と掛け合わせて、走行可能距離を算出する。なお、他車両1Bの電費情報および燃費情報は、予め設定しておき、制御部24が利用可能に記憶しておく。
【0077】
次のステップS11cにおいて、制御部24は、ステップS11bにて算出した他車両1Bの走行可能距離が所定値以上か否かを判定する。他車両1Bの走行可能距離が所定値以上である場合にはステップS12に処理を進め、そうでない場合にはステップS13に処理を進める。
【0078】
ステップS12において、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を、所定値A(低レベル)に設定する。ステップS13において、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を、所定値B(高レベル)に設定する(図2(b)を参照)。
【0079】
以上のように、この電力供給システムは、他車両1Bの走行可能距離を算出し、算出された走行可能距離に応じて、電気自動車1から住宅への供給電力を決定することができる。このように他車両1Bの走行可能距離を確認することにより、緊急時の走行手段をより確実に確保することができる。
【0080】
また、複数の電気自動車1やガソリン車を含む電力供給システムにおいては、図15に示すような動作によって電気自動車1の放電を制御することができる。図15によれば、制御部24は、ステップS11cにおいて他車両1Bの走行可能距離が所定値以上ではないと判定した場合に、ステップS11dに処理を進める。
【0081】
ステップS11dにおいて、制御部24は、他車両1Bが電気自動車か否かを判定する。図11に示すように、住宅システム2に対して電気自動車1A、他車両1Bとしての電気自動車といったように複数の電気自動車が接続されている場合、制御部24は、他車両1Bとしての電気自動車から充電レベルを取得できる。これにより、制御部24は、他車両1Bが電気自動車であると判定できる。
【0082】
他車両1Bが電気自動車である場合には、ステップS11eにおいて、他車両1Bとしての電気自動車の走行可能距離が、電気自動車1Aの走行可能距離よりも長いか否かを判定する。他車両1Bとしての電気自動車の方が走行可能距離が長い場合、ステップS14において、他車両1Bとしての電気自動車の走行可能距離が所定値に達するまで充電を実施する。これにより、以降では、ステップS11cの判定が肯定判定となり、ステップS12において、電気自動車1Aの充電レベルが所定値A(低レベル)となるまで放電できる。
【0083】
一方、図14に示すように住宅システム2に対して他車両1Bとしてのガソリン車が接続されている場合、又は、ステップS11eにおいて他車両1Bの方が走行可能距離が短いと判定した場合には、ステップS13に処理を進める。ステップS13において、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルの下限値を、所定値B(高レベル)に設定する(図2(b)を参照)。
【0084】
このように、この電力供給システムは、制御部24は、車両検知部26により検知された他車両1Bの走行可能距離を算出し(ステップS11b)、算出された走行可能距離に応じて、電気自動車1Aから住宅システム2への供給電力を決定する。
【0085】
このとき、制御部24は、他車両1Bの走行可能距離が所定値以上である場合には、充電レベルを低くできる。一方、制御部24は、他車両1Bの走行可能距離が所定値以上ではない場合、他車両1Bが電気自動車かガソリン車(電気自動車以外)であるかを判定する。他車両1Bが電気自動車以外の場合、電気自動車1Aの充電レベルを高く保持して、緊急時の走行手段を確保できる。
【0086】
一方、他車両1Bが電気自動車の場合、制御部24は、電気自動車1Aと他車両1Bとしての電気自動車との走行可能距離を比較する。他車両1Bとしての電気自動車の方が走行可能距離が短い場合、電気自動車1Aを緊急時の走行手段として充電レベルを高く保持する。
【0087】
電気自動車1Aの走行可能距離の方が短い場合、他車両1Bとしての電気自動車を緊急時の走行手段として、走行可能距離が所定距離に達するように、他車両1Bとしての電気自動車に充電を実施する。このように、双方が電気自動車である場合、双方の走行可能距離から緊急時の走行手段として一方を選択し、必要に応じて充電することで緊急時の走行手段を速やかに確保しつつ、電気自動車1Aから住宅システム2へ電力を供給することができる。
【0088】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0089】
1 電気自動車
22 負荷機器(電気機器)
24 制御部
26 車両検知部
26a 車両有無判断部
26b センサ機器
26c 通信部
26d 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、
前記住宅の住人が利用可能な車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部により検知された車両の有無に応じて、前記電気自動車から前記住宅に供給する電力を決定する電力制御部と
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記車両検知部により検知された車両の有無に応じて、前記電気自動車の充電レベルの下限値を切り換え、当該充電レベルの下限値に至るまで、前記電気自動車から前記住宅に電力を放電させることを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記車両検知部は、センサ機器により車両の有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記車両検知部は、車両との間の通信によって車両の有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記車両検知部は、利用者に操作される操作部により車両の有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記車両が電気自動車である場合に、前記車両検知部が、当該電気自動車の行う充放電用の通信接続に基づいて車両の有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記電力制御部は、前記車両検知部により検知された車両の走行可能距離を算出し、算出された走行可能距離に応じて、前記電気自動車から住宅への供給電力を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の電力管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−102607(P2013−102607A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244632(P2011−244632)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】