説明

電力貯蔵システム

【課題】電力貯蔵装置から電力系統に負荷追従による最適な電力供給を行い、電力貯蔵装置の利用率の向上も図ることができる電力貯蔵システムを提供する。
【解決手段】電力貯蔵装置、電力変換器、電力系統状態検出手段、電力貯蔵状態検出手段、電力変換器の変換動作を制御する制御手段を具える。制御手段は、データ記憶部、基準電力値設定部、全過負荷電力容量(S)と過剰最大負荷電力値(Pmax)を求める初期値設定部、全過負荷電力容量(S)を電力貯蔵装置の充電容量(S)として決定する充電容量決定部、所定日における予想負荷電力分布を決定する負荷電力決定部、充電運転モード、負荷追従運転モード、定放電容量運転モードのいずれかを選択して電力変換器の動作を行う運転モード実行手段とを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される電力貯蔵システム、特に、電力系統の負荷電力を電力貯蔵装置による放電でおぎなう、いわゆる負荷のピークカットを行いながら電力貯蔵装置の効率的な利用が図れる電力貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昼夜間の電力較差は受電設備の利用率低下を招き、設備の効率的な運用の妨げとなっている。これを解決する1つの方法として、二次電池とインバータとを組み合わせた電力貯蔵システムを電力系統に接続して利用率の向上を図るようにしたものが採用されている。
【0003】
現在用いられている二次電池としては、例えばレドックスフロー電池が挙げられる。二次電池を用いた電力貯蔵システムは、電力系統が過負荷状態の時、即ち、電力系統の出力電力が基準電力値(契約電力値)を超えてしまう時に、この過負荷を補うようになっている。
【0004】
例えば、図10に示すように、過負荷状態の間は、過負荷時の最大負荷電力値から基準電力値を引いた電力値を、二次電池から電力系統に一定容量で放電し続けて負荷の平準化を行うパターン運転(定放電容量運転)を行うようにしたものがある。
【0005】
また、図11に示すように、基準電力値を超える電力系統の負荷のカット(ピークカット)を過負荷変動に追従させて行う負荷追従運転を行えるようにしたものもある。
【0006】
さらに、パターン運転と負荷追従運転のどちらか一方を選択して二次電池から電力系統に電力を供給させる電力貯蔵システムも提案されている(特許文献1参照。)
【0007】
【特許文献1】特開2002−34158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した従来の電力貯蔵システムでは、最大負荷電力と運転方法に合わせて容量が設定される。図10に示すパターン運転を行う場合は、最大負荷に合わせて電力貯蔵装置から一定容量で放電するように設定されているため、過負荷を打ち消す以上に電力貯蔵装置から電力系統に放電されてしまう場合が生じる。そのため、システムの電池容量を過剰に設定しなければならず(図10の電池容量におけるハッチングの部分)、この過剰設定分だけ電力貯蔵システム導入時の初期投資の増大を招いていた。
【0009】
また、負荷追従運転を行う場合には、過負荷を打ち消す適正なシステムの電池容量を設定することができるが、過負荷状態でなくなった負荷追従運転後において、電力貯蔵装置に蓄電されている電力の利用が行われない場合が生じる。その結果、電力貯蔵装置の利用率が低くなり、電力貯蔵装置を効率的に使用できないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、電力貯蔵装置から、そのときの電力負荷に応じて負荷追従によるピークカットの為の電力供給を行うことにより電力系統に最適な電力の供給が行え、しかも、電力貯蔵装置の利用率の向上も図ることができる電力貯蔵システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電力貯蔵システムは、コンピュータによる制御で、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して直流電力により電力貯蔵装置に充電し、かつ、電力貯蔵装置で貯蔵された直流電力を交流電力に変換して電力系統に供給するものである。
【0012】
そして、本発明の電力貯蔵システムは、電力貯蔵装置と、電力変換器と、電力系統の状態を検出する電力系統状態検出手段と、電力貯蔵装置の電力貯蔵状態を検出する電力貯蔵状態検出手段と、前記電力変換器の変換動作を制御する制御手段とを具えることを特徴とする。
【0013】
電力貯蔵装置は、例えば、レドックスフロー電池などの二次電池を使用する。電力変換器は、電力系統からの交流電流を直流電流に変換して電力貯蔵装置に充電し、かつ、電力貯蔵装置に貯蔵された直流電力を交流電力に変換して電力系統に供給するものである。
【0014】
制御手段はコンピュータに組み込まれ、制御手段には、電力系統状態検出手段と電力貯蔵状態検出手段とが配線により接続され、これら検出手段からの検出結果(電気信号)が制御手段に入力されるようにしておく。
【0015】
電力系統状態検出手段は、例えば、電力系統の有効電力や周波数あるいは電圧などを検出し、検出した変動の大きさに応じて、予め設定しておいた複数の系統状態の設定値のいずれかに該当するか否かを判定して、そのときの状態を決定する。
【0016】
電力貯蔵状態検出手段は、電力変換器への入出力電力あるいは電池電圧を常時測定しておくことにより、電力貯蔵装置に貯蔵されている電力貯蔵量を検出するようになっている。
【0017】
制御手段は、データ記憶部と、基準電力値設定部と、初期値設定部と、負荷電力決定部と、充電容量決定部と、運転モード実行手段とを具えている。
【0018】
データ記憶部は、電力系統状態検出手段で検出された過去の負荷電力値や他の検出手段で検出された負荷電力値などを記憶する。電力系統状態検出手段で検出された過去の負荷電力値とは、予め決められた時間ごとに検出された負荷電力値をいう。
【0019】
基準電力値設定部では、基準電力値(Pk)を設定する。この基準電力値(Pk)とは、電力会社と契約した需要家(電力使用者)の最大使用可能契約電力値のことをいう。
【0020】
初期値設定部は、データ記憶部のデータから、一日に要した負荷電力容量が過去最大のものを抽出し、そのときの負荷電力分布から基準電力値(Pk)を超える全過負荷電力の容量(S)と、最大負荷電力値から基準電力値(Pk)を引いた過剰最大負荷電力値(Pmax)を求める。
【0021】
全過負荷電力の容量(S)は、基準電力値(Pk)を超え始めたときから基準電力値(Pk)を超えなくなるまでの間に基準電力値(Pk)を超える負荷電力の合計をいう。過剰最大負荷電力値(Pmax)とは、基準電力値(Pk)を超えた負荷電力値のうちの最大の負荷電力値から、基準電力値(Pk)を引いた値をいう。
【0022】
充電容量決定部は、初期値設定部で求められた全過負荷電力容量(S)を電力貯蔵装置の充電容量(S)として決定する。
【0023】
負荷電力決定部は、データ記憶部のデータまたは電力系統状態検出手段の検出結果に基づいて、所定日における予想負荷電力分布を決定する。例えば、所定日に該当する過去の同じ日の負荷電力分布をデータ記憶部から抽出し、その日の予想負荷電力分布を導き出す。または、基準電力値(Pk)を超え始める前までの所定の時間中における電力系統状態を電力系統状態検出手段で連続的に検出して、その間の電力分布を求め、この部分電力分布とほぼ同じ電力分布状態となっている過去の負荷電力分布をデータ記憶部から抽出して、このデータから予想負荷電力分布を導き出す。
【0024】
運転モード実行手段は、充電運転モード、負荷追従運転モードおよび定放電容量運転モードのいずれかを選択して電力変換器の動作を制御する。
【0025】
充電運転モードは、充電容量決定部で決定された充電容量(S)が充電されるように電力貯蔵装置の充電を行う。
【0026】
負荷追従運転モードは、予想負荷電力分布に基づいて、基準電力値(Pk)を超える電力系統の負荷に対して、この過負荷変動に追従させて電力貯蔵装置から電力の供給を行うことにより過負荷電力を補う。
【0027】
定放電容量運転モードは、過剰最大負荷電力値(Pmax)で電力貯蔵装置に蓄電されている全容量を放電するまで定格電力運転を行う。
【0028】
さらに、運転モード実行手段は、充電運転モードを実行させる充電運転モード実行部と、負荷追従運転モードを実行させる負荷追従運転モード実行部と、定放電容量運転モードを実行させる定放電容量運転モード実行部と、運転モードを選択する運転モード選択部とを具えるようにすることが好ましい。
【0029】
充電運転モード実行部は、充電容量決定部で決定された充電容量(S)で電力貯蔵装置の充電を行う運転モードを運転モード選択部に出力する。
【0030】
負荷追従運転モード実行部は、負荷電力決定部で決定された予想負荷電力分布あるいは電力系統状態検出手段で検出した負荷電力に基づいて、過負荷電力が生じるかどうかを判定し、過負荷電力が生じる場合には負荷追従運転を行う運転モードを運転モード選択部に出力する。
【0031】
定放電容量運転モード実行部は、負荷電力決定部で決定された予想負荷電力分布と電力貯蔵状態検出手段からの検出結果とに基づいて定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部に出力する。
【0032】
定放電容量運転モード実行部は、まず、予想負荷電力分布から過負荷電力が生じるかどうかを判定する。過負荷電力が生じる場合には、負荷追従運転モードで負荷追従運転を行った後の残存蓄電量を求め、この残存蓄電量の全てを放電してしまうように過剰最大負荷電力値(Pmax)を定格電力として定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部に出力する。
【0033】
また、過負荷電力が生じない場合には、電力貯蔵状態検出手段で検出した電力貯蔵装置の蓄電量に基づいて、蓄電されている容量の全てを放電してしまうように過剰最大負荷電力値(Pmax)を定格電力として定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部に出力する。
【0034】
運転モード選択部は、充電運転モード実行部からの出力と、負荷追従運転モード実行部からの出力と、定放電容量運転モード実行部からの出力と、負荷電力決定部からの出力に基づいて、予想負荷電力分布に合わせた運転モードを選択して、その運転モードで電力変換器を運転させるように、制御信号を電力変換器に出力する。
【0035】
なお、運転モード選択部は、予想負荷電力分布の電力値が基準電力値(Pk)を超えてしまう場合には、負荷追従運転モードを定放電容量運転モードより優先させて実行することが好ましい。
【0036】
さらに、制御手段は、初期値設定部で求めた負荷電力分布において基準電力値(Pk)を超え始める開始時間(Ts)と超えなくなる終了時間(Te)を初期値設定部で求め、この終了時間(Te)で電力貯蔵装置の放電を終了するように放電時間を設定する放電時間設定部を具えるようにすることが好ましい。この放電時間設定部は運転モード実行手段に具えるようにする。
【0037】
放電時間設定部は、定放電容量運転モードを行う場合、放電終了時間(Te)で充電容量(S)を放電してしまうように定放電容量運転モード開始時間を設定することが好ましい。
【0038】
また、充電運転モード実行部による運転は、放電時間設定部で求めた開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間を除く時間帯に行う。この時間帯は、電力系統における負荷電力が小さく、特に夜間は電力貯蔵装置への充電に適している。
【0039】
電力変換器は、運転モード実行手段の運転モード選択部からの出力結果に基づいて電力貯蔵装置からの電力系統への電力の供給を行ったり、電力系統から電力貯蔵装置への充電を行う。
【0040】
本発明の電力貯蔵システムの駆動制御について説明する。まず、データ記憶部では、電力系統状態検出手段で検出された過去の負荷電力値、必要な場合には、他の検出手段で検出した負荷電力値を記憶していく。基準電力値設定部で、基準電力値(Pk)を設定する。
【0041】
次に、初期値設定部で、データ記憶部のデータから、一日に要した負荷電力容量が過去最大のものを抽出し、そのときの負荷電力分布から基準電力値(Pk)を超える全過負荷電力の容量(S)と、最大負荷電力値から基準電力値(Pk)を引いた過剰最大負荷電力値(Pmax)を求める。初期値設定部で求められた全過負荷電力容量(S)を、充電容量決定部において、電力貯蔵装置の充電容量(S)として決定する。負荷電力決定部において、データ記憶部のデータまたは電力系統状態検出手段の検出結果に基づいて、所定日における予想負荷電力分布を決定する。
【0042】
そして、運転モード実行手段において、充電運転モード、負荷追従運転モード、定放電容量運転モードから、予想負荷電力分布に合わせた電力貯蔵装置の最適な充放電の運転モードを選択し、選択された運転モードで電力変換器の動作を行うように制御する。
【0043】
具体的には、運転モード実行手段は、充電運転モード実行部と、負荷追従運転モード実行部と、定放電容量運転モード実行部と、運転モード選択部とを具えるようにしておいて、各運転モード実行部と運転モード選択部へ負荷電力決定部から予想負荷電力分布データが出力される。そして、予想負荷電力分布に基づいてそれぞれの運転モード実行部で設定される運転モードが運転モード選択部へ出力される。
【0044】
運転モード選択部は、各運転モード実行部からの出力データと、予想負荷電力分布に基づいて、その日に行う運転モードを時間経過に合わせて選択し、選択された運転モードの順番に従って電力変換器の動作を制御する。
【0045】
具体的には、運転モード選択部は、予想負荷電力分布から過負荷電力が生じるどうかを判断する。過負荷電力が生じる場合には、まず、負荷追従運転モード実行部からの出力データに基づいて過負荷電力分を打ち消すように負荷追従運転モードを実行させる。その後は、定放電容量運転モード実行部からの出力データに基づいて、求めた電力貯蔵装置の残存蓄電量を放電してしまうように定放電容量運転モードを実行させる。電力貯蔵装置の蓄電量が零になった後は、電力貯蔵装置を設定されている充電容量(S)の状態となるまで充電する充電運転モードを実行させる。
【0046】
また、過負荷電力が生じない場合には、負荷追従運転モードは行わず、定放電容量運転モード実行部からの出力データに基づいて、電力貯蔵装置に蓄電されている容量の全てを放電してしまうように定放電容量運転モードを実行させる。その後は、電力貯蔵装置が充電容量(S)の充電状態となるまで充電を行う充電運転モードを実行させる。
【0047】
特に、定放電容量運転モードを実行する場合、前記した放電時間設定部を設けておいて、基準電力値を超え始める開始時間(Ts)と超えなくなる終了時間(Te)を求めておき、定放電容量運転モードを終了時間(Te)で終了するように放電時間を設定するようにしてもよい。
【0048】
この場合、放電時間設定部において、電力貯蔵装置の放電終了時間(Te)で電力貯蔵装置の全蓄電量を放電してしまうように定放電容量運転モード開始時間を設定して、この開始時間から定放電容量運転モードを実行させる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、負荷電力が基準電力値を超えた場合には、過負荷電力に追従させて負荷のピークカットを行いながら、その他の負荷電力状態で電力貯蔵装置を放電してしまうようにしているので、電力貯蔵装置の利用率を最大にできる。その結果、電力貯蔵システムの容量選定を必要最小限にすることができながら、電力貯蔵装置の利用効率向上を図ることができるので、システムの小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の電力貯蔵システムの実施の形態を説明する。
【0051】
図1は、レドックスフロー電池を具える電力貯蔵システムの概略構成図である。この電力貯蔵システムは、電力の貯蔵を行う電力貯蔵装置1と、電力系統2からの交流電流を直流電流に変換して電力貯蔵装置1に充電し、かつ、電力貯蔵装置1に貯蔵された直流電力を交流電力に変換して電力系統2に放出(供給)する電力変換器3とを具える。
【0052】
電力貯蔵装置1は、レドックスフロー電池で形成され、イオン交換膜からなる隔膜101で正極セル100Aと負極セル100Bとに分離されたセル100を具える。正極セル100A、負極セル100Bにはそれぞれ、正極電極102、負極電極103を内蔵している。正極セル100Aには、正極電極102に供給されると共に、正極電極102から排出される正極電解液を貯留する正極電解液タンク104Aが電解液の輸送路となる導管106Aを介して接続されている。負極セル100Bには、負極電極103に供給されると共に、負極電極103から排出される負極電解液を貯留する負極電解液タンク104Bが電解液の輸送路となる導管106Bを介して接続されている。各極電解液にはバナジウムイオンなど原子価が変化するイオンの水溶液を用い、ポンプ105A、105Bで循環させ、正極電極102、負極電極103におけるイオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
【0053】
また、本発明では、充電運転モード、負荷追従運転モードそして定放電容量運転モードを制御するための制御プログラムが入力された制御手段4をコンピュータに具えており、制御手段4の命令に従い、電力変換器3の変換動作を制御する。
【0054】
上記構成を具える電力貯蔵システムにおいて、電力貯蔵装置1の電力系統2への放電と電力系統2からの充電の制御について具体的に説明する。図2は、本発明電力貯蔵システムの機能ブロック図である。
【0055】
本発明電力貯蔵システムは、前記したように、電力貯蔵装置1と電力変換器3と制御手段4とを具えるとともに、電力系統2の状態を検出する電力系統状態検出手段5と、電力貯蔵装置1の電力貯蔵状態を検出する電力貯蔵状態検出手段6とを具える。なお、電力変換器3は、変圧器7を介して電力系統2に接続されている。
【0056】
制御手段4には、電力系統状態検出手段5と電力貯蔵状態検出手段6とが配線により接続され、これら検出手段からの検出結果が電気信号として制御手段4に入力されるようになっている。
【0057】
電力系統状態検出手段5は、本実施形態では、電力系統2の系統電力または負荷電力を検出し、検出した電力の変動の大きさに応じて、予め設定しておいた複数の系統状態の電力設定値のいずれかに該当するか否かを判定して、そのときの状態を決定する。
【0058】
電力貯蔵状態検出手段6は、電力貯蔵装置1の電圧を常時測定しておくことにより、電力貯蔵装置1に貯蔵されている電力貯蔵量を検出するようになっている。
【0059】
制御手段4は、図2に示すように、データ記憶部41と、基準電力値設定部42と、初期値設定部43と、負荷電力決定部44と、充電容量決定部45と、運転モード実行手段46とを具えている。
【0060】
データ記憶部41は、電力系統状態検出手段5で検出された過去の負荷電力値を記憶する。過去の負荷電力値とは、予め決められた時間ごと(例えば1分ごと)に検出された負荷電力値あるいは、予め決められた時間(30分間)の電力量値をいう。
【0061】
基準電力値設定部42では、電力会社と契約した需要家(電力使用者)の最大使用可能契約電力値を基準電力値(Pk)として設定する。
【0062】
初期値設定部43は、図3に示す負荷電力と電池容量のグラフに示すように、データ記憶部41のデータから、一日に要した負荷電力容量が過去最大の負荷電力分布(図3の最大負荷カーブ曲線Pm(t))を抽出する。そして、そのときの負荷電力分布から基準電力値(Pk)を超える全過負荷電力容量(S)と、最大負荷電力値から基準電力値(Pk)を引いた過剰最大負荷電力値(Pmax)を求める。さらに、初期値設定部43では、図3に示す負荷電力分布において基準電力値(Pk)を超え始める開始時間(Ts)と超えなくなる終了時間(Te)を求める。
【0063】
全過負荷電力の容量(S)は、開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間(Tmax)に基準電力値(Pk)を超えた負荷電力の合計を求めるのであって、図3において、この時間内(Tmax)における、最大負荷カーブ曲線(Pm(t))の積分値から基準電力値(Pk)の積分値を引いた値で求められる(図3の負荷電力のグラフにおいてハッチングで示す部分の面積で表される。)。
【0064】
また、過剰最大負荷電力値(Pmax)は、過去の最大負荷電力値、あるいは最大負荷カーブ曲線(Pm(t))で表される電力値のうち基準電力値(Pk)を超えた最大の負荷電力値から、基準電力値(Pk)を引いた値で求められる。
【0065】
充電容量決定部45は、図3に示す電池容量のグラフのように、初期値設定部43で求められた全過負荷電力容量(S)を電力貯蔵装置の充電容量(S)として決定する。
【0066】
負荷電力決定部44は、データ記憶部41のデータに基づいて、所定日における予想負荷電力分布(P(t))を決定する(図4から図7に示す負荷カーブで示す)。本実施形態では、所定日に該当する過去の同じ日近くの同じ曜日の負荷電力分布を抽出して、その日の予想負荷電力分布を導き出す。
【0067】
例えば、図4の負荷電力のグラフにおいて、点線で示す負荷カーブ曲線(P(t))は、予想負荷電力分布(P(t))が重負荷の場合を示す。これは、開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間(Tmax)は、常に負荷電力が基準電力値(Pk)を超える場合であって、初期値設定部43で求めた負荷電力容量が過去最大の負荷電力分布のときである。
【0068】
図5の負荷電力のグラフにおいて、点線で示す負荷カーブ曲線(P(t))は、予想負荷電力分布(P(t))が図4の重負荷よりもやや負荷が小さい場合で、開始時間(Ts)から終了時間(Te)になる前までの所定時間内に負荷電力が基準電力値(Pk)を超える場合である。
【0069】
図6の負荷電力のグラフにおいて、点線で示す負荷カーブ曲線(P(t))は、予想負荷電力分布(P(t))が図5の重負荷よりも小さく、かつ、基準電力値(Pk)を超える時間が図5の場合よりも短い場合を示す。図7の負荷電力のグラフにおいて、点線で示す負荷カーブ曲線(P(t))は、予想負荷電力分布(P(t))が基準電力値(Pk)以下である場合を示す。
【0070】
以上の図4から図6の予想負荷電力分布(P(t))において基準電力値(Pk)を超える負荷電力値を過負荷全容量(Sx)としている。予想負荷電力分布(P(t))において基準電力値(Pk)を超え始める時間を(Ta)、超えなくなる時間を(Tb)とする。なお、本実施形態では、基準電力値(Pk)を超え始める時間(Ta)は、初期設定部で求めた基準電力値(Pk)を超え始める時間(Ts)と同じ時間の場合を示している。
【0071】
運転モード実行手段46は、図2に示すように、充電運転モードを実行させる充電運転モード実行部461と、負荷追従運転モードを実行させる負荷追従運転モード実行部462と、定放電容量運転モードを実行させる定放電容量運転モード実行部463と、運転モードを選択する運転モード選択部464と、放電時間設定部465とを具える。
【0072】
充電運転モード実行部461には、充電容量決定部45で決定された充電容量(S)が入力される。充電運転モード実行部461は、この充電容量(S)で電力貯蔵装置1の充電を行う運転モードを運転モード選択部464に出力するようになっている。
【0073】
放電時間設定部465には、初期値設定部43で求めた負荷電力分布(Pm(t))と、負荷電力決定部44で求めた予想負荷電力分布(P(t))と、電力貯蔵状態検出手段6で検出した検出結果とが入力される。そして、放電時間設定部465は、これらのデータの基づいて前記終了時間(Te)で電力貯蔵装置の放電を終了するように放電時間を設定する。さらに、放電時間設定部465は、定放電容量運転モードを行う場合、放電終了時間(Te)で充電容量(S)を放電してしまうように定放電容量運転モード開始時間(Tc)を設定し、この開始時間(Tc)を定放電容量運転モード実行部463に出力するようになっている。放電時間設定部465は、図4から図7のグラフにおいて、次の「数1」を満足するTxとTyを求め、Txが負荷追従運転モードの終了時間となり、Tyが定放電容量運転モードの開始時間(Tc)となる。
【0074】
【数1】

【0075】
ここで、上記「数1」の一部である「数2」は負荷追従運転モードが行われるときの電力貯蔵装置の放電量を示し、「数3」は定放電容量運転モードが行われるときの電力貯蔵装置の放電量を示す。
【0076】
【数2】

【0077】
【数3】

【0078】
そして、TxがTeと等しいときは、TyもTeと等しくなり、図4に示すように、定放電容量は行われず、負荷追従運転のみ行われる。TxがTeでなく、TxとTyの時間が異なるときは、図5に示すように、負荷追従運転が終了された後、電力貯蔵装置による放電がTy(Tc)まで停止された後にTy(Tc)から定放電容量運転が行われる。TxがTeでなく、TxとTyの時間が等しいときは、図6に示すように、負荷追従運転の終了と同時に定放電容量運転が行われる。P(t)-Pkが零のときは、図7に示すように、負荷追従運転は行われず、Ty(Tc)から定放電容量運転が行われる。
【0079】
負荷追従運転モード実行部462には、負荷電力決定部44で決定された予想負荷電力分布(P(t))、あるいは電力系統状態検出手段5で検出された負荷電力が入力される。そして、負荷追従運転モード実行部462は、この予想負荷電力分布(P(t))と放電時間設定部465で設定された負荷追従運転の開始時間と終了時間に基づいて、過負荷電力が生じるかどうかを判定し、過負荷電力が生じる場合には負荷追従運転を放電時間設定部465で設定された開始時間と終了時間に従って行う運転モードを運転モード選択部464に出力する。
【0080】
定放電容量運転モード実行部463には、負荷電力決定部44で決定された予想負荷電力分布(P(t))と電力貯蔵状態検出手段6からの検出結果と放電時間設定部465で設定された開始時間(Tc)とが入力される。そして、定放電容量運転モード実行部463は、予想負荷電力分布(P(t))と電力貯蔵状態検出手段6からの検出結果と開始時間(Tc)とに基づいて定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部464に出力する。
【0081】
定放電容量運転モード実行部463は、まず、予想負荷電力分布(P(t))から過負荷電力が生じるかどうかを判定する。
【0082】
そして、図4、図5、図6に示すような過負荷運転が行われる場合には、定放電容量運転モード実行部463は、放電時間設定部465から入力された定放電容量運転開始時間(Tc)に基づいて、負荷追従運転モードによる負荷追従運転後の残存蓄電量の全てを放電してしまうように過剰最大負荷電力値(Pmax)を定格電力として定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部464に出力する。
【0083】
ただし、放電終了時間(Te)で充電容量(S)を放電してしまうように定放電容量運転モード開始時間(Tc)を定めるため、図6に示すような負荷電力分布の場合には、過負荷状態のうちから定放電容量運転モードを開始するように出力する。
【0084】
また、図7に示すように、負荷追従運転が行われない場合には、定放電容量運転モード実行部463は、放電時間設定部465から入力された定放電容量運転開始時間(Tc)と、電力貯蔵状態検出手段6で検出した電力貯蔵装置1の蓄電量に基づいて、蓄電されている容量の全てを放電してしまうように過剰最大負荷電力値(Pmax)を定格電力として定放電容量運転を行う運転モードを運転モード選択部464に出力する。
【0085】
運転モード選択部464は、充電運転モード実行部461からの出力と、負荷追従運転モード実行部462からの出力と、定放電容量運転モード実行部463からの出力と、負荷電力決定部44からの出力に基づいて、予想負荷電力分布(P(t))に合わせた運転モードを選択し、その運転モードで電力変換器3の変換動作をさせるように、制御信号を電力変換器3に出力する。さらに、運転モード選択部464は、予想負荷電力分布(P(t))において電力値が基準電力値(Pk)を超えてしまう場合には、負荷追従運転モードを定放電容量運転モードより優先させて実行するように設定されている。
【0086】
また、充電運転モード実行部461による運転は、初期値設定部43で求めた開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間を除く時間帯に行うように設定されている。
【0087】
以上にように、電力変換器3は、運転モード実行手段46の運転モード選択部464からの出力信号に基づいて電力貯蔵装置1から電力系統2への電力の供給や、電力系統2から電力貯蔵装置1への充電を行う。
【0088】
図8は、本発明電力貯蔵システムの駆動制御の手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、電力貯蔵システムにおける電力貯蔵装置1の充放電のために、制御手段4において電力変換器3の駆動制御をどのように行なうかを示している。例えば、以下の手順により電力変換器3の駆動制御を行うように制御手段4に制御プログラムを入力しておく。
【0089】
まず、基準電力値設定部42において基準電力値(Pk)を設定する(S1)。初期値設定部43に、データ記憶部41で記憶されている電力系統状態検出手段5で検出された過去の負荷電力値が入力される(S2)。
【0090】
次に、初期値設定部43で、データ記憶部41のデータから、一日に要した負荷電力容量が過去最大のものを抽出し、そのときの負荷電力分布から全過負荷電力容量(S)と、過剰最大負荷電力値(Pmax)と、開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間(Tmax)を設定する(S3)。
【0091】
初期値設定部43で求められた全過負荷電力容量(S)を、充電容量決定部45において、電力貯蔵装置1の充電容量(S)として決定する(S4)。負荷電力決定部44に、データ記憶部41のデータが入力される(S5)。このデータに基づいて、所定日における予想負荷電力分布(P(t))を決定する(S6)。
【0092】
そして、運転モード実行手段46の負荷追従運転モード実行部462、定放電容量運転モード実行部463、放電時間設定部465、そして、運転モード選択部464へ負荷電力決定部44から予想負荷電力分布データが出力される。そして、予想負荷電力分布(P(t))に基づいてそれぞれの運転モードが各運転モード実行部において設定され(S7)、放電時間設定部465においてそれぞれの運転モードの開始時間と終了時間が設定される(S8)。
【0093】
次に、運転モード選択部464において、現時点が開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの時間内(Tmax)であるかどうかを判断する(S9)。時間内(TmaX)であれば、予想負荷電力分布(P(t))と各運転モード実行部からの出力データに基づいて、過負荷電力が生じるか、即ち、P(t)>Pkであるかどうかを判断する(S10)。
【0094】
過負荷電力が生じる場合には、まず、予想負荷電力分布(P(t))で得られる過負荷全容量(Sx)が充電容量(S)と等しいかどうかが判断される(S11)。過負荷全容量(Sx)が充電容量(S)と等しい場合には、負荷追従運転を行う運転モードが選択されて、電力変換器を負荷追従運転モードのみで駆動させるように実行する(S12)。負荷追従運転モードの放電が終了すると、時間内(Tmax)であるかどうかを判断するステップ(S9)に戻る。
【0095】
また、過負荷全容量(Sx)が充電容量(S)より小さい場合には負荷追従運転モードと定放電容量運転モードとが行われる運転モードが選択されて、電力変換器を負荷追従運転モードと定放電容量運転モードとで駆動させるように実行する(S13)。
【0096】
このステップ(S13)の具体的制御について図9に基づいて説明する。過負荷全容量(Sx)が充電容量(S)より小さいと判断された場合、時間(Ts)から所定の時間経過した時点を時間(Ti)とすると、TsからTiまでの過負荷電力の合計(Si=∫P(t)-Pk)を求める(S131)。次に、時間(Ti)から時間(Te)までの間に定放電容量運転を行ったとしたときの電力合計(Sy)を求める(S132)。
【0097】
過負荷全容量(Sx)が入力され(S133)、さらに、時間(Ti)が時間(Ts)から過負荷全容量(Sx)の終わりの時間(Tb)までの間であるかどうかが判断される(S134)。範囲内にあれば、さらに、過負荷電力合計(Si)と電力合計(Sy)の合計が充電容量(S)と等しいかどうかが判断される(S135)。
【0098】
過負荷電力合計(Si)と電力合計(Sy)の合計が充電容量(S)である場合には、そのときの時間(Ti)が負荷追従運転モードの終了時間で定放電容量運転モードの開始時間(Tc)となる。時間(Ts)から時間(Tc)まで負荷追従運転モードで運転され、時間(Tc)から時間(Te)まで定放電容量運転モードで運転される(S136)。
【0099】
またステップ(S134)において、時間(Ti)が時間(Ts)から過負荷全容量(Sx)の終わりの時間(Tb)までの範囲内に無いときは、時間(Ts)から過負荷全容量(Sx)の終わりの時間(Tb)まで負荷追従運転モードで運転される。そして、充電容量(S)から過負荷全容量(Sx)を引いた値をPmaxで割って定放電容量運転モードの開始時間(Tc)を求め、この時間(Tc)から時間(Te)まで定放電容量運転モードで運転される(S137)。
【0100】
図8のフローにおいて、過負荷電力が生じるか、即ち、P(t)>Pkであるかどうかの判断(S10)において、過負荷電力が生じないと判断された場合には、定放電容量運転モードを行うのであるが、まず、定放電容量運転モードの開始時間(Tc)であるかどうかが判断される(S14)。
【0101】
定放電容量運転モードの開始時間(Tc)である場合には、定放電容量運転モードが選択されて、電力変換器を定放電容量運転モードで駆動させるように実行する(S15)。定放電容量運転モードは、放電時間が終了すると、時間内(Tmax)であるかどうかを判断するステップ(S9)に戻る。
【0102】
また、定放電容量運転モードの開始時間でないと判断した場合には、P(t)>Pkであるかどうかを判断するステップ(S10)に戻り、定放電容量運転モードの開始時間になるまで、この動作を繰り返す。
【0103】
ステップ(S9)において、現時点が時間内(Tmax)であるかどうかを判断したときに、時間外であれば、充電運転モード実行部461からの出力データに基づいて、電力貯蔵装置1の充電を行うように電力変換器を充電運転モードで駆動させるように実行する(S16)。この充電運転モードは、電力貯蔵装置1が充電容量(S)となっているかが判断されて(S17)、充電容量(S)となるまで充電運転モードが実行され、充電容量(S)となると制御が終了する。
【0104】
このように、本実施形態では、各運転モード実行部で設定された運転モードは運転モード選択部464へ出力され、運転モード選択部464において、各運転モード実行部からの出力データと、予想負荷電力分布(P(t))に基づいて、その日に行う運転モードが時間経過に合わせて選択され、選択された運転モードの順番に従って電力変換器の駆動制御が行われる。
【0105】
例えば、図4に示す予想負荷電力分布(P(t))の場合には、開始時間(Ts)から終了時間(Te)までの間(Tmax)は、常に負荷追従運転モードで電力貯蔵装置1による放電を行う。
【0106】
図5に示す予想負荷電力分布(P(t))の場合には、過負荷状態の間は、負荷追従運転モードを実行し(電池容量S1)、残りの蓄電量を定放電容量運転モードで放電する(電池容量S2)。この場合、電池容量S1と電池容量S2を足した容量が充電容量(S)となる。
【0107】
図6に示す予想負荷電力分布(P(t))の場合には、過負荷状態の間、負荷追従運転モードを実行するが、過負荷電力値が小さいので電力貯蔵装置1に蓄電されている電池容量の全てを放電するために、過負荷状態の途中から定放電容量運転モードで放電を行う。
【0108】
図7に示す予想負荷電力分布(P(t))の場合には、過負荷状態が無いので、定放電容量運転モードのみで放電を行う。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、二次電池と電力変換器とを組み合わせた電力貯蔵システムを電力系統に接続する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明のレドックスフロー電池を具える電力貯蔵システムの概略構成図である。
【図2】本発明電力貯蔵システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の電力貯蔵システムの初期値設定部で設定される負荷電力分布の初期値を示す負荷電力と電池容量を示すグラフである。
【図4】本発明の電力貯蔵システムの負荷電力決定部で決定される重負荷時の予定負荷電力分布とその場合の電力貯蔵装置からの放電量を示す負荷電力と電池容量を示すグラフである。
【図5】本発明の電力貯蔵システムの負荷電力決定部で決定される過負荷時の予定負荷電力分布とその場合の電力貯蔵装置からの放電量を示す負荷電力と電池容量を示すグラフである。
【図6】本発明の電力貯蔵システムの負荷電力決定部で決定される過負荷時の予定負荷電力分布とその場合の電力貯蔵装置からの放電量を示す負荷電力と電池容量を示すグラフである。
【図7】本発明の電力貯蔵システムの負荷電力決定部で決定される軽負荷時の予定負荷電力分布とその場合の電力貯蔵装置からの放電量を示す負荷電力と電池容量を示すグラフである。
【図8】本発明電力貯蔵システムの駆動制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8における定義済処理の駆動制御の手順を示すフローチャートである。
【図10】従来のパターン運転のみを行う場合の負荷電力値と電池容量を示すグラフである。
【図11】従来の負荷追従運転のみを行う場合の負荷電力値と電池容量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0111】
1 電池貯蔵装置
100 セル 100A 正極セル 100B 負極セル
101 隔膜 102 正極電極 103 負極電極
104A 正極電解液タンク 104B 負極電解液タンク
105A,105B ポンプ 106A,106B 導管
2 電力系統 3 電力変換器
4 制御手段 41 データ記憶部 42 基準電力値設定部
43 初期値設定部 44 負荷電力設定部 45 充電容量決定部
46 運転モード実行手段
461 充電運転モード実行部 462 負荷追従運転モード実行部
463 定放電容量運転モード実行部 464 運転モード選択部
465 放電時間設定部
5 電力系統状態検出手段 6 電力貯蔵状態検出手段 7 変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより電力貯蔵装置と電力系統との間の充放電を制御する電力貯蔵システムであって、
電力系統からの交流電流を直流電流に変換して電力貯蔵装置に充電し、かつ、電力貯蔵装置に貯蔵された直流電力を交流電力に変換して電力系統に供給する電力変換器と、
電力系統の状態を検出する電力系統状態検出手段と、
電力貯蔵装置の電力貯蔵状態を検出する電力貯蔵状態検出手段と、
前記電力変換器の変換動作を制御する制御手段とを具え、
制御手段は、
過去の負荷電力値が記憶されるデータ記憶部と、
基準電力値(Pk)を設定する基準電力値設定部と、
データ記憶部のデータから一日に要した負荷電力容量が過去最大のものを抽出し、そのときの負荷電力分布から基準電力値を超える全過負荷電力の容量(S)と、最大負荷電力値から基準電力値を引いた過剰最大負荷電力値(Pmax)を求める初期値設定部と、
初期値設定部で求められた全過負荷電力容量(S)を電力貯蔵装置の充電容量(S)として決定する充電容量決定部と、
データ記憶部のデータまたは電力系統状態検出手段の検出結果に基づいて、所定日における予想負荷電力分布を決定する負荷電力決定部と、
充電容量決定部で決定された充電容量(S)となるように電力貯蔵装置の充電を行う充電運転モード、予想負荷電力分布に基づいて基準電力値(Pk)を超える電力系統の負荷電力を電力貯蔵装置による放電でおぎなう負荷追従運転モードおよび過剰最大負荷電力値(Pmax)で電力貯蔵装置に蓄電されている全容量を放電するまで定格電力運転を行う定放電容量運転モードのいずれかを選択して電力変換器の動作を行う運転モード実行手段とを具えていることを特徴とする電力貯蔵システム。
【請求項2】
運転モード実行手段は、
充電運転モードを実行させる充電運転モード実行部と、負荷追従運転モードを実行させる負荷追従運転モード実行部と、定放電容量運転モードを実行させる定放電容量運転モード実行部と、運転モードを選択する運転モード選択部とを具えることを特徴とする請求項1に記載の電力貯蔵システム。
【請求項3】
運転モードの選択は、
予想負荷電力分布において基準電力値(Pk)を超える負荷電力が生じてしまう場合には、負荷追従運転モードを定放電容量運転モードより優先させて実行させるようにしている請求項1または請求項2に記載の電力貯蔵システム。
【請求項4】
制御手段は、初期値設定部で求めた負荷電力分布における基準電力値を超え始める開始時間(Ts)と超えなくなる終了時間(Te)を初期値設定部で求めるとともに、この終了時間(Te)で電力貯蔵装置の放電を終了するように放電時間を設定する放電時間設定部を具えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電力貯蔵システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−42422(P2006−42422A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214963(P2004−214963)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】