電動アクチュエータの電子回路装置
【課題】モータユニット1のレゾルバ75および温度センサ78とコントロールユニット3との続部を機電接続室9内に収容してノイズを低減するとともに、制御基板21が外力を受けないようにする。
【解決手段】コントロールユニット3は、ケーシング18とカバー19とバスバーモジュール20と制御基板21とからなり、モータユニット1のハウジング2とケーシング18との間に機電接続室9が構成される。センサ用コネクタ45がバスバーモジュール20と一体に成形され、ケーシング18のセンサコネクタ用開口部70を通して機電接続室9へ延びており、レゾルバ75等のコネクタ77が接続される。センサ用コネクタ45の端子46は、バスバーモジュール20を貫通して制御基板21に接続されている。
【解決手段】コントロールユニット3は、ケーシング18とカバー19とバスバーモジュール20と制御基板21とからなり、モータユニット1のハウジング2とケーシング18との間に機電接続室9が構成される。センサ用コネクタ45がバスバーモジュール20と一体に成形され、ケーシング18のセンサコネクタ用開口部70を通して機電接続室9へ延びており、レゾルバ75等のコネクタ77が接続される。センサ用コネクタ45の端子46は、バスバーモジュール20を貫通して制御基板21に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の電動ブレーキブースタ装置などに用いられる電動アクチュエータの電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ装置において、内燃機関を負圧源とした負圧式ブレーキブースタ装置に代えて、電動アクチュエータ例えば電動モータを利用してマスタシリンダの油圧を増圧するようにした電動ブレーキブースタ装置が近年提案されている。
【0003】
本出願人が先に提案した特許文献1には、ブレーキペダルに連係して軸方向に移動する入力ロッドを中心として同心状に構成される3相交流ブラシレスモータをアクチュエータとした電動ブレーキブースタ装置が開示されており、この3相交流ブラシレスモータの駆動・制御を行うインバータ回路を含む電子回路装置つまりコントロールユニットが、電動モータのハウジングの上面に一体に搭載された構成となっている。
【0004】
上記コントロールユニットは、パワー部品を実装するとともに複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化したバスバーモジュールと、このバスバーモジュールの上に重ねて配置されたプリント配線基板からなる制御基板と、を含んで構成されており、上記バスバーモジュールに設けられた3つの出力端子が、モータハウジングとコントローラケーシングとの間に画成された空間の中で、電動モータ側の3つのモータ入力端子にそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−132103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3相交流ブラシレスモータの回転制御のためには、その回転位置を検出するレゾルバが必須であり、また一般に、電動モータの温度を監視するための温度センサなども設けられている。これらのセンサ類の信号は、制御基板に入力すべきものであるため、上記特許文献1には詳細には記述されていないが、従来は、制御基板上にレゾルバ用コネクタと温度センサ用コネクタとが実装されており、電動モータ側に設けられたレゾルバおよび温度センサからそれぞれ延びたハーネス先端のコネクタを、これら制御基板上のレゾルバ用コネクタおよび温度センサ用コネクタに差し込んで接続する構成となっていた。
【0007】
従って、強度・剛性の低い制御基板にレゾルバ用コネクタおよび温度センサ用コネクタが設けられているので、ハーネス側のコネクタの脱着の際に制御基板に応力が作用し、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電動アクチュエータの電子回路装置は、
電動アクチュエータのハウジングのコントローラ取付部に取り付けられ、該コントローラ取付部と底壁との間で機電接続空間を構成する金属製のケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、上記電動アクチュエータを駆動するパワー部品が実装されるとともに、複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化してなるバスバーモジュールと、
上記ケーシングの上記底壁に開口形成された開口部と、
板状をなす上記バスバーモジュールから突出した形状に該バスバーモジュールと一体に成形され、上記開口部を貫通して上記機電接続空間に臨むセンサ用コネクタと、
を備えており、上記電動アクチュエータに付設されたセンサのコネクタが上記機電接続空間内で上記センサ用コネクタに接続されるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、コネクタの脱着の際の力をバスバーモジュールが受け、プリント配線基板からなる制御基板に作用する応力が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】モータユニットのハウジングにコントロールユニットを組み付けた電動ブレーキブースタ装置の斜視図。
【図2】この電動ブレーキブースタ装置のコントロールユニットの分解斜視図。
【図3】バスバーモジュールの上面側を示す斜視図。
【図4】図3のA部の拡大斜視図。
【図5】バスバーモジュールの上面に制御基板を重ねた状態を示す斜視図。
【図6】バスバーモジュールの下面側を示す斜視図。
【図7】ケーシングの上面側を示す斜視図。
【図8】ケーシングの下面側を示す斜視図。
【図9】バスバーモジュールを組み合わせた状態でケーシングの下面側を示す斜視図。
【図10】センサ用コネクタを通る断面に沿った要部の断面図。
【図11】図10のB部の拡大断面図。
【図12】電動モータのハウジングにコントロールユニットを組み付けた状態での要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を車両の電動ブレーキブースタ装置に適用した一実施例について詳細に説明する。
【0012】
図1は、モータユニット1のハウジング2にコントロールユニット3を組み付けたブレーキブースタ装置全体の構成を示し、図2は、その分解斜視図を示している。
【0013】
上記モータユニット1は、車体のエンジンルームと車室とを仕切る図示せぬバルクヘッドに取り付けられるものであって、ブレーキペダルに連係して軸方向に移動する入力ロッド(図示せず)が図右側の筒状部4内に位置し、これと同心状をなすように構成された3相交流ブラシレスモータからなる電動モータ(図示せず)がハウジング2内に収容されている。従って、ハウジング2は、基本的に、内部の電動モータに対応した略円筒形状をなしている。そして、バルクヘッドに片持ち状に支持されるハウジング2の先端部中央に、ブレーキ系統へ油圧を供給するマスタシリンダ5が装着されており、上述した特許文献1と同様に、上記入力ロッドを介したブレーキペダルの操作量に応じて上記電動モータによってマスタシリンダ5の増圧作用が得られる構成となっている。
【0014】
上記モータユニット1のハウジング2は、例えばアルミニウム合金のダイキャストなどからなる金属製のものであって、図2に示すように、その上面(換言すれば周面の一部)に、コントローラ取付部7を備えている。このコントローラ取付部7は、上面が開口した略矩形の箱状をなすように周壁部8によって囲まれた機電接続室9と、その両側にそれぞれ設けられた一対のフランジ部10と、からなり、上記周壁部8の頂部には、機電接続室9の全周に亘って連続したOリング等のシール部材11が配設されている。上記機電接続室9内には、後述するように、コントロールユニット3側の3つの出力端子15とそれぞれ接続される電動モータの3つの入力端子が配置されている。そして、周壁部8の一部には、これら出力端子15と入力端子との接続作業(ネジ止め)を行うための作業孔16が開口している。この作業孔16は、最終的に、後述するプラグの装着によって閉塞される。
【0015】
上記コントロールユニット3は、図2に示すように、上面が開口した箱状をなすアルミニウム合金等のダイキャストからなるケーシング18と、このケーシング18の上面開口に装着される同じくアルミニウム合金等のダイキャストあるいは板金プレス成形品からなるカバー19と、これらのケーシング18とカバー19とからなる空間の内部に収容されるバスバーモジュール20と、このバスバーモジュール20の上面に重ねて配置されるプリント配線基板からなる制御基板21と、から大略構成されている。上記バスバーモジュール20は、複数本のネジ22によって上記ケーシング18の内部に固定され、上記カバー19は、このバスバーモジュール20と上記制御基板21とを覆うように、複数本のネジ23によって上記ケーシング18に取り付けられている。そして、上記ケーシング18は、上記モータユニット1側のフランジ部10に螺合する複数本のネジ24によって上記コントローラ取付部7の上に取り付けられている。
【0016】
図3〜図6は、上記バスバーモジュール20を示している。上記バスバーモジュール20は、3相交流モータを駆動するための相対的に大きな電流が流れる銅板もしくは黄銅板からなる複数のバスバー31を絶縁性合成樹脂材料でもって板状に一体化した構成のものであって、その一側部には、電源用コネクタと制御信号用コネクタとを一体化してなる偏平な筒状をなすメインコネクタ26が一体に成形されている。図3,図5に示すように、メインコネクタ26の制御信号用コネクタに至る複数の制御信号用端子27は、バスバー31と導通することなく個々に上方へ立ち上がっており、制御基板21のスルーホールを介して該制御基板21にそれぞれ接続されている。また各バスバー31には、バスバーモジュール20に実装されるパワー部品およびノイズ対策部品の各端子と溶接ないしハンダ付けによって接合される多数の端子片が設けられており、図3に示すように、バスバーモジュール20の板状をなす合成樹脂部分からそれぞれ上方へ突出している。なお、複数のバスバー31は、バスバーモジュール20の厚さの中で3次元的に配索されている。
【0017】
上記バスバーモジュール20の周縁の複数箇所には、図4に拡大して示すように、制御基板21を乗せるための円柱状の支持部32と、この支持部32上の制御基板21の周縁と係合するように先端部が膨らんだ係止爪33と、が形成されており、制御基板21を両側から挟むように配置された複数の係止爪33によって、いわゆるスナップフィットとして制御基板21がバスバーモジュール20上に支持されるようになっている。つまり、制御基板21は、図5に示すように、バスバーモジュール20上に重ねて配置され、かつ複数の支持部32によって、バスバーモジュール20上面との間に、端子片との接触を回避し得るだけの間隙が確保されている。そして、バスバーモジュール20から上方へ長く延びた一部の端子が上記制御信号用端子27と同様に制御基板21のスルーホールに接続されている。
【0018】
図6は、上記バスバーモジュール20の下面側の構成を示しており、この図に示すように、バスバーモジュール20の下面には、3相交流モータを駆動するインバータ回路を構成する6個の半導体スイッチング素子(MOS−FET)35、異常時に電流を遮断/通電するための2つのリレー36、複数個の電解コンデンサ37、回路内のノイズを低減するためのノーマルモードチョークコイル38およびコモンモードチョークコイル39、電流検出用のシャント抵抗40、などのパワー部品およびノイズ対策部品が実装されている。
【0019】
そして、上記バスバーモジュール20の下面中央部には、バスバーモジュール20の下面から壁状に立ち上がった出力端子支持部42が一体に成形されており、ここに、U,V,W相の3つの出力端子15が一列に並んで設けられている。これらの出力端子15は、先端が円弧形に丸まった帯状に突出しており、各々先端部にネジ止め用の孔を備えている。
【0020】
また、上記バスバーモジュール20の下面の一側部には、同様にバスバーモジュール20の下面から壁状に立ち上がったセンサ用コネクタ45が一体に成形されている。このセンサ用コネクタ45は、細長い断面矩形の筒状をなすようにバスバーモジュール20から突出しており、中間の隔壁によってレゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとに仕切られている。換言すれば、この実施例では、レゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとが、1つのセンサ用コネクタ45として一体化されている。これらのセンサ用コネクタ45における複数本の端子46は、各々細いピン状をなしているが、図10に示すように、センサ用コネクタ45の基部の合成樹脂部分を貫通してバスバーモジュール20の上面側へと突出している。そして、各々の先端部が、図5に示すように、制御基板21のスルーホールを貫通して該制御基板21に接続されている。つまり、これらのセンサ用コネクタ45の端子46は、バスバーモジュール20に支持されているものの該バスバーモジュール20内部のバスバー31とは導通しておらず、後述するレゾルバおよび温度センサからの信号を制御基板21に直接に伝達している。
【0021】
上記の出力端子支持部42およびセンサ用コネクタ45は、2×3の形に配列された6個の半導体スイッチング素子35の領域の両側に沿って、換言すれば、6個の半導体スイッチング素子35を挟んで互いに対向するように、配置されている。
【0022】
図10および図11は、上記センサ用コネクタ45およびその先端部の断面形状をそれぞれ示しているが、これらの図に示すように、矩形の筒状をなすセンサ用コネクタ45の開口縁には、ここに差し込まれたコネクタを抜け止め保持するために該開口縁の内周側へ僅かに突出した係止部48を備えている。この係止部48は、バスバーモジュール20の成形時に同時に型成形されるが、型抜き方向に対してアンダーカットとなるので、本実施例では、図11に示すように、センサ用コネクタ45のほぼ全高に亘って図下側から延びる金型51と、センサ用コネクタ45の先端開口縁部分を形成するように図上側から延びる金型52と、を組み合わせて係止部48を成形している。従って、成形された製品としては、図10のように、バスバーモジュール20を上下に貫通するように、上記金型51によるスリット状の空隙53が残存したものとなる。なお、図10に明らかなように、センサ用コネクタ45の全高の中で、その先端部に近い一部のみが実際のコネクタとして機能する部分である。
【0023】
図7および図8は、上記のバスバーモジュール20が組み合わされるケーシング18を単体で示しており、図7は、ケーシング18の上面つまりバスバーモジュール20が収容される内側の構成を示し、図8は、ケーシング18の下面つまりモータユニット1の機電接続室9を覆う側の構成を示している。これらの図に示すように、略矩形をなすケーシング18の四隅に、前述したカバー19を取り付けるためのネジ23(図2参照)が螺合するネジ孔61が設けられているとともに、ケーシング18の外側に耳状に突出した4箇所に、それぞれ前述したモータユニット1側に固定するためのネジ24(図2参照)が貫通する孔62が設けられている。また、周囲を囲む四辺の側壁の一辺には、上記バスバーモジュール20のメインコネクタ26が嵌め込まれる切欠部63が設けられている。そして、このケーシング18の中央部、詳しくは、上記バスバーモジュール20の半導体スイッチング素子35の領域に対応する位置に、肉厚の矩形ブロック状をなすヒートマス部64が形成されている。このヒートマス部64は、周囲の底壁面から一段高くなっており、その上面が、高熱となる半導体スイッチング素子35に近接する。なお、図示せぬ絶縁材料からなる放熱シートをヒートマス部64上面に貼着し、半導体スイッチング素子35に直接に接触させるようにしてもよい。上記ケーシング18の外側面には、上記ヒートマス部64が受けた熱を放散させるために、多数のフィン65が形成されている。また上記ヒートマス部64に隣接した位置の側壁には、図示せぬ呼吸フィルタが装着される呼吸孔66が開口しており、該呼吸孔66を介してコントロールユニット3内部の空間が外部と連通している。
【0024】
上記のバスバーモジュール20は、上記ケーシング18の内部に収容され、図7に示す複数のボルト孔67に螺合するネジ22(図2参照)によってケーシング18に固定される。ここで、上記バスバーモジュール20は、上述したように起立壁のように突出した出力端子支持部42およびセンサ用コネクタ45を具備しているが、上記ケーシング18においては、上記ヒートマス部64の外縁に沿う底壁中央部に、バスバーモジュール20の出力端子支持部42に対応した出力端子用開口部69がスリット状に開口形成され、かつ上記ヒートマス部64の一側部を貫通するように、上述したバスバーモジュール20のセンサ用コネクタ45に対応したセンサコネクタ用開口部70がスリット状に開口形成されている。
【0025】
従って、バスバーモジュール20を上記ケーシング18に組み付けた状態においては、図9に示すように、上記出力端子支持部42が上記出力端子15とともに上記出力端子用開口部69を貫通し、上記センサ用コネクタ45が上記センサコネクタ用開口部70を貫通し、それぞれの先端部がケーシング18の下面から僅かに突出した状態となる。
【0026】
図12は、上記のように構成されたコントロールユニット3が最終的にモータユニット1に取り付けられた状態を示しており、図示するように、ケーシング18の下面から突出した出力端子15およびセンサ用コネクタ45は、コントローラ取付部7における機電接続室9内に露出している。この機電接続室9は、周囲を囲むシール部材11にケーシング18下面が接することで外部から密閉された機電接続空間となるものであり、その内部に、電動モータの3つの入力端子71が並んで設けられ、各々のL字形に折曲した先端部に、出力端子15がそれぞれネジ72によって接続されている。前述したように、このネジ止め作業は機電接続室9前面の作業孔16を通して行われ、この作業孔16は、最終的にプラグ73によって閉塞されている。またセンサ用コネクタ45は、その実質的なコネクタ差し込み口となる先端面が下方へ向かって機電接続室9に臨んでおり、電動モータのレゾルバ75から延びたハーネス76先端のコネクタ77および図示せぬ温度センサから延びたハーネス先端のコネクタ(図示せず)が、上記センサ用コネクタ45に各々差し込まれている。従って、前述したように、電動モータのロータの位置を示すレゾルバ75からの信号および電動モータの温度状態を示す温度センサからの信号が、それぞれ端子46を介して制御基板21に入力されている。
【0027】
なお、センサ用コネクタ45へのコネクタ77等の挿入作業は、ケーシング18をモータユニット1側にネジ止めする前に行われ、ケーシング18をモータユニット1側に取り付けた後に、出力端子15のネジ止めが行われる。
【0028】
このように、上記実施例の構成では、モータユニット1側のレゾルバ75および温度センサ(図示せず)からコントロールユニット3の制御基板21へ至る信号ラインが金属製の筐体(つまりモータユニット1のハウジング2およびコントロールユニット3のケーシング18)に完全に囲まれてシールドされた状態となり、そのハーネスやコネクタ部分が筐体外部に引き回されることがないので、これらの信号ラインに関連したノイズの低減の上で有利となる。また、センサ用コネクタ45とコネクタ77等の接続部が密閉された空間内にあるので、防水性や防塵性あるいは耐薬品性に優れたものとなる。
【0029】
また、センサ用コネクタ45がその端子46とともに、制御基板21ではなく、強度・剛性の高いバスバーモジュール20に堅固に支持されるので、耐久性が高くなるとともに、コネクタ77等の脱着の際の外力をバスバーモジュール20が受けることとなり、プリント配線基板からなる制御基板21に作用する応力が抑制される。従って、外力による制御基板21の損傷が抑制される。
【0030】
なお、図示例では、レゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとを一体化してあるが、各々を別個独立した構成とし、各々に対応する開口部をケーシング18底壁に開口形成するようにしてもよい。但し、図示例のようにレゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとを一体化した方が、全体としては小型となり、センサ用コネクタ45としての強度・剛性の確保の上でも有利となる。
【0031】
また、上記実施例では、センサ用コネクタ45の先端がケーシング18下面から僅かに突出するように、センサ用コネクタ45の高さが設定されているが、図12から明らかなように、下方からコネクタ77等を脱着できる範囲であれば、センサ用コネクタ45の先端がケーシング18下面と同一面あるいは逆にケーシング18下面から後退している位置にあってもよい。
【0032】
ところで、上記のセンサ用コネクタ45のためにケーシング18底壁に設けられるセンサコネクタ用開口部70は、出力端子用開口部69とともに、ケーシング18のヒートマス部64の冷却のための空気通流口としても寄与する。すなわち、機電接続室9はモータユニット1の内部とは僅かに連通しており、電動モータの動作に伴って機電接続室9内で圧力変動が生じるため、呼吸孔66を通して空気の出入りが生じる。このとき、センサコネクタ用開口部70および出力端子用開口部69においても空気の流動が生じ、これら開口部69,70がヒートマス部64に隣接することから、ヒートマス部64からの熱の放散つまりヒートマス部64の冷却に寄与することができる。
【0033】
以上、本発明を車両の電動ブレーキブースタ装置に適用した一実施例を説明したが、本発明は、これに限られることなく、3相交流電動モータ以外の電動モータ、あるいはモータ以外の電動アクチュエータについても同様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…モータユニット
2…ハウジング
3…コントロールユニット
9…機電接続室
15…出力端子
18…ケーシング
19…カバー
20…バスバーモジュール
21…制御基板
42…出力端子支持部
45…センサ用コネクタ
46…端子
69…出力端子用開口部
70…センサコネクタ用開口部
75…レゾルバ
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の電動ブレーキブースタ装置などに用いられる電動アクチュエータの電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ装置において、内燃機関を負圧源とした負圧式ブレーキブースタ装置に代えて、電動アクチュエータ例えば電動モータを利用してマスタシリンダの油圧を増圧するようにした電動ブレーキブースタ装置が近年提案されている。
【0003】
本出願人が先に提案した特許文献1には、ブレーキペダルに連係して軸方向に移動する入力ロッドを中心として同心状に構成される3相交流ブラシレスモータをアクチュエータとした電動ブレーキブースタ装置が開示されており、この3相交流ブラシレスモータの駆動・制御を行うインバータ回路を含む電子回路装置つまりコントロールユニットが、電動モータのハウジングの上面に一体に搭載された構成となっている。
【0004】
上記コントロールユニットは、パワー部品を実装するとともに複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化したバスバーモジュールと、このバスバーモジュールの上に重ねて配置されたプリント配線基板からなる制御基板と、を含んで構成されており、上記バスバーモジュールに設けられた3つの出力端子が、モータハウジングとコントローラケーシングとの間に画成された空間の中で、電動モータ側の3つのモータ入力端子にそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−132103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3相交流ブラシレスモータの回転制御のためには、その回転位置を検出するレゾルバが必須であり、また一般に、電動モータの温度を監視するための温度センサなども設けられている。これらのセンサ類の信号は、制御基板に入力すべきものであるため、上記特許文献1には詳細には記述されていないが、従来は、制御基板上にレゾルバ用コネクタと温度センサ用コネクタとが実装されており、電動モータ側に設けられたレゾルバおよび温度センサからそれぞれ延びたハーネス先端のコネクタを、これら制御基板上のレゾルバ用コネクタおよび温度センサ用コネクタに差し込んで接続する構成となっていた。
【0007】
従って、強度・剛性の低い制御基板にレゾルバ用コネクタおよび温度センサ用コネクタが設けられているので、ハーネス側のコネクタの脱着の際に制御基板に応力が作用し、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電動アクチュエータの電子回路装置は、
電動アクチュエータのハウジングのコントローラ取付部に取り付けられ、該コントローラ取付部と底壁との間で機電接続空間を構成する金属製のケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、上記電動アクチュエータを駆動するパワー部品が実装されるとともに、複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化してなるバスバーモジュールと、
上記ケーシングの上記底壁に開口形成された開口部と、
板状をなす上記バスバーモジュールから突出した形状に該バスバーモジュールと一体に成形され、上記開口部を貫通して上記機電接続空間に臨むセンサ用コネクタと、
を備えており、上記電動アクチュエータに付設されたセンサのコネクタが上記機電接続空間内で上記センサ用コネクタに接続されるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、コネクタの脱着の際の力をバスバーモジュールが受け、プリント配線基板からなる制御基板に作用する応力が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】モータユニットのハウジングにコントロールユニットを組み付けた電動ブレーキブースタ装置の斜視図。
【図2】この電動ブレーキブースタ装置のコントロールユニットの分解斜視図。
【図3】バスバーモジュールの上面側を示す斜視図。
【図4】図3のA部の拡大斜視図。
【図5】バスバーモジュールの上面に制御基板を重ねた状態を示す斜視図。
【図6】バスバーモジュールの下面側を示す斜視図。
【図7】ケーシングの上面側を示す斜視図。
【図8】ケーシングの下面側を示す斜視図。
【図9】バスバーモジュールを組み合わせた状態でケーシングの下面側を示す斜視図。
【図10】センサ用コネクタを通る断面に沿った要部の断面図。
【図11】図10のB部の拡大断面図。
【図12】電動モータのハウジングにコントロールユニットを組み付けた状態での要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を車両の電動ブレーキブースタ装置に適用した一実施例について詳細に説明する。
【0012】
図1は、モータユニット1のハウジング2にコントロールユニット3を組み付けたブレーキブースタ装置全体の構成を示し、図2は、その分解斜視図を示している。
【0013】
上記モータユニット1は、車体のエンジンルームと車室とを仕切る図示せぬバルクヘッドに取り付けられるものであって、ブレーキペダルに連係して軸方向に移動する入力ロッド(図示せず)が図右側の筒状部4内に位置し、これと同心状をなすように構成された3相交流ブラシレスモータからなる電動モータ(図示せず)がハウジング2内に収容されている。従って、ハウジング2は、基本的に、内部の電動モータに対応した略円筒形状をなしている。そして、バルクヘッドに片持ち状に支持されるハウジング2の先端部中央に、ブレーキ系統へ油圧を供給するマスタシリンダ5が装着されており、上述した特許文献1と同様に、上記入力ロッドを介したブレーキペダルの操作量に応じて上記電動モータによってマスタシリンダ5の増圧作用が得られる構成となっている。
【0014】
上記モータユニット1のハウジング2は、例えばアルミニウム合金のダイキャストなどからなる金属製のものであって、図2に示すように、その上面(換言すれば周面の一部)に、コントローラ取付部7を備えている。このコントローラ取付部7は、上面が開口した略矩形の箱状をなすように周壁部8によって囲まれた機電接続室9と、その両側にそれぞれ設けられた一対のフランジ部10と、からなり、上記周壁部8の頂部には、機電接続室9の全周に亘って連続したOリング等のシール部材11が配設されている。上記機電接続室9内には、後述するように、コントロールユニット3側の3つの出力端子15とそれぞれ接続される電動モータの3つの入力端子が配置されている。そして、周壁部8の一部には、これら出力端子15と入力端子との接続作業(ネジ止め)を行うための作業孔16が開口している。この作業孔16は、最終的に、後述するプラグの装着によって閉塞される。
【0015】
上記コントロールユニット3は、図2に示すように、上面が開口した箱状をなすアルミニウム合金等のダイキャストからなるケーシング18と、このケーシング18の上面開口に装着される同じくアルミニウム合金等のダイキャストあるいは板金プレス成形品からなるカバー19と、これらのケーシング18とカバー19とからなる空間の内部に収容されるバスバーモジュール20と、このバスバーモジュール20の上面に重ねて配置されるプリント配線基板からなる制御基板21と、から大略構成されている。上記バスバーモジュール20は、複数本のネジ22によって上記ケーシング18の内部に固定され、上記カバー19は、このバスバーモジュール20と上記制御基板21とを覆うように、複数本のネジ23によって上記ケーシング18に取り付けられている。そして、上記ケーシング18は、上記モータユニット1側のフランジ部10に螺合する複数本のネジ24によって上記コントローラ取付部7の上に取り付けられている。
【0016】
図3〜図6は、上記バスバーモジュール20を示している。上記バスバーモジュール20は、3相交流モータを駆動するための相対的に大きな電流が流れる銅板もしくは黄銅板からなる複数のバスバー31を絶縁性合成樹脂材料でもって板状に一体化した構成のものであって、その一側部には、電源用コネクタと制御信号用コネクタとを一体化してなる偏平な筒状をなすメインコネクタ26が一体に成形されている。図3,図5に示すように、メインコネクタ26の制御信号用コネクタに至る複数の制御信号用端子27は、バスバー31と導通することなく個々に上方へ立ち上がっており、制御基板21のスルーホールを介して該制御基板21にそれぞれ接続されている。また各バスバー31には、バスバーモジュール20に実装されるパワー部品およびノイズ対策部品の各端子と溶接ないしハンダ付けによって接合される多数の端子片が設けられており、図3に示すように、バスバーモジュール20の板状をなす合成樹脂部分からそれぞれ上方へ突出している。なお、複数のバスバー31は、バスバーモジュール20の厚さの中で3次元的に配索されている。
【0017】
上記バスバーモジュール20の周縁の複数箇所には、図4に拡大して示すように、制御基板21を乗せるための円柱状の支持部32と、この支持部32上の制御基板21の周縁と係合するように先端部が膨らんだ係止爪33と、が形成されており、制御基板21を両側から挟むように配置された複数の係止爪33によって、いわゆるスナップフィットとして制御基板21がバスバーモジュール20上に支持されるようになっている。つまり、制御基板21は、図5に示すように、バスバーモジュール20上に重ねて配置され、かつ複数の支持部32によって、バスバーモジュール20上面との間に、端子片との接触を回避し得るだけの間隙が確保されている。そして、バスバーモジュール20から上方へ長く延びた一部の端子が上記制御信号用端子27と同様に制御基板21のスルーホールに接続されている。
【0018】
図6は、上記バスバーモジュール20の下面側の構成を示しており、この図に示すように、バスバーモジュール20の下面には、3相交流モータを駆動するインバータ回路を構成する6個の半導体スイッチング素子(MOS−FET)35、異常時に電流を遮断/通電するための2つのリレー36、複数個の電解コンデンサ37、回路内のノイズを低減するためのノーマルモードチョークコイル38およびコモンモードチョークコイル39、電流検出用のシャント抵抗40、などのパワー部品およびノイズ対策部品が実装されている。
【0019】
そして、上記バスバーモジュール20の下面中央部には、バスバーモジュール20の下面から壁状に立ち上がった出力端子支持部42が一体に成形されており、ここに、U,V,W相の3つの出力端子15が一列に並んで設けられている。これらの出力端子15は、先端が円弧形に丸まった帯状に突出しており、各々先端部にネジ止め用の孔を備えている。
【0020】
また、上記バスバーモジュール20の下面の一側部には、同様にバスバーモジュール20の下面から壁状に立ち上がったセンサ用コネクタ45が一体に成形されている。このセンサ用コネクタ45は、細長い断面矩形の筒状をなすようにバスバーモジュール20から突出しており、中間の隔壁によってレゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとに仕切られている。換言すれば、この実施例では、レゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとが、1つのセンサ用コネクタ45として一体化されている。これらのセンサ用コネクタ45における複数本の端子46は、各々細いピン状をなしているが、図10に示すように、センサ用コネクタ45の基部の合成樹脂部分を貫通してバスバーモジュール20の上面側へと突出している。そして、各々の先端部が、図5に示すように、制御基板21のスルーホールを貫通して該制御基板21に接続されている。つまり、これらのセンサ用コネクタ45の端子46は、バスバーモジュール20に支持されているものの該バスバーモジュール20内部のバスバー31とは導通しておらず、後述するレゾルバおよび温度センサからの信号を制御基板21に直接に伝達している。
【0021】
上記の出力端子支持部42およびセンサ用コネクタ45は、2×3の形に配列された6個の半導体スイッチング素子35の領域の両側に沿って、換言すれば、6個の半導体スイッチング素子35を挟んで互いに対向するように、配置されている。
【0022】
図10および図11は、上記センサ用コネクタ45およびその先端部の断面形状をそれぞれ示しているが、これらの図に示すように、矩形の筒状をなすセンサ用コネクタ45の開口縁には、ここに差し込まれたコネクタを抜け止め保持するために該開口縁の内周側へ僅かに突出した係止部48を備えている。この係止部48は、バスバーモジュール20の成形時に同時に型成形されるが、型抜き方向に対してアンダーカットとなるので、本実施例では、図11に示すように、センサ用コネクタ45のほぼ全高に亘って図下側から延びる金型51と、センサ用コネクタ45の先端開口縁部分を形成するように図上側から延びる金型52と、を組み合わせて係止部48を成形している。従って、成形された製品としては、図10のように、バスバーモジュール20を上下に貫通するように、上記金型51によるスリット状の空隙53が残存したものとなる。なお、図10に明らかなように、センサ用コネクタ45の全高の中で、その先端部に近い一部のみが実際のコネクタとして機能する部分である。
【0023】
図7および図8は、上記のバスバーモジュール20が組み合わされるケーシング18を単体で示しており、図7は、ケーシング18の上面つまりバスバーモジュール20が収容される内側の構成を示し、図8は、ケーシング18の下面つまりモータユニット1の機電接続室9を覆う側の構成を示している。これらの図に示すように、略矩形をなすケーシング18の四隅に、前述したカバー19を取り付けるためのネジ23(図2参照)が螺合するネジ孔61が設けられているとともに、ケーシング18の外側に耳状に突出した4箇所に、それぞれ前述したモータユニット1側に固定するためのネジ24(図2参照)が貫通する孔62が設けられている。また、周囲を囲む四辺の側壁の一辺には、上記バスバーモジュール20のメインコネクタ26が嵌め込まれる切欠部63が設けられている。そして、このケーシング18の中央部、詳しくは、上記バスバーモジュール20の半導体スイッチング素子35の領域に対応する位置に、肉厚の矩形ブロック状をなすヒートマス部64が形成されている。このヒートマス部64は、周囲の底壁面から一段高くなっており、その上面が、高熱となる半導体スイッチング素子35に近接する。なお、図示せぬ絶縁材料からなる放熱シートをヒートマス部64上面に貼着し、半導体スイッチング素子35に直接に接触させるようにしてもよい。上記ケーシング18の外側面には、上記ヒートマス部64が受けた熱を放散させるために、多数のフィン65が形成されている。また上記ヒートマス部64に隣接した位置の側壁には、図示せぬ呼吸フィルタが装着される呼吸孔66が開口しており、該呼吸孔66を介してコントロールユニット3内部の空間が外部と連通している。
【0024】
上記のバスバーモジュール20は、上記ケーシング18の内部に収容され、図7に示す複数のボルト孔67に螺合するネジ22(図2参照)によってケーシング18に固定される。ここで、上記バスバーモジュール20は、上述したように起立壁のように突出した出力端子支持部42およびセンサ用コネクタ45を具備しているが、上記ケーシング18においては、上記ヒートマス部64の外縁に沿う底壁中央部に、バスバーモジュール20の出力端子支持部42に対応した出力端子用開口部69がスリット状に開口形成され、かつ上記ヒートマス部64の一側部を貫通するように、上述したバスバーモジュール20のセンサ用コネクタ45に対応したセンサコネクタ用開口部70がスリット状に開口形成されている。
【0025】
従って、バスバーモジュール20を上記ケーシング18に組み付けた状態においては、図9に示すように、上記出力端子支持部42が上記出力端子15とともに上記出力端子用開口部69を貫通し、上記センサ用コネクタ45が上記センサコネクタ用開口部70を貫通し、それぞれの先端部がケーシング18の下面から僅かに突出した状態となる。
【0026】
図12は、上記のように構成されたコントロールユニット3が最終的にモータユニット1に取り付けられた状態を示しており、図示するように、ケーシング18の下面から突出した出力端子15およびセンサ用コネクタ45は、コントローラ取付部7における機電接続室9内に露出している。この機電接続室9は、周囲を囲むシール部材11にケーシング18下面が接することで外部から密閉された機電接続空間となるものであり、その内部に、電動モータの3つの入力端子71が並んで設けられ、各々のL字形に折曲した先端部に、出力端子15がそれぞれネジ72によって接続されている。前述したように、このネジ止め作業は機電接続室9前面の作業孔16を通して行われ、この作業孔16は、最終的にプラグ73によって閉塞されている。またセンサ用コネクタ45は、その実質的なコネクタ差し込み口となる先端面が下方へ向かって機電接続室9に臨んでおり、電動モータのレゾルバ75から延びたハーネス76先端のコネクタ77および図示せぬ温度センサから延びたハーネス先端のコネクタ(図示せず)が、上記センサ用コネクタ45に各々差し込まれている。従って、前述したように、電動モータのロータの位置を示すレゾルバ75からの信号および電動モータの温度状態を示す温度センサからの信号が、それぞれ端子46を介して制御基板21に入力されている。
【0027】
なお、センサ用コネクタ45へのコネクタ77等の挿入作業は、ケーシング18をモータユニット1側にネジ止めする前に行われ、ケーシング18をモータユニット1側に取り付けた後に、出力端子15のネジ止めが行われる。
【0028】
このように、上記実施例の構成では、モータユニット1側のレゾルバ75および温度センサ(図示せず)からコントロールユニット3の制御基板21へ至る信号ラインが金属製の筐体(つまりモータユニット1のハウジング2およびコントロールユニット3のケーシング18)に完全に囲まれてシールドされた状態となり、そのハーネスやコネクタ部分が筐体外部に引き回されることがないので、これらの信号ラインに関連したノイズの低減の上で有利となる。また、センサ用コネクタ45とコネクタ77等の接続部が密閉された空間内にあるので、防水性や防塵性あるいは耐薬品性に優れたものとなる。
【0029】
また、センサ用コネクタ45がその端子46とともに、制御基板21ではなく、強度・剛性の高いバスバーモジュール20に堅固に支持されるので、耐久性が高くなるとともに、コネクタ77等の脱着の際の外力をバスバーモジュール20が受けることとなり、プリント配線基板からなる制御基板21に作用する応力が抑制される。従って、外力による制御基板21の損傷が抑制される。
【0030】
なお、図示例では、レゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとを一体化してあるが、各々を別個独立した構成とし、各々に対応する開口部をケーシング18底壁に開口形成するようにしてもよい。但し、図示例のようにレゾルバ用コネクタ45Aと温度センサ用コネクタ45Bとを一体化した方が、全体としては小型となり、センサ用コネクタ45としての強度・剛性の確保の上でも有利となる。
【0031】
また、上記実施例では、センサ用コネクタ45の先端がケーシング18下面から僅かに突出するように、センサ用コネクタ45の高さが設定されているが、図12から明らかなように、下方からコネクタ77等を脱着できる範囲であれば、センサ用コネクタ45の先端がケーシング18下面と同一面あるいは逆にケーシング18下面から後退している位置にあってもよい。
【0032】
ところで、上記のセンサ用コネクタ45のためにケーシング18底壁に設けられるセンサコネクタ用開口部70は、出力端子用開口部69とともに、ケーシング18のヒートマス部64の冷却のための空気通流口としても寄与する。すなわち、機電接続室9はモータユニット1の内部とは僅かに連通しており、電動モータの動作に伴って機電接続室9内で圧力変動が生じるため、呼吸孔66を通して空気の出入りが生じる。このとき、センサコネクタ用開口部70および出力端子用開口部69においても空気の流動が生じ、これら開口部69,70がヒートマス部64に隣接することから、ヒートマス部64からの熱の放散つまりヒートマス部64の冷却に寄与することができる。
【0033】
以上、本発明を車両の電動ブレーキブースタ装置に適用した一実施例を説明したが、本発明は、これに限られることなく、3相交流電動モータ以外の電動モータ、あるいはモータ以外の電動アクチュエータについても同様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…モータユニット
2…ハウジング
3…コントロールユニット
9…機電接続室
15…出力端子
18…ケーシング
19…カバー
20…バスバーモジュール
21…制御基板
42…出力端子支持部
45…センサ用コネクタ
46…端子
69…出力端子用開口部
70…センサコネクタ用開口部
75…レゾルバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アクチュエータのハウジングのコントローラ取付部に取り付けられ、該コントローラ取付部と底壁との間で機電接続空間を構成する金属製のケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、上記電動アクチュエータを駆動するパワー部品が実装されるとともに、複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化してなるバスバーモジュールと、
上記ケーシングの上記底壁に開口形成された開口部と、
板状をなす上記バスバーモジュールから突出した形状に該バスバーモジュールと一体に成形され、上記開口部を貫通して上記機電接続空間に臨むセンサ用コネクタと、
を備え、上記電動アクチュエータに付設されたセンサのコネクタが上記機電接続空間内で上記センサ用コネクタに接続されることを特徴とする電動アクチュエータの電子回路装置。
【請求項2】
上記バスバーモジュールに重ねて配置された制御基板を有し、上記センサ用コネクタの各端子が、他のバスバーと導通することなく上記バスバーモジュールを貫通して上記制御基板に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動アクチュエータの電子回路装置。
【請求項1】
電動アクチュエータのハウジングのコントローラ取付部に取り付けられ、該コントローラ取付部と底壁との間で機電接続空間を構成する金属製のケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、上記電動アクチュエータを駆動するパワー部品が実装されるとともに、複数のバスバーを合成樹脂材料で一体化してなるバスバーモジュールと、
上記ケーシングの上記底壁に開口形成された開口部と、
板状をなす上記バスバーモジュールから突出した形状に該バスバーモジュールと一体に成形され、上記開口部を貫通して上記機電接続空間に臨むセンサ用コネクタと、
を備え、上記電動アクチュエータに付設されたセンサのコネクタが上記機電接続空間内で上記センサ用コネクタに接続されることを特徴とする電動アクチュエータの電子回路装置。
【請求項2】
上記バスバーモジュールに重ねて配置された制御基板を有し、上記センサ用コネクタの各端子が、他のバスバーと導通することなく上記バスバーモジュールを貫通して上記制御基板に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動アクチュエータの電子回路装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−67213(P2013−67213A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205478(P2011−205478)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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