説明

電動ブラインド及び電動ブラインドシステム

【課題】開閉動作時に必要な外部電源からの電力を抑えることが可能となる電動ブラインドを提供する。
【解決手段】電源回路34は、外部電源から供給される電力を所定量以下に抑える定電流回路66と、外部電源から供給される電力により充電される電気二重層コンデンサ78と、を有しており、電動ブラインドの待機時には、外部電源から供給される電力により前記電気二重層コンデンサ78を充電可能とし、電動ブラインドの開閉動作時には、定電流回路66によって所定量以下に抑制された外部電源から供給される外部電力と、電気二重層コンデンサ78から放電される放電電力と、によってモータ26を駆動して開閉動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から電源回路を介してモータが駆動するための電力を供与するようにした電動ブラインド及び該電動ブラインドを複数有する電動ブラインドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動ブラインドでは、商用電源である外部電源から電源回路を介してモータが駆動するための電力を供与するようにして電動ブラインドの開閉動作を行わせている。開閉動作時には消費電力が一時的に増加するが、開閉動作は頻繁に行われるものではなく、待機状態時と開閉動作時とでの消費電力の差は大きい。それにもかかわらず、開閉動作時に必要な電力に合わせて、それなりの電気契約量の設定または電源系統数を準備しなければならない、という問題がある。
【0003】
これに対して、商用電源である外部電源を全く使用しないものとして、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
これに示されるものは、二重ガラスサッシ内に横型ブラインドを配設し、横型ブラインドのスラットをモータの正逆転動作に基づいて角度調節可能とした電動内包ブラインドであり、モータは、太陽電池の起電力に基づいて充電される電気二重層コンデンサを電源として、コントローラから出力される制御信号に基づいて動作し、太陽電池とコントローラをサッシ枠に取着しており、これにより、太陽電池で充電される電気二重層コンデンサからコントローラ及びモータに電力を供給してブラインドを開閉動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3863435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気二重層コンデンサで蓄えた電力だけでは、ブラインドを連続動作させたときに電力が十分に足りずに昇降できない可能性がある。これを改善するために、電気二重層コンデンサの容量を大きくすれば、ブラインドの連続動作にも対応できる可能性はあるが、電気二重層コンデンサは決して安価な部品ではないため、ブラインド装置全体の製造コストが高価になるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、製造コストの高騰を抑え、且つ、ブラインド動作時に要する外部電源からの消費電力の急激な増加を抑えることができる電動ブラインドを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外部電源から電源回路を介してモータを駆動するための電力を供与し、モータの駆動により開閉動作が行われる電動ブラインドにおいて
前記電源回路は、外部電源から供給される電力を所定量以下に抑える定電流回路と、外部電源から供給される電力により充電される電気二重層コンデンサと、を有しており、
電動ブラインドの待機時には、外部電源から供給される電力により前記電気二重層コンデンサを充電可能とし、
電動ブラインドの開閉動作時には、定電流回路によって所定量以下に抑制された外部電源から供給される外部電力と、電気二重層コンデンサから放電される放電電力と、によってモータを駆動して開閉動作を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記電動ブラインドの開閉動作時の電気二重層コンデンサによる放電電力が、開閉動作を行うために必要な実効動作電力の半分以上を補うことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記電源回路は、外部電源からの電力の低下を検出する停電検出回路を有し、停電検出回路が電力の低下を検出すると、電気二重層コンデンサから放電される放電電力によってモータを駆動して開閉動作を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のものにおいて、前記開閉動作は、電動ブラインドの開度を上昇させる動作であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、電動ブラインドシステムであって、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電動ブラインドを複数有し、各電動ブラインドが通信線でそれぞれ接続され、通信線を介して各電動ブラインドに対して開閉指令信号を送信する中央制御装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電動ブラインドの開閉動作に必要な電力の一部を電気二重層コンデンサに充電した充電電力で補うことができるため、電動ブラインドの開閉動作時に外部電源から供給する外部電力を小さくすることができる。これによって、外部電源からの一時的な消費電力の増加を緩和することができる。
【0014】
電動ブラインドの開閉動作時に外部電力と電気二重層コンデンサからの放電電力の両方の電力を使用することで、電気二重層コンデンサの負担を軽減してその放電量を抑え、電動ブラインドの連続動作にも耐えうるものとすることができる。また、電気二重層コンデンサの使用数を少なく、またその容量を小さくすることで、製造コストを抑えることができる。
【0015】
また、停電時には、外部電源からの電力供給が停止するが、電気二重層コンデンサの放電電圧により、電動ブラインドを一時的に動作させることが可能となり、非常時に適した開閉動作を行わせることができる。
【0016】
多数の電動ブラインドを有するブラインドシステムにおいては、多数の電動ブラインドがほぼ同時に動作することになり、従来のシステムでは消費電力が一時的に急騰していたが、かかる消費電力の急騰を緩和することができる。
【0017】
また、電動ブラインドの動作時の電力の一部を電気二重層コンデンサの放電電力で補うため、電気二重層コンデンサを設けない場合に比べて、外部電源から供給される外部電力が同じでも、一斉に動作させることができる電動ブラインドの台数を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る電動ブラインドを用いた電動ブラインドシステムの全体構成例である。
【図2】本実施の形態に係る電動ブラインドの正面図である。
【図3】本実施の形態に係る電動ブラインドの制御装置等のブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電源回路のブロック図である。
【図5】図4の電源回路において待機/充電時の電流の流れを表す図である。
【図6】図4の電源回路において開閉動作時の電流の流れを表す図である。
【図7】図4の電源回路において停電時の電流の流れを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る電動ブラインドを多数用いてブラインドシステムを構成した場合の全体図である。
【0021】
尚、本発明の電動ブラインドは、図1に示したようなビルの窓等に配される多数の電動ブラインドが一斉に動作することが起こり得るブラインドシステムに使用すると好適であるが、必ずしも、これに限るものではなく、単独で使用されるものであってもよい。
【0022】
ブラインドシステム1においては、中央制御装置2と複数のフロア制御装置3がメインバス5で接続され、フロア制御装置3と複数の電動ブラインド10の制御装置がフロアバス6で接続されている。フロア制御装置3はビルの各フロアに1台相当、全体でN台(例えば最大127台)設置され、電動ブラインド10は各フロアにM台(例えば最大255台)設置される。したがって、ブラインドシステム1は、電動ブラインド10を例えば、最大N×M台(例えば32,385台)を設置可能となる大規模システムとなっている。
【0023】
中央制御装置2は、所定時間間隔で各電動ブラインドに適した開閉度(例えば昇降高さ、回転角度)を求めて、その開閉度を表す開閉指令信号とそれに対応する電動ブラインドを指定する信号とを含む指令信号を、メインバス5、該当するフロア制御装置3及びフロアバス6を介して該当する電動ブラインド10へと送信する。例えば、中央制御装置2は、予め決められた電動ブラインド10の制御タイムスケジュール、照度センサから得た現在の晴天/非晴天の状態、現在日付・時間から得た太陽の方位、高度等の情報を得て、電動ブラインド10がとるべき最適な開閉度を表す開閉指令信号を生成する。
【0024】
尚、図示及び以下に説明する電動ブラインド10は、横型ブラインドを対象としているが、これに限らず、ロールスクリーン、カーテン、シャッタ等の任意の電動開閉装置とすることができる。
【0025】
図2に示すように、本実施の形態の電動ブラインド10は、ヘッドボックス11を有し、ヘッドボックス11内には、回転ドラム14及び巻取ドラム16が収容される。
【0026】
回転ドラム14には、ラダーコード18の上端が所定長さ巻取り及び巻解き可能に連結されており、ラダーコード18は、ヘッドボックス11から垂下して、遮蔽材である複数のスラット20を整列状態に支持する。回転ドラム14の所定角度の回転によりラダーコード18が傾動することでスラット20の傾斜角度が変化し、ブラインドの開閉度が変化するようになっている。
【0027】
また、巻取ドラム16には、昇降コード22の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されており、昇降コード22はヘッドボックス11から垂下して、その下端は最下段スラット20の下方にあるボトムレール24に連結されている。巻取ドラム16の回転により昇降コード22が昇降することで、ボトムレール24及びスラット20が昇降し、ブラインドの開閉度が変化するようになっている。
【0028】
また、ヘッドボックス11内には、ヘッドボックス11内を長手方向に延びる昇降シャフト25と、昇降シャフト25を回転駆動するギヤードモータ26が配設される。
【0029】
昇降シャフト25は、巻取ドラム16に対して一体回転するように貫通し、また、回転ドラム14と摩擦係合するドラム軸28(図3参照)に対して一体回転するように貫通している。昇降シャフト25がある方向に回転駆動されたときに、回転ドラム14は、ラダーコード18が最大限傾動するまでは、昇降シャフト25及びドラム軸28と一体回転するが、ラダーコード18が最大限傾動すると、ヘッドボックス11などによって設けられた図示しない固定の突起によって回転ドラム14の回転が停止させられ、ドラム軸28がスリップして空転する。また、昇降シャフト25が反対方向に回転駆動されたときにも、回転ドラム14は、ラダーコード18が反対方向に最大限傾動するまでは、昇降シャフト25及びドラム軸28と共に反転し、ラダーコード18が最大限傾動すると、ヘッドボックス11などによって設けられた図示しない固定の突起によって回転ドラム14の回転が停止させられ、ドラム軸28がスリップして空転する。
【0030】
また、ヘッドボックス11内には、前記フロアバス6に接続される制御装置30が収容される。
【0031】
制御装置30は、電動ブラインド10が中央制御装置2から送られる指令信号で指定される電動ブラインドに該当するときには、その指令信号に含まれる開閉指令信号に基づき、ギヤードモータ26を駆動するようになっている。また、電動ブラインド10は、コントローラ7によって開閉動作を個別に制御可能にすることもできて、その場合、コントローラ7と制御装置30との間は無線または有線の通信ラインで信号を送受信可能となっている。
【0032】
図3は、本実施の形態に係る電動ブラインド10の制御装置30等のブロック図である。制御装置30は、外部電源である商用電源からの商用交流電力が印加される電源トランス32と、電源回路34と、モータ駆動回路38と、指令信号が入力されるMPU40と、を備える。
【0033】
電源トランス32は商用交流電力を降圧して、低電圧を電源回路34に与えており、電源回路34において、MPU40及びギヤードモータ26等に必要な電力を作り出している。
【0034】
モータ駆動回路38はMPU40からの指令に応じてギヤードモータ26に所定の周波数のパルス電圧を印加することにより、ギヤードモータ26を正転または反転させるように制御する。
【0035】
MPU40は、ギヤードモータ26に印加するパルス電圧の周波数及びデューティを変化させるための度合い等を記憶するROM42と、スラット20の高さ位置等を記憶するためのRAM44とを含む。
【0036】
MPU40には、巻取ドラム16及び回転ドラム14の回転角度を検出するセンサであるフォトインタラプタ50、54からの信号が入力される。
【0037】
フォトインタラプタ50は、巻取ドラム16に一体に設けられた回転板46の周縁を挟むようにして設けられており、回転板46の周縁に一定角度間隔で形成されたスリット46aの断続を光学的に検出し、巻取ドラム16の回転を電気的なパルス信号に変換してMPU40に入力する。MPU40は巻取ドラム16の回転に応じてフォトインタラプタ50から出力されるパルス信号をカウントすることによって、巻取ドラム16の回転量、いわゆる昇降コード22の上昇量または下降量を検出する。
【0038】
同様に、フォトインタラプタ54は、回転ドラム14に一体に設けられた回転板48の周縁を挟むようにして設けられており、回転板48の周縁に一定角度間隔で形成されたスリット48aの断続を光学的に検出し、回転ドラム14の回転を電気的なパルス信号に変換してMPU40に入力する。MPU40は、入力された電気信号に応じて回転ドラム14の角度、すなわち、スラット20の角度を検出する。
【0039】
尚、フォトインタラプタ50、54に限らず、磁気的または電気的なセンサを用いることも可能である。
【0040】
次に、電源回路34は、図4に示すように、電源トランス32から降圧された入力交流電力のノイズを濾波するノイズフィルタ58と、入力交流電力の整流、平滑化を行って直流電力にする入力整流平滑回路60と、入力整流平滑回路60からの直流入力電力を所定電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ62と、DC−DCコンバータ62からの直流電力を整流、平滑化する出力整流平滑回路64と、出力整流平滑回路64からの直流出力電力を一定電力に制限する定電流回路66と、充電回路72と、放電回路74と、電気二重層コンデンサ78と、入力整流平滑回路60における電圧の低下を検出して、その検出信号をMPU40に送出する停電検出回路80とを備える。
【0041】
ノイズフィルタ58、入力整流平滑回路60、DC−DCコンバータ62、出力整流平滑回路64は、通常の電源回路と同様の構成であるが、本発明では、さらに電気二重層コンデンサ78を備える。電気二重層コンデンサ78は、短時間で充電ができ、非常に大きな静電容量を持ち、二次電池と異なり劣化が少ないという特性を持っている。
【0042】
電動ブラインド10が動作していないときには充電回路72を介して電気二重層コンデンサ78の充電をし、電動ブラインド10が動作をするときには放電回路74を介して電気二重層コンデンサ78の放電を行って、商用電源からの消費電力を定電流回路66により所定量以下に抑えて、商用電源からの消費電力の急激な増加を抑える。このため、定電流回路66は、出力整流平滑回路64からの出力電流の制限を行う電流制限回路と、出力電流から該電流制限回路の制御を行う制御回路と、を備えて、出力電流を一定に制御する。
【0043】
以下、電源回路34を含めた電動ブラインド10の動作について説明する。
まず、電動ブラインド10が開閉動作せず待機している状態のときには、図5に示すように、電気二重層コンデンサ78の充電が行われる。充電は、商用交流電力(図中A)から生成された出力整流平滑回路64からの直流出力電力によって充電回路72を介して行われる(図中B)。充電時、定電流回路66により、電気二重層コンデンサ78に流れる充電電流は一定電流以下に制限される。電気二重層コンデンサ78の充電が完了すると、充電回路72がそれを検出し、電気二重層コンデンサ78を出力整流平滑回路64から切り離して、出力整流平滑回路64との切断を行う。このとき、放電回路74によって電気二重層コンデンサ78と負荷とは切り離されている(図中C)。
【0044】
次に、中央制御装置2から指令信号が送られてくるか、またはコントローラ7から指令信号が送られてくると、制御装置30を介して電動ブラインド10が開閉動作を開始する。この状態では、図6に示すように、商用交流電力(図中A)から生成された出力整流平滑回路64からの直流出力電力が、負荷であるモータ駆動回路38へと供給される。このとき、定電流回路66によって、出力整流平滑回路64からの出力電流が一定電流になるように制御されるため、出力整流平滑回路64からの電力は一定に制御される。また、放電回路74では、電流増加に伴い、電気二重層コンデンサ78と負荷とを接続する。出力整流平滑回路64からの一定の電力は、実効動作電力よりも低く設定されるので、この出力整流平滑回路64からの一定電力(図中E)と、電気二重層コンデンサ78からの放電電力(図中D)とが合わされて、ギヤードモータ26を駆動するために必要な電力(図中C)が負荷へと供給される。
【0045】
ここで、電気二重層コンデンサ78からの放電電力によって、必要な電力の半分以上の電力を補うようにするとよい。
【0046】
例えば、モータ動作のための実効動作電力が約40Wであるとし、商用電源から供給される電力を所定量、例えば、実効動作電力の1/2程度の20Wとして、残りの20Wを電気二重層コンデンサ78から補うものとする。電動ブラインド10の動作時間を60秒とすると、仕事U=20×60=1200(W・s)が必要である。2.5Vの電気二重層コンデンサを用いるとすれば、その容量Cは、
C=1/2×(U/V)×1.1(効率)=422(F)
となるから、470F程度の電気二重層コンデンサを用いることで、電動ブラインド10の開閉動作に必要な電力を充分に賄うことができることが分かる。
【0047】
次に、停電時には、図7に示すように、商用交流電力(図中A)からの入力がないため、停電検出回路80が電圧低下を検出し、検出信号をMPU40へと出力する(図中F)。また、放電回路74が、電圧低下を検出し、電気二重層コンデンサ78とMPU40を含む負荷とを接続する。MPU40は、開度を上げる指令を行い、電気二重層コンデンサ78からの電力で、モータ駆動回路38を駆動し、電動ブラインド10にその開度を上げる動作をさせる(矢印D)。この場合、商用電源からの電力はないので、電気二重層コンデンサ78からの電力で、可能な限り必要な実効動作電力を得る(図中C)。
【0048】
こうして、停電時に電動ブラインド10に開閉動作をさせることで、停電時といった非常時に適切な電動ブラインド10の開閉度に自動的にさせることが可能になる。例えば、電動ブラインド10の開度を上げる(スラットを上昇させるか、スラットを水平に回転させる等する)ことにより、室内を明るくしたり、または、排煙窓や脱出窓の開口を確保したりすることが可能となる。
【0049】
このように、本発明では、電動ブラインド10の開閉動作に必要な電力を、外部電源である商用電源からの外部電力と、電気二重層コンデンサ78の放電電力とによって賄うことにしている。即ち、電動ブラインド10の開閉動作に必要な電力の一部を電気二重層コンデンサ78に充電した充電電力で補うことができるため、電動ブラインド10の開閉動作時に外部電源から供給する外部電力を小さくすることができる。これによって、一時的な消費電力の増加を防ぐことができ、電気契約量の削減も可能にできる。
【0050】
特に、多数の電動ブラインドを有するブラインドシステムにおいては、中央制御装置2からの指令信号によって多数の電動ブラインドがほぼ同時に動作することになり、一時的に消費電力が急騰するので、従来は多くの電源系統数を必要としていたが、本発明により、かかる負担を軽減することができる。
【0051】
また、電動ブラインド10の動作時の電力の一部を電気二重層コンデンサ78の放電電力で補うため、電気二重層コンデンサ78を設けない場合に比べて、外部電源から供給される外部電力が同じでも、一斉に動作させることができる電動ブラインド10の台数を多くすることができる。
【0052】
さらに、正常な開閉動作時には、外部電力と電気二重層コンデンサ78からの放電電力の両方の電力を使用することで、電気二重層コンデンサ78の負担を軽減してその放電量を抑え、電動ブラインド10の連続動作にも耐えうるものとすることができる。また、電気二重層コンデンサ78の使用数を少なく、またその容量を小さくすることで、製造コストを抑えることができる。
【0053】
電気二重層コンデンサ78の放電電力が、開閉動作を行うために必要な実効動作電力の半分程度とすることで、電力負担割合を最適なものとすることができ、また半分以上とすることで、外部電力の消費電力の平滑化を効果的に行うことができる。
【0054】
停電時には、外部電源からの電力供給が停止するが、電気二重層コンデンサ78からの放電だけで電動ブラインド10を動作させることで、電動ブラインド10を一時的に動作させることが可能となる。そして、電動ブラインド10にその開度を上げるように動作させる等して、非常時に適した開閉動作を行わせることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ブラインドシステム
2 中央制御装置
5 メインバス(通信線)
6 フロアバス(通信線)
10 電動ブラインド
26 ギヤードモータ(モータ)
34 電源回路
66 定電流回路
78 電気二重層コンデンサ
80 停電検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電源回路(34)を介してモータ(26)を駆動するための電力を供与し、モータ(26)の駆動により開閉動作が行われる電動ブラインドにおいて
前記電源回路(34)は、外部電源から供給される電力を所定量以下に抑える定電流回路(66)と、外部電源から供給される電力により充電される電気二重層コンデンサ(78)と、を有しており、
電動ブラインドの待機時には、外部電源から供給される電力により前記電気二重層コンデンサ(78)を充電可能とし、
電動ブラインドの開閉動作時には、定電流回路(66)によって所定量以下に抑制された外部電源から供給される外部電力と、電気二重層コンデンサ(78)から放電される放電電力と、によってモータ(26)を駆動して開閉動作を行うことを特徴とする電動ブラインド。
【請求項2】
前記電動ブラインドの開閉動作時の電気二重層コンデンサ(78)による放電電力が、開閉動作を行うために必要な実効動作電力の半分以上を補うことを特徴とする請求項1記載の電動ブラインド。
【請求項3】
前記電源回路(34)は、外部電源からの電力の低下を検出する停電検出回路(80)を有し、停電検出回路(80)が電力の低下を検出すると、電気二重層コンデンサ(78)から放電される放電電力によってモータ(26)を駆動して開閉動作を行うことを特徴とする請求項1または2記載の電動ブラインド。
【請求項4】
前記開閉動作は、電動ブラインドの開度を上昇させる動作であることを特徴とする請求項3記載の電動ブラインド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電動ブラインド(10)を複数有し、各電動ブラインド(10)が通信線(5,6)でそれぞれ接続され、通信線(5,6)を介して各電動ブラインド(10)に対して開閉指令信号を送信する中央制御装置(2)を備える電動ブラインドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−137314(P2011−137314A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297075(P2009−297075)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000134958)株式会社ニチベイ (158)
【Fターム(参考)】