説明

電動モータ油組成物

【課題】電気絶縁性、冷却性、熱酸化安定性に優れ、安全性の点から引火点が高く、兼用油として変速機油としても使用できる潤滑性、低温始動性を有し、好ましくは生分解性に優れた電動モータ油組成物を提供する。
【解決手段】アジピン酸及び/又はセバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成されるエステル、及び/又はネオペンチルグリコール及び/又はトリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成されるエステルのうち、水酸基価が50mgKOH/g以下、全酸価が2mgKOH/g以下、引火点が150℃以上である1種以上のエステルを基油とし、アミン化合物及び/又はフェノール化合物を組成物全量基準で0.01〜3.0重量%添加した電動モータ油組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車又は電気自動車等の電動モータ装着車に用いられる潤滑油に関し、電動モータ装置又は電動モータと変速機の潤滑システムが共有化された装置用の電動モータ油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止のために、自動車の燃費向上が強く求められており、エンジンと電池を組み合わせたハイブリッド車が広まりつつある。また、今後は電気自動車の普及も進むと考えられており、これらの電動モータ装着車用の電気絶縁性、冷却性及び熱酸化安定性に優れた新規な油(電動モータ油)が要望されている。
【0003】
従来、電動モータ装着車に好適な自動車用変速機油として、尿素アダクト値4質量%以下、40℃における動粘度が25mm2/s以下、粘度指数が100以上の基油を用い、熱伝達係数が720W/m2・℃以上の組成物(特許文献1)、また電気自動車又はハイブリッド自動車に搭載される変速機油、変速機・電動モータ兼用油、又は変速機と電動モータの潤滑システムが共有化された装置用変速機油として、80℃における動粘度が1.5〜4.0mm2/sである基油に、炭化水素基含有ジチオリン酸亜鉛、トリアリールチオホスフェートからなる群より選択されるリン化合物と、無灰分散剤を含有させ、80℃における体積抵抗率が1×108Ω・m以上の組成物(特許文献2)が提案されている。
【0004】
ところで、電動モータ油には電気絶縁性、冷却性、熱酸化安定性等が要求され、冷却性の面からはより低粘度の油が好ましいが、安全性の点から引火点を高くする必要がある。また、自動車の信頼性を高めるためには、より高い熱酸化安定性が必要である。電動モータ油は油の共有化や電動モータと変速機をパッケージとする小型軽量化のために、変速機油としても、つまり兼用油として使用される場合は、さらに潤滑性を高める必要がある。また、環境保全の観点から好ましくは生分解性に優れるものが求められている。
上述の変速機油組成物は、電気絶縁性、冷却性、熱酸化安定性、引火点、また潤滑性、低温始動性、さらに生分解性等の要求特性をバランス良く満足するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−161604号公報
【特許文献2】特開2008−285682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、電気絶縁性、冷却性、熱酸化安定性に優れ、安全性の点から引火点が高く、兼用油として変速機油としても使用できる潤滑性、低温始動性を有し、好ましくは生分解性に優れた電動モータ油組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、熱酸化安定性に優れ、電気絶縁性が良好であり、冷却性を高めるために低粘度化しても引火点が高い基材としてエステル化合物に着目し、その構造と特性について鋭意検討を重ね、より特性を高めるため、またエステル化合物の弱点である加水分解に耐性を付与するため、さらには兼用油として変速機油としても使用できるように、添加剤についても検討し、所定の構造のエステル化合物と所定の添加剤の組み合わせが、上記課題を解決できることの知見を得、本発明を完成するに至った。しかも、本発明のうち特定構造のエステル化合物を基油としたものは、より好ましい特性である生分解性に優れていることも見出した。
【0008】
すなわち、上記課題を解決するための手段としての本発明は、次のとおりである。
(1)アジピン酸及び/又はセバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成されるエステル、及び/又はネオペンチルグリコール及び/又はトリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成されるエステルのうち、水酸基価が50mgKOH/g以下、全酸価が2mgKOH/g以下、引火点が150℃以上である1種以上のエステルを基油とし、アミン化合物及び/又はフェノール化合物を組成物全量基準で0.01〜3.0重量%添加した電動モータ油組成物。
(2)カルボジイミド化合物及び又はエポキシ化合物を組成物全量基準で0.01〜5.0重量%添加した上記(1)に記載の電動モータ油組成物。
【0009】
(3)アジピン酸及び/又はセバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成され、前記アルコールの60重量%以上が直鎖アルコールであるエステル、及び/又はネオペンチルグリコール及び/又はトリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成され、そのカルボン酸の60重量%以上が直鎖カルボン酸であるエステルの1種以上を基油とする上記(1)又は(2)に記載の電動モータ油組成物。
(4)リン酸エステル化合物を組成物全量基準で0.1〜5.0重量%添加した上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の電動モータ油組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電動モータ油組成物は、電気絶縁性、熱酸化安定性、加水分解安定性に優れると共に、引火点が高く、冷却性、低温始動性、潤滑性に優れ、ハイブリッド車や電気自動車の電動モータ装置や電動モータと変速機の潤滑システムが共有化された装置用の油としての要求性能をバランス良く満足し、実用性能に優れているという格別の効果を奏し、さらに、この一部のものは生分解性にも優れているという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電動モータ油組成物は、基油として二塩基酸エステルであるアジピン酸、セバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成されるエステル、ポリオールエステルであるネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成されるエステル及びこれらの任意の混合物を用いることができる。
これらのエステルは、アルコールと酸を混合したものを無触媒、或いは硫酸、アルキルスルホン酸などの強酸触媒や塩化スズや塩化チタンなどの金属塩化物触媒の存在下、通常の方法でエステル化することにより製造できる。また、得られたエステルは、通常のエステルを精製する場合と同様に、脱酸、水洗、脱水、吸着脱色、ろ過などの一連の処理により精製すると良い。
【0012】
これらのエステルは、水酸基価が50mgKOH/g以下、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/gであり、全酸価は2mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g以下、より好ましくは0.5mgKOH/gであり、引火点は150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上のものである。
水酸基価、全酸価は、より小さいほどエステルの安定性が良好になり、引火点は、より高いほど安全性が高まる。特にハイブリッド車の場合、エンジンルーム内では150℃程度まで温度が上昇する部分又はケースがあり、油の引火点を150℃以上とすることは、安全面で重要である。
【0013】
上記炭素数5〜14のアルコールとしては、n‐ペンタノール、n‐ヘキサノール、n‐ヘプタノール、n‐オクタノール、n‐ノナノール、n‐デカノール、n‐ウンデカノール、n‐ドデカノールなどの直鎖アルコールや2‐エチルヘキサノール、3,5,5‐トリメチルヘキサノールなどの分岐アルコールが挙げられる。
また、炭素数5〜14のカルボン酸としては、n‐ペンタン酸、n‐ヘキサン酸、n‐ヘプタン酸、n‐オクタン酸、n‐ノナン酸、n‐デカン酸、n‐ウンデカン酸、n‐ドデカン酸などの直鎖カルボン酸や2‐エチルヘキサン酸、3,5,5‐トリメチルヘキサン酸などの分岐カルボン酸が挙げられる。
炭素数が4以下のアルコールあるいはカルボン酸を用いると、合成されたエステルの引火点が低くなりすぎ、また、炭素数が15以上のアルコールあるいはカルボン酸を用いると、合成されたエステルの粘度が高くなりすぎ、冷却性能がおちる。
エステル基油の粘度は、より低いと冷却性能が良好となるが、引火点、蒸発特性等の他の特性とバランスをとって設定する必要があり、40℃における動粘度が5〜32mm2/sの範囲のものが好ましい。密度については、より小さなほうが熱伝熱係数が大きくなるが、エステル構造の範囲内であれば、それほど大きな差とはならない。
【0014】
二塩基酸エステルを合成する際、アルコールのうち60重量%以上を直鎖アルコールに、ポリオールエステルを合成する際、カルボン酸のうち60重量%以上を直鎖カルボン酸にすることにより基油であるエステルが生分解性となり、より好ましい特性となる。なお、この生分解性は、ASTM D5864に規定された方法により測定される。
上記エステルは基油の主成分として含まれておれば良く、本発明の基油としては、上記エステルに加えて鉱油、オレフィン重合体等の炭化水素系油や、上記エステル以外のエステルやエーテル等の酸素含有合成油を用いても良い。本発明の組成物中に上記エステルが、60質量%以上、特には90質量%以上含まれていることが好ましい。
【0015】
添加剤としてはアミン化合物あるいはフェノール化合物が電動モータ油の熱酸化安定性の面から必須であり、その添加量は組成物全量基準で0.01〜3.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%である。0.01重量%未満であると安定性向上の効果が小さく、3.0重量%を超えると添加剤自体がスラッジ化しやすくなる。
アミン化合物としては、芳香族アミン、具体的には、フェニル‐α‐ナフチルアミン、N,N‐ジ(2‐ナフチル)‐p‐フェニレンジアミン、ジオクチルジフェニルアミン等が挙げられる。
フェノール化合物としては、2,6‐ジ‐ターシャリーブチルフェノール、2,6‐ジ‐ターシャリ‐ブチル‐P‐クレゾール、4,4‐メチレン‐ビス‐(2,6‐ジ‐ターシャリーブチル‐P‐クレゾール)など三級アルキル置換のフェノール化合物が代表的に用いられる。
エステル基油の熱酸化安定性をより高めるためには、アミン化合物のほうが好ましい。
【0016】
さらにエステルの弱点である加水分解に対する耐性を高めるために、カルボジイミド化合物及び/又はエポキシ化合物を組成物全量基準で、0.01〜5.0重量%添加することが好ましく、0.1〜3.0重量%がより好ましく、0.2〜2.0重量%がさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満だと加水分解抑制の効果がなく、5.0重量%を超えると添加剤自体がスラッジ化しやすくなる。
【0017】
カルボジイミド化合物は、R'−N=C=N−R"の一般式で表される。ここで、R'、R"は炭化水素基または窒素、酸素を含有する炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよい。これらの炭化水素基にはベンゼン環が含まれていることが好ましく、ジフェニルカルボジイミド、ジ(アルキルフェニル)カルボジイミドまたはビス(アルキルフェニル)カルボジイミドが好ましく用いられる。ビス(アルキルフェニル)カルボジイミドとしては、具体的には、ジトリルカルボジイミド、ビス(イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(ノニルフェニル)カルボジイミド等を挙げることができる。比較的低い温度で加水分解抑制の効果を発揮することができるので、エポキシ化合物よりもカルボジイミド化合物が好ましい。
【0018】
エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエステル、炭素数5〜18のアルキルグリシジルエーテル、同アルキルグリシジルエステル等を挙げることができる。
具体的には2‐エチルヘキシルグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、t‐ブチルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類や、アジピン酸グリシジルエステル、2‐エチルヘキサン酸グリシジルエステル、イソノナン酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類や、エポキシ化ステアリン酸メチル等のエポキシ化脂肪酸モノエステル類や、エポキシ化大豆油などのエポキシ化植物油が挙げられる。好ましいエポキシ化合物は、次の一般式化1、化2で示されるグリシジルエーテルまたは化3で示されるグリシジルエステルであり、特にはグリシジルエステルが好ましい。
【0019】
【化1】

上記式中R1は炭素数2から15までの直鎖あるいは分岐のアルキル基、または炭素数6から15までのフェニル基またはアルキルフェニル基を示す。
【0020】
【化2】

上記式中、R2は炭素数1から12までの直鎖、あるいは分岐のアルキレン基を示す。
【0021】
【化3】

上記式中、R3は炭素数4から14までの直鎖あるいは分岐のアルキル基、または炭素数6から15までのフェニル基またはアルキルフェニル基を示す。
【0022】
電動モータ油は兼用油として変速機油としても用いられることがあることから、その場合は油の特性として潤滑性も求められる。エステルに極性基があることから、エステル基油は鉱油と較べると、はるかに潤滑性が良好であるが、添加剤によりさらに潤滑性を高めることが好ましい。この場合の添加剤として、リン酸エステルが挙げられ、その添加量は組成物全量基準で、0.1〜5.0重量%が好ましく、0.3〜3.0重量%がより好ましく、0.5〜3.0重量%がさらに好ましい。添加量が0.1重量%未満では潤滑性向上の効果がなく、5.0重量%以上添加すると油の熱酸化安定性が低下する。リン酸エステルとしては、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等の炭素数7〜10のアルキルフェニル基を有するトリアルキルフェニルフォスフェート、炭素数5〜18のアルキル基を有するトリアルキルフォスフェート等を例示することができる。
【0023】
また、上記添加剤以外に硫黄化合物等の極圧剤や一般的な摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、消泡剤等の添加剤を単独で、または複数種類、組み合わせて添加することもできる。なお、基油がエステルであることから加水分解反応の触媒となる、酸価、塩基価の高い添加剤の使用は避けることが望ましい。
【0024】
以上のような電動モータ油組成物は、兼用油として変速機にも使用でき、熱酸化安定性が良好なことから信頼性が高く、特性のバランスがとれ、安全性も高く、有用なものである。また、構造によっては生分解性に優れ、環境に優しい油となる。
本発明の電動モータ油は、電動モータ油の潤滑油として用いることができるが、特には、電動モータ油と、変速機油などのギア油との兼用油として好ましく用いられる。この兼用油は、変速機と電動モータのそれぞれに用いることもできるが、特に、変速機と電動モータが同一の潤滑システムにより潤滑される場合に好ましく用いられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
【0026】
表1に実施例として用いた供試油を示した。供試油1〜3は、アジピン酸又はセバシン酸と2‐エチルヘキサノール又は3,5,5‐トリメチルヘキサノールとを表1に示したモル%の割合で二塩基酸エステルを合成し、これに添加剤を配合したものであり、供試油4〜7は、ネオペンチルグリコール又はトリメチロールプロパンとn‐ペンタン酸、n‐ヘプタン酸、n‐デカン酸、2‐エチルヘキサン酸、3,5,5‐トリメチルヘキサン酸とを表1に示したモル%の割合でポリオールエステルを合成し、これに添加剤を配合したものである。いずれのエステルも水酸基価が10mgKOH/g以下になるように合成、調製した。
表2には実施例である供試油及び比較例の特性の評価結果を示した。比較例1は市販の絶縁油である「JOMO 2号トランス」((株)ジャパンエナジー製)、比較例2は市販のSP系(硫黄、リン添加)ギヤ油である「JOMOギヤー5、80W-90」((株)ジャパンエナジー製)、比較例3は市販のATF(オートトランスミッションフルード)である「JOMO ATFスペシャル」((株)ジャパンエナジー製)を用いた。
【0027】
表2に示した各性状は、次に示す方法により測定されたものである。
(1)動粘度:JIS K 2283に規定された方法により、40℃で測定。
(2)引火点:JIS K 2265に規定された方法で測定。
(3)流動点:JIS K 2269に規定された方法で測定。
(4)全酸価:JIS K 2514に規定された方法で測定。
(5)体積抵抗率:JIS C 2101に規定された方法で測定。
(6)酸化安定度試験:JIS C 2101に規定された方法(120℃、75時間)により評価。
(7)シェル四球摩耗試験:ASTM D4172に準拠し、回転数1200rpm、荷重40kgf、試験時間1hrにて、室温(油温)における鋼球の摩耗痕径を測定することにより評価。
(8)生分解性:ASTM D5864に規定された方法で測定。
【0028】
表2から明らかなように、本発明の電動モータ油の実施例(供試油1〜7)は熱酸化安定性に優れ、安全面から引火点が高く、電気絶縁性である体積抵抗率も高く、潤滑性も良好であり特性のバランスがとれている。また、特定の構造のものは生分解性(60%以上)であり、環境に優しいと言える。
一方、比較例1は電気絶縁性は良好なものの、自動車用としては引火点が低く、安全面で問題がある。また、熱酸化安定性が不充分であり、潤滑性が劣る。比較例2、3は潤滑性は良好なものの、電気絶縁性が低く、熱酸化安定性も不充分である。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の電動モータ油は、電動モータ油の潤滑油として用いることができるが、特には、電動モータ油と、変速機油などのギア油との兼用油として用いることができる。この兼用油は、変速機と電動モータのそれぞれに用いることもできるが、特に、変速機と電動モータが同一の潤滑システムにより潤滑される場合に特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジピン酸及び/又はセバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成されるエステル、及び/又はネオペンチルグリコール及び/又はトリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成されるエステルのうち、水酸基価が50mgKOH/g以下、全酸価が2mgKOH/g以下、引火点が150℃以上である1種以上のエステルを基油とし、アミン化合物及び/又はフェノール化合物を組成物全量基準で0.01〜3.0重量%添加した電動モータ油組成物。
【請求項2】
カルボジイミド化合物及び又はエポキシ化合物を組成物全量基準で0.01〜5.0重量%添加した請求項1に記載の電動モータ油組成物。
【請求項3】
アジピン酸及び/又はセバシン酸と炭素数5〜14のアルコールから合成され、前記アルコールの60重量%以上が直鎖アルコールであるエステル、及び/又はネオペンチルグリコール及び/又はトリメチロールプロパンと炭素数5〜14のカルボン酸から合成され、そのカルボン酸の60重量%以上が直鎖カルボン酸であるエステルの1種以上を基油とする請求項1又は2に記載の電動モータ油組成物。
【請求項4】
リン酸エステル化合物を組成物全量基準で0.1〜5.0重量%添加した請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動モータ油組成物。

【公開番号】特開2011−63734(P2011−63734A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216351(P2009−216351)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】