説明

電動便器洗浄装置

【課題】過大な負荷がかかることを抑制することができる電動便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ロータンクに設けられた排水弁を引き上げて前記ロータンクに貯留された洗浄水を便器に流入させるモータと、前記モータの回動に連動する可動部材と、前記可動部材と当接することにより、前記モータの回動を規制する規制部材と、前記排水弁の引き上げを検知する排水弁引き上げ検知手段と、前記排水弁引き上げ検知手段が前記排水弁の引き上げを検知すると、前記モータの駆動力を低減させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする電動便器洗浄装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、電動便器洗浄装置に関し、具体的には水洗便器のロータンクに取り付けて、電動によりロータンクから水洗便器に洗浄水を供給可能とした電動便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水洗便器のロータンクの排水弁をモータの駆動力を用いて開くことにより、水洗便器に洗浄水を供給する装置がある(特許文献1および2)。特許文献1および2に記載された装置では、角度規制部材とストッパとを当接させることにより、あるいは係止部とストッパとを当接させることにより、モータの回転を停止させている。
【0003】
しかしながら、水洗便器のロータンクの排水弁をモータの駆動力を用いて開く際には、排水弁を開く前と開いた後とにおいて、排水弁を開く際に必要なトルクがロータンク内に溜まった水(洗浄水)の圧力により変化する。より具体的には、ロータンク内により多くの水が溜まった状態のとき、すなわち閉じている排水弁を開くとき、より大きなトルクが必要となる。
【0004】
そこで、閉じている排水弁を開くために必要なトルクが生じるようにモータを駆動させ、その駆動電圧のままでモータを駆動し続けると、角度規制部材とストッパあるいは係止部とストッパとに大きな衝撃や負荷が発生する場合がある。これにより、モータなどの駆動装置を備えた便器洗浄装置の耐久性が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−23714号公報
【特許文献2】特願2005−307611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、過大な負荷がかかることを抑制することができる電動便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ロータンクに設けられた排水弁を引き上げて前記ロータンクに貯留された洗浄水を便器に流入させるモータと、前記モータの回動に連動する可動部材と、前記可動部材と当接することにより、前記モータの回動を規制する規制部材と、前記排水弁の引き上げを検知する排水弁引き上げ検知手段と、前記排水弁引き上げ検知手段が前記排水弁の引き上げを検知すると、前記モータの駆動力を低減させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする電動便器洗浄装置である。
この電動便器洗浄装置によれば、制御部は、排水弁の引き上げの開始を検知してモータの駆動力を低減するため、突起部と角度規制部材とが激しく衝突したり、突起部と角度規制部材との間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。その結果、電動便器洗浄装置の耐久性が低下することを抑制したり、電動便器洗浄装置の破損を防止することができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記排水弁引き上げ検知手段は、前記モータに流れる電流を検知する電流検知素子であり、前記制御部は、前記便器を洗浄する指示を受け前記モータの回動を開始してから、前記可動部材と、前記規制部材と、が当接するまでの間に、前記電流検知素子の検知結果に基づいて前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする電動便器洗浄装置である。
この電動便器洗浄装置によれば、モータに流れる電流値の変化から排水弁の引き上げの開始を検知できる。そのため、排水弁の引き上げの開始を直接的に観察あるいは検知することなく、より簡略的な構成により、突起部と角度規制部材とが激しく衝突したり、突起部と角度規制部材との間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。
【0009】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記排水弁引き上げ検知手段は、前記モータの回転軸の回転情報を検知可能な回転検知手段であり、前記制御部は、前記便器を洗浄する指示を受け前記モータの回動を開始してから、前記可動部材と、前記規制部材と、が当接するまでの間に、前記回転検知手段の検知結果に基づいて前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする電動便器洗浄装置である。
この電動便器洗浄装置によれば、モータの回転軸の回転情報から排水弁の引き上げの開始を検知できる。そのため、排水弁の引き上げの開始を直接的に観察あるいは検知することなく、より簡略的な構成により、突起部と角度規制部材とが激しく衝突したり、突起部と角度規制部材との間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。
【0010】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記回転情報は、前記モータの回転軸の回転速度であり、前記制御部は、前記回転検知手段が前記モータの回転軸の回転速度が速くなったことを検知すると、前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする電動便器洗浄装置である。
この電動便器洗浄装置によれば、モータの回転軸の回転速度の変化から排水弁の引き上げの開始を検知できる。そのため、排水弁の引き上げの開始を直接的に観察あるいは検知することなく、より簡略的な構成により、突起部と角度規制部材とが激しく衝突したり、突起部と角度規制部材との間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、過大な負荷がかかることを抑制することができる電動便器洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図3】本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の主な構成を表すブロック図である。
【図4】便器洗浄ユニット10と衛生洗浄機能部400との接続を例示する斜視模式図である。
【図5】ロータンク200への取り付け部を拡大した組み立て図である。
【図6】モータ駆動ユニット12をそのシャフト22の側から眺めた斜視図である。
【図7】モータ駆動ユニット12をシャフト22の側から見た正面図である。
【図8】角度規制部材93と操作ハンドル97の斜視組み立て図である。
【図9】角度規制部材93とストッパ24との配置関係を表すために、操作ハンドル97と角度規制部材93を一部切断して表した斜視図である。
【図10】これをシャフト22の側から眺めた一部切断正面図である。
【図11】本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
【図12】本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置の主な構成を表すブロック図である。
【図14】便器洗浄ユニットの内部構造を模式的に例示した概念模式図である。
【図15】便器洗浄ユニットの他の内部構造を模式的に例示した概念模式図である。
【図16】本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
【図17】本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】本実施形態の変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
【図19】本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】本実施形態の他の変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
【図21】本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図3は、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の主な構成を表すブロック図である。
なお、図1は、トイレ装置を前方から眺めた斜視模式図であり、図2は、トイレ装置を後方から眺めた斜視模式図である。
【0014】
図1および図2に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられたロータンク200と、衛生洗浄装置300と、電動便器洗浄装置100と、を備える。電動便器洗浄装置100は、便器洗浄ユニット10と、制御部410(図3参照)と、を有する。また、衛生洗浄装置300は、衛生洗浄機能部400と、便蓋500と、便座600と、を有し、便蓋500および便座600は、衛生洗浄機能部400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0015】
本実施形態の便器洗浄ユニット10は、モータ駆動ユニット12の出力軸の先端付近に玉鎖レバー84、85が装着された構造を有する。これら玉鎖レバー84、85は、モータ駆動ユニット12による自動回転が可能とされ、また一方、操作ハンドル97による手動回転も可能とされている。モータ駆動ユニット12は、図1に表したように、ワッシャ90及び91を介してナット92により、ロータンク200の外壁を挟持した状態で固定される。
【0016】
図1に表したように、ロータンク200の中に水平方向に突出させたスペーサ82から鉛直下方に伸びる玉鎖レバー84、85の先端には、玉鎖220、230の一端がそれぞれ固定されている。これら玉鎖220、230の他端は、上側の排水バルブ(排水弁)240と、下側の排水バルブ(排水弁)250にそれぞれ接続され、これらを引き上げることにより、洗浄水が便器800に流される。
【0017】
本実施形態のロータンク200は、例えば、操作ハンドル97を時計回り(CW)に回して「大洗浄」、反時計回り(CCW)に回して「小洗浄」を実施する排水構造を有する。これら排水操作は、前述の如く操作ハンドル97により手動で実施することもでき、また、図2に表した接続ケーブル76を介してモータ駆動ユニット12に信号を供給することにより、自動的に実施することもできる。
【0018】
より具体的には、図3に表したように、衛生洗浄機能部400に内蔵された制御部410は、便座600の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ420などからの検知信号や、リモートコントロール装置(リモコン)430などからの操作信号を受信すると、モータ42を駆動させる制御信号を接続ケーブル76を介してモータ駆動ユニット12に送信する。そうすると、モータ42は、駆動を開始し、排水バルブ240および排水バルブ250の少なくともいずれかを引き上げる。これにより、ロータンク200内の洗浄水が便器800に供給される。
【0019】
人体検知センサ420としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、人体検知センサ420は、図1に表したように、衛生洗浄機能部400に内蔵されていてもよいし、図3に表したように、衛生洗浄装置300の外部に設けられていてもよい。
【0020】
手動、自動のいずれの操作の場合にも、「大洗浄」の時には、例えば中立状態から時計回りに約110度ほど回転させ、「小洗浄」の時には、例えば中立状態から反時計回りに約80度ほど回転させる必要がある。
【0021】
これらいずれの動作においても、便器洗浄ユニット10が有するシャフト22(図5参照)の回転動作をこれらの角度範囲に制限する角度規制機構が必要とされる。本実施形態では、角度規制部材93(図5参照)によって、これら角度規制機構が実現されている。これについては、後に詳述する。
【0022】
またさらに、操作ハンドル97に過度の力がかかった場合に、モータ駆動ユニット12などの破損や耐久性の低下を防ぐための保護機構や保護動作なども必要とされる。より具体的に説明すると、自動動作の場合には、図3に表したモータ42を所定の駆動電圧のままで駆動させ続けると、角度規制機構に大きな衝撃や負荷が発生し、モータ42あるいはモータ駆動ユニット12の耐久性が低下する場合がある。
【0023】
これは、ロータンク200の排水バルブ240、250をモータ42の駆動力を用いて開く際には、排水バルブ240、250を開く前と開いた後とにおいて、排水バルブ240、250を開く際に必要なトルクがロータンク200内に溜まった水(洗浄水)の圧力により変化するためである。より具体的には、ロータンク200内により多くの水が溜まった状態のときに、すなわち閉じている排水バルブ240、250を開くときに、より大きなトルクが必要となるためである。これは、上側の排水バルブ240だけを開く場合でも同様である。
【0024】
そこで、閉じている排水バルブ240、250を開くために必要なトルクが生じるようにモータ42を駆動させ、その駆動電圧のままでモータ42を駆動させ続けると、前述したように、角度規制機構に大きな衝撃や負荷が発生し、モータ42あるいはモータ駆動ユニット12の耐久性が低下する場合がある。
【0025】
本実施形態では、制御部410の電流検知素子(排水弁引き上げ検知手段)411が、排水バルブ240、250の引き上げを検知すると、制御部410は、モータ42の駆動力を低減させる。これにより、モータ駆動ユニット12などの破損や耐久性の低下を防ぐための保護動作が実現されている。これについては、後に詳述する。なお、電流検知素子411は、モータ42に流れる電流値を検知できる。
【0026】
図4は、便器洗浄ユニット10と衛生洗浄機能部400との接続を例示する斜視模式図である。
便器800の上に設けられた衛生洗浄機能部400の背面には、接続口402が設けられている。そして、ロータンク200の中に収容された便器洗浄ユニット10に接続された接続ケーブル76は、ロータンク200の背面に設けられた空気抜き穴290(図2参照)から引き出され、その先端の接続プラグ78が衛生洗浄機能部400の接続口402に接続される。
【0027】
衛生洗浄機能部400には、図3に関して前述したように、制御部410が内蔵され、その制御部410は、例えばDC24ボルトの駆動信号を適宜供給することより、便器洗浄ユニット10の動作を適宜制御することができる。つまり、使用者は、ロータンク200に設けられた操作ハンドル97を操作することなく、例えば衛生洗浄機能部400に設けられた手元スイッチを操作することによって洗浄水を便器800に流すことができ、便利である。
【0028】
また、衛生洗浄機能部400の内部あるいは外部に人体検知センサ420を設け、例えば、使用者が近づいた時、または便座600に着座した時に、制御部410は、予備洗浄水を流すように便器洗浄ユニット10を動作させることができる。つまり、便器800が使用される前に、予備洗浄水を流してその内面を濡らした状態とすることにより、汚物などの付着を抑制することができ清潔である。
【0029】
また一方、人体検知センサ420により、使用者が離れた時、または便座600から立ち上がった時に、制御部410は、自動的に洗浄水を便器800に流すように便器洗浄ユニット10を動作させることもできる。このようにすれば、いわゆる「自動洗浄」が可能であり、お年寄りや身体障害者あるいは子供などに対しても使い勝手のよい便器洗浄システムが実現できる。
【0030】
またさらに、衛生洗浄機能部400は、便座600に座った使用者の「おしり」などに向けて水(温水)を噴出する図示しない吐水ノズルを有していてもよい。つまり、衛生洗浄機能部400は、使用者の局部を水(温水)により洗浄する局部洗浄機能を有していてもよい。これによれば、さらに高機能で使い勝手に優れた便器洗浄システムが実現される。この場合、制御部410は、例えば局部洗浄の終了に対応して洗浄水を流すように便器洗浄ユニット10を動作させることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、リモートコントロールにより操作することもできる。リモコン430は、例えば、衛生洗浄機能部400に内蔵された制御部410に操作信号を適宜送信し、便器洗浄ユニット10を動作させることができる。また、衛生洗浄機能部400に組み込まれた局部洗浄機能の動作も併せて制御可能としてもよい。さらにまた、このリモコン430に人体検知センサ420を組み込んで、前述の如く予備洗浄水を流したり、自動洗浄を実行させることもできる。このようなリモコン430を手洗い室の壁面などに適宜設けておけば、使用者は、手元で各種の操作を実行でき、非常に使い勝手のよい便器洗浄システムが実現できる。
【0032】
図5は、ロータンク200への取り付け部を拡大した組み立て図である。
モータ駆動ユニット12は、その螺合突出部20をロータンク200の開口(図示せず)から突出させ、ワッシャ90及び91を介してナット92により、ロータンク200の外壁を挟持した状態で固定される。そして、角度規制部材(可動部材)93がネジ(図示せず)などによりシャフト22の先端に固定され、その上から手動操作用の操作ハンドル97が圧入装着される。
【0033】
図6は、モータ駆動ユニット12をそのシャフト22の側から眺めた斜視図である。
また、図7は、モータ駆動ユニット12をシャフト22の側から見た正面図である。
図6および図7に表したように、モータ駆動ユニット12の螺合突出部20の先端には、突起状のストッパ(規制部材)24が設けられている。
【0034】
図8は、角度規制部材93と操作ハンドル97の斜視組み立て図である。
角度規制部材(可動部材)93の内側には、ストッパ(規制部材)24に対する可動範囲を規制する「当たり面」93A、93Bが設けられている。すなわち、角度規制部材93は、ストッパ24に対して当たり面93Aが当接する角度から93Bが当接する角度までの間においてのみ回転できる。
【0035】
図9は、角度規制部材93とストッパ24との配置関係を表すために、操作ハンドル97と角度規制部材93を一部切断して表した斜視図である。
また、図10は、これをシャフト22の側から眺めた一部切断正面図である。
【0036】
これらの図は、操作ハンドル97の中立状態を表している。ストッパ24は、角度規制部材93に設けられたふたつの当たり面93A、93Bの間に配置されている。操作ハンドル97を手動回転させ、または、モータ駆動ユニット12のシャフト22が自動回転すると、角度規制部材93が回転し、当たり面93A、93Bのいずれかと、ストッパ24と、が当接して停止する。
【0037】
本実施形態の場合、図9及び図10に表した中立状態において、当たり面93Aとストッパ24との間には、角度にして110度の可動範囲が設けられている。一方、当たり面93Bとストッパ24との間には、角度にして80度の可動範囲が設けられている。これら可動範囲は、図1および図2に関して前述したように、それぞれ「大洗浄」、「小洗浄」の操作角度に対応して設定されている。
【0038】
つまり、「大洗浄」のために、操作ハンドル97(角度規制部材93)を時計回りに手動回転させ、または、モータ駆動ユニット12に内蔵されたモータ42によりシャフト22が時計回りに自動回転した場合、中立状態から110度だけ回転すると、角度規制部材93の当たり面93Aとストッパ24とが当接して停止する。
【0039】
同様に、「小洗浄」のために、操作ハンドル97を反時計回りに手動回転させ、または、モータ駆動ユニット12に内蔵されたモータ42によりシャフト22が反時計回りに自動回転した場合、中立状態から80度だけ回転すると、角度規制部材93の当たり面93Bとストッパ24とが当接して停止する。
【0040】
このように、角度規制部材93に当たり面を形成し、一方、モータ駆動ユニット12にストッパを形成することにより、シャフト22の回転範囲を確実に規制することができる。但し、シャフト22の回転動作を所定の角度範囲に制限する角度規制機構はこれだけに限定されるわけではない。例えば、操作ハンドル97による手動回転またはモータ42の駆動による自動回転に連動して回転する角度規制部材93に突起状のストッパ24が設けられ、一方で、モータ駆動ユニット12の螺合突出部20の先端に当たり面93A、93Bが設けられていてもよい。すなわち、角度規制部材93およびモータ駆動ユニット12のいずれか一方に当たり面を形成し、角度規制部材93およびモータ駆動ユニット12のいずれか他方にストッパを形成することにより、シャフト22の回転範囲を確実に規制することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、角度規制部材93を適宜交換することにより、広範な機種のロータンクに適合させることができる。つまり、既存のロータンクにおいては、「大洗浄」と「小洗浄」の際の操作ハンドルの回転角度が機種毎に異なる場合がある。また、「大洗浄」のみが設けられ、操作ハンドルを一方向のみに操作する機種も存在する。
本実施形態によれば、角度規制部材93を適宜使い分けることにより、操作ハンドルの可動範囲や、操作方向を任意に規制できる。従って、角度規制部材93を適宜使い分けることにより、既設の多様なロータンクに適合できる電動便器洗浄装置を実現できる。
【0042】
次に、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作について、図面を参照しつつ説明する。
図11は、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
また、図12は、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、制御部410は、人体検知センサ420などからの検知信号や、リモコン430などからの操作信号により、便器800を洗浄する指示を受けると(ステップS101)、電圧V1(例えば、DC24ボルト)でモータ42の駆動を開始する(ステップS103)。この際、制御部410は、モータ42の駆動開始から時間T1が経過するまでは、モータ42に流れる電流の検知をマスキングする(ステップS105)。すなわち、電流検知素子411は、モータ42の駆動開始から時間T1が経過するまでは、モータ42に流れる電流を検知しない。これは、図11に表したように、モータ42の駆動開始直後には、突入電流が流れるため、その突入電流のピーク値をモータ42に流れる電流のピーク値として電流検知素子411が検知しないようにするためである。
【0044】
続いて、制御部410は、電圧V1でモータ42の駆動を継続する(ステップS107)。そうすると、始めのうちは玉鎖220、230が引っ張られていないため、すなわちいわゆる「遊び」の部分があるため、モータ42に流れる電流(トルク)は低下するが、玉鎖220、230が引っ張られ排水バルブ240、250を開こうとすると、電流は徐々に上昇する。すなわち、モータ42のトルク(負荷)が、徐々に上昇する。
【0045】
そして、制御部410は、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値がピーク値P1を示したか否かを判断する(ステップS109)。制御部410は、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値がピーク値P1を示したと判断すると(ステップS109:Yes)、そのピーク値P1を示したときから時間T2が経過した後に、電圧V1よりも小さい電圧V2(例えば、DC12ボルト)でモータ42の駆動する(ステップS111)。
【0046】
すなわち、制御部410は、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値がピーク値P1を示したときに、排水バルブ240、250の引き上げが開始されたと判断する。これは、図1〜図3に関して前述したように、閉じている排水バルブ240、250を開くときに、より大きな電流(トルク)が必要となるためである。なお、DCモータは、トルク(負荷)が大きくなるにつれて、DCモータに流れる電流が大きくなるリニアリティ特性を有する。そのため、モータ42としてDCモータを使用する場合には、制御部410は、モータ42に流れる電流により排水バルブ240、250の引き上げを容易に検知できる。
【0047】
一方、ステップS109において、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値がピーク値P1を示していない場合には(ステップS109:No)、制御部410は、電圧V1でモータ42の駆動を継続する(ステップS107)。続いて、制御部410は、モータ42の駆動開始から時間T3(例えば、約1秒程度)が経過すると、モータ42の駆動を停止する(ステップS113)。
【0048】
本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作によれば、制御部410は、モータ42の駆動を開始してから、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでの間に、電流検知素子411の検知結果(モータ42に流れる電流値)に基づいてモータ42の駆動電圧を低減できる。これにより、モータ42の駆動力を低減することができ、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。その結果、モータ42を有する便器洗浄ユニット10や電動便器洗浄装置100の耐久性が低下することを抑制したり、それらの破損を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作では、制御部410は、モータ42に流れる電流値の変化から排水バルブ240、250の引き上げを検知できる。そのため、排水バルブ240、250の引き上げを直接的に観察あるいは検知することなく、より簡略的な構成により、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。
【0050】
なお、図11および図12に表した保護動作では、制御部410は、モータ42に流れる電流値がピーク値P1を示したときから時間T2経過後にモータ42の駆動電圧を低減させるが、モータ42の駆動電圧を低減させるトリガはこれだけに限定されるわけではない。モータ42に流れる電流は、図11に表したように、ピーク値P1を示した後に、再び上昇する。これは、シャフト22やモータ駆動ユニット12のギヤ(図示せず)などに適宜設けられ、中立状態に付勢するリターンスプリング(図示せず)によるものである。
【0051】
より具体的には、排水バルブ240、250が引き上げられると、その排水バルブ240、250がロータンク200内の洗浄水から受ける圧力は低下するため、モータ42に流れる電流は一旦低下する。そして、排水バルブ240、250が引き上げられるにつれて(シャフト22が回転するにつれて)、リターンスプリングから受ける負荷(反発力あるいは抵抗力)は大きくなる。そのため、モータ42に流れる電流は、図11に表したように、ピーク値P1を示した後に再び上昇し、ボトムB1を示す。
【0052】
そこで、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作では、制御部410は、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値がピーク値P1を示し、ボトムB1を示した後に、モータ42の駆動電圧を低減させてもよい。これによれば、制御部410は、排水バルブ240、250が引き上げられたことをより早くより確実に検知することができる。そのため、モータ42の駆動力をより早く低減することができ、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することをより確実に抑制することができる。その結果、モータ42を有する便器洗浄ユニット10や電動便器洗浄装置100の耐久性が低下することを抑制したり、それらの破損を防止することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図13は、本発明の第2の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置の主な構成を表すブロック図である。
本実施形態にかかる電動便器洗浄装置100では、ホールICなどと呼ばれる回転検知手段(排水弁引き上げ検知手段)50により、排水バルブ240、250の引き上げを検知することができる。つまり、第1の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置では、制御部410は、電流検知素子411により検知したモータ42に流れる電流値に基づいてモータ42の駆動電圧を低減させるが、一方で、本実施形態では、回転検知手段50の検知結果に基づいて、モータ42の駆動電圧を低減させる。
【0054】
回転検知手段50は、シャフト22や操作ハンドル97や角度規制部材93の回転数や回転角度や回転速度などの回転情報、すなわちモータ42の回転軸の回転数や回転角度や回転速度などの回転情報を検知できる。回転検知手段50は、衛生洗浄機能部400には内蔵されておらず、便器洗浄ユニット10に設けられている。なお、その他の構造や主構成については、第1の実施の形態にかかる電動便器洗浄装置と同様である。これらについて、図面を参照しつつさらに説明する。
【0055】
図14は、便器洗浄ユニットの内部構造を模式的に例示した概念模式図である。
また、図15は、便器洗浄ユニットの他の内部構造を模式的に例示した概念模式図である。
なお、図14および図15は、回転検知手段の配置関係や動力伝達関係を説明するための概念図であり、各要素の寸法や配置関係などは、必ずしも実際の通りではない。
【0056】
回転検知手段50は、図14および図15に表したように、検知基板51と、マグネット53と、を有する。また、モータ駆動ユニット12の内部には、モータ42の駆動力を伝達するギヤ部40が内蔵されている。そのギヤ部40には、1段目のギヤ43、2段目のギヤ44、3段目のギヤ45、および4段目のギヤ46が適宜設けられている。そして、モータ42の駆動力は、1段目のギヤ43、2段目のギヤ44、3段目のギヤ45、および4段目のギヤ46を介してシャフト22に伝達される。
【0057】
そして、図14に表したように、回転検知手段50がモータ駆動ユニット12に内蔵される場合には、マグネット53は、例えば1段目のギヤ43に固定される。また、検知基板51は、マグネット53に隣接した状態でモータ駆動ユニット12内のいずれかに適宜固定される。
あるいは、回転検知手段50は、図15に表したように、モータ駆動ユニット12の外部に設けられてもよい。この場合には、回転検知手段50は、例えば操作ハンドル97の内部に設けられる。そして、マグネット53は、例えばシャフト22に固定される。また、検知基板51は、マグネット53に隣接した状態で操作ハンドル97内のいずれかに適宜固定される。
【0058】
この状態において、検知基板51は、ホール効果などと呼ばれる効果により、起電力(電圧)を検知できる。そして、モータ42が駆動することにより1段目のギヤ43が回転したり、あるいはシャフト22が回転すると、これらの回転に連動してマグネット53が回転する。そうすると、検知基板51は、その電圧(ホール電圧)の変化を検知できる。その電圧(ホール電圧)の変化は、例えばパルス状の波形として現れ、その結果として、検知基板51は、シャフト22や操作ハンドル97や角度規制部材93の回転数や回転角度や回転速度などの回転情報、すなわちモータ42の回転軸の回転数や回転角度や回転速度などの回転情報を検知できる。
【0059】
次に、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作について、図面を参照しつつ説明する。
図16は、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
また、図17は、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図16および図17に表した保護動作では、回転検知手段50が検知したモータ42の回転軸の回転速度、すなわちシャフト22あるいは角度規制部材93の回転速度に基づいて、モータ42の駆動電圧を低減させる。シャフト22あるいは角度規制部材93の回転速度は、回転検知手段50の出力信号(出力電圧)のパルス幅により検知される。
【0061】
より具体的には、検知基板51からみたマグネット53の回転速度がより速い場合には、出力信号のパルス幅はより小さくなり、パルス状の波形の周波数はより大きくなる。一方で、検知基板51からみたマグネット53の回転速度がより遅い場合には、出力信号のパルス幅はより大きくなり、パルス状の波形の周波数はより小さくなる。そのため、回転検知手段50は、出力信号のパルス幅に基づいて、モータ42の回転軸の回転速度、すなわちシャフト22あるいは角度規制部材93の回転速度を検知できる。
【0062】
なお、これらの回転速度については、制御部410が判断してもよい。すなわち、回転検知手段50は、例えばパルス状の波形信号を制御部410に出力し、制御部410は、回転検知手段50からの出力信号のパルス幅によりモータ42の回転軸の回転速度、すなわちシャフト22あるいは角度規制部材93の回転速度を判断してもよい。
【0063】
そこで、図17を参照しつつ説明すると、制御部410は、図12に関して前述した保護動作と同様に、人体検知センサ420などからの検知信号や、リモコン430などからの操作信号により、便器800を洗浄する指示を受けると(ステップS201)、電圧V1(例えば、DC24ボルト)でモータ42の駆動を開始する(ステップS203)。続いて、回転検知手段50は、出力信号のパルス幅を検出する(ステップS205)。
【0064】
このとき、図11および図12に関して前述したように、玉鎖220、230にはいわゆる「遊び」の部分があるため、モータ42の回転軸の回転速度はより速く、パルス幅はより小さい(図16参照)。そして、玉鎖220、230が引っ張られ排水バルブ240、250を開こうとすると、モータ42には負荷がかかるため、モータ42の回転軸の回転速度はより遅くなり、パルス幅はより大きくなる(図16参照)。
【0065】
続いて、制御部410は、出力信号のパルス幅が、それよりも前のパルス幅よりも小さくなったか否かを判断する(ステップS207)。これは、モータ42の回転軸の回転速度が、それよりも前の回転速度よりも速くなったか否かを、制御部410が判断することと同等である。出力信号のパルス幅が、それよりも前のパルス幅よりも小さくなった場合には(ステップS207:Yes)、制御部410は、電圧V1よりも小さい電圧V2(例えば、DC12ボルト)でモータ42を駆動する(ステップS209)。
【0066】
すなわち、制御部410は、回転検知手段50により検知したパルス幅が、それよりも前のパルス幅よりも小さくなったときに、排水バルブ240、250の引き上げが開始されたと判断する。これは、排水バルブ240、250が引き上げられると、その排水バルブ240、250がロータンク200内の洗浄水から受ける圧力は低下し、モータ42の回転軸の回転速度はより速くなるためである。
【0067】
続いて、排水バルブ240、250が引き上げられるにつれて、リターンスプリングから受ける負荷は徐々に大きくなり、出力信号のパルス幅は徐々に大きくなる。そして、回転検知手段50がパルス状の波形を出力しなくなると、制御部410は、検知基板51からみたマグネット53の回転が停止した、すなわち当たり面93A、93Bのいずれかと、ストッパ24と、が当接したと判断し、モータ42の駆動を停止する(ステップS211)。
【0068】
本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作によれば、制御部410は、モータ42の駆動を開始してから、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでの間に、回転検知手段50の出力信号のパルス幅、すなわちモータ42の回転軸の回転速度に基づいてモータ42の駆動電圧を低減できる。これにより、図11および図12に関して前述した効果と同様に、モータ42の駆動力を低減することができ、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。その結果、モータ42を有する便器洗浄ユニット10や電動便器洗浄装置100の耐久性が低下することを抑制したり、それらの破損を防止することができる。
【0069】
また、本実施形態にかかる電動便器洗浄装置の保護動作では、制御部410は、回転検知手段50の出力信号のパルス幅の変化から排水バルブ240、250の引き上げを検知できる。そのため、排水バルブ240、250の引き上げを直接的に観察あるいは検知することなく、より簡略的な構成により、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。
【0070】
なお、ステップS207およびステップS209においては、制御部410は、出力信号のパルス幅がそれよりも前のパルス幅よりも小さくなったか否かを判断し、この判断結果に基づいてモータ42の駆動電圧を低減させるが、これだけに限定されるわけではない。例えば、制御部410は、出力信号のパルス幅がそれよりも前のパルス幅よりも連続3回で小さくなった場合に、モータ42の駆動電圧を低減させてもよい。これによれば、例えばノイズなどにより、出力信号のパルス幅がそれよりも前のパルス幅よりも1回だけ小さくなった場合などにおける誤動作を抑制することができる。また、制御部410が連続で判断する回数は、3回だけに限定されず、適宜変更することができる。
【0071】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。
図18は、本実施形態の変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
また、図19は、本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【0072】
本変形例の保護動作では、回転検知手段50が検知したモータ42の回転軸の回転数あるいは回転角度、すなわちシャフト22あるいは角度規制部材93の回転数あるいは回転角度に基づいて、モータ42の駆動電圧を低減させる。シャフト22あるいは角度規制部材93の回転数あるいは回転角度は、回転検知手段50の出力信号(出力電圧)のパルス数により検知される。
【0073】
そこで、図19を参照しつつ説明すると、まず、ステップS301、S303の動作については、図17に関して前述したステップS201、S203の動作と同様である。このとき、制御部410は、モータ42の駆動を開始してからの回転検知手段50の出力信号のパルス数をカウントする(ステップS305)。制御部410は、引き続き電圧V1でモータ42を駆動させ(ステップS307)、カウントしたパルス数が所定のパルス数N1以上になったか否かを判断する(ステップS309)。これは、モータ42の回転軸の回転数あるいは回転角度、すなわちシャフト22あるいは角度規制部材93の回転数あるいは回転角度が、所定以上になった否かを制御部410が判断することと同等である。
【0074】
なお、所定のパルス数N1については、電動便器洗浄装置100の施工時に設定することができる。そして、作業者などは、例えばリモコン430などを操作することにより所定のパルス数N1を入力し設定することができる。なお、制御部410は、ロータンク200の形状の違いなどに応じた所定パルス数N1をテーブルとして保存しておいてもよい。そうすれば、作業者などは、設置したロータンク200の機種コードなどを入力することにより、制御部410は、ロータンク200の形状の違いなどに応じた所定パルス数N1を設定することができる。
【0075】
続いて、カウントしたパルス数が所定のパルス数N1以上になった場合には(ステップS309:Yes)、制御部410は、電圧V1よりも小さい電圧V2(例えば、DC12ボルト)でモータ42を駆動する(ステップS311)。続いて、ステップS313の動作については、図17に関して前述したステップS211の動作と同様である。なお、制御部410は、図18に表したように、モータ42の駆動電圧を電圧V1から電圧V2に低減させた後に、さらに電圧V2よりも小さい電圧V3(例えば、DC6ボルト)に低減させてもよい。これによれば、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することをより抑制することができる。
【0076】
本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作によれば、制御部410は、カウントしたパルス数が適宜設定された所定パルス数N1以上になったときに、モータ42の駆動電圧を低減できる。これにより、制御部410は、モータ42の駆動電圧をより確実に低減させることができ、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することをより確実に抑制することができる。また、その他の効果についても、図16および図17に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0077】
図20は、本実施形態の他の変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのタイムチャートである。
また、図21は、本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作を説明するためのフローチャートである。
【0078】
本変形例の保護動作では、制御部410は、回転検知手段50の出力信号のパルス数により、排水バルブ240、250の開端を学習することができる。すなわち、制御部410は、モータ42の駆動を開始してから、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでのパルス数を適宜保存することにより、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでのモータ42の回転軸の回転数あるいは回転角度を学習することができる。
【0079】
そこで、図21を参照しつつ説明すると、まず、ステップS401、S403の動作については、図17に関して前述したステップS201、S203の動作と同様である。また、ステップS405の動作については、図19に関して前述したステップS305の動作と同様である。
【0080】
続いて、制御部410は、モータ42の駆動を開始してから、排水バルブ240、250の開端まで、すなわちストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでの出力信号のパルス数N2を学習する(ステップS407)。これにより、制御部410は、モータ42の駆動を開始してから、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでのモータ42の回転軸の回転数あるいは回転角度を学習することができる。なお、この学習動作(ステップS401〜S407)については、作業者などが電動便器洗浄装置100を施工する際に行うことができる。
【0081】
続いて、制御部410は、2回目以降の洗浄指示を受けると(ステップS409)、ステップS403と同様に、電圧V1(例えば、DC24ボルト)でモータ42の駆動を開始する(ステップS411)。続いて、制御部410は、カウントしたパルス数が所定のパルス数(N2−N3)以上になったか否かを判断する(ステップS413)。なお、パルス数N3については、電動便器洗浄装置100の製造時や出荷時などに予め設定することができる。このパルス数N3は、排水バルブ240、250が確実に開き、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが衝突しないパルス数として設定され、事前検討などにより求められる。
【0082】
続いて、カウントしたパルス数が所定のパルス数(N2−N3)以上になった場合には(ステップS413:Yes)、制御部410は、電圧V1よりも小さい電圧V2(例えば、DC12ボルト)でモータ42を駆動する(ステップS415)。続いて、ステップS417の動作については、図17に関して前述したステップS211の動作と同様である。なお、図19に関して前述した変形例と同様に、制御部410は、モータ42の駆動電圧を電圧V1から電圧V2に低減させた後に、さらに電圧V2よりも小さい電圧V3(例えば、DC6ボルト)に低減させてもよい。これによれば、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することをより抑制することができる。
【0083】
本変形例にかかる電動便器洗浄装置の保護動作によれば、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するまでの出力信号のパルス数N2を学習することができるため、ロータンク200の形状や玉鎖220、230の長さなどに応じてモータ42の駆動電圧を低減できる。また、事前検討などにより求めたパルス数N3を予め設定し、カウントしたパルス数が、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが当接するときのパルス数N2よりも小さいパルス数(N2−N3)以上になった場合に、制御部410は、モータ42の駆動電圧を低減できる。
【0084】
これによれば、制御部410は、ロータンク200の形状や玉鎖220、230の長さなどに応じて、すなわちロータンク200の製造ばらつきや玉鎖220、230などの施工ばらつきに応じて、ストッパ24と当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ24と当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することをより確実に抑制することができる。その結果、モータ42を有する便器洗浄ユニット10や電動便器洗浄装置100の耐久性が低下することをより確実に抑制したり、それらの破損をより確実に防止することができる。また、その他の効果についても、図16および図17に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0085】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、制御部410は、電流検知素子411の検知結果(モータ42に流れる電流値)に基づいてモータ42の駆動電圧を低減できる。あるいは、制御部410は、回転検知手段50の出力信号の波形(パルス)に基づいて、モータ42の駆動電圧を低減できる。そのため、ストッパ(規制部材)24と角度規制部材(可動部材)93の当たり面93A、93Bとが激しく衝突したり、ストッパ(規制部材)24と角度規制部材(可動部材)93の当たり面93A、93Bとの間に過大な負荷が発生することを抑制することができる。その結果、モータ42を有する便器洗浄ユニット10や電動便器洗浄装置100の耐久性が低下することを抑制したり、それらの破損を防止することができる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便器洗浄ユニット10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや回転検知手段50の検知基板51およびマグネット53の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0087】
10 便器洗浄ユニット、 12 モータ駆動ユニット、 20 螺合突出部、 22 シャフト、 24 ストッパ、 40 ギヤ部、 42 モータ、 43 1段目のギヤ、 44 2段目のギヤ、 45 3段目のギヤ、 46 4段目のギヤ、 50 回転検知手段、 51 検知基板、 53 マグネット、 76 接続ケーブル、 78 接続プラグ、 82 スペーサ、 84、85 玉鎖レバー、 90、91 ワッシャ、 92 ナット、 93 角度規制部材、 93A 当たり面、 93B 当たり面、 97 操作ハンドル、 100 電動便器洗浄装置、 200 ロータンク、 220、230 玉鎖、 240 排水バルブ、 250 排水バルブ、 290 空気抜き穴、 300 衛生洗浄装置、 400 衛生洗浄機能部、 402 接続口、 410 制御部、 411 電流検知素子、 420 人体検知センサ、 430 リモコン、 500 便蓋、 600 便座、 800 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータンクに設けられた排水弁を引き上げて前記ロータンクに貯留された洗浄水を便器に流入させるモータと、
前記モータの回動に連動する可動部材と、
前記可動部材と当接することにより、前記モータの回動を規制する規制部材と、
前記排水弁の引き上げを検知する排水弁引き上げ検知手段と、
前記排水弁引き上げ検知手段が前記排水弁の引き上げを検知すると、前記モータの駆動力を低減させる制御を実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする電動便器洗浄装置。
【請求項2】
前記排水弁引き上げ検知手段は、前記モータに流れる電流を検知する電流検知素子であり、
前記制御部は、前記便器を洗浄する指示を受け前記モータの回動を開始してから、前記可動部材と、前記規制部材と、が当接するまでの間に、前記電流検知素子の検知結果に基づいて前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする請求項1記載の電動便器洗浄装置。
【請求項3】
前記排水弁引き上げ検知手段は、前記モータの回転軸の回転情報を検知可能な回転検知手段であり、
前記制御部は、前記便器を洗浄する指示を受け前記モータの回動を開始してから、前記可動部材と、前記規制部材と、が当接するまでの間に、前記回転検知手段の検知結果に基づいて前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする請求項1記載の電動便器洗浄装置。
【請求項4】
前記回転情報は、前記モータの回転軸の回転速度であり、
前記制御部は、前記回転検知手段が前記モータの回転軸の回転速度が速くなったことを検知すると、前記モータの駆動力を低減させる制御を実行することを特徴とする請求項3記載の電動便器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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